『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
◇◆セリア・ティーミール視点◆◇
……情報を整理しましょう。
まずハナさんはソルム
何でも【教皇】様の弱味を握っているらしいですが…
本当に何をしているのでしょうか。しかもその弱味を私の様な人に教えようとするなんて…
まあハナさんの
…ソルム神聖帝国といえば、お伽噺の中に出てくる英雄、マギラフ・ルグエ様を起源に持つ宗教国家です。
基本的には【教皇】様が、見つかっていない場合には枢機卿様が治める…という政治体制だった筈です。
この世界で最も信者が多い『全神教』の【教皇】様の弱味を握る…迂闊に反抗したら例え王族でも大変なことです。
それこそ【教皇】様が破門だと言えば、その家は信徒を名乗ることを許されなくなるだけでなく、村八分…国によっては国八分にもされます。
…状況を整理して少し、本当に少しだけ落ち着いてきました。
…これでいよいよハナさんに反抗出来なくなりました。
とは言いましても私は最初からこれっぽっちもハナさんに反抗するつもりはないのですが…
──私はハナさんを尊敬しています。
私とハナさんが初めて会ったあの時。ハナさんは何も知らず、そして知り合いが一人もいないこの世界に跳ばされて不安だった筈ですが…それなのに私みたいな人に対しても
私にはそんなこと出来ません。
ハナさんが魔銅の
あの時にハナさんが使った魔法…『
帰郷の念をあれだけ膨らませ、あれだけ希望を込めて願っていたのに…ハナさんは私達にそんな様子をほとんど見せません。
ハナさんが【教皇】様に頼んでいた『例の件』というのは恐らくハナさんの元の世界に関する物なのでしょうけれど…それを裏に隠し続けて、
それに【教皇】様の魔術を身を呈してかばってくれました。
あの状況でハナさんが態々私を庇う必要があったとは思えません。ハナさんは【教皇】様の弱味を握っているようなので、最悪【教皇】様に解除させればいい筈です。
なのにそれをしなかったということは……そういうことでしょう。
だからハナさんが如何なる立場だったとしても、…それこそ例えソルム神聖帝国の人だったとしても私はハナさんに付いていきます。
──何故なら私はハナさんの側仕えなのですから。
「おーい、セリア?大丈夫?」
これ以上はハナさんを余計に心配させてしまいますね。
「大丈夫ですよ」
私は努めて明るい声を発します。
私なんかの余計な思いでハナさんの気を揉ませるのはよくありませんから。
「あ、そうだ。お風呂入る?」
王宮のお風呂ですか…私は侍女として入ったことはありますが、入浴したことはありません…私なんかが入ってもいいのでしょうか。
「うーん、今日はあそこにしようかな」
「あそこ…ですか?」
「そうそう、『蒼玉の湯』に行こうかなって」
『蒼玉の湯』ですか!?
私はハナさんの側仕えになった時に王宮のお風呂について教えて貰いましたが…お風呂には『紅玉の湯』、『蒼玉の湯』、『翡翠の湯』、『琥珀の湯』、『水晶の湯』の5つがあります。
そして今並べた順で格式が高くなっていて…『蒼玉の湯』は公爵様とその関係者、もしくは侯爵様本人でないと入れないぐらい格式が高いお風呂です。
「ハナさん?『蒼玉の湯』に入れるんですか?」
「え?アリスが『紅玉の湯』以外なら入ってもいいって…」
…もうハナさんの異常な好待遇や運勢については諦めましょう。
◇◆片瀬花奈視点◆◇
え?『蒼玉の湯』に入ろうって誘ったら軽く溜め息をつかれたんだけど…もしかして私セリアに嫌われた?
あれ?教皇に変なことされかけたから?
いや、でも反応的に違うよね…
多分このタイミングと
そして自惚れじゃなければ私はセリアに嫌われてはいないはず。
…好かれてるかはわからないけど。
そうすると『私が』『蒼玉の湯』に『入ること』が問題なわけだ。
…もしかしてかなり偉い人しか入れないとか?
