『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
◇
『無限迷宮』…改め《詠歴》から出て昨日の宿にむかう。
色々と疲れたのかあのラスティリアすら無言で帰路につく。
今日は4人用の部屋が空いているとの事でその部屋に変えて4人してベッドに倒れ込む。
「今日は疲れましたね……」
機械に疲れってあるの?
…ラスティリアなら普通にありそう。
「まあでも偶にはこういうのも悪くないんじゃないですか?」
…まあそうだけど…出来れば命の危機はないと個人的に嬉しい。
ほら、私平和主義者だし。
「………こんな日が永遠に続けばいい……のに…」
アリスがそんな事言うなんて珍しい。
てっきり
「…明日に備えて寝る…」か「……お疲れ…」みたいな感じかと思ったんだけど…
「……ごめん…」
それはアリスからの私に向けての謝罪だった。
私はいつか帰らなきゃいけない。だから『永遠』は成し得ない。
それに気付いての謝罪だと思うんだけど…
「気にしなくていいよ…私も『永遠』に続いて欲しい…って思っちゃったから」
もしも物語が、物語があるなら…ここが、今日が一つの章の区切れ目になるんだろう。
それ位には重い1日だった。
『無限迷宮』を50階層まで1日で駆け
言葉で表すなら僅か一行で完結するその行為。
でもその難易度は山よりも高く海よりも深い…なんてね?
そんな詰まらない洒落しか考え付かない位には疲れてる。
「…『無限迷宮』これ以上は進むのは当分無理ですよね?」
話を変えようとセリアが話題を振ってくれる…けどあんま話変わってない。
「そうだね…だから当分は『永遠』が叶う…面倒な考え事は後回しでいいし」
実際あんな調子で続くなら51~59はいけたとしても、60は確実に無理。
というかそもそも51~59も無事に行けるかわからない。
なら嫌が応でもアリスのいう『永遠』は続くね。
「……そういうの、よくない…けど……」
「けど?」
……その考えが良くないのはわかる。
先伸ばしにすればするほど辛くはなるから。
「…『ハナの願い』と『永遠の生活』、そのどちらも叶える方法があるかも…しれない?」
「それはどんな方法ですか?」
セリアが若干食いぎみに聞く。
そんなに私に帰ってほしくない、と考えればすごく嬉しいけど、それが勘違いで、アリスからその方法を聞いて、出来ないように封じる…とかだったら私は号泣する。
号泣してアリスにすがりつく…のは見栄えが悪いから、セリア…のとこにいけず、多分引きこもる。
「…ハナの世界とここ、その2つを自由に行き来出来る様にすればいい…」
「それはそうですけど…マスターの世界は『科学』しかなかった訳ですよね…下手しなくても数百年単位で時間が必要ですよ?」
「…でも可能性は0じゃない…でしょ?」
まあアリスの言う通りではある。
やる前から不可能と決めつけるのは良くないよね。
「それにマスターの世界に魔法を持ち込んでもいいわけですしね!」
いや、それは流石に不味いと思う。
…元の世界に戻ったら『ステータス』とか魔法はどうなるんだろう。
帰ってもこれらが残るならそれはそれで面白そう…というかバグりそう。
体育とか本当に楽になるからね。
『
◇
そんな感じ緩く今後の話をしていたら皆寝てしまった…
……筈なのに、私は深夜に目が覚めてしまった。
どうしよう…疲れてた筈なのにあんま眠れない。
何となく思い立ち、私は宿から出る。
持ち物はいつもの無限収納バックだけ。
まあ正確に無限かは未だにわかってないんだけど。
まあ暫定無限ってことでいいよね?
それにしてもこれ最初期に手にいれるものじゃないよなぁ、本当はラストバトル前とかある程度物語が進んでからだと思うんだけど……まあいいか。
あって損するどころか得しかしないわけだし。
そんな事を考えながら私は宛もなく歩き回る。
ちなみに弱い雨が降ってるので傘……の代わりにカッパ的なのを着てる。
異世界物だとよくこうやってふらふらしてるとチンピラとかに絡まれたりするんだよね。
でもこの世界はトラウィス王国の治安がいいからなのかそんな事はない。
多分アリスとかが頑張って政治ってるからだよね。
とある白銀の夜下がり、暇を持て余した少女は夜雨の街に繰り出す…
何かの童話の始まりっぽくない?
気付けば宿から大分離れた…街の外れに着く。
『無限迷宮』からも反対の方向なのでほぼ人がいない。
段々と家…家屋が減っていく。灯りも疎らになり、人影は消え、夜の闇が当たりを支配する。
あれ?あそこにいるのは……
「そこの一般通過教皇!こっち来てくれない?」
周りに教皇サマ以外の人影も見えないので遠慮なく
「な、なんでこんな所に…?」
「まあそれは諸事情があって…あ、何か情報とかある?」
「あ…そ、そうなんです、それを伝えようと王都の方に向かってたんですよ」
そう言って教皇は私に巻物を渡す。
巻物……
「すみません、ちょっと急用があるんで帰らせて貰います。ご免なさい…」
そう言うと教皇は直ぐに帰ってしまった。
折角もう少しお喋りしようと思ったのに。
それにしても前と比べて大分話し方が柔らかくなったなぁ。似非奴隷教皇は卒業かぁ。
再び暇になったので渡された巻物を開く。
巻物って何か忍者みたい…だ……な………?
その中身は地図だった。前回貰ったのより範囲は広がってないが、大雑把な標高や海の深さ、そして森等の地形が書いてある。
そこまでは完全に予想通り。
時期的にそろそろ来るかな、とは思ってた。
何か引っ掛かる。陸の形…?
それもそうだけど何か違う。
なら何が…?
もう一度詳しくその地図に目を通す。
…?
またしても違和感を感じる。何が…?
この『違和感』は逃しちゃいけない気がする。
地図を見つめて目が疲れたので空に視線を上げる。
うん、何日か前にも見た通りに静かに輝く3つの月やオリオン座に似た星座が見つかる。
そうね、前回と同じでベテルギウスの部分が…?
『ベテルギウス』が欠けてる?
ベテルギウス、それは私が元いた世界であった恒星。
それは近い内に爆発して『失くなる』と言われてた星だ。
それがない?
…もしかして。
私は最悪の可能性に思い当たり、地図に視線を戻しこの付近で一番高い場所の標高を確認する。