『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
◇
文句を言いたい。
アリスに…いや、元を正せばリルトンとかいう人のせいだけどアリスに文句を言いたい。
後ついでにラスティリアにも文句を言いたい。
何でかって?
今、私は……
「私の背中の上で切る風は気持ちいいですか?マスター」
そう、ラスティリアの背中に乗せられているのだ。
あの後アリスが今すぐ行くって言い出したのはまだいいよ。
でもね、私のagl…今
そう、『
というわけでラスティリアの方が速いということでこうなってる。
羞恥心がない…わけないから恥ずかしい。
この体制になってからかれこれ数分。
逆に数分の間、公衆の面前で痴態を晒していたわけで……
すれ違う人皆に二度見される私の気持ちよ。
まあでもそんな痴態を晒すのはもう終わり。だってaglも元に戻って後は『
「…ハナは降りないで…」
なにゆえ?
このまま羞恥プレイを続けろと?
「…mpと体力の節約」
なるほど……(但しメンタルは消費されます)って?
やかましいわ。
ちなみに『
自分で思い付いた死ぬほどしょうもないネタを永久封印しながら私は今日も少女の背中を住みかに生き続けるのであった……完。
まあそんな感じでラスティリアの背中でガッタンゴットン揺られながらのんびりしている。
「今日の夜ご飯はどうしましょうか」
そうね、夜ご飯ぐらい食べてくればよかったのにアリスがすぐ行く!っていうから……
ちなみにラスティリアのせいで大分影が薄くなってるけど、セリアも勿論来てる。
というか普通に家の前を素通りしようと思ったら、呼び止められた。
────
「何で私だけ置いてこうとするんですか?」
「ごめん…忘れてたわけじゃないの…そう、そう!今回は王家に関することだから…ね?」
「関係ないですよ…私も行きますので少し…5分、5分だけ待ってて下さい。すぐに準備しますから」
────
うん、本当に忘れてたわけじゃないのよ。
単純に今回の場合王族云々とかいうめんど…じゃなかった。外聞の悪い王族の闇部分が直接的に関わってくるから巻き込まないほうがいいかな…って思っただけ。
アリスともそんな感じで(暗黙の)合意が取れてたから素通りしようとしただけなの。
……というかここだけの話、当初はラスティリア一人送り出せばいいのでは?っていう話だった。
でも【勇者】側が一般人と会ってくれるかわからない、という理由と、内容が内容だけに本人がいかないとダメそう…という理由からアリスが行くことになったわけよ。
それで一応王女であるアリスを一人で野に放つ、というのは防衛上的にも、私の精神衛生上的にも悪いから用心棒がわりに私…正確に言うなら宮廷魔術師が付いてくことになったわけ。
流石に王城生活1日目のラスティリアを留守番に使うわけにはいかないから持っていくのは必然的で……
というこの旅の参加メンバーの裏話。
「夜ごはんか……私は何でもいい───」
何でもいいって言われるとかなり困る、って何かの本に書いてあったし、実体験的にも困るから直前……間に会ってない気がするけど、直前に言い淀む。
「──わけじゃなくて……あ、セリアの得意料理とかあるの?」
1、2秒で考えた返答にしては上手く行ってると思う。まあ基準が私のガバ採点だからあれだけど。
案の定、というべきかやっぱり、というべきか私の料理の腕前は本当に普通以下なので得意料理はレトルトカレーとかになりかねないし、実際得意な(まとも)料理は味噌汁だと思う。
ちなみに味噌が見つかってないのでこの世界では永久封印です。
個人的なイメージを語るならラスティリアは全部高水準で出来そうで、アリスは全部苦手(神ノ御業レベル)とかだと思ってる。
セリアは……どちらかと言うとクッキーみたいな洋菓子を作るのが得意そうなイメージで、所謂料理料理してる料理を作ってるイメージはあんまない。
あ、でも家庭的なイメージがないわけじゃないからどうなんだろ。
「アリスさん…とラスティリアさんもそれでいいですか?」
え?ここでやだ、とか言ったら一人一人違うものが出てくるの?それは流石にセリアの負担が爆上がりするよね?
