『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
ドアを開けるともう一部屋あった。
何か…腑に落ちない…けどまあいいか。
奥の扉の縁に『英語』で文が書いてある。
そんなに難しい英語ではなさそうなので解読を…っと。
『“Tribution Room” Boundary of human and inhuman』
直訳は…『「試練空間」人と人でない者の境界』…かな。
格好つける、或いは作成者の意図を考えるなら……
「『試練の間』~人類と異形の境界線~」
みたいな感じ?わからないけど。
「ハナさんは読めるんですか?」
「え、あ、うん。英語っていう元の世界で使われてた言語だから」
「……この“Room”が間…つまり空間とかの意味?…なら……」
アリスが有り得ない精度で分析し始めるので後で教える約束をして中に入る準備をする。
まあ、開始前に詠唱を済ませちゃいけないなんてルールはないしね。
「皆も今のうちに色々準備しといたほうがいいよ?」
それだけ言うと、私は長い詠唱を始める。
「此処は私の望む世界ではない…」
「ならば此処を我が世界へと変化させる…」
「科学よ!論理よ!私のために…」
「
「そして今を以て此処こそが…」
「欺瞞でも仮初めでもない…正真正銘私の世界!」
「
「科学と狂気に紐解かれる
「『
まずは私の代名詞的魔法になりつつある『
文字通り『私の世界』を作り上げる魔法を発動させる。
それじゃあ次だ。
「太古より築き上げた物を見よ」
「あらゆる場所での発展を見よ」
「現代にも残る才能を見よ!」
「それら全ては『人類』の残してきた足跡であり…」
「現代に生きる私達が敬うべき物である!」
「原初の世界より眠りし未知よ…」
「過去の偉人により解明されし既知よ…」
「今を以て此処こそが知識の披露宴の舞台である!」
「無知蒙昧たる愚か者よ…」
「偉大なる歴史と無限の未知に溺れて沈め!」
「『
空中に魔導書を浮かばせ、図書館をここに降臨させる。
でも図書館は一冊だけでは図書『館』にはならない。そうでしょ?
「天からもたらされる罰を知れ」
「地から這い出る罪を知れ」
「天の罰と地の罪を重ね…」
「私は天地を統べる!」
「『
天と地を記述するその魔導書を顕現させる。
「地にて蠢く呪いよ」
「天にて渦巻く呪いよ」
「愚か者へと降りかかる災いよ」
「代償を捧げ今、この世に顕現せし邪悪を見る!」
「『
邪悪なるものと、それに相反する聖なるものについて記述された魔導書を出現させる。
『世界』は……何故か使えない。
というか使おうとしても詠唱が出てこない。
きっと書かれていない何かしらの制限があるのだろう。
『代償』は効果時間が秒単位だからこんなタイミングで使ってたら戦闘開始数秒で効果が切れる。
そうね……一応見落としがないか、この2つの魔法の効果を再確認してみるか。
──────
『
相手を強制的に半径a[m]の空間に自分と供に収容する。空間の中は自分の記憶にある場所を再現でき、ある程度ならば改変できる。相手がこの魔法を破る際は使用者が消費したmp分を消費する必要がある。また作り出す空間は使用者がよく見知った空間でなければいけなく、そうでない空間を作ろうとすると作成されない。またこの魔法に適した詠唱をすることで威力や作る世界の詳細を再現できる。一端空間を構築してから新しく構成物を増やす際は追加でmp50を消費
使用時は最大hpの50%を消費。
使用中は経験値の取得量が激減する
使用中はmpの自動回復がなくなる
解除後3時間【
解除後6時間mp以外の全ステータス半減
解除後12時間最大mpが4分の1になる
解除後24時間で再使用可能
消費mp:a^3÷10
───
────────
『
mpを消費し最大6冊の魔導書を顕現させる。
それぞれが異なる権能を持つ。
又、顕現させた魔導書を破壊されるとその魔導書に対応した効果は消失する。
魔導書のhp、vit、耐性は使用者のステータスの10%
1:『愚者』
使用条件:残存mpが最大mpの1割を切る
効果:支配可能呪祟濃度+1、hpの全回復
神域、呪域の調整範囲拡大
消費mp:残存mp全て
2:『天地』
使用条件:『愚者』が顕現している
効果:『
物質を創造する際の消費mpが2倍になる
3:『代償』
使用条件:『愚者』が顕現している
効果:str、vit、dex、aglをn倍にする
1÷n時間後に強化したステータス全てがn時間1÷n倍になる
4:『邪悪』
使用条件:魔導書が2冊以上顕現している
効果:支配可能呪祟濃度+1、支配可能呪祟範囲拡大(極大)
消費:顕現中の神域の発動不可
5:『世界』
使用条件:魔導書が3冊以上顕現している
『
効果:『
6:『創造』
使用条件:『愚者』『天地』『代償』『邪悪』『世界』全てが顕現中。
『
『
残存hpが最大hpの1割以下。
残存mpが最大mpの1割以下。
『秘神』への宣言。
効果:『秘神後継者・1-』発動、全hp、mpを回復、支配可能呪祟濃度+5、支配可能呪祟範囲拡大、『邪悪』の神域使用制限解除。
『秘神後継者・1-』:半径100m以内にある全物質に恐怖、毒、凍結、炎熱の状態異常を付与
────────
……うん、多分見落としはないね。
…予め全ての魔法の詠唱をし、出来る限りポーションを飲み最後の準備を整える。
「アリス、セリア、ラスティリア…準備はいい?」
何かが今までと違う。そんな悪寒がしたので皆に確認をとる。
「……ハナに合わせる」
「問題ありませんね」
「境界を破る準備は出来ましたよ!」
…ならば。
……私は意を決してその境目となる扉を開く。
扉を開けて目に飛び込んできたのは今までのボス階層とは全く違う光景だった。
そこは開けた草原の戦場であり、数多の朽ちた刀が辺りに突き刺さっている。
風で破れかけの旗が揺らめき、遠くでは火が昇っている。
何処からともなく悲鳴と怨恨の声が響き、空を見上げると鬱蒼とした雲で太陽までの視線が遮られる。
だが、それらはあくまで唯の背景だ。
この場に君臨し、この戦場を支配するのはたった一人の人物に他ならない。
その戦場の中央で目を閉じて私達を待っている。
そこにいるのは刀を装備している一人の武士だった。
ゴブリンのように異形ではない。
地竜の様な幻想感はない。
機械のような不気味さはない。
デュラハンのような巨体でもない。
ここの階層の主は正真正銘『人間』だ。
だけど…他の主と比べ物にならないくらい強い。直感的にそう感じる。
万が一何があっても大丈夫なラスティリアを先頭に恐る恐る、ゆっくりとそれに近付いていく。
「──『
人間の肉声の様な声がするとともに、恐らくさっきのデュラハンモドキの強化版のそれが使われ……
「なっ…!」
当然の権利の様にラスティリアの首が飛ぶ。
ラスティリアは自己修復でどうにでもなるけど…これが普通なら私達の誰かが即死していた。
更に言えば、今の太刀筋はほぼ最初と最後…振り始めと振り終わりしか見えなかった。
……これを倒せとか難易度高いなぁ。
それに死んでもセーブもロードもできないわけだからね。
ラスティリアが修復を終えるまでの数瞬でそんなことを考えつつも、武士が居合いの構えを解除し、普通の戦闘態勢になるのを確認する。
それじゃあ本格的に戦いを始めようか!