第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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「大臣達が次々と蹴落とされ新たに、親衛隊の忠臣方に慕われている役人が昇進し大臣となって行く姿はあの当時でも単なる権力闘争の敗北には思えなかった。しかし私は声を上げられなかった。それは単純に臆病だったからだ。他の誰かがどうとかではなく私が臆病だったからだ。誰がどう言おうとも私のせい、私の罪は私にある。声を上げなかった罪は彼らを許してしまった罪と同罪だ。私の大罪と最大の後悔は、あの第三帝国の小役人として過ごした間に全て詰まっていた」
-元第三銀河帝国職員の回想録-


新たなるジェダイ

-アンシオン衛星周辺 エグゼクター級スター・ドレッドノート ルサンキア艦内-

ついにシュメルケ上級大将率いる親衛隊の一個艦隊が到着した。

 

エグゼクター級を旗艦とし二十隻以上のインペリアル級、付属艦や他の艦隊も合わせれば有に百隻以上を超える艦船の軍集団が北西に支援に来たのだ。

 

しかしこれでも通常の宙域艦隊よりは随分とコンパクトなものだ。

 

シュメルケ艦隊はインペリアル級の数では若干通常の宙域艦隊を上回ってはいるもののその他の艦船の数が完全に下回っている。

 

数百隻に対し通常の宙域艦隊は千六百隻以上の艦船を保有しておりその差は計算するまでもないだろう。

 

あくまでこれは一般的な数字とは言え同盟時代にはあのライカン将軍すらも苦渋の声を上げていた。

 

それは帝国が崩壊しても同じ事で今もなお第三帝国には六千隻以上のインペリアル級が存在しており他の宙域にもかつての帝国艦隊が惑星防衛艦隊として存在している。

 

このアンシオンのように。

 

帝国を打ち倒す事は出来ても完全に滅ぼす事は出来なかったのだ。

 

「一個艦隊到着…敵の調略部隊も合わせてこれで完全に形勢逆転だな」

 

アデルハイン中佐が密かにジークハルトに耳打ちした。

 

ジークハルトも頷き言葉を返す。

 

「しかもエグゼクター級とシュメルケ上級大将だ。上手く行けばアンシオンの艦隊は壊滅し敵も降伏するかもしれん」

 

「確かに、少なくとも艦隊の戦力はこちらが上回っているわけだしな」

 

「だがよ、そう簡単に敵が降伏するか?」

 

アデルハイン中佐の隣にいたハイネクロイツ中佐が遠くから疑問を投げかけた。

 

「俺達と同じ諦めの悪い元帝国下りの連中だぜ?なんなら最後の一兵になるまで戦いそうな気もするが…」

 

彼の言う事はここ数年の出来事や事実を読み取ればすぐに分かる。

 

もはや勝機などないに等しい時に行われたジャクー戦ですら最終的に現地の帝国軍は一ヶ月近く戦っていたのだ。

 

勝てないと分かっていても最後の最後まで、命尽き果てるまで戦う。

 

それは一兵卒だけでなく帝国の将校や上級将校達にも同じような気迫があった。

 

むしろそうでない者は「臆病者」や「無能者」とされているだろう。

 

かく言う彼らだってコルサントを占拠し新共和国と戦いに臨んだ。

 

人の事をとやかく言えた口ではないがだからこそ相手がよく理解出来た。

 

「確かにな…そうなった場合殲滅戦も免れないか」

 

「戦力は我々が勝っているとはいえ気を引き締めないとな」

 

「それにまだ新共和国の連中も残っているしこの戦いまだまだ序盤に過ぎない。長くなるぞ、もっとな」

 

ジークハルトはモーデルゲン上級大将に言われた言葉を思い出しながらそう呟いた。

 

上級大将が言っていた元帝国の敵というのは彼らだけではないだろう。

 

むしろ彼らなど序の口に過ぎない、本当の敵はもっと奥にいるはずだ。

 

例えばそう、“()()()()()()”。

 

有り得ない話ではない。

 

あの混乱期に未知領域へと撤退し勢力を未だ保持し続ける軍勢がいてもなんらおかしくはないのだ。

 

もしそうだとしたら彼らとも戦うのであろうか。

 

同胞同士の殺し合いはもうとっくに三、四年も前に経験済みだがまたやりたくはないものだ。

 

それにこのまま行けばもしかするとあの子だって……。

 

そんなジークハルトの思考は一時的に停止された。

 

ドアが開きFF将校の少佐が入室したからだ。

 

少佐は高らかに宣言する。

 

「シュメルケ上級大将の到着です」

 

再びドアが開き数名の将校を背後に従えた親衛隊最高司令官が入室した。

 

当然のようにジークハルト達は敬礼しシュメルケ上級大将を出迎えた。

 

上級大将も敬礼を返し彼は口を開いた。

 

「ご苦労、勇敢な総統の尖兵諸君。君達の働きによって帝国はさらに復活しつつある」

 

「全ては第三帝国と総統のために」

 

別の部隊指揮官がそう言い放ちシュメルケ上級大将も満足げに頷いた。

 

彼は1人1人に握手をして回った。

 

そして一番最後の番となったジークハルトの前に立ち止まった。

 

「シュタンデリス上級大佐、よくやった。あの衛星奪取と周辺域の防衛軍と新共和国軍の撃滅によりより大規模な部隊の展開が可能となった」

 

「ありがとうございます。しかし敵部隊を丸々逃がした挙句国防軍の一個連隊が……」

 

「それは国防軍の管轄だ。君の旅団はそれらの犠牲を差し引いても一個軍団ほどの働きをしてくれた」

 

ジークハルトは再び敬礼し感謝の意を伝える。

 

シュメルケ上級大将は静かに頷き彼に次の作戦の展開を教えた。

 

「我々はこのままアンシオンを制圧した後、ギラッターⅧを突破しラゴなどを制圧する。ここにも以前中小規模だが旧帝国軍の勢力が確認出来る」

 

「戦力はどのくらいですか?」

 

ジークハルトがシュメルケ上級大将に尋ねた。

 

「機動艦隊、小艦隊程度だ。しかしこの勢力も敵対するかは我々に掛かっている。もしアンシオンで絶対的な勝利を収めた場合恐らく彼らも我々に与する事だろう」

 

「つまり今後の作戦展開はこのアンシオンにある」とシュメルケ上級大将は付け加える。

 

確かにその程度の勢力ならアンシオン軍敗北によって「我々では勝てない」という事を知らしめられるだろう。

 

古典的なやり方だがそれ故に効力も大きいしそれに相手は元帝国軍なのだから戦わない事を選んでくれれば逆に戦力として組み込める。

 

「このまま艦隊戦に持ち込み敵の防衛線を打ち破る。そしてまず上陸部隊としてベイリッツの師団が先行して突撃する」

 

「我々の旅団はどうすれば?」

 

「君の旅団はこのまま第二次の主軸部隊となってもらう。ベイリッツが突撃し君達が支援する。出来るな?」

 

「可能です」

 

「よろしい、それと君の旅団のヒャールゲン中佐を少しの間借りたい。いいか?」

 

ジークハルトは少し首を傾げ疑問とともに結論を述べた。

 

「可能ではありますが何故中佐を…?それに少しの間職務から離れるのであれば代理の将校を配置しませんと。専門職の総監無くしては規律管理にも限度がある」

 

「その事については問題ない、ヴェーク中佐」

 

FFSBの白い軍服を着た中佐がシュメルケ上級大将の前に立ち敬礼した。

 

上級大将は彼を軽く説明した。

 

「一時的に彼が代理の憲兵総監となる。これで問題はないはずだ」

 

「なら構いませんが…」

 

ジークハルトは目線を奥の方にいるヒャールゲン中佐に寄せた。

 

気づいたヒャールゲン中佐は「お構いなく」と目線で訴えている。

 

「分かりました、我が旅団から憲兵総監をお貸ししましょう」

 

「ああ、では君の方も頼んだぞ」

 

「ハッ!」

 

敬礼しヒャールゲン中佐と共に部屋から去って行くシュメルケ上級大将らを見送った。

 

