-親衛隊保安局のモットー-
-アウター・リム・テリトリー イリーニウム星系 惑星ディカー-
ハイパースペースから何十隻かの船が出現し真っ直ぐディカーに向かっていた。
ディカー側からは一隻のMC80スター・クルーザー“クレマンソー”が出迎えに来てた。
ハイパースペースの中から現れた艦隊は全てあのラクサスからなんとか逃れてきた艦隊で殆どはヤヴィン星系に留まったのだが中には遠回りしてこのディカーまで向かってきた艦隊もいた。
常に帝国軍の大軍の攻撃を受けるヤヴィン4と未だ帝国軍と発見されていないディカーでは安全性は遥かに違いがある。
「損傷艦は地上に送れ。そうでない艦は上級将校だけ地上に向かわせろ」
“クレマンソー”のリジック艦長がそう命じ何隻かのCR90やネビュロンBが地上に降り立った。
地上では多くの技術士官や技術師達が輸送スピーダーなどに乗り込み損傷した艦の修復に向かおうとしていた。
他の歩兵やパイロット達も物珍しさに地上に停泊する艦隊を一目見ようと集まっていた。
司令部でもその様子は確認されている。
軌道上艦隊からの報告を受け地上にいたガー議員やレイア、クレーカー少佐やディゴール准将が集まっていた。
「こちらに回ってきたのはMC80二隻、MC75装甲クルーザーが一隻、ネビュロンB四隻、CR90コルベット六隻、GR-75輸送船が三隻です」
「兵員やスターファイターの方は?スターファイターの方はともかく兵員は少しでも必要だ」
ディゴール准将の問いに報告に来た少尉が答えた。
まだアカデミーを卒業したばかりの様子の少尉は若干上官たちに慣れない様子だった。
「少なくとも一個機甲軍団が編成出来る程度には。技師などもこの基地を維持していくのに十分揃っているとか」
「わかった少尉、ひとまず戻ってくれ」
「はい」
少尉が敬礼しドアが閉まると将校や議員達は険しい表情でホロテーブルを覗き込んだ。
「戦力の増加は確かに助かる。たった一隻のクルーザーとその他の艦で帝国軍から撤退戦に持ち込める可能性はほぼ0だし何より地上一個師団じゃ時間稼ぎすら難しい」
「ようやくまともな機動部隊ないし小艦隊が編成出来るという事ですね」
クレーカー少佐の返答にディゴール准将は小さく頷いた。
「ああ、これだけの艦隊があれば小規模だがゲリラ的戦闘を行えるのも夢じゃない。ようやく我々も他と同じように攻勢に出れるという事です」
レイアとガー議員、そして先日外務大臣になったセルヴェント大使らにそう進言するディゴール准将の表情はいつにもなく活気に満ちていた。
仲間がやられるのを黙って見ていることからようやく脱却できるのだ。
しかもディカー側には帝国軍もあまり手を伸ばせておらず最初の攻撃はかなりの打撃を当たられるだろう。
希望の光が少しでも見えてくれば誰であろうと活気的になるはずだ。
その様子を見ていたレイアとガー議員は互いに頷き合いレイアがディゴール准将に口を開いた。
「准将、我々は話し合って決めました。あなたの能力は今の階級に相応しくありません」
「と仰られますと…?」
「あなたを新共和国少将に昇進させ臨時の新共和国代議員と国防大臣、ディカー総司令官に任命します」
突然の昇進にディゴール准将改めディゴール少将は困惑していた。
隣にいたクレーカー少佐も唖然としたまま拍手をしていた。
「ヤヴィン4のライカン将軍もマクォーリー将軍も賛同している。君には今後とも我を貫き頑張ってもらいたい」
「まあ同じ大臣同士頑張ろうじゃないか」
「これを」
レイアは近くの将校から階級章と大臣と示すバッジを手にしディゴール准将に近づいた。
少々は敬礼しレイアにバッジを付け替えてもらった。
「我々の希望を共に、ディゴール“
「ダメだ!もう燃料が持たねぇ!」
Uウィングの燃料計を凝視しながらジョーレンはそう大声を出した。
ジェルマンもシートベルトにしがみ付きながら今にも死にそうな顔で呆然としていた。
腹痛に襲われたような顔だ。
「燃料が持たなかったらどうなるんだよ!?」
ジェルマンは珍しく声を荒げジョーレンに尋ねた。
「幸いUウィングのオプションシステム上強制的にハイパースペースから抜けられる…が、問題はその後だ…!」
「帝国軍に捕まらなかったとしても誰にも見つからなかったら永遠に宇宙を漂流することになるじゃないか!やだよこんなところで凍死するの!」
「その通りだ!ああ畜生クソッタレ!最悪だよクソ!モン・カラまであと少しだってのに!」
元から燃料がないわけではない。
むしろ満タンだったはずだ。
しかしこのUウィングには燃料計の通り燃料がもう残り少なかった。
時は数日前、ラクサス脱出の時にまで遡る。
彼らは辛うじてラクサスの大気圏内でハイパースペースに突入しことなきを得たはずだった。
しかしその後はそうではなかった。
大気圏内でしかも座標計算も行わずハイパースペースになんか入った為ルートに若干の乱れが生じUウィングはハイパースペース・ルートから弾き出されてしまった。
しかも更に運が悪いのはその場になんと帝国艦隊が居合わせてしまったという事だ。
クエーサー・ファイア級一隻、アークワイテンズ級一隻、レイダー級二隻の小機動部隊だったがUウィング1機だけでは十分強敵だ。
