『少女世界攻略記録』   作:100110110011(2)の民

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46◇尊敬語×謙譲語×丁寧語=?

 

「誰ですか?」

 

ノックの音がしたので、最悪偉い人でも問題ないように敬語を使う。

 

「カタセ男爵様の専属侍女に本日付けで成りましたローズと申します」

 

専属侍女なんていらないって言いたい。

あ、そうだ。アリスからどこの人か気を付けるように言われてたんだっけ。

 

「どこの人ですか?」

 

「何処の人…私はティーミール伯爵家の者です」

 

ティーミール伯爵家…何か聞いたことある様な……

…あ、セリア!

 

「セリアのお姉さんですか?」

 

「妹を知っていらっしゃるんですか?」

 

「知ってるも何も学校で同じクラスですし友達ですよ?」

 

「そうだったんですか、すみません。愚妹が迷惑だったら遠慮なく言って下さい」

 

「とんでもない!セリアはいい人ですよ」

 

「ありがとうございます。それでカタセ男爵様は主人であられますので私の様な侍女には敬語を使わないで下さい」

 

「判りまし…わかった。それじゃあそっちこそ友達の姉何だから敬語をやめていいんだよ?」

 

「承知しました。しかしこの口調は生まれつきの物ですので鋭意努力はさせて頂きますがご期待に添えない場合が御座います。その際はどうぞ御容赦を」

 

あ、これ治んない奴だ。でも口調のせいか出来る秘書感が出てる。

……ってあれ?私…男爵だよね。それはもう諦めたけど…何で伯爵家令嬢が私の侍女に?

 

「伯爵家令嬢が男爵に仕えるのって嫌じゃない?」

 

「滅相もないです。カタセ男爵様は新宮廷魔術師第六席でもあられる期待の星で御座います。嫌と思う人など居ないと愚考します」

 

ふーん、そんな感じの評価なのか。

 

「そういえば何で来たの?」

 

「夜食の支度が出来ましたので御報告に。食堂で召し上がりますか?それとも自室で召し上がりますか?」

 

今日は何となく人と会いたくないし…

 

「ここでお願い」

 

「畏まりました。5分から10分程で準備をしますので暫くお待ち下さい」

 

そう言うとローズさんは部屋の外に出ていった。うん。今後はローズさん呼びで安定かな。そんな事はさておき…大分キャラが濃い人だったなぁ。セリアともあんな感じで話してるのかな?後で聞いてみよ。そういえばこっちに来てから音楽とか聞いてないなぁ。こっちの世界でボカロとか作れ……ないな。声優さんがいない。まあ普通に曲を作る…もとい元の世界のをパクる形でやれば売れるかも?まあ私はあんま楽器とか弾けないんだけど。精々弾けるカテゴリに入るのがバイオリン位?それも半年習っただけだし。いや、待てよ…『舞踏城《タンゼンシュラウス》』でdexを上げたらワンチャン上手くなるかも…今度暇な時にバイオリンでも買ってやって見るか。まあ当分暇になる予定なんてないけど。

 

「遅くなりました。夜食の用意が終わりましたので御報告させて頂きます」

 

「わかった。食べるから……ここにいるの?」

 

「邪魔と判断されるなら早急に出ていきますが…」

 

「あ、大丈夫です」

 

「それでは私の事は気にせず召し上がり下さい」

 

それで出されたご飯は…うん、普通に美味しそうな…っていうか元の世界だとちょっと高いイタリアンに行けば食べられる様な感じ…え?こんなのを毎日?庶民の味…もといジャンクフードはあるのかな?

…ないんだろうな。

アリスに言われた通りご飯中は喋らない。それで食べ終わった後の紅茶(とかの飲み物)を飲むタイミングで話す。

 

「…ローズさんはセリアにも畏まって話してるの?」

 

「勿論です。生まれつきの物なので。不快と判断されるなら侍女の変更を申請しますが…」

 

「あーそういう事じゃなくて…なんていうか単純に気になっただけ」

 

危な、普通にこの人変えるつもりだったよ。そう言えば…

 

「バイオリンって用意出来る?」

 

「判りました。早急に手配します」

 

そう言ってすぐにどっか行ってしまった。別に弾きたいわけじゃなかったのに。

ただ私がここで何処まで自由に出来るかを確かめたかっただけなのに。でも持ってきて貰うからには何か弾かなくちゃ…何を弾こう?…簡単なメヌエットとかでいいかな?

そんなこと言ってる間にローズさんが持ってきてくれた。

 

えーと、確か…鎖骨の上に本体を乗せてこの顎あてに顎を乗せて支える。その時に強く押し込み過ぎないようにする。それで左手は演奏の邪魔にならない程度に添えて…体を少しだけ傾けて両腕の距離を詰めてそれで目線は指板と平行になる様に…うん。久しぶりにやったけどめんどく……難しいね。さて一曲弾きますか。

 

 

久し振りだから最初はちょこちょこミスったけどまあ聴かせれるレベルではあった…といいなぁ。まあもう一曲弾いて誤魔化しておこう。それじゃあ難易度をもうちょっと下げて…きらきら星。

 

うん。間違えずに…いや、間違えたの基準にもよるけどできた。まあ取り敢えず満足感かな。

 

「ローズさん、ありがとう。これ返して来てくれる?」

 

「いえ、それは既にカタセ男爵様の所持品であります」

 

「…?」

 

「貴族になられた方に支給される道具の一つであります。お望みとあらば残りの支給品も持って来ますが」

 

「……明日、暇な時にお願い、暇な時にね」

 

「畏まりました」

 

「どうかした?もしかして聴きにくかった?」

 

