『少女世界攻略記録』   作:100110110011(2)の民

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『少女異世界攻略記録』
45◇詠唱の代償と偉人の人生、そして私の恥死


◇◆片瀬花奈視点◆◇

 

………穴が在ったら入りたい。

現在状況?

現在状況はアリスの部屋でアリスと私が羞恥に悶えてるとこです。

…恥ずか死ぬ!

何が「奇跡の一端」だよ。何で数時間前の私は頭の可笑しな自己紹介してるの?馬鹿なの?

百億歩譲って詠唱は良いよ。

大分効果が上がった気がするし…気のせいじゃなければね。

でもその前の口上は明らかに余分だし、そもそもあんな格好付けた事しなくて良かったじゃん。

最悪相手の周りに液体の塩をばらまくとか液体のタングステンばらまくとかでも良かったしそれで終わったのになんで態々あんなビル群や重火器を大量に使った試合をしてたんだろう。

いや、理由は判るよ。私の厨二病が異世界に来て再発したとか、周りの詠唱とかの影響で感覚が麻痺ってた上に観客の雰囲気に呑まれてたんでしょ。

そしてこの事をアリスと共有してアリス側の事情も諸々聞いてお互い共感性羞恥が凄い。

暫く引き籠ろうかな…。何かあの試合のせいで二つ名が『夢幻空間』に確定したらしいし。

二つ名に文句言うのもあれだけど私からすればこの魔法とかがある世界こそ夢だし幻の空間だよ!私のいた世界的に『科学空間』とかにして欲し…くはないな…語呂が悪いし…じゃなくて、そもそも二つ名なんて…でも宮廷魔術師である以上全員二つ名がある訳で…嗚呼…無情…(悟りの境地)

そして宮廷魔術師が平民だと良くないから男爵位を叙位だって…それに伴って屋敷や使用人を雇えやら仕事やら…やってられないよぉ…異世界に来てもやることが多いし。

しかもアリス曰くこのタイミング的に他の貴族の手の者とかが入り込もうとしてるから注意して、それで屋敷を選ぶときもその屋敷の経歴や歴史に気を使って買った方がいい…との事。

それに貴族たるもの音楽やオペラに嗜みがないとダメ?屋敷に絵画や陶器等の芸術作品を置け?社交ダンスやサロンにも気を使え?宮廷魔術師なんだから部下である宮廷魔術師団員の能力向上と引き締めをしろ?

私は前の世界では極普通の一般人だったんです!そんな色々言われても出来るわけないじゃん。

脳死で(逆)ハーレムとか作れる主人公とか楽でいいなぁ。現実はこうも辛いよ。

…過労死案件。そんな事を考えてた所にアリスの何気ない一言…

 

「……そういえば…学院は?」

 

…辛すぎて昇天しそう。学校?ナニソレオイシイノ?飛び級制度とかは…あ、あるんだ。それ使って2、3週間で卒業…あ、制度的に無理ですか、そうですか。

どうやら元の世界でいう期末ポジションのテストで一つ上の学年のテストを受けて総合点がその一つ上の学年の人と比べて上位5位以内なら飛び級…控えめに言って不可能では?

まあでも戦争とかに飛び入り参加するよりは気が楽かな。

なら私の安らかな異世界生活ライフと元の世界への帰還準備のためだ。死ぬほど頑張って飛び級狙って行こう!

まずは歴史の勉強からだ!

…ってそれ以前にやらなきゃいけない事が多い。まずは魔銅の件について。

 

「アリス、魔銅については終わったの?」

 

「…まだ…最後の仕上げが残ってる」

 

「…大元が潰れてない…」

 

「え?セルグヌ領なら…」

 

「…発掘場所は…?あれが自然物とは…思えない…」

 

「どうするの?」

 

「…完全なハッピーエンドのために…」

 

「…根っこを確かめる…」

 

「いつ出発?」

 

「…取り敢えず少し休憩。…明日は久し振りに学校に行こう…課題も授業も溜まってる…」

 

「そうだ。私の家は…」

 

「…王宮に仮の部屋を置かせた。そこ使って…」

 

…その後は軽く雑談し(恥ずかし合っ)てから別れた。

私の部屋はアリスの部屋からは少し離れてて5分位歩いた所。

うん、歩いて改めて思ったけどこの城おっきい。

自分の部屋に入って一番に考えた事は…

 

「部屋って言うより…一軒家?」

 

そう。寝室もリビングもあり御手洗いも有ってクローゼットとかの収納もしっかり用意されてるし小型のキッチンみたいのもある。

お風呂はないけどアリスが「来賓用のがあるからそこを使っていい」と言ってたので甘えさせて貰う。

…何気にベットがキングサイズなのはそういうこと用?