しかもクエーサー・ファイア級は小型とは言え曲がりなりにも空母だ。
当然大量の艦載機が搭載されておりそれらの艦載機であるTIEインターセプターやTIEブルートはUウィングに牙を向いた。
3機や4機の敵機ならば余裕で捌けるが48対1ならば話は大きく変わってくる。
だが辛うじてTIEの大軍を潜り抜け帝国艦隊を突破したUウィングは再びちゃんと座標計算を行いハイパースペースへと突入した。
問題はその中にあった。
ハイパースペースに入る寸前TIEブルートの1機に偏向シールドを破られレーザー砲の一撃を掠ってしまった。
幸い大きな被弾ではなかったがたまたま燃料部分にダメージが入り多くの燃料を失ってしまった。
それでこのザマだ。
大の青年と大の大人がギャーギャー喚きながら機体のシートにしがみ付いている。
「まだ死ねないのに!!」
「とりあえず一旦ハイパースペースから抜け出るぞ!」
レバーを押し戻しジェルマンとジョーレンのUウィングはなんとかハイパースペースから抜け出た。
その後数十分はUウィングは微速のまま宇宙空間を進んでいた。
「助かった…?」
「な訳あるか、
「今年…死ぬほど酷い目にしか遭ってないよ…」
「今年も…というか去年だな…もう年越したよ」
そんなつまらない話をしながら二人はぼーっとコックピットの窓から宇宙空間を見つめていた。
いつもは何も感じず時々美しく見えるこの宇宙だが今ばかりはとても孤独に感じる。
感傷的すぎて詩でも一つ言いたくなる気分だ。
しばらく無言の時が続いた。
二人とも口を開く気分にならなかった。
だが沈黙に耐えきれなかったのかジェルマンは静かに口を開いた。
「モン・カラは…どんなところなんだろうなぁ…」
そんなたわいもない問いにジョーレンは精気のない声音で答えた。
「さあな…ただラダス提督みたいなモン・カラマリが沢山いる海の惑星らしいぜ…行った事ないけど」
「帝国時代は完全に占領されてたし新共和国時代も時々攻撃を受けてたけど今はどうなんだろうな…」
「わからん…最近の事は何にも。まあ少なくとも味方がいる事は確か…ん…?」
ジョーレンは目線を落とすと何かを見つけた。
彼はしばらく目線を落とした先のものをずっと凝視していた。
燃料計ではなく別のメモリだった。
「どうした…ジョーレン……ん…?わっー!!あれ!!あれ!!」
ジェルマンが再びぼーっと何かを見つめているとコックピットの先に何かを見けた。
そしてジェルマンはジョーレンの肩を揺さぶり前を向くよう叫んでいた。
「見ろよあれ!大変だよ!」
「ああ…知ってる…センサーに移ってる…!」
ジョーレンは目線を上げコックピットを見つめた。
その先には二つ、三つの光がこちらを照らしていた。
直後Uウィングの通信回線から声が聞こえた。
雑音混じりで酷い音声だったが確かに人の声だ。
『…ちら…マリ防衛隊…“アンヴィル中隊”……だ…!…ウィング…えるか!』
「こちらUウィング、バッチリ聞こえてる!すまないが燃料ななくなりそうなんだ!」
ジョーレンの荒っぽい返答にアンヴィル中隊と名乗る恐らく友軍のスターファイター隊は再び通信を返してきた。
『…か…!我々…モン…まで……誘導…る!もう…ばらくの…抱だ!』
「ありがとうアンヴィル中隊…助かった…!」
雑音だらけの音声回線とは別にジェルマンとジョーレンの笑みには一切の雑念はなかった。
二人ともこの上ない喜びを噛み締め互いにグータッチをした。
なんとかたどり着いたのだ。
モン・カラに。
水の星へ生を噛み締めて。
ミッド・リム。
この銀河にまだ無名の惑星はごまんとある。
それが衛星ならば尚更だ。
人が住みいる事が出来るほどの衛星であってもだ。
しかし争いの火の手からは逃れられない。
どこであってもやがてその手は降りかかる。
このミッド・リムのある衛星がそうであってように。
どこからか砲撃の音が鳴り響き何十発かの砲弾が地面に着弾し再び大きな爆音を上げる。
林の中に砲弾が撃ち込まれ何かが破壊される。
爆発の火の手はすぐに広がり音や衝撃に驚いた生物達が急いで逃げていった。
その上空を何機かの機体が飛び去り更にその地上を何十台かのジャガーノートやタンクが通過する。
上空を飛び交うほとんどの機体がゴザンティ級クルーザーや“Y-45装甲トランスポート運搬船”、通称ATホーラーなどでどれも多くのウォーカーを運搬していた。
中にはセンチネル級着陸船も存在し一種の空挺部隊を成していた。
護衛のTIE部隊もかなりの戦力でTIEブルートやインターセプターやボマーが部隊を守っていた。
地上を走るのは殆どがジャガーノート・ターボ・タンクや兵員輸送機、護衛のインペリアル・アサルト・タンクやオキュパイア級の戦闘車だ。
全ての車両には当然のように親衛隊のマークが印付けられていた。
そんな彼らの後方から再び砲撃が繰り出されどこかに着弾する。
爆発音が響き親衛隊の進撃を邪魔しようとする敵を排除した。
後方に位置する砲兵中隊の支援を受けながらこの親衛隊第三機甲旅団は進んでいった。
旅団に旅団長ジークハルト・シュタンデリス上級大佐から命令が響いた。
「全隊、もう500メートル進め、その先で全空挺隊を展開する」
『了解旅団長!』
