『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
「それじゃあゆっくりと戻るか」
「どこに戻るんですか?河川敷とかですか?」
「ホームレスじゃないんだけど……あ、トラウィス王国の王城…って言ってもわからないよね」
「王城はわかりますよ!あれですよね。凄い大きいところです!」
「そうそう、トラウィス王国は……ああ、ルナエン王国はわかるでしょ?」
「そりゃあ勿論、マスター…じゃなくって。前マスターのいた国ですからね。あの国と何か関係があるんですか?」
「んー、詳しくは知らないけどルナエン王国が前身……らしいよ。詳しくはアリスかセリア…あ、今の二人は私の大事な人達ね、に聞いてみるとわかると思う」
「成る程成る程……ところで、一応そのアリスさんとセリアさんの本名…というか、まあそんなところを教えてくれませんか?」
「それもそうだね」
うーん、どっちから話したものか。アリスとセリア……まあ、アリスかな。
「それじゃあ先にアリスについて。さっきっからアリスアリス呼んでるけど普通は読んじゃだめなんだって」
「どうしてですか?…って私も普通にアリスさん、って呼んじゃってるじゃないですか!……何て呼べばいいのですか?」
「質問が多いなぁ…あ、呼び方は第二王女様ね。立場的に上とか同等なら第二王女とかでもいいらしいけど…」
「あ、はい。第二王女様ですね」
「そうそう…で、理由は何だっけ?前聞いたんだよなぁ……」
何か認められるだか認められないだか、言ってたきがふるけど……
「まあ、本人に聞けばいいと思うよ。私に付き合うなら嫌でも合うことになるだろうし。というか今日明日の内には会うことになると思う」
「そんなに頻繁に会ってるんですか……恋人か何かですか?」
「どちらというと雑用係の方が近いと思うんだけど」
「それはどっちが、ですか?」
「私に決まってるんだよなぁ……」
アリスをこきつかえる人なんてこの世界にいるんだろうか……いや、いない。(反語)
「意外です…てっきりマスターが使う側だと思ってました。
天整統みたいなよくわからない存在と一緒にしないで欲しい。私は一般的な常識人だから……あ、常識で思い出した。
「そうそう、教皇…何ちゃらルグエ、みたいな人もいるから覚えておいても損はないかも?」
「教皇様なのにそんな適当な扱いで良いんですか?」
「……まあ私の雑用係みたいなとこあるからいいんじゃない?」
「……私のマスターは変人以外なれないんですかね…」
「変人なんて心外な。一応ちゃんとした経緯がないわけじゃないから。あれは正当防衛みたいなもんだから仕方なかった…と思う」
「前副マスターも似たような事言ってましたよ。『私は変人ではない。周りが私の
「気のせいじゃない?」
「私、これでも機械なんで記憶違いはないんですよ?」
「……忘れてた癖に」
せめてもの反抗に私はそう言うしかなかった。
「あ、あれは再起動に時間が掛かってただけです!致し方ない記憶違いですよ!」
「致し方ない記憶違いとは……まあいいや。それでアリスの話の続きだね」
「そういえばマスターは『アリス』って呼んでいますが、良いんですか?」
「ちゃんと本人からOK貰ってるんで問題ないね」
「ちなみにですが、名前で呼んでも良いと許可を与えている相手は
「アリスの全てを把握してるから全員を知ってるわけじゃないけど……家族と私、そしてセリアくらいじゃない?」
まあ家族…父王以外からどんな扱いを受けているかは知らない…そういえば知らないなぁ。
今度調べてみるか。虐められてないか……いや、寧ろ逆だな。誰か虐めてないか確かめないと。
「……その中に入れるように頑張りますか」
「頑張れー」
「完っっ全に他人事ですね!」
「まあ他人事だし」
「むー、それで第二王女様のフルネームを教えて下さい。一応何かに使うかもしれない……のと、後は登録しておきます」
「アリス・フォン・トラウィスだけど……登録って何?」
「今後関わる機会が多そうなので、副マスター……ではなく、マスターサポーターに登録しとかなきゃ、と思いまして」
「マスターサポーター……どういうこと?」
副マスターとマスターサポーターと、何か厨二チックな単語が聞こえてくるけど…
「マスターサポーターというのは私に命令権があるわけではないですが、マスター…あるいは副マスターに近しい人の総称です!まあ要するに上司の友達みたいなものです!」
絶妙にわかり辛い例示をありがとう。
というかそんな仰々しい名前をつける必要はあるのだろうか。普通にマスターの友達、みたいな感じでいいと思うんだけど。
まあ、こういうのも含めてロマン、ってやつなんでしょ。
くぅ、私は男子とか男性とかが考えるロマンについて理解していたつもりだったけどまだまだ浅かったか。精進しなきゃ……!