中佐や他の将校を後に続かせてシュメルケ上級大将は急足で“ルサンキア”の艦内通路を歩いた。

 

「さて行くぞ中佐。我々も徹底的な殲滅に近い大粛清を行うとしよう」

 

「はい閣下」

 

 

 

 

 

 

 

 

-ミッド・リム テラーブ宙域 ルーサン星系 惑星ルーサン-

Uウィングとミレニアム・ファルコンがルーサンの上空を飛び続け味方のXウィングの捜索を続けていた。

 

しかしすでに一時間近くが立っているのにも関わらず機体は見つからない。

 

「将軍、一旦地上に着陸して休憩したら如何でしょうか。このまま捜索していても埒が空きません」

 

『そうだな、指定したポイントに着陸する』

 

「了解、聞いたかジェルマン。休憩だ」

 

捜索を続けるジェルマンに声をかけ片手で彼を揺さぶった。

 

「ああもうちょっと…ん?」

 

ジェルマンはコックピットから後ろを覗き込み何かを見た。

 

間違いなくUウィングに接近してくる何かを。

 

「ジョーレン!回避を!」

 

「あっ?センサーには何にも…」

 

「右でも左いいから早く!」

 

「仕方ねぇなぁ…」

 

そう言いジェルマンは操縦桿を右に倒し右側に旋回した。

 

あまり乗り気ではなかった為反応が遅れたのか、それとも不幸中の幸いだったのかは分からない。

 

しかし危機一髪であった。

 

旋回したUウィングに大きな振動が遅い船体を擦る音がコックピット内に木霊した。

 

ロケット弾のような一発の弾頭がUウィングの船体を掠めたのだ。

 

「ああなんだクソ!」

 

「やっぱりなんか撃たれたんだ!」

 

苛立つジョーレンに他所にジェルマンは冷静に分析した。

 

しかしジョーレンは未だ信じられない様子でいる。

 

「だがセンサーには映っていなかった!ステルス製品だっていうのか!?」

 

「とにかく目視で確認するしかない!」

 

そう言ってジェルマンは再びUウィングのコックピットから外を覗き込んだ。

 

再び何発かの飛翔体がUウィングに向かってくるのが分かる。

 

「また来てるよ!」

 

ジェルマンは焦りながらジョーレンに報告した。

 

ジョーレンも額から冷や汗が出ているのが分かる。

 

「何とか回避する…!それとお前は例のシステムを立ち上げてカメラで確認しろ!迎撃出来れば少しは楽になる…!」

 

「わかった!」

 

端末を起動しジェルマンはシステムを起動し始める。

 

センサーが使えない為ジョーレンは感覚で弾頭を避けるしかない。

 

操縦桿を一回転させ機体を反転させる。

 

そのままUウィングは一回転し弾頭二発がUウィングの前方で誤爆し爆散した。

 

しかし再び飛翔体は放たれUウィングを襲う。

 

「たくっ!これじゃあ全く休憩に入れねぇっての!」

 

「起動した!」

 

ジェルマンはその報告と共に引き金を引き飛翔体を破壊する。

 

「そのまま頼む、こっちは将軍の方に連絡を取る」

 

「頼んだ!」

 

ジェルマンは再び引き金を引き放たれる飛翔体を迎撃し続けた。

 

Uウィングの通信システムを起動し隣を飛ぶファルコン号に通信を掛けた。

 

「こちらUウィング!現在攻撃を受けています!」

 

『大丈夫か!?』

 

「何とか迎撃していますがっなぁっ!」

 

再び機体に振動が響き警報が鳴り出す。

 

ダメージを食らった事を報告する警報だ。

 

「どうした!?」

 

「ちくしょう散弾を撃ってきた!何とか撃墜したけど機体に損傷が!」

 

「あぁ何とかして着陸する!まだ迎撃を怠るなよ!」

 

『おい機体から煙が上がってるぞ!』

 

ハンはUウィングの損傷状況を伝えた。

 

恐らくまだ損傷は軽度だろうがこのまま飛び続ければいずれ深まる可能性がある。

 

こうなったら不時着してでも地上に降り立たなければならない。

 

「Uウィングを強制着陸させます!支援頼めますか!?」

 

『妨害電波なら展開出来る』

 

「それで頼みます!」

 

通信を切るとジョーレンは深く息を吐き操縦桿をしっかり握り締めた。

 

まだ機体は水平を保ち飛び続けている。

 

着陸するには今しかない。

 

「さて出来るか…」

 

機体の高度を徐々に下げ地面に近づけていく。

 

この周辺は森林に囲まれており下手に着陸すれば余計な損傷を増やしてしまう。

 

しっかり予定された着陸場所に降り立たなければならない。

 

機体を微調整しながら木々や山々を避け速度を維持する。

 

「妨害電波だ!攻撃が!」

 

「ソロ将軍のおかげだ、俺達は今のうちに着陸するぞ」

 

「了解!」

 

これで背後の心配は無くなった。

 

後は着陸するのみ。

 

山を越え目標の平原がようやく見えてきた。

 

「よし着陸するぞ!」

 

機体を一気に減速させ右旋回しながら高度を下げる。

 

スピーダーのドリフトのようにUウィングは地面スレスレを飛びながら機体は完全に減速した。

 

そのままゆっくりとUウィングを地面に下し着陸した。

 

「っはぁ……何とか成功…」

 

ジョーレンは背もたれに寄りかかりまた大きく息を吐いた。

 

ゆっくりとシートベルトを外し側に掛けておいたブラスター・ライフルを手に取る。

 

ジェルマンは既にブラスターを手に取ってハッチの側に寄っていた。

 

「さてと…一足先に着陸したが…」

 

独り言を呟きながらジョーレンはUウィングのハッチを開け外に出ようとした。

 

するといきなりブラスター弾が開き掛けたハッチに直撃し火花を散らす。

 

足を下ろそうとしていたジェルマンとジョーレンは急いで身を機体の中に隠しブラスター・ライフルを構えた。

 

その行動はジョーレンの方が早く既に引き金を引き敵の方向に弾丸を発射していた。

 

遠くからコツンと音が響き何かが倒れた。

 

「いきなり敵襲かよ!」

 

その言葉に応じるかのように弾丸の雨は次々とUウィングに直撃した。

 

ジェルマンとジョーレンもハッチから身を乗り出し迎撃するが敵は一発、二発では撃破出来なかった。

 

「何だあのドロイド!」

 

「ありゃコマンドータイプのドロイドだ!しかも帝国軍用に改良されてやがる!」

 

問いかけるジェルマンにジョーレンはそう答えた。

 

クローン戦争中にあのドロイドと散々戦い危うく死にかけた事もあるジョーレンは敵のドロイド・コマンドーの弱点を正確に分析し攻撃し始めた。

 

が、そう簡単に敵は倒せなかった。

 

「ああクソ!野郎頭部の守りが強化されてる!!一撃でぶっ倒せねぇ!」

 

以前のBXシリーズ・ドロイド・コマンドーは首回りや頭部など少なからず弱点があった。

 

しかし頭部には強化装甲が取り付けられより頑丈な設計となっている。

 

それでいてその機動力と予測の難しい動きは以前のままだ。

 

射撃も正確で危うく被弾する可能性すらある。

 

「チッ!」

 

ジェルマンはピンを抜きインパクト・グレネードを投げつける。

 

しかし機敏な動きにより爆発を寸前で回避されドロイドを一体破壊する程度しか叶わなかった。

 

「支援頼む!それよりこっちの方が効果的だからな!」

 

ジェルマンはブラスター・ライフルを持ち換えドロイド・コマンドーを狙撃する。

 

一発だけでは撃破には至らないが正確に二発、三発と直撃させれば破壊出来る。

 

ジョーレンはピンを抜き応戦するドロイド・コマンドー達の中央に筒状のグレネードを投げつけた。

 

直後グレネードは青白い発光と共に何本かの電撃を発現させドロイド・コマンドー達を巻き込んだ。

 

電撃を食らったドロイド・コマンドーはバタバタと倒れ機能を停止している。

 