地上の部隊から通信が届きジークハルトは自身のウォーカーのベルスコープ・ディスプレイを展開し周囲の様子を確認した。
こちらの砲撃支援はかなり有効なようで周辺の敵軍の対空能力がほぼ無効化されている。
幸い敵のスターファイター隊も敵艦隊同様軌道上に囚われていて身動きが出来ないようだ。
ならば今のうちに敵軍の地上戦力を徹底的に叩くのみ。
「ハイネクロイツ、爆撃中隊を先行させて敵基地を攻撃しろ。ただ敵の戦車隊は攻撃されない限り無視しろ」
『了解だ、イオタ中隊、ジヴィーテ中隊、ベート中隊攻撃開始』
TIEボマーが何十機かが先行し敵基地への爆撃に向かった。
だがそんなボマー中隊の横を何十発かのミサイルが掠め通った。
当然狙いは彼らではない為一発も当たる事はなかったがミサイルは真っ直ぐ空挺部隊の方を目指していた。
『上級大佐!対空攻撃です!』
前衛のゴザンティ級のクルーが彼に報告した。
こちらもディスプレイの奥から見えている。
「見えている。前衛ファイター隊および地上部隊はミサイルを撃破しろ。ここで足止めを喰らうわけにはいかん」
『了解!』
『了解』
地上のジャガーノートから対空ミサイルが放たれTIEブルートなどもレーザー砲を放ちミサイルを次々と撃破していった。
ひとまずここまでの損害はないに等しい。
「ボマー中隊各機、敵のミサイル攻撃ポイントを割り出した。そこを重点的に爆撃しろ」
『了解旅団長!』
TIEボマーが3機の編隊をなして敵基地へと向かっていく。
当然対空砲が空に向けて放たれるが優秀なパイロット達は見事に回避し逆に目標ポイントへ正確にイオン魚雷やプロトン爆弾を投下していった。
基地内の一部は爆撃ににより施設が破壊され火災に見舞われていた。
ミサイルだけではなくまだ出撃していないタンクの格納庫やスターファイターの発着場にも爆撃を加え徹底的に敵基地に壊滅的な打撃を与えた。
『爆撃成功です旅団長!』
「よくやった、各機編隊を保ちながら散開し本隊に集結。このままラストスパートをかける」
距離の統計を見れば効果予定地点よりあと50メートルもない。
そろそろだ。
「全隊降下準備、ウォーカー隊が敵の戦車部隊を撃破したら歩兵部隊を展開しろ」
「目標ポイントです!」
「よし、全隊降下!」
AT-ATやAT-ST、AT-MPなどを吊り下げていたゴザンティ級やATホーラーのドッキングが解除され地上に何十台ものウォーカーが降り立った。
土を巻き上げドスンという音と共に鋼鉄の巨人達が降下してきたのだ。
「全隊突撃、最大速度のまま敵中央を突破敷地に進撃する」
AT-ATがゆっくりとそして大きく足を振り上げ一歩、また一歩と前進した。
歩幅の大きいAT-ATは僅かな間だがすでに何十メートルも進んでいた。
その巨体を見れば誰だって震え上がるかつまらないジョークを言いたくなるだろう。
それだけ恐ろしい姿なのだ。
戦列を組んだウォーカー部隊が敵陣まで迫っていた。
「ジャガーノートを優先的に潰せ、スカウトチームは敵の三兵を残らず掃討しろ。生き残られたら厄介だ」
『敵装甲車群からの砲撃来ます!』
ストライク9からの報告通り先行していた敵軍のリパルサー・タンクや旧連合軍の
何発かは外れたが大抵の砲弾が直撃しAT-ATに多少の衝撃を与えた。
無論装甲には煤一つ付いておらず逆に顎の重レーザー砲が放たれタンクが破壊された。
「敵のジャガーノートがレーザー砲をチャージしています」
パイロットの報告を受け取りジークハルトは命令を展開する。
「全隊、連携索敵システム展開。アサルト・ウォーカーは優先して敵ジャガーノートを狙え」
命令を聞いた各AT-ATのパイロット達がウォーカーの索敵システムを起動しウォーカー同士による巨大なセンサーを展開した。
これで敵兵がどこに隠れていようと丸裸同然だ。
索敵データを受け取ったAT-STは顎のブラスター砲で散兵が隠れている付近ごと攻撃した。
このブラスター砲ならちょっと掠っただけでも重傷だ。
AT-ATも重レーザー砲を放ち次々とジャガーノートを撃破していく。
ジャガーノートもレーザー砲で反撃しAT-ATに多少の損害を与えてはいるが何分にもレーザー砲のチャージ速度が間に合わず更には物量で押し負けていた。
かといってタンクを回せば付属機のAT-MPマークⅢや後方から走ってくる地上タンク部隊の支援攻撃に合い悉く撃破される始末だ。
塹壕や森林に隠れた敵の砲兵隊が野戦砲や重砲で攻撃するが僅かに走行を凹ませたり対空撃破されるだけで特にこれといった効力はない。
しかも未だ上空を飛び交うTIE部隊に発見され徹底的に空中から銃撃される。
前衛のタンク部隊もウォーカーの連続砲火と後方の支援に叶わず敗走し始めた。
「敵戦車隊、後退して行きます」
「追撃だ、このまま基地を攻撃し敵軍に最後の一撃を加える。そろそろ歩兵部隊を展開しろ、一気に畳み掛ける」
もう敵基地は目と鼻の先だ。
敵の散兵隊や砲兵隊も粗方掃討し主力部隊はほぼ壊滅させた。
退却する敵兵をAT-ATやAT-STが無慈悲にも追い討ちを掛け一人ずつ打ち倒されていった。
敵のタンク部隊も殆どが破壊されスクラップになった無惨な姿を親衛隊の前に曝け出している。
「ストライク・フォース全隊、砲火を敵基地に向けろ。穴を開ける」
