『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
「将軍の首、討ち取ったり……なんてね」
戦闘が終わって、ふと周りを見渡すと将軍の死とともに他の兵士も消える。
夏草や 兵どもが 夢の跡
松尾芭蕉が詠んだその歌の意味が今ならわかる気がする。
感傷に耽っていると何処からか聞いたことのある声が聞こえてくる。
《その男は一人の人類として最高峰に位置し、一騎当千の力を持っていた。英雄とも崇められた。されどそれが限界だった。幾ら『心』の持ちようを変えた所で圧倒的な異形に、魔法の前に、兵士達は倒るるのみであった》
《諸君等は恐らく『異形の力』…『魔法』を使ったのだろうが…武力において、私達の文明の力量を越えた、ということだ。今後もそれを誇りに進んで欲しい》
そうアナウンスが、……
「…何が入ってるんでしょうね」
「……ハナ、開けてみて」
「…マスター、疲れました…」
皆それぞれの理由があってそのアナウンスを無視…ではなく意図的に触れない。
セリアは…触れてることの重大さに気付いて。
アリスはこれを考えた…天整統霧生の気持ちを察して。
ラスティリアはこの後の結末を知っている、そしてその時代に作られた者だからこそ。
皆に習い、私もそれには触れずに宝箱を開ける。
錠前はかかっていなかったらしくカチッと音を鳴らしてその蓋が開く。
中を覗き込みそれを取り出す。
その中に入っていたのは『杖』、『剣』、『銃』……そして『塊』だった。
「アリス…これなに?」
「……貸して…『鑑定の心眼』」
そしてその鑑定結果を教えてくれる。
─────
『科魔混合の双方杖』
mp貯蔵:0/20000
【科学式転移術式】
【魔法式詠唱術式】
─────
─────
『新法技巧の双方剣』
str+100
dex+100
agl+100
【科学式瞬間火力実現】
【魔法式瞬間防衛実現】
─────
─────
『未来理説の武装銃』
【科学式殲滅変化】
【魔法式高速変化】
【科魔混合型変化】
─────
─────
『滅亡英雄の既死魂』
【希望之星】
【科学叡知】
【詠歴継承】
─────
何となく…というか流れで…
セリアが杖を。
アリスが剣を。
ラスティリアが銃を。
そして私が『それ』を手に取り…それぞれ装備する。
私は装備出来る物でもないので『
すると突然それ…クレルモンが光る。
手に持っていたそれと共鳴し…あ、何かくっついた。
え?なんか双剣になったんだけど?
アリスがまた何かやらかしてるよ…みたいな目でこちらを見る。
これ私が悪い?
─────
『
可変式『イノセンス』と『クレルモン』、そして『滅亡英雄の既死魂』を組み合わせた武装具。『鍛治王』『武具王』『調剤王』『祈祷王』【大賢者】、科学文明の叡知の技術を組み合わせて作られた。
効果:鑑定隠蔽大 鑑定偽装特
mp貯蔵0/10,000(偽装表示)
持ち主固定
mp貯蔵0/100,000
str+100
agl+100
支配可能呪祟濃度+1
持ち主固定
【希望之星】
『征討六連撃』を発動可能に。
※strとaglが1000に満たしていない場合使用不可
【科学叡知】
剣先を科学由来の水晶を用いて変形可能にする
【詠歴継承】
《詠歴》101階層に行くことが可能になる
注意:『災終英雄』ヴォルテラスと『成長概念』天整統霧生に認められていない者が触れると150/[s]ダメージを受ける
─────
…へぇ…あれの名前ヴォルテラスって言うんだ。
後久し振り?にステータスを…ってレベル上がってないからいいや。
っていうか気付いたら『
いつの間に…ってあれ?『
aglが効果時間を過ぎたのに減少しない。それにstrとvitも元に戻ってる。
……あれ、『
というかレベルが本当にあがらない。
いや、いつも強敵相手には『
やっぱり、あれじゃん。
何かレベリングしたくなってきた。
まあ少なくとも明日以降にね。
「…帰りましょうか」
「そうですね…流石に疲れました……」
一応51階層に顔だけ出して転移可能にはしておこう。
流石にこんな試合を何十回も、っていうのは絶望だからね。
「セリアのあれ…『杖』はどんなの?」
「えーと、ですね……mp貯蔵、は良いですよね。ハナさんも持ってるクレルモンと同じです。容量は少し少ないですけれど」
…そうね、それはわかる。
というかこの場合この杖が少ないんじゃなくてこのクレルモン…『
「【科学式転移術式】は…まあ、そのままです。というかハナさんも使えますよね?」
使える?…ああ、即興補完魔法『テレポーテーション』か。
「確かに使うけど…あれはmp効率死ぬほど悪いし…」
実際どれぐらいかって、言われると…1m足らず…まあほぼ1mでも消費mpが万単位、ってぐらい。
まあ…うん、本当に悪い。
「そうなんですか…私の場合は事前に準備しておけばほぼ消費なし…みたいな感じですね」
ほー、便利なこと。
「こうやってですね…」
そう言ってセリアは杖を両手でかかげて、びしっ!と手を伸ばして宣言する。
「【科学式転移術式】…『装天』!…と言うと、一回分補充されます」
「かっこいい…でいいの?というかなら半無限に転移が……」
「流石にそこまで都合よくはありませんね。…最大でも32回分までしか貯められないですし、『装天』できるのも1時間に一回までですから」
「それでも、基本無制限で転移出来るのは強いよね」
「あと距離制限が5m…というのもありますけど、それは短距離用ですから仕方ないです?…ハナさん、どうしたんですか?(・-・)みたいな顔していますが…」
1mですらmp的にギリギリなのに『5m?まあ少ないけど妥協でしょ』的なことを言われたからだと思う。
「…ま、まあ…そ、そう。もう一個の【魔法式詠唱術式】は?」
「…気になりますけど、触れないでおきましょう。【魔法式詠唱術式】は…あ、あれです。ハナさんもよくやってるじゃないですか?あれと似てますよ」
私もやってる…詠唱?
即興補完魔法的それ?
「『
「それですそれです。似ていますけど…微妙に違いますね。……折角なので秘密にしておきます」
およ?
「まあ確かに言わなきゃいけない義務はないけど…意外」
「ハナさんみたいに奧の手を持っておきたいですから!」
珍しく現れたアグレッシブセリアに驚きつつも、納得。
…というか私の奧の手ってなに?
『
……あれは奧の手っていうよりは禁じ手とか最終手段感があるんだけど。
あ、ちなみに『
…100,000以上hpあるのか。
「ラスティリア……は、いいや。…アリ──」
「いいや、って何ですか!いいや、って!ラスティリアちゃんが自分の新武装を解説するんですよ!?」
……。
「アリ───」
「ごめんなさい、調子のりました。マスター、話させて下さい……」
「まあいいか。で、どんなの?」
「何で私が謝ってるんでしょうか……そうですね…」