「イオン・グレネードか!」

 

「ただの爆発物よりドロイドにはこっちの方が効果的だ!」

 

そう言い片手でブラスター・ライフルの引き金を引き続けながらジョーレンは再びイオン・グレネードを投げつける。

 

数体のドロイドが機能停止し敵部隊の進軍と攻撃の手が一旦止まる。

 

その隙に2人はブラスター・ライフルの精密射撃を浴びせ掛け確実に数を減らしていく。

 

しかしドロイド・コマンドー達も反撃の弾丸を浴びせてくる。

 

「ジョーレンあれを!」

 

ジェルマンは上空を指差した。

 

ミレニアム・ファルコンが地面に大きな影を作りながら降り立とうとしている。

 

『頭を下げておけよ!そら行くぞ!』

 

ファルコン号の船体下部の四連レーザー砲が放たれ地面に大きな爆風と土煙を巻き起こした。

 

巻き込まれたドロイド・コマンドー何体かが破壊され残されたコマンドー達も一旦物陰に隠れながら後退し始めた。

 

ファルコン号の火力は高くドロイドが隠れる岩ごと周囲を吹っ飛ばし敵を破壊する。

 

すると何か指令を受け取ったドロイド・コマンドー達は完全に退却を始めた。

 

「撤退していく…?」

 

「戦術的な撤退だな。とにかく今のうちに何とか機体を修復しないと」

 

ブラスター・ライフルを構えながら慎重にジョーレンはUウィングから降り立った。

 

ジェルマンも後に続き周囲を見渡す。

 

隣にはミレニアム・ファルコンが着陸しハッチが開いている。

 

「助かりました。危うくUウィングに閉じ込められるところだった」

 

「ああ全くだ。しかしこんなところまで帝国軍が手を伸ばしてるだなんて知らなかった」

 

するとハンの隣にいるチューバッカは「来る前によく確認しないからだ」と言った。

 

「ああ、だが軌道上に艦隊もないしルーサンまでは来てないと思ったんだ」

 

「それに連中が使ってるのはコマンドータイプのドロイドです。改造もされてるし恐らくここに何かしらの価値があるのでしょう」

 

ジョーレンの言葉にチューバッカとハンは顔を見合わせた。

 

少し考えハンは口を開いた。

 

「…やっぱりあいつを探してんのかな」

 

チューバッカもうなずいている。

 

「あいつとは?」

 

ジェルマンは2人に尋ねた。

 

「俺達が探してる人物だ。ついこないだまでは自分のケツも拭けねぇガキだったんだがな…今じゃ…っ」

 

ハンの話を閉ざすかのようにそれは響いた。

 

けたたましいもはや聴き慣れてしまった音。

 

その音と共に周囲に留まり直していた鳥は再び逃げ出しまた別の音が響いていた。

 

ハンやジョーレン達の間に冷ややかな緊張が張り詰めた空気が流れ冷や汗が垂れる。

 

迂闊だった。

 

呑気に話している場合ではなくもっと警戒すべきだった。

 

敵はあのドロイド・コマンドーなのだ。

 

しかも強化されておりもっと警戒心を強めるべきだった。

 

敵は、僅かながならに生きていたのだ。

 

少なくともジェルマン達を識別しブラスター・ライフルで攻撃出来る程度には。

 

彼らの背後から銃声が響き全員にその事が再確認された。

 

だが、不思議な事に誰1人死んでもいないし怪我もしていない。

 

それは何故か。

 

後ろを振り返ってみればわかることだ。

 

一行は恐る恐るゆっくりと後ろを振り返った。

 

なんとドロイドが発射した弾丸は“空中でそのまま止まっていたのだ”。

 

赤い光弾が微弱な音を立てながら空中に固定されている。

 

そして彼らがその状況を目にすると空中に固定されたブラスター弾は発射したドロイド・コマンドー本体に直撃した。

 

装甲に被弾し火花を上げる。

 

ドロイド・コマンドーはそこで限界に達したのか機能が停止した。

 

「この技は…」

 

チューバッカも「間違いない」と吠えた。

 

全員が目線をドロイドから上の方へ見上げた。

 

そこには一体のアストロメク・ドロイドと黒いフードを被った青年が立っている。

 

青年はフードを下ろしその素顔を表す。

 

その姿は間違いなく“()”だった。

 

ハンとチューバッカは安心したように笑みを浮かべジェルマンは憧れのような目線を向けていた。

 

ジョーレンはよくわかっていなさそうだったが。

 

「無事だったみたいだね」

 

そこには彼がいた。

 

新たなる希望。

 

選ばれし者の子。

 

新時代のジェダイ。

 

ルーク・スカイウォーカーが。

 

 

 

 

 

 

 

-未知領域 惑星イラム軌道上 エグゼクター級スター・ドレッドノート エクリプスブリッジ-

アンシオンから離脱してきた将兵の受け入れは順調に行われていた。

 

脱出してきた将兵達は皆ファースト・オーダーが拠点の一つとして構える惑星イラムで合流していた。

 

ここは彼らにとってひとまずの安息の地だが最終的な目的地ではない。

 

彼らにはまだまだ旅路を進んでもらわなければならない。

 

ここはその為の休憩地点なのだ。

 

「アンシオンの第一陣は問題なくイラムに到着しました」

 

「そうか、では準備出来次第頼むぞ」

 

「了解!」

 

士官からの報告を受けスローネ大提督は次の命令を出すよう頼んだ。

 

そしてふとしたように“エクリプス”のブリッジからファースト・オーダーの艦隊と脱出してきたアンシオンの艦隊を覗き込む。

 

まだ殆どの艦が無傷で戦闘があった事などまるで嘘のようだった。

 

「タイタン中隊はどうなっている?」

 

スローネ大提督はアンシオンに派遣した精鋭部隊の様子を尋ねた。

 

その問いに対し幕僚の1人が報告し始める。

 

「アンシオン軍の撤退を支援すると未だ戦場に残っています。撤退命令を出しましょうか?」

 

「いやいい、彼らなら上手くやってくれるだろう。隙にさせておけ、しかしバレるなよと伝えておけ」

 

「了解しました」

 

ファースト・オーダーの中でも一、二を争うエースパイロットの彼とファースト・オーダー最強の中隊ならば問題ないだろう。

 

バレるなとは言ったがその心配も皆無に近い。

 

ただ問題は。

 

「アンシオンが堕ちたとなれば次は我々だ。無論セオリー通りに対応するが…」

 

「不安は大きいのであろう?」

 

ブリッジの奥から老人の声と静かな足音と少し強い足音の二つが聞こえてくる。

 

この声は地上軍の総司令官として元帥から大将軍に昇進したホドナー・ボラム大将軍だ。

 

そしてもう1人はというと…。

 

「第三帝国の勢いは強い。ジャクー戦の我が軍を上回るほどだ」

 

「グランドモフランド、来ていたのか」

 

スローネ大提督はその顎髭とスキンヘッドが目立つ男に声を掛けた。

 

「ああ、未知領域の統治は思ったよりつまらないからな」

 

グランドモフランドはその称号の通りとまではいかないが惑星エクストリアの特別総督であった。

 

彼はボラム大将軍と同じようにラックス元帥によりシャドウ・カウンシルに選ばれかのジャクー戦では表の総司令官として新共和国軍と戦った。

 

後に命名される彼がジャクー戦の前に全部隊に放った「最終決戦演説」は敵将ギアル・アクバー元帥の「最終戦争演説」と並びジャクーの戦いの代名詞となった。

 

尤も、ランドにとってはこれ以上にないほど不名誉な事だが。

 

この戦いでは敗北してしまったがグランドモフランドは生き残りそのままケルーハン星雲で生き残りの部隊と共に残存勢力を結集していた。

 

その後スローネ大提督らファースト・オーダーと合流し彼はファースト・オーダーのグランドモフとなった。

 

現在ファースト・オーダーが未知領域で手に入れた領土の行政や統治は全て彼が担っている。

 

「しかし我々も阿漕な事をする。生き残る為には仕方ないとはいえ」

 

「分かっている。だが必ずしもこの行いが永続的なものとは限らん」

 

