『少女世界攻略記録』   作:100110110011(2)の民

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119◇そして残るは彼女だけ

◇◆片瀬花奈視点◆◇

 

『試練は歪み、世界は廻る』

『歪み、廻り、残るは問いかけのみ!』

『始まりを過ごし、災禍を払い、古代を超え、創世を見る』

 

『最終幕』

『あなたは何者?』

『問いに今、返答の機会を!』

『自身を誇示せよ!世界に示せ!』

 

私が目を開けるとそこは真っ白な空間。

純白の言葉がここまで合う空間もそうそうないだろうってくらい白一色の空間。

 

 

そしてその中心に一人の少女が佇む。

真っ白な空間を白銀色に彩り──

私こそ世界の中心だと言わんばかりの風格を醸し出す。

白銀の天使であり。異世界最高の知恵者にして、私の『親友』でもある…そんな、中心に佇み私を見る彼女の名は──

 

アリス・フォン・トラウィス。

 

───ああ、そういうことね。

 

そして彼女は口を開く。

 

(私は世界を観測する)

〈その先に災禍と絶望しかなくとも〉

《それが私の役目》

【異端は、異物は排除される】

[私は何者?、貴女が同じ]

“だから私は問いかける”

『私に世界を教えて』

 

「そして──私を見つけて」

 

 

アリスの纏う感情はテレビのチャンネルの様に速く切り替わる。

切り替わり、切り替わり続け、本人にすらどれが元かすらも判らないのだろう。

でも私はアリスの『言葉』を信じる。

 

『──『断罪乃雷』』

 

アリスの言葉が紡がれると同時に世界が二つに切り裂かれる。

その境界を担うは彼女の手。

それを基準とし世界は白と黒に隔てられる。

 

私は『舞踏城(タンゼンシュラウス)』を発動させながら境界線を外れ、そして黒の道を選ぶ。

 

わかってるとは思うけど、このアリスは所詮模造品……つまりは偽物だ。

偽のアリスにすら勝てないで、親友を名乗る訳にはいかない!

 

私は詠唱を始める。

さあ、私の世界を見せてあげよう!

 

「此処は私の望む世界ではない…」

 

アリスが氷の槍を此方に発射する。

そこまでなら普段通りだけど、普段と違うのはそれが綺麗な氷ではなく黒く濁っている点だろう。

喰らっても無事なんて安易な考えは捨てて全力で逃げる。

 

「ならば此処を我が世界へと変化させる…」

 

最早未来予知の精度に近付きつつある偏差射撃を曲芸じみた動きで避ける。

後ろに、ジャンプ、クレルモンをぶつけて軌道変更、槍を踏み台に…

 

「科学よ!論理よ!私のために…」

 

来た!

アリスは無詠唱で属性剣を作り上げる。

ここからが本番。どうあの猛攻を凌ぎきる?

最初に飛び込んでくる2本をクレルモンで弾きながら考える。

 

魔法(せかい)を染め上げろ!」

 

次に飛んで来る4本を対処する。

1本はクレルモンで弾く。

1本は踏みつけて砕く。

1本は避けて当たるまでの時間を稼ぐ。

最後の1本は避けきれずに肌にカスる。

精神世界だっていうのに痛みで目が覚める。

そして少し遅れて戻ってきた1本を切り裂く。

 

「そして今を以て此処こそが…」

 

今ので私の限界を見切ったらしいアリスは8本の剣を操作しこちらに向ける。

1本はクレルモンで弾く。

1本は踏みつけて砕こうとしたが避けられ斬られる。

1本は避けられたが代償に2本の被弾を許してしまう。

1本は死角から襲ってきて被弾。

そして残り2本が避けられない位置と速度で私の心臓と脳を狙う。

 

「欺瞞でも仮初めでもない…正真正銘私の世界!」

 

自ら斬られに行く事でその2本の狙いを外させ腕と肩に被弾させる。

これで被弾6回…hpの残りは20%を切り危険水準に達する。

《不死融合》でhpを回復力させながら痛みを堪える。

されど開く傷口が現実を見ろと血を流す。

そして私がhpの残りを確認できたということは…

 

招かれざる(魔法世界の)来訪者よ…」

 

一瞬でもステータスを見れたという事だ。

やっぱりあの神様は嘘を付かなかった。

そして私はステータスの項目に『支配可能呪祟濃度』という欄があるのを見逃さない。

それによれば私の支配可能呪祟濃度は4らしい。

私はその4に自分の命を半分懸ける。

 

「科学と狂気に紐解かれる私の世界(いせかい)を存分に楽しめ!」

 

