第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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-選択は時に残酷であり美しくもある-


反撃の夜

-惑星ウェイランド 第七機甲基地-

アデルハイン中佐は急足で司令室に向かっていた。

 

表情はどこか固くいつもより険しい雰囲気を醸し出していた。

 

背後には直属の副官であるエルミス・ハストフルク中尉と借りたヴァリンヘルト上級中尉が続いてた。

 

現在部隊の最高司令官であるジークハルトとスターファイター隊の指揮官ハイネクロイツ中佐の部隊が敵の砲撃により孤立状態だという事は知っている。

 

そしてそんな彼らが籠る基地から通信が入ったと聞いて3人は急いでいた。

 

曲がり角を曲がり2人のウェイランド兵に敬礼されドアの中へ入った。

 

既に討伐部隊の最高司令官であるヨージェル准将と基地司令官のファウティ中佐が司令室にいた。

 

他にも第六親衛連隊の中隊長や大隊長が数名いた。

 

「状況は」

 

「変わりない、ただシュタンデリス大佐から通信が入っている」

 

「開きます」

 

士官の1人が通信回線を開いた。

 

モニターにジークハルトと向こうの基地司令官であるスクリール中佐、ハイネクロイツ中佐が写された。

 

背後には包帯を巻いたシュリッツ上級中尉が敬礼していた。

 

「大佐ご無事でしたか!」

 

ヴァリンヘルト上級中尉が表情を明るくして尋ねた。

 

『無事なわけあるもんか。連れてきた外人部隊は既に二個中隊が壊滅、今じゃ200人いるかも怪しい』

 

「たった一撃でそれほどとは…」

 

『あの砲の威力と射程距離なら恐らくこちらのAT-ATウォーカーも貫通出来そうだ』

 

モニターの先のアデルハイン中佐やヴァリンヘルト上級中尉達は唖然としていた。

 

AT-ATの装甲を貫通する砲など聞いた事がない。

 

それに長距離を攻撃出来るという事は移動中に場所を特定され攻撃される可能性があるということだ。

 

そうなったら鈍足のAT-ATにとって強敵となるだろう。

 

早めに排除しなければとアデルハイン中佐は思考を巡らせていた。

 

「どうするんだ大佐、このまま包囲を続けても各個撃破される」

 

『だからお前達の本隊が必要だ。砲撃位置はクーデター軍と新共和国残党軍の本拠地であるペルタ基地。ここを連隊で奇襲し敵重砲と指揮系統を完全に断て』

 

「簡単に言う…」

 

『残された戦力で我々が反対側の麓の敵駐屯地を奇襲し注意を引く。その間に基地を潰せ』

 

「だがそれじゃあもし砲撃された時防げないぞ?」

 

アデルハイン中佐は友を思い不安点を口にした。

 

しかしジークハルトはなんの不安もなさそうに答えた。

 

『シールドジェネレーターをいくつか基地に運ぶ。陥落と同時に展開し小規模だが偏向シールドを作り出す』

 

「道はどうする…獣道でシールド担いで通っていくのか」

 

『いや、クーデター軍が使用していた正規の道を使う。ハイネクロイツが見張りを仕留めその間に我々が進む』

 

聞けば聞くほど無茶苦茶で机上の空論もいいところだ。

 

それでもジークハルトの表情から察するにこれ以上損害を出さず早期に脅威を排除する策は思いつかなかったのだろう。

 

本人としては壊滅しても連隊が全滅するよりはマシだとか思っていそうだ。

 

「…わかった、それで作戦を進めよう」

 

「中佐!?本気ですか!?」

 

ハストフルク中尉が大声を出して聞き返した。

 

『頼んだぞ』

 

「こちらもそっちも準備が必要だろう。何日だ?」

 

『全兵が回復するのに1日、部隊の再編成と展開に1日だ』

 

「ならそれだけで十分だ」

 

『いいのか?作戦や部隊編成は』

 

「問題ないさ、そっちこそ頼んだぞ」

 

『わかってる、では頼んだぞ副連隊長』

 

ジークハルトはわざとらしく敬礼し彼を名前で呼ばなかった。

 

それは親友としてではなく同じ指揮官として彼を信頼してくれると言う事だ。

 

答えなければいけない期待が一気に増えた。

 

「今から作戦を伝達する、全ての指揮官を呼んで来てくれ」

 

「はっはい!!」

 

「頼みましたよ中佐!」

 

ハストフルク中尉とヴァリンヘルト上級中尉は急いで司令室を後にした。

 

「中佐…大丈夫なのかね…?」

 

ヨージェル准将は不安そうな表情を浮かべていた。

 

一見すればただ大口を叩いてしまったように見える。

 

だがアデルハイン中佐にはしっかりとした作戦があり勝算がついていた。

 

「准将、この基地の機構兵力を全て借りてもよろしいですか?」

 

「ああ…だが一体どうする?どうやってそんな短期でペルタ基地を陥すんだ?」

 

アデルハイン中佐は不敵な笑みを浮かべた。

 

帝国軍の力を舐めてもらっては困る。

 

たかが地方の防衛軍、しかも寄せ集めのクーデター軍とそれに群がる反乱分子の成れの果てと帝国軍では雲泥の差がある。

 

その力を見せつける時が今だ。

 

「帝国地上軍の、帝国軍のウォーカー部隊の力を連中に見せつけてやりましょう」

 

 

 

 

-帝国領 エクスパンション・リージョン 惑星アウシュ-

この惑星アウシュはクローン戦争時代、独立星系連合の刑務所として使用された。

 

当初は主に捕虜や国内の裏切り者やスパイを収監していた。

 

戦争終結後この地も当然帝国領となった。

 

当時の帝国軍はここに囚われていた同胞達を助け出した後この刑務所を再び再利用した。

 

旧連合の刑務所が今度は帝国の刑務所となったのだ。

 

敵のいなくなった帝国は主に政治犯を主に収容していた。

 

だが敵は現れた。

 

反乱同盟が誕生する前の反乱組織が各地で出現し帝国に対する反抗を始めた。

 

その多くがテロ行為に手を染め民間人を含めた大勢を大義のための犠牲とした。

 

それが良かったのか悪かったのかは帝国が敗北し新共和国が滅んだ今ではわかるはずがない。

 

当然最初はたかがテロリストに負ける帝国軍ではな勝った。

 

次々と連中を降しそれと同時に必要ない捕虜も大勢取った。

 

それでも次の隠れた反乱分子を燻り出す為になるべく生捕にするのが当時の方針だった。

 

この地にもそういった革命家達の成れの果てが集められ尋問を受けた。

 

最初は誰もしもが口を割らず強気な態度を見せていたようだがやがては尋問に屈し知っている事を全て話すか尋問に耐えきれず死ぬかのどちらかだった。

 

この刑務所で得られた情報は次の反乱分子逮捕へと繋がり更に多くの者がこの地で尋問を受けた。

 

またこの刑務所は今まで一度の脱獄者を出した事がなかった。

 

脱獄を図る多くが未然に察知されより強力な尋問を受けた。

 

なんとか計画を実行に移した者も大半が発見され殺された。

 

結果的にこの地は今もなお血塗られた生臭い歴史を隠し続けてきたのだ。

 