ボラム大将軍とグランドモフランドは彼女の隣に立ち味方の艦隊を見つめた。

 

スローネ大提督はそのまま話し続ける。

 

「我々は本来“()()()()()”ではなかった。我々はただ生き残ってしまっただけだ。だからこそ我々は失われた者達の遺志を引き継ぎ続けなければならん」

 

選ばれた者などごく一部、後は皆ただ単に死に損なったか生き残っただけだ。

 

それはこのファースト・オーダーも第三帝国もそうだ。

 

皆所詮は同じ穴の狢、一つ違えば皆同じ姿になっていただろう。

 

だからこそ外れてはいけないのだ。

 

託された遺志から。

 

仮に醜い姿になって亡霊に近しかったとしても。

 

だから我々は見極めるまで側にいる。

 

もし彼らが遺志から外れたのならその時は。

 

「我々は戦うさ、遺された遺志を貫く為にな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、俺は、俺達は進み続ける」

 

 

 

 

 

 

 

エクリプス”の艦内でその言葉はどこか誰かと重なっていたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日コルサントでは、いや第三帝国では衝撃的な事件が起こった。

 

親衛隊保安局のディールス長官の失脚を受けて第三帝国の権力バランスは大きく変化した。

 

まず経済大臣が解任された。

 

書面のみの冷たい勧告であり受け取った瞬間解任された財務大臣は愕然としたという。

 

そして次の日にはすぐに財務大臣が発表された。

 

COMPNOR上級委員で比較的親衛隊や代理総統と繋がりの深いワルター・フリンクが就任した。

 

それから二時間後、今度は外務大臣のゼールベリック大臣が解任された。

 

ゼールベリック大臣はその報告を聞いた途端「ついこの日がやって来たか」と何か悟り納得した表情を浮かべ彼はCOMPNOR委員など全ての職を辞任した。

 

しかし一番権力バランスの変化が大きかったのは帝国軍の方であった。

 

あの国防大臣、ヴィルヘルム・ブロンズベルクが「国防省及び国防軍の風紀を乱す行い」をしたとされ解任された。

 

代理総統や親衛隊に比較的協力的だったのにも関わらず失脚したのだ。

 

ブロンズベルク大臣は「でっち上げだ!」と憤怒し解任を取り下げるよう要求したが意見すら聞いてもらえず総統府から強制的に追い出されてしまった。

 

その姿はあまりにも惨め絶望感に溢れていて目も当てられなかったという。

 

そして国防大臣の職は解体されその穴埋めとして国防軍最高司令部政治長官という長官職が設置された。

 

軍部でも同様に同じような失脚が僅かな間に相次いだ。

 

特に地上軍と宇宙軍では参謀本部勤務の上級将校何人かが一斉に解任され退役に追い込まれた者もいた。

 

その大半は親衛隊や第三帝国の現在の政策に懐疑的な者ばかりだった。

 

そしてその後就任した者達は皆フリンク大臣のような比較的親総統派のメンバーだった。

 

特に新たに外務大臣に就任したヨーフェン・リーベンドロプは外交官でありながら親衛隊の名誉大将であった。

 

他のメンバーも大なり小なり繋がりのある者ばかりだろう。

 

後にブロンズベルク罷免事件と呼ばれるこの一連の失脚は少し雑に、強引に代理総統と親衛隊は政敵を排除し帝国を完全に乗っ取ってしまった。

 

もう元に戻る事は出来ない。

 

もう以前の姿には戻れないのだ。

 

帝国であってもかつての帝国は、()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-コルサント 親衛隊本部第六駐機場-

「政敵の抹殺、思ったより成功したな」

 

「むしろ成功しなければ我々の立場が危うくなりますよ」

 

親衛隊本部の駐機場でヒェムナー長官とハイドレーヒ大将は話していた。

 

周りには多くの親衛隊将校がいるが別に気にする必要はない。

 

彼らは皆ヒェムナー長官のは以下のようなものだ。

 

「これでようやく帝国の基盤が固まった。しかしブロンズベルクまで外す必要はなかったと思うが」

 

「彼はゼールベリックと繋がりがあった。あの計画に否定的な奴と繋がりがある時点で危険です。それに彼がいなくとも代わりはいる」

 

「そうだな…だがこれより重要なのは我々のミディ=クロリアン研究とフォース研究だ」

 

ヒェムナー長官は話を変え裏の研究の事を言い始めた。

 

それを聞きハイドレーヒ大将はどこか困惑したような表情を浮かべている。

 

正直そんな話よりも治安と計画の方を綿密に吟味したいのだが。

 

「ヴォーレンハイトの研究は必ず我々に神秘の力を齎してくれる。特にダークサイドのフォースはどんな暗がりであっても我らを常に照らし帝国の力になる」

 

「各収容所から感受者をリストアップし被験者を集めてはいますが…」

 

「それでいい、ハイドレーヒ。あの研究はホロコーストと並んで我々には必要不可欠だ」

 

ハイドレーヒ大将は相槌を打ちヒェムナー長官の言葉を右から左へ聞き流した。

 

別にフォースの存在自体は否定していない。

 

ただ、流石にやりすぎだ。

 

いくらなんでも度が過ぎている。

 

「新共和国との一連の戦いが終わったならモラバンドかドロマンド・カスにも行ってみたいものだ。あそこは帝国の、ダークサイドの聖地だからな」

 

「そうですか、それはそうとあれを。建築総監殿がおいでですよ」

 

若干鬱陶しそうにハイドレーヒ大将は腕を組みスピーダーの方に指を差した。

 

一台だけすぐ近くの駐機場に停まり担当士官によってドアが開けられた。

 

士官の敬礼を受け見慣れた男がが降り立った。

 

ヒェムナー長官も「ああ彼か」と納得し大した感想を表情に出していなかった。

 

制帽を被り通常とは違う色合いの親衛隊制服を着込んだ男は2人のまで向かってきた。

 

「やあ」

 

軽く声を掛け首都惑星建築主任総監“アベルト・シューペル”は2人に話しかけた。

 

彼は元々帝国の建築家だったが代理総統の台頭後はそのセンスを認められベアルーリン、今ではコルサントの首都改造計画の主任総監を担当していた。

 

「少しいいか?コルサントのアンダーワールド改装の件で話がある」

 

「立ち話でいいなら少し答えよう。アンダーワールドにはもう十分なほどの治安維持部隊と警察隊を展開しているはずだが?」

 

度々行っているアンダーワールドでの治安維持という名のエイリアンや反帝国主義者の逮捕は逆に治安を悪化させている一面があった。

 

終焉を悟ったエイリアンや反帝国主義者達は度々自決し、あるいは他人を巻き込み爆発物などで周囲を巻き込んで死ぬことが多々あった。

 

事例としてはごく少数なのだがそもそもアンダーワールドに潜むエイリアンの数が多すぎる為必然的にこのような爆破事件も増えてしまう。

 

アンダーワールド市民はこうしたどこから現れるか分からない爆発とエイリアン達を血眼になって探す保安局員や警察達の誤認逮捕を日々恐れていた。

 

その為度々シューペル総監が行うコルサント改造計画も中断される事が多くなっていた。

 

「それもあるが一番はポータルの件だ。FFSBのガンシップが着陸地点を誤ったせいで排水管の一部が破壊された。各隊に気を付けるよう指示を出して欲しい」

 

親衛隊保安局やエイリアン掃討を目的として展開された部隊は迅速に行動する事を求められる為度々周囲の損失を度外視して行動する傾向が見受けられた。

 

今回もその一つであり損傷は軽微とはいえ面倒なことになっている。

 

「それはすまなかった、忠告を入れておこう。しかし彼らの任務は帝国にとって最も重要だ、多少の事は目を瞑って欲しいものだ」

 

そうヒェムナー長官は忠告すると言いながらも部下達への弁護を行なった。

 

「だが処理機能の一部低下は市民への生活に影響が…」

 

「帝国が勝利し真の平和を得る為であれば市民も納得してくれるさ。それに何より多少の苦しみは市民を強くし帝国の勝利に繋がる。ダークサイドがそうであるようにな」

 

