『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
◇◆片瀬花奈視点◆◇
セリアが死ぬほど眠そうだったから思わず寝かしつけた。足元もふらふらしてたし、目も半分…どころかほとんど閉じてて『眠い!』というのを全身で表現してたからね。
最後のほうの『大丈夫』とか完全に大丈夫じゃない人の言い方だったし……というか『大丈夫?』って聞かれて『大丈夫』って答える人ほとんど大丈夫じゃない説あるよね。
大丈夫か大丈夫じゃないかで考えたら大丈夫じゃないわけで……大丈夫がゲシュタルト崩壊してきた。
今思い出したけど、大丈夫の語源は中国の諸子百家に由来するらしい。
諸子百家っていうのは……あれよ。孔子とかのやつよ。『子曰く』の人。
それでその『子曰く』時代の人である孟子が…孟子だとわかりにくいなぁ。
あれか、性善説の人って言えばわかりやすいか。
ともかく、その性善説の人が『人間は『他人を思いやる心』『悪を恥じる心』『人に譲れる心』『善悪を判別できる心』全てを兼ね備えたら『大丈夫』になれる』って言ってたのよ。
つまり、普段何気なく『大丈夫?』『大丈夫。』みたいな会話を繰り広げていた時、裏では、『他人を思いやる心と悪を恥じる心と人に譲れる心と善悪を判別できる心ある?』『もちろんあるに決まってるよ』という意味深な心理戦が行われているわけだ。
そしてセリアはさっき確かに『大丈夫』って言ってた。つまり───
いや、適当に何も考えずボケようとしたけど、セリアの場合この意味でも『大丈夫』そうだからなんとも言えないわ。
まあ本人に訊いたら100%否定するだろうけど…っと。
それにしても美少女は寝顔もかわいいのってずるくない?
私なんて絶対【放送禁止】みたいな感じになるのに。
『すやぁ…』と寝息……は立ててないけど、そういう擬音語が聞こえそうな位気持ちよさそうに寝てるセリアを見ながらそんな下らないことを考える。
あ、やば。やらかしたわ。
セリアを寝かしたせいで私の寝るスペースがない。
このベッドは割と大きめだから普通に横に二人はいるけど、残念ながらセリアを真ん中に寝かせたせいで、左右どっちに入るにしても微妙に足りない、という事件が起きる。
セリアを動かせばそりゃあ寝れるだろうけど、こんなに気持ちよさそうに寝てるセリアを動かすのは忍びないわけで……
そして1日位なら寝なくてもいいけど、二日連続は流石にあれだからなぁ。
まあ自分がやったことだし仕方ないか。執務室の椅子で寝よう。
意外と柔らかくて寝心地よさそうだしいけるでしょ。
……と、まあその前にお風呂入ったりしなきゃだけどね。
疲れてるし朝風呂っていうのもたまには良いんだろうけど、こっちの世界には『朝風呂』という概念自体ないから変な目でみられる。
従って今の内に入るしかないわけだ!
さてさて、今日はどこのお風呂に入ろっかな~
ところでお風呂は5種類あるわけだけど、あれって全部石の名前由来だよね。
ド忘れしちゃって出てこない。
オパールじゃなくて…セルロースじゃなくて…アライアンスじゃなくて……アンバー、そう、アンバーだった。
で、その宝石湯シリーズだけど…どれ入ろう。
一応サファイアが私が入れる中では一番豪華らしいけど……正直な話、違いがわからない。
元一般市民としてはどのお湯ももれなく豪華過ぎるからなぁ……それに、流石にシャワーとかの設備は現代の方が強いわけだし……まあ、そういうわけでどこでも大差ない。
正直入るのが大分面倒になってきてるのは否定しないけど、ここで入らないのは何か負けた気がするから重い腰を引き摺って無理矢理入りにいく。
一番近い翡翠でいっか。
◇
いやぁー、お風呂はやっぱり気持ちいいわ。入るまでは面倒でも入っちゃえばいい感じになるもんだよね。
…どうせ次回にはわすれて、また面倒だとか言うんだろうけど。
全自動洗い機もとい
まあいいや、で、だ。
寝る場所どうしよう。さっき言ってた通り執務室の椅子でもいいけど……
まあ寝るついでに一仕事……もとい教皇サマから送られてきた情報整理でもしますか。
死ぬほどどうでもいい情報とかも多いし存分に寝落ちできるでしょ。
………む、これは………まあ、うん。
今日もお疲れ様でした、お休みなさい。
◇
朝ですよー、っと。
何事もなく無事に起きれたので朝活。
と言ってもいつも通り……正確に言うなら、セリアを起こすところから始まるけど。
まあいつも通りのそれやあれよ。
「セリアー、起きてー」
まだ朝6時ごろとは言え、まあ起こしても文句言われない…でしょ。
「ハナ、さん……?」
寝起きでもさん付け……さすセリ!
それに…まあ、色々とさすセリ!