そう“()()()()”。

 

崩壊した新共和国はこの地にそんな刑務所があった事さえ知らない。

 

この地に流された者達は皆未だに行方不明者のままなのだ。

 

エンドアでの敗北後この刑務所の所長は急いでコア・ワールドへ帰還する為にとある事を決断した。

 

まず彼は刑務所に収監していた受刑者3,483人を全て殺害した。

 

虐殺の証拠が残らないように全ての遺体を焼却処分した後彼らは急いで刑務所の放棄し撤退した。

 

数十年の歴史を誇った刑務所は内から爆破され更にインペリアル級の軌道上爆撃によりほとんど跡形もなく吹き飛ばされた。

 

帝国内のありとあらゆる公文書からもこの刑務所の情報や言葉は全て抹消され文字通り闇に葬られた。

 

そんな暗黒の歴史の地に再び帝国は足を踏み入れた。

 

その歴史を繰り返す為に。

 

地上に降り建設を指揮する全ての将校が親衛隊保安局の軍服を着た保安局員だった。

 

護衛にAT-STやAT-MPマークⅢやストームトルーパーが周囲を警戒していた。

 

彼らに守られ建設用の重機が簡易的な建物をベースに建設を始めていた。

 

「建設は、順調かね?」

 

このアウシュ収容所の次期所長である親衛隊中佐フェンディット・ヘイスは建設中の収容所を遠くから見つめた。

 

数名の士官が後に続いた。

 

「1週間もすれば完成します。3日後には強制収容と強制移住が始まります」

 

「アイゼルケ大将と総統はなんと?」

 

「慈悲は無用だ、銀河系を“浄化”する為には必要な犠牲だと…」

 

「それは結構、市街地の増築も急げ」

 

「わかりました」

 

一行は高台から建設される市街地と収容所を見つめた。

 

昔ヘイス中佐は誰かに言われた事がある。

 

「この銀河で戦争がなくならないのは忌々しいエイリアンの種族達が我々を争わせ見せ物にしている」と。

 

それだけではなくあの汚れた種族は多種族を奴隷とし命で富を儲けている。

 

以前の帝国は黙認させてきたようだが我々はそれを脱却する。

 

この尊い命の犠牲で銀河は浄化されるのだ。

 

ホロコースト計画

 

一部エイリアン種族の浄化と粛清を目的としたこの計画の舞台がここに定められた。

 

不純な種族を無くすことで銀河系を穢れをなくし争いから解放する。

 

常に争いを起こし悪しき方法で人々を苦しめているのは奴らだ。

 

そんな癌的存在は訴求に排除しなくてはならない。

 

銀河を本当に平和にしたいのであれば。

 

狂った平和への血塗られた道が今生み出されようとしていた。

 

 

 

 

ハイネクロイツ中佐はふと基地内を歩いていた。

 

もう夜中で本来はしっかりと眠って体力を回復する必要があるのだがどうもその気分にならなかった。

 

死は見慣れているが受けれられると言われればそうではない。

 

目の前で顔も名前も知っている同僚が腹に砲弾を受けて胴体が千切れ爆発四散したのだ。

 

今でも彼の衝撃を受け歪んだ顔が脳裏に浮かぶ。

 

下手に考えないように、それを力に戦うと決めてはいたが簡単には割り切れない。

 

指揮官として、兵士として、戦士として失格だなと心の中で思った。

 

だが体力はだいぶ回復したしそこまで精神的なダメージもそこまで深刻なものではなかった。

 

人の死を間近で見て大したことないというのもそれはそれで異常だが。

 

手持ち無沙汰なので彼は基地内を散歩していた。

 

何も考えず通路を歩き気づいたら作戦室前まで来ていた。

 

しかもあまり人気のないはずの作戦室から光が漏れている。

 

誰かいるのだろうか。

 

興味本位で彼は室内に入った。

 

「誰かいるのかってお前かよ…」

 

彼の目の前には気絶したようにホログラムの中に思いっきり顔を突っ込み眠るジークハルトの姿があった。

 

周りにはいくつかの手書きの資料が散乱しておりジークハルトの格好も完全に疲れて限界が来たという感じだった。

 

鼾一つ聞こえず綺麗な顔のまま気絶したように眠っている。

 

だがいびきの代わりに唸り声が聞こえた。

 

ジークハルトの表情が徐々に苦痛に耐えるものに変わり歯軋りも聞こえてきた。

 

明らかに様子がおかしい。

 

何か小さな声でジークハルトが呟いていた。

 

「……すま…ない……私を…許さ……で…くれ……」

 

流石にまずいと思いますったのかハイネクロイツ中佐はジークハルトを揺さぶった。

 

それでも中々彼は起きない。

 

今度は揺さぶりながら声を発した。

 

「おい連隊長!起きろ!寝るなら仮眠室で寝ろ!」

 

ようやく声が届いたのかジークハルトの目はゆっくりと開き意識が戻り始めた。

 

目をパチパチさせゆっくりと起き上がった。

 

頭が少し痛むのか右手で軽く抑えていた。

 

「大丈夫か?疲れてるなら1時間でも寝た方がいい」

 

「いいや大丈夫だ…これから全員を死地に送り込む指揮官が呑気に休む訳にはいかない。少しでも勝率の高い作戦を考えなければ」

 

ジークハルトはそういい立ち上がったがふらつき蹌踉てしまった。

 

彼の言うような大丈夫からは程遠く見える。

 

息も荒いし顔色も悪い。

 

苦々しい表情を浮かべ再び途切れゆく意識を必死に繋ぎ止めている。

 

流石にこれは寝かせた方がいいに決まっている。

 

「休め、出ないと無理にでも仮眠室に連れて行く。そうなったら部下に見られて大変な事になるだろうな」

 

「それは困るな…なら仕方ない」

 

ジークハルトは苦笑いを浮かべながら壁を伝って司令室を後にした。

 

よく見ると彼の手は少し震えていた。

 

何か忘れられない恐怖を感じているかのように。

 

まさか“()()()()()”をまた思い出してたんじゃないだろうか。

 

少し不安になった為ハイネクロイツ中佐は仮眠室に行こうとするジークハルトに一言掛けた。

 

「なぁジークハルト」

 

彼は振り返り疲れ切った表情を中佐に向けた。

 

それにあえての名前呼びにも少し疑問に思っていたらしくキョトンとしていた。

 

「アイツらの分も勝ってやろうぜ」

 

その真意がわかったのかジークハルトは申し訳なさそうな表情を浮かべながら力強く頷いた。

 

これ以上敗北してやる必要はない。

 

それを上回る勝利を手にし奴らに永遠の敗北をくれてやればいい。

 

2人は固く誓っていた。

 

その為には彼は、ジークハルトは悪魔になることも厭わなかった。

 

 

 

 

-コルサント 総統府第一会議室-

総統府の大臣や長官達は新共和国崩壊後より一層忙しくなった。

 

今まで新共和国が支配していた広大な領土が再び帝国の手に戻り今まで従属していた惑星も帝国に戻ってきた。

 

そのせいで今までの倍以上の領土の管理までしなくてはならず休む暇などなかった。

 

軍を手配し要人と握手を交わし帝国の内政にも手を尽くす。

 

