-Unknown Regions ESD Eclipse-
銀河は今まで様々な進化を遂げてきた。
一般から軍事に至るまで。
長い長い歴史と共に銀河系は飛躍的な進歩を遂げてきた。
例えばハイパースペース。
これが発見され実用化されると銀河系は一気に活動範囲を広げた。
その技術は時代と共に積み重なり今では遠く離れたコア・ワールドからアウター・リムに至るまで人は、銀河は手を伸ばす事が出来る。
人々は次第にこう思うようになっていった。
我々に不可能なんてないと。
やがては更に広い未開の地すら自らのものに出来る。
確固たる自信が大小少なからず銀河系の人々には存在していた。
だが未開の地を切り開くのはそう簡単な事ではなかった。
特に戦乱が続く今の銀河系では。
開拓よりも人々が求めるのは勝利と平和。
未知の場所への夢や希望への関心は次第に薄れていった。
だがこの男は違った。
男はいつか、やがていつかは銀河の果てに手が届くと考えていた。
多くの助力の元、男は未知の領域に研究所や通信ステーションを作った。
力の水源を求め、根源を求め続けた。
その成果は一般に触れる事はなくとも大きな遺産となった。
男の死後、男が作り出した未知への遺産は多くの者を生かす事となった。
戦いから逃れた者達は未知を場所を合流地点とし再起を図った。
残党と揶揄された彼ら、彼女らは今では昔に比べては遠く及ばないものの強大な力を手にした。
やがては残党という肩書きすら外れた。
新たな名が必要だ。
きっと遺産を遺した男の“
ファースト・オーダー
皇帝の命令と遺志を引き継ぐ者達でありもう一つの帝国の姿でもあった。
「クワットの支援でようやくリバイバル級の編成が整った。だがいいのか?あの艦はあくまでプロトタイプだ」
「テナント提督の言う通りもう少し技術が成熟するまで待っても良いのではないか?」
会議室の場でネール・テナント提督とエスク・タラッツ提督は少し慎重意見を口に出した。
ここはファースト・オーダー総旗艦エクリプスの会議室だ。
ファースト・オーダー軍の高官達が集められ今後に対する会議が開かれていた。
慎重意見を唱えた2人はかつて帝国軍では名のある指揮官の親族に持っていた。
ネール・テナント提督の伯父は統合本部にも所属していたニルス・テナント提督だ。
テナント提督は既に退役されたが彼の甥は現役であった。
そしてエスク・タラッツ提督の父は旧共和国宇宙軍最後の作戦部長であるタラッツ中将である。
アカデミー創設に大きく関わった彼の父はニルス・テナント提督同様退役し作戦部長の座を他の者に譲った。
帝国の敗北でエスク・タラッツ提督が父と同じ作戦部長の座につく事はなかったが父以上の指揮能力を秘めていると噂されていた。
「まあ良いのではないか?あの艦の設計なら解体も改修も簡単だ」
次に口を開いたのはイェール・カールセン提督だった。
彼はファースト・オーダーの現在指導者であるレイ・スローネ大提督が初めて艦長を務めた艦の先代艦長だった人物だ。
その縁もあってか軍歴を重ねたカールセン提督はスローネ大提督らに快く迎え入れられたのだ。
「即時的な戦力としては私も大歓迎です。現在我々の艦船不足は表面化していないだけで酷いものですから」
「確かに…自衛戦力はともかく、反撃する時のことを考えたら大きく戦力不足だ」
パーシル・ランパート提督の発言にピアーソン提督は賛同した。
ランパート提督は帝国初期のウォー・マントル計画で重要な役割を果たしたランパート中将を従叔父に持っていた。
提督自身も兵士の徴募や徴兵なども得意とし地上軍のハックス将軍と共にファースト・オーダーの戦力確保を担っていた。
