『少女世界攻略記録』   作:100110110011(2)の民

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148◇『征討六連撃』

 

「──連撃(レンゲキ)』」

 

 

…即死を秘めた連撃が、来る。

 

 

即死の攻撃の一段目。

上から振り下ろされる刀に対して私はラスティリアの【多重領域生成(バリアメイク):絶対防護要塞(マスターを守れ)】を真似して防護壁を複数重に創る。

だけどそれが模倣だからか、それとも原理を良く知らない物だったからか、それは一撃を防ぐのみで役割を終える。

 

即死の攻撃の二段階目。

振り下ろされた刀を裏返し斬り上げるその攻撃に対して私は即興補完魔法『テレポーテーション』で対応する。

移動距離は僅か1mにも満たず数十cm。

それだけの移動距離でも残りmpの4割程度を消費する。

 

即死の攻撃、三筋目。

素早く突き出される刀に対して私は…500,000を超える圧倒的なaglをフル活用して横に避ける。

だがaglが500,000もあるのに、だ。

音速を超える回避をしたのにも関わらず私の右手はきれいに裁断される。

そしてその無茶な回避が祟り姿勢が崩れる。

 

即死の攻撃、四太刀目。

避けた私に合わせる様に振るわれた剣を私は残りのmpほぼ全てを使い『テレポーテーション』で避ける。

これでmpもほぼなくなった。だけど…

 

即死の攻撃、五回目。

斬り上げる形で私に迫る剣を無理矢理にでもいいので透かす。

これがaglの暴力。スピード イズ パワー!

まあ左手が吹き飛ぶんだけど。

待って、アリス達やラスティリアも攻撃を食らい始めてる。

ラスティリアも中破してるしアリス側もセリアが攻撃を食らって回復が追い付いてない場面がある。

…急がなきゃ。

 

即死の連撃、最終章。

正々堂々と振り下ろされるその太刀を前に私は万策尽きる。mpもないしaglの暴力をしようにも体制的に不可能。

だから、この攻撃を利用して、最後のピースを完成させる。

そのために私は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『死帯享楽(ファイナル・リゾート)』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦場にいる誰もが気付く、いや。気付かされる。

その少女が纏う空気が変わる。

 

即死の六連撃を放ち、状態異常に蝕まれ消耗している将軍も。

 

将軍の勝利を疑わず目の前の相手と斬り結ぶ側近も。

 

乱射され、宙を舞う銃弾を潜り抜けその発生源へと近付く雑兵も。

 

そして、少女の仲間、相棒、『親友』も。

 

その場に存在する全物質が。

 

纏う空気が、纏う雰囲気が、纏う世界が変わる。

 

5冊の魔を導く書物が所有者の、支配者の危機に共鳴する。

秘された6冊目、呪われた秘導書が『世界の展開』と『核の死亡』を検知する。

 

永年秘され続け、隠され続けた禁断の聖書は今、解禁される。

 

彼女は歌う様に紡ぐ。

その場にいる誰もがその背後に秘された者の『それ』を悟り、誰もが口を挟めない劇場が完成する。

 

「其方は世界の亡骸を知っているか」

 

「私はその絶望を貪り味わう」

 

「其方はその秘された物語を知っているか」

 

「私は禁じられた物語を紡ぐ」

 

「創世の神は秘され、彼の断章は灰塵に帰す」

 

「異世界からの使者は今ここに、世界を証明す」

 

 

 

 

 

 

 

 

「『創世の禁書(アヴェスター)─『創造』─』」

 

 

 

 

 

 

 

叡知の図書(グリモワール)』ではなく『創世の禁書(アヴェスター)』。

叡知の集積体ではなく秘され、隠され、封じられた神話。

その神話には何も記されていない。

そこにあるのは永劫の虚無のみ。

 

ならば、だからこそ、彼女は紡いでくれる。

 

両腕を喪失し、魔法の源も切れ、満身創痍だった少女の姿はどこにもない。

両手両足を携えて、以前と比較にすらならない程の濃度を誇る呪祟を引き連れ、全物質へと恐怖と、灼熱と、凍結と、猛毒をばら蒔き再臨する。

 

 

 

ふむ。一通り自身の性能を確認してから思う。

…最初からこれが使えればいいんだけどなぁ。

でも条件に『秘神への宣言』がある以上恐らく許されない。

私が万策尽きてそれでも最後の足掻き…にしては強すぎるけど、をする時だけ使える…と思う。

 

それに『叡知の図書(グリモワール)─『代償』─』の時間制限も後1分を切った。

 

本格的に急がないと。

確かにこの状態は強いけど、ステータスはほぼ変わらない。

つまり将軍の攻撃を一撃でも受けたら死ぬ事は変わらない。

 

まあもう喰らう予定もつもりもないけどね。

 

「──『征討(セイトウ)──」

 

私の異常な状態を察知したのか体力を消耗してでもここで決めきりたいらしい。

 

「──無尽(ムジン)──」

 

ここに来て新技!?

でも『征討』ってついてる以上『征討六連撃』の変化版でしょ。

なら無尽は…無尽蔵。

つまり将軍の体力が切れるまで、無限に続く…ってことか。

さて、相手の体力が先に尽きるか、私の強化の時間制限が先に来るか。

 

残ってるリソースを全て燃やして燃料にしてお互いがお互いの命を磨り減らす僅か60秒足らずの戦いを始めよう!

