第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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「親衛隊とはもはや単なる銀河協定の抜け道ではない。諸君らは帝国軍と肩を並べ総統と臣民の敵を撃滅する帝国の尖兵たるエリートなのだ。やがて諸君らの後に続く未来の親衛隊員達に正しき道を示せるよう、諸君らの奮戦に期待する」
-アンシオン本土攻撃開始時のパウティール・シュメルケ上級大将の演説-


抗うもの

ルークと“()()()()”を名乗る者が率いる帝国軍の特殊部隊は未だ動かず睨み合いを続けていた。

 

両者一歩も動かずただ静かな時間が流れる。

 

あまりの威圧感にハンやジェルマン達も動けずにいた。

 

緊張や威圧感が空気を伝って肌に触れ若干の痛みを感じるほどだ。

 

両者少しでもヘマをすれば誰かしらがやられると確証があった。

 

しかし数的優位は帝国側にある。

 

当然彼らが先に動くだろうと皆がそう思っていた矢先、遂に戦端が開かれた。

 

ルークの手によって。

 

彼は思いっきり拳を地面に突きつけてフォースを広範囲に、特に前方に集中して飛ばした。

 

フォースのパワーが地面を砕き石片と共に周囲のドロイドやトルーパー達を吹っ飛ばす。

 

何人かのトルーパーはそのまま岸壁に叩きつけられドロイドは何体か破壊された。

 

皇帝の手はそのライトセーバーで防ぎ攻撃を躱した。

 

他のトルーパーも意識を取り戻しルークに対する攻撃に出る。

 

エレクトロスタッフを起動したパージ・トルーパーがルークに対し斬り掛かり、デス・トルーパーがE-11Dブラスター・カービンを放った。

 

ジョーレンとハンはルークを助ける為に急いでブラスター・ピストルを発砲した。

 

しかしジョーレンが放った一撃はダーク・トルーパーの装甲は破れずハンはデス・トルーパー1人を打ち倒すに留まった。

 

しかも最悪な事に彼らの位置を察知され上空に飛び始めたダーク・トルーパーの攻撃を喰らった。

 

4人は急いでダーク・トルーパーの攻撃を回避しそれぞれ身を隠した。

 

チューバッカはボウキャスターで上空のダーク・トルーパーを狙撃しその強大な火力で一体撃破する。

 

ダーク・トルーパーはそのまま墜落し岩場を破壊し岩石を飛び散らせた。

 

その隙間を二体のダーク・トルーパーが掻い潜り彼らを追撃する。

 

ジェルマンは急いでUウィングの下に隠れた。

 

「まだなんとか……有人式で撃てるはず!」

 

そうジェルマンは呟きUウィングに取り付けられてあったイオン・ブラスターの持ち手を手に取った。

 

そのまま引き金に指を掛けスコープを覗き込む。

 

安全装置を解除しジェルマンは空中を浮遊するダーク・トルーパーに対して引き金を引きイオン・ブラスターを発射した。

 

彼の読みは当たりイオン・ブラスターはなんの問題もなく放たれた。

 

連射される弾の一撃一撃がダーク・トルーパーに直撃し二体とも機能を停止させる。

 

所詮はドロイド、やはりイオン兵器には強くない。

 

二体はそのまま長時間イオン・ブラスターを浴び続け機能を停止した。

 

そのまま同じように地面に墜落し爆発する。

 

追いかけられていたチューバッカとハンは一安心したと言った感じだった。

 

「ナイスだジェルマン!ついでにこっちも助けてくれ!」

 

ふと見るとジョーレンがダーク・トルーパーと取っ組み合いをしていた。

 

しかももう負けそうなのだ。

 

まあバトル・ドロイドと人間の力の差なんてそんなもんだが。

 

「いっ今助ける!」

 

ジェルマンは急いでブラスターを単発モードにセットしよく狙った。

 

急いで引き金を引きダーク・トルーパーの頭に一発、二発と直撃させた。

 

三発目でようやくダーク・トルーパーは機能を停止した。

 

ジョーレンはヘナヘナと地面に倒れ込みため息を吐いた。

 

「ついぞ死ぬかと思ったぜ…」

 

ジェルマンは急いでUウィングの中からブラスター・ライフルを二丁取り出し座り込むジョーレンに配った。

 

「行こう、敵を排除するにしてもひとまずは中佐や将軍を助けないと」

 

「ああ…行こう」

 

ジェルマンはブラスターを受け取るとすぐ様立ち上がり敵に攻撃を始めた。

 

その頃すでにルークは戦闘に入っていた。

 

エレクトロスタッフの攻撃を受け流し敵に斬撃を入れていく。

 

E-11Dの弾丸を弾きながら迫り来る2人のパージ・トルーパーと接近戦に入った。

 

エレクトロスタッフの突きを受け流しながらライトセーバーの一振りを叩き込んだ。

 

反対側で防がれてしまったがこの一撃は重くトルーパーは力負けしていた。

 

その隙にともう1人のパージ・トルーパーがエレクトロハンマーをルークの脳天目掛けて振り下そうとする。

 

しかし顔面に蹴りを入れられその流れのまま左腕に踵落としを喰らわせた為エレクトロハンマーがトルーパーの手から降り落ちた。

 

一瞬の隙も見せずルークはセーバーを素早く振り背後のパージ・トルーパーの首を斬り落とす。

 

その早さに動揺したパージ・トルーパーの防御が崩れライトセーバーの一突きを心臓部に喰らってしまった。

 

トルーパーは抜かれる緑色の光剣と共に地面へ崩れ落ちバイブロソードを抜き突撃する二体のドロイド・コマンドーも目にも止まらぬ早さでバラバラに破壊された。

 

デス・トルーパーはその間にもE-11Dでルークを狙撃するが全弾が弾かれ何発かが逆にデス・トルーパーに直撃した。

 

ルークは思いっきり地面を蹴りかなり高く飛び上がり上空に飛び立とうとするダーク・トルーパーの脳天にセーバーを突き刺した。

 

ダーク・トルーパーは内部が破壊され引き抜かれたライトセーバーと共にデス・トルーパーを2人一気に斬り倒した。

 

しかし敵もただやられっぱなしではない。

 

反撃の一撃として再び皇帝の手が自らのライトセーバーを投げルークの胴体を切断しようとする。

 

辛うじて剣先で受け止め弾き返したがかなり重たい一撃だった。

 

流石にあの“()()()”とまではいかないがそれでも十分危険な攻撃だ。

 

既に皇帝の手はライトセーバーを手に取りこちらに突っ込んできた。

 

ルークはライトセーバーをしっかり握りしめ敵が振るうライトセーバーの攻撃を防いだ。

 

反撃せず防御に徹する。

 

まずは敵の戦い方を見極め冷静に対処しなければならない。

 

それにまだ周りには大勢のパージ・トルーパーやダーク・トルーパーがいる。

 

デス・トルーパーはハンやバスチル大尉達を狙いこちらには殆ど寄ってこない。

 

なんとか敵を全員引きつけ彼らが脱出するまでの時間を作らねば。

 

一撃、また一撃と敵の攻撃を防いでチャンスを狙う。

 

僅かな隙であってもそこに少しの攻撃を入れて体勢を崩せば大きなチャンスに繋がる。

 

皇帝の手が振るうライトセーバーの斬撃は怒りや復讐心が込められたダークサイドの力を引き出す強力な重い一撃ばかりだ。

 

油断していれば僅かな攻撃でも重傷を負ってしまう。

 

が、ルークの予見通りチャンスは訪れた。

 

敵の攻撃に若干の乱れが生じルークはその一瞬の乱れに付け込んだ。

 

