『少女世界攻略記録』   作:100110110011(2)の民

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50◇†第二王女様監修済最終暗黒圧迫面接†

 

「すぅ…すぅ…ん、んっ…」

 

 まぶた越しに朝日が入り込んでくる。

未だ残る眠気に想いを馳せながら、ゆっくりと目を開ける。

 

 穏やかな朝の日射しと少しだけ残る寒気を感じながら身を起こし、窓の外を見る。

すると、遠くの方から慌ただしく朝の支度をする音が聞こえてくる。

 

 眠気を覚ますために目を擦り、朧気な意識を覚醒させる。

 

 

────というわけでおはようございます。

何の変哲もはい普通の早朝です。

…それにしても早く起きすぎた。

ローズさんもいないし王城散策でもしようっと。

…ローズさんいないよね?一応昨日帰る様に促したからいない筈なんだけど…

 

「カタセ男爵様──」

 

どうやら最近耳が遠くなったらしい。

それに幻聴も…ってやかましいわ。

え、何でいるの?いや、いちゃ駄目って訳じゃないけどさ。

多分今、午前6時前よ?

仕事開始時刻早すぎない?

もしかしなくても侍女ってブラック?

私が勝手に混乱しているとその様子を見かねてか、言葉を付け足してくれる。

 

「私も偶然目が覚めてしまっただけですのでお気になさらないで下さい」

 

こういう時の『偶然』って大抵『用意された偶然』なんだよなぁ。

ちなみに又の名を必然という。

お茶を淹れてくれたのでお礼を言いつつ飲む。

 

うーん、味的にダージリンティーかな?

このほんのりと漂う薫り、そして高貴な雰囲気を自然と纏わせるこの味、やっぱり…!

ダージリンに決まってる!

味?

美味しいんじゃない?わからないけど。

 

さて…適当に身嗜みを整えて、一応学校の準備もして、いざ王城散策へ。

 

…って言っても朝早くだからか人もほぼいない。

やっぱりローズさん来るの早すぎない?

たまにすれ違う侍女に挨拶しながら色んな所に行く。

といっても王族の生活場には入らないようにする。

アリス曰く王族には面倒な人が多い上、権力持ってるから(たち)が悪いらしい。

それ特大ブーメラン刺さってない?とか思わざるを得なかったけど、心の中に仕舞っておいた。

もしそんなこと言おうものなら笑顔で脅迫されそうだし。

 

…何故か寒気がした。

ま、まあ?まだ朝早いから?

夜の寒さが残ってたんでしょ。

 

…収穫はなかったけど朝のお散歩みたいな物だと思って毎日続けようかな?

健康にも良さそうだし。

……朝早く起きれた日はやるか。

 

1時間ちょっと彷徨い歩いて、程良い疲労が足に溜まってきた。

さて、そろそろ良い時間だし学校に行こう。

今日も平和に勉強会(をするついでにセリアと雑談)したいなぁ。

平和こそ一番。

 

「…ハナ、明日出発…だよ?」

 

…平和な時間終了のお知らせが来た。

あ、アリスにセリアの事教えないと。

 

「アリス、同じクラスのセリアを側仕え?として置きたいんだけどいいかな?」

 

アリスはすこし考える素振りをしてセリアの方に向かっていった。やばそうなら手助けしようかな。

アリスが変なことしなきゃいいけど…

『チキチキ!第二王女様による抜き打ち強制型圧迫面接!』

みたいなことにはならないよ…ね……?

あっ、なりそう。

助けにいこう。

 

◇◆セリア視点◆◇

授業の準備をしていた所に第二王女様が来てしまいました。

第二王女様は普段学院では必要最低限しか会話しないのですがどうしたのでしょうか。

クラスの皆さんも物珍しさからかこちらを見る人が多いです。

もしかしてお父様が何か粗相をしてしまったとかでしょうか。もしそうなら誠心誠意お詫びを申し上げないいけないのですが…

 

「…ハナの件について…あれ、本気?」

 

そう言う第二王女様からは何とも形容し難い覇気の様な物が出ていらっしゃいます。

それこそもしここで返答を躊躇う様ならこの国から追い出してやろうという意思すら感じるほどの覇気です。

しかしハナさんの側にいたいとお父様に頼んだのは私です。

あの醜悪な見た目の『エネステラ』から助けて貰った恩をまだ返せてません。それにハナさんは色んな意味で私の憧れです。

そしてこの機会を逃したらハナさんは手の届かない遠い所に行ってしまう様な気がします。

だから私は──

 

「勿論本気です。第二王女様」

 

「……貴女が想像すら出来ない地獄が待ち受けてるとしても?」

 

第二王女様は何が言いたいのでしょうか。

ハナさんと一緒に居てそんな事になるとは思いませんし、何よりも…私はもう一度死にかけています。

それがどんな酷い物だとしても私は乗り越えて見せます。

それに私はこれでも伯爵令嬢です。最低限の度胸位備わっています。

 

「それの何が問題なのですか?」

 

「…最後に……」

 

「待って、アリス」

 

第二王女様が何かを言おうとしたその時に、ハナさんが割り込んできました。

意識していなかったので少し驚いてしまいました。

何とか口には出ない様にしましたが…

 

「最後に…あの質問の答えは?」

 

ハナさんが会話の主導権を握り私に問い掛けて来ました。

昨日その質問を貰い、あの後かなり考えました。

あの質問はどういう意味なのか。

そして何が答えなのか。

私は最終的に……

 

「…自分の存在の証明などしなくていい」

 

「それが私の結論です」

 