私は実在すら不確かな呪祟に働きかけて、追撃として飛んできた剣12本の周りに集める。

自分の体から何かが抜けていくのが判る。

でもそれは致命的な物ではなく取り返しのつく物でもあるとも直感する。

そして剣を呪い地に墜とし、私の世界を象徴する、その魔法名を宣言する。

 

「『追憶の世界(ロスト・ワールド)』!!」

 

今回の私の世界は普段とは全く違う。

この世界の象徴でもある月はなく、かと言って純白の空間はそのまま姿を残す訳でもない。

異世界の様に理全てが魔術に、魔法に支配されている訳ではない。

元の世界の様に理全てが技術に、科学に支配されている訳でもない。

かと言えばあの秘神の宮殿の様に全てが全てを呪おうとしているかと問われればそうでもない。

魔法が、科学が、呪祟が、それら全てが混じり合いその世界を創り出す。

 

それぞれの理を交え世界は歪み、そして廻る。

濃度4で他の理と同等の力を発揮する呪祟に驚嘆しつつも私は目の前の世界とアリスに意識を戻す。

 

あの頃の白紙の世界はもう戻らない。

アリスが神の雷で明暗を別ち、私が魔法で濃淡を付ける。

二人でこの世界に色を塗り、この場の法を変える。

 

汚く穢れたこの世界(パレット)こそが最後の決戦地!

 

偽の親友(試練)の問に答え、アリスを探し、自身の存在を世界に示す。

さっさとこんな試練、終わらせてやる!

 

私はいつぞやテレビで見た33mm口径のマシンガンを取り出す。

確か自衛隊関係の番組だっけ?

まあ創れるんならなんも問題ない。

このまま撃ったら反動で私の腕が吹っ飛びかねないので地面に埋め込む形で作り出す。

後は手動の代わりに魔術で発火し発射する。

 

アリスに銃弾の嵐が向かう。

それに対しアリスは何かの魔術を発動させ銃弾を溶かす。

反撃代わりに私の周りに魔素を集めて…?

 

不味い!

逃げ───

私は高温の爆発に巻き込まれ『死帯享楽(ファイナル・リゾート)』を使わされる。

私は躊躇もせずにアリスに近付く。

あの爆発は紛れもない科学現象だ。だから敵味方の判別は出来ない。

つまり、アリスに近付けばさっきの爆発は使えない。

だけど──今度は引っ掛からないよ!

魔素の集まりを検知して私は素早く後ろに逃げる。

ふと自分が直前までいた所を見ると何かに切り刻まれた跡が見える……危ないなぁ。

 

至近距離がダメ、遠距離もダメ。

なら中距離…爆破は巻き込まれ切り刻まれるには遠い、そんな位置に居座る。

ここが比較的安置だといいけど……

 

しかし無情にもその作戦は次の瞬間に木っ端微塵になる。

アリスの真上に魔素が集まり…何をするの?

そう思った時には体が反射的にそれを避ける。

行動してから頭が何が起きたのかを理解する。

アリスは雷を落としそれを反射させて私を狙った。

避けたつもりだったけど側撃雷に当たり肩が痺れる。

まあ痺れるで済んだだけ幸運か。

運が悪かったらあれだけで勝負が決まっていた。

 

ここまでのアリスの戦いを整理しよう。

遠距離にいるときは私の周辺に魔素が出現しそこから0.2~0.3秒(一瞬)で爆発が起きる。

中距離にいるとアリス上空に魔素を集め始め0.8~0.9(ワンテンポ)秒位で私の方向に雷が飛ぶ。

一見楽に見えるけどアリスの上空をずっと見てる訳にもいかないから技の出が判りにくい。

最後に、近距離にいるときは0.1秒以内に(思考する間も無く)かまいたちみたいので切られる…

 

これなんて無理ゲー?

 

更に雷は遠距離でも撃ってくる可能性はあるし、属性剣自体はこうして考えている間も撃ち込み続けられている。

この地獄のような三択の中だと僅差で中距離が一番楽だけど、属性剣の対処をしながらアリスの上空を見続けるのはかなり辛い物がある。

 

───あ、集まってる。

 

雷は当たったら即死なので少し無理して多少剣に被弾することになっても避ける。

 

これ以上技が増えなきゃいいけど…

いつぞや見たアリスのステータス的に考えて技の選択肢が3つとは考えにくい。

それに最初の『断罪乃雷』だっけ?

あんなのはアリスのステータスになかったはずだから…

この試練オリジナルの技もあるんだろう。

 

ほら見たことか。

今は中距離にいるのに上じゃなくて私の横に魔素が集まる。

横にあつまるんなら一応ジャンプしとこ──

 

危なっ!

土砂崩れみたいのを再現してきたよこの天才。

切れてきた集中力を補填し、自分への宣言も兼ねて切っ先をアリスに向ける。

 

 

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