『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
◇
爽やかじゃない朝。
いや、周りの環境には1ミリ足りとも文句はないんだけどさ。
どちらかというと私の心情的な観点から……
まあ要は、昨日の夜やらかした事について思い出した。
…え?あれ?私何してるの?
まず飲酒したって事がやばい。
いや、もしかしたらこの世界では問題ないのかもしれないけど私個人としてはやばい。
一応あっちに帰るつもりがある以上あっちの法律に従って置きたかったんだけど…
そして次。何をどうトチ狂って教皇にあんな事言ったの?頭おかしいの?
いやおかしかったんだろうけど…
…襲って来た事を鑑みると脅す位なら許容範囲だとは思うよ。
でもあんな奴隷っぽい扱い色々不味くない?
実際アリスにも迷惑かけてる以上不味いんだけどさぁ…
そして最後の指示だよ。情報全部持ってこられて処理出来る訳ないじゃん。
これは…色んな意味でケジメ案件では?
取り敢えずローズさんにはお酒とかワインとかは持ってこない様に言っておかないと。
って言っても今日あれの出発だから…置き手紙でいいか。
「…ハナ。いる?…出発…」
あ、アリスのお迎えが来た。
まだ朝早いんだけどなぁ…
まあ予想はしてたから着替えたり諸々の準備はしてたけどさ。
え、昨日のこと?
何のこと?私知らないよ。
あ、流石にダメですか。
「いや、言い訳…ではないけど弁明させてほしい」
そう、あの悲惨な事件には山よりも低く、海よりも浅い事情があったのよ。
だからそれを聞かないで勝手な憶測をするのはよくないと思うのよ。
…ところで最近私恥ずかしい言動行動多くない?
始まりは『
…異世界に来て静まってた厨二病が再発したかな?
帰るまでには治さなきゃ。
「……」
アリスが何故かヤバい人を見る様な目で見てくる。
残念ながら私は睨まれて嬉しくなる様な趣味嗜好を嗜んでいるわけではないから急いで弁明する。
「まず私の国では20歳まで飲酒が禁止だったのよ。だからこっちでもそれを守ろうとしてたんだけど…」
「…でも机の上に在った…」
「それは私が頼んだ訳じゃなくてローズさんが用意してくれたもので…」
「…なら…何で飲んだ…?」
「葡萄ジュースと間違えた」
「…?」
「葡萄ジュースとワインを間違えて飲んだ」
我ながら思う。
小学生かな?
人類というものは猿人から原人、原人から旧人、そして新人へと脳の要領を着実に増やしてきた筈なんだけどなぁ…
私は何処かでその進化の道筋から派手に転落してるんじゃない?
15歳にもなって葡萄ジュースとワインを間違えて、しかも気付かずに飲みきるなんて普通あるか?