そう言いヒェムナー長官は近くにいた運転手を手招きした。

 

彼に「スピーダーの準備を」と要求し運転手は頷きスピーダーに向かっていった。

 

「これでもういいか?我々は総統府に向かい近況を報告せねばならん。それでは」

 

ヒェムナー長官は一瞥しスピーダーの方へ向かっていった。

 

ハイドレーヒ大将も軽く敬礼しヒェムナー長官の後に続いた。

 

別の士官にドアを開けられ2人はスピーダーの中へ入っていく。

 

その様子をシューペル総監はじっと見つめる事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

惑星の軌道上をインペリアル級やエグゼクター級の艦隊が取り囲んでいる。

 

静かなる冷酷な艦隊は砲門を全て惑星の方へ向け威厳すら感じさせる面持ちで命令を待っていた。

 

一隻たりとも艦隊の隊形を乱さず惑星を包囲している。

 

総旗艦“ルサンキア”内でもそれは同様の事だった。

 

各艦からの情報を受け取ってはいるがそれでも静寂な空気が流れていた。

 

しかし沈黙を破る一言が将校達から放たれた。

 

「全艦配置に就きました。惑星の都市区画には巨大な惑星シールドが展開されターボレーザー砲では打ち破るのは難しいでしょう」

 

シュメルケ上級大将はその報告を聞き振り返る事なく尋ねた。

 

ブリッジの真ん中で後ろで腕を組むその姿は帝国軍では見慣れた指揮官のあるべき格好だがそれ故に恐ろしさすら感じる。

 

「敵の新共和国艦隊はどこにいる?」

 

「先行した偵察部隊によれば都市区画の地下要塞ドックに入港しているとの報告が」

 

「密かに人員を退去させるつもりでしょう」と別の将校は危険を示唆した。

 

「よろしい、全て予定通りだ。各巻に伝達、魚雷及びミサイル発射菅に対シールド貫通装備を展開しろ。軌道上爆撃を開始する」

 

窪みで司令を待つ下士官達が頷き“ルサンキア”の艦内や各艦に伝達を開始した。

 

当初から敵が惑星シールドを展開し攻撃を防いでくるのは予定されておりその為の準備もしてきた。

 

艦隊の展開は早く命令の伝達から一分も掛からないうちに準備を終えてしまった。

 

「全艦、準備完了しました」

 

下士官の報告を受けシュメルケ上級大将は冷たく命令を下す。

 

「撃て」

 

そのたった二文字の命令で艦隊は惑星都市に向け一斉に攻撃を開始した。

 

ミサイルや魚雷が地表へ向け放たれ流星群のような姿を作り出している。

 

しかし実際はシールドすら突破する破壊兵器の群れであり単なる流星群とは訳が違った。

 

ミサイルや魚雷は新共和国の残党が籠る都市シールドに接近し最も簡単に破ってしまった。

 

すかさず都市の対空システムが起動し迎撃を開始しようとするが何千以上のミサイルや魚雷を全て迎撃出来る訳もなく幾つもの侵入を許してしまった。

 

そしてそれは即ち破壊を意味する。

 

ビル街や道路に直撃した魚雷やミサイルはそのエネルギーを放出し全てを巻き込んで爆発する。

 

忽ち幾つもの爆発の光が都市に現れ破滅的な被害を生み出した。

 

幾つものビルが崩れ道路は崩壊し、対空砲も破壊された。

 

当然この中に住む住民が無事な訳がない。

 

逃げ惑う市民や未だビル内にいた市民は容赦のない攻撃を受け死んだ事すら認識せず蒸発した。

 

運良く爆風の被害が少なくとも落ちてきたビルやその破片を受けてより残酷で悲劇的な死を迎える。

 

絶望と恐怖の阿鼻が都市内に木霊し爆発の音により掻き消されていった。

 

この攻撃はやがては都市を守っている程のシールドにさえ影響を及ぼし始めた。

 

幾つかのシールド発生装置が破壊され徐々に都市のシールドが消失し始めている。

 

それだけではなくシールド発生装置にエネルギーを供給しているパイプラインや動力装置にも被害が出ている為シールドは弱まる一方だった。

 

当然上空の親衛隊艦隊もセンサーで検知していた。

 

「敵の惑星シールド出力、45%ほど低下しています」

 

「対空砲網も機能率が57%低下しています」

 

乗組員の正確な報告を受けシュメルケ上級大将は次の命令を下した。

 

「作戦を第二フェーズに移行する。全艦TIEボマー部隊を展開し敵要塞部に絨毯爆撃を敢行せよ」

 

命令を受けセキューター級やインペリアル級から何百、何千機のTIEボマーが出撃し惑星内へと向かった。

 

既に都市は見るも無惨なほど炎上し崩壊している。

 

都市を間近にTIEボマー隊の部隊長が命令を下した。

 

「全機プロトン爆弾及びプロトン魚雷装填。“()()()()()()”」

 

コックピット内の装置を起動し弾薬庫の爆弾を装填する。

 

敵はまだ僅かな対空砲で迎撃してくるがその稚拙な攻撃はTIEボマー部隊には当たらず逆にレーザー砲で返り討ちにされる程度だった。

 

護衛機すら一切いないのも納得出来るほどだ。

 

予定の地点に到達するとTIEボマー隊は容赦を見せず攻撃を実行に移した。

 

装置を押しプロトン爆弾を地表へ向け投下していく。

 

TIEボマーの大群から放たれるプロトン爆弾の雨が崩壊する都市に拍車を掛けた。

 

爆発が広がりいよいよこの都市は更地になろうとしていた。

 

いや、実際はそれよりもっと酷いだろう。

 

都市を消失させるだけでなく彼らはこのまま地面を砕き地下に潜む新共和国の要塞を引き摺り出そうとしているのだから。

 

都市が消失するだけでは飽き足らない。

 

それはもはや瓦礫の山しかないというのに未だ爆撃を続けるTIEボマー部隊を見れば分かる事だった。

 

道路だった地面は砕かれ自然のものが現れ始めている。

 

一部ではもう自然の地面すら崩れ掛けていた。

 

地下要塞が露わになるのは時間の問題だろう。

 

そしてこんな状況に耐えられなくなったのか地面の一部が不自然に開き始めた。

 

徐々にCR90コルベットやネビュロンBといった艦船が姿を表している。

 

「上級大将、敵艦船を発見しました」

 

「TIEボマー隊に攻撃させろ。それがダメなら艦隊での攻撃の開始だ」

 

命令を受けたTIEボマーの何機が先行し敵船団へ向けプロトン魚雷やイオン魚雷を放った。

 

ハッチの狭い場所では満足に対空砲すら展開出来ず偏向シールドすら張れずに魚雷を受けその場で爆沈した。

 

艦船の爆発によりハッチは崩壊し脱出しようと後に続いていたGR-75輸送船やXウィングなどを巻き込み岩石が崩落した。

 

唯一の出入り口が完全に塞がれてしまったのだ。

 

新共和国の残党軍は逃げ場を失ってしまった。

 

「TIEボマー隊を帰還させ攻撃を艦隊と交代だ。ターボレーザーによる軌道上爆撃を開始する!」

 

ずっとその砲塔を向けっぱなしだったターボレーザー砲の出番が訪れた。

 

黄緑色のレーザー弾を地表に降らせいつものように圧倒的な力を持って地面を砕いていく。

 

その攻撃力はTIEボマーの絨毯爆撃の比ではなくTIEボマーが無理やり掘り上げた敵の要塞を完全に破壊していた。

 

内部で逃げ場を失ったMC80やMC75といった主力艦も反撃する手立てすらなく要塞内で轟沈してている。

 

しかし今回の軌道上爆撃は比較的短時間と言えるはずだ。

 

何せすでに魚雷やミサイルの爆撃に加えて爆撃機による絨毯爆撃すら展開していた。

 

やりすぎとも取れるほどの攻撃だ。

 

もはや生存者などほぼいないに等しい。

 

だが攻撃はこれで終わりではない。

 