軽くフォースプッシュを加え敵を押し出した。

 

猛攻から解放されたルークは逆に反撃の一撃を加える。

 

近くの岩壁を蹴り飛ばし回転を加えながら敵へ最初の一撃を与えた。

 

防がれたが回転掛かった斬撃は完全に防御を打ち砕いた。

 

そこにルークは間髪入れずに攻撃の流れを繰り返していく。

 

左右、様々な方向から攻撃を入れ時取り蹴りやパンチ、フォースプッシュのような搦め手を加えながら敵を追い詰める。

 

皇帝の手はまだ防御が間に合っていたがそのアクロバットな動きに若干翻弄され危うい状況だった。

 

ならばと皇帝の手は攻撃や防御を一切せずひたすらステップを踏み後方へ下がった。

 

ルークもセーバーを振り回し敵を追いかける。

 

しかしルークは寸前で何かに気付きギリギリのところで身を躱した。

 

彼がいた所にエレクトロスタッフが回転し豪速球で迫ってきたのである。

 

エレクトスタッフが通った地面は思いっきり土が抉れ辺りに泥を撒き散らしていた。

 

ルークは後ろを少し見つめ状況を理解した。

 

皇帝の手がフォースを使いトルーパーの尸からスタッフ引き寄せたのだ。

 

それを証拠に皇帝の手の側にエレクトロスタッフは突き刺さっていた。

 

敵はかなりのやり手だ。

 

ダークサイドのフォースや戦い方を知っている。

 

「師の教えが随分と良かったみたいだな」

 

ルークはライトセーバーを構えそう吐き捨てた。

 

周囲を徐々にデス・トルーパー達が取り囲んでるのが分かる。

 

「だがお前に殺された。師の仇、取らせてもらう!」

 

そう言い皇帝の手はセーバーを振り再び攻勢に打って出た。

 

ルークはライトセーバーで防ぎながら反撃の緒を掴もうとするが今度はそうはいかない。

 

周りのデス・トルーパー達が支援攻撃と言わんばかりにブラスター・ライフルを放ちルークを攻撃する。

 

なんとか全ての弾丸を防ぎ皇帝の手の攻撃を抑えているがあまりに多方面からの攻撃により疲労や集中力や能力に限界が生じてくる。

 

顔を顰め歯を食いしばりながらルークは戦闘を続けた。

 

先程よりも何倍も苦しい戦いだ。

 

だがそんな中でも助けの手は差し伸べられた。

 

1人のデス・トルーパーが背後から攻撃を受け思いっきり吹っ飛ばされた。

 

他のデス・トルーパー達もそれに気付き反撃を開始する。

 

その先にはチューバッカとハンがいた。

 

ハンがルークに声を掛ける。

 

「ルーク!こっちでなんとかするからお前はそいつをやれ!」

 

「あっああ!!」

 

セーバーを剣先で防ぎながら返事を返した。

 

チューバッカも大きな声で声援を送ってくれている。

 

支援の攻撃はハンとチューバッカだけではなかった。

 

ルークへ捨て身で突進するドロイド・コマンドーが二体青白い光を喰らい倒された。

 

接近しルークと皇帝の手との近接戦にわって入ろうとするパージ・トルーパーもだ。

 

「中佐殿そいつを頼みます!」

 

ジェルマンとジョーレンだ。

 

ジェルマンはイオン・ブラスターを背中に背負い片手にはA180のライフルモードを持っている。

 

ジョーレンは背中にスマート・ロケットを背負い両手にそれぞれA300とDH-17のブラスターを持っていた。

 

それでトルーパーを打ち倒しながらどこかへ行こうとしていた。

 

「ソロ将軍達も頼みましたよ!」

 

「あっああ!!」

 

「奴らを逃すな…!」

 

皇帝の手はトルーパー達に命令を下しライトセーバーを振るった。

 

それぞれがそれぞれの戦いを行なっている。

 

まだまだ戦いは始まったばかりであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『クソッ!ケツに突かれた!』

 

『“ホワイトフォース”!やられち……』

 

何機かの通信が途絶し二度と返事をしなくなった。

 

何機かのXウィングが編隊を組んで敵のTIE部隊に攻撃を仕掛けた。

 

1機のTIEブルートが爆散し部隊長のラクティスが大隊に指示を出した。

 

「全機!しっかり編隊を組んで敵機の迎撃のみに専念しろ!もうこれ以上1機たりともヤヴィンに通すな!」

 

『了解ウィング・リーダー!』

 

『隊長!“アンクルⅥ”が!』

 

部下の報告を聞きラクティスはすぐにそのネビュロンBフリゲートを見つめた。

 

フリゲート“アンクルⅥ”はTIEブルートやTIEボマーの大群に襲われ既に撃沈しかかっていた。

 

まるで獲物に群がる昆虫や野生動物のようだ。

 

残された火器で必死に抵抗しているがすぐに回避され代わりの攻撃を喰らわされている。

 

直後ラクティスの目の前で“アンクルⅥ”は限界を迎え轟沈した。

 

あれだけの攻撃を受けていれば脱出ポッドで逃げる余裕すらなく全員が巻き込まれてしまっただろう。

 

失われた仲間に悲しみを捧げながらすぐに心を持ち直し改めて指示を変えた。

 

「友軍艦艇を守れ!これ以上の損害は考慮出来ん!」

 

すでに何隻ものコルベットやフリゲート艦がTIEの物量に飲み込まれて撃破されている。

 

それはスターファイターも同じだ。

 

ラクサス分の部隊も合わせても多くの機体が撃墜され宇宙の塵と消えた。

 

帝国軍はこの頃急激にヤヴィン4への攻勢を強めた。

 

恐らくラクサスが陥落し各地でも勝利を続けている為兵員に余力が出たのだろう。

 

敵は毎回一個艦隊以上の大部隊で襲来し徹底的な攻撃を仕掛けてきた。

 

その為何度も敵部隊に戦線を突破されヤヴィン4の居住区画や軍施設に爆撃を喰らってしまった。

 

何百人、何千人単位で死傷者が出ている。

 

もはやこれ以上は許す事は出来ない。

 

とはいったもののラクティス達は常に苦戦を強いられていた。

 

まず敵のスターファイターの物量の層が厚すぎる。

 

毎回何千機という大軍を仕掛け何十隻もの空母を送り込んでくるのだ。

 

空母を撃破どころか付属のクルーザーすら手が出せない。

 

何千機のTIEに阻まれて逆に撃破されてしまうのだ。

 

「チッ!この!」

 

近くにいたCR90を狙うTIEボマーを2機撃墜したがそれでも攻勢の波は収まる気配を見せない。

 

真正面から迫り来るTIEブルートを撃破し破片を躱しながらMC80のエンジン部分を攻撃するTIEインターセプターの編隊を後続の2機と共に撃破した。

 

しかし前方から高速で迫るTIEインターセプターにより編隊を組んでいた仲間のXウィングが撃破された。

 

ラクティス機とタラソフ機は寸前で回避したがもう1人の方はダメだった。

 

爆散しそのTIEインターセプターに反撃すら出来ず破片を僅かながらにMC80の偏向シールドに擦らせるに留まった。

 

他にも上を見つめれば2、3機のTIEブルートやインターセプターに囲まれてAウィングが撃墜されている。

 

他の場所では爆撃を終えたTIEボマーの編隊と運悪く鉢合わせその物量により攻撃すら出来ず殲滅されるYウィングやAウィングが確認されていた。

 

各戦闘で新共和国側は圧倒的劣勢だった。

 

『ラクティスどうする!このままじゃ艦隊の前にスターファイター隊が全滅だぞ!』

 

