『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
◇
試練が終わり、意識が覚醒して目を覚ます。
月の位置と満ち欠けから大まかな時間を計算する。
…午前三時半ってところか。
生憎と誰も起きていない深夜なので、ゆっくりと『細工された物』を調べられる。
期待と恐怖半々でステータスを開き、新しく習得した魔法の効果を確かめる。
─────
『
解禁段階に応じて解放される法を使う。
使用中はmpの自然回復が発生しない。
1:『
体感時間を2倍に引き伸ばす。
消費:客観時間1秒毎にhp1とmp10
注意:使用中は他魔術や魔法は使用不可
2:『
自身を中心とする半径5mにいる任意の生物の体感時間を2分の1にする。
消費:客観時間1秒毎にhp2とmp20
注意:同時に複数生物には使えません
3:『
自身を中心とする半径10mにある空間の経過時間を4分の1から4倍に調整する。
消費:客観時間1秒毎にhp6とmp120
注意:『
注意:解除後1時間再使用不可能
過ぎたる叡智は身を滅ぼし、世界への反逆となるだろう。
名を騙りその身を驕ることで調和を選択しよう。
4:『
其れは空間を鎮める法となるだろう。
良く見極めてから使うと良い。
神より与えられし祝福への最大の反則手にも成りうるだろう。
消費:1秒毎にhp50とmp1000
5:『
4次元位相における半径10m以内にて発生する全事象の把握かつ『理魔管理領域』への侵入門の作成。
消費:残存mp全て、残存hp-1
注意:再使用まで24時間
注意:再使用可能になるまでの間str、vit、agl、dexが5000減少、hp、mpの最大値が75%減少(この効果によりステータスが1未満になることはない)
─────
名前は…あの時の会話に関係受けてそう。
恐らく3までは最初から習得する筈だったのだろう。
『お詫び』が4、『試練突破報酬』が5だろう。
…気になる点は複数ある、というかこれそのものが情報の爆弾。
3までは私の特殊職業らしい順当な魔法…
それにしても今までの魔法や魔術と違ってハイリスクハイリターンなところがある。
これはウィズダレール様は関係なくて…まあハナの『
『
それこそ最上級神の『細工』以上に効果を発する位には。
………確かに影響は受けてる、か。
私はそれを認めながら思考を別の方向に移す。
…1は今からでも確かめられる、か。
「私は不思議の中心に巣食う者」
「未知を既知に、既知を未知に、叡智を我が手に収め…」
「暴かれた世界の理を此の手で掴む!」
「『
そう言うが、私の周りに何かが起こるわけではない。
勿論mpが自然回復しなくなってはいるのだろうけれど…まあ先に検証。
「『
…この部屋には動くものがないから見た目での変化が判りにくいが体の動かし辛さで実感できる。
認識速度が変化してもステータスは変わるわけではないからこうなる…
この動き辛さにも慣れておいた方がいいかもしれない。
気付いたら1時間以上経過していた。
流石に寝ないと問題が出てくる。
業務や仕事には問題は出ないかもしれないけれど、確実に隈ができるからハナやセリアから指摘される。
二時間でも寝ないよりはましだろう。
…もう一度だけ効果に見落としがないか確認して寝よう…
…色々在ってテンションが高くなっているから寝れないかもしれない。
少し発散させておかないと。
──────っ。
◇◆ハナ視点◆◇
「ふわあ…」
そんな欠伸と共にいざ起床…ってまだ4時…まだ寝てても大丈夫な時間では?
まだ外も暗いし…何でこんな時間に起きてちゃったんだろう。
しかも異様に目が冴えるし…
はあ、こうなったら歩いて完全に目を覚ますか。
「ふんふふっふふーん」
鼻歌を歌いながら部屋の外に出る。
…うん?よく考えなくても朝四時から鼻歌を歌うとか大迷惑では?
…静かにしよう。
それにしても普段より睡眠時間短めなのに体感長めに寝てる様に感じる…
病気の兆候とかじゃないよね?
このまま永眠…みたいなことにはならないよね?
流石に冗談だけどね…どこ行こうかな…うん?
「ハナじゃないか」
あ、
こんな朝早くからどうしたんだろう?
勿論私と比べて国王の方が立ち位置は高いから端に寄って頭を下げる。
「こんな朝早くからどうしたんだ?」
…お互いブーメランが刺さりまくってる。
私は
「私は宮廷魔術師として王城内部の見回りをしよあと思いまして…迷惑だったでしょうか」
はい、秘技『クチカラデマカーセ』。
でも別に嘘ついてるわけじゃない。
目的の9割が散歩兼目を覚ますってだけで1割かそこら宮廷魔術師としての責任感がないわけじゃ…なくもない、かな?
「いや、助かるぞ」
お、国王のお墨付きを貰った。
私の朝の散歩は国王公認の仕事になった…?
