『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
突然の模擬戦で疲れたなぁ。しかも私の切り札基本全部使ってるよね?ラスティリアにも助けてもらったし、はぁ…
ただでさえ情報過多だった所に色々情報が詰め込まれてる気がする。
アリスとゆっくりO☆HA☆NA☆SHIしながら洪水を起こしてる情報群を整理しないと。
そんな事を考えながら私はアリスに声をかける。
「アリス───────
特に深い意味もなくかけたその言葉。
強いて言うなら部屋に戻って話さない?という意図程度しかふくまれてないそんな軽い言葉。
そんな言葉の返答は私の予想外……それどころか、考えたこともないような台詞での返答だった。
「やっと、殺せる」
その僅か一秒にも満たない返答が返されるのと同時に。
───え?」
そんな間抜けな声を思わず出し、なんで────
そんな事を考えるよりも速く腹部に異物が入ってくる感覚がする。
hpが凄い勢いで減っていく。
洒落にも冗談にもならない。
今の私には蘇生手段はない。
『
『
『
つまり、今hpが0になったら本当に死─────
腹部の違和感が消え、痛みが私を襲う。
それと同時に鮮やかに、そして手際よくその血塗られたナイフを二回振り、私の腕へと吸い込まれる。
それよりも今考えるべきは何?
この状況への対処?
それともアリスがこんなことをした理由をきく?
そうじゃなければなにを?
頭の中が混線して思考が纏まらない。
当たり前だ。アリスに刺された。その事実は私にとって大き過ぎる。見ず知らずの人に刺されたんじゃない。
あの、アリスだ。
私は掠れ掠れ声を出す。
「な…んで?」
「なんで?それは私の台詞」
そう言ってアリスは後ろを向く。
まるで私なんて警戒してないかの様に。
ラスティリアを取り出そうと手を動かそうと試みる。
しかし腕の筋を丁寧に切られている様で一向に動かない。
いつの間に?
暖かった体温が徐々に失われていく。
そんな虚脱感と今になってしゃしゃり出てくる猛烈な痛みに顔をしかめる。
それよりも────
「ハナは全てを奪っていく」
「異世界転移?異世界の知識?異世界異世界…この世界は『異』なんかじゃない!」
「…私にとっては!ハナの世界こそ『異世界』」
それは…
「なのに!ハナはいつもいつも口を開けば『異世界』の話ばっかり!」
……そんなに、私は『異世界』の話をしていた…?
「ハナはこの世界を軽んじてる!なのにハナはこの世界に愛されすぎている!」
「現にまだ生きてることがおかしい!」
「本来なら、計算通りならもうhpは尽きている筈」
…私は残ったmpを使い《不死融合》…mpを10消費してhpを1%回復する技を使っている。
勿論傷口が塞がる訳ではないが時間稼ぎにはなる。
hpの減少が急激なものからゆるやかな物へと変化する。
「そうやってハナはいつも私の予想を超えてくる!」
…予想を超えられる。
アリスにとって、それは新鮮なことだったんだろう。
私という存在が、異世界の異物が、アリスに影響を与えられたのか。
「そんなハナの事が──」
ああ、この流れならなんて言われるからはわかる。
おそらく、そう、あの類いの言葉だろう。
「大嫌い!」
つまり、だ。
私は少しずつ襲ってくる
これは『親友』との大喧嘩だ。
売られた喧嘩は高値で買わなくちゃね。
お互いに忌憚のない意見を…言い合いを出来る…そんな存在でしょ?『親友』って。
そうだったはず。
「ハナはこの世界にいるのが可笑しい存在。なのにこの世界に祝福を貰ってるかの様に全てがハナの都合良く進む!」
「そんな…ことない!」
私は掠れ掠れになりながらも自分の意見を絞りだす。
おかしい。絶対におかしい。
本当に死んでほしいなら、本当に殺したいなら、こんな会話なんてせずに追い討ちをかければいい。
アリスにはあれだけ魔術が使えるんだ。
今の私を殺す魔術なんて何十とある筈。
なら…私はその意思に答えるだけ。
売り言葉に買い言葉。その言葉を体言していこう。
「そもそも私にとってはこの世界に来た事自体が一番上手く進んでない」
そう、私は元の世界にいたころに別に異世界に行きたいと祈ったことはない。
