『少女世界攻略記録』   作:100110110011(2)の民

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129◇奇怪な機械と出会う機会

 

「と、いうことです…」

 

ラスティリアから聞かされた話は科学文明滅亡一歩手前の話だった。

この後アンガラ・ジーンルットがどんな運命を辿るのかは想像に難くない。

 

室内に重い空気が漂う。

 

「いや、二人ともまだ生きてるかもしれない」

 

そんな空気を払拭するように私は希望の残る言葉を言う。

 

「え、どういう…?」

 

そりゃあ疑問にも思うだろう。大昔、そしてあの悲惨(絶望的)な状況を見て生き残れると思っているほうがおかしい。

ラスティリアは私をいぶかしむ様にジト目で見る。

いや、君一応機械でしょ。どっからジト目なんて機能仕入れたのよ。

 

「天整統さんは遺言で《詠歴》で待っているって言ってた。あれが何時の録音かは判らないけどそこに…つまり《詠歴》に行けば手掛かりは掴める…はず」

 

そう、彼の言葉を信じるなら…そしてラスティリアの中に残っている最後の記憶(記録)が正しければ天整統さん……もう天整統でいいよね?色々やらかしてるし。

天整統は《詠歴》にいる…もしくはいた可能性が高いわけだ。

 

「なるほど!じゃあ《詠歴》に行きましょう!」

 

まあ当然そうなるわけだ。

 

「で、《詠歴》の場所は…」

 

「……」

 

肝心の場所がわからない。

 

「と、とりあえず外に出ましょう!」

 

「まあそうね」

 

さて、そんなやりとり通りに取り敢えず外に出て森の外まで移動する。

防護服を脱ぎ『追憶の世界(ロスト・ワールド)』や『叡知の図書(グリモワール)』を解除する。

私は今からの話は誰にも言っちゃダメと前置きして話す。

 

「まず言っておくけど私の目標は元の世界に帰る事」

 

とても…というかどう見ても機械には見えないけど自称機械、それに修復家庭で配線らしきものも見えたから機械……だから機密保持はしっかりしてくれるだろうという打算的期待と、ラスティリアのそんな過去を聞いたから私も話さなきゃいけない。そして話したほうがお互いの目標に近付けるだろうという人間的理由の合成から、私はそれを話すことにする。

 

「私はラスティリアの前副マスター、天整統霧生と同じ世界の出身」

 

……というか何なら親族説がかなり濃厚だけど、まあそれは対して重要な話じゃない。

 

「だから帰るためにいつかは《詠歴》に行くことになる」

 

秘神が何かよくわかんないことをほざいていた以上、確実に帰還への鍵を握っているのは天整統…まあつまりは《詠歴》だ。

 

「それに《詠歴》の場所は一応だけど、心当たりがある」

 

私はあの無限迷宮…だったっけ?あの迷宮が怪しいと思ってる。

後、秘神関係は流石に言わない。あれに関わると録な事にならないからね。

 

「心遣いをありがとうございます…」

 

今までの若干湿っぽい雰囲気を吹き飛ばす様に手を振ってラスティリアは言う。

 

「それでですね!マスターにはこれをあげます!」

 

そう言ってラスティリアは透き通った球体を私に渡してくる。

…透明かつ手に収まるくらいの球体。

ガラス…ではない、と思う。中でもやっとしたものが動いてるし何かの生物かな?

 

「これは?」

 

「正式名称は『対遡粒子予測機能付属電脳知能-《三永》改良特注特殊型0番機専用格納庫用第一心臓核』…よし…噛まずに言えました!」

 

……?いやいや何?

『対遡粒子……何だっけ。ともかくそれがラスティリアのことでしょ?

それで専用格納庫用…何て言ってた?

 

「…っと…それでですね。この…何て言いましょうか…」

 

ああ、何だっけ。『第一心臓核』とかいってたっけ。

さすがに名前が長すぎる。あのAIとかを見ればわかるけど天整統ってもしかして名付けセンス0?