一方のピアーソン中将はあのジャクーの戦いで総旗艦ラヴェジャーに乗船し艦隊の指揮を取っていた人物である。
彼もラヴェジャーの墜落で戦死したかと思われていたが脱出ポッドで逃げ延びた後他の艦に助け出され無事あの激戦を生き延びた。
そんな彼らの間に割ってはいる人物がいた。
「スローネの決定ならば私は無条件に賛同しよう」
「ボラム元帥…」
この老人の名前はホドナー・ボラム。
ファースト・オーダー地上軍の元帥であり旧共和国軍からの軍歴を誇る為“オールド・マン”という異名を誇っていた。
その名に恥じることなく彼の軍歴は凄まじい。
クローン戦争を生き延びジェダイの大粛清中のある時は要塞に籠ったジェダイに対してクローン・トルーパーを率いて戦ったとまで噂されるほどである。
彼は結局様々な理由が重なり今では元帥であるものの大将軍になる事はなく当時は将軍のままだった。
エンドア戦後は帝国の現状を正しく認識していた貴重な上級将校だった。
その結果か彼は故ガリアス・ラックス元帥が設立したシャドウ・カウンシルのメンバーとして選ばれた。
しかしラックス元帥とボラム元帥の意見は対立する事が多くあった。
彼は鋭い洞察力を持つ思想家だ。
帝国が抱える問題やラックス元帥があえて生み出しているとしか思えない疑問点がよく分かった。
その為シャドウ・カウンシル内ではラックス元帥とよく対立し何方かと言えばスローネ大提督の側に着く事が多かった。
だがスローネ大提督はラックス元帥の罠に嵌り一時的ではあるが姿を晦ました。
シャドウ・カウンシルは事実上のラックス元帥の独裁状態となった。
当然ボラム元帥はその事に納得いくはずもなく度々反対意見を口にしていた。
無論そのほとんどは意味をなさなかったが。
結局彼の言いなりのままボラム元帥含めたシャドウ・カウンシルや残存勢力はジャクーへと向かい決戦に挑んだ。
ボラム元帥も当然この時は反対した。
ジャクーのような砂漠の惑星に戦略的価値はなく厳しい気候が兵士達の戦意を大きく削ぐだろうと進言した。
されど戦いの火蓋は切って開かれた。
それはラックス元帥が密命を受けていたからなのが理由であるのだがボラム元帥は知る由もなかった。
ボラム元帥はそんな過酷な状況下でも勝利する為に全力を尽くした。
かなり型破りな戦術を使い新共和国地上軍を多いに苦しめ上陸部隊の侵攻を大幅に遅らせた。
だが帝国の敗北を遅らせる事はできなかった。
ラヴェジャーは地上に墜ち司令部は大きく壊滅した。
この時点でボラム元帥は敗北を悟った。
急いで出来る限りの部隊を集めたボラム元帥は地上に隠されたインペリアル級や帝国艦船を半ば強奪する形で手に入れジャクーから脱出した。
その後様々な宙域を放浪した後スローネ大提督達に拾われ地上軍の総司令官として元帥に昇進した。
元よりスローネ大提督との関係は悪くなくまた彼女に恩義を感じたボラム元帥はファースト・オーダーに従く事を決めたのだ。
「この老耄が一つ言うとすれば我々は今、我々が思っている以上に危機が迫っていると言うことだ」
ボラム元帥は白い顎髭を撫でながら低いながらも渋い美しい声で現状を提示した。
他の高官達も少なからずその事については理解しており険しい表情を浮かべている。
「…リザレクション計画は半ば成功しつつある」
1人の将軍が声を上げた。
ファースト・オーダー地上軍のブレンドル・ハックス将軍だ。
一見するとただの官僚や幕僚タイプを思わせる顔付だが実際はそれだけでは表せないほどの能力と狂気にも感じられる発想力を持っていた。
