『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
19◇王城に拉致されながら暮らす平和な日常
◇◆ハナ視点◆◇
……よく寝た?
いや、これ全然寝てないな。
帰ってきた時間的に4~5時間位しか寝てない。
まあでも学校に行くか…今日は…数学が多いなぁ。
元の世界でも数学嫌いな人多かったけどここでも多いのかな?まあいいや…
私としては点数取りやすいし好きなんだけど…
まあ面倒なのもわからなくはない。
でも個人的には古文やら漢文の方が面倒。
覚えればできるっていうのはわかってるんだけど…ね?
どうしてもその『覚える』作業が面倒。
古文は百歩譲って日本の昔の文化を学ぶっていう側面があるからいいよ?
でも漢文は何でやるのか本当にわからない。
これで中国とかにいった時に使えるならいいよ?
でも現実は中国語の古語だから実用性も皆無だし内容が知りたいだけなら誰かが翻訳したものを読めばいいじゃん。
当時書いた人の情緒を大切に!みたいな意見もあるかもだけど…
どうせ数千年前の言語を完璧に理解出来る訳じゃないんだから無理でしょ、って思う。
まあそんなこと言っても帰れなければ何の意味もないんだけどね。
眠い目を擦りながら学校に向かう。
学校…まあ正式には学院らしいけど学院だとお嬢様が行く様な場所に思えるし私に合わない気がするから学校でいいよね。
…でもセリアさんとかアリス様とかいるしお嬢様がメインだから学院で正解なのでは?
まあ私は一般庶民だから学校で十分。
さて、学校の授業が本格的に始まった。
色んな分野の勉強が急に始まって混乱しそう。…え?授業中に何でこんなこと考えてられるって?そりゃあ数学が(今は)簡単(元の世界でやった)だから…そしてその結果が…
……数学の授業は暇だなぁ…えっと…何々?
『x^2+y^2=4として2x+3yの最大値最小値を求めよ』
…えーと、黒板(もどき)の解法は…2x+3y=kと置いてこれをyについて解いてそれをx^2+y^2=4の式に代入…それからでてきたyの二次方程式が実数解が持つ条件を考えるために判別式を考えて2x+3yは-2√13から2√13を取る。
…ふーん、計算面倒。
これもっときれいな解法あるのに…教科書の先の方を見て…良かった。ベクトルあるよね。
というわけで折角異世界に来たんだし少し位イキって行こう。
じゃあ…
「先生。これもっと楽な解法あります」
先生が発言を許可してくれたのでベクトルでの別解を懇切丁寧に教えた(つもり)。生徒の反応は…アリス様とセリアはわかってるっぽい。他の生徒は…2、3割わかってるかな?
まあベクトルは未習範囲だから当たり前。
寧ろ理解してる勢が怖い。
あ、先生、もう大丈夫です。
授業荒らしちゃってごめんなさい。
これからは善処していくので。
◇
平和的に授業が終わった。まあこの後の予定が微塵も平和的じゃないけど。
「…行くよ」
…あ、アリス様。もう行かなきゃだめですか。
もう少しセリアと話しちゃ…あ、ダメ。やっぱり?
…え?割と重要な話がある?だから早く?
可及的速やかにと言われたので仕方なくセリアとの話を切り上げて今日も今日とて王城に行く羽目になる。
…今日は早めに帰れるといいなぁ…(遠い目)
異世界にまで来て睡眠不足で倒れるとか洒落にもならない。
◇
はい、此方王城です。そして目の前には国王がいてその横にアリス様がいます。
…落ち着いて考えたら異世界に来て…数日で何度も国王に会うっておかしくない?
いや、でも俺TUEEE系の小説だと王城に召喚されるからそう考えると割とあり得るのかな?
…でも俺TUEEE系なら異世界に来て数日で何回か殺されかけなくね?…いや、まだワンチャンある(震え)
固有魔術も色々あるし
それに宮廷魔術師にもなってる。これだけ見れば完璧にチートで無双する系の主人公でしょ。
…え?固有魔術はしょぼいのが多い?
呪域は扱えてなさすぎる?
無双系なら宮廷魔術師の第六席じゃなくて第一席?