「そうだ、折角だからアリスの
…流石にこの時間に叩き起こすのは悪くない?
午前四時よ?私がそんな時間に起こされたらキレ散らかすよ?
…まあ国王にお薦めされるという大義名分貰ったしいいか。
「わかりました。アリスの所にも行ってみます」
アリスはどんな感じの反応をするかなーっと。
あ、そういえば。
「国王様はどうしてこんな朝早くに?」
原点に立ち返る…わけじゃないけど気になる。
ほら、訊くは一時の恥、訊かぬは一生の恥って言うじゃん?
そういうことよ。
「…俺は今仕事が終わって寝るところだ」
…あ、お疲れ様です。
実質徹夜みたいなものなんだよなぁ…
度々思うけどやっぱりこの世界には労働基準法がないから半自動的にブラックに…
剣と魔法のファンタジー世界に社畜なんていない筈…!
私は信じないぞ!
…さて、アリスの部屋前に到着。
地味に場所知らなくて迷ったとかその性で複数人と挨拶を交わすことになったとかあったけど特筆するべきことはなかった。
何なら挨拶した人の名前も知らないし…
さて、ノックをして入ればいいんだろうけど…
…うん?声が聞こえる?
「───ナ、ア───」
アリスの声…でも場所が遠いからほとんど聞こえない。
まあ起きてるみたいだし入ってもいいでしょ。
軽く怒られはするだろうけど嫌われはしないでしょ。
というかアリスに嫌われたら中々に詰み。
もし嫌われたらセリアに全力で頼る…というかすがろう。
まあそんなことないだろうけど。
ドアを開け中に入る。
異常な程整った部屋を素通りして隠し部屋…というか研究室に行くための手順を取って…っと。
「────り────い」
というかもしかしてアリスも国王と同じように徹夜仕事してた…というかしてるのでは?
だったらアルティメット迷惑になるだろうし…軽く声だけかけて帰りますか。
「アリス、おはよ──」
「……ハナ?」
何やらアリスの様子がおかしい。
普段は強すぎる理性で抑えてる本能…というかまあそんな感じの物が溶け出してるように見える。
目も何か
そして居所をなくした手が私の肩を掴もうと伸びて──
「…っ!ごめん…」
突然正気に戻ったかの様にアリスは謝る。
一応確認してみるが、不安定で虚ろな目はいつも通り理知的でしっかりとした物に戻る。
…何だったんだろうか。
ああ、仕事終わりで深夜テンションだったのかな?
だったら悪いことしたかもしれない。
「こっちこそ仕事終わりにごめんね」
「それにしてもやっぱりアリスって凄いよね。あんな試練みたいなものを一夜で終わらせちゃうんだもん」
内容は知らないけど国王でも一徹夜分かかるんだから…というかアリスがいなかったら8徹夜位かかるんじゃない?
もっと国王はアリスに感謝して平身低頭してもいいと思う。
「…なんで判るの?」
なんで判るって?
それは国王から……違う。
何か『試練』があった…つまり『
何覚えたか聞きたいけど…『親友』だからって手の内を全て教える必要もないからなぁ。
さて、折角だし少し格好付けてみよう。
「私はアリスの『親友』だから」
「…ハナ、…ありがとう」
◇
それから約五分。
微妙に湿っぽい雰囲気になってしまったからそれを吹き飛ばす様に努めて明るく言う。
「いやー、それにしてもようやく魔銅関係にかたがついたね」
…それにしてもここまで長かったなぁ。
今日が異世界22日目で、最初に魔銅と関わったのが7日目。
…16日。
そう考えると短いのかな?
夏休みの絵日記が半分埋まる分量じゃん。
あれだ。漫画風に言うなら…
───第三部、完!
ってところ?
それか、私達の戦いはこれからだ…!
みたいな?
そんなことを考えてるとアリスから
「…予定は山ほどある…」
そうね、下手な現実逃避はやめよう。
貴族になったからというか宮廷魔術師に就任したからというか、ともかくそんな理由で目の前には課題が積み重なってる。
貴族らしい家を買えだとかそこで舞踏会を開けだとか貴族の
そしてそれら全てを
というわけで、あの学校で前人未到である飛び級を『学問を極めたいから』とかじゃなくて『他の雑技を習得したいから』という理由で成し遂げる必要があるわけだ。
…控えめに言って不可能なのでは?
まあ積み重なっちゃったものは仕方ないしアリスやセリアのためにも…というよりはもしここで私が盛大にやらかすとその
そういうわけで尚更失敗できない。
まあ潰れない程度には頑張りますよ、っと。
決意を新たに私は新たなる世界に足を踏み入れるのであった!
「…そういえば、今日…学院で魔術の実技がある」
え?まじ?
『