「分かってる!“リベルテⅢ”、聞こえるか」

 

タラソフ大尉の不安を宥めつつラクティスは友軍のMC80“リベルテⅢ”に通信を取った。

 

戦闘中ながらも“リベルテⅢ”との通信はすぐに繋がった。

 

『ストライン中佐!』

 

リベルテⅢ”の通信士官の声が響く。

 

「直ちに全スターファイター隊を展開してくれ!このままじゃ部隊が持たない!」

 

『しかし本艦は現在敵艦隊の激しい放火を受けていて後退も部隊も展開出来そうにありません!』

 

「チッ!すぐに支援に…クソッ!」

 

ラクティスの前に再び敵が立ちはだかった。

 

TIEブルートが全火力を向けラクティスとタラソフ大尉のXウィングは回避した。

 

回避する合間に目に入った敵機を片っ端から撃破し2機のXウィングがTIEブルートの編隊を撃破する。

 

これで敵機を殲滅したかに見えたが再びTIEの物量の防壁が彼らを阻んだ。

 

「邪魔くさい!」

 

なんとか進路を切り開こうとするが敵機に邪魔され叶わない。

 

これでは救援は出来ないと苛立ちを募らせるばかりであった。

 

しかし救援の手はすぐに現れた。

 

レーザーの弾丸がラクティス達を取り囲むTIE部隊に直撃し爆散した。

 

機体を反転させ振り返ってみればそこには一隻のCR90コルベットと数十機のスターファイターの姿があった。

 

『こちら“デュクスミュード”、なんとか間に合ったようだ』

 

どうやら別の母艦からスターファイターの部隊は出撃したらしい。

 

XウィングやAウィング達がすぐに戦闘に加わり帝国軍機を迎撃し始めた。

 

「助かった“デュウスミュード”。我々は“リベルテⅢ”の支援に…」

 

『その必要はありません中佐、我々が来た』

 

別の通信回線から声が聞こえた。

 

ふとセンサーを見ると“リベルテⅢ”から発艦したスターファイター隊が映っていた。

 

どうやら友軍の装甲艦が後退と部隊の展開を支援してくれたようだ。

 

『こちらはストライン准将だ、我々の機動部隊で敵艦隊の左列に突撃を仕掛ける。主力艦の“デュゲスクラン”と“トリオンファンテ”は我々に続け、ラクティスの隊も頼む』

 

「了解!全機、集まれる者は集まれ。“イルージョニスト”の突撃を支援する」

 

操縦桿を再び握りラクティスは背後に続く部下の機体と共にスター・デストロイヤーの艦隊へと向かっていった。

 

この戦いはほんの始まりに過ぎない。

 

それでも彼らは一瞬一瞬に全てを賭けるのだ。

 

そうでないと何もかも奪われてしまうのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

-惑星アンシオン アンシオン基地-

周辺の新共和国軍は殆ど壊滅し残すは後このアンシオンにこもる帝国の残党のみとなっていた。

 

以前までは恒星や最後の衛星で抵抗していたアンシオン艦隊であるが限界を悟ったのか将又内乱でも起きたのかアンシオン軌道上まで後退していた。

 

その戦力も初期の頃に比べれば随分と見窄らしく小さくなったものだ。

 

幾つかの小艦隊や機動艦隊が親衛隊の艦隊をなんとか押し留めてる程度だ。

 

しかも防衛線の穴は幾つもあり既に何個もの師団が装備の整ったアサルト・ウォーカーと共にアンシオン内に降下している。

 

地上では親衛隊がアンシオン軍の基地や都市部を重点的に攻撃しあちこちで戦闘が勃発していた。

 

圧倒的な物量と精鋭たるウォーカー部隊でアンシオン軍は手も足も出ずに粉砕…かと思いきや意外にもアンシオン軍は奮戦している。

 

上陸した親衛隊の部隊は既にあちこちで戦線が停滞し苦戦を強いられていた。

 

アンシオン軍の伏兵戦術や大胆な機甲戦術により親衛隊の機甲師団は翻弄されていた。

 

「チッ!敵はどこだ!味方のウォーカーはどこにいる!」

 

ある一台のAT-ATの中で車長の大尉が部下のAT-ATパイロットに怒鳴り散らしている。

 

付属のAT-STを一台破壊され後に続いていた無人のインペリアル・アサルト・タンクも隊も全滅してしまった。

 

しかも敵の攻撃を退けている間に味方の中退と逸れてしまった。

 

AT-ATパイロットの1人が答える。

 

「妨害電波が張り巡らされていて味方の位置はおろかセンサー状態も悪くて気も判別出来ません」

 

「迷路にでも迷ったというのか…!?ええい!とにかく前進!前進だ!」

 

焦りから大尉は雑に命令を下しAT-ATは付属のAT-STと共に前進を開始した。

 

あちこちで爆発は見えるが建物などに遮られ何が破壊されているのかはいまいちよく見えない。

 

味方が敵機を撃破したのだと信じたいがセンサーが使えない今はなんとも言えない。

 

こんな状況で前進などあまり良い判断とは言えないが他にする事もなく前へと進むしかなかった。

 

それに前進すれば他の味方とも合流出来るかもしれないし何より攻勢のチャンスとなるかもしれない。

 

既に予定の時間的にはもうこの都市部の半分は制圧していなければならないはずだった。

 

それなのに未だ1/3も占拠が成功していない。

 

全体的に侵攻が遅れている気がする。

 

「センサーが若干回復しました、AT-ATと思われるアサルト・ウォーカーが前方に三台近くいます」

 

「状況的に見て恐らくフィッケ少佐のウォーカー中隊かと」

 

その報告を聞き希望の光が見えてきたと思った大尉は危険などは特に考えず直ぐに命令を出した。

 

危険度合いよりも助かったという安心感や喜びの方が勝っていたからだろう。

 

「直ちに合流せよ!よしこれで敵中央への更なる突撃が可能になる…!AT-STも続かせろ!」

 

「了解」

 

レバーを引きAT-ATがその大きな足で前進を開始する。

 

AT-STもこの大型ウォーカーに続き前へと進んだ。

 

その間にも車長は若干気分の昂揚を抑えられない様子だった。

 

何度も鼻歌を歌いそうになり猟奇的な笑みを浮かべどう敵を倒してやるか考えている。

 

味方と思われるAT-AT部隊との距離はかなり近く二、三分も立たずに合流出来そうだった。

 

幾つもの人気のないビル街を潜り周囲の起動していないターボレーザーを見渡しながらAT-ATは前に進んだ。

 

そして遂に彼らは合流出来たのだ。

 

「前方AT-AT三台確認!付属のAT-MPマークⅢも六台確認!」

 

突如として彼らの目の前に無機質に佇むウォーカー部隊の姿が確認された。

 

何台かのターボレーザーを占拠し恐らく乗り込んでいた歩兵達が防衛網を築いている。

 

ここまで来る道中にターボレーザー砲塔が稼働していなかったのは彼らが占拠してくれてたからであろう。

 

手際の良さと味方への安堵感が大尉の中に溢れていた。

 

AT-ATは若干速度を落としつつも着実に目の前のAT-AT部隊へ合流しようとしていた。

 

「友軍部隊と通信を取りたい、通信回線を開いてくれ。いや、広範囲放送でも構わん」

 

「回線は妨害されていますので放送の方を」

 

「助かる」

 

大尉はパイロットからマイクを受け取ると早速意気揚々と話し始めた。

 

眼前のウォーカー部隊はこちらを見つめている。

 

「友軍のウォーカー部隊であるか!敵地の制圧見事だ!我々はこのまま更に敵深くに進撃する為支援を頼みたい!」

 