ほら、アリスも昨日とは別の意味で固まってるじゃん。
見てみなよこの『うわ、こいつマジかよ…』みたいな目。
実際アリスはそんなこと言わずに『…大丈夫?』みたいに言ってくれるんだろうけど、本心が見えてるんだよ。
「…大丈夫?」
ほら見たことか。
…アリスの心遣いが心にダイレクトダメージをクリティカルに与えてくる。
相性補正で4倍、急所補正で1.5倍、属性一致で1.5倍…計9倍の最大威力攻撃の前に私は何回消し炭になればいいんだろうか…
穴が有ったら入りたい…
くっ、異世界に来てこの
ところで話は180°変わるんだけども。
「あれ?そういえばこれどこ向かってるの?」
城から徒歩で歩いている私達。
王都から出る門に向かってるわけでもなく、ましてや学校方向なんてこともない。
こっちにあって私と縁のある場所なんて一つしか知らないけど…
「……ティーミール家」
やっぱり。
ってことは…
「もしかしなくてもセリアを迎えに?」
「…勿論」
「大丈夫?」
ここでの『大丈夫?』は色んな意味が含有されている。
まずはセリア…というよりティーミール家にアポ取った?ってこと。
大事な娘であるセリアを魔銅とかいうヤバいものの巣窟につれていくのに連絡もなかったら…ってこと。
次の『大丈夫?』はそもそもセリアここにいる?っていう意味。
普通にこの時間だと学校行ってる可能性もあるし。
そして最後の『大丈夫?』の意味としては、どうせ上記2つの問題はクリアしているであろうアリスの人外的な手腕への誉め言葉。
「……セリア…いる?」
アリスが勝手に門番に話しかけてる。
第二王女様が来たって門番驚いてるじゃん。
どう見ても私が行くとこだったじゃん。
次からは私が行くように…というよりアリスを先に行かせないようにしよう。
私は強く決意し──
あ、門番転んだ。…見なかった事にしよう。
案の定というべきか予想通りというべきかセリアはちゃんといて、お父さんからの了承も貰えたらしい。
…アリス曰く、魔銅関連の所に連れていくとは言ってないらしいけど。
何て言ったんだろう…気になる。
そんなこんなで、数分待ってセリアを回収した。
さて、これで3人揃ったわけだけど…
「朝早くから何処に行かれるのですか?」
あ、そういえばセリアは何も知らないんだっけ。
「…ちょっと遠出する…」
「学院には間に合うのですか?」
「…学院に…休みの連絡は入れておいた」
アリスに勝手に休みの連絡を入れられるセリア可哀想。
…あれ、そういえば私、連絡したっけ?
……気にしないことにしよう。
その内生殺与奪までアリスに握られそうな勢いだなぁ。
いや、貴族位とか秘密とかを鑑みると既に生殺与奪権は握られていた…?
「え?どういう…」
「…ハナ、加速お願い」
私の『
効果が切れてから効果の5倍時間だけ使えないから…
まあこれぐらいなら丁度いいかな。
◇
という訳でそれから数時間経った夕方頃。
歩いた時間的に疲れた…とか言いたい所だけど、伯爵令嬢っていうThe☆インドア派みたいな立場のセリアが弱音一つ吐いてないから言いづらい。
まあでもそんな苦労ももうすぐ終わり…!
見慣れた…見慣れたかった訳じゃないけど見慣れた場所に着いた。
うん。紛れもなくあの時の中央広場だね。
当初の予定通りに『
ちなみに最初、リキャストタイムは長めに伝えてた。
え、何でかって?休憩したいからだよ。文句ある?
…いやまあアリスには一瞬でバレたからセリアにも言うことにはなったけど。
「これからどうするの?」
「…昼ご飯食べてから例の場所行く」
「先程から例の場所やあの件と言われてますが何の事ですか?」
「…今後ハナと関わり続けるって事は面倒事に巻き込まれ続けるって事…」
「…今ならまだ引き返せる。それでも…」
「私は私の意思でハナさんに付いて行きます」
…一連のこれらが終わったら異世界転移のことセリアに伝えよう。
何か死亡フラグみたいじゃない?これ。
「…ならしょうがない」
そう言ってアリスはセリアに魔銅に関する事を全て話し始めた。
まあ要は魔銅がよくわからんけど暴れてて今から行くのは魔銅が採掘されてたとこ、ってことだよね。
さて、それはそうと…
魔銅の事の大きさについてはすぐに判ったみたいで真剣な顔で事の顛末を聞くセリア。
勘違いや伝え忘れを起こさない様に真面目にこれまでの被害等について話すアリス。
そしてサンドイッチをもきゅもきゅと食べてる私。
何この場違い感。帰って良いですか?
その後話し合いが終わり二人も昼ご飯を食べた後でいよいよ採掘場に向かう事になった。
「さて、鬼がでるか蛇が出るか。二人はどっちだと思う?」
「何も出ないのが一番良いのではないのですか?」
「……強いて言うなら銅…かな」
二人とも至極全うな返答をありがとう。
でもそういうのじゃないじゃん?
微妙にしまらないなぁ……