お父様から武器を貰った後日、今日は
「ヘスティア様、行ってきます」
「行ってきます!」
「あぁ!楽しんでくるんだよ!」
「はい」
ホームでヘスティア様に見送られて私達は集合場所へ向かう。周りは怪物祭の雰囲気で賑わっていて、そんな空気に当てられベルは周りをキョロキョロと見ている。私はベルと逸れないように手を繋ぐ。
「ベル、前をちゃんと見ないとぶつかるよ?」
「あ・・・ごめん姉さん」
私はベルに声を掛けてとある場所を警戒する。一昨日のシルさんの出会いの時にベルが言っていた『視線』を私も気づくことが出来た。この視線は上から来ているから恐らくあの女神なのはわかっているけど・・・遠慮が無い。
(なんなの!?私のベルに視姦しやがって・・・!」
「姉さん?何を言ってるの?」
「エッ!?ナニモイッテナイヨ?」
不味い、心の声が漏れてしまった・・・次から気をつけよう。さっき思ったように、視線の主である女神・・・美の女神フレイヤ様はベルのことを気に入ったのだろう。お母様からはオラリオに来たときは美の女神フレイヤには気を付けろと言われたけど・・・なるほど、こう言うことだったのね。
そう思いながら集合場所が見えてきてお父様を確認したベルは全速力で走りそれに私も続いて歩く。
「お父さん!おはよう!」
「おはよう、ベル。シェイネもおはよう」
「おはようございます。お父様」
「それじゃあ行こうか」
「「はい!」」
挨拶を交わすと、お父様は手を出しながら声をかけてくる。ベルと私はそれに応じるように返事をしながら出された手を繋ぐ。私達家族は怪物祭を楽しみ行くのであった。
「よぉー、待たせたか?」
「いいえ、少し前に来たばかり」
とある店にて、オラリオの二大ファミリアの主神が集まった。片方はアルドの所属するロキ・ファミリアの主神であるロキ、もう片方は最近、クラネル姉弟に目をつけたフレイヤ・ファミリアの主神、フレイヤである。
「あなたの後ろに立っている子は?」
「とぼけんなや、知っとるクセに。アイズや。これ以上に何も紹介なんかいらんやろ。アイズ、こんなんでも一応神やから、挨拶だけはしときぃ」
「……こんにちわ」
アイズの自己紹介が終わったら少しばかりの世間話をして、ロキは本題を切り出すように糸目にしている目を開いて睨みつけるようにして言葉を発する。
「率直に聞く。今度は、何をやらかす気や」
「何を言っているのかしらロキ?」
「とぼけんな、あほぅ」
店の中で張り詰めるロキの威圧感に動けないでいる従業員にフレイヤは優しげに微笑むと、彼は目をはっと開いてその場を退散する。
「最近、こそこそ動いとるみたいやん、自分。興味ないとかほざいておった【宴】に急に顔を出すわ、出したと思ったらすぐ帰るわ、さっきの口振りからして情報収集に余念がないわ……今度は何を企んどるんや」
「企むだなんて人聞きが悪いわよ?」
「じゃかあしいわ。……お前が妙な真似をするとロクなことが起きひん。こっちに面倒が及ぶようなら……潰すぞ」
そんな言葉の応酬を続けて無言になると、ロキは大きな溜息を吐いて呟いた。
「……どこぞのある女神が、これまたどこぞの【ファミリア】の子供、それも"男"を気に入ったっちゅう、そういうことか」
フレイヤの男癖の悪さ・・・・・・は、神々の間では周知の事実だ。
気に入った下界の子供達を見つけてはすぐにでもアプローチを行い、その類ない『美』を用いて自分のモノ・・とする。魔性ともいえる彼女の『美』にとりつかれ虜となった者は数しれない。
「ったく、この色ボケ女神が。年がら年中盛りおって、誰だろうがお構いなしか」
「あら心外ね。分別くらいあるわ」
「抜かせ、男神どもも誑かしとるくせに」
「彼等との繋がりは色々と便利よ?何かと融通も利くし」
「・・・で?どんなヤツや、今度自分の目にとまった子供ってのは?いつ見つけた?」
ロキは教えろ、と口端を吊り上げる。それくらい言えと要求している彼女は言うまで帰さないと、興味深々にしている。
「・・・強くないわ、少しのことで傷ついてしまい、簡単に泣いてしまう・・・そんな子。でも、綺麗だった。透き通っていた。あの子は私が今まで見たことのない色をしていたわ。見つけたのは本当に偶然。たまたま視界に入っただけ・・・それと、もう一人」
「・・・もう一人やと?」
フレイヤの付け足された言葉にロキは片眉を吊り上げる。
「一人目の子と違って強いわ、そして魂の色は水色かしら?凪いでいる静かな湖畔のようで綺麗だった。ただ・・・」
「ただ?」
フレイヤは当時の情景を思い出しながら言葉を重ねていると、フレイヤの動きが止まった。
「ごめんなさい、急用ができたわ」
「はぁっ?」
「また今度会いましょう」
ぽかんとするロキをよそにフレイヤは立ち去る。
「何やアイツ。いきなり立ち上がって・・・アイズ、どうした?」
「彼処にアルド達が・・・」
「何やって・・・お、本当や!折角だし会いにいくか!」
ロキはそう言いながらコーヒーを飲み干して会計に出た。
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