姿勢と表情を崩さずシュメルケ上級大将が再び命令を下した。

 

「セキューター級を地表に展開しヒャールゲン中佐に掃討を開始させろ。一兵たりとも残すな」

 

セキューター級がヴィクトリー級などの附属艦の支援を受け惑星内に侵入する。

 

ハンガーベイから何十、何百機の“インペリアル・ドロップシップ・トランスポート”が発進した。

 

この機体はかつてのクローン戦争で使用されたリパブリック・アタック・ガンシップに酷似しているが武装や大きさは共和国軍のそれよりも軽装備であり小さかった。

 

ストームトルーパーの二個分隊を運搬出来本来は近年では両翼にリパブリック・ガンシップのように対空軽ロケット砲を備えていた。

 

セキューター級から発進したものにはEウェブのようなブラスター砲が備わっており前線の司令船であるゴザンティ級を取り囲み進んでいた。

 

「全隊、攻撃体制を維持しセンサーを起動しろ。地表の生命体は残らず潰せ」

 

ゴザンティ級“サプレッション”からヒャールゲン中佐は全インペリアル・ドロップシップ部隊に命令を出した。

 

殆どのドロップシップには後部に見慣れないコンテナが設置されており搭乗員も殆どがパイロット2名とストームトルーパー6人ほどだった。

 

1人がEウェブの砲手を務め1人が冷却装置を管理し1人が周囲を警戒しながら指揮を取る。

 

この1ユニットがドロップシップ1機につき2つ乗せられていた。

 

真っ直ぐ都市部の跡地といってもいいほど崩壊した場所へドロップシップの編隊は進んでいった。

 

その様子は崩落し殆どの艦船と重火器を失った要塞内の兵士達にも目撃されていた。

 

軌道上爆撃の攻撃から辛うじて生き残った彼らは負傷した兵士や整備兵達を助け出そうと救助を行っていた最中だった。

 

武装しているが殆どが片手にブラスター・ピストルかブラスター・ライフルを持った状態で反撃など夢のまた夢の状態だ。

 

しかも周囲には瓦礫や崩落した地面により足を潰され逃げ出せない整備士や重傷を負った将兵が大勢いた。

 

折角助けに来たのに我先二と逃げ出せるわけがない。

 

逃げ出したとしても追撃され殺されるのがオチだ。

 

彼らの前には最初から絶望しかなかった。

 

「ドロイド部隊を展開、ガンシップ部隊はブラスター砲を用いてドロイド部隊を支援しろ」

 

『了解中佐、ドロイド部隊降下開始』

 

サプレッション”の甲板士官は命令は命令を受けコンテナにコードを入力しシステムを起動した。

 

今度はレバーを下げハッチを解放する。

 

艦内に搭載されていた“ヴァイパー・プローブ・ドロイド”はリパルサーリフトで浮遊しながら要塞の瓦礫内へと進んでいった。

 

ドロップシップの方も後部のコンテナを降下させ地表に展開した。

 

コンテナからは大量の“KXシリーズ・セキュリティ・ドロイド”が現れプローブ・ドロイドと共に生き残った兵士たちに牙を剥いた。

 

新共和国軍兵士達は手に持ったブラスターを、あるいはその辺に落ちている瓦礫をぶつけドロイドを倒そうとするが一体二体がやられた程度ではドロイドの進軍は止まらない。

 

それはクローン戦争の頃から、それ以上もっと前からのことだ。

 

ドロイドの数を減らしたくらいでは喜べない。

 

すぐに倍以上の死を恐れないブリキの大軍が襲ってくるから。

 

その恐怖が今こうして彼らの前に実現していた。

 

ブラスター・ライフルを片手に持ったKXドロイドが容赦なく兵士達に向け発砲しプローブ・ドロイドは内蔵されたブラスターを新共和国軍の兵士達に向けた。

 

僅かな反撃は虚しく掻き消され無機質なドロイド達により一方的に嬲り殺しにされた。

 

しかも脅威はそれだけではない。

 

上空を包囲している何百機のドロップシップからEウェブの圧倒的な火力が後退しようとする敵兵を容赦無く消し飛ばした。

 

Eウェブの火力の音が空中で鳴り響きその度その度に命を刈り取った。

 

何人かが辛うじて生きていたスピーダーに乗り込もうとするがそれに気づいたドロップシップのトルーパー達によりEウェブの“洗礼”を受け地面へと斃れた。

 

更にそのスピーダーはドロップシップのミサイルにより破壊され使用出来なくなった。

 

「スターファイター、スピーダー、タンク全て破壊しろ。仮に動けなさそうであってもだ、敵に使用させるな」

 

ヒャールゲン中佐の命令通りに少しでも形が整っているXウィングやジャガーノートを発見すれば即座にEウェブの火力を向け、またはミサイルで破壊した。

 

敵兵の捜索と破壊活動によりドロップシップは先程よりも忙しなく動いていた。

 

地上ではドロイドの大軍が敵兵を粗方制圧しついに要塞内部に侵入しようとしていた。

 

プローブドロイドとKXドロイドが隊列を成し前へ前へと進み続ける。

 

もはや生存者など殆どおらず聞こえてくる銃声も一方的なものであった。

 

アンシオン周辺での小競り合いは二度と起きる事はない。

 

アンシオン軍はともかく現地にいた新共和国軍はこれで壊滅した。

 

上級将校から末端の一兵卒まで、誰1人生き残る事なく全滅した。

 

脱出出来た部隊もほんの僅かであろう。

 

徹底的な殲滅こそが平和への一歩だと言わんばかりに、親衛隊の艦隊は惑星を見下ろしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

-帝国領 惑星クワット-

造船所から何隻かのスター・デストロイヤーとクルーザーが戦いの場を求め旅立っていった。

 

クワットではなんら珍しい光景ではない。

 

むしろもう見慣れた、見飽きたといっていいほどの光景だ。

 

一隻の船が飛び立てばもう一隻の船が後に続く。

 

そこに感慨深いものはなく、ただ次の作業に取り掛かるだけだ。

 

クローン戦争の時から、いやクローン戦争以前からこの手の商売を続けてきたクワットにとってはごく普通のありふれた日常なのだ。

 

「例のダミー、半ば成功です。連中に上手い事擦り寄れたようで」

 

幹部の1人がクワット軌道上の造船所内を歩くヴァティオンに報告した。

 

いつも通りの衣服を見に纏いどこか余裕そうに歩く彼はその報告を聞きとりあえずは安堵の頷きを示した。

 

接触に失敗した場合、揉み消す時が正念場だ。

 

ほぼ賭けに等しく失敗すればクワットは全てを失う。

 

どうやら賭けには勝ったようだ。

 

「なら供給を続けてやれ。彼らの需要は底なし沼だ」

 

「はい、我々も阿漕なことをやりますね」

 

「今更か?」とヴァティオンは幹部に意地悪く尋ねた。

 

ヴァティオンは少なくともこのクワット一族に生まれた時から阿漕な商売をしていると認識していた。

 

彼が生まれたのは丁度最初のナブーの戦いから二年後の時だった。

 

彼が物心つく頃には既に銀河系は分離主義危機や再軍備と言った兵器を求める時代になっていた。

 

やがてはクローン戦争が起こりクワットは共和国に艦船や兵器を供給していた。

 

そしてその関係はニューオーダー宣言後も変わらなかった。

 

幼い頃は人を殺す物を売る事により得たこの地位をあまり好いてはいなかった。

 

だが年齢を重ねやがてこのクワットで働き始める頃にはヴァティオンはそんな考えも薄れていった。

 

何も世間に揉まれて仕方なく諦めていったわけではない。

 

ただ単純に別の側面も見ただけだ。

 

この銀河系は武器を欲している。

 

我が身を守る武器を、家族を守る武器を、祖国を守るための武器を。

 

そうでなければ誰も守れず一方的に絞られるだけだ。

 

子供の頃考えていたような甘い世界はどこにもなかった。

 

武器を買って欲しさに戦争を引き起こした事などクワットは一度もない。

 

ただ常に求められていただけだった。

 

少なくともヴァティオンにはそう見えていた。

 

