第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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-争いの種に当事者は気づく事はない-


コルサントの奪還

インペリアル級スター・デストロイヤー(ISD) アークセイバー-

フューラー・フォース親衛隊

 

帝国では亡き皇帝の栄誉を遵守し指導者をあくまで“()()()()”という位置付けにした。

 

そして通常の正規軍に位置付けられる帝国軍とは違い総統の直轄部隊、私兵軍的立場であるのがこの親衛隊だ。

 

初期は銀河協定で大幅に制限された軍事力の抜け道として設立されたのだが今では完全に独立した別の組織となっていた。

 

そしてこのインペリアルⅡ級スター・デストロイヤー“アークセイバー”は親衛隊宇宙軍の総旗艦であり主軸の第一親衛艦隊の旗艦も務めている。

 

Ⅱ級と言ってもこの艦は様々な点に改修を受けている。

 

例えば武装面で言えば砲塔が増やされミサイル発射管や魚雷発射管が設置された。

 

人員面でも大幅な改修が加えられた。

 

以前は運用に将校、下士官合わせて数万名が必要だったがオートメーション化が進みわずか数千人の人数でも艦を完璧に運用できるようになったのだ。

 

とは言え積載能力が衰えたわけではない。

 

今まで通りTIEシリーズ72機、ウォーカー数十機を搭載可能で無補給で3年も航行可能になった。

 

わずか数年で帝国は技術的にも大革新を果たしたのだ。

 

「中佐!シュタンデリス中佐!」

 

若い男の声がアークセイバーのハンガーベイに響いた。

 

広いハンガーベイのはずだがかなり声が響く。

 

尤も男の方はかなり声がデカいというせいでもあるのだが。

 

「なんだヴァリンヘルト中尉、指揮官の招集か?」

 

親衛隊特別の軍服を着たその青年“ジークハルト・シュタンデリス”中佐は帽子を弄りながら振り返った。

 

彼は来年で28歳だ。

 

一方こちらのもっと若い士官は“ニコラツ・ヴァリンヘルト”中尉。

 

年齢は20歳。

 

帝国アカデミーに入学したはいいが終戦で強制退学させられてしまい露頭に迷っていた所ジークハルトに拾われ親衛隊に入隊した。

 

「いえ、そろそろハイパースペースを抜けるので中佐には着替えていただこうかと」

 

「アーマーを上から着るだけだまだ時間はある、それより連隊の方は大丈夫なんだろうな?」

 

ジークハルトは第六親衛連隊と第二十一飛行大隊の直接的な指揮官だった。

 

地上と航空隊を2つも指揮しているなんておかしな話だが人手不足の帝国では、特に親衛隊ではよく見る光景だった。

 

「全員準備万端です、新しいアーマーを試せると喜んでいましたよ」

 

「そいつは結構だ、ウォーカーの方は?」

 

「ゼールメン曹長がいうには準備良好だと」

 

「それは結構、これで準備万端というわけだ」

 

「ついに反撃の時ですね」

 

ヴァリンヘルト中尉は感慨深そうに言った。

 

彼に取っては初めての戦闘だ、感慨深くなるのも無理はない。

 

「だが総統閣下が言ったようにこの戦いはまだ始まりに過ぎない、次なる戦いはまだ先にある」

 

「その為にも勝たねばなりませんね」

 

「そうだ中尉、そして生き残らねばならない…先の戦いで散って言った者達の為にもな」

 

ヴァリンヘルト中尉は深く頷いた。

 

長く話し込んでしまった。

 

ジークハルトはアーマーを取ってくる為にハンガーベイを後にした。

 

 

 

 

 

ハイパースペースから第一親衛艦隊が出現する頃既にコルサント本国防衛艦隊は壊滅しかかっていた。

 

見た所どうやら予定通り防衛艦隊の半数は“()()”したようだ。

 

流石帝国情報部は優秀だ。

 

結果陣形が崩壊しエグゼクター級“リーパー”を主軸とする陽動艦隊に隙を突かれてしまったという体だろう。

 

それでも組織的行動を取り応戦し続けているのだからやはり敵将も強者だ。

 

だがやはり陽動である為無意味な抵抗なのだが。

 

三十隻近くのインペリアル級がコルサントの大気圏に降下した。

 

