第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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-遺産を食い潰す者は遺産を遺した者を愚弄するも同じである-


勝利の後

-帝国領 コルサント インペリアル・パレス-

かつて皇帝の住処であったインペリアル・パレスは帝国の奪還と共に今度は総統府と名を変え蘇った。

 

以前はジェダイの住処だったのだがもはやそれは過去の産物だろう。

 

誰もジェダイなど覚えていない。

 

確かに存在したとしてもただ銀河の裏切り者として片付けられた。

 

今日はコルサントが再び帝国の首都になった事を記念して総統が民衆の面前に出て演説をしていた。

 

計り知れぬ歓喜と熱狂がインペリアル・パレスの周りを包んでいた。

 

扇動者としての総統の技術では右に出る者はいなかった。

 

どんな相手であろうと演説が始まればその心を掴んでしまう。

 

それほど魔術めいた恐ろしさが総統の放つ言葉には存在していた。

 

当然後ろには帝国の高官達も並んでいた。

 

左側の最も総統に近い席に座っているのはマクシミリアン・ヴィアーズ大将軍。

 

帝国が勝利を収めたホスの戦いでの功労者であり現在の銀河帝国では一二を争うほど優秀な指揮官だ。

 

彼は長らく死んだものと思われていた。

 

何せ1年近くエンドアの戦いから音信不通だったのだから。

 

実際はエンドアに取り残された友軍を出来る限り救出し新共和国軍と幾度か戦闘しつつ彼の息子と共に故郷デノンへ戻っていた。

 

そこでヴィアーズ大将軍は帝国の敗北を聞いた。

 

その後帝国に帰還したヴィアーズ大将軍は完全に廃れた地上軍の元帥となった。

 

だが運気は巡ってきた。

 

代理総統の登場により帝国は今のような力を取り戻したのだ。

 

今回のコルサント戦では圧倒的な大勝利を収め元帥から大将軍に昇進した。

 

その隣に座っている男はケナー・ローリング大将軍。

 

彼も同じく大将軍でありエンドア戦後の混乱を生き延びていた。

 

エンドア戦後の帝国は指導者を失いそれぞれ軍将として分裂した。

 

ローリング大将軍もその一派を率いておりほぼ本流であったガリアス・ラックス元帥の一派と対立していた。

 

かつての仲間同士で争うなどおかしな話だが混乱時の帝国では仕方がなかった。

 

彼はアカデミーからの仲間であるヴァレント司令官と共にラックス元帥を暗殺しようとした。

 

だが結果は悲惨な結末に終わった。

 

ヴァレント司令官は返り討ちに合い逆に暗殺され、ローリング大将軍もしばらくは動けなくなった。

 

幸運と呼ぶべきかジャクーの戦いでラックス元帥の一派と彼は死亡しローリング大将軍は何とか帝国に帰属出来たのだ。

 

そしてその反対側にいるのはバロー・オイカン元帥。

 

彼はあのクローン戦争時代から旧共和国宇宙軍の士官として戦っていた。

 

帝国誕生後も支え続け彼はスター・デストロイヤーの艦長になりやがて提督になった。

 

エンドアでの敗北を聞いた彼は自分の艦隊を率い故郷ハンバリンでコルサントなどの防衛線を築いていた。

 

銀河協定後は艦隊を率い帝国に帰還。

 

帝国宇宙軍の長官となった。

 

オイカン元帥の隣、右側で最も総統近い席に座っている親衛隊の軍服を着たこの男はパウティール・シュメルケ上級大将。

 

親衛隊の最高司令官で第一親衛艦隊の指揮官でもあった。

 

彼の経歴は不明な点が多い。

 

帝国軍に在籍していた事は確かなのだが総統との接点などはまるで不明だ。

 

ただ一つ言える事は彼の采配に敗北はないという事だけだろう。

 

その能力を認められシュメルケ上級大将は親衛隊の中で一番最初に上級大将になった名誉ある人物だ。

 

そんな彼も総統の演説に耳を傾けていた。

 

「そう言えば親衛隊保安局長官が見えんぞ?」

 

「今頃牢屋でお楽しみタイムだ」

 

さらに背後の座席に座る評議員達がこそこそ話していた。

 