更にウォーカー部隊に近づき大尉は返信を要求した。

 

「信号でもなんでも構わん!とにかく返事をくれ!我々は…」

 

これ以上大尉の放送が聞こえる事はなかった。

 

突然周囲のターボレーザー砲が起動し大尉のAT-ATの方を向いた。

 

直後AT-ATは一斉に顎の重レーザー砲を放ちAT-MPマークⅢはミサイルを何発か大尉のAT-ATに向けた。

 

直ぐにターボレーザー砲塔も火を吹き大尉のAT-ATは圧倒的な高火力の嵐に晒された。

 

いくらAT-ATといえども同型機三台による砲撃とターボレーザーの集中攻撃には耐えられない。

 

放送を行なったまま大尉のAT-ATはミサイルやレーザーの攻撃を喰らいあちこちで爆発を起こしながらコックピットが丸ごと吹き飛んだ。

 

ウォーカーの前足も破壊されコックピットもなくなったAT-ATは鈍い音を立てながら地面へと倒れ込んだ。

 

周囲に土煙を巻き上げ静まり返る。

 

残りは唯一生き残った付属のAT-STだ。

 

突然AT-ATが破壊されAT-STのパイロット2人は混乱状態に陥っていた。

 

しかし彼らも生かして返すわけがない。

 

ビル街の屋上に隠れていた隊車両用のストームトルーパー達がスマート・ロケットでAT-STを狙っている。

 

直接狙うだけではなく自動追尾も可能な便利な代物だ。

 

三方向からロケットミサイルは放たれAT-STに迫った。

 

左右から放たれた二発のロケットミサイルはそのままAT-STの左右両方を潰すように直撃し最後の一発は円を描きながら上空から迫りコックピットハッチを打ち破るようにAT-STを撃破した。

 

思いっきり上部が破壊され残された下半身がAT-ATと同じように倒れた。

 

その様子を確認していたAT-ATの近くにいるストームトルーパーがエレクトロバイノキュラーを覗き近くの司令官達に方向した。

 

「AT-AT一台撃破、AT-ST一台撃破確認!」

 

「よし!作戦は成功だ!このまま行けばかなりの時間が稼げますよ将軍!」

 

部隊長のフリーム中佐は作戦立案者のハーウス将軍に興奮しながら喜んだ。

 

既にここだけで三、四台のAT-ATを付属機ごと撃破している。

 

他の区画でも同じような戦術を取り多くのウォーカーを撃破し親衛隊の進軍を停滞させていた。

 

また別の都市部や司令基地ではドウル元帥が撤退も含めて直接指揮を取り親衛隊の一個師団を退却にまで追い込んだらしい。

 

フリーム中佐の言う通りかなりの時間が稼げるのは間違いない。

 

しかし戦術を考えた当のハーウス将軍は少し冷ややかな目で考えていた。

 

「どうだろうな…このまま更に倍以上の物量が現れればこの戦術も防衛区画もいずれ突破される」

 

どの道退却するとは言えその前に飲み込まれてしまえばお終いだ。

 

局所戦で優勢とはいえ全体では圧倒的劣勢のままだ。

 

いずれ防衛艦隊も打ち破られこのアンシオンには十倍どころか百倍以上の戦力が降り立ってくるだろう。

 

そうなればどんな手を尽くしても物量という単純な波に飲み込まれ全滅する。

 

「ここの指揮を頼む中佐、最悪らいつでも退去して構わん。なるべく多くの兵を生かせ。少佐、我々は一旦ドウルの下に戻るぞ」

 

フリーム中佐に指揮を託しハーウス将軍は補佐官のへリス少佐を連れ地下通路を使用し司令部に戻ろうとしていた。

 

前線の様子は不安を述べたがひとまず大丈夫そうだ。

 

中佐も引き際を誤る事はないだろう。

 

「了解しました将軍!お気をつけて!」

 

フリーム中佐に見送られハーウス将軍とヘリス少佐は急足で地下へと向かった。

 

戦いは既に終盤に差し掛かっている。

 

軌道上で戦闘を指揮する総旗艦“ルサンキア”のブリッジでは艦隊戦、地上戦双方の情報がシュメルケ上級大将と幕僚達に渡っていた。

 

しかし軌道上の圧倒的優勢な戦闘とは違い地上戦は戦況が予定されていたものよりも芳しくなかった。

 

第一陣の司令官として惑星内に上陸したベイリッツ准将ら数名の将校がホログラムで呼び出されている。

 

「侵攻状況が芳しくないようだが」

 

シュメルケ上級大将は艦隊に命令を出しながら地上軍将校達に静かな叱責を飛ばした。

 

口調や声のトーンは変わらずとも明らかに今までとは違う威圧感や怒りに近い感情が込められている。

 

指揮官達を代表してベイリッツ准将が報告する。

 

『申し訳ありません…敵の防衛網が想像以上に手強く突破が難しい状況で…』

 

「せめてシールド発生装置の一つや二つは破壊して貰いたい所なのだが、過大評価が過ぎた。第二軍を投入する。お前達は二軍の上陸支援にだけ専念しろ」

 

シュメルケ上級大将にとっては失望や嫌味などではなく単純な感想であったがそれを受け取る指揮官達はそうは思わなかった。

 

先程よりも申し訳なさそうに苦々しい表情を浮かべ俯いている。

 

すると幾つかのホログラムのうちの一つにいた指揮官が別の将校の報告を受けながら何かを防ぐようなポーズを取り途切れた。

 

それは“ルサンキア”のブリッジで起こった単なる誤作動ではなく他の地上指揮官達も確認されていた。

 

『ラグナー上級大佐のホログラムが消えたぞ…』

 

『何があったんだ…』

 

指揮官達が慌ただしく騒めく中シュメルケ上級大将だけは冷静に状況を判断していた。

 

恐らくはベイリッツ准将もであろう。

 

「ラグナーの師団の残存兵員を下がらせてシュタンデリスの旅団と合流させろ。まとめて奴に指揮を取らせる」

 

「はい閣下」

 

幕僚の1人が敬礼し降下準備を行うジークハルトに伝達した。

 

ラグナー上級大佐の師団は損失を差し引いても9,000人はいるだろう。

 

双方合わせると1万5,000名以上となり軍団レベルの戦力となるがジークハルトなら問題なく指揮を取るだろう。

 

「お前達も指揮に戻れ、我々もすぐに地上戦に専念する」

 

『わかりました…!』

 

ベイリッツ准将らは敬礼しホログラム通信は切れた。

 

これで少しは地上軍の将校達も身を引き締め死に物狂いで戦うだろう。

 

シュメルケ上級大将は幕僚達を引き連れ“ルサンキア”のブリッジからアンシオンを見つめた。

 

勝利を確信しつつも一抹の不安を抱える姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーサンでの戦闘はまだ続いていた。

 

ハンとチューバッカはミレニアム・ファルコンや機材に隠れながら攻撃してくるデス・トルーパーやパージ・トルーパー達に反撃している。

 

しかし相手はかなりの精鋭であり熾烈な銃撃戦が続いていた。

 

撃ったら躱わされ撃ち返されたら身を隠し弾丸を防ぐ、そんな戦いが続いていた。

 

全く埒が開かずルークを助けるどころか逆にピンチだった。

 

そんな中チューバッカは敵を撃つハンに向かって声を掛けた。

 

銃声でよく聞き取れない部分もあったがチューバッカの大きな声で辛うじて分かる。

 

「ファルコンの火器で応戦しろだって!?」

 

ハンの聞き返す声にチューバッカは大きく頷いた。

 