全部を1人でやっているわけではないがどれをとっても十分オーバーワークと言っても過言ではない程の仕事量だった。

 

とは言ってもここからがスタート地点なのだ。

 

新共和国に対する勝利などスタート地点に立つための前段階でしかなく本当の政策はここから始まる。

 

ようやく復讐を果たし前に進める。

 

帝国内の要人達にとってはそれが何よりの喜びに感じていた。

 

この総統府第一会議室でも毎日のように会議が続けられていた。

 

「このように初期目標である6つの収容所はもう間も無く完成し強制移住と強制収用がスタートする」

 

ディールス長官は端的にテーブルに映された収容所を説明した。

 

総統が理想とする世界を創るための第一歩でありそのための最初の小さく大きな政策だった。

 

これに反対しることは仮に大臣や評議会のモフや議員でも許されない。

 

たとえ計画の内容がどれだけ非人道的なものであったとしても。

 

「私の報告はこれで終わりだ。どうぞ次に移ってくれ」

 

長官が椅子に座りホログラムが別のものにすり替わった。

 

銀河系の星図が今度は映し出されている。

 

今度はハインレーヒ長官が報告を始めた。

 

「親衛隊と総統府より新たな出兵案が出された」

 

全員の机の前に資料が配布されホログラム状になって目の前に映し出された。

 

オーラベッシュで『第一次ミッド・リム、アウター・リム討伐作戦』と書かれている。

 

その下には主な作戦内容と予定されている兵力の数が記されていた。

 

どの宙域に派遣される部隊もかなり大きなものだ。

 

逆に言えば大きすぎる。

 

「未だ帝国に対する武力抵抗が発生している惑星への出兵案だ。ついでにこの戦いで大幅に残存新共和国軍の戦力も大幅に削る」

 

「第一次ということは無理に一度で終わらせる必要はないという事だな?」

 

「その通りだ、あの計画と同様これは長期的な見方で行う必要がある」

 

「だが兵力が大きすぎる。これでは帝国領内の警備が手薄になるぞ」

 

「そもそもこの案を防衛大臣は承諾されたのかね?」

 

目線が一部ブロンズベルク大臣の方を向いた。

 

大臣は彼らに目線を合わせる事なく答えた。

 

「賛成はしたが承諾はせざる終えなかった。この出兵案は既に総統閣下の絶対命令として配布されている」

 

総統の名が上がり一時的に会議室は沈黙した。

 

それでも他の長官や大臣が反対意見を口にした。

 

「私は反対だ。旧第一銀河帝国が皇帝陛下の崩御後あそこまで新共和国に敗北したのは戦力が大幅に分散していたからだ。その結果指揮系統が独立し互いの欲から争い敗北を重ねやがては本当に大敗を喫してしまった。今ここで戦力が分散されれば同じ轍を踏みかねない」

 

「そうでなくとも今戦力を遠方に配置すれば不安定な旧新共和国領に対する抑えがなくなる」

 

「今はまだ早い…あと少し戦力が増強された時でも…」

 

「だがこれ以上残党をのさばらせておくわけにもいかんだろう」

 

あくまで賛成派であるゼールベリック大臣はそう口出しした。

 

目線がゼールベリック大臣の方に集まった。

 

「各地の惑星の戦力ではもうクーデター軍や新共和国軍を抑えられない。外交官は皆口を揃えて「帝国の力が必要だ」と言っている」

 

「ゼールベリック大臣の言う通り銀河は再び帝国を求めている。ならそれに応えるべきではないか?」

 

産業大臣のバレティン・エイゼンレーベはゼールベリック大臣の意見に賛同した。

 

彼としては解放された惑星から出る資源などが目当てだったのだがそこはあえて言う必要はないだろう。

 

欲の為の戦争よりも大義のための戦争の方が心地よい。

 

会議室の意見は割れた。

 

賛成する者とあくまで反対意見や慎重な意見を浮かべる者。

 

実際は既に総統の絶対命令が出ている為結果は変わらないが彼らの底にある保身からこのように意見が分かれていた。

 

「一応君たちの意見を取り入れより精密な出兵案を作成する」

 

「取り消しはないのか?」

 

ハインレーヒ長官は頷きそれ以上は言わせなかった。

 

反対派は少し不満げな表情を浮かべていたが大きくは反抗しなかった。

 

会議はいくつか議題を変えて朝方から昼頃まで行われていた。

 

数日後帝国軍と親衛隊は正式に再編された『第一次アウター・リム討伐作戦』を発表した。

 

銀河系に再び平穏が訪れるのはまだ遠い先の話だった。

 

 

 

 

あれから二日が過ぎ遂にアデルハイン中佐との会話で交わされた約束の日になった。

 

きっと向こうでも既に戦闘の最終準備が行われている事だろう。

 

既にこちらの基地では戦闘準備が完了し聞くのも最後になるかもしれないジークハルトの演説を聞く為に全員が集められていた。

 

正直言って基地内の兵力の士気は絶望的だ。

 

さっきからあちこちで戦いを拒む声が聞こえる。

 

そのほとんどがウェイランド軍の兵士や精神が限界まで疲弊したスワンプ・トルーパー達だった。

 

彼らもよくやってくれているがもう限界のようだ。

 

ここまで文句ひとつなく続いてくれるストームトルーパー達の精神的な屈強さと有り難さがよく伝わる。

 

むしろ異常なのは彼ら帝国軍の将兵達だ。

 

見えない敵にどこからともなく砲撃されたった一撃で大勢がまとめて死ぬかもしれない。

 

その砲弾はいつ何時降ってくるか分からない。

 

そんな状況下にも関わらずそれでも両軍共に目立った規律違反などは見受けられずよく職務をこなしてくれていた。

 

おかげでここまで繋げる事が出来た。

 

そしてもう一押しだ。

 

その一押しが彼らにとっては地獄となる。

 

とっくに限界の彼らにジークハルトはシールドの外に出て戦う事を強要するのだ。

 

一度地獄を見た彼らに再び地獄に連れ出す。

 

第三者から見れば悪魔の所業としか言えずとても常人ではないだろう。

 

敵の拠点に辿り着く前に砲弾が降り注げば全滅だし仮に辿り着けたとしても生き残れる確証や保証はない。

 

むしろ確実に何人かは死ぬだろう。

 

それは1人2人かもしれないし10人20人かもしれないし100人200人かもしれない。

 

それこそ敵と共に共倒れ全滅するかもしれない。

 

勝利という僅かな希望を得る為には多過ぎるリスクが彼らに待ち受けていた。

 

それでもジークハルトは彼らを地獄へ引き戻す必要があった。

 

それが彼の勤めであり軍人として彼ら全員に与えられた責務を果たす為でもあった。

 

このまま彼らにウェイランドを譲ればなんの大義も政治的な力もない彼らは軍事的な力を行使してこの惑星をその力で蹂躙するだろう。

 

間違いなく自由や秩序、平和とは程遠い世界になる。

 

何せ既にウェイランドクーデター軍は市民の嫌われ者であり多くの都市や街で信頼を失っていた。

 

そんな連中が政権を乗っ取り好き放題すれば結果は誰しもが想像する形となる。

 

