『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
◇◆アリス・フォン・トラウィス視点◆◇
…ハナが予想以上の事をやらかした。
まずあのaglが上がる奴…あんなに多人数にかけられるの?
それに何で分身してるの?
…ってことは…【
1:『
2:『
3:効果を他人にもかけられる様になる
4:分身を作成する
5:mpが増えやすくなる
…こんな感じかな?
まあ順番は違うかもしれないけど。
呪域とかを使うなって言ったのは自分で使用タイミングを見極められるかどうか確かめるため。
まあもしダメだったとしても私が何とか出来たんだけど。
でも流石に一人で大方終わらせるとは思わなかった。
セルグヌだけを抑えててくれれば良かったのに。
まあ過大評価よりは過小評価の方が今回は良かったから問題ない。
後は何もやんなくていいかな。
本来は色々戦略とか予備とか用意してたけど全部無駄になったし。
まあこれでハナも人殺しに多少は慣れてこっちの世界に順応してくれればいいんだけど…あ、こっち来た。
「アリス!どっか人居ないとこある?」
「…あっち…」
こっそり付いていってみると…案の定。ハナの名誉のために言わないけどやっぱりか…。
「…大丈夫?」
「大丈夫だと思う?あとご免。ウッ、────、呪域使っちゃった」
「…それは…何の問題もない…」
「そういえばアリス?何で私が吐いてる所ずっと見てたの?」
気まずい雰囲気になった。
「…ミテナイヨ…」
「…」
「第二王女様!少し見て貰いたい物がありまして」
気まずくなってたところで都合良く兵士が来てくれた。
「…わかった」
言われた通りにセルグヌの執務室と思われる所に行くとそこには様々な資料が置かれていた。
「これについてなのですが…」
そう言って渡して貰ったのは…む、…これは…
「…人避けをお願い。…今から集中する…後、ハナを呼んできて…」
貰った資料にはこんな事が書いてあった。
──────
11559年6月13日
我が領で未知の金属が発掘されたという。
大変喜ばしい事で今すぐ国王様に報告しようかと思ったがもし既知の物だったり役に立たない物、もしくは危険物だといけないので1ヶ月程調べてから報告することにする。
11559年7月8日
あれから1ヶ月程調べたが特に危険な物でもなく、恐らく役に立つ物だと判明した。名称はあれ曰く『魔銅』らしい。まあ見た目も銅っぽいしわかりやすいだろう。魔銅を加工して作った剣は切れ味もよく耐久性も高い。暫く…後1ヶ月位なら独占しても怒られないだろうか。
11559年8月31日
あの魔銅は調べれば調べる程便利な事がわかる。何故今までこんな便利な物が見つかっていなかったのだろうか?これがあれば世界が変わるぞ。今は魔銅を自分達で作れないか試している。名前と見た目から銅から作れないか試行錯誤している。最近何か風邪っぽい。領主たる者家来に弱い所は見せては駄目だ。しっかりしないと。
11560年2月5日
遂に魔銅を人工で作れる様になった。その方法は普通の銅と魔術を混ぜ合わせるという案外簡単な方法だった。製作行程の割に性能もとても良くこれからの時代は他の金属なんて要らないかもしれない。この魔銅が有れば国を起こせるかもしれない。
11560年3月1日
最近自分がおかしくなっている。意識がはっきりしないことが多い。それに意識がはっきりしている時は吐き気が凄い。もう大人だと言うのに何回も吐いている。医者にも見てもらったが体に異常はないらしい。こういう時は魔銅を見て心を落ち着かせよう。魔銅はすごいな。
11560年4月13日
クソッ!何で今まで気付かなかったんだ!気分が悪いのも意識がはっきりしないのもあの魔銅が見つかってからじゃないか!それに気付いて家来に話したら
「大丈夫ですか?魔銅でも見て落ち着いて下さい」
と言われた。もうこの領はダメかもしれない。最近は意識のはっきりしない時間も増えてきた。1日丸々意識が飛ぶ日も出てきた。
11561年3月8日
久し振りに意識がはっきりしたと思ったらほぼ一年経っていた。この一年の間に俺が出した覚えのない政策…主に魔銅に関する増産について…が幾つも出されていた。幸いにも一年前に出していた魔銅を他領地に持ち込むなという命令は生きていた。
11564年4月1日
気付かない間に3年経っていた。武士としての直感だが恐らく次はないだろう。この状態を他に広めない様に中央のある程度重要な人を狙ってこいと側近に命令を出した。これで国が動いてこの領地を滅ぼしてくれればいいが。一応民衆には全員直ぐに集まれる様に言った。そして例え負けたとしても魔銅については話すなと厳命した。領民や家来よ…こんな事に巻き込んで本当にすまない。
そして我が領を制圧した人達よ。恐らくこれを読んでいるのはその討伐隊の長だろう。我が領の暴走を止めてくれて本当に有難う。俺が責任を持って魔銅の鉱山は落盤させ使用不能にした。ここの領民は一人残らずもう魔銅信者でもう正気には戻らないだろう。一見正気に見えるかもしれないがそれは見せかけだ。この様な事を言うのは自分でも酷だとわかってるがそれでも言わせてくれ。我が領の人を一人残らず殺してくれ。