当然親衛隊にも不必要な虐殺や軍規に反する者を取り締まる為の保安局が存在していた。

 

その長官であるヴェラントール・ディールスの姿が見えないのだ。

 

帝国に内に属する者ならそれがどういう事か容易に検討がつく。

 

そうこうしていると代理総統の演説は終了し今までにないほどの感性が響いた。

 

「それでは国歌斉唱」

 

進行役の将校が控えている帝国お抱えの合唱団に合図を出した。

 

かつての帝国国歌はGlory of the Empire(帝国の栄光)だったが新帝国ではこれを変更した。

 

新たな新時代を促すその国歌は「忌まわしき日に別れを告げて」という題名だった。

 

歌詞の内容も栄光を称え不幸を呪い新時代への希望を載せていた。

 

後にコルサントの復活と呼ばれる一連の演説は第三銀河帝国にとってとても重要なものとなった。

 

 

 

 

 

-コルサント 第七収容所-

「ほら早く吐け、じゃないとお前の目ん玉は2つともサイボーグになるぞ」

 

メリケンサックで独房に捕まっている男を殴りながら件の親衛隊保安局長官ヴェラントール・ディールスは男を脅した。

 

「本当に知らない…だが…知ってそうな奴はいる…」

 

「じゃあ言ってみろどんな奴だ、運が良ければお前は解放されるかもしれんぞ」

 

ディールス長官は眼力で圧を掛けた。

 

疲れ切っているのか男はゆっくりとしか喋れなかった。

 

「帝国宰相…マス…アミダ…」

 

ディールス長官は控えさせた白い親衛隊保安局員の軍服を着た男と目を合わせた。

 

客観的な意見が欲しかったからだ。

 

そして保安局員は嘘はついていないという意味で頷いた。

 

読み取ったのかディールス長官はニヤリと笑い独房を出た。

 

「帝国宰相か、あり得そうだ」

 

「ですが流石にあのような尋問は出来ませんよ」

 

保安局員は付け加えた。

 

「なぁに尋問しなくたって宰相殿はもう限界だ、放っておけばベラベラ喋り出す、“()()()()()()()()()”までな」

 

皮肉と共に大宰相の今の状態を口に出した。

 

実際コルサント臨時政府の指導者であったマス・アミダの精神力はとうの昔に限界であった。

 

「よおフリシュタイン、こっちに来い」

 

ディールス長官は同じく保安局員で信頼の厚いフリシュタイン大佐を呼んだ。

 

フリシュタイン大佐は元々帝国保安局の将校であった為経験は大きい。

 

「お前はベック長官にも伝えておけ、詳細は後で伝える」

 

「承知しました」

 

そういうと保安局員は去って行った。

 

「彼奴の拷問はもうよろしいのですか?」

 

「ああ反応がつまらない上にもう吐きやがった」

 

「本当ですか?」

 

彼はディールス長官に尋ねた。

 

「やはりあのような小役人じゃあ知らないらしい、帝国宰相なら知ってると」

 

「なるほど、では処刑しますか?」

 

「いや独房から出してやれ、もう彼奴には何も出来ない」

 

「わかりました」

 

2人は歩いて行きエレベーター前まで到着した。

 

長官はエレベーターのスイッチを押すと運が良かったのかすぐに来た。

 

出来る限り時間を節約したいディールス長官にとってみれば好都合だった。

 

2人はエレベーターに乗り込み最上階へと向かった。

 

「喜べフリシュタイン、もしかしたらドレッドノートがもう一隻手に入るぞ」

 

「それは素晴らしい、以前海賊のクズどもからタッグ大将軍のアナイアレイターを取り返してこれでようやく3隻目ですね」

 

「出来ればエクリプスラヴェジャーも欲しかったんだがな、特にアービトレイターはモフパンディオンが憎くなる」

 

「ハハ、どうせならエグゼクターもですね、それもピエット元帥ごと」

 

「ああ彼は優秀な参謀だった、我々は失う者が…多過ぎた…」

 

「同感です」

 

2人はもの悲しい顔で天井を見上げた。

 

雑談も束の間もう目的地の階層へ着いてしまった。

 

この監獄は上に行くほど独房の設備が良くなって来る。

 

そしてマス・アミダが監禁されている独房は最も質の良い部屋だった。

 