きっと数百、数千の犠牲では済まされない。

 

しかも死ぬのは民間人であり戦い命を差し出す事を躊躇わない軍人ではない。

 

ならばここで数百人、数千人の仲間の命を捧げこの惑星の秩序と平和を守る事こそが彼ら軍人に与えられた使命である。

 

使命を全うする為にはジークハルトは悪魔にでもなるしかなかった。

 

基地内の様々な所から多くの兵士達がとぼとぼと集まってくる。

 

俯き何も喋らない兵もいれば小声で雑談しながら歩いてくる兵士達もいる。

 

逆に大声を上げ反抗する兵もいれば己を奮い立たせる為に下手に言葉を振るう兵もいた。

 

皆それぞれ様々な軍服や装備を身に付け所属もバラバラの彼らが同じ場所に集まりつつあった。

 

「なあ…たい…軍曹、この戦い勝てますかね…?」

 

ベール軍曹の部下のスワンプ・トルーパーが1人ボソッと呟いた。

 

周りの数名の兵が彼の方を見つめる。

 

軍曹もどうやって答えようか困っているらしい。

 

彼は最前線の部隊長でしかない為戦い全体を見通す事は得意ではない。

 

だけど部下の不安を払拭する為に一言掛けた。

 

「分からん…が、勝つように戦うしかない。俺たちにきっと敗北は許されない」

 

「それは…死んでも…ですか…?」

 

部下の不安な声は誰にでも分かる。

 

怖いのだ。

 

目の前に迫ってくるように見える死がたまらなく怖いのだ。

 

それを覚悟の上でこの場に来たはずだがその覚悟が甘かったと彼は後悔している。

 

その心情が彼の泳ぐ目に現れていた。

 

「なら死なないように頑張るしかないだろ…それが兵隊ってもんだ…傭兵や武装集団とはまた違う」

 

彼と彼の部下数十名は元々とある辺境惑星で自警団として活動して来た。

 

その為組織的行動や武器の扱いには慣れており外人部隊の中では一際優秀な部隊として認識されていた。

 

だからきっと実際の戦場でも十二分に戦える、そう思って。

 

されど実際の大規模の戦場を目の当たりにして少し心変わりしていた。

 

若干の後悔と生への諦めが部下達数名に現れていた。

 

こう見えてもベール軍曹自体は昔あのクローン戦争で連合側の傭兵として戦った事がある。

 

その為誰よりも大規模戦には慣れている為もう後悔はなかった。

 

後悔は遠く昔の記憶に埋もれ今じゃ自分の目の前を縦断が掠めてもなんの気にもならなかった。

 

だからこそ彼らに少しばかりアドバイスが出来た。

 

「俺…隊長の言う通りにすればよかった…調子こいて体調にも迷惑掛けて…」

 

「そう思うなら生き抜いて見せろ。死体じゃなくてちゃんとしたお前としてな」

 

「はい…」

 

一行はようやく目的の演説会場へと辿り着いた。

 

場所は司令室のすぐ裏で後ろを振り返れば基地の正門が見えた。

 

これでいつでも出撃と言うわけか。

 

多くの者が背後に死の冷たい風を感じていた。

 

まだ演説をするジークハルトや指揮官達はいない。

 

既にストームトルーパーは全員集まっておりスワンプ・トルーパーやウェイランド兵はざっと半分くらいが集まっていた。

 

並びとしてはスワンプ・トルーパー達が一番前でその後ろにストームトルーパー、最後にウェイランド兵といった感じだった。

 

人数が一番少ないストームトルーパーが真ん中にいる為隊列としては少し歪な形をしていた。

 

先に来た兵士達は隣の者と少し雑談していた。

 

どんな作戦を言い渡されるんだとか、どれだけ過激な戦いになるだとか。

 

自分の命を互いに考えていた。

 

そんな事言われる前に考えても意味などないのに。

 

それでも下手に考え頭を抱えるのが人というものだ。

 

「連隊長中々来ないね…」

 

「まだ全員集まっていないからじゃないか…」

 

「逃げたんじゃ…」

 

「バカ言うなよ…!」

 

雑談の中にも不信感と不安感が芽生え始めていた。

 

それは仕方のない事だ。

 

兵士達が全員集まった頃スクリール中佐や外人部隊指揮官唯一の生き残りであるシュリッツ上級中尉、そしてジークハルトが彼らの目の前に立った。

 

しかしあれだけ戦果を挙げていたハイネクロイツ中佐の姿はなかった。

 

ウェイランド軍のいくつかの指揮官も壇上の下に立っている。

 

ジークハルトが壇上に立つと一気に緊張感が増した。

 

真夜中という事もあり周りは静かでその空気が緊張感を膨れ上がらせた。

 

全員の意識と目線が少なからずジークハルトの方を向いている。

 

彼は軍用のコートと軍帽を纏っており今までとは違う雰囲気を醸し出していた。

 

兵士達数千人の様子をざっと見渡し確認すると彼は一呼吸置いて演説を始めた。

 

「それでは麓の敵駐屯地への攻撃作戦を説明する」

 

鋭い電光のようなものが全員に痺れ渡った。

 

震いが彼らの体を襲い落ち着きを無くす。

 

帝国兵のみならずウェイランド軍の兵士達も静かになっていた。

 

「敵が設置した大型山道を通過し敵駐屯地まで一気に進軍する。山道の見張りは現在ハイネクロイツ中佐が掃討中である」

 

説明は更に続いた。

 

間髪入れずされど丁寧にゆっくりと。

 

時間に追われているがだからこそ焦りは禁物だった。

 

彼らにも心の余裕を持たせる。

 

「道中我々は重火器及びシールドジェネレーターを一基運搬する。駐屯地を制圧した際砲撃を防ぐ唯一の手立てだ」

 

兵士達にざわめきが走る。

 

そんな大きなものを運んで奇襲など出来るのかと。

 

「第一目標は敵司令部。此処さえ陥せば駐屯地を完全に陥落させる事が可能だ。そしてウェイランド軍の兵力で駐屯地を取り囲み敵兵を完全に捕縛する」

 

少し間を置き兵士達にジークハルトの言う事を飲み込ませる時間を与えた。

 

こちらの目標は奇襲による司令部の制圧。

 

言葉にすれば簡単だが実際には犠牲が出るだろう。

 

「その為司令部の制圧はストームトルーパー及び帝国軍外人部隊、ウェイランド軍精鋭部隊で行う必要がある。戦いは過酷なものになるだろう」

 

再び兵士達がざわついていた。

 

特に一番目の前にいる外人部隊のスワンプ・トルーパー達が一番ざわついているように見える。

 

何せこの人数で言えば主力は彼ら外人部隊になるだろう。

 

敵の中に飛び込み死を乗り越え戦わなければならない。

 

それは考えている以上の地獄に突き進むという事だ。

 

「だがこの中で再精鋭なのは君達だ。最も優れた兵士が君達なのだ」

 

スワンプ・トルーパー達を見ながらジークハルトは彼らを称えた。

 

だが小達に乗るほど彼らの精神は豊かではなかった。

 

「優れているから死ねというのですか…」

 

誰がか口走った。

 

それは先ほどベール軍曹に心配事を口にしていたベール軍曹の部下の1人だった。

 