その間にも何度も銃弾が物資用の箱に当たっている。

 

「とてもじゃないが中に入れねぇ!」

 

ボウキャスターでデス・トルーパー達を攻撃するチューバッカは再びハンに言った。

 

その事を聞いたハンは呆れた顔でチューバッカに言った。

 

「無茶言うんじゃねぇよ!先にくたばっちまう!」

 

その隙にとデス・トルーパーの1人ベルトからC-25破砕性グレネードをもぎ取りハンとチューバッカに投げつけようとする。

 

助走をつけグレネードを投げつけようとしたその時、銃声が響きデス・トルーパーは打ち倒されグレネードが投擲される事なかった。

 

グレネードはその場で爆発し周囲のトルーパー何人かを巻き込み土煙を舞い上げる。

 

ハンが手に持つ改造されたDL-44重ブラスター・ピストルでデス・トルーパーを狙撃したのだ。

 

会話をしていても危機を察知し速やかに対処するその技はさすがと言わざる終えなかった。

 

するとハンは何かに気付きチューバッカに警告した。

 

「チューイ!避けろ!」

 

ハンはチューバッカの上に飛び乗り無理やり伏せさせた。

 

直後彼らの元いた所に岩石が飛んできた。

 

チューバッカとハンは急いで起き上がり何があったのか周囲を見渡した。

 

ルークとライトセーバーを持った敵が戦っている岩壁が中くらいの岩石一つ分ほど削られている。

 

まさかあの敵が岩場を切り出しルークに投げつけたと言うのか。

 

それを考えるだけで恐ろしくなる。

 

今度はチューバッカが叫んだ。

 

それに気づいたハンは急いで起き上がり赤い光弾を避ける。

 

敵のドロイド・コマンドーが一個分隊ほど再び現れ2人を奇襲した。

 

「また新手かよ!」

 

ハンはブラスター・ピストルの引き金を引きドロイドに銃弾をお返しする。

 

チューバッカはブレードを構え突進してきた別の一体を取り押さえドロイドの首をその怪力を持ってへし折っていた。

 

しかしドロイドの数は減らず、2人はまた苦戦を強いられる。

 

その間に岩壁の上で戦うルークとライトセーバーの敵は下のデス・トルーパー達に命令を出した。

 

「あの2人の兵を追え!逃すな!」

 

命令を受け取ったデス・トルーパー達はその場をドロイド・コマンドーに任せ全員ジェルマントジョーレンを追って行ってしまった。

 

ライトセーバーを振るうルークは今すぐにでも2人を助けに行きたかったがここで眼前の皇帝の手とパージ・トルーパー達を放置するわけにもいかない。

 

ハンとチューバッカもドロイド・コマンドーとの戦いに忙しそうだった。

 

「チューイ!それを取ってくれ!」

 

ピストルを撃ちながらハンは近くに落ちていたエレクトロスタッフをチューバッカから受け取った。

 

バイブロブレードを構える二体のドロイド・コマンドーの刃を起動したエレクトロスタッフで押さえ逆にスタッフで殴り付けた。

 

一体が後退しその間にもう一体のドロイド・コマンドーにエレクトロスタッフの電撃を思いっきり喰らわせた。

 

内部の回路がショートしたドロイド・コマンドーは機能を停止し再び斬り掛かってきたドロイド・コマンドーをエレクトロスタッフで殴り付ける。

 

二度の衝撃でいよいよ限界を迎えたらしくドロイド・コマンドーの首がへし折れ倒れた。

 

チューバッカもボウキャスターを使ってドロイド・コマンドーを一、二体吹っ飛ばしている。

 

2人は背を合わせ息を合わせた。

 

するとハンは何かを見つけた。

 

「R2!」

 

燃え盛るドロイド・コマンドーとダーク・トルーパーの残骸の前に佇むR2はハンの声を聞きすぐに振り返った。

 

どうやら彼も三体のドロイドを倒してしまったようだ。

 

ハンは戦友とも言うべきそのアストロメクに頼んだ。

 

「あの小僧どもにあれを届けてくれ!」

 

ハンが顔で差した場所にはジェルマンとジョーレンのUウィングがあった。

 

敵の船を撃破する為と彼らはこの機体を置いて行ってしまった。

 

「動かせるか」とチューバッカの問いにR2は電子音で「任せろ」と元気そうに呟きブラスターの弾丸が飛び交う戦場を悠々自適に駆けた。

 

ドロイド・コマンドーが何体かR2の方に狙いを定めるがハンとチューバッカの攻撃を喰らい破壊された。

 

その間にR2はUウィングの中に辿り着きまずハッチを閉めた。

 

R2はコックピットのドロイド操縦用のコンソールソケットにアームを接続し機体を操作する。

 

Uウィングのシステムが起動し上空に浮遊した。

 

その様子ははっきりと地上でも見えていた。

 

皇帝の手はなんとか妨害しようとするがルークの執拗な攻撃により叶わないでいる。

 

ドロイド・コマンドー達もUウィングを撃破するだけの火力はなくハンとチューバッカの撃破に専念していた。

 

Uウィングが飛び立ちジェルマンとジョーレンの下へ向かう。

 

一体の英雄の等しいアストロメク・ドロイドを乗せて。

 

 

 

 

 

 

 

親衛隊の地上への攻撃は熾烈さを増し第一陣の部隊とは比較にならないほどのウォーカーやトルーパー達が惑星に上陸した。

 

しかしそれでもアンシオン軍は抵抗を続け親衛隊を押さえ付けている。

 

想像より遥かによく戦っている。

 

本来なら二陣が来る頃には惑星の都市部の半分は制圧されているはずだった。

 

しかし未だに都市部は愚か軍基地すら一つも陥落していなかった。

 

だがようやくジークハルト達率いる第三機甲旅団や各部隊が奮戦し状況を覆し始めている。

 

どれだけ奮戦しようとアンシオン軍に勝ち目はないのだ。

 

「敵の第二陣の戦力が来た、恐らくこれ以上はもう無理だ」

 

ハーウス将軍はドウル元帥の籠る司令室に姿を表した。

 

移動中も情報を逐一報告させそれにあった指示を出していた。

 

その為戦況は重々承知している。

 

「ドウル、我々も退却する時だ」

 

ドウル元帥は息を吐きこちらに顔を見せた。

 

変わらないと言えば嘘になるがそれでもいつも通りの元帥はそれこそいつも通りに話を始めた。

 

「全部隊を最終防衛ラインまで後退させ例の軌道砲も使用出来るようセットした。既に脱出部隊も編成し終えた、お前が部隊の指揮を頼む」

 

ハーウス将軍は全てを悟り重くそして力強く頷いた。

 

惑星防衛軍からクローン戦争まで、その後も戦友として戦い抜いてきたのだ。

 

あえて言わずとも察しは付く。

 

ドウル元帥は独り言のように呟いた。

 

「思えばあのパイク家の令嬢の言う通りとなってしまった。あのギャング王家の愛娘は恐ろしいな」

 

だがドウル元帥の表情に後悔の色ななかった。

 

ただ悔しさと第三帝国に対する憎さが見受けられる。

 

あの帝国に対し一方的にやられてしまったと言う悔しさが。

 

「我が軍がファースト・オーダーに向かうのか、将又別のどこかへ向かうのかは分からん。だがいずれ第三帝国という紛い物を倒してくれるだろう」

 

「ああ、任せてくれ」

 

ハーウス将軍は戦友の願いに強く頷いた。

 

もう彼は長くない、敗軍の将としての勤めを果たすつもりだ。

 

ドウル元帥も任せたという表情だった。

 