命令を受けたストライク・フォースのウォーカーが次々と重レーザー砲を基地に向け外壁や周囲の砲台を破壊していった。
その間にAT-STは先行し敵兵を掃討し後方のジャガーノートやAT-MPマークⅢのミサイルが基地に飛来し更なる被害を与えている。
もう十分というほどに。
「少佐、空挺隊を降下させろ。戦闘開始だ」
通信機で上空の部隊長に連絡を取るといくつかのセンチネル級が地上に降り始めた。
そして命令を受け取った少佐は残ったセンチネル級やゴザンティ級のハッチを開けた。
「よし全隊降下だ!ジャンプ中隊はそのまま戦闘開始しその他は全隊降下!」
センチネル級のハッチが開き降下用のパラシュートを背負ったフューラー・ストームトルーパーが次々と地表へと足を降ろした。
全員がタイミングよくパラシュートを開き多くのストームトルーパー達が地上へと自由落下した。
全員にジェットパックを配れればもっと楽だったのだろうが生憎歩兵にそんなに金をかけている暇はない。
降下による部隊の展開は旧共和国軍のクローン・トルーパーの軍もやっていた事だ。
大きな実績がありそして今もまた成功という実績を重ねた。
パラシュートを切り離したトルーパーの集団が隊伍を組んで次々と敵基地へ突入する。
地上に着陸したセンチネル級から降り立った部隊もブラスター・ライフルや銃火器をそれぞれ手に持ち前へ進んでいった。
混乱する基地内を制圧するのはここまでくると簡単だ。
しかもジャンプ・トルーパーの部隊がより肉薄し精密な爆撃を行っている為基地の被害と指揮の低下はさらに増加した。
「アサルト・ウォーカー全機、地上部隊を展開しろ。後方の戦車隊もだ。物量を持って一気に制圧する」
AT-ATが部隊の揚陸態勢に入りいつ攻撃が来てもいいようにAT-STやAT-MPマークⅢが集まり防備を固めた。
両脇のハッチが開きざっと四十名近くのストームトルーパーが一斉に姿を表した。
その間をジャガーノートらの地上部隊は突撃し真っ直ぐ基地を目指していた。
インペリアル・アサルト・タンクやオキュパイアなどは小回りが効き火力も十分な為基地制圧や対歩兵戦で圧倒的な力を発揮する。
『こちら分遣隊アデルハイン中佐、作戦は成功。こちらの敵地上部隊はほぼ壊滅で降伏した』
コックピットにホログラムが浮き上がりアデルハイン中佐が現れた。
旅団全てがこの基地攻撃に回されたわけではない。
戦力を大体半分に切り分けアデルハイン中佐とジークハルトの二部隊でこの衛星の主要な敵基地を攻撃していた。
向こうはすでに戦闘が終了し勝利したようだ。
「こちらも全歩兵戦力を投入し基地の制圧中だ。もう間も無く…いや終わったな」
ジークハルトが全てを言い終える前に別のホログラムが出現し彼に報告した。
『上級大佐、敵基地が降伏を申し出てきました。我々の勝利です』
「そうか、敵兵全てを武装解除し捕虜を集めろ。私もすぐに向かう」
『了解です!』
片方のホログラムは途切れジークハルトは一息付いた。
『勝ったな』
アデルハイン中佐はそう親友に言葉を呟く。
ジークハルトも最初は微笑を浮かべていたがすぐに表情を締め直し返答した。
「まだだよ、まだ序の口に過ぎない。この戦いようやく始まったばかりだ」
そう、この程度の敵など想定すらされていない雑魚だ。
なんなら新共和国軍も殆どいなかったくらいだ。
それに彼らの敵はもはや新共和国軍ではない。
彼らの真の敵はかつての同胞なのだから。
戦闘が終了し旅団は徐々に集結し始めていた。
アデルハイン中佐の分遣隊もジークハルトの下に集まっており残りは索敵部隊と支援攻撃を行なった砲兵中隊のみだ。
捕虜はセンチネル級で上空の艦隊に護送され残す所は旅団の撤退のみとなっていた。
「第四小隊偵察完了しました上級大佐殿!」
スカウト・トルーパーの少尉が敬礼しジークハルトに報告する。
上級将校達と会話をしていたジークハルトは少尉に敬礼を返しねぎらいの言葉と共に再び命令を下した。
「ご苦労、すまないがもう一度偵察を頼む。索敵範囲は狭くてもいい」
「了解しました、直ちに実行します」
スカウト・トルーパーはバイクに戻り部下達に命令を出しに戻った。
その様子を見ていたパイロットスーツ姿のハイネクロイツ中佐は彼に若干不満そうに話しかけた。
「そんなに偵察したってもう敵は出てこないと思うぞ?ましてや帝国の残党なんて尚更だ」
ジークハルトは目線を落とし少し黙り込んだ。
結局彼はあの後上級将校や全ての将兵に命じられたことを話した。
ざわめきや動揺もあったがほぼ全員が命令に従ってくれた。
ハイネクロイツ中佐も最初は反対していたが今は納得してくれている。
「もしかしたらって可能性もある。これを最後にして切り上げるとするか」
「切り上げたら次はどこへ行く?まさかこれで終わりってわけでもないだろう」
ハイネクロイツ中佐は軽く問いかけた。
ジークハルトはポケットからホロプロジェクターを取り出しホログラムで星図を映し出した。
「次は惑星アンシオンに向かう。既に現地では友軍部隊が展開されているらしいが」
「一筋縄では行かないだろうな…アンシオンに付いてる頃には既に戦闘が終わっていることを祈ろう」
「ああ…全員、索敵部隊が全て帰投次第速やかにこの衛星を離れる。それまでに撤収の用意を済ませておけ」