彼もまた共和国軍時代からの士官でありエンドア戦の前までアケニス・アカデミーで司令官の任についていた。
ハックス将軍は他の司令官達とはまた違う考えを持っておりそのことがラックス元帥に評価され次世代の帝国を創る為に誰よりも重要視されていた。
それは今のラックス元帥亡き後の今でも変わらず、ファースト・オーダーの軍の基盤を作成を任されていた。
その一角が“リザレクション計画”と呼ばれる軍備拡大計画だった。
「既に第一次で集められた約120万人のうち29万4,000人の教育が終了した。いつでも兵士として配備出来る」
ハックス将軍は淡々と成果を説明した。
その様子を諸将達は其々感嘆や驚きの声を上げながら聞いていた。
だがスローネ大提督は少し険しい顔をしていた。
「このまま計画を続ければあと1年で120万…いや、200万人近い兵が誕生するだろう。より忠誠心の高い兵士がな」
ハックス将軍は最後の言葉を強めた。
それは過去の帝国が編み出した育成方針との決別でもあった。
「これはシュミレーションだが現在戦闘状態になった場合このペースでいけば少なくとも6年は耐えられると言う予想だ」
「だが信用出来るのかそんな兵達を…所詮は寄せ集めではないか…?」
今度は不安感や信じられないと言った声が聞こえてきた。
ハックス将軍はその返答に対して少し苛立ちを覚えた顔を浮かべたがスローネ大提督が宥めたお陰で両者とも静まった。
そこで彼女は口を開いた。
「ここで改めて全員に問いたい。我々が打倒すべき新共和国は斃れた…第三銀河帝国を名乗るかつての同胞達によってな」
ファースト・オーダーの使命は帝国の再建と新共和国の打倒。
どんな手を使ってでもこの2つを成し遂げるつもりであった。
だが2つともファースト・オーダーが成し遂げる前に彼らが成し遂げてしまった。
第三銀河帝国が。
元通りとは言えないが帝国を再建しあまつさえ宿敵新共和国すら打ち倒してしまった。
単なる逆恨みだと言う事は分かっている。
帝国再建も新共和国打倒も帝国軍人や帝国の人間であれば誰もが思い付くことだ。
ただ一番乗りを盗られてしまった。
それだけだがその事が彼ら彼女らに大きな無気力感を及ぼした。
我々が耐え忍んだこの時間は一体何の為にあったのだと。
だがスローネ大提督にはそんな事を思う時間はなかった。
託された遺志があり彼女自身の思いが大提督を突き動かしたのだ。
「かつては共に陛下に忠誠を誓った身、争いは望まない。だが」
だがもし第三帝国が戦争を望むなら。
かつての同胞すら滅ぼし喰らうのであれば。
彼女は既に決まっていた。
だが彼らはどうだろうか。
その事を問い詰めていた。
「もし仮に第三帝国が我らと戦う道を選んだ時、君達は同胞を討つ事が出来るか?かつての同胞達を殺す事が出来るか?」
第三帝国とはいえかつての同胞達だ。
共に戦った仲間もいればそれ以前の親友もいるだろう。
そんな彼らを殺せるのか。
だが現実は残酷そのものだ。
殺さなければ殺されるだけ。
スローネ大提督があの時決断し殺めた時のように。
「当然返り討ちにするまでだ」
一番最初に口を開いたのはハックス将軍だった。
彼は自信に満ちた笑みを浮かべている。
敵となるなら必ず殺してやるといった表情だ。
「生きる為には仕方あるまい…望まないとしてもな」
ボラム元帥も既に覚悟を決めていた。
「ああもちろんですとも!」
「その時は代理総統の首を取ってやりましょう」
「ファースト・オーダーの、真の帝国の力を見せてやる!」
他の諸将達からも勇ましい言葉が飛び交った。
少なくともこの様子なら敵となった第三帝国と戦う時躊躇う事はなさそうだ。