まあ私には関係ない事だ。広いってだけで満足。うん、それだけ。

えーと、今は…19時か…微妙だなぁ。アリスに王宮の人には緊急時以外18時以降に会いにいくなって言われたし…。何かやる事…いや、やること自体は沢山あるんだけど…

…じゃあこの国の歴史でも勉強しよう。

何々…お、これ面白そう。

───

第五章 ルナエン王国の英雄

 ルナエン王国の英雄は時代に依って変化していくがその中で今日まで伝わり偉業を成し遂げた者を紹介する。

①クロルマ・ルスペ

 彼女は同時代の魔法研究の第一人者であり魔術の祖とも呼ばれている。現在浸透している属性魔術の詠唱は全てルスペが考案した物だとされている。

 そんな彼女だが謎も多くその最たる物が魔術の研究を始めた理由だ。当時全人口の9割が魔法を使えたのにも関わらず魔術という魔法の劣化とも考えられる物を研究し始めたのかという点に関しては様々な学説が挙がっていて有力説としては魔法が使えなかった1割を救済するためとする説、魔法という感覚的な物を彼女が嫌っていて詠唱という論理的な物を好んだという説。又はその両方であるという説がある。

 他の彼女の業績としては後述のアスクル・ナムルカと共に『強制執行:強敵察知型魔法』を開発したと言われるが詳細はアスクル・ナムルカを参照。

他にも……

───

 

 

 

このルスペって人と気が合うかもしれない。っていうか昔は皆魔法使えたんだね。何で今みたいになったんだろう?

まあいいか、クロルマ・ルスペは置いといて次の人は……

 

 

 

───

②マギラフ・ルグエ

 ルナエン王国最盛期にしてルナエン王国後期のそして最後の『聖ルグリエ教会』教皇でもある。当時の最高峰の教育機関を首席で卒業し教皇選抜試練も最年少で合格するという驚異の頭脳の持ち主である。しかしその学歴や経歴に反して彼自身は民衆にも親しくしており時折手品を見せていたことから手品教皇とも呼ばれていた。

 又彼は歴代の教皇の中でも特に秀でた信仰心を持っていてかつ善行を積んでいたため神と交信できたとされるが真偽は不明。

 彼の晩年の行動は不明な事が多いが、彼の日記の最後には『神に会いに行く』と書いてある事は有名である。その影響で現在でも様々な宗教の教皇が亡くなった際には『神に会いに行かれた』という表現が使われることが多い。

───

 

 

ふーん、でも何でこの項目…つまり英雄の項目にこの人が乗ってるんだろう?これだとただの優秀な教皇だよね?もしかして宗教改革したとか?まあいいや、次。

 

 

───

③アスクル・ナムルカ

 アスクル・ナルカともアセクル・ナフルカとも呼ばれる人物であり古代文明の中で最も有名な人物でもある。彼は貧民の出であり孤児でもある。彼が8歳の時にエネステラを一人で討伐し15歳になる頃には当時最強の魔法使いとも言われていたクロルマ・ルスペと引き分ける程の力を持っていたと伝わる。しかしこの時ルスペは150歳であり又魔術の研究を長年していたため全盛期より力は落ちていたとされ、近年ではルスペとナムルカがお互いに全盛期の状態で戦ったら大陸も無事では済まなかったとの結論も出た。

 そして他の業績としては『強制執行:強敵察知型魔法』を共同開発したこと等がある。『強制執行:強敵察知型魔法』とは全人類に強制付与される魔法であり…

───

 

 

なるほど……この人は確かに英雄かもね。

次は……へぇ、人じゃないんだ。

 

 

───

④英雄の最期

 この章では3人の英雄について取り上げたがそれぞれの最期については意図的に省略した部分が多い。この項ではその最期について主に記述する。

 まず前提知識として『神の試練』という概念を説明する。『神の試練』とは聖ルグリエ教会の考えの一つで数千年に一度神が人類の発展を確かめるために強大な怪物を派遣し倒せるのかと言う事を確かめる物であり聖ルグリエ教会はその『神の試練』のために日々から備えている。

 そして記録によると8627年4月29日にその『神の試練』という物が起きたららしい。ここで推定形になるのはその怪物の姿形を記録した文書が発見されてないからである。しかし3人の英雄の死因がこの試練による物だと推測される以上『神の試練』は実在したと考えるのが主流である。

 その上聖ルグリエ教会内部で以下の様な指令が出ている事が現在確認されている。

 

『神の試練』の近辺ではmpが平常時より迅速に回復する。

これは神がもたらした我々への挑戦状だ。

皆の者、全力かつ本気で取り組む様に。

 

 この事からも『神の試練』の実在が裏付けられる。まずルグエ教皇は蓄えを用いて各国に支援物資として食料や武器を支給し一通り支援をし教会の物資も底が見え始めた頃、配下の者達に支給を続ける様に指示しあの有名な日記を書き行方を眩ませた。

ルスペはナムルカと協力し試練の怪物と応戦した。しかし怪物は強大であり苦戦を重ね遂に世界は混乱に陥り国が崩壊してしまった。そんな状況に成っても二人は諦めなかった。そして英雄二人の命と引き換えに試練は終わったのだった。しかしその時既に文明と言える物は崩壊していたと考えられる。

その後…

───

 

 

…この試練の怪物ってAI説ある?だとしたら(うち)の転生者が済みませんでした。

…いや、済みませんでしたじゃ済まされないほど大事故起こしてるけど謝らせてください。

 

天整統天整統……どっかで─

 

…と、そこまで読んだ所でドアからノックの音がした。

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