アミダがいる独房にはすぐについた。

 

40秒も掛からなかったと思う。

 

2人は真っ直ぐアミダの牢屋を目指して歩いた。

 

「私だ衛兵、大宰相と話がしたい、2人が出て来るまで絶対に誰も入れるな」

 

衛兵は頷きドアのロックを解除した。

 

2人はそのまま真っ直ぐ室内に入っていった。

 

「やあ宰相殿、ご機嫌はどうですか?」

 

「もう殺してくれ…私はもう不必要だ…」

 

帝国誕生の立役者は虚な表情で2人を見つめた。

 

肌も荒れ目の下には深いクマが出来ている。

 

元々肌は青かったが肌艶は悪く色も良くなかった。

 

見るからに心も身体も限界だ。

 

「いけませんな大宰相、そんなこと言っちゃ、あなたにはまだ役立つ事がある」

 

腰を低くするとディールス長官は大宰相に耳打ちをした。

 

「コルサント秘密の基地、大艦隊、大量の兵器群、そしてスター・ドレッドノート」

 

最初の一文字を聞いた瞬間からアミダはギクッとした。

 

その様子をまじまじ見ていたディールス長官は邪悪な笑みを浮かべていた。

 

「あるんでしょう?場所を話してくれるととても助かる」

 

「だっだが…」

 

「話せばこんな所ともおさらばだ、貴方は解放される、悪くないでしょう?」

 

アミダは狂った笑い声を発した。

 

狂ってしまったか。

 

「話すさ…コルサントの氷山地帯…ポイントZ-EX地区…そこにある」

 

「ありがとう帝国の立役者よ、それでは」

 

2人は牢屋を後にした。

 

邪悪な微笑みを浮かべて。

 

 

 

-惑星クワット クワット・ドライブ・ヤード社資料室-

ジェルマンはここで数名の仲間と共にストライン中将から受けたスーパー・スター・デストロイヤーの情報を探っていた。

 

今のところ順調とは言えない。

 

資料にはそういった類のものは載っておらず可能性もある物は全部データが改竄されていた。

 

しかもかなり昔に。

 

おかげで復旧は難しそうだ。

 

ジェルマンは経過報告をする為に腕に付けたブレスレット型のコムリンクを開いた。

 

「中将、今の所は何もありません」

 

『そうか…やはりデータは改竄されているか』

 

「ええ、そもそもスター・ドレッドノート関連の資料自体が少ないです、別のマンデイター級などもほとんどありませんし」

 

『クワット社には今一度問い詰める必要があるな…』

 

それが出来る国家であったらどれほどいいものか。

 

ジェルマンはこっそり心の中でそう思った。

 

いくら下っ端の士官とはいえそれくらい世の中の事は知っている。

 

新共和国の生まれながらの腐れ具合自分で仕えておいて何だが酷いものだ。

 

中将もそれは把握している事だろう。

 

「その為にも確定的となる資料をもう一度探してみます」

 

『頼んだぞ中尉、それでは』

 

コムリンクの前で敬礼をすると通信は切れた。

 

建前とは言え中将にあんな事を言ってしまった。

 

正直これ以上新たな資料が見つかるとは思えない。

 

だが任務なのだからやるしかない。

 

何度目か分からないため息を胸に仕舞い込むと再び資料探しに戻った。

 

 

 

 

 

クワット全体の会長であるヴァティオン・クワットは窓の外から工業都市を見つけた。

 

新共和国が誕生し帝国が敗北して以降クワット社も他の軍事企業同様に厳しい状況に追い詰められた。

 

だが帝国の復活と“()()()()()()()”のお陰でクワット社にも再びチャンスが巡ってきた。

 

あのエグゼクター級をくれてやったのもその為だ。

 

もっとクワット社を、この惑星を繁栄させなければならない。

 

それは会社と惑星の指導者である責任だ。

 

その為には帝国に勝ってもらわなければ。

 

「失礼します、会見場の用意が出来ました」

 

「そうか、では行くとしようか」

 

役員の方に振り向きヴァティオンはスピーチの原稿をもって歩き出した。

 

彼は完全に帝国側に付く事をコルサント戦から決めてた。

 

あのリーパーを譲渡した時からそう言う約束だった。

 