何ならアリス様の方が主人公っぽい?
何言ってるかわからないなぁ(すっとぼけ)
さて、軽く一人漫才をしている内に国王サイドの準備が終わったっぽい。
「これから色々説明するがその前に聞きたい事はあるか?」
聞く機会を与えてくれるのは優秀な国王。
貴族…もしくは王族だからって傍若無人に振る舞われる可能性も高かったのに。
まあ折角機会を得たわけだし何かしら聞いておくか。
って言っても気になるのは私自身の仇であるセルグヌについて聞かないと。
それにしても自分の仇って情けない表現だなぁ。
「まず(私と)アリス様を襲った『セルグヌ』って何ですか?」
「…まあ、普通はそこからだよな。セルグヌと言うのは我が国の南西部の一部を不法に占拠してる一族の事だ」
「昔は武に長けた一家として有名だったセルグヌ伯爵が治めていたのだが5年前に代替わりした際からきな臭くなってきて、半年前位に宣戦布告…とまでは言わないが挑発行為をしてきてな…それでいつ来るかと身構えてはおったがまさかこんな直接的な手で来るとは思わなかった」
…成る程。で、アリス様の様子を見る限りその戦い?に私も連れてかれる、と…まあ急に宮廷魔術師第六席に就いた私をアピールするというか認めさせるって意味合いだろうな。
ちょっと待てよ…そもそも私は『人』を殺せる?
…あ、いけそう。だってセルグヌってあれでしょ?
私を殺しかけた人達でしょ?
それにちょっと前までならわからないけどここは異世界だし、最悪元の世界に帰っても殺人罪には問われない。
それにそもそも魔法とか魔術とか使える時点で地球に蔓延るホモサピエンスと本当に同じかもわからないし。
…まあその理論で行くと私もホモサピエンスから外れた可能性があるけども…。
まあ兎に角、①殺されかけた復讐に②異世界だから③もしかして人じゃない?っていう理由で殺せそう…つまり戦争?に参加できそうってことだね。
…こんだけ無駄に考えてセルグヌとの争いに私が連れてかれなかったら…又は連れてかれたとしても話し合いとかの平和的な手段で解決しようとしてたら何とも言えなくなる。
「それでハナにはセルグヌとの紛争に参加してもらいたいんだが…」
「あ、勿論です」
即答してしまった。そういえばもし殺す相手…何か(仮にも女子─15歳はまだ子供だよね?─が)殺す殺す言ってるの嫌だなぁ。
でも言い方変えるのもなんか良い子ぶってるみたいでなぁ。
……改めて、そういえばもし倒す相手がセルグヌじゃなかったらどうだろう…?
流石に忌避感があるな…まあ元の世界だったとしてもナイフで思いっきり刺された人には(実行するかは別として)殺意は湧くだろうし逆に見ず知らずの…例えばそこら辺を歩いてるサラリーマンとかに殺意を抱けるかって言うと難しい話だしもし簡単に抱けるなら犯罪者予備軍だしなぁ。
まあ、そう考えると元の世界よりこっちのほうが命が軽い…。
いや、待てよ。元の世界でも(父親曰く)会社の奴隷として死ぬ(倒れる)まで働かされてる人が沢山いるとか…それも法律の抜け穴とかを上手い感じに抜けるから咎めにくいとか…そう考えれば命の軽さは同じ位では?
まあ流石にそれは冗談だけど実際元の世界でもアフリカとか中東の一部はしょっちゅう内戦なら何やらで人の命は軽いからなぁ。
こっちに来て少しはその地域の人の気持ちがわかった気がする。今まではあんまり発展途上国とか気にかけてなかったから元の世界に帰ったら今までよりもう少しテレビのニュースとかを真面目に見よう。
…そんな感じで今までの行いを反省していると…
「意外だな。もう少し悩む物だと思ってたが…まあよい。取り敢えず明日出発だ。食料とかこっちで負担するが大分質素な物になるからそれが嫌なら自分で用意しとけ。後は…アリスが自分の部屋で聞きたいって言うからな…それじゃあな」
あ、次はアリス様の詰問ですか。
後国王さん、話し方が軽すぎない?