だから平等に、皆に与える。

 

欲する者に欲するだけの力を。

 

その上で自身も家族を守りこのクワットを守りクワット・ドライブ・ヤード社を、その子会社を、そこに働く人々を守る。

 

それがこの銀河系でクワットの長を務める者の覚悟だ。

 

帝国の総督もそれだけの覚悟は持てなかった。

 

前任者のクワットから引き継いだ時からそうであり今目の前にいる彼もそうであるように。

 

「プレスタ!久しぶりだな!」

 

「ヴァティオンの兄上!」

 

他の幹部達と話をしていた同じクワット家の“プレスタ・クワット”はヴァティオンに話しかけられ嬉しそうに反応した。

 

プレスタはヴァティオンの従兄弟でありヴァティオンは同じ親族の彼を弟のように可愛がった。

 

それでいて彼は経営者や工場長としてとても優秀であり「いつ次期会長になってもおかしくない」と言われていた。

 

それはいつでも地位を奪えるというような意味ではなく彼の能力とヴァティオンとの親しき間柄故だった。

 

「バルモーラの責任総督の任も帝国の新しい総督が来てひと段落しましてね。生産の方に集中してますよ」

 

銀河内戦直後のクワットは帝国と繋がってはいたが完全な帝国領ではなかった。

 

クワット宙域やバルモーラ星系のような周辺域を領土とし独立していた。

 

その為惑星や衛星の工場や行政も含めた責任者である責任総督を配置していた。

 

その殆どはクワット家や幹部一族が担っていた。

 

しかし第三帝国が中央国家となってからはクワット領にも総督を派遣し始めた為責任総督は形骸化し始めた。

 

「どうだ、久しぶりのクワットは。まあどこもあんまり変わり映えしないが」

 

「安心しますよそりゃあ、やっぱり実家は実家だ」

 

実家か。

 

仮にどこにいようとやはり故郷(ホームワールド)というのはそれだけの懐かしさや安心感があるのだろう。

 

「そうか、なら呼び出してよかったかもな」

 

「そうですよ、一体なんのようですか?」

 

ヴァティオンは微笑んだ。

 

目の前の青年に期待を込めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

命とは案外呆気ない物である。

 

引き金一つで消し飛ばせるものであり誰であろうと皆平等に脆かった。

 

それはクローン戦争、銀河内戦と続く戦いで証明された事でありオルデランの20億の命が一瞬で消し飛ばされた事もその一因である。

 

この第二次銀河内戦と呼ばれる戦いでもそれは変わらない。

 

何せコルサントが奪還されてから僅か数ヶ月でコルサントに住むエイリアン種族や近人間種族が殆ど消され今でも各地で虐殺され続けている。

 

収容所に送られる者もいればその場で射殺される者もいる。

 

一部の風紀の乱れた親衛隊兵士は運搬すら面倒くさく感じ近くの恒星に投げ捨てるなんて事もあった。

 

宇宙空間に投げ出された時点で大抵の種族は死を迎えるし恒星のエネルギーに耐えられる者はいない。

 

あまりにも残虐的な風紀の乱れと言わざる負えないがそれは真実だった。

 

ただ隠され知らされていないだけなのだ。

 

収容所の親衛隊員も運搬されたエイリアン種族の人数が足りなくとも対して気にはしなかった。

 

あれだけ大規模な収容所を運用していれば自然と杜撰になっていくのも無理はない。

 

些細な事を気にしている暇も余裕もないのだ。

 

今この瞬間にも命は消えている。

 

1機のTIEファイターと共に。

 

『アルフ2がやられた!』

 

撃破されたTIEブルートの残骸と共にコックピット内にけたたましい声が響く。

 

何せ友軍機が撃破されるのはこれで14機目だ。

 

まだこちらは1機も撃破出来ていない。

 

戦闘が始まってさほど時間が経っていないのにも関わらずこれほどの損害の開きが出ている。

 

敵はまだTIEファイターなどを使っている為機体性能差でも勝っているはずだ。

 

こちらはインペリアル・エスコート・フリゲート一隻とクエーサー・ファイア級一隻、アークワイテンズ級だ。

 

向こうはクエーサー・ファイア級一隻とアークワイテンズ級二隻、ゴザンティ級四隻でスターファイターの数では勝っているはずなのに。

 

敵の中隊の編隊は強固な者で崩すのすら難しい。

 

それなのにこちらの編隊は最も簡単に崩され各個撃破されていく。

 

特にあのTIEアドバンストv1、なんだあの機体は。

 

こちらの攻撃を寄せ付けず逆に味方の肩代わりを行いこちらを確実に屠ってくる。

 

単純な機体性能差だけではない、あのパイロットの腕前がTIEアドバンストv1の能力を限界まで引き出している。

 

それに味方との連携もうまい。

 

直ぐに編隊の枠に入り、或いは作り出して攻勢に出てくる。

 

敵の方が練度が高いというのか。

 

いいや、そんな事は絶対にない。

 

アンシオン周辺で小競り合いばかりしていたスターファイター隊が我々に敵うはずがない。

 

我々は新共和国すら倒したのだぞ、こんな連中に負けるものか。

 

「ふざけるな…!単純火力ではインターセプターの方が上だ!」

 

『アルフ7!待て!』

 

部隊長の命令を無視してTIEインターセプターが1機、タイタン3のTIEアドバンストv1に突貫した。

 

敵機が別の友軍機に気を取られていると鑑みて攻撃に出たのだろう。

 

しかしそれは甘い考えだった。

 

真横からの一撃を受けTIEインターセプターは撃破された。

 

一個中隊程の編隊がタイタン3の背後に付いた。

 

タイタン中隊、ファースト・オーダー内屈指のエリート中隊だ。

 

『タイタン3、無事か?』

 

タイタン中隊中隊長ヴァルコ・グレイは彼に尋ねた。

 

「全く問題ない。それより隊長、敵のクルーザーに攻撃を仕掛けられますか?」

 

『問題ない、全隊の指示を頼む。俺が指揮を取る』

 

冷静にタイタン3の問いに答え指示を仰いだ。

 

「ソルとヴォンレグが敵機を払い除けて隊長と私でボマー部隊を援護する。シェン、先導を頼めるか?」

 

『まかせろ』

 

掠れた声でTIEボマーのパイロットであるシェンは部隊を率い先行した。

 

声とパイロットスーツの風貌により怖い印象を受けがちだが本当はとても仲間思いの名パイロットである。

 

ソルとヴォンレグが敵機を押し出しアークワイテンズ級への進撃路を作り出した。

 

タイタン中隊に気づきアークワイテンズ級のレーザー砲がTIEボマーを狙い艦載機のTIEブルートが3機出撃した。

 

しかし護衛についていたグレイ大尉のTIEインターセプターとタイタン3のTIEアドバンストv1がすぐに迎え撃った。

 

一瞬のうちに2機のTIEブルートが破壊され爆発の合間をタイタン3が抜けていく。

 

残りの1機はなんとかグレイ大尉のTIEインターセプターに喰らい付こうとするが全ての攻撃を躱し反撃の一撃を叩き込んだ。

 

TIEブルートは爆発四散しその中をTIEボマーの編隊が通り過ぎた。

 

「潰れろ!」

 

タイタン3は砲塔一門づつに攻撃を集中し確実に破壊していった。

 

上部レーザー砲を破壊し他の対空法やターボレーザー砲にも攻撃を加える。

 

敵の武装を全て破壊する勢いでやらねば部隊が安心して爆撃を敢行出来ない。

 

乗船部の武装を粗方破壊し味方が安全に爆撃を行える体制を整えた。

 

そこに丁度よくシェンのTIEボマー部隊が到着した。

 

魚雷を装填し即座に攻撃を開始する。

 

イオン魚雷がアークワイテンズ級の偏向シールドを弱らせプロトン魚雷が直接的なダメージを与えた。

 

対空防御が出来ない為アークワイテンズ級はモロにダメージを喰らい最終的にはシェンのTIEボマーがブリッジにプロトン魚雷を直撃させアークワイテンズ級は沈黙した。

 