いや、弁明させて欲しい。本当にアリスに入っていいって言われたのよ。
え?いつ言われたかって?
あれよ。『恋情に翻弄された過誤を起こすバカな貴族の
もうちょっと詳しく話すなら、私が『
何なら状況再現でもする?
3、2、1、アクション!
─────
「…上級貴族令嬢がいる王族居住地区にいた理由…わかった…?」
「いや、全くわからん。やっぱり男女性差って大きいね…王族居住地区以外ではどうしてるの?色々と」
「…浴室は絶対侵入出来ないようにしてる…」
「まあ流石にね…ちなみに入ったら?」
「…魔術が降り注ぐ……そういえば、ハナは『紅玉の湯』以外ならどこでも入っていい…」
「あっそうなの?ありがとね…それにしも魔術が降り注ぐ…降り
─────
…いや、こんな感じで如何にも『
てっきり誰でも入れるものかと…
「まあ兎に角!アリスが良いって言ったんだから行くよ!」
最悪文句言われたらアリスを盾にしよう。
◇
というわけで到着しました!脱衣室!
…ってこんなテンション上げる必要ないか。
ほいほい、何処からともなく出てくるメイドさんからタオルを貰って、一応誰もいないことを確認して………
ちらりとセリアの方を見る。
うん、スタイルいいね。知ってたけど。
ぷにぷに?ぷにぷにぷに?
ほら、しょうがないじゃん?体重計ないのよ、この世界。
…その代わり体重計る魔術とかありそうだけどね。
色々と怖いね。この世界では個人情報保護法が私を守ってくれない…早急に法整備を進めなくては…!
一応メイドさんに、誰かが入ってきた場合には知らせて欲しいと頼んでおく。
ついでに体洗う担当のメイドさんはいらないとも言っておく。
そう!普段は断る理由…もとい断れる理由がないから苦虫を山程噛み潰したような表情をしながら受け入れてたわけだけど、今回は正当な理由があるわけだ!
私的には忘れがちだけど、セリアは私の側仕え。
だからそういうことをしても不思議ではないのだ…!
え?正当な理由なしで断ってもよくない、って?
甘い、甘いよ…誰に話してるかわからないけど、王道ラブストーリーより甘いよ。
そもそもの大前提として
それこそ
そして貴族という生き物はアリスやセリアを見ればわかる通り何故か!そう、何故か!
…大事だから三回言うけど、何故か!見た目が良いののよ。
平均以上を自称できる位には足掻いてる私が霞んで見えるくらいには
つまり、自分よりかわいい人に甲斐甲斐しく世話されることになるわけよ。
私の場合年齢的な問題で同年代になるから微妙な表情にならざるを得ないけど…まあ、それは置いといて。
そんな人達から
まあ仕事しようとして近付いたら断られたわけだからその発想になるのもわからなくはないから、余計断り辛くなるわけ。
あ、これもアリス情報だけど、王族か公爵くらいになるとああいう担当の人を
いや、私はそんなことするつもりは微塵もないんだけどね。
あ、更に付け加えるなら宮廷魔術師第六席の地位をフル活用すれば男爵家くらいまでの人なら強制的に結婚させられるらしい。
…最初聞いたとき意味わからなかったよ。
『え?男爵家の人に結婚を申し込まれたら結婚しなきゃいけないの?』
普通にこんな感じでアリスに聞き返したからね。
詳しく聞いてみると、女性貴族が逆ハーする(?)のは割とよくあるらしく、男爵家の人に『私が』結婚を申し込めば『あっち側の』意思に関係なく『相手 が』強制的に結婚させられる…だそうです。
いやぁ、権力って偉大だわ。改めてそう思ったアリスの言葉だったね。
ちなみにこれも例の『恋バナ』の時の話ね。
ここまで堕落した生活してると帰ってからが不安だなぁ…まあなるようになるか!
さて、とりあえず。
「セリア!洗ってあげるからこっち来て!」