『少女世界攻略記録』   作:100110110011(2)の民

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139◇沈黙舞台の狂言『天堕』の怪演

 

という訳で戻って参りました訓練所。

そして騎士達全員を集めて…っていうか皆訓練のためにここにいたけど……っていうか、私達がいなくなった瞬間に戻ってるなんて優秀だなぁ。

まあいいや、そういうわけで大尋問大会が始まった。

 

アリスと私で手分けして聞き込みをした。

といっても馬鹿正直に『私達に魔法だか魔術だかかけた人いる?』みたいに聞いてもまともな返答が帰ってくる気がしないし、仮に私が犯人でも素直に返答しない。

かといって『状態異常系の魔法使える人集まって』…みたいに言っても集まらないのは目に見えてる。

 

だから一人一人と談笑…というか、雑談の体を整えながら自前のトークスキル(笑)でどうにかしなきゃいけないわけだ。

 

まあそんな方法を取ってたから死ぬほど時間が経過するわけで……途中からラスティリアも聞き込みに参加してた。

さて、まず結果から言うと成果なし。

そもそも怪しいとかそれ以前にそういう事が出来そうな魔術持ちがいない。

じゃあ誰なのだろうか……?

 

大前提として今日私が会った人でしょ……?

私が姿を見えてなかった、とかだったらお手上げだけど……うーん、それっぽい人いるかな?

 

私は今日視界に入った人を順番に思いだしていく。

 

今日会った人…まず王都の門番でしょ。それでラスティリアと……セリアにアリス。

そして騎士の皆様方と宮廷魔術師団員……後は……観戦者、ぐらいかな?

 

…王族!

確かあの模擬戦には王族も観戦目的かは知らないけどいた。

そして目が合った…はず。

 

「アリス、あの時の王族」

 

「…王族?…もしかして……!」

 

アリスが何かに気付いたらしい。

 

「…一旦逃げる」

 

アリスに手を引かれ、気付けばアリスの部屋へと引きずられる。

あ、待って。ラスティリアだけ回収させて。

 

 

いつもの部屋と通され、ふかふかの椅子に座る。

ちなみにラスティリアは帽子型になって私の頭の上にいる。

 

「思い当たる節があった……」

 

自分で言ってて違うな。あのアリスの感じだと……

 

「犯人がわかったの?」

 

「…………リルトン」

 

やけに重々しそうにアリスは口を開く。

アリスが呼び捨てにして、かつあの場所にいた…そして王族って私が言った、ということを加味すると……

 

「そのリルトンって誰?王女様?」

 

まあそんなところになるわけだ。

だけど、実際は違うようでアリスは首を振り、こめかみに手を当てながら答える。

 

「あれは違う、もう王女なんかじゃない。あれは…王家(わたし)の恥…なんで気付けなかった?認識阻害?何が…」

 

もう(・・)王女じゃない?

どういうこと?

 

「落ち着いてアリス、そのリルトンっていう人は何をしたの?」

 

敬称を付けるべきか一瞬悩んだけど雰囲気的にやめておいた。

 

「リルトン…あれは前王殺し、国一番の反逆者…」

 

…何でそんな人が今、でてくるの?

普通そんなことしたら死刑…というか極刑になるはず。

…いや、なるほど。王が殺された、というのは外聞が悪いから隠蔽されてたのか。だから王女である…もしくはあった、リルトンを殺す理由がなかった…とか?

でもそうなら……

 

「……そして、私の双子」

 

衝撃の事実が明かされた。アリスの双子が殺人…それも家族を?

確かにおかしいとはちょくちょく思ってた。

国王はまだそんなに年を食ってない。なのにその父や母がいないのはおかしいなぁ、みたいに。

まあ隠居してるんでしょ、とか勝手に思ってたけど…そんな理由があったのか。

というか私は周りの物事を知らさすぎる。

でも、それにしてもだ。

王族がある日突然どっかに行って…というか隠居?し始めて違和感を抱かないものなのだろうか。

 

「王族はある程度自衛ができる……つまり、10歳位までは外部に秘匿される、そしてあれは8歳の時に…」

 

私の疑問に思ってる事を言ってくれるのはありがたいけど、今のアリスはどうみても錯乱してる。

やっぱりいなくなったと思ってた双子が出てきたのは精神的にくるものがあるんだろうね。

 

ここまでの状況を一回整理すると、アリスの双子姉妹であるリルトンが私やアリスに何らかの魔法だかを使ってあの惨状を引き起こした…っていうあれらしい。

そしてそのリルトンは前王…多分アリスの祖父、を殺して幽閉…かどうかは知らないけど世間としては『いないもの』として扱われてたということだろう。

…というかアリスの驚き具合的に死んだ、と思ってたっぽいんだよなぁ。

 

「…あれは、彼女は、リルトンは、…私の汚点でもある」

 

「…え?」

 

何でアリスの?

別に双子だっただけ…っていうのもあれだけど、リルトンが殺人したとしてもアリスに何か関係があるわけじゃないよね。

守れなかった、とかならわかるけどリルトンの存在がアリス自身の欠点、みたいな言い方だから違いそう。

 

「王家の内部でも同じ双子である私と常に比べられていた。それで王家の者に口汚く罵られることも少なくなかった」

 

……何となく、何となくだけどわかってきた。

 

「当時の私はそんなリルトンを助けるために自分がもっと賢くなれば、もっと地位を安定させればと思った」

 

やっぱり。

アリスは天才だけど、万能じゃないから。

失敗しない人間は…人間とは呼ばないからね。

 

「…でもそれは全て逆効果。私が頑張れば頑張る程…リルトンは疎まれ私は期待される」

 

……そして案の定天才が仇になったのか。

 

「それで…彼女が8歳の時、事件が起きた」

 

その後も話を聞くと、どうやらリルトンは地下牢に閉じ込められていた筈らしい。

王族が王族を殺すのはこの世界において最大級の禁忌らしい。

で、リルトンの存在は王族以外には基本知らせてなかったから誰も処刑できない…と。

 

「…どうやって抜け出したのかはわからない…多分魔術を使った…?」

 

つまりアリスでもまだ全貌はわからない…。

そのリルトンだけど…今どこにいるのかすらわかってない。

私はその姿をちらっとではあるが見た。

アリスは双子だからそりゃあ姿くらいは知ってる。

果たしてどうやって探そうか。

逆に言えば王族と私くらいしか姿を知らない訳だ。

 

「…取り敢えず…『無限迷宮』に行こう」

 

「なんで?」

 

「…もう一人リルトンの姿を知ってる人がいる」

 

「…この国最強の冒険者パーティー『光の踏破者』のリーダー兼、今代【勇者】、ロンメルト・アルファ」

 

すごく…ファンタジーの主人公っぽい。

それに私の比べて私の肩書きは…

宮廷魔術師第六席兼、子爵の片瀬花奈。

何か…パッとしないっていうか…しっくりこないというか…あ!

 

「アリス、私って何て自己紹介すればいい?」

 

「…?『第二王女(アリス)の親友』兼トラウィス王国宮廷魔術師第六席のハナ…とか?」

 

あ、……。何でもない。

そうだね、私はアリスの『親友』。

 

「アリスは…私の『親友』だよね?」

 

「…あのとき、感情が増幅されてたとしても…私は嘘は言ってない…」

 

あくまで『増幅』。捏造でも偽造でもないからね。

でも、もうちょっとだけ。

 

 

 

 

 

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