別に異世界転移願望を持ったことない…とは言わないが強く願ったことはない。
「その言い方が私を苛立たせる!」
「そうやって『別に私はこんなとこ来たくなかった』…そんな風に言いながらこの…私達の世界で平然と生き延びるハナが私を苛立たせる!」
「何でそんなに軽く見れるの?」
「私達の世界だって何千年もの歴史がある!そっちみたいな『異世界』とはその歴史もその道筋も全く違うけど!」
「私達の世界だって生きている!」
それは紛れもなく事実だ。
異世界転移だ異世界転生だと騒がれてその異世界とやらで『主人公』が育つ。
そして各国や各要人すらも無視できない存在へと成り上がっていく。
それは私が元の世界で読んだ小説では使い古される程みた『テンプレートのストーリー』だ。
そしてある意味私はその『テンプレート』通り。
「でもその『主人公』がいなくとも異世界は本来回る筈だった。
その『異世界』なりの発達の仕方で文明を発展させていった筈なんだ。
その過程こそが最重要であり結果はさして重要じゃない。
なのに『主人公』はその『異世界』特有の枠組みを、常識を壊し自分のいた世界の文明を正しいもの、効率的なもの、有用なものとして『異世界』に押し付ける。
その結果従来の『異世界』は崩れ…人が代わり、場所が変わっただけの『元の世界』の焼き増しになる。
その世界に魔法や魔術、そんなファンタジー的な物があったとしても最終的な庶民の生活は元の世界と変わらなくなってしまい、唯のコピーになる。
だって手元に銃があったからといって人に向けて乱射する人は普通いない。
ましてや子供の頃から慣れ親しんだ魔法を人に向けて乱射しようなんて考えない筈だ。
例え日常的に電気が使われてるからといって人を感電させる人がいる?
そういうこと。
異世界転生や異世界転移で『彼達』がやっていることは文明の、文化の侵略に他ならない。
だから、そういう小説を読んできた私はこの世界に来て一つだけ気にしている事実がある。
それは私がその感染元にならないかということ。
だから…いや、それもあって私は早く帰ろうとしている。
勿論自分としても早く帰りたい。元の世界に帰れるってことは家族に会えるし元の生活に戻れるってことだから。
だけども、早く帰ることはこの世界に対しても影響が少なくて済むということでもある。
ところで。
以前アリスに『この世界に影響を及ぼし続けるか』という事について聞かれた。
その時私は…
『傲慢にもこの世界と関わり続ける!』
『アリスや世界を巻き込んで私が望む物語を紡いでやる!』
そう答えた。
勿論あの時の私に嘘はなかったし今もそう思ってる。
でも、だ。
与える影響は100よりは10、10よりは1の方がいいとも思ってる。
友達や親友を数人巻き込んで──それで百年後ぐらいには『片瀬花奈?そんな人そういえばいたね』みたいな感じになってくれればいい。
それが理想だし『異世界』との大人の付き合い方ってものだと思う。
でも、私は大人に成りきれない。
それが論理的にも感情的にも正しいのはわかる。
でも、それは私が嫌だ。
折角この世界に来たんだ。
だから…爪痕を残したい。
それが罪なことも、傲慢なことも、最低だってことも全て理解しているつもりだ。
でも私はまだ子供だから。
それを免罪符に私は自分に言い訳をする。
それが『免罪符』だってことも、それが唯の『言い訳』だってこともとっくに気付いてる。
でも大人に成りきれない。それは私の精神が幼いからなのか、それとも大人になることを自身で拒否しているからなのかは私にはわからない。
アリスに忘れられたくない。
セリアに忘れられたくない。
ラスティリアに忘れられたくない。
貴族達に、民衆に、騎士達に、宮廷魔術師団員達に、忘れられたくない。
100%私の我が儘だしエゴだ。
でも、私は……」
そこまで考えを巡らせ、疲れが私を襲う。
目を開けていることすら辛くなり、徐々に瞼が下がっていく。
「ハナ………ごめ、ん…」
どういうこと?
アリスが情緒不安定になってる。
私を刺して、それで今度は謝る?
本当に何がしたいのかわからなくなってきた。
憎しみや恨みとか以前に困惑が勝つ。
突然私の腕の筋と腹部の傷を治し、全てのhpを『