隣にいたベール軍曹や仲間が「おい」と注意する。

 

しかし彼はもう止まらなかった。

 

「俺達が優秀な兵士だから死ねって言うんですか…!?」

 

震えた声が彼の心を表していた。

 

彼だって分かってるはずだ。

 

どうせ自分じゃ何言っても変わらないと。

 

するとジークハルトは壇上を降りてトルーパー達を掻き分け彼のすぐ目の前まで来た。

 

彼はすぐ近くに来たジークハルトを見て怯えていた。

 

叱られるのではないか、それ以上に恐ろしい目に合わせられるのではないかと。

 

ジークハルトは優しく彼に声を掛けた。

 

「君は死にたくないのか?」

 

ジークハルトの問いかけに困惑しながらも彼はしっかりとした意思で答えた。

 

「はい…死にたく…死にたくありません!」

 

「そうか…君の名前は?」

 

名前を聞かれた彼はすぐに答えた。

 

アーロ・ゼルテック二等兵です…」

 

「ではゼルテック二等兵、君にあえて聞こう。君は誰かに今君が抱いている同じ思いを味合わせたいのか?」

 

 

 

 

夜の山道はとても暗い。

 

両脇を見渡せば木々の先は真っ暗闇だ。

 

光など何一つなく暗闇がずっと続いていた。

 

一寸先は闇だというどこか知らない場所の諺があるがこれでは一寸どころか自分の足元すらおぼつかない。

 

その諺を考えた奴は多分相当明るい場所にいたんだろうなと皮肉りながら進んだ。

 

ライトは基本各分隊に付き1人しか照らしていない。

 

幾人もライトを点灯しては敵に見つかる可能性が高くなるからだ。

 

最小限の明かりで進む必要があった。

 

その数少ないライトも敵駐屯地が見えたら消す必要があった。

 

なるべく奇襲を成功する確率を上げるためだ。

 

「ジェネレーターは無事か?」

 

「はい。やはり慣れているストームトルーパー隊に運ばせて正解でした」

 

シュリッツ上級中尉がまだ痛む体を押さえながら報告した。

 

その様子を聞きながらアーロがライトで足元の方を照らした。

 

「おいこっちに灯り寄越せよ」

 

「分かってるって…でも一応…足元に何かあったら…」

 

独り言のように喋りながらライフルの先に付いたライトを別の方向に向けるとある者が露わになった。

 

最初は木か何かと勘違いしたがライトをもっと奥の方に向けるに連れてその姿はより鮮明に浮き彫りになった。

 

あまりに唐突であった為アーロは引き攣った声を上げた。

 

「ヒッ!…これは…」

 

ライトをそれの顔の方に向けていく。

 

ヘルメットを被りウェイランド軍の軍用規格であるブラスター・ライフルを持った男が血を流し斃れていた。

 

数名の兵士が前に出て確認する。

 

「見張りの兵士だ…気にするな、行くぞ」

 

「あっああ…」

 

一行はそのまま進んでいった。

 

死体自体は多少見慣れはしたが真っ暗闇の夜中、突然現れる死体は何を経験したって見慣れない。

 

ホラー要素が強すぎて死の恐怖とはまた別の恐怖が心の中に湧き上がった。

 

だが彼らは恐怖を乗り越え進んでいった。

 

「なあアーロ…お前本当に来てよかったのか…?」

 

ふと同僚の1人がアーロに言葉を掛けた。

 

アーロはライトを照らしながら顔だけ向ける。

 

「本当にって…やるしかないだろ…あんな事言われたら…」

 

 

 

 

 

時間は少し前に遡る。

 

「君にあえて聞こう。君は誰かに今君が抱いている同じ思いを味合わせたいのか?」

 

「えっ…?」

 

ジークハルトの真剣な眼差しがアーロを見つめていた。

 

アーロの方はもう訳がわからない状態だった。

 

なぜそんなことを聞くのかと全く別の事を考え始めている。

 

されどジークハルトは彼に向かって質問した。

 

「君と同じ思いを誰かがするのはどうだ?奴らを倒さなければ少なからず人々は死に怯えて生活する事になる。銃口が常に市民の背後に付くだろう」

 

クーデター軍の悪行はアーロも知っている。

 

すでに小規模の町や村が略奪や襲撃に遭い犠牲となった。

 

恐らく治安維持の名目で大都市に侵入した彼らは熾烈な虐殺を繰り広げるだろう。

 

自分たちが此処で戦わないせいで。

 

ジークハルトは彼の肩に優しく手を置いた。

 

アーロは今までにないほど困惑と怯えに苛まれた。

 

彼の言う事が分からないほどアーロは馬鹿じゃないし落ちぶれていない。

 

それでも心の底ではどこか納得がいっていなかった。

 

「そして今日まで戦い死んできた仲間を君はどう思う?彼らは平和の為に戦って死んだ。此処でやらなければ彼らの死は全て無駄になる」

 

「ですが…」

 

「君は逃げてもいい、敵に寝返ってもいい、私をその銃で殺し全てを無意味にしてもいいだろう」

 

鬼気迫る表情がアーロの顔に浮き彫りになっていた。

 

周りの兵達も少なからず同じだ。

 

「では全ては無駄なのか?平和も、人の一生も、人の努力も、全て無意味で無価値なのか?いいや違うはずだ。みんなも聞いてくれ」

 

今度はスワンプ・トルーパー達の中でジークハルトが全員に向かって叫んだ。

 

目には見えなくとも意識が集中しているのを彼は感じ取っていた。

 

「我々は此処で戦わなくてはならない。それは君達が兵士だからではない!それは目の前で死んだ多くの仲間達の為だ!生き残ってしまった我らが彼らの死を無駄にしない為に戦うのだ!帝国や祖国の為ではない。死んでいった者とこれからを生きていく者達の為に戦うのだ!」

 

ジークハルトの声はどこまでも響いた。

 

誰しもが彼の言葉に耳を傾け震える手を必死に隠そうとしている。

 

「私は君たちを地獄に導く。少なからず君たちは何人か死ぬだろう。だがその死は必ず無駄にはしない。必ず敵を倒し明日を生きるこの惑星の市民達の、延いては銀河系に生きる全ての民の為の平和となる。そして平和な未来を見たいのなら共に戦ってほしい!共に生き抜いてほしい!明日を生きる為に今日を犠牲にするのだ!」

 

「じゃっ…じゃあ……俺たちは他人の為に…死んだ奴らの為に……地獄へ行けって事ですか…?」

 

「そうだ。我々には生き延びた贖罪と戦う為の義務があり、そして我々自身も生きる義務がある。それは必ず果たさねばならない。それを果たす為には君の言う地獄へ、戦場へ向かうしかない」

 

此処で喚こうと彼らの運命は変わらない。

 

きっと彼らの思う通り兵士になどならなければ、此処に配属されなければこんな地獄味わう事なく一生を終えたのだろう。

 

だが彼らは一度選んでしまった。

 

兵士として戦う事を。

 

どんな安い理由であろうと、重い決意であろうとそれは彼ら自身の選択だ。

 

その選択の末の義務を果たす必要がある。

 

たとえそれが死を間近にした戦場であっても。

 