「…そうだ、あの新共和国の犬は始末書しといてくれ」

 

ヴァティオンは役員に告げた。

 

新共和国の犬。

 

確かジェルマンとか言ったか。

 

可哀想だが新共和国はお断りだ。

 

ヴァティオンは無表情で会見場に向かった。

 

 

 

 

-コルサント Z-EX地区-

コルサントの中でも特に何もないこの場所に帝国軍、親衛隊の高官達は集まっていた。

 

地上軍からはローリング大将軍、ヴィアーズ大将軍にその部下のアイガー准将とコヴェル少将、アンダール・ロット将軍。

 

宇宙軍からはオイカン元帥にクリス・パワー提督、タイタス・クレヴ少将、キラヌー中将。

 

帝国保安局のアレシア・ベック長官まで居た。

 

親衛隊からはシュメルケ上級大将にクリープル・モーデルゲン上級大将、フェリー・シュテッツ上級大将。

 

他にもディールス長官や国防大臣のヴィルヘルム・ブロンズベルクもいた。

 

「本当にあったのか…コルサントの秘密施設が」

 

「ああ、アミダが言った通りだ、彼自身中身は知らなかったらしいがな」

 

ディールス長官はブロンズベルク大臣に付け加えた。

 

外から見ればただの無価値な場所だ。

 

だが中身は巨大な秘密基地だった。

 

「この奥には一体何が…」

 

パワー提督は目の前の大きな扉を見つめた。

 

「今技術士官に解かせている…まあすぐに開くだろう」

 

言った瞬間扉は大きな音を立てて開いた。

 

あまりのタイミングの良さにディールス長官はニヤニヤしていた。

 

よく整備されているのか扉はすぐに開いた。

 

「この先はなんだ?」

 

「メインコンピュータによると艦船の造船所と停泊所だとか」

 

「…行ってみるか」

 

ブロンズベルク大臣は誰よりも先に奥へ入った。

 

続いてヴィアーズ大将軍や他の高官達も入った。

 

そして入室した瞬間彼らは言葉を失った。

 

それ程の物が彼らの瞳に映っていた。

 

「嘘だ…いや噂には聞いていたがほんとに…」

 

「ああほんとにあった…幻なんかじゃない…」

 

「艦名は…」

 

オイカン元帥はど真ん中に佇む超弩級戦艦の名前を聞いた。

 

「…ルサンキア、沈んだと思っていた幻の十四隻のエグゼクター級だ」

 

エグゼクター級スター・ドレッドノート。

 

この艦はネームシップのエグゼクターやジャクーの戦いで沈んだラヴェジャーなど含めて十三隻存在していた。

 

しかし殆どのエグゼクター級は先の銀河内戦で殆ど失われてしまった。

 

リーパーやアナイアレイターなどはほぼ奇跡的に生き残っていた。

 

このルサンキアもそうだ。

 

「フリシュタイン奥も見て来い、まだ何かあるかもしれん」

 

「わかりました、お前達一個分隊は私に続け」

 

「こいつは動かせるのか?」

 

「多分外装がこんなんだから大丈夫だろう、最悪バラして資源にすればいい」

 

ブロンズベルク大臣とディールス長官は会話を交わした。

 

「これで三隻か…」

 

「この艦は親衛隊に回そう」

 

「そうしてくれると助かる、我が艦隊もまだ戦力不足なのでな」

 

シュメルケ上級大将はルサンキアを見つめながら話した。

 

「ひとまず親衛隊を動員しよううごかすにしても人は必要だ」

 

「親衛隊?待ってくれ大臣、なぜ親衛隊なんだ」

 

その言葉にローリング大将軍は反応し噛み付いた。

 

帝国軍の一部将兵は親衛隊の存在をあまり快く思っていない。

 

大半はぽっと出の連中がなぜ偉そうにしているのだとか対抗意識や自尊心を傷つけられたからであろう。

 

一部の将校はその暴走も指摘していた。

 

「正規軍でも良いだろ、そうだろうオイカン元帥」

 

「一応集めは出来るが…」

 

「出来る限り隠密に動かしたい、正規軍の方は恐らく動向を新共和国のスパイが監視している」

 

「俺の部下達が信用できないっていうのか?」

 

