『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
◇
「この際だからお互いの疑問を解消しない?」
「取り敢えず私から。『
「………かなって…」
「え?なんて言った?」
「…ハナがここは夢の世界って言ってたから……そうなればいいかな…って…」
可愛い。行動が可愛い。「私が言った事を覚えててくれただけじゃなくてそれを自分の世界の名前にするとか可愛いか?可愛すぎて私が発狂しそう」(深夜テンション)
…あれ?言葉に出てた?まあいっか。かわいいのは事実だし。
「…ハ、ハナ…?どうしたの?」
少し落ち着いた(と思う)(だけ)(現実は非情)
「ごめん。深夜テンションが祟って頭のネジが基盤ごと飛んでた」
「……それはおいといて…神が名称わからないって何?」
正気に戻ったのでちゃんと説明した。
ほんと何なんだろうね、あれ。
ついでにその他諸々の質問にも答える事にした。
「…家族構成は?」
「両親と祖父母…同居してたのは両親だけ」
「…転移の前触れは?」
「元の世界の学校から家に帰ろうとしたら急に意識が飛んだから前触れはないね」
「…転移絡みの称号ってあるの?」
「称号は4つ在って…職業関係2個とエネステラで1個と……あれ?これは何で取得したんだっけ?『廻遡宙の観測者』…ごめん。忘れた 」
「…元の世界に親しい人は?」
「…家族以外はいない。『トモダチ』なんていらなかったから…あ、今は違うよ?」
「…その『友達』の言い方…気になる。どういうこと?」
──────。
「……黙秘しちゃだめ?」
「…話してくれると嬉しい。私も何も黙秘しないから」
「…長くなるよ」
私はそう前置きして『悪魔の様なトモダチ』の話を始めた。
「……小学生の頃…4年前位に…私は元の世界でも成績は優秀な方だった。
それこそ同学年の中でも上位だったくらいには。
まあアリスみたいな天才ではなかったけどね」
私は注釈の様に事実を補完しながら当時の出来事を話す。
…思えばこれを話すのはアリスが初めてかもしれない。
「私は勉強をして知識が増えるのは楽しかった。でも周りは違かった…「勉強ばっかしてバカみたい」「なんでそんなマジになってるの?」「そんなもの将来使わないじゃん」…みたいな戯れ言を言って来た。私は一応説得を試みたんだよ。「直接は関係ないかもしれないけどここで培った思考力や考えたが将来役に立つ」ってね。でも聞く耳を持たなかった。だからその時私は…この人達と関わるのは無駄だ…無意味だと思った」
天才は凡人を理解出来ないという。
それとは逆に凡人は天才を理解出来ない。
今思えばそれと全く同じだったかもしれない。
どちらかといえば『秀才』である私は
「それから私はその人達と関わるのを一切辞めた。…でもそれが良くなかった。
私は勉強はできたけど、運動は
人並み位だった。だから
それで困ってる時に手を差し伸べてくれた人が…ここでは本人の名誉のためTとするね…がいた。
Tは勉強はそんなに出来なかったけど、私とは違って性格も良くクラスの中心にいる…それに家事や運動も出来たし…兎に角私とは真逆の存在だった。
そして何時しかTと私は『トモダチ』になった。
Tが勉強で困ってる時は私が教えて、私がからかわれた時や運動とかで困ってる時はTに助けて貰ってた。その関係はいつまでも崩れないと思ってた。
でも、そんな事なかった。
Tは少しずつ『トモダチ』である事を盾に私に要求するようになった。
当時はTしか友達がいなかったのも影響して最初はワガママに付き合うつもりでその要求を聞いてた。
そうするとその要求はエスカレートして行った。
その内犯罪紛いの物も増えてきた。だから私は断ろうとしたんだけど
「トモダチなんだからこれぐらいやってくれるよね?」
と言われてしまう。何とか法に接触しないように頑張ってた。そして同時にTを説得しようともしてた。
「こんなことして何になるの?」「犯罪なんて何も産まないよ?」
それでもTは態度を変えなかった。