「いえ、滅相も御座いません。むしろとても聴きやすい音色であります上、初めて聴いた曲でしたので。御不快に感じられたのならお詫び申し上げます。私の不勉強故申し訳ないのですが演奏された曲の題名をお教え願えないでしょうか?」

 

教えても良い物か…?でもここで題名教えてもこっちの世界にはそんな曲ないから面倒な事になるのでは?ならいっその事私が作った事に…いや、私のおばあちゃんが作った事にしよう。どっちの…父方のおばあちゃんが作った事にしよう。

 

「私の祖母が作曲した曲でして…一曲目がメヌエット、二曲目がきらきら星です」

 

「成る程、お婆様が…今お婆様はどうされてるのですか?」

 

「祖母……かぁ…もう3年…」

祖母…おばあちゃんと言えば母方のおばあちゃん…あの優秀な人が割りとやらかしてからもう3年…勿論いい意味でやらかしたのは。

おばあちゃんは国立癌研究センターみたいなのの所長をやってた。

かなりの変わり者で私が会いに行くと毎回最近の研究成果を私に発表してくる。

当時…に限らず今でもほぼ意味はわからないけど何か重要なんだなぁって事は判ったし話してるおばあちゃんが凄い楽しそうだったから全部聞いてた。

そうすると帰りに論文の束をドサッとくれて「気になった事が有ったら質問していいんだよ」と言ってくれるんだ。

…まあ質問以前の問題なんだけど。

まあでも無い頭を必死に回転させて毎回私は会いに行く度に前回の論文から2、3個質問を捻り出して持っていく。

今思えばあれが割りと頭使う訓練に成ってたのでは?

閑話休題

それで私が中学になった頃、おばあちゃんにいつも通り(頑張って考え出した)質問をぶつけたらそのまま固まっちゃって…うん、2時間は動かなかったね。

それで仕方なく他の職員に任せて帰って来たわけだけど…

その1ヶ月後、おばあちゃんはノーベル医学賞をとった。

何かよくわからないけど内容を見たら私の質問に関連した物だった。母は癌の治療薬じゃないんだ~とか言ってたけどその後が問題だった。

おばあちゃんは記者会見みたいなので堂々と今回の発見は孫のお陰だと言い切った。

そこから先はもう大変だったよ。

おばあちゃんの孫が私一人しかいなかったから特定は一瞬でマスゴ…マスコミが一斉に家に押し掛けてきた。

それで挙げ句の果てには学校にまで押し寄せて来て……あれからだなぁ。

テレビとかが嫌いになったの。

まあ最終的にはお爺ちゃんが解決してくれたんだけど。

え?何でおばあちゃんじゃなくてお爺ちゃん何だって?

それは…この騒ぎで迷惑だったから両親が祖父母の家に電話して状況を知ったお爺ちゃんが色々やったから…。

 

こんな話をすると多分もう一方の祖父母…父方の祖父母の話もしないと不公平かな?

 

そして残念ながらもう一方の祖父母も普通ではない…あれ?私の家族ってもしかして普通じゃない?

でも両親は本当に普通のサラリーマン(係長)と専業主婦なんだよなぁ…私も(異世界転移以外は)一般人だし。

その異世界転移も完全な拉致…つまり私じゃなくても良かったんだろうし…優秀な遺伝子は両親で途切れたか…

悲しき事よ。いや、まだ隔世遺伝ワンチャン。

閑話休題(2回目)

父方はお爺ちゃんのがやらかしてるイメージあるなぁ(凄い失礼)

という訳でお爺ちゃんの話をしよう。

彼は(英語風)とても凄い投資家…いや経営者で……予想以上にやりずらい…元に戻そう。

はい、お爺ちゃんは遣り手の経営者で…って言っても別に大企業って訳じゃなくて町の米屋だけど、まあそれでも割りと順調に経営してて多分その町一番の米屋…このご時世あんま『米屋』はあんまないけど…ではあったと思う。

でもやっぱり米屋だけじゃ厳しかったのか私が生まれる前にマンション業を始めたらしい。

私が本人から聞いた話では単純に荷物置きの場所が欲しかったからって言ってたけど…現にそのマンションの2階は物置になってたけど…

まあ真相はさておき他にもシニアソフトボールでエースだったり80歳近いのに20kgの米俵とか2つ同時に運んだりとかなり何でも出来る。

運動も勉強も出来るとか天才か?

それに父方のおばあちゃんもそのお爺ちゃんに付き合えるだけ在って割りと何でも出来る人。

本当に私の家族は祖父母までは優秀なんだなぁ。

……あれ?何でこんな事考えてたんだっけ?

…あ、ローズさんの事忘れてた。

 

「ごめんなさい、ローズさん。ちょっと昔を思い出してて…」

 

「こちらこそ申し訳ないです。既に逝去されてたのですか…本当に申し訳ない事を聞きました」

 

まだ死んでないよ。二人とも超元気だよ。

…って言おうと思ったけどじゃあ会わせて?みたいな事になると面倒だから訂正するのは辞めておこう。

うん。…ごめん。お爺ちゃん、おばあちゃん…異世界で死んでる事にしてごめん。

元の世界に帰ったら土下座して謝ろう。

まああの人達ならそんなこと気にせずに『土産』を要求してきそうだけどね。

 

「…」

 

「…」

 

何か雰囲気が微妙な事になった。

 

「…もう一回弾こっか?」

 

「…メヌエットをお願いします」

 

よりによって難しい方を選んじゃって…

 

その後メヌエットを弾き終わった後はお帰り願った。

その帰りがけにベルを置いていった。

なんでもこれを鳴らすとローズさんの部屋…もとい侍女の待機部屋に連絡が行く仕組みらしい。

…まあ自分から使うことは無いでしょ。それじゃあ今日もお疲れ様でした。お休みなさい。

 

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