将兵達から「了解」という声が響き皆地上に展開された機材やテントなどを片付け始めた。
「それじゃあ俺も地上に残ってるTIEやシャトルを片付けるとするかな」
ヘルメットを被りハイネクロイツ中佐が簡易発着場の方へ歩いて行った。
ジークハルトも「気をつけてな」と一声掛けていった。
「シュタンデリス上級大佐、ヒャールゲン中佐から捕虜の輸送が完了したと」
ヴァリンヘルト上級中尉がタブレットを持ち寄り彼に報告した。
そこでジークハルトは一つ疑問に思いヴァリンヘルト上級中尉に尋ねた。
「…輸送任務は別の将校に頼んだはずだが…?」
輸送任務ということで別の大尉に任せていたはずだがなぜ彼が報告してくるのだろうか。
「中佐曰く、捕虜の輸送も保安局の管轄だとか…」
「だが態々憲兵総監がやる必要はないんじゃないか?」
「確かに…まあ捕虜は輸送は難なく終わってるんですしいいんじゃないですかね?」
「そういうもんか…?」
「どの道アンシオンに向かうんですから長居はしてられませんし…」
それもそうだ。
報告だと戦況はそれほど逼迫していないらしいが早く向かうに越したことはないだろう。
「まあな…後で聞いておこう。報告ご苦労上級中尉」
上級中尉は敬礼しシャトルの方へと向かった。
1人になったジークハルトはふと制帽の鍔を持ち息を吐いた。
「気にし過ぎ…だといいんだがな…」
独り言を自分に言い聞かせるように吐き彼も部隊の方へ戻っていった。
血に塗れたエイリアンの死体を残して。
-残存新共和国領 アウター・リム・テリトリー カラマリ宙域 モン・カラマリ星系 惑星モン・カラマリ-
あわや燃料が尽きかけて宇宙空間を漂流しかけたジェルマンとジョーレンは哨戒任務に出ていたアンヴィル中隊に助けられなんとかモン・カラまで辿り着いた。
Uウィングは一旦アンヴィル中隊の旗艦である“シルヴァー・コロネットⅡ”によって応急処置がなされ今はジェルマンらと共にモン・カラ艦隊の総旗艦“ホーム・ワン”の中で本格的な修理が施されていた。
その為ジェルマンもジョーレンも“ホーム・ワン”のブリッジの中にいた。
「よく無事でいてくれた同志よ」
総司令官のギアル・アクバー元帥は2人に握手し無事を喜び暖かく出迎えてくれた。
「こちらこそお久しぶりですアクバー“
手を握るジョーレンは軽く冗談を口ずさみ懐かしい顔ぶれを見て微笑んでいた。
「私も君のことは覚えているよ大尉。スカリフ戦で君の部隊もローグワンの一隊に含まれていたから君も戦死してしまったのではと思っていた」
「ドレイヴン将軍の命令で1人偵察任務に出ていました。部下達を全員失ったのは悲しいですが立派に勤めを果たしたと思いますよ…本当にいい奴らだった…」
「ああ…あの戦いでは結局ラダス提督も失いその後もドレイヴン将軍を失った。そして今もストライン中将のような人物も失った。我々は失い過ぎた、だが過去を嘆き立ち止まっているわけには行かん」
ジェルマンも頷きジョーレンも悲しそうに俯いていた。
言葉にすれば同盟軍が、新共和国が失ったものは多すぎる。
結局今回の戦いでも多く失った。
帝国だって無傷ではないのは重々承知だがそれでも新共和国の方がもっと酷い有様だ。
これ以上奪わせるわけには行かない。
「元帥、ホログラムのセット完了しました」
技術士官がアクバー元帥に報告し元帥は「うむ」と威厳ある声で相槌を打った。
他の艦隊司令官や幕僚、参謀達もホロテーブルの周りに集まり回線が開かれるのを待っていた。
「起動してくれ」
アクバー元帥が技術士官に命令しホログラムが浮き上がった。
ディカーにいるレイアのホログラムだ。
ヤヴィン4の時と同じように将校達の目に輝きが戻っていくのが分かる。
流石は前大戦の英雄だ。
『アクバー元帥、あなたも無事で何よりです』
「殿下もご無事で」
アクバー元帥は敬礼しレイアを出迎えた。
『メイディン将軍も皆無事で何よりです』
クリックス・メイディン将軍も同じように敬礼した。
「2人から事情は粗方聞いています。新たな抵抗軍を作るのですね?」
『ええ、新共和国を元に姿に戻すのはもはや不可能でしょう…ですが諦めず帝国軍と戦わねばなりません。その為にも私達は再び一つにならなければいけない』
将校達は頷きレイアの話に耳を傾けていた。
皆それぞれ確固たる思いと矜持を胸に今日までやってきたのだ。
帝国軍はこのモン・カラを何度も追い詰め時には諦めそうになった事もあった。
しかし彼らはこの日までやり抜いてきたのだ。
絶望的な状況の中希望を信じて。
そしてようやくレイアから希望の一言がこうして齎された。
しかし敵はこんな時でも彼らを殺そうと迫っていた。
それは士官の一言から始まった。
「元帥!将軍!ハイパースペースより帝国艦隊接近!モン・カラに迫っています!」
その報告は若干感傷に浸っていた将校達を振り向かせるには十分だった。
レイアも驚きのあまり背後を振り返っていた。
アクバー元帥は急いでより正確な報告を聞き直した。
「どこからくる?」
「我が艦隊の真正面、前方です!数はまだ計測不能ですがおそらくスター・デストロイヤー十隻以上の艦隊かと…」
報告を聞いたアクバー元帥はすぐさま命令を下した。