だからこそジークハルトは再び彼らに選ばせていた。

 

誰かに選ばされて地獄に向かうか、それとも自分の意思で再び地獄の戦場へ向かうか。

 

結果は同じだがそこで見える景色はだいぶ違う。

 

選ぶのは指揮官や上官ではなく兵士一人一人にあった。

 

「私は君達に頼む!この僅かな一戦に命を賭けてくれ。死んだ者に顔向け出来るよう、これ以上市民が死なぬよう、そして過去の自分を自分自身で恥じたくないなら、明日を誇れる自分自身でいたいなら戦ってくれ!どうかこれ以上後悔しない道を選んでくれ!」

 

全員に重たい選択を迫る言葉を並べながら彼は兵達の間を潜り抜け正門まで向かった。

 

その先に彼らの目指す参道と駐屯地がある。

 

この門を抜ければ偏向シールドの守りはなくなり敵の砲撃圏内へと足を踏み入れる事となる。

 

ジークハルトは彼らを横目になんの躊躇いもなく門を抜けた。

 

もしかしたら今砲弾が飛んでくるかもしれないのに。

 

恐怖はないのか。

 

数名の兵士達にその言葉が脳裏に過った。

 

恐怖がない訳ではない。

 

兵士を地獄に導くと言う罪の意識も当然ある。

 

だからこそ彼は先頭に立つ必要があった。

 

続いてくれる者を導く為に。

 

覚悟を示す為に。

 

そこには普段家族や同僚に見せるジークハルトはいなかった。

 

まるで多重人格のような変貌ぶりだったが間違いなく彼は1人だ。

 

指揮官としてのジークハルト・シュタンデリス大佐の面がただ前面に出ているだけだった。

 

そして彼は最初にして最後の一言を掛ける。

 

「これより敵駐屯地攻撃作戦を開始する。共に戦ってくれるものは私に続け!!」

 

風の僅かな音すら聞こえない静寂がその場を包んだ。

 

秒数で言えば十秒にも満たないがその場にいる全員には何分にも、何十分にも、何時間にも感じられた。

 

その僅かな間の時間で兵士達1人1人が考えていた。

 

自分は何を選ぶのか。

 

地獄か、恥に塗れた一生か。

 

死ぬかもしれない戦場で全力を掛けて他人を守るのか、自分だけ生き残るのか。

 

絶対はなくとも可能性は極端に分かれていた。

 

だが全員が、多くの者が後者を考えた瞬間脳裏には死んでいった仲間達の光景が浮かんだ。

 

生きていた間の彼ら、死んで死体となった無惨な彼らの虚無の表情がどうしても離れなかった。

 

だからどうしても後者を選ぶ事が出来なかった。

 

死んでいった者達の瞳が彼らに戦えと叫んでいた。

 

それは呪いかもしれないし或いはただの自責の念かもしれない。

 

だが決断の材料としては十分だった。

 

直後一番奥にいたはずのスワンプ・トルーパーとストームトルーパー達が集まって来た。

 

足取りはそれぞれそれでも全員がジークハルトの下に集まって来た。

 

恐怖を押し殺す表情はあっても後悔はなかった。

 

その後にウェイランド軍の兵士達が続いた。

 

誰1人として逃げなかった。

 

指揮官達もその様子を見送るとジークハルトの下に集まってきた。

 

シュリッツ上級中尉に至っては「待ってました」と言わんばかりの表情だ。

 

本当に彼らがいて良かったと思う。

 

恐怖に打ち勝てる彼らで。

 

贖罪が糧となる彼らで。

 

後は勝つだけだ。

 

「よく共に来てくれた。君達は今銀河で一番勇敢な兵士だ」

 

もう褒め言葉として受け取る余裕すらなかった。

 

それでもいい。

 

続いてくれるならなんだって良かった。

 

後の責任は全て自分に、ジークハルトにあるのだから。

 

「では我々は前進する。行くぞ!!」

 

兵士達全ての篤い大声が響いた。

 

こうして彼らは1人としてかける事なく戦場に向かっていった。

 

 

 

 

「見えたぞ!例の駐屯地だ!」

 

部隊の足が一時的に止まる。

 

エレクトロバイノキュラーやマイクロバイノキュラーで確認するスワンプ・トルーパー達を側にジークハルトは一番前に出た。

 

あの様子じゃハイネクロイツ中佐は全ての見張りの兵を倒し進路を切り開いたようだ。

 

駐屯地の方もこちらには気付いていない。

 

此処まではジークハルト達の勝ちだ。

 

「ウェイランド軍と運搬部隊は此処で待機。外人部隊とストームトルーパー全隊で予定通り攻撃する」

 

「了解」

 

「全隊、少し駆け足で行くぞ。我々の攻勢が始まったら全隊で包囲線をしけ」

 

「わかりました」

 

トルーパー達が一斉に進み出した。

 

下り坂だった為上りよりも時間は掛からず敵は1人として生かされていなかった為全員が無事に麓近くまで辿り着いた。

 

「早かったな。こっちはもう準備万端だ」

 

「ああ、何から何まで任せてすまない」

 

「こいつは勲章もんだよ全く…パイロットがやる事じゃないっての」

 

「全く面目ない。全隊、攻撃フォーメーションだ」

 

武器の安全装置を外し運んで来た重火器をセットしたりしていた。

 

いつでも先端は開かれる状態となった。

 

「向こうの索敵能力は?」

 

「どうも連中は目も耳も鼻も悪いらしい。多分だがセンサーがないに等しい。ほとんど目視確認だ」

 

「それは助かる、先行第一分隊はこのまま予定地まで前進しろ」

 

「はい大佐」

 

ストームトルーパー数名が草むらに身を隠しながらギリギリまで駐屯地へ進んだ。

 

これで大体用意は整った。

 

後は命令一つでスタートだ。

 

「中佐、まもなく開始する。準備を頼む」

 

『了解大佐。お気をつけて』

 

通信機を切ると後ろにいる外人部隊のスワンプ・トルーパー達、ストームトルーパー達に話した。

 

「これから戦いが始まる。必ず勝つぞ」

 

全員が力強い頷きを見せた。

 

全てにおいて問題はない。

 

後は戦うだけ。

 

「始めてくれ、ハイネクロイツ」

 

「あいよ」

 

ハイネクロイツ中佐はスイッチを手に持ちその少し硬めのボタンを押した。

 

直後信号が送られ駐屯地内のいくつかの見張り台や砲塔、倉庫などが一斉に爆破された。

 

静かな夜間の空に爆発音が響き渡る。

 

後ろを見ると状況を察したウェイランド軍と運搬部隊が下山し始めている。

 

前方では既に重火器を装備した先行部隊が敵に強烈な一撃を繰り出していた。

 

奇襲を受けた敵兵は混乱状態だった。

 

「全隊!進め!!」

 

全員が大きな掛け声と共にブラスターを前に構えて前進した。

 

彼らを傍にEウェブの高火力が応戦しようと姿を見せた敵兵を蒸発させる。

 

その間にハイネクロイツ中佐も何度目か分からないジェットパックによる空戦を始めた。

 

敵を上空から狙い撃ちアタッチメントに付いているグレネード弾を二発司令部近くに放った。

 