「私は特に食事は要りませんから大丈夫です!空気と霜で生きていますから!」
仙人かな?
そんな高崇なものじゃないし、何なら機械だけど。
「…私はそれでお願い」
「わかりました。普段の食事と比べたら質が下がってしまうと思いますけど…精一杯頑張ります」
…何だろうね。『!』は付かないけど意気込んでる感が出る感じの調子で言うセリア。
ああ、あれだ。『ふんすっ!』みたいな効果音が漫画だと付く奴だ。
というか質が下がるやら何やら言ってるけど…まず一つとしてそんなに変わらない予感がする、という前提と、こういうのは作った人の真心が重要って大体どの料理本にも書いてあるから問題ない。
それにそんなこと気にする人ここにはいないでしょ。
私はいつものバッグから折り畳み式の椅子とミニテーブルを出し、セリアは持ってきているリュックサック…らしきものから調理器具を取り出す。
普通に調理器具が出てくるの優秀すぎる。
私の椅子&テーブルは休憩の時に使うかなぁ、みたいに何も考えずに持ってきたやつだからね。
それに比べ調理器具はちゃんと『料理する機会があるかも』と思い、『他の人が持って来るかわからないから自分で持っていこう』みたいにならなきゃダメだからすごい。
さすセリだね!
え?アリスはって?
今も横で、魔術やら何やらを使ってミニ小屋みたいの作ってるけど?
……多分今日の寝るとこになるのかな?
わからないけど。
ちなみにラスティリアは帽子としての機能を十全に果たしている模様。
それから数十分。
アリスに手伝ってもらいながら貯まってた仕事を片付けていたらセリアからお呼びがかかった。
あ、屋外なのね。
まあ満天の星空の下で食べるごはんっていうのも乙なものだよね。
……どっかの星と違って本当に満天だなぁ。
満天の星空が満点……何でもないです。
席で座って待ってるのもあれだから配膳しよう、とか考えてたのに呼ばれた段階で全て配膳済だったのでセリアにお礼を言ってから大人しく着席する。
「今日の夜ごはんは魚の────」
◇
そんな感じで平和な夜食が終わり、しばらく4人で歓談…もとい雑談をしていると、いい感じの時間になる。
ところで話は変わるけど、やっぱり普段より時間かかってるなぁ。
…『
とは言っても状況はまあまあ切迫してるからそんなにゆっくりしてるわけではないけどね。
「平和だなぁ」
「どうしたんですか?」
つい溢れた独り言にセリアが反応する。
状況的にはそんなに平和じゃない、とかは禁句である。
私が享受してる環境が平和なら全世界平和みたいなものだから……うん、今の精神状況というか、
というか自分の思考回路に疑心暗鬼になってるじゃん。
「多分今だけなんだろうし、下手したら幻想なのなもしれないけど、私は今何にも求められてないんだなぁって」
「……本当にどういうことですか?返答によっては怒りますよ?」
セリアが怒る姿を見てみたくない、といえば嘘になるけど…変に心配させるのはよくないよね。
まああんなことが有ったばかりだから。
…食事中に雑談代わりに今日の昼の大惨事をかいつまんで話した時のセリアの表情は真っ青だったからね。
いやまあ普通に考えてアリスが私を殺しかけた上に……ああなるとは思わないよね。
「そんな重い話じゃなくてね?何か…言葉にし辛いけど、縛られてない感じがしてね。平和だなぁって」
「……よくわかりませんけど、大丈夫…なんでしょうか?」
「心配させてごめんね。本当に大丈夫だから」
そんな、ふわっとした感じでセリアとの会話が終わり、アリスが作ったミニお風呂に入り……
今日も1日お疲れ様でした。お休みなさい。