流石に私も違和感を抱いてTの家庭状況を調べようとした。
もしかしたら親にそうしろって言われてるのかもしれない…そんな淡い希望を抱きながらね。
でも真実は想定の何倍も残酷だった。
放課後に忘れ物をして教室に戻る時Tがあいつらと話しているのを聞いた…聞いてしまった。
「片瀬はどんな感じ?」
「もうすぐかな」
「犯罪をしたらすぐに訴えよ。Tの無罪ははうちらが証明する。全部あいつの罪だよ」
「そうだね。楽しみだね…もうすぐであの馬鹿の絶望した顔が見れる」
そこまで聞いた時私は急いで帰った。
そしてあれは何かの聞き間違いだと自分に暗示をしようとした。Tがそんな事を言う筈がない。
Tだけは私の事を馬鹿にしないと思ってたのに。
当時私はまだ小学生だったからまだ頭が回らなかったんだと思う。
その翌日の帰り道、Tに直接聞いてしまった。
「Tは私に犯罪させて罪を転嫁しようとしないよね?」ってね。
そしたら勿論Tは「そんなわけないじゃん!そんな事するのあいつらだけだよ」と軽い口調で答えてくれた。
でも私はそう言った時Tの顔が一瞬だけ醜く変わったのを見逃さなかった。
「それ、本当?」
私はTを睨みながら真剣な声で聞いた。
もし本当だったら土下座でもして謝ろうと思いながら。
でも私が謝る事なんて結局なかった。
「はぁ…これだから頭の良い人は嫌。勘が鋭すぎる。私は完璧に演じたつもりだったんだけどなぁ…」
Tはそう言った。その言葉に私が動揺している間にもTは言葉を続ける。
「…まあバレちゃったもんは仕方ない。もう辞めるよ。まだ何もしてないんだからそっちこそ変な事しないでよ?『トモダチ』との最後の約束だよ?」
そう言ってTは走り、帰っていった。
その時の私がどんな表情をしてそこから暫くどんな風にしてたかは覚えてない。
その日は塾があったはずだけど後で休んだ連絡が来なかったからどうにかして誤魔化したのかもしれない…
そして私は夕方の公園のブランコ…遊具の上で空を見上げながら『友達』について考えてた。
友達って何?
関わる事で両者に利益が生ずる関係性の事?
お互いが相手の弱味を持っていてその上で対等に関わること?
心の内を隠して自分を偽りながら相手の本性を暴き合う関係?
たまたま持っていた辞書を見ても私の望んだ答えはのってなかった。
そして考えた果てに私にとっての『答え』を見つけた。
『友達とは敵である』
今考えると可笑しな黒歴史だけど当時は本当にこう考えた。
その結果皮肉にも私の『友達』は増えた。今までは雑踏としか思って来なかった人が、少し前までは敵対していた人が、全て…『友達』になった。
そこからの私の行動は速かった。当時の理論に従うと『友達』は少ない方が良かったから片っ端から『友達』を減らしていった。
成績を盾にする者にはそれ以上の完璧な成績で叩きのめして。
運動などの物理的要素で楯突く人達は大人を利用して陥れた。私が成績優秀だったのもあって先生や大人は私の味方だったから陥れるのは簡単だった。同性は先生からの評価を落とし、異性は親からの評価を落とす。
そうして『友達』を切り捨てて行った最後に残った私は成績も運動も家事も出来て性格も良いと『評価』される…『作り物』の私だけだった。
そして私はそのまま中学生になった。
地元周辺でやれる事に限界を感じて受験して有名な中高一貫校に入った。
そして歪んだまま3年が経過した。
でもその時に『作り物』の私にも限界が来た。要求難易度の上がる全てに私の心が耐えきれなくなった。
そうして少しずつ歪み始めた完璧に一番最初に気づいたのは自分自身だった。
そこで昔より成長した脳で何がおかしいか考えた直した結果『友達』の定義が可笑しいんだと気付けた。
でもそれに気付けた時にはもう中学校も終わりかける3月だった。だから高校からは心機一転やり直そうと思ったんだけど…」
…そこで話を区切る。
「……だけど?」
「そうしたら異世界に飛ばされた」
「…そういうこと」
「そんな感じ。質問ある?」
「…一つだけ……今のハナにとって『友達』とは?」