「失礼します!元帥、最後の脱出艦隊と旗艦の準備が完了しました」

 

若い少尉が司令室に入室しドウル元帥に報告する。

 

ドウル元帥とハーウス将軍は顔を見合わせ最後に一度だけ微笑んだ。

 

「先に行け、最後の指揮を取る。最後の一撃は頼むぞ」

 

ハーウス将軍は頷くとへリス少佐と報告に来た少尉を連れ司令室を後にする。

 

誰かが誰かにバトンを繋ぐ。

 

それはよくある光景ではあったがそれ故美しくもあった。

 

ラクサスでも同じようにバトンが紡がれた。

 

新共和国の軍人達がそうならアンシオンの元帝国軍人達だってそうだ。

 

敵か味方かの違いでありある種全ては一巡する。

 

そして繋がれたバトンは切れずやがて円を作り全てを囲む。

 

第三帝国の敵はもしかしたら増え続けるばかりなのかもしれない。

 

終わりない戦いが、受け継がれる魂がそこにはあった。

 

 

 

 

 

 

 

「このままじゃ絶対死ぬ!」

 

「つべこべ言わずに走れ!ロケット弾は一発も無駄には出来ねぇからな!」

 

背中にイオン・ブラスターを背負うジェルマンとスマート・ロケットを背負うジョーレンは空中を飛行し追撃してくるダーク・トルーパーの攻撃を躱しながら走っていた。

 

強力なブラスター・ライフルの爆撃は何度も2人に当たりそうになり何度も死にかけた。

 

それでもセンサーに映らないミサイル攻撃をやめさせる為には敵の船を破壊するしかない。

 

幸い攻撃弾数や追撃のない事を考えると恐らくそのミサイルを発射出来る船は一隻のみだ。

 

しかも敵の来た方角からある程度位置は割れている。

 

あとは本当に破壊するのみなのだが敵の猛攻は激しく中々に上手く行かない。

 

度々ジェルマンがイオン・ブラスターで空中にダーク・トルーパーを攻撃するが走りながらで相手は空中にいる為全く当たらない。

 

とにかく今は走って物陰に隠れるしかなかった。

 

「あそこだ!飛び込め!」

 

ジョーレンが指を差した岩陰に2人は急いで飛び込み隠れた。

 

また間一髪敵のブラスター爆撃を喰らう所だったが間一髪助かった。

 

ダーク・トルーパーは岩場に向けてブラスター・ライフルを連射するが頑丈な岩が彼らを守った。

 

今のうちにとジェルマンはイオン・ブラスターを岩場に当てて銃撃を開始した。

 

狙いを付けずとにかく攻撃をばら撒くようにイオン・ブラスターを放つ。

 

ダーク・トルーパー達は動きやフォーメーションが乱され反撃のブラスターも殆どが岩場にすら当たらなかった。

 

その隙にジョーレンが何かを用意する。

 

「本当はこれも使いたくなかったんだがな…!」

 

筒状のブラスター・ピストルやライフルとは若干違う武器にジョーレンは何かを込め始める。

 

三発ほどグレネードか何かを込めたジョーレンはダーク・トルーパー達のいる上空に狙いを定めた。

 

「効力は…まあやるしかねぇな!」

 

ジョーレンはすぐに引き金を引きその武器、MPL-57から三発の追尾ミサイルを発射した。

 

本来はグレネードを使用するのだが改造品である彼のMPL-57は追尾ミサイルも発射が可能だった。

 

ミサイルは空中に放たれまずジェルマンの方を優先して攻撃していたダーク・トルーパーの顔面に直撃した。

 

そのミサイルを喰らったダーク・トルーパーはそのまま地面に墜落し爆散する。

 

残りの二体はミサイルを避けながら撃墜しようとブラスターを放ったがある一体は胴体部に直撃し爆発する。

 

更にジェルマンのイオン・ブラスターを喰らい完全に機能が停止した。

 

残りの一体はかなり器用に空中を呼び周りミサイルを撃ち落とそうとしたが左腕に直撃し腕が吹き飛んだ。

 

しかし致命傷ではなくすぐに攻撃に戻ろうとする。

 

が、時既に遅し。

 

ジェルマンのイオン・ブラスターは既に狙いを確実に定めその何発もの光弾がダーク・トルーパーに浴びせかけられた。

 

イオン・ブラスターの嵐を喰らったダーク・トルーパーは他のドロイドと同じように機能を停止し地上に墜落した。

 

こうして三体のダーク・トルーパーを撃破したのだ。

 

「よし!今のうちに捜索を!なっ!」

 

ジェルマンがイオン・ブラスターを岩陰に戻そうとするといきなり赤いブラスターの弾丸が飛んできた。

 

弾丸の方向を見るとそこには5、6人ほどのデス・トルーパーがE-11DやDLT-19Dを構えこちらに近寄ってくる。

 

「新手か…しかも情報部の特殊部隊かよ…」

 

迫り来るデス・トルーパーの分隊を眺めながらジョーレンはそう呟いた。

 

昔、帝国軍の基地を襲撃した時たまたま警護として駐在していたデス・トルーパーの二個分隊と戦闘になった事がある。

 

同盟軍の特殊部隊が三個分隊、通常の歩兵が二個小隊近くいたはずなのに特殊部隊の一個分隊が全滅、小隊に至っては二つとも2/3以上が戦死し小隊長も生きては帰れなかった。

 

ジョーレンが率いていた部隊もただでは済まされなかった。

 

2人があの漆黒のトルーパーに殺され4人が重傷を負い当分戦闘不能となった。

 

無傷で切り抜けてきたのはジョーレンと当時の副分隊長と1人の隊員だけだ。

 

辛うじてデス・トルーパーの分隊を壊滅寸前になるまで押し退けたがそれでも手痛い損害を被った。

 

目の前にいるのは一個分隊にも満たない程度の人数だがそれでも勝てるか。

 

いや勝てるかではない、“《どれだけ削れる》》”。

 

流石はジェダイというべきかあそこまであの特殊兵科のトルーパー達に対して優位に立っているスカイウォーカー中佐が異常に強いだけで我々はそうではない。

 

ジェルマンに支援させるとして俺単独で一体何人撃てる。

 

最悪単独で削れたとしても2、3人が限度だ。

 

それ以上は賭けになってくる。

 

こんな所で重傷は負えない。

 

なら一体どうする。

 

一体…。

 

「……レン!ジョーレン!」

 

考えから目覚めたジョーレンはジェルマンの方を見た。

 

「あれを見てくれ!」

 

ジョーレンはジェルマンの指差された方向を見た。

 

森林の奥にほんとに僅かな隙間だがその先が見える。

 

「あれはっ…!」

 

そう、あったのだ。

 

彼らのUウィングを攻撃した船が。

 

見慣れないミサイル発射管を装備したTIE/rpリーパー攻撃着陸艇が森林の奥に停まっていた。

 

不幸中の幸い、これなら正気が見えてくる。

 

「ジェルマン、いいかよく聞け?このロケット・ランチャーでミサイルをぶっ壊せ。俺はデス・トルーパーを引き付けておく」

 

背負っていたスマート・ロケットをジェルマンに預け彼も戦闘準備を行う。

 

するとジェルマンが心配そうに尋ねた。

 

「1人で大丈夫かな…」

 

「俺は心配するな、後お前なら出来る。なるべく隠れながら近づけ。それと、ここから離脱する時にあの敵機を奪って逃げるぞ」

 

「わっ分かった…!」

 

スマート・ロケットをしっかり持ったジェルマンが硬い表情で頷いた。

 

ブラスター・ライフルを背負いホルダーからナイフを抜き出すとジョーレンはジェルマンに微笑んだ。

 