そしてジェットパックに備わっているミサイル弾を一発唯一残っていた砲塔に喰らわす。

 

これで敵は砲撃戦が不可能となった。

 

その間にも中佐は間髪入れず敵兵に銃弾を喰らわす。

 

相変わらずただのパイロットとは思えないほどの戦闘能力だ。

 

並の歩兵など軽く上回っている。

 

既に分隊規模の兵力が中佐1人に苦戦して壊滅状態だった。

 

そして地上では大勢のスワンプ・トルーパーやストームトルーパーの部隊が駐屯地内に突っ込んだ。

 

簡易的な駐屯地らしく建物が少なく視界がとてもいい。

 

と同時に自分の身を隠す場所も少ない。

 

その為目的の場所まで攻撃しながら突っ走るしかなかった。

 

「うぉぉ!!あぁぁぁ!!」

 

泣き叫びそうな声を上げながらアーロがE-10の引き金を引き進んだ。

 

自分の真横や足元に何度もブラスターの弾丸が掠め飛んだ。

 

敵兵や上空のハイネクロイツ中佐や他の部隊に気を取られておりこちらに全火力を叩き込む事は少なかった。

 

兵力差で言えば今の所自分たちが優っているように感じられる。

 

このままいけば勝てるという淡い期待がどんどん大きなものとなった。

 

だがそんなに戦場は甘くはない。

 

敵兵が組み立て式のブラスター砲を持ち出してきた。

 

それに気付いたアーロは急いで大声を上げる。

 

「敵のブラスター砲だ!!隠れろ!!」

 

アーロは急いで近くの瓦礫に身を隠した。

 

直後ブラスター弾が放たれアーロの隠れる瓦礫をいくつか粉砕したのち気付くのが遅れた仲間の兵士達数名を肉片へと変えた。

 

また仲間が死んだ。

 

また自分だけが生き残ってしまった。

 

彼の罪が一つ増えた気がした。

 

反撃しようにも敵の火力が強すぎてこちらではどうしょうもない。

 

「クソっ!此処まで来て足止めかよ!!」

 

苛立ちながらどう敵を倒すか大した知識のない頭で考え始めた。

 

次第に息が荒くなる。

 

すると何処かから声が聞こえた。

 

「しゃがんでろ!!」

 

聞き馴染みのある声だったし何よりその危機を伝える言葉に反応したアーロは急いで頭を抱え蹲った。

 

すると彼の上空を1人のスワンプ・トルーパーが駆けた。

 

直後ブラスター弾が一発聞こえそれ以上ブラスター砲が威力を示す事はなかった。

 

恐る恐る顔を出すとそこには敵を警戒する仲間の姿があった。

 

「お前は…ランスか…?ランス・バルベッドか?」

 

ランスは伍長でアーロはそれよりも階級は低いがタメ口だった。

 

彼がそれでいいと言ってきたのだ。

 

2人の仲はそれほど深くはないがかと言って悪いものでもなかった。

 

「アーロじゃないか!軍曹はどうした?」

 

「俺は別部隊に斥候を頼まれた。軍曹達は今頃反対側の兵舎を陥しにいってる」

 

「なるほど、じゃあアーロ、私について来い」

 

「ついて来い?どこへ行くつもりだよ!」

 

「最大目標の兵舎だ。此処からが一番近い!」

 

ランスはE-11で次々と敵兵を撃ち倒しながら更に奥へ奥へと進んだ。

 

仕方がないのでむしゃくしゃしながらもアーロはランスに続いた。

 

ランスが持つE-11はアーロのE-10より遥かに高性能で次々と正確な射撃で敵兵を仕留めていった。

 

それにランスとアーロの間にはとてつもない練度の差があった。

 

訓練した期間は一緒だがランスの方は最初から規律やらなんやらが整っている状態だった。

 

ともかく彼ら2人はどんどん進んでいった。

 

クーデター兵達は皆駐屯地全体を防衛しようと散開しており司令部までの兵力がだいぶ少なくなっていた。

 

「このまま真っ直ぐ行く!」

 

「でもどうやって司令部をやるんだよ!」

 

「大量の爆薬を突っ込む!そうすればきっと吹っ飛ぶ!」

 

「無茶苦茶だが簡単でいい作戦だな!わかった続く!」

 

アーロは元々は単純な奴だった。

 

自警団に入ったのも外人部隊に入隊したのも彼が単純で世界を知らなかっただけだ。

 

だからこそさっきは苦しんでいたのだが。

 

その為ランスの作戦にはすぐ賛同出来た。

 

下手に入り組んだものよりまとめて吹っ飛ばした方が分かりやすい。

 

「おいあれを見ろ!」

 

するとアーロが空を指差した。

 

その先には敵兵を上空から蹴散らすハイネクロイツ中佐の姿があった。

 

パイロットスーツの配色のせいで完全に真夜中の空と溶け込んで気付けない。

 

「中佐!!中佐!!」

 

「おい呼んでいいのかよ?」

 

「司令部を陥すには中佐の力が必要だ!中佐!」

 

ハイネクロイツ中佐は気づいたのかこちらに向かってきてゆっくりと着陸した。

 

そして2人に続く。

 

「どうしたお前達?」

 

「敵司令部を爆薬で吹っ飛ばします。協力できますか?」

 

「だとよジークハルト、どうする?」

 

既にコムリンクで繋がっていたジークヘルとに中佐は判断を仰いだ。

 

『敵兵の捕虜を取る必要はない、一気に吹き飛ばせ』

 

「だとよ、俺が上から援護するからアーロとランスはそのまま突っ込め!頼んだぞ2人とも」

 

「了解!」

 

「はい中佐!!」

 

余裕のない表情を浮かべながらアーロは前方の敵に銃撃して倒した。

 

周囲を見渡すと再びジェットパックを点火したハイネクロイツ中佐が空へと浮かび上がり敵兵を攻撃していった。

 

2人は言われた通り突っ込んだ。

 

どこから来るかも分からない敵兵の存在が2人を、特にアーロを追い詰めた。

 

彼の息は荒くなり足取りも乱れかけた。

 

何度も心の中で落ち着けと言っているのだが簡単には落ち着けない。

 

現れる敵兵のほとんどがランスのE-11の犠牲となっていった。

 

これではE-11が強いのかランスが強いのか分からないななんて思いながら心を落ち着かせる。

 

「見えた!敵の司令部だ!」

 

「どれが本丸なんだ!?」

 

必死に走りながらアーロは問い詰めた。

 

同じ形状の建物が3つ並んでいる。

 

どれか一つに敵の司令官がいるのだと思うがこちらではその様子が分からない。

 

「全部吹き飛ばすぞ!私は向こうをやる。お前はあれをやれ!」

 

爆弾の束を投げ渡されるとおぼつかない手でアーロは掴んだ。

 

危ないなと思う心の余裕すらない。

 

「起爆したら30秒で吹き飛ぶから急いで投げろ!」

 

「わっわかった!」

 

「それじゃあな!爆発にビビって小便ちびるんじゃないぞ!」

 

「お前こそ!」

 

アーロは爆弾を抱えながらギリギリまで司令部に近づいた。

 

すると司令部の警備兵が数人アーロに気づいた。

 

