『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
ここまでは順調…とは言い難いけれど、まあ上手く事を運んでいる方だと我ながら思う。
けれど…ここからが問題。
ハナの強力な魔法…『
そして呪域『
神域『
つまり私が今、気を付けるのはその3つ。
あの『孤神の球体破片』に操られていると考え、操られている状態なら使えないと思いたいが…そんなのは希望的観測にしかならない。
もし私がハナで、この3つの中でこの位置から使うなら確実に『
神域を使うには距離が離れすぎな上、呪域を使うにはその条件の他にも、一度『
…さあ、何が来る?
私は一挙手一投足を見逃さない様に注視する。
『
そして、ハナが取った選択肢は3つのどれでもなかった。
「《生誕金属》」
聞き覚えのない言葉と共に魔銅の剣が右手に握られる。
成る程、遠距離魔術は止められると発覚したら生成魔術なら魔術要素は作る一瞬だけで作れば後は只の物質…
操られた状態であってもある程度頭は回るらしい。
…でも足りない。
私の魔法がそれだけだと思う?
魔法というのは魔を司る法を改変するからこそ魔法と呼ばれる。
ましてや私は【大賢者】だ。魔の法律には世界一詳しい立場だ。
そして何よりもあのときハナが提唱した説がある。
近付いて来るハナの右手に視線を合わせ剣を
私の世界では私以外の魔術の存在は一切許さない。
これで魔術以外を使わざるを得なくなったはず。
各言う私もmpが減ってきているので魔術を宣言し、杖を変える。
「『
私の所持する
その数合計511。それら全てに貯蔵してあるmpが切れるまで私は無限に魔術を放てる。
普通は貯めたmpも放っておくと減っていくけれど…私の『
それらの合計mp、250万強。
そのmp補給の性質から同時にそれを使うことは能わずとも、半永久的に攻撃可能。
これが私の奥の手の一つ。
ハナは
「『飛翔剣激』…『
私はそれぞれの魔術に複数詠唱を掛けながら、一つ魔術を撃つごとに『
そしてその結果、その場にはまさにこの世の地獄が体言された。
あらゆる場所に斬撃の跡が残り炎上している箇所があると思えば他方では凍結している。
それでいて現在の気温は恐らく-150℃前後。
様々な物の機能が停止するこの極寒の地でハナは…いや、
私はハナを
それが国の象徴だろうと関係ない。象徴が見えない所に隠れているならそれは象徴とは言わず、唯の回顧主義の末路だ。
実用出来ず、価値の見いだせない古き
私の唯一の親友を、理解者を奪うことは絶対に赦さない。
【大賢者】としてではなく、この国の第二王女としてでもなく、アリス・フォン・トラウィスという一個人として、絶対に拒絶する。
強化された魔術をあれだけを大量に撃ち込んだんだ。これで決着が付くとは思えないが、決定打にはなるはず。そう思い様々な物で隠されたハナ姿を見る。
…すると、何事もなかったかの様に平然と此方を見ている。
…ダメージの無効化?
いや、違う。そんな超常の魔術をハナは持っていない。
恐らく『
その証拠に
これでもう一回ハナのhpを削り切れば倒せるが…それは違う。
そしてこれで楽になるかと言われれば、勿論そんなことはない。
全てを蝕み、全てを呪う…呪域が解禁されたと思っていい。
「呪域『
やっぱり、使ってくるか。でも『
漆黒の
その花弁とその勢いに押し負けない様に虹を増やす。
「『
推測だけど、計算上これとあの呪域が打ち消し合う形で釣り合うはず。
問題は此方の魔術はmpを消費するのに対してハナのあれはmpの消費がなさそうな所だ。
今更だけれど、本当に呪域と神域は理不尽の塊。
しかしそれが問題だと言うなら私のmpを尽かさなければいい。
そしてmpが尽きる前にこの無意味な試合を終わらせればいい!
「神域『
まあ呪域が使えて神域が使えない道理はないか。
これで完全に敵側が形勢有利。神域や呪域は使われる場所によっては一撃で勝負が決まりかねないから…仕方ない、『
…魔術を掌握できなくなったのはかなり痛いけど神域は完全に抑え込めたし呪域は他の魔術で打ち消す。
これでギリギリ平等?