防衛用のTIE/ln制宙スターファイターやTIE/sk大気圏用戦闘機、通称TIEストライカーが防衛のため出撃した。

 

インペリアル級も対空砲火を展開しつつTIE/INインターセプターやTIE/eb重スターファイターが応戦に出た。

 

TIEストライカーはともかくTIEファイターとTIEインターセプターやTIEブルートの性能差はかなり大きい。

 

練度も相まって防衛部隊のファイター隊は悉く撃破されてしまった。

 

他にも対空兵器やウォーカーが防戦しているが巨大なインペリアル級には意味をなさない。

 

ギリギリまで接近しインペリアル級はそれぞれウォーカーを接続したゴザンティ級クルーザーを発進させた。

 

文字通り封鎖され地上には猟犬のような部隊が放たれた。

 

もはや運命は決した。

 

 

 

 

 

ゴザンティ級の中にはジークハルトを乗せたAT-ATも含まれていた。

 

対空砲火を潜り抜けながらゆっくりとAT-ATを地上に近づける。

 

中々にスリル満点だ。

 

「ストライク・フォース、予定通りBルートでパレス区画を占拠する」

 

『ストライク2了解』

 

『ストライク3先行します』

 

地上に降り立った第六親衛連隊に所属するストライク・フォースのウォーカー群がゆっくりと進撃した。

 

兵士達が勇敢にも小火器を持ってこの巨大なウォーカーに立ち向かう。

 

放たれた弾丸はAT-ATの走行に傷一つ付けなかった。

 

「雑魚どもは無視しろ、なるべく最短距離で進むぞ」

 

『連隊長、前方のビル奥より敵軍のAT-ATです、距離は230』

 

「ストライク9は砲撃準備、ストライク2と私で攻撃を抑えておく、踏ん張れよパイロットども」

 

「もちろんです」

 

AT-ATパイロット達はレバーを引き機体を動かした。

 

正直AT-AT同士の戦いは勝率が五分五分と言った所だ。

 

「見えました前方210メートル地点、どうします中佐」

 

「なるべく首と頭の部分を狙え、一射目はストライク9からやれ」

 

『了解、よく狙えよ』

 

後続のウォーカーは砲撃体制へと移った。

 

敵のAT-ATがゆっくりと顔を出す。

 

後衛のストライク9が顎の重レーザー砲を発射する。

 

パイロットは腕がいい。

 

一撃で的に直撃を当て頭を吹き飛ばした。

 

「よしよくやった…もう一台出てきやがったか…」

 

撃破したAT-ATの煙の先からまた1機AT-ATが現れた。

 

思ったより所有しているウォーカーは多いのか。

 

「各機集中砲撃、なるべく外すなよ、市民がいる」

 

AT-AT特有の歩行音と共に5〜6機のAT-ATが重レーザー砲を放った。

 

反撃として敵のAT-ATも重レーザー砲を撃ち返してきたが焦ったせいか一発も当たらなかった。

 

逆にジークハルトの部隊は1〜2発ほど外してしまったが殆ど砲弾を的に当てた。

 

AT-AT全体から見れば小さなコックピット部分に直撃させられるなどかなりの腕前だ。

 

実際彼のストライク・フォースと第六親衛連隊は殆どが戦闘に参加した事のあり練度は高い。

 

「流石にもうないだろうな…」

 

『こちら先行部隊ストライク3、敵ウォーカーを2機撃破』

 

「恐らくそれで終わりだろう、ストライク3はそのまま先行部隊を展開して周辺を制圧しろ」

 

『了解!』

 

「我々も駆け足で向かうぞ」

 

通信を切るとジークハルトはウォーカーの速度を上げた。

 

AT-ATは最高時速60kphも出る為の程度の距離ならあと数分で着く。

 

見た目に反して意外と速いのだ。

 

ウォーカーを2機も撃破された敵兵はチリジリになって逃げ始めた。

 

「前方、ハインズマン大尉のストライク3です」

 

「既に地上砲塔は陥落しています」

 

『連隊長、ヴィアーズ元帥の本隊が旧連邦管区と司令本部を陥落させたと』

 

伝令役のAT-STから通信が届いた。

 