「全艦戦闘配備に付け!スターファイター隊を発進させ防衛陣を展開、惑星内へ一歩たりとも近寄らせるな!」
「モン・カラ内にも非常警報と避難指示、及び部隊の展開を急げ!」
メイディン将軍も地上部隊に命令し非常時に備えた。
他の将校達も慌ただしく動き戦闘に備え始める。
アクバー元帥もホログラムのレイアに真剣な眼差しで最後の通信を行なった。
「殿下、申し訳ないが…」
『仕方ありません。ご武運をアクバー元帥、フォースと共にあらんことを』
レイアがそういうと通信が切れいよいよ戦闘という雰囲気が立ち込めてきた。
ジェルマンとジョーレンもアクバー元帥に進言する。
「我々も戦います。恐らくUウィングの修復はほぼ完了しているはずですから」
「頼んだぞ中尉、大尉」
2人は敬礼し急いで“ホーム・ワン”の格納庫へ向かった。
敵を凌げばまた敵が。
帝国軍の攻勢と新共和国の残党軍の防衛に終わりはないように感じる戦いに2人はまた身を投じようとしていた。
-惑星コルサント 親衛隊保安局本部-
事件からかなりの月日が過ぎコルサントの戒厳令は解除された。
その反動かのようにコルサント市民はラクサスでの勝利での勝利と新年を大いに祝いかつて帝国が崩壊した時よりも盛り上がっていた。
無論陰湿な場所は陰湿であったが。
親衛隊保安局はそんな中でも総統暗殺を企てた者の正体やその背後の組織がいないか捜査を続けていた。
「それで、暗殺犯の正体は掴めたのか?」
総統府長官にして親衛隊全権長官のハインレーヒ・ルイトベルン・ヒェムナー長官はハイドレーヒ大将にそう尋ねた。
ハイドレーヒ大将は彼に情報の詰まったタブレットを手渡した。
ヒェムナー長官はメガネをかけたままその資料を読んだ。
「犯人は…ただの一般男性…まさか、新共和国や敵国の特殊部隊員やスパイではないのか」
ヒェムナー長官は少し驚いたようにハイドレーヒ大将に尋ねた。
大将は椅子に座り彼に勿体ぶって返答した。
「全く、彼の身辺も周囲も特に怪しい点はありませんでした。本当に個人的な考え動機なのでしょう」
「制服を奪われた士官の身元は?」
「こちらも怪しい点はありません。遺体も見つかっていますし何よりFF将校なら総統に絶対の忠誠がある」
ハイドレーヒ大将はそう自ら所属する組織を豪語した。
無論それは親衛隊の全権長官たるヒェムナー長官も同じ思いだ。
親衛隊が、総統に救われた者達が相当を裏切るわけがない。
「問題は警備だ。そうなると責任は我々に…」
「“
「ハイドレーヒ、彼は裏切り者ではない」
「ええ知っています。ですが責任問題はまた別にある。それに彼はあの計画に全く熱心ではない」
ヒェムナー長官は顔を顰めた。
確かに犯人の侵入をあそこまで許してしまったのはディールス長官にある。
それに話は変わるがディールス長官がホロコースト計画に熱心ではないのも頷けた。
彼はあの計画を「無意味な事」と称し密かに人員を渋ったり予算を別に回していたりしていた。
これは総統が描く理想に反している。
「彼の不祥事は突けばいくらでも出てくる。第二帝国時代の古い禍根はこの際一掃されるべきでしょう」
「ディールスだけはそのまま据え置きにしたいと思ったのだがな」
「本気で仰っているのですか?親衛隊保安局を半ば私している奴ですよ?次誰を長官にするにしても彼は排除すべきです」
ハイドレーヒ大将はそう断言した。
ヒェムナー長官も薄々納得しつつある。
「閣下には進言する。まあ時期に結果は出るさ」
「ならばいいのですがね」
内心早くしてくれと思いつつもハイドレーヒ大将はあくまで平常心を装った。
間抜けだと感じてもヒェムナー長官は直属の上官だ、無碍には出来ない。
そこでハイドレーヒ大将はヒェムナー長官に一つ頼んだ。
「なら彼の部下の1人を私の方に回してはいただけないでしょうか。彼は無能であってもその部下は違う」
「君が人を欲するなんて珍しいな。分かった、手回ししておこう」
ハイドレーヒ大将はそれを聞き礼を述べるわけでもなく背もたれに寄りかかった。
彼の能力の高さは既にフューリナー上級大将から聞いている。
私と同じ考えであることも。
有能な私の手足はこれから何本あっても足りないだろう。
ぜひ頼むぞ、“フリシュタイン大佐”。
-帝国領 コア・ワールド 惑星クワット-
今日も惑星クワットの全ての造船所は休みなくフル稼働しており何隻かの軍艦が造船所を巣立っていった。
ここまで毎日大量に軍艦を建造しているともはや愛着すら湧かないだろう。
無機質な、それでいて必要不可欠なものだ。
当然それを監督するクワット社のボスも毎日休みなどない。
最近のヴァティオンは寝る間も惜しんで取引先との連絡や子会社との打ち合わせ、各造船所や工場の監督などを行なっていた。
「スター・ドレッドノートの竣工は成功です。既に戦果を挙げているとか」
幹部の報告を受けヴァティオンは満足そうに頷いた。
あれを取引先に送るのは大変だった。
「しかしそんな早く使うとはな。それほど困窮していたようには見えなかったのだが」
「惑星制圧ではやはりドレッドノートがあると便利なのでしょう」
「そんなものか」
ヴァティオンや幹部達は軍人ではない。
多少の心得はあるがあくまで彼らは経営陣や生産者で詳しい事は向こうの問題だ。