少し威勢が良すぎるのはそれはそれで問題だが。
だが躊躇わず敵を恐れていない点が現状においてはベストな状態だ。
「君達の心意気は嬉しく感じる、そして我々は敗北してはいけないのだ。死んでいった仲間達が託してくれた分までも」
スローネ大提督の言葉に諸将は感慨深そうに頷き決意をさらに固めた。
「再び
遠く離れたこの地でまた新たな歴史が動き出そうとしていた。
死んだ者達の遺志を未来に進めて。
-Unknown Regions Csilla-
人が銀河に国を作りそこで繁栄していくように未知領域にも同じように国は存在していた。
だが銀河系の人々は長い間彼らの存在に気づけていなかった。
無論未知領域自体が不確定な要素ばかりで探索が進んでいないということもあるのだがそれだけではない。
極めて秘密主義の彼らはは自ら銀河との交流や接触を少なくしたのだ。
だが長い年月を経た結果彼らにも変化が生じた。
平和とは永遠ではない。
やがては、望まなくても危機が訪れる。
それも国家どころか生命全てを滅ぼしてしまうかもしれない危機が。
危機には立ち向かわなくてはならない。
恐怖を押し殺し勇気を振り絞って己と仲間の命を守らなくてはならない。
その為にはやはり仲間が必要だった。
銀河規模で強大な力を誇る同盟相手が。
彼らは数百年ぶりに銀河系へと人を派遣した。
当然全てが上手くいったわけではないが肝心の同盟相手は見つかった。
第一銀河帝国。
銀河規模の中央国家であり強大な軍事力とそれを完全に統率する能力を持っていた。
彼らの同盟相手には相応しい国だ。
惑星シーラを首都とする“チス・アセンダンシー”にとっては。
帝国が斃れ第二、第三の帝国が誕生した今でも彼らは未知領域でまだ見ぬ脅威に備えていた。
“
「フェルよ、卿の働き見事であった。我が祖国は卿らのおかげで更なる繁栄を遂げる事ができた」
帝国軍の黒い軍服に赤いマントを羽織ったインペリアル・ファミリーのヴィルヘルム・フェルは深々と玉座の青年に頭を下げた。
モフの階級章とチス・アセンダンシーの階級章、そして貰った勲章が重なり合い少し音を出した。
彼の階級の重さであり功績の大きさだった。
彼が頭を下げている人物はチス・アセンダンシーのロード・アリストクラ“ヴィサーリヴィリフ”。
チス・アセンダンシーの最高指導者にして彼らヴィルヘルムらを保護した恩人であった。
現在のチス・アセンダンシーはロード・アリストクラの座につく王家であるヴィサー家と彼の隣に控えるチェンセラー・アリストクラの宰相家であるヴォラク家に治められていた。
またそれを補佐する9つのルーリング・ファミリー・アリストクラ九家に支えられ帝国からの亡命者達インペリアル・ファミリーがアセンダンシーに尽くしていた。
チス・アセンダンシーは以前から大きな変化を遂げた。
9つの家々はそれぞれの利権と同盟関係をめぐり一種の冷戦態勢へと陥っていた。
そこに変革の風が流れた。
首都惑星シーラ一体を治めるヴィサー家とヴォラク家が立ち上がった。
元々存在した王家の末裔であり少なくとも影の影響力は大きかった。
ヴィサー家当主のリヴィリフはアセンダンシーの指導者になった後早速ヴォラク家の当主ヴォラクラストーレと共に改革を始めた。
彼らが目指す目標はただ一つ、立憲君主制の国へと変化させる事だった。
これには帝国からの特使達の支援もあり民衆の大きな指示を受けたリヴィリフは半ば形骸化したロード・アリストクラの座に就いた。
数百年、数千年ぶりに民衆の手から王が生まれたのだ。
民草を導き危機を退ける真の王が。
当然王の誕生に納得いかない者達もいた。