緊張してるジェルマンを解す為だ。

 

「使い方も匍匐前進もやり方は習ってるだろ?大丈夫だ、俺がコイツをぶん投げたらすぐに行け。幸い茂みで見えにくい」

 

「ああ…!」

 

そういうとジョーレンはベルトからある筒状の爆弾を一つもぎ取った。

 

サーマル・インプローダー、あのサーマル・デトネーター以上の範囲で爆発する超強力な小型爆弾だ。

 

スイッチを押し爆弾を起動する。

 

ジョーレンは思いっきりデス・トルーパー達の方へサーマル・インプローダーを投げジェルマンに「行け!」と叫んだ。

 

ジェルマンは茂みに飛び込み匍匐前進を始めた。

 

サーマル・インプローダーを投げこまれたデス・トルーパー達は一瞬でその危険性を感知しインプローダーから一気に距離を取った。

 

起爆する瞬間に独特の音が聞こえ一瞬だけ静寂が訪れた。

 

直後大爆発が巻き起こり一気に爆炎が周囲に巻き上がった。

 

しかし距離を取っていたデス・トルーパー達にダメージはない。

 

むしろダメージはないと最初から想定している。

 

こんなもの所詮は捨て技だ、敵を引き離し確固撃破に移る。

 

DH-17を近くに避難したデス・トルーパーに向け心臓部へ一度に二発の弾丸を放つ。

 

確実にアーマーを破り絶命させる為だ。

 

弾丸を喰らったデス・トルーパーはジョーレンの見立て通りに絶命し残りは後5人となった。

 

破片が飛び散り未だ視界が良好ではない為他のデス・トルーパー達も反撃に出れない。

 

こちらの動きに気づいた2人のデス・トルーパーがE-11Dを構えジョーレンへ向け発砲する。

 

狙いがまだうまく定まっていないのかジョーレンには当たらず目で追えぬような速さでデス・トルーパーの間合いに入った。

 

立ち上がる寸前にDH-17の銃口を頭に突き付け容赦なく引き放つ。

 

即死を免れず斃れたトルーパーを持ち上げジョーレンは盾代わりにブラスターの銃口を突き付けるトルーパー達に向けた。

 

腕から無理やりE-11Dをもぎ取るとジョーレンはDH-17の代わりに構えた。

 

「一度使ってみたかったんだよなこのデカバレルのカービンを!」

 

残された3人のデス・トルーパー達は互いに距離を詰めつつ容赦なく仲間の死体を抱えるジョーレンを撃ち始めた。

 

殆どの弾丸がデス・トルーパーのアーマーに直撃しジョーレンはほんの僅かにズレて避ければいいだけとなっていた。

 

しかし防御は完璧でも攻撃はそうはいかない。

 

E-11Dの引き金を引き3人のデス・トルーパー達を狙撃するが悉く躱されるか物を盾にされダメージを与えられていなかった。

 

器用にポールドロンを身代わりにしてダメージを最小限に抑えるトルーパーすらいた。

 

このままでは埒が開かない上に包囲され殲滅される。

 

だが時間を稼ぐと言う点では十分効力があった。

 

そしてすぐに効力は発揮された。

 

予想外の攻撃と共に。

 

森林の奥から何かが破壊され爆発する機械的な音が聞こえた。

 

若干皮膚で熱さを感じ恐らく目を向ければ爆発の炎と煙が上がっているだろう。

 

現にデス・トルーパー達がそちらの方に気を取られている。

 

ジェルマンがミサイル発射管の破壊に成功したのだ。

 

その隙にとジョーレンは盾代わりのデス・トルーパーの死体を捨て後もう2人仕留めようとブラスター・ライフルを構えた。

 

だがそこにイレギュラーが発生する。

 

上空からいくつかの赤いレーザー弾が降り注ぎジョーレンが攻撃しようとしたデス・トルーパー達が3人纏めて吹っ飛ばされ倒されてしまった。

 

突然の襲来によりジョーレンも思わず受け身を取り驚いた顔で上空を飛ぶその機体を見つめていた。

 

「Uウィング!?誰が操縦しているんだ!?」

 

後続にミレニアム・ファルコンやXウィングは続いておらずUウィングただ1機のみであった。

 

慌ててジョーレンは姿を表したUウィングを追い掛ける。

 

直後上空から再びレーザー弾の放たれる音が聞こえ森林の奥に隠されていたTIEリーパーが爆散した。

 

まさか!と一瞬恐怖を募らせ森林の中へ突っ込むとそこには爆発から身を防ぎながら唖然としているジェルマンがいた。

 

スマート・ロケットが手から滑り落ちいかにも突然だった事が分かる。

 

「ジェルマン!」

 

ジョーレンが声を掛けるとジェルマンはゆっくりとこちらに振り返った。

 

困惑し目は見開いている。

 

そんな状態でジェルマンは呆然としながら口を開いた。

 

「えっ…?」

 

あまりにも当然な反応だ。

 

しかし急がねばならない。

 

もしかしたら更なる後続がこちらに近づいてきているかもしれない。

 

「さあ分からん!とにかく乗り込むぞ!」

 

ジョーレンは無理やりジェルマンの手を引っ張り走り出した。

 

Uウィングは破壊されたTIEリーパーの近くに降り立ちハッチを開けた。

 

2人は急いで走りUウィングに飛び乗る。

 

直後ハッチは閉まり2人は大きく息を吐いた。

 

「なんとか助かった…」

 

すると突然機体のどこからかアストロメクタイプの電子音が響いた。

 

2人はびっくりし飛び上がる。

 

するとコックピットの近くにルークが連れていたアストロメク・ドロイドのR2-D2がこちらに顔を向け電子音で話していた。

 

「なんだ…あなただったんですか…びっくりした…」

 

緊張と疲労が一気に抜けジェルマンはUウィングの床に再び座り込んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

ルサンキア”率いる親衛隊艦隊とアンシオン艦隊戦いは熾烈を極めた。

 

軌道上を防衛する艦隊は全滅させたが惑星内から新たな艦隊が出現し再び戦闘状態となった。

 

ベラトール級ドレッドノートを旗艦としインペリアル級やヴィクトリー級数十隻で構成された艦隊は軌道上で再び親衛隊艦隊と戦闘状態に陥った。

 

予想外の敵の出現とドレッドノートを主軸とした奇策が功を奏しアンシオン艦隊が一時的に優位となっていた。

 

しかし地上ではそう上手く入っていなかった。

 

物量に押されアンシオン軍が徐々に敗北し始めている。

 

ジークハルトの第三機甲旅団もアンシオンに上陸しシュメルケ上級大将の命令通りラグナー上級大佐の元師団と合流し攻撃を開始した。

 

スカウト・トルーパーを乗せたスピーダー・バイクが何台かAT-ATの隊列から発進し他のアサルト・ウォーカーもその後に続いた。

 

後方には今さっき組み込まれたばかりのラグナー上級大佐の元師団の車両が続いている。

 

ラグナー上級大佐は総旗艦“ルサンキア”との通信中に敵部隊の砲撃を受け重傷、そのまま戦死してしまった。

 

そしてシュメルケ上級大将の命令を受けジークハルトが代理で指揮を取る事となった。

 

無論最初は断りを入れた。

 

1万名以上の軍団規模を指揮するなど今まで経験になく、一体どこまでをコントロール出来るかまるで見当が付かない。

 

されどシュメルケ上級大将の命令は絶対でありジークハルトは不安を覚えつつも承諾した。

 

そんな彼のエリートAT-ATストライク1は他のAT-ATと共に進撃を開始した。

 