「敵だ!!撃て!!」

 

数発のブラスター弾が彼に降り注ぐ。

 

なんとかE-10で反撃しながら必死に走り抜ける。

 

一発あたり兵士が1人死んだがまだ敵はかなりいる。

 

仕方がないので爆弾の束から一つ引き抜きスイッチを押して敵兵に投げつける。

 

言われた通り爆弾は30秒後に起爆し敵兵全員を巻き込み大きな爆発を起こした。

 

凄まじい威力で敵兵は肉片一つ残らなかった。

 

またその様子に気づいた司令部の一つと思われる建物のドアが開いた。

 

きっと様子を見に来たのだろう。

 

これは好都合だ。

 

自分でドアを開ける手間が省ける。

 

急いで爆弾の一つを起動し全てをドアの向こう目掛けて投げつける。

 

「いっけぇぇぇぇ!!」

 

彼の期待通り爆弾を抱え切れなかったドア近くの兵士ごと建物は木っ端微塵に爆発した。

 

その余波が隣の建物まで巻き込む。

 

それと同時に隣の建物も、更に隣の建物も爆発した。

 

きっと同じようにランスも成功させたのだ。

 

この時アーロの心には僅かながら成功の喜びが湧き出ていた。

 

自分はやり切ったのだと。

 

その一瞬の余裕が彼を危機へと誘った。

 

「あそこに敵がいるぞ!!」

 

「司令官の仇だ!!」

 

なんと生き残った敵兵が彼に気づいたのだ。

 

アーロがそれに気づいた時にはすでに敵の銃口は彼に向けられていた。

 

まずい。

 

これでは銃弾を喰らって自分も死んでしまう。

 

僅かな時が彼の脳をフル回転させた。

 

一瞬だけ走馬灯と呼ばれるものすら見えた気がした。

 

だが彼は死ぬ事はなかった。

 

上空を飛んでいたハイネクロイツ中佐が全ての敵兵を撃ち飛ばしアーロを守り切ったのだ。

 

ヘルメット越しで表情は見えなかったがきっと力強い笑みを浮かべている事だろう。

 

それはアーロも同じであった。

 

晴わたる生への喜びが彼らを包んでいた。

 

 

 

 

-ウェイランド クーデター軍及び新共和国残存軍領 ペルタ基地-

この駐屯地の陥落は戦闘開始から約12分後に伝わった。

 

1人の士官が慌てて司令室まで飛んで来たのだ。

 

当然報告する相手はパルベン将軍だ。

 

報告に来た士官も新共和国所属であるし情報を掴んだのも新共和国軍であったからだ。

 

「将軍!!友軍の偵察部隊からの報告によると…第六駐屯地は陥落しました…生存者はなしとのこと…」

 

その時パルベン将軍はレーションを食しホロテーブルに向かっていた。

 

コンマ何秒もかからずに振り返りすぐに命令を出した。

 

「駐屯地ごとBV砲で吹き飛ばせ。シールドから出てきた敵を殲滅する唯一のチャンスだ」

 

「分かりました!!」

 

士官は再び飛んで命令を伝えにいった。

 

すると隣でその様子を聞いていたブラウンス中将がパルベン将軍に駆け寄ってきた。

 

「将軍…まだ少し早すぎるのではないか…?捕虜の確認をしてからでも」

 

「そんな事をしていては敵に逃げられてしまう。今勝利に浮かれる敵をまとめて吹き飛ばすのが勝利への最善策だ」

 

「だがまだ味方の兵力がいる可能性が…」

 

「味方の兵力がいても撃つのだ。少数の犠牲で敵を殲滅出来る」

 

パルベン将軍は冷酷で非常な判断を下した。

 

その決断に納得のいかないブラウンス中将はパルベン将軍に食い下がった。

 

「あの駐屯地には確かにクーデター軍しかいない。だから撃つのか?」

 

「そうではない…必要な犠牲だから攻撃するだけだ」

 

「あそこにいるのは俺の部下だ!決定権は俺に…」

 

「BV砲の使用権は我々にある!どうか邪魔しないで頂きたい。急いで砲弾を詰めろ!」

 

それ以上ブラウンス中将に喋らせない為に彼の部下2名が間に入った。

 

どうにも解せない。

 

パルベン将軍ら新共和国残存軍は彼らクーデター派をまるで番犬のように扱っていた。

 

次々と犠牲になるのはクーデター軍であり新共和国側の流血は微々たるものだった。

 

まさかこのまま我々を使い潰すつもりなのではないか。

 

そんな疑念と不安がブランウス中将の脳裏に過った。

 

そう考えると目の前の新共和国将軍が堪らなく憎く感じる。

 

彼の冷徹さがまるで自分たちを嘲笑っているようだ。

 

だが彼に妙な疑念を抱かせる時間はなかった。

 

次の瞬間とんでもない報告が入って来たからだ。

 

「報告!!上空にインペリアル級三隻、ゴザンティ級数十隻を確認!!これは…帝国軍の降下部隊です!!」

 

報告を聞いた途端パルベン将軍の顔が引き攣った。

 

あり得ないと言った表情だ。

 

最悪の報告は立て続けに繰り返された。

 

「全方位よりウェイランド軍機甲部隊、帝国軍ウォーカー隊接近!!数は計り知れません!!」

 

「バカな…レーダーは何を…」

 

あのパルベン将軍が大きく狼狽している。

 

それほど衝撃的だったのだろう。

 

「ジャマーを検知…将軍…」

 

士官の1人が絶望的な表情でこちらを見ている。

 

将軍重同じ面持ちだ。

 

直後司令室に轟音が響き大きな振動に襲われた。

 

立っていられないほどの振動だ。

 

「なっなんだ…!?」

 

ブラウンス中将はらしくない声を上げ周囲を見渡した。

 

一方のパルベン将軍は全てを察知していた。

 

鋼鉄のバケモノ(ウォーカー)”が降下に成功してしまったのだと。

 

耳を澄ますと特徴的な歩行音が聞こえた。

 

その直後聴き慣れた重レーザー砲の音と爆発音が響き再び振動に襲われた。

 

兵達の悲鳴や逃げ惑う声がこの司令室からでも伝わる。

 

立ち上がり司令室の窓から外を見渡すとソイツはいた。

 

地を眺め血のように真っ赤な重レーザー砲を放ち地獄を作っていた。

 

誰が見ても敗北を想起させるものだった。

 

あのパルベン将軍でさえ青ざめている。

 

他の将校もこの世の終わりのような顔で基地から逃げ出そうとしていた。

 

するとパルベン将軍とヤツの目があった。

 

赤いあの無機質な目がこちらを見つめる。

 

すると将軍の息が突然荒くなってきた。

 

昔の事を思い出した。

 

あのデカブツに囲まれた地獄のような戦場を。

 

こちらの攻撃は何一つ通じずまるで虫けらのように仲間が殺されていく絶望感を。

 

そして彼はふとらしくもない事を言った。

 

「終わりだ…」

 

窓に映るAT-ATを見つめながら将軍は全ての終わりを悟ったのだ。

 

 

つづく




ご立派な演説ってのはなかなかに大変っすね()
そしてもう16話か
頑張って早く終わらせないと(もう次の話書きたい民)
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