特に9つのうち7つのルーリング・ファミリーは猛反対しリヴィリフも抹殺まで計画した。
無論これを予期できないリヴィリフではない。
彼は9つの家全てを制圧する術があった。
リヴィリフの賛同者の中には9つの家の血縁者もいた。
彼らに兵力を持たせたリヴィリフは9つの家を乗っ取らせ完全にチス・アセンダンシーを掌握した。
そこでいくつかの内乱が勃発したが帝国式のより強力な国民軍を持つリヴィリフに敵うはずもなく次々と敗退。
彼の改革はこうして大成功で幕を下ろしたのだ。
それから数年後、エンドア戦後の動乱は新生チス・アセンダンシーにも無関係ではいられなかった。
領土を大幅に拡大し勢いに乗るチス・アセンダンシーだったが単独では新共和国と激突した場合敗北する危険性があった。
一方の帝国も皇帝亡き後は分裂し以前の姿を失った。
そんな中チス・アセンダンシー領まで大勢の帝国軍が亡命しようと押し寄せてきた。
彼らは選択を迫られた。
帝国軍を匿うか。
それとも見放すか。
選択次第では彼らも銀河内戦に巻き込まれる事となる。
だが彼らは決断を下した。
帝国軍の亡命者達を受け入れる事を。
この時のアセンダンシーの選択は大正解だったと言える。
帝国の人材と技術力を取り込んだチス・アセンダンシーは更なる発展と繁栄を遂げた。
特にインペリアル・ファミリーの二大勢力となったフェル家とタッグ家は新領土の治政において能力を遺憾無く発揮しアセンダンシーの発展に尽くした。
こうしてチス・アセンダンシーは今まで以上の力と技術を手に入れたのだ。
「有り難きお言葉…亡命者たる我々を受け入れて下さった陛下には頭が上がりませぬ」
ヴィルヘルムはさらに深々と頭を下げた。
黒髪のオールバックにカリスマ性を感じさせる表情と容姿端麗なその顔は男女問わず誰もを魅了した。
青き肌に紅い瞳を持つリヴィリフさえも彼に魅了されている。
彼はインペリアル・ファミリーの中でも特にこのヴィルヘルムがお気に入りだった。
能力は元より彼の性格や指導者たる風格に何かを感じ取ったのであろう。
リヴィリフは彼を重用し彼にアリストクラの地位と客将提督の称号を与えた。
ヴィルヘルムは今や帝国のモフだけでなくチス・アセンダンシーのアリストクラでもあった。
「アリストクラにしてモフフェルよ、卿に尋ねたい事がある」
玉座の隣に佇む宰相ラストーレがリヴィリフの代わりに尋ねた。
彼も同じく最高級のマントを羽織り白いチス・アセンダンシーの制服を身につけていいる。
アセンダシー内No.2の権力者という事もあってかまだ若いのにも関わらず彼から放たれるオーラはリヴィリフと同等のものだった。
彼の胸元の階級章や勲章が彼の力を表している。
冷酷に感じるほど深く赤色に染まった瞳がヴィルヘルムを見つめていた。
ヴィルヘルムも黄金色の瞳で見つめ返した。
「我々の情報網によるとどうやら卿らの故郷である銀河帝国は第三銀河帝国として再建を果たし宿敵新共和国を討ち果たしたそうだ」
「それは確かな情報でしょうか…?」
流石のヴィルヘルムその言葉を疑った。
彼が大勢の将兵を引き連れてこのアセンダンシーに亡命した時には考えられない出来事だ。
帝国が再建するなど。
しかしラストーレは深く頷き説明した。
「確かな情報だ。首都を失い元老院も指導者も死んだ新共和国は以前の卿らのように軍将と化し戦いを続けている」
「帝国の方は銀河系から多くの支持を集め支配体制を確立しているそうだ」
2人の言い方から察するに間違いなさそうだ。
帝国が蘇り新共和国が滅びた。
だとしたら指導者は誰であろうか。