ローリング大将軍は不機嫌の一歩手前まで来ていた。

 

大将軍クラスの将校を蔑ろに出来ないのでブロンズベルク大臣もディールス長官も罰の悪い表情を浮かべていた。

 

他の将校は完全に関わらないようにしていた。

 

「そうではないさ、正規軍は総統も我々も信頼を置いている、ただこの艦は親衛隊に預ける、だから正規軍よりも親衛隊の方が望ましい」

 

「貴重なドレッドノートを親衛隊に割くのか?何のために」

 

「これからの戦いは正規軍だけじゃ勝てない、その為にも親衛隊の強化が必要なのだ」

 

「ハァ…皇帝陛下が生きていたらな…じゃあ私は正規軍強化に戻らせて頂くよ、さようなら!」

 

ローリング大将軍は部下を2人引き連れ早々に帰って行ってしまった。

 

国防大臣も保安局長官も他の将校も皆苦笑を浮かべていた。

 

皆彼のことは嫌いではないし親衛隊嫌いであってもしっかり命令に従ってくれるのだからこうするしかなかった。

 

おかげでローリング大将軍はこの後の発見を見逃してしまった。

 

フリシュタイン大佐と一個分隊が発見した更なる宝、インペリアル級の大艦隊と大量の地上兵器を。

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

その頃ジェルマンは逃げていた。

 

彼がスーパー・スター・デストロイヤーについて調べている頃この惑星政府は帝国へ転向した。

 

つまりクワットは再び銀河帝国領となったのだ。

 

しかもクワット政府は造船所の攻撃などを例題に上げ新共和国を痛烈に非難した。

 

当然そんなクワットに新共和国の軍服を着て情報を調べている将校がいたらどうなるか分かるだろう。

 

拘束され拷問まがいの尋問を受ける事となる。

 

実際クワット側の対応はもっとひどいものだった。

 

拘束どころか最初から存在を揉み消そうと暗殺に打って出たのだ。

 

そのせいでジェルマンは仲間数名と乗ってきた輸送機を失った。

 

命からがらクワット社を抜け出せたが追っ手は今も彼を探しているだろう。

 

クワットの大使館を目指そうにも恐らく封鎖済みだ。

 

全員拘束されているに違い無い。

 

「何とか船を…見つけないと…」

 

ブラスターの弾丸は残り数発しかない。

 

しかも毒ガスを途中で放出され少し吸ってしまったのか体が痺れる。

 

満身創痍といった状態だ。

 

だが生き延びねば。

 

「通信は封鎖され援軍は呼べない…呼べたとしても援軍なんて…」

 

いけない。

 

物事を後ろ向きに考えては助かる命も助からない。

 

ともかくこの星を脱出する為に行動を起こさねば。

 

物陰から飛び出た瞬間大声が響いた。

 

「いたぞ奴だ!」

 

クワットの警官数名がジェルマンにブラスターの弾丸を浴びせかけた。

 

何とか寸前で反撃し数名倒す事に成功した。

 

だがおかげで弾丸は残り一発となってしまった。

 

「クソっ!」

 

「追え!」

 

仕方なくジェルマンは再び走った。

 

意識が朦朧としかけているがそれでも走るしかなかった。

 

何とか警官達を巻いたと思った瞬間物陰から人の腕が飛び出した。

 

ジェルマンは首を掴まれこめかみの部分に銃口のようなものを向けられてしまった。

 

ここまでか。

 

彼はブラスター・ピストルを捨て降伏のポーズを取る。

 

「ジェルマン・ジルディールだな?」

 

その男の声は彼のフルネームを言い当てた。

 

「何で僕のフルネームを…」

 

「それは俺がお前と同じだからだ」

 

「同じ…?」

 

ジェルマンは首を傾げた。

 

この男が敵ではない事は分かったが同じとはどういう事なのだろうか。

 

男はジェルマンを離すと警官と同じヘルメットを脱いだ。

 

ジョーレン・バスチル、艦隊情報部のスパイだ」

 

彼は素顔を見せジェルマンに名前を告げた。

 

思いがけない味方にジェルマンは困惑の表情を浮かべていた。

 

 

つづく




いやぁデータ消えた時はどうなるかと思いましたで(絶叫)
一応3日連続で投稿したし次はお休みで…
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