うん?精進する必要ある?
別に
「どうやったら女子力って上がると思う?」
「…どうしたんですか?そんな藪から棒に……前副マスターや前マスターも、もうちょっと理路整然としてましたよ?」
何かこのAI、仮にもマスターに対してすごく毒を吐くんだけど。
「いやまあ、ふと天啓が降りてきてね」
「どこの聖人ですか……ラファエルでも見ましたか?それとも首を締められましたか?」
うーん、こう考えると地球の宗教の最初って地獄絵図なものが多いよね。
というかラスティリアはそんな知識までインストール済みなのか。優秀…優秀?
「ところで地球の歴史についてはどこまで知ってるの?それによって色々問題が変わるんだけど…」
「そうですね…割りと突貫工事だったので重要部分と前副マスターの趣味ですね」
おおう、
「ちなみに聞いておくけど、さっきの宗教云々は趣味?それとも重要部分?」
「重要部分ですね!」
私、知ってる。重要部分とかほざきながら大半の知識が突っ込まれてるやつだこれ。
「あー、まあ周りに人がいないかつ二人の時はそういう地球関係の話題を出してもいいけど、他の時はやめてよ?」
「流石にそれぐらいは弁えてますよ!なんてったって私は天才AIですよ?」
「天才AIとか人類への反逆の目以外の何者でもないから処分しまーす」
もちろん、どこからともなく取り出したラスティリアコアを地面に叩きつける準備をしながらね。
「嘘です、嘘です!……いや、天才という部分は嘘じゃないですが……ちょっと?待って下さい?落ち着いて下さい。ステイクールですよ?こんな、こーんな、いたいけな少女の形をしたAIを壊すんですか?もうちょっと世界は美少女に優しくてもいいと私は思うんですよ。マスターもそう思いません?ほら、思いますよね。ならその最初の一歩としてその物騒な構えを解いて、両手を足の横に起きましょう。ね?それがひいては差別の撤廃…さらには人類の平和。そして究極的には全人型生物の平等化になるわけですよ。わかりますよね?まあ、とてもスマートかつインテリジェンスなマスターならそれくらいの常識は理解してくれると信じています。というわけで、そのコアをバッグにしまいましょう。ほら、お片付けですよ、お片付け。幼稚園の時に言われませんでしたか?使ったものは元の場所に戻しましょう、みたいなこと。それと同じですよ。だから──」
何このAI、追い詰められた時の悪役かってくらい
これ以上饒舌なそれを聞きたくはないので大人しくしまう。
「そうそう、それでいいのです。それこそが知的生命体としての進歩ですよ。人類にとっては小さな一歩かも知れませんが、全宇宙規模で見ればきっと大きな一歩になるはずですから」
「はいはい落ち着いてー、ふざけるのはやめて…話を戻すよー」
ラスティリアに釣られて私まで間延びした感じの話し方になってしまった。
むー、マスターのほうから始めましたのに……と愚痴ってる天才AIを無視して話を進める。
「それで、あとアリスについて話すことは……まあ、天才で第二王女、そして
「…前副マスターの娘さんですか?ってくらい似てるんですけど……」
へぇ、天整統って腹黒だったんだ。
……実際天整統と血縁ではありそう。
というか割とその可能性高いのでは……?
そうすると私と天整統も(恐らく)血縁なことから実は私とアリスは血縁関係だった……?
…近親……何でもない。本当に何でもないよ。うん、本当に。
「マスター?どうしたんですか?急に
「何でもない、何でもないから気にしないで。それで次はセリアだね」
「セリアさん……早速名字のほうをお願いします」
なんか面接みたいになってきてない?いや、いいけどさ。
「セリアは……ティーミール伯爵家だね」