別に面倒くさくなったわけじゃないよ。唯朝に少し弱くて低血圧なだけだよ。
「あっ!すみません、ハナさん!」
予想はしてたけどものすっごい勢いで謝られた。
平身低頭とかいう次元じゃなく、ものすっっごい勢いで謝られた。
「すみませんハナさん!主人を椅子で寝かして
かれこれこの話5回くらいループしてない?
まあセリアらしいっちゃセリアらしいけど。
「私みたいな──」
「セリアー、そこまでにして学校に行くよー」
ちなみに現在時刻は学校開始30分前である。
ここから歩いて行くと学校までもれなく20分、馬車使っても15分かかるので……準備とかを考えると中々に絶望的な時間。
「早く準備しないと学校に遅れるよー」
その点に関してもセリアに謝られたことは言うまでもない。
というかそのせいで『
◇
なあなあのまま学校が始まり──
──そして終わった。平和の塊みたいな学校だった。
テンプレよろしく襲撃されるとか転入生が入ってくるとかない本当に平和な学校。
平和、ここに極まれり。
なので特筆するべきこともなかった学校は置いといて、家…もとい王城に帰ってきた。
もうこっちでの家=王城になってきてるけど、普通に家買ったほうがいいよね?
「……ん?」
私は執務室の椅子でふんぞり返りながら惚けた声を出す。
別に誰かを脅してるとか煽ってるとかいうわけじゃなくて、純粋に『あれ?』っていう意味の『ん?』
そうだ、忘れてた!
いや、忘れてた事はわりとあるんだけど忘れてた!
…洗濯。
そう、いつぞや王城を彷徨ってたのは洗濯の仕方を見るためだった。『孤神の球体破片』やら何やらで立て込んでて忘れてた。
今日こそ確かめなきゃ。
私は執務室の椅子から全力で立ち上がる…!
「カタセ子爵様、誠に申し上げにくいのですがお仕事が溜まっております」
椅子に座り直す。
あれ?割と最近片付けたはずなんだけどなぁ…
まあ溜まってる物はしょうがない。
真面目に片付けるか…
…
…
…
終わった!
もう夕方っていうより夜の方が近いけど仕事終わった!
今度こそ洗濯の仕方を…
そこで執務室のドアのノック音が聞こえる。
アアアァァァッ!
今度は誰!?
私の洗濯ライフを邪魔するのは誰!?
いや落ち着け。まず洗濯ライフって何だ。
そしてこのタイミングで来そうな人って誰か考えよう。
夜ご飯までは時間があるはずだからローズさんはまだ来ないはず…
まあでもいくら考えたところで私の快適な洗濯追及ライフを邪魔する人の用件なんて聞かない…
「ハナさん、お邪魔していいですか?」
あ、セリアだぁ。
「全く問題ないよ!」
神も褒め称える掌返し。くるくる~
「それでは失礼します」
昨日色々とやらかしたことを自戒しているのか丁寧にお辞儀をしてから部屋に入ってくる。
あれ?でも別に呼んでないよね?私が無意識でセリアと遊ぶ約束を取り付けてた、とかなら別だけど。
「セリアが何でここに?」
「今日付けで王宮で働く事になったんです。それでその仕事場に挨拶をと思いまして」
あれ?じゃあ今までは……まあ気にしたら負けか。
「仕事場に挨拶か…礼儀正しくていい…あれ?仕事場ってここ?」
「はい、この部屋です」
「ローズさん…お姉さんと同じ?」
「アリス様も姉妹でなら働きやすいと仰ってました」
仕事モードなのかアリス『様』呼びだ。
何故か私は『ハナさん』のままだけど。
…同年代の美少女を2人召使いにしてしまった。
あ、ちなみに一人目は教皇ね。
あれでも14歳だって言ってた。マジ?
「それじゃあ何の仕事をやって貰おうかな…」
「初めてのお仕事なのでお手柔らかにお願いします」
そう言われるとどうしても嗜虐心がね。
まあ同時に罪悪感も出てくるからあまり酷い事はさせられないけど…
「それじゃあ部屋の掃除をしてくれない?」
「お掃除…ですか?」
「今後私の部屋によく来ることになるだろうし、今の内に内装とかを覚えておいた方がいいんじゃないかと思って」
まあ仕事関係なく来ることにはなりそうだけどね。
「そういう事ですか…判りました。精一杯お掃除します!」
気合いが入ってるのは嬉しいんだけどミスとかしないか不安。
この部屋には何故か知らないけど高そうな花瓶とか壺とかがあるからなぁ。
まあセリアなら大丈夫でしょ。
ほら、さすセリ さすセリ~ってね。
セリアが掃除してる間何をしよう…セリアしかいなくなるからなるべくこの部屋は空けたくない。
…そうだ!論理の整理がてら教科書つくろう。
というわけで久し振りに“あれ”やっちゃいますか。(夜空に
「何やっているんですか?」
あ、すみません。