「ヒャールゲン中佐は部隊全体の規律維持を頼む。ヴェーク中佐は捕虜を」

 

『了解』

 

「アデルハイン、お前は部隊の半分を持ってベイリッツ准将とガリアー大佐の隊を支援しろ。敵基地を側面から叩くんだ」

 

ジークハルトはアデルハイン中佐の部隊に通信を取った。

 

本来二千数名程度の指揮を取っている彼だが現在は7,000名と言う旅団以上の戦力を指揮している。

 

尤もそれはジークハルトも同じで部下に負担をかけまいとする為殆どの部隊がラグナー上級大佐の師団の部隊だった。

 

ジークハルトは殆どの部隊を包囲と砲撃支援に当てウォーカーやタンクなどの機甲部隊と突撃隊などの突入戦力を率い前進している。

 

砲撃支援は未だシールドが生きている事を鑑みて偏向シールド突破用の砲弾を使用させていた。

 

「ハイネクロイツ、アデルハイン隊の支援を頼む。我々はこのまま首都司令部を墜とす」

 

上手く行けば攻撃中の第四突撃大隊や第十二機甲連隊と合流し一気に司令部まで雪崩込めるかもしれない。

 

『了解した。インパルス・フォース全隊、前進を開始する』

 

数十台のAT-ATと付属AT-STなどのウォーカーとTIE部隊が反転し敵基地方面へ進軍する。

 

その後ろには数十、もしくは十百台にも匹敵するほどの兵員輸送機やジャガーノート・タンクが後に続いた。

 

すると早速索敵部隊の情報が送られてきた。

 

ジークハルトのエリートAT-ATのコックピット上に添付され彼は静かに読み取る。

 

「ターボレーザーに局所防衛砲台…イオン砲まである…」

 

もはや要塞並みだと思いつつジークハルトは戦術を考える。

 

元より数が少ないのかそれとも撤退が既に始まっているのか周辺の機甲戦力はかなり少なかった。

 

これに関しては後者の可能性が高い。

 

敵に猶予を与えすぎたとジークハルトは歯噛みしこれ以上はないと命令を出した。

 

「全隊、対防衛砲台殲滅隊形を取る、ヴィアーズ隊形だ。ホスの大将軍に続け!」

 

対防衛砲台殲滅隊形、正式名称ヴィアーズ隊形はホスの戦いでヴィアーズ将軍が使ったウォーカー隊形を元により洗礼にされたものだ。

 

その後もヴィアーズ将軍のブリザード・フォース麾下のサンダリング・ハード中隊は度々この戦術を使用した。

 

COMPNOR青年大隊の救出、デノン防衛戦、カイゼルシュラハト作戦、コルサントの奪還、そしてシャンドリラの戦いでもだ。

 

AT-ATやAT-STが隊列を組み直し隊形を整えた。

 

この隊形を取るのは初めてだがこの状況下ではやるしかない。

 

ヴィアーズ隊形が確立しジークハルトは命令を出した。

 

「攻撃開始、全ての砲台を殲滅しろ」

 

こちらに向く全ての砲台に対してストライク・フォースのAT-ATは攻撃を開始した。

 

顎の重レーザー砲が時間差を帯びて一斉に発射され対空砲撃を開始しようとする防衛砲台や味方のタンクを狙うターボレーザーを破壊していった。

 

AT-STはそんなAT-ATを護衛しAT-ATを狙う迫撃砲手や対戦車装備の敵トルーパー達を殲滅する。

 

それだけではなく余力があれば砲台も顎の震盪手榴弾ランチャーでダメージを与え顎の中型ブラスター砲を連射し確実に破壊した。

 

ジークハルトのエリートAT-ATストライク1には次々と砲台の撃破報告が響く。

 

「全隊、センサーシステムを連結させ索敵範囲を広げろ。後続車両隊は突撃準備及び取りこぼした砲台撃破に専念を」

 

エリートAT-ATが重レーザー砲を放ち再びターボレーザー砲を破壊する。

 

徐々に敵砲台も注意が集まりウォーカー部隊への砲撃が強まった。

 

ストライク1の隣を進むストライク2に一発のターボレーザー弾が掠った。

 

若干損傷したようにも見えるがまだ無傷の部類だ。

 

ストライク2は直ちに反撃しターボレーザー砲を完全に沈黙させる。

 

他のウォーカーも徐々に攻撃を受け始めていたがひとまず持ち前の装甲でなんとかしていた。

 

だがターボレーザークラスの高火力を喰らい続ければ流石に危険が高まってくる。

 

その為には偏向シールド発生装置とジェネレーターを破壊せねばならない。

 

しかしいまだに二つとも発見には至っていない。

 

「センサー感度をもう少し上げろ。都市部のシールド発生装置を索敵する」

 

「上級大佐、偵察隊からの報告です。シールド発生装置を発見したとの事です」

 

その報告を聞きジークハルトの表情が側でも分かるほど変わった。

 

これ程聞きたかった報告はない。

 

「座標表示します」とAT-ATパイロットがホログラムを浮き上がらせジークハルトに見せた。

 

この地点なら余裕でミサイルが届く距離だ。

 

早速ジークハルトは「よくやった、トルーパーを安全地点まで下がらせろ」と指示しストライク・フォース全隊に命令を出した。

 

「敵シールド発生装置をミサイルで周辺の対空砲網ごと殲滅する。一時的にでもシールドが解除されたら包囲隊は転送した座標に砲撃を開始しろ。少しでも敵司令部にダメージを与える」

 

アサルト・ウォーカーのミサイル発射装置に座標を入力し照準を合わせる。

 

その間にも2人いるうちのもう1人のAT-ATパイロットは攻撃に専念し周囲の砲台を破壊していった。

 

座標入力と照準合わせはすぐに終わりロックオンももう完了している。

 

「ロック完了、全隊いつでも発射可能です」

 

ストライク・フォースの各AT-ATからの報告をパイロットから受け取りジークハルトが命令を出す。

 

「全機、ミサイル発射!」

 

全てのAT-ATから四、五発のミサイルが放たれ周辺の防衛砲台や敵の簡易司令部ごとシールド発生装置を破壊した。

 

被弾した数カ所から同時に爆発の光と破壊された機器の煙が一気に立ち込め破片が飛び散り崩れ落ちた。

 

照射されていた偏向シールドは目視で確認出来る程の勢いで消失し周辺を守るエネルギーの盾は完全に消え去った。

 

そこへ包囲を命じていた元ラグナー上級大佐の師団部隊が砲撃を開始する。

 

間髪入れずに放たれる砲撃やミサイル攻撃は飛行機雲を描き流星のような姿のまま目標地点に着弾した。

 

砲台や敵基地、司令部周辺や司令部に砲弾は直撃し破壊の限りを尽くす。

 

破壊された瓦礫は崩落し崩れ落ちた砲台からは火の手と煙が上がっている。

 

「今のうちにジェネレーターの捜索に専念しろ。恐らくサブの装置が起動し…」

 

「上級大佐!あれを!」

 

AT-ATパイロットが珍しくジークハルトの命令を遮り彼を呼んだ。

 

思わずジークハルトはパイロットが指を差す方向を見つめ、そして唖然とした。

 

正に釘付けといった感じで声が出なかった。

 

クワット社が開発したプラネット・ディフェンダータイプのようなイオン砲に似た超大型レーザー砲塔が上空に向け赤いレーザー砲を放っていた。

 

しかも一、二発などではなく何度も何度も赤い光弾を上空に向け放っている。

 

「なんだ…あれは…」

 

困惑するジークハルトを今後は驚愕が襲った。

 

放たれた光弾は軌道上