──────
……セルグヌ…いや、セルグヌ伯爵。君は最後まで耐えていたのか…。国のためを思ってくれてありがとう。
それはそうとして…
「アリス?呼んでたらしいけどどうしたの?」
「私、今猛烈に気持ち悪いんだけど…」
「…大分あれから…時間経ったのに?」
「……そういえばどういう感じでセルグヌと決着したの?」
「えっと、確か『崩地』で足場を崩されて『魔銅剣』って奴で首を切られたから…」
え?今『魔銅』って…それに気持ち悪い?もしかして…
「…ハナ…その…魔銅…ってどう思う?」
「え?あんなに切れ味良かったし凄いんじゃない?アリスも体感してみる?」
……終わった。ん?父上から連絡?確かに遠距離でも通信できる魔道具はもってるけど緊急事態の時だけって言ってたはず…
『…どうした?』
『いや、…色んな大臣が妙に『魔銅』が凄いって…』
『今すぐその大臣を牢屋に入れといて!絶対!後直ぐに帰る!』
…やばい。トラウィス国が崩壊するかもしれない。私も早く帰らないと…
「…さっきの騎士!居るでしょ?…全員を動員してこの町を一切他の街と関与させないように封鎖して!そして全員を直ぐにでも撤退させて!それで暫く…私が良いと言うまで訓練所71に誰にも気付かれない様に引きこもってて!」
「わかりました!」
この際、中の事を聞いてたのはどうでもいい。
むしろ感謝。さて、ハナをどうしよう。大臣をどうしよう。国をどうしよう。まずはハナだ。大臣達は替えが聞くけどハナは替えがない。
治す方法は……わからないけど…魔銅と暫く関わらせなければ治る…かな。
日記を見ると依存症っぽくもなるし。
なら…まだこの紛争が終わってないことにして私の部屋に隔離しておくのが良い?そうね。
「ハナ、取り敢えず全速力で私の部屋まで行くよ…国が手遅れになる前に!」
「アリス様どういうこと?魔銅はどうするの?」
もうダメかもしれないし、もしかしたら私も手遅れかもしれないけど…
◇
ハナの『
ハナを有無を言わさず部屋に閉じ込めて一応私も中に入っておく。
あの日記に依ると魔銅が凄いと思ってる間はダメだから…『魔銅は無用の長物』と言わなきゃ扉を開けられない様にして…
まあ意味はないだろうけど、ないよりはマシな筈。
「はぁ…はぁ…どうしたの?アリス…こんなに…急いで…?」
「…いや………今回の件で研究したいことが出来て…それに…ハナも必要だった…」
我ながら苦しい言い訳だ。
それにしても私もセルグヌ伯爵みたいに日記を書くべきだろうか?…いや、ここで書いて自我がなくなったとしても誰もここを開けられないから無意味。
父上に通信用魔道具を使って少し連絡しよう。
『…父上、投獄した?』
『ああ、したが…何でだ?』
『…実は…セルグヌのとこで…『魔銅』という物が見つかって…それは人を洗脳して『魔銅』こそすばらしいと思わせる効果がある。…そしてそれを普及させようとしてくる…こないだの間者が持ち込んだ可能性が高いから…』
『成る程…ならアリスも早く無事に帰ってこいよ』
『…………………うん…』
さて、どうしよう。この状況で一番最悪なのはこの依存が時間で解決しないパターン。…魔銅はやっぱそういう意味でもすご…あ、私も駄目だな。
そして恐らくセルグヌ伯爵の使った『魔銅剣』は魔銅を浸透させる効果みたいのがあるんだろう。
その証拠に後ろのハナが「魔銅が…魔銅は?」とか言ってる。
さて、何日で終わるかはたまた終わらないのか…割りと国の命運が懸かった小さな実験を始めよう。幸いかどうかはわからないけど…割りと重症のハナとかなり軽症の私がいる。対照実験もできるし…まあ、どっちも治らないと困るんだけど…
◇
(会話の半分は魔銅に関することを話す)ハナと他愛もない雑談をしてたらハナが寝落ちした。
まあ夜ずっと走ってたししょうがない。
でもやっぱりあの魔銅は…やばい…落ち着こう。
…本来はハナぐらい頭が回ればこの状況にもう少し疑問を抱いても良いと思う。
なのに何も聞いてこない。やっぱり思考力を低下させる効果もありそう。
私も普段より頭が回ってない感じはするし…さて、どうにかできない物か…私ぐらい軽症なら最悪日常生活でも困らないけど…ハナ位だと…流石に不味い。
『調剤王』とか『祈祷王』とかで何とかできないかな?
……ん?いけるかも。
でも…材料に必要なリソース的に無理が…待てよ…異世界の物なら理論上これを満たす…よね。ハナなら何かしら持ってる…かな?
「…ハナ…起きて…」
「……どうしたの?魔銅が……ごめん、アリス…何か私…おかしい。…気付いたら魔銅の事を考えてる。アリスがここに閉じ込めたのもそれが理由でしょ?」
「!戻ってる。…今の内に…ハナ!何か異世界の物ある?何でもいいから要らないもの…」
「?まああるけど…これでいい?」
ハナが鞄から取り出したのはメモ帳の切れ端だった。
「…それで大丈夫…ちょっと待ってて…」
これを使って…『調剤王』の『
…?予想よりリソースが低い?
でも足りるから行ける!
名付けて、『反魔銅薬』が!
「…ハナ…今の内にこれを飲んで」
「ありがと…」
これで大丈夫なはず。でも『調剤王』と『祈祷王』によるあの