というかあの時代の人の名付けセンスが軒並み私以下の可能性がある。

 

……まあ、なんだろう。

流石に一々『対遡~』っていうのはあれだから……

 

「ラスティリアコアでよくない?」

 

単純明快。ラスティリアの動力源(コア)だからラスティリアコア。

 

「それ採用です!ラスティリアコアはですね…まあ言っちゃえば私の動力源みたいなものです」

 

む、私がラスティリアっていうのもあれですね……と、そんなことを言いながら首を捻る。

それにしてもその…あれの役割合ってた。やっぱりそんな感じか。

…第一とか言ってたってことは第二以降があるんだろうなぁ。

 

「つまり壊されれば?」

 

「私が動かなくなりますね」

 

お?意外。てっきり第二コアを動かすから大丈夫ですよ!みたいに言われると思ったのに。

 

「修理は……」

 

何かの拍子に万が一……いや、億が一壊れた時にどうすればいいのかは聞いておかないと。

 

「あの部屋を使えば一応出来ますが…それでも『私』ではなくなります」

 

『私』ではなくなる……つまりはそういうこと、だろう。

 

「つまり記憶は保持されないってこと?」

 

「そうですね…だから大事にしてほしいです!」

 

懇願というのが正しいような感じでこちらを見てくるけど……それもそうか。

私だって心臓を他人に握られてたらその人に全力で懇願すると思うし。

私が心臓を握られてる相手……アリスとセリアかな。

まああの二人に対しては素で……まあいいや。

 

「まあ大事にはするよ」

 

若干投げやりになっちゃった気がしなくもないけど、一応誠意は見せておく。

 

「逆にですね…それさえ無事ならこの本体が壊れても何の問題もありません」

 

ラスティリアはそう言ってどや顔をする。

これ本体に機械か?どうみてもうざ…じゃなかった、人間臭いんだけど。

 

「本当にAI?」

 

私は訝しんだ。

 

「何をいいますか!私は列記としたAIです!」

 

「じゃあ試しに…430×29×5は?」

 

「62350ですね」

 

ごめん、出しといてあれだけど、私が計算出来ないわ。

えーと、430×29は……12,470か。

それで12,470×5で……いや、×10してから÷2のほうが早いね。

つまり……62350…おっ、合ってる。

 

「2の26乗は?」

 

えーと、確か2の10乗が1024だっけ。

っていうことは……

 

「67108864ですね」

 

早すぎでしょ。

2の20乗が1024×1024……つまり、1048576。

つまり、そこから64をかけて……うん、計算出来ない(しない)けど大体合ってそう。

 

本物だなぁ…多分だけどね。

それで…何の話だったっけ…?

ああ、そうそう。ラスティリアコアの話だ。

これさえ無事ならいいのか…

なら……

私はそのコアをいつものバッグに突っ込───

 

「ウワー、オトシテ、シマッター」

 

「ななななな、何やってるんですか!?それかなり脆いんですよ!?」

 

さて、落とすふりをしてバッグに突っ込む。

というか今いれたコア、そんなに脆いのか。

触ってみた感じそんなに脆そうじゃなかったんだけど……

 

「冗談だとしてもやっていいことと悪いことがありますよ!」

 

「いや、一回はやっておきたくてね…あ。本体との通信距離制限とかは…」

 

「40万kmまでなら大丈夫ですねー」

 

あ、実質考えなくてもいいやつだ。

40万kmって地球から月よりも長いし……

そろそろ日も上りきるから帰るか。

後3時間はCT(クールタイム)的に『舞踏城(タンゼンシュラウス)』使えないからゆっくり帰るけどさ。

 

まあゆっくりと休憩しながらね。

雑談ついでに私を取り巻く地獄絵図について解説…というか説明しておこう。

 

 

 

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