いや、全くそんな事はない。ハナは神域『
私が2つの魔術と魔法を犠牲に打ち消したのは神域『
それを圧縮したそれらや、ましてやその2つを合成した神呪『
つまり、近距離に近付いたら一瞬で消し飛ばされると考えた方がいい。
そして神域と呪域のために魔術を抑え込んでいたその枷がなくなるということは…
「《甦造恐怖》」
もちろん今まで封じてきた魔術の扉が再度開かれる、ということ。
その魔術名の宣言と共に全身が震え、目の焦点が合わせられなくなる…がそれだけだ。
朝の模擬戦とは違い正式な詠唱をしていないからか、効果が薄い。
その魔術は正確に言えば、『恐怖』を与えるのではなく『恐怖に依って相手に起こる現象』を与える物だ。
だから実際に恐怖を感じる訳でも、思考が動揺に支配されることもない。
そんな見せ掛けの恐怖でも詠唱で強化を積んだ魔術なら視界が滲み、ぶれて定まらない…という現象が起こるが、今は
精々手足の痙攣と軽い目眩だけで影響は収まる。
そしてそれぐらいならば、私の思考や予測になんの影響も及ぼさない。
多少は行動の方に悪影響が出るかもしれないけれど…それを込みで
「神影より我が断章を紡いだ虚像を産み出せ」
この詠唱は…分身を生み出す魔術か。
わかってるなら完璧な対策は出来なくとも、次善策を考えることぐらいなら出来る。
私は無詠唱で『魔術-16-3-1《雷炎剣》』複数作成しながら、周りにそれらを侍らせハナの行動を待つ。
「『
──今。
mp残高など気にしないとでも言いたげに分身を量産するハナを横目に、私は続けて魔術を発動させる。
良くみればあの球体から常時
最初はこんなのなかったから…いよいよなりふり構わなくなってきた、ってとこだろうか。
ハナの分身魔術の欠点は分身の作成から動き出すまでに約0.2秒の誤差があるところだ。
普通ならそんな誤差は気にならないが、今回はその時間を有効に活用させて貰う。
【大賢者】専用技能である『
普通なら無詠唱でも間に合わない。それこそ音速でも発動過程を含めたらギリギリだろう。
だからそれ以上の速度で対処する。
私の持つ固有魔術の中でも消費mpが
本来なら無制限に使える筈のmpだが、『
合計約10000mpの消費を犠牲に分身の
少し動かれることを承知の上で杖を持ち変え、次の魔術を発動する。
「《三点再臨》」
分身したそれぞれから十二本ずつ魔銅の槍が延びてくる。合計100は越えているだろうか。
『
『
背後に控えさせていた『
されど、未だに残る
別の魔術で対応しようにも今の杖にはmpがない。
そして『
無詠唱と言えども、思考から発動までが0秒で起きるわけではないからだ。
更に言えば、今後使うであろう他の
ならどうするべきか。
私は僅かな逡巡の末、『
取り出したのは杖ではなく───
飛んできた銅の手を『
…私は何も魔術専門じゃない。
魔術や魔法一辺倒に見える私でも【剣術】、【盾術】、【弓術】全てをlv10まで上げている。
それに大量の装飾品でvitは3850まで上げているし、まだ見せていない切り札だってある。
一頻りの剣と魔術の披露宴が終わり、
ここで一度ハナの使える技を整理しておこう。
まずは常にハナが使用している『
問題は他…つまり、『
《甦造恐怖》は既に対応策は出来ていて、『
そうするとやっぱり問題は『
『
構造建築物の生成に、天候変化や温度変化による視界及び環境不良。
そして極め付けは『即興補完魔法』、もしくは『想像補完魔法』と題された未知の『魔法』群。
私の推測では、『即興補完魔法』や『想像補完魔法』はどちらも、所謂『魔法』をハナ自身や『
その細かい違いは判らないけれど…その2つに大きな差はないのだろうから今気にすることではない。
最後に 《三点再臨》 。
ここまでも散々使われてきたこの技だが…それは裏を返せば、気軽に使えて更に私に効果がありそうな魔術がこれ位しかないことにも繋がる。
つまり、これを対処しきればこの長く無意味な試合を乗り切ることも見えてくるわけだ。