「おーい!アルドー!」
「うん?おぉ、ロキ、アイズ」
「ゲッ、アイズ・ヴァレンシュタインさん・・・」
ベルとお父様と一緒に怪物祭を楽しんでいると後ろから声をかけられた。振り返ってみるとロキ様とヴァレンシュタインさんがいた。こちらに近づくヴァレンシュタインさんは私の呼び方に不満を持ったのか
「二人とも、私のことはアイズでいいよ」
「は、はい!アイズさん!」
「・・・分かりました、アイズさん」
愛しいベルはすぐに従った。仕方ないので私も従うことにした。・・・ん?アイズさんの手が・・・ッ!
「ダメです!アイズさん!」
「「え?」」
「ベルは私のです!勝手に許可なく撫でるのは許しません!」
アイズさんはベルの頭を見るや否や急に撫でようとして来た。気づいた私は即座にベルを抱きしめ守る。全く、油断も隙も無い!?
「それじゃあ、撫でて、良い?」
「ダメです!」
「え、えぇ・・・?」
「・・・ハァ、おい、シェイネ」
「へ?あびびびぶぶぶバババ!?」
私の頭が掴まれたと思うと、頭が潰されそうなくらいの激痛が走った。お、お父様!?
「あんまりアイズにいじわるするな、シェイネ」
「け、けど・・・私のベルがぁ・・・」
「シェイネちゃんはホントにベルたんのことが好きなんやなぁ。ほな、行くでアイズたん。これ以上はええやろ、家族水入らずで楽しんで来や!」
「あ、ありがとうございます。ロキ様」
「ええでええで!それじゃあな!」
そう言いながらアイズさんと一緒に何処かへ行った。私達も彼女達とは別方向に行って屋台を楽しんだ。丁度クレープ屋さんがあったので三人前を頼んだ。
「はい、ベル、あーん」
「あ、あーん!」
「よしよし、偉いよ!ベル!」
「う、うぅ・・・」
やっぱりベルの恥ずかしがるのは可愛い、癒しだ。こんな弟を持って私は幸せ者だと思う。そんな時だった。
「に、逃げろー!モンスターだー!」
そんな声と共に悲鳴が聞こえた。それを聞いたお父様の行動は迅速だった。
「ベル!シェイネ!俺はモンスターを処理する!二人は一緒に避難しろ!」
「お、お父さ、行っちゃった・・・』
流石レベル7だあっという間に見えなくなった。取り敢えず私達はお父様の言う通り避難しているが・・・私達の上に影が掛かった。
「!?、姉さん!」
「え?・・・クッ!?ベル!?」
私は突然ベルに押されて驚いたが、私が居た場所を見て唖然とした。それは白い体毛に覆われた大猿だった。確か名前は・・・
「シルバーバック・・・」
「姉さん!」
「な、へ?」
状況について来れない私をベルは抱き上げて走った。こ、これは、お姫様抱っこ!?
「ベル、私、あなたに抱えられて幸せ!」
「急に何言ってるの姉さん!?」
そう言いながら走るベル。私はシルバーバックの方を見てみると私を見ていることに気づいた。しかも、まるで発情しているように見える。ベルは裏道や路地裏を使うことで、巨体が通れないことをいいことに距離が離れて来たが、とある場所の前で止まってしまった。
「こ、此処は・・・」
「ダイダロス通り・・・!?」
ダイダロス通り、オラリオの第二の迷宮と呼ばれている場所だ。此処で迷えば二度と出れないと言われている。しかし、後ろにはシルバーバックがいる。
「クッ・・・姉さん行くよ!」
シルバーバックに気づいたベルは迷わずダイダロス通りに入った。ベルは走りながら私に話しかける。
「姉さん!」
「何、ベル!」
「僕達でアイツを倒さない!?」
「ハァ!?」
急に何言ってるのこの子!?けど、それしか方法が・・・。悩む私にベルは続ける。
「姉さん、僕は今みたいに逃げるのは嫌だ!」
「ベル・・・?」
「あの時のベートさんが言っていたこと、今でも頭に焼き付いている!」
そう言っている内に広い所に着いた。ベルはそこで立ち止まり、私を降ろして振り向く。視線の先にはシルバーバック。そんな格上を目の前にベルは堂々と言った。
「僕は、強くなりたい!」
「ベル・・・」
初めて見るベルの顔、いつもは可愛いらしい顔は凛々しく、カッコいい男の子の顔に見えた。覚悟を決めた弟を見た私の決意はとっくに固まっていた。それに私はヒロインではない。
「私も・・・」
「姉さん?」
「私も、強くなりたい!私は、ヒロインではない!私は!」
「姉さん!」
目の前にシルバーバックが迫ってくる。ベルは私を守ろうと抱き寄せようとする。その前に
「【
「グギャァア!?」
「私は、
「うん!」
「ガァァアア!!」
二人で縦一列で大猿に向かって突貫する。私が前になって後ろがベルという順で行く。私はシルバーバックに近づいて
「【
「ギャァアアア!?」
「フッ!」
「ギャン!?」
「やぁああああ!!」
私の魔法で足止めしている間にベルがシルバーバックに裏周りして【白雪姫】で斬りつける。痛みで動けなくなったシルバーバックを私が胸に向けて連続で突く。そこで魔石を破壊できたのかシルバーバックは灰となって散って行った。
「・・・やった?」
「ヤッタァアア!!」
ベルの声に周囲で隠れてた人達が沸き立つ。ほっとしたのか私は尻餅をついてしまった。そこにベルが私に抱きついてくる。
「姉さん!」
「・・・ベル?」
「大好き!」
「・・・えへへ」
こうして久しぶりの家族団欒のお祭りは私達が新たな一歩を踏み出すと共におわった
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