そう言うと第二王女様は何かを考え始め、ハナさんはどういうこと?と言いたげに私を見てきます。

駄目ですね…焦って結論だけを言ってもわかってもらえる訳ないじゃないですか。

深呼吸をして、自分を落ち着かせてから話し始めます。

 

「言葉が不足していました。現在の自身の存在は証明しなくていい…と私は思います」

 

「そして私がやった事や行った事を後世の人が判断して…その時の『私』の存在を認めてくれれば証明完了です」

 

「勿論その『私』は本来の私とは違う物かもしれませんが…私が生きている間に外に出さなかった部分が本来の私と違ってもそれは私に違いありません」

 

「私は…そうやって証明します」

 

「これが答えでいいですか?」

 

一気に私が話終えると第二王女様は少し驚いた顔をした。

一方ハナさんは面白そうな物を観るような目で私を見る。これはどういう意味なのでしょうか。

合格?それとも……

 

「セリアの答えは私の意見とは全く違うし、想定していた答えでもなかった」

 

なら…不合格…

私の表情を見たからでしょうか。

ハナさんが焦りながら、そういうことじゃなくて、と前置きしてからあの問題を出した真意を話します。

 

「そもそもこの問題の意図は『自分』という存在について一度考えて欲しいから出した問題で…必ずしも答えを出して欲しい訳じゃなかったの。

それなのにセリアは自力で答えを導いた。

それを蔑む事は勿論、私が否定する事なんて出来ないよ。

まあそもそも、私が言うのも本来は烏滸がましいけど…」

 

ハナさんが一息分溜めてから言います。

 

「セリアは合格だよ」

 

ハナさんがそう言った瞬間、思わず頬が熱くなるのを私は感じた。

私はハナさんに認めて貰えたんだ。

そんな想いの中、第二王女様の方を見ると…

 

「…私のミスだった…この国も捨てた物じゃない…」

 

自分自身を責める様な口調で呟いています。

そして嘲笑の様な笑みを浮かべてから私の方を見ます。

 

「…セリアは…って私にハナに関しての決定権はないから……合格以外は言えないよ?」

 

そこまで言われて感極まってしまいました。

思わず頬に水が垂れるのを感じて、急いでハンカチで拭き取ります。

憧れのハナさんだけでなくこの国の賢者様にも認められてしまいました。

こんなに幸福な事が続いたのなら私は明日魔術実験の事故にでも巻き込まれてしまうのでしょうか。

そう思わずには居られないほど嬉しいです。

 

──始業の鐘がなります。

 

…本当はもう少し余韻に浸りたいのですが始業を告げる鐘がなっては仕方がありません。

素直に授業を受けるとしましょう。

…ふふっ、こんな状態で授業に集中できるでしょうか?

 

◇◆ハナ視点◆◇

アリスとセリアが修羅場ってたから思わず間に入ってしまった。

取り敢えず今は始業のベルが鳴ったからいいとしてて…

昼食は適当に逃げながらやり過ごして…

放課後は、アリスに何か言われる前にセリアの家に逃げ…じゃなかった。勉強会をしに行こう。

 

「…ハナ。こっち…来て?」

 

第二王女様からは逃げられない。

ちょっ、えっ、授業…

 

「…どういう事か説明して貰う」

 

授業とか関係なさそう。

いや、確かに1時間目は自習だけどさ…朝礼は遅刻扱いに…まあいっか。

…一回の遅刻と引き換えにセリアの事をアリスに認められて貰うなら妥協範囲かな。

 

「まず…昨日ティーミール家に行って…」

 

そうして私は昨日の一部始終をアリスに話した。

あ、勿論アリスの名前を出した所とかは伏せて。

私もまだ無言脅迫されたくないからね。

若干の現実逃避をしていると、突然アリスから誉められた。

 

「……もしかして交渉上手い?」

 

…いや、アリスから言われた悪どい…じゃなかった。

えげつない…でもない。

そう、完璧な作戦を実行したまで…!

 

「…じゃなくて、セリアには故郷の事教えたの?」

 

むぅ…誉めてくれたまま終わってくれたらありがたかったのに。

それはそうと、幾ら朝礼中だからって誰が聞いてるかわからないから元の世界のことを敢えて『故郷』って言って伏せてくれるの本当にありがたい。

 

「まだ言ってない。でもセリアはこの『街』始めての友達。アリスにバレた以上、近い内には言うと思うし何なら同じ感じでバレるかもよ?」

 

「…セリアは…確かに頭が回りそうだった…だから側に置くのは賛成。それに…ティーミール家は派閥的にも問題ないから丁度良い…」

 

なんとか納得してくれたみたい。

と言っても私が話す前にほぼ理解してた感じはするけどね。

あくまで私へのあれこれは確認…みたいな?

 

「…でも今度からは絶対に、前もって私に話して?」

 

あ、それは勿論。

それにセリア以外に私が側に置きたい人なんている?

…それこそアリス以外にはいないんじゃない?

 

「もちろん!わかってるよ」

 

「…後一応この『街』に来てから話した人全員行って…」

 

んー、誰に会ってたっけ。

 

「あ、そうだね。ギルマスと…ロンラさんと…他はアリスが知ってるはず」

 

「…わかった…後、明日朝出発だから…ね…」

 

本日二回目の忠告だけど、忘れかけてたから有難い。

 

「りょーかいです」

 

さて、と。授業も終わったしセリアのとこに行って勉強でもしようっと。

 

「セリア、今日この後空いてる?」

 

「えーと…はい、大丈夫だった筈です」

 

「なら昨日と同じ様に勉強会しない?」

 

「良いですよ」

 

やった。

というかなにこれ。普通の女子高生みたいな会話してる。

まあ?私も凡百でありふれた普通の女子高生なんで?

あ、セリア、置いてかないでー!

 

 

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