何はともあれ向こうが満足ならそれでいいだろう。
「スーパー・スター・デストロイヤーの建造状況はどうなっている?」
ヴァティオンは話を切り替え新型エグゼクター級の話をし始めた。
かつては十三隻存在していたエグゼクター級も今では“アナイアレイター”、“ルサンキア”、“リーパー”、“エクリプス”の“
だからこそ再び建造する必要があるのだ。
帝国宇宙軍の、帝国艦隊の力の象徴であったエグゼクター級を。
新たな帝国宇宙軍の
既に売り渡す相手も決まっている。
「会長、まだ建造をスタートして一週間も経っていませんよ。全然です」
役員の返答にヴァティオンは子供じみた感じで落胆した。
それはそうだ、あんな巨大なスター・ドレッドノートが一日二日で完成するものか。
分かっていてもどうしても聞きたくなってしまうのだ。
ヴァティオンにとってエグゼクター級とは憧れに近いのだから。
「それよりも第三帝国が通常の生産とは別にオーダーを寄越してきています」
「ほうほう、一体をどれくらいだ?」
その問いに幹部や役員達は皆口を閉し苦笑いに近い表情を浮かべていた。
「どうした?」
ヴァティオンはふと彼らに問い掛ける。
この反応は明らかに変だ。
すると幹部の1人が苦笑い気味のまま話し始めた。
「まずインペリアルⅡ級百二十隻、オナガー級二十四隻、アキシャル砲搭載艦九隻…」
「なんだって?」
余りの数の多さにヴァティオンも驚いて聞き返してしまった。
後半の数もおかしいし前半のインペリアルⅡ級百二十隻なんて一度のオーダーで頼むものではない。
こんな数軽く五個宙域の戦力を賄えるほどだ。
それに後半のオナガー級二十四隻とアキシャル砲搭載艦九隻という数字もおかしい。
まずこれらに必要不可欠な超兵器の原動力であるカイバー・クリスタルが恐らく足りない。
何せ現在就役しているアキシャル砲搭載艦とオナガー級の予備も合わせたカイバー・クリスタルを得るだけでも一苦労だったのだ。
「カイバー・クリスタルはどうするんだ。あの資源だけは我々の倉庫も空だぞ」
「それは第三帝国側がなんとかすると…」
その返答を受けてもヴァティオンの怪訝な表情は解消されなかった。
あの代物はなんとかしようとしてなんとか出来るものではない。
それが分かった上でやっているのだろうか。
「まあいい…オーダーはそれだけか?」
「いえ…後はアサルト・ウォーカーやスカウト・ウォーカーなどの機甲戦力をこれくらい…」
そう言って幹部はヴァティオンにタブレットを見せた。
ちろっと目を向けるだけでヴァティオンは驚くこともなく呆れ返った表情を浮かべていた。
「こんな戦力を要求して来て…第三帝国の軍事予算は無限か?」
「さあ…で、どうしますか?」
「あの連中にやれと言われたらやるしかあるまい…幸いにもそれくらいなら多少時間は掛かっても造れなくはない。全く勝ったら調子に乗る連中だとは思わなかったよ」
「人を見る目を少し見誤った」とヴァティオンは自重気味に笑った。
勝利したからとて急に軍縮を始める連中もどうかとは思うがかと言って急激に軍拡を推し進めるのもまたそれはそれだ。
良い商売相手なのだから長続きして欲しいとヴァティオンは個人的に思っている。
だが結局は他所は他所、いくら第三帝国側に付いているからと言ってそれは表面上の姿だ。
あまり他所に口を出す必要はないとヴァティオンは自身に軽く言い聞かせた。
「全く…我々の工業力や建造力だって無限ではないのだがな…ただでさえ多くのエイリアン従業員が帝国に徴集されて人手が足りんっていうのに」
「ですがその分新共和国時代の失業者を雇えてあの頃苦しかった分が解消されたじゃないですか」
「それはそうだが…まあ我々があれこれ言う話ではないがやはりバランスってのは大事だと心底思うよ」
ヴァティオンは懐かしき帝国時代を思い浮かべながら食えない笑いを浮かべた。
これじゃあ大黒字だよ。
本当にバランスというものは大切だ。
彼のデスクに移る“
戦場というのはすぐ終わるものもあれば激戦となる場合もある。
常に犠牲が少なく終わる戦いなどない。
今そうであるように。
隣を進んでいたAT-STが敵の砲撃で破壊され、鈍い音を立てながら地面に倒れた。
あちらこちらで銃撃の音が鳴り響き悲鳴や足音が聞こえた。
「中尉!バイノキュラーを!!」
ヴァリンヘルト上級中尉からエレクトロバイノキュラーを受け取るとジークハルトは急いで覗き込んだ。
エレクトロバイノキュラーを渡したヴァリンヘルト上級中尉はDTL-19重ブラスター・ライフルで敵を攻撃していた。
現在彼はいくつかの歩兵部隊と共に惑星アンシオン近くの衛星に上陸し戦闘に巻き込まれていた。
本来は全軍で上陸し既に現地にいるはずの国防軍部隊と合流する予定だった。
無論そこまでは上手く行ったのだが問題はその後だ。
突如謎の抵抗勢力に攻撃されて後続の部隊と逸れてしまった。
なんとかして敵を後退させ後続部隊と合流しひとまずの安全地点を作らねばならない。
ただ問題は敵が“
モーデルゲン上級大将に言われていた真の敵がこうして目の前に立ちはだかった。
ジークハルトは隣でブラスターを乱射し友軍を支援するヴァリンヘルト上級中尉に叫んだ。
「アイフナー軍曹を呼べ!」