 

私のmpは『純白の十字教会(イノセンス・クレルモン)』の貯蔵量も含めれば110,000ちょっと。

 

そして『叡知の図書(グリモワール)─『世界』─』のお蔭で『追憶の世界(ロスト・ワールド)』関係の消費mpが1割、『叡知の図書(グリモワール)─『天地』─』で倍増だから…つまり平常時の5分の1。

つまり550,000分支えるわけだ。

それに加えて支配可能呪祟濃度が11。

 

「──(ゲキ)』」

 

なるほど、手札の整理は終わった。

さあ、戦闘と洒落混もう。

 

「──一之太刀」

 

「呪祟濃度11!」

 

呪祟を固めて物質化させ刀にぶつける。

呪祟。それはこの世界に本来存在しなかった筈の理であり、私の性で作られた概念でもある。

そんな呪祟を使いそれを弾く。

 

「──二之太刀」

 

「模倣:【多重領域生成(バリアメイク):絶対防護要塞(ラスティリアウィル)】」

 

相棒の、ラスティリアの力を借りて刀を防ぐ。

《永鎮》にて出会った一人の機械にして少女。

このメンバーの中では一番付き合いが短いけれど、一番私と『似ている』存在。

そんなラスティリアの力を借りてそれを防ぐ。

 

「──三之太刀」

 

「模倣:『聖壁創造(ホーリーエリア)』!」

 

仲間の、セリアの力を借りて即死を致命傷に、致命傷を無傷に変え、斬られても一瞬で回復させる。

私がこの世界に来て初めて会った、そして初めて命の危機から救ってくれた少女。その『救う』という行為は昇華され、終には【救聖女】という職業を得る。

そんなセリアの力を借りてそれを受ける。

 

「──四之太刀」

 

「改造模倣:『魔術-5-5-4(氷虚像)』!」

 

即死ならば当たらなければいい。

『親友』の、アリスの魔術を借りて刀を透かす。

私の唯一無二の『親友』にして『天才』であるアリス。

私にとってこの不思議と魔法が存在する世界の代表者であり体現者。そんなアリスの力を借りて幻惑を生み出す。

まだ反撃の機会は来ない。

 

「──五之太刀」

 

「『恐慌の神縛(カースド・テラー)虚弱(フェイク)』!」

 

秘神の恐怖を右手の一点に当て、太刀筋をずらす。

私が体感し、私が再現した。秘神の物でも、他の誰の物でもなく、正真正銘私の『魔法』。

そんな力を使い即死の一撃を不発に終わらせる。

 

……今!

 

「即興補完魔法『空間切断』!」

 

…前回、魔銅との戦いの時はmp不足と想像力不足で効果を十全に発揮できなかった『空間切断』だが今回は足りない想像力をmpで補って無理矢理具現化させる。

その性でこの状態でもmpを30000使う魔法になってる。

 

そして十全に効果を発揮したということは、だ。

将軍は左肩から右腹部までを綺麗に袈裟斬りにされている。

 

だがまだだ。まだ終わっていない。

 

「──六之太刀!」

 

先程迄に比べても無理をしているのか語尾に気迫が滲む。

 

「呪祟濃度11!」

 

一太刀目で振り下ろし終わった呪祟の塊が漸く近くに帰って来たので活用する。

 

「─七之太刀!」

 

本来の『征討六連撃』を超え、七回目を迎えた即死の攻撃。

最早将軍は元の見る影もなく鎧は崩れ、全身から血が流れ、そして所々から骨も覗く。

 

この状況でも立っていられるのは一重にこの…彼の精神力のお蔭だろう。

 

「『テレポーテーション』!」

 

その攻撃を透かし、反撃をいれる機会を得る。

何をいれる?何が効果的?

状況異常は…これ以上効果あるのかわからないからだめ。

なら…

 

「即興補完魔法『エクスプロージョン』!」

 

なら私が取る選択は体の内部の爆破。

 

「八之太刀!」

 

体が内部から爆破されても行動する。その執念には敵ながら感銘すら覚える。

でも私も死ぬ訳にはいかない。

私には『親友』が、仲間が、相棒が…そして、世界が待っているから!

 

「即興補完魔法『重力増大』!」

 

重力を増やし太刀筋に影響を与えるとともに本体へのダメージも増やす。

 

 

「九、之太刀!」

 

だが止まらない。

なら…私はありったけのmpを注ぎ込みそれをもう一度、だけど前とは違うそれを発動させる。

 

願うは死ではなく休息。長きに渡りこの階層を守護し、戦いぬいてきた一人の(つわもの)に永き休息を。

縛りつけてきた生から、憩うべき死へと。

 

 

「『死願の生縛(アブスティエンス・ノーマル)』!」

 

それを、生からの解放を願い、死への安息を促す。

そんな魔の法を受けてもなお、将軍は生きようと、活きようと足掻き続ける。

 

だが──

 

「十、之…太……」

 

───将軍がそれを言い終わる事はなかった。

 

「将軍の首、討ち取ったり……なんてね」

 

 

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