ヴィルヘルムは知りうる限りの帝国の指導者や指揮官を思い起こしては理由を考え破棄していった。
生き残ったと思われるどの指揮官も指導者もわずか2年近くで新共和国打倒まで繋げられる能力はない。
誰が今の帝国を指揮しているのだろうか。
「なあフェルよ、予は思うのだ。再び…いや、新たに第三銀河帝国と同盟を結ぶのはどうかと。やはり脅威には卿ら帝国の力が必要だ」
リヴィリフ王は微笑を浮かべながらヴィルヘルムに提案した。
彼が呼ばれた本題はここにあった。
続いてラストーレがより詳しく説明する。
「仰られた通り我が王は帝国との同盟を考えておられる。とはいえ我々は卿らの帝国に関しては無知に等しい。だがら卿の忌憚のない意見を聞かせてくれ」
「予は卿の提案ならば受け入れよう、さあもうして見よ」
2人から言い寄られヴィルヘルムは少し考えた後自分の意見を口にした。
これは心からの本心も入り混じっていた。
「陛下、率直に申しますと今同盟を組むのは早うございます。知っての通り帝国は醜くも分裂を繰り返しもはやどれが本流なのかすら不明なほど衰退しました」
エンドア戦後の帝国はどの帝国軍人に聞いてもきっと地獄だったと答えるだろう。
軍将達が私欲から軍を引き止めなければあんなに敗北を重ねる事はなかった。
帝国を衰退させ滅ぼしたのは結局帝国の内部の人間達だ。
そのせいで新共和国にも大いに遅れを取った。
これは一生の恥だと言ってもいいだろう。
「新共和国に勝利した帝国も同じ事、信用を置くにしては危険過ぎます。それに向こうが我々を信用するかすらも怪しいと感じます」
新共和国を滅ぼした功績は確かに大きいがそれでも信用は置けない。
もしかするとアセンダンシーを敵と勘違いし攻撃するかもしれないし既にそう思っているかもしれない。
同盟を組むにしても戦力や情報が少な過ぎて全貌が掴めない。
とても信用は出来ないものだ。
「ここは様子を見てはいかがでしょうか?アセンダンシーの防衛軍の軍備もまだまだ発展途上にありますし相手を見極めましょう。今までのようにゆっくりと」
リヴィリフとラストーレは顔を見合わせ目で相談していた。
そこでヴィルヘルムはもう一つ進言する。
「ルーリング・ファミリーや議会とも相談しては如何でしょうか?時間はまだ充分にあります、焦る必要はありませぬ陛下」
優しくされど強い意志をヴィルヘルムは恩人に向けた。
聡明なチスの王はその意図が分かったようだ。
微笑を深め小さく頷いた。
「そうであったな、余には心強い民と家々がいたのだった…ありがとう我が友よ、これからも我らの為に頼むぞ」
「はい、貴方は我らの恩人なのですから」
再び跪くとヴィルヘルムは深々と頭を下げた。
彼の言葉に嘘偽りはない。
ヴィルヘルムにとってリヴィリフは命の恩人であり部下達の恩人であった。
その恩に報いるのが彼の務めだ。
仮にかつての同胞達に刃を向ける事になったとしても。
強い意志が瞳の奥に宿っていた。
銀河の中心から遠く離れた未知領域。
第三銀河帝国が勝利を重ねる中未知領域でも力を付ける組織と国家があった。
ファースト・オーダーとチス・アセンダンシー。
銀河系は未知領域を巻き込み次のステップへと駆け上がる。
その時世界がどうなるのか。
銀河はどう変革を遂げるのか。
戦禍は何を焼き尽くすのか。
誰が生き残り、誰が死ぬのか。
大戦争の火種は既にそう遠くない未来まで近づいてきた。
つづく
野郎ども!楽しい未知領域の時間だ!
おやつのスパイスは5gまでだぜ!()
最近ケッセルお嬢様っていう謎キャラが出来ちまって処理に困ってるんですよ(白目)
多分出てくるかも?(こんな所でいう事じゃない)