『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
「『
私が詠唱し終わるのと同時に私から赤と緑のエフェクトみたいのが飛び散る。
恐らくhpとmpの消費エフェクトみたいなものだろう。
予想より良かったのは、hpを消費しても『痛くない』ということ。
まあ痛くないにこしたことはないよね。
…さて、勿論変化は私の周りだけじゃない。
まず遥か上空に巨大な青い月を生み出され当たりを静かに照らす…つまり、私の周囲100mを夜に変える。
時間を変えた訳じゃない。入ってくる光の量を波長と共に調整しただけ…
って言えれば格好いいけど、まあ大体は大雑把にやってる。
そして変化はそれだけにはとどまらない。
周りの景色がまるで夜の都会のように…正確には月の光で照らされた摩天楼が大量に聳え立つ元の世界の都会の様に変化した。
ここまでをまとめると…まあ至極単純だ。
私はこの世界に日本の都会を再現した。
人工光が煌々と街を照らし、自然が人の手によって淘汰され続けたあの都会を。
会場や騎士を少し見ると反応は様々だ。
夜になったことに驚く者もいれば、謎の光を放つ巨大な物体…ビルに反応する人もいる。
そしてその混乱の渦の中、私は一人の方を見た。
その人物もやっぱり私を見ていた様で目があってお互い微笑んだ。
…訂正、アリス様はすごく悪い顔をしてた。
え、私?私は────
「…
そう言って私は右手を高く上げ…拳銃を手に取る。
ちなみに態々、
そして飛んできた氷の球に対して拳銃を撃ち込み破裂させる。
騎士といっても魔術が使えない訳じゃないのか。
まあそれもそうだ。この世界の戦争とかで魔術なしで渡り合うのは至難の業だろうしね。
さて…私の次の行動は…まあ決まってるよね。
「『
aglと…今回は普段は忘れられてる効果…dexを上げる…つまり銃で狙い安くなる効果を発動。
dexの名前的にそういう効果があると思ったんだけど…まあ補正がなかったらなかったでその時に考えよう。
やっぱり大技は気軽に試せないのが辛いよね、っと。
私は飛んできた土の球を銃で打ち落としながら考える。
…よかった、補正はかかってるらしい。
こうして遠距離攻撃にばっか対処してると、剣の間合いに入れようとしてくる人が増えてくる。
それはつまり騎士達の本分で戦うことになるわけだから…私に勝ち目がなくなる。
だから今回は───その土俵に乗らせない。
私は無言で右手に手榴弾を出現させる。
たった今知ったことだけど、詳しい原理や内部詳細を知らなくてもmpを多めに使えば作れる。
これmpが無限ならまさに万能創造魔法では?
左手で安全ピンを抜き、近付いてきた騎士達に投げつける。
あっちの世界の兵士とかなら手榴弾を直で喰らえば一撃だろうけど、こっちの場合レベルやらvitやらで死なない場合の方が多い。
だからあくまで手榴弾は虚仮し。
主目的は警戒させて、とある場所に誘導するため。
いや、まあまあ威力のある手榴弾が虚仮しかどうかは置いといて…
───本命はこっち。
ところで、話は変わ
この場で私が創り出した物はそんなに多くない。
複数個の手榴弾に右手に持ってる拳銃。
そして舞台を彩る月に────後一つ。
舞台に雄大に立する
私に創られた被創造物だけど…壊せない
それに物を生成出来る範囲は私の手の上だけじゃない。
この100mの私の世界、その全範囲どこでも生成出来る。
あ、人体の中とかは無理だけどね。
その中にあるものを押し退けるイメージも必要になって出来なくなる。
空気を押し出すのは簡単だから出来るけどね。
──ビルを倒壊させよう。
ビルって言っても内部まで精巧に作ってるわけではなく、外面だけ。だから中身は割とすっからかん。
だからこそ、内部で巨大な爆発を起こせる。
そして騎士の約1割がその下敷きになり、飛び散る破片が約2割の体力を削る。
よし、メイン火力源はビル破壊だな。
ビル破壊は溜めなし高火力範囲攻撃…なんて便利な技なんだろう。
固体である魔術…氷や岩には銃で、触れられない魔術…炎や風、雷と水はビルを盾にして防ぐ。
属性魔術の仕組みが単純なことに助けられてるなぁ。
『
そうすると真っ直ぐ突っ込んでくる騎士が数人いるので拳銃を向け警戒させる。
というか、私がさっきビル倒壊させたのはこれのため。
恐らく640人フルで残ってたら囲まれてポンって感じで倒されて筈。
でも今はビル破壊で3割が被害を受けて、こうしている間にも私が間から投げ込んでる複数個固めた手榴弾で1割から2割がダメージを受けている。
つまり、色々足掻いて半分まで減らせた。
なら……そろそろ行けるかな?
mpを大量消費してやっちゃうか。
最悪呪域と神域っていう保険もあるしね。
そうして止まっている間に近くにあるビルを崩す。そしてビルに下敷きになった数人を放置し…私は天に左手を掲げる。
そして手に取るのは手榴弾数個。それを密集してる所に投げ込み爆発を起こす。
そして暇な右手で更に手榴弾を掴み、適当に投げる。
そしてその爆発と私の操作でビルの連鎖崩壊が起きる。
ビルが崩れる、爆発が起きる、破片が散らばる、地面が揺れる、悲鳴が聞こえる、土煙が舞い上がる。
様々な要因で私のhpごと…唯でさえ『
余っていたmpを使い、エネステラからのドロップ品、『不死融壊の衣』のスキル 《不死融合》 を使いhpをある程度まで回復させる。
私もついさっきまで効果を忘れて…というか存在すら忘れかけてた。
そしてアリスから支給されたポーションを飲んでmpを回復し──
用心のために、さっきの一連の騒ぎで壊れた拳銃を再生成し、左手で手榴弾を持つ。
これで勝ったつもりではいるけれど、油断も慢心もしない。
やがて土煙が落ち着き、視界が良好になる。
…残った騎士も全滅した、かな?
あ、今さらだけど、騎士達は死んではないはず。アリスの言う通りならだけど。
アリスによると騎士は全員hpが1になると発動して闘技場の控え室的な所に弾き出される魔道具を持たせてあるらしい。
私も控え室にいる時にアリスから貰った…けど注意もされた。
もし呪域や神域を使った場合、あれの効果の関係上これが発動しなくなる可能性もあるから気を付けて欲しいって。
だから一応神域は使わない様にしてた。
まあ負けたくはないから追い詰められたら使うけどね。
これで一段落…かな…
観客サイドからしたら余裕に見えたかもしれないけど、私的にはそんなことない。
この魔法が初見殺ししてるから初手であれだけの損害を与えられたけど…
もし性質を知られてたら対策を取られたり…そうじゃなくてもダメージは抑えられたと思う。
その流れで接近戦に持ち込まれたら…私なら精々逃げ回るぐらいしか出来ないかな。
でもそんな弱い所を見せちゃいけない。
この模擬戦は片瀬花奈という人の強さを知らしめるものだから……!
…意外と勝てたわ。
でも一つ不安なことがある。
アリスが驚いているだけならまだしも、面白いことを思い付いた様な表情で此方を見ている…
もしかしなくても、まだ終わりじゃないな。