「早い…流石はあのブリザード・フォースの指揮官だ…我々も“()()()()()()()()()”を展開するぞ」

 

「了解」

 

パイロットの2人が機体のコンソールを操作し後部のハッチを解放する。

 

後続のAT-ATも同様にハッチが開かれた。

 

「ダーク・トルーパーの設定をキルモードへ」

 

ダーク・トルーパーというのは通常の生身の兵士ではない。

 

戦うためだけに生み出されたバトル・ドロイドなのだ。

 

全身を黒銀色で固めた恐ろしい殺戮兵器は背中のロケット・ブースターを起動し一斉にインペリアル・パレス目掛けて発進した。

 

こんな恐ろしいドロイドをキルモードで投入したのだからパレス内の兵士達はさぞ気の毒だろう。

 

10分後ダーク・トルーパーのコマンダーから『制圧完了』のメッセージが転送された。

 

その3分後コルサント臨時政府は完全に白旗を上げた。

 

 

 

 

 

-新共和国首都 ホズニアン・プライム 艦隊情報部本部-

臨時政府への襲撃と降伏をいち早く入手し議題に挙げたのは新共和国の元老院でもなく艦隊情報部だった。

 

新共和国元老院はもはや帝国を脅威と見ておらず完全に放置気味であった。

 

一部の議員は危険性を必死に訴えていたが殆ど議題にされず逆に『無意味に不安を煽るな』と非難される始末だった。

 

だが国家を守る国軍たる新共和国軍はそうはいかない。

 

軍備縮小法でかつてよりも弱体化したとは言え国の危機にはいち早く対応しなくてはならない。

 

「中将!中将!!」

 

本部の廊下をタブレット片手に全力疾走する“ジェルマン・ジルディール”中尉は上官の階級を呼びながら走っていた。

 

他の士官からは明らかに不審な目で見られていたが。

 

「中将!中将ー!」

 

「おい止まれ!」

 

「危ないぞ中尉!」

 

中将の執務室を守る衛兵の士官2人に止められジェルマンはようやく一息つけた。

 

「至急…中将に…伝令を…」

 

「わかった中尉、今開ける」

 

パスコードを打つと分厚そうな扉は解除され開かれた。

 

息を整えると室内に入っていった。

 

「やけに急いでいたようだがどうしたのだ中尉?」

 

彼の上官である“ブリーズ・ストライン”中将はデスクでコンソールを打ちながらジェルマンに尋ねた。

 

ジェルマンはしっかり息を吸うとゆっくり話した。

 

彼自身未だ半信半疑なのだ。

 

「コルサントが…コルサント臨時政府が帝国軍に降伏しました、堕ちたんですコルサントは」

 

ジェルマンの報告を聞くとストライン中将は唸り声を上げ指を組んだ。

 

「やけに早いな…後1時間くらいは報告が後だと思っていたが…」

 

「スパイの報告によると我々が予測していたよりも帝国艦隊の戦力は大きかったそうです」

 

「具体的にはどのくらいだ?」

 

鋭い眼差しがジェルマンを貫いた。

 

彼は右手に持っていたタブレットを読み始めた。

 

「少なくともインペリアル級は五十隻以上、さらにはスーパー・スター・デストロイヤーも確認されたと」

 

「スーパー・スター・デストロイヤーだと…バカな、あれは全部内戦中に沈んだはずだ」

 

「となると新に建造したか…」

 

「いやそれは不可能だ、あれほどの超弩級艦は分割して造ったとしても必ず監視の目に引っ掛かる」

 

「では一体どこから…」

 

ストライン中将は記憶を掘り起こした。

 

「…一つだけ…心当たりがある」

 

不確かだが一番確証がデカい。

 

ならこの中尉に任せてみるとするか。

 

「中尉は至急クワットに飛んでもらえるか?」

 

「クワット…ですか?」

 

「ああ、スーパー・スター・デストロイヤーに関しては唯一心当たりがある」

 

ストライン中将の読みは正しかった。

 

しかし既に遅いのだ。

 

もう帝国側の準備は万端だ。

 

戦争は避けられない

 

 

つづく




投稿頻度がクソ早かったり薄鈍だったりしますが暖かい目で見てやってください()

(5作近く同時進行だもんなぁ)
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