艦長もろとも司令塔がやられこれ以上の戦闘は不能だ。

 

撃破に成功したタイタン中隊が集結しスターファイター同士の戦闘に舞い戻った。

 

「このままもう少し時間を稼げば友軍部隊の撤退が叶う」

 

『もう少し待つ必要はないぞ』とソルがタイタン3の言葉に付け足した。

 

彼女のTIEリーパーはタイタン3のすぐ隣を飛んでいる。

 

『すぐさま援軍が到着して裏切り者どもを排除してくれるさ』

 

ヴォンレグもそう付け足した。

 

彼女達の言葉でタイタン3は完全に読み取った。

 

我々の帰るべき場所が。

 

タイタン3の読みを裏付けるかのようにハイパースペースから二隻のインペリアル級スター・デストロイヤーが到着した。

 

突然の来襲に親衛隊側は困惑し攻撃の手が一時緩んだ。

 

一体どちらの味方なのだろうかと。

 

その答えはすぐに表された。

 

二隻のインペリアル級はインペリアル・エスコート・キャリアーに向け八連ターボレーザー砲を放った。

 

最初の一撃は耐えたが二度、三度と放たれる攻撃には耐えきれず表面が爆発し損傷を受けた。

 

攻撃の手を緩めずインペリアル級からはTIE部隊が展開され始めた。

 

「攻撃は成功です。スターファイター隊とタイタン中隊が合流すれば我々の勝利は間違いありません」

 

インペリアルⅡ級“オーバーシアー”のブリッジでコントローラーの“LT-514”は彼女にそう言った。

 

普通に考えてもインペリアル級二隻など空母二隻が敵う戦力ではない。

 

それに既に対空を担当するアークワイテンズ級はブリッジから煙を噴き出し沈黙している。

 

「ああ、だが攻撃の手を緩めるな。全スターファイター隊に伝達、一兵も生かして返すな!」

 

オーバーシアー”艦長のテリサ・ケリルの命令は鋭く正しかった。

 

既にインペリアル級二隻の攻撃を受けエスコート・キャリアーは沈みつつあった。

 

オーバーシアー”がエスコート・キャリアーのトドメを刺すのに集中しもう一隻のインペリアル級は回り込みクエーサー・ファイア級へと攻撃を仕掛けた。

 

インペリアル級の集中砲撃にクルーザー程度の空母が敵う筈もなくシールドが破かれ損傷箇所が増え始めている。

 

「敵の空母は二隻とももう間も無く撃沈します」

 

「ならばスターファイター隊の支援を開始する」

 

ケリル艦長は大破する敵艦を見つめながらそう命令を下した。

 

「しかし予定よりも敵艦の殲滅が早く終わりそうですね」

 

「ああ、流石は“()()()()”少将といったところか」

 

2人は敵艦に苛烈な攻撃を与えるもう一隻のインペリアルⅡ級を見つめた。

 

ノイ・ステッドファスト”。

 

かつてジャクーの戦いに参戦し撃沈したインペリアル級“ステッドファスト”を象った艦名。

 

彼は自分が若い新任士官だった頃に乗艦していたインペリアル級と同じ艦名を自身のインペリアル級に名付けた。

 

エンリク・プライド”少将は乗艦“ノイ・ステッドファスト”と共に親衛隊の空母機動部隊を殲滅しつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

探し人であったジェダイ、ルーク・スカイウォーカーが来てくれた事によりジェルマンとジョーレンはUウィングの修復に専念出来た。

 

チューバッカも2人の事を手伝ってくれた。

 

彼はとても優秀なメカニックウーキーでUウィングの修復は思いの外早く終わりそうだった。

 

「パーツの予備をたんまり持ってきてよかった。これならすぐ飛び立てますよ」

 

ジョーレンは額の汗を引きながら工具を工具箱に戻した。

 

ジェルマンも既に周囲の片付けを始めている。

 

「そいつは良かった。ルーク、お前はどうする?」

 

「自分のXウィングで帰るよ、なあR2」

 

ルークがそうアストロメク・ドロイドのR2-D2に声を掛けると電子音で元気良さそうに応えた。

 

とても相性の良い2人だ。

 

その様子を見つめながらジョーレンはふと呟いた。

 

「しかしジェダイか……みんな反乱で全滅しちまったのかと思ったよ…」

 

「帝国の大粛清も生き残ったジェダイがいてね」

 

「たとえば“()()()()()()()()”とか“()()()()”とかか?」

 

ジョーレンの軽い感じの問いかけにルークは口を開けたまま何かを思い始めた。

 

R2の方はどこか傷心じみた声音を上げ顔を落としていた。

 

それはほんの偶然、上げられた2人の名前はジョーレンがたまたますぐ思い起こしただけだった。

 

無論他のジェダイの名も知っている。

 

その中で彼らだけが素早く頭に思い浮かんだのだ。

 

「知り合い?」

 

そんな事は通知らずジェルマンはジョーレンに問い掛けた。

 

「知り合い…んまあ知り合いかぁ…共和国の少年兵やってた時に度々会ってな。ケノービ将軍の方には頭を撫でられた気がするよ」

 

「その後帝国が誕生して帝国に殺されたと思うんだが…」とジョーレンは回想していた。

 

するとジョーレンは何かを思い出したようにルークに問いかけた。

 

「そういや中佐もスカイウォーカーって…」

 

しかしその問いは何かを見つめたジョーレンと何かを感じたルークにより掻き消された。

 

「ジェルマン!!」

 

「伏せろ!」

 

ジョーレンはジェルマンを無理やり地面に伏せさせ頭を被せた。

 

ルークの方も大声を出してハンとチューバッカに警告した。

 

「チューイ!」

 

ハンは相棒の名を呼びチューバッカも叫びながら2人とも地面に伏せた。

 

R2は悲鳴を上げながらファルコン号の影に隠れる。

 

直後数発のミサイルが地面に直撃しけたたましい音と共に土を巻き上げ爆発を巻き起こした。

 

しかしミサイルも爆風も一発たりともジェルマン達に直撃する事はなかった。

 

ルークが“()”を使いミサイルを弾き飛ばしたのだ。

 

だがこの防御はそう長く続かなかった。

 

地面を裂き回転しながら突っ込んでくる光の光剣をルークはギリギリの所で己のライトセーバーで弾き返した。

 

更にブラスターの赤い弾丸がルークを襲う。

 

腕を振るい凄まじい速度で弾丸を先程のように弾くが数が多くルークは徐々に後ろへと押されていた。

 

「チッ!!ああクソ!!」

 

ジョーレンは急いでホルスターの予備のブラスター・ピストルを引き抜き引き金を引いた。

 

ハンも改造されたDL-44重ブラスター・ピストルで反撃しチューバッカもボウキャスターを放った。

 

彼らの放った何発かの弾丸は敵に当たる事はなかったが攻撃をやめさせる事は可能だった。

 

「まさか…尋問官…!」

 

ルークは緑色のライトセーバーを構え敵を睨みつけた。

 

しかしルークの考えとは裏腹に敵は、ルークの言葉を否定した。

 

「違うな、“()”だ。皇帝の忠実な手。主人の仇、討たせてもらう」

 

「手だと…!?」

 

ライトセーバーを構えるそのフォース使いは名乗った。

 

奴の周りにはデス・トルーパーやパージ・トルーパーといった特殊兵科のトルーパーが佇んでいた。

 

上空には第3世代設計のダーク・トルーパーが彼らを包囲している。

 

インペリアル・ドロイド・コマンドーもブラスターを構えて迫って来ている。

 

「覚悟しろ、ジェダイ」

 

その一言と共に彼らの戦いは再び始まった。

 

ライトサイドとダークサイドの戦いが。

 

狂気の帝国と共に。

 

 

 

つづく




ちょび髭メガネ「なんか最近私が変な騎士団領を持つとか言われているようだが、後何だこのあだ名は」
ヤギ「あらかた真実じゃないですか」


ちょび髭メガネ「ならこの世界でもやったろか?」





ウ ィ ル ズ ブ ル グ ン ト の 誕 生 
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