「軍曹の隊は迫撃砲で右側の友軍を支援しています!今は無理です!」
直後自覚で爆風が巻き上がり会話は一旦中断された。
爆風は少しの間ですぐに戦闘が再開されすぐ脇をストームトルーパー数名が走り去っていった。
「とにかく国防軍でも親衛隊でも誰でもいい!分隊か小隊規模の戦力で中央に負担を掛けろ!」
「砲弾を運んでいる外人部隊なら手が空いています!動かせるのはほんの少数ですが!」
「十分だ!中尉急いで呼んでくれ!兵が集まったら我々も突撃だ!」
「了解!急いで前線に手の空いた部隊を寄越してください!中央に攻撃を仕掛けます!」
ヴァリンヘルト上級中尉は急いでコムリンクを開き外人部隊を呼び寄せた。
その間にジークハルトは先程のヴァリンヘルト上級中尉のように自身のE-11をぶっ放し敵兵を何人か仕留めた。
敵はストームトルーパーと地上軍トルーパーの混成部隊で一見すればこちらと見分けが付きにくい。
かつては別の場所で共に戦う仲間だったのだろうがもう躊躇う事はなかった。
「こちらに砲弾を運んでいた一個分隊ほどがすぐに来るそうです!」
「よし!諸君!間も無く前衛に突撃を仕掛ける!用意を頼むぞ!」
ジークハルトは後方で支援する何名かのストームトルーパーに叫んだ。
トルーパー達は頷いたり返事をし急いで自身のブラスター・ライフルの弾薬を確認し専用アタッチメントを接着しE-11にライフルソードをつけたりした。
「上級大佐殿!!」
再び後ろから声が聞こえた。
外人部隊のランス・バルベッド軍曹とアーロ・ゼルテック一等兵だ。
2人ともウェイランドの戦いで十分戦果を挙げ昇進していた。
他の分隊員やストームトルーパーらと共にジークハルトの側に寄って来た。
「これから中央に突撃する。無理に進めとは言わないが徹底的に敵軍の中央に打撃を与えろ」
「了解!」
ランス軍曹が頷いた。
「話した通り敵はかつては我々と同じ帝国軍の兵士だ。だが躊躇うな、敵を徹底的に打ち倒せ」
「はい必ず!」
「よし、2人はEウェブでこっから支援を頼む。残りは全員突撃だ。中尉、なるべくそばにいてくれ。その方が情報が手に入りやすい」
「了解です!しっかり守ります!」
ヴァリンヘルト上級中尉はヘルメットを被り直すとDTL-19をしっかりと構えた。
その様子を確認したジークハルトは自分たちが篭っていた土嚢などの上に立ち一番前に立った。
「全隊突撃!!総統閣下と祖国の為に前進せよ!!」
ジークハルトはそう支持を出し一番最初に飛び出しブラスターを放ちながら走った。
彼を先頭に外人部隊のトルーパーやストームトルーパー達が一斉に叫びを上げ突撃を開始した。
何発かの弾丸がジークハルトを掠めるが結局当たる事はなく逆に彼のE-11から撃ち出されたブラスター弾が敵兵を貫いた。
そのまままた1人の敵兵を撃ち倒すとジークハルトは後ろからくるヴァリンヘルト上級中尉と共に近くの岩陰に身を寄せた。
その間も敵兵に向けブラスター・ライフルを放ち友軍を支援した。
Eウェブや迫撃砲の支援は絶大で下手に顔を出す敵兵は皆餌食になっていた。
そのお陰で部隊が敵の戦列を突破し銃剣刺突や近距離射撃で敵兵を蹴散らしている。
特に強いのは外人部隊のランス軍曹で攻撃に容赦がなく格闘戦や近距離戦で次々と敵兵を倒していった。
だがアーロ一等兵も負けてはいない。
彼も必死に敵兵を狙撃し負けじと攻撃していった。
「大佐!左右の友軍部隊からの報告です!敵軍が撤退を始めたとのこと!」
「なんだと」
早すぎると思いつつもジークハルトは自身がいる前線の状況を確認した。
エレクトロバイノキュラーを使う暇がなかったのでスコープ越しだったがはっきりと分かった。
敵は確実に撤退を始めている。
銃器などを持ち、あるいはそのまま捨て去り一目散に隊を組んだまま退却していた。
「それと後続部隊のアデルハイン中佐が敵部隊を突破しました!」
ヴァリンヘルト上級中尉の報告を聞きジークハルトはひとまず敵を退けたことを確認した。
しかしやはり早すぎる。
敵にとっては小手調のようなものだったのか。
『上級大佐!敵を打ち破りました!』
突撃した部隊長の1人からコムリンクから報告が入った。
ジークハルトは急いで答える。
「よくやった、追撃はせず我々と合流しろ。全員本当によくやった」
『了解であります!』
コムリンクは切れ段々周囲の銃撃戦の音も止み始めた。
ジークハルトは略帽の鍔を持ち上げ敵が逃げていった方向を見つめる。
「やりましたね上級大佐!」
ヴァリンヘルト上級中尉は勝利した様子でジークハルトに声をかけた。
ジークハルトも最初は微笑を浮かべていたが彼から発せられる言葉は勝利を肯定する言葉ではなかった。
「違うぞ上級中尉、我々は相当手強い敵と当たるかもしれない」
敵は確かに退けた。
だがあまりにも見事な退却ぶりを見て確信した。
敵は手強い。
やはり一筋縄ではいかない。
「我々の戦争は始まったばかりだ」
眼前の先に控える敵の姿を思い壁ながらジークハルトはそう呟いた。
つづく
クラリッサ「暗くて靴が見えませんわ!こうなったらスパイスで…!」
ヴァティオン「どうだ明るくなっただろう(アキシャル砲をぶっ放しながら)」
フューリナー「ほら言った通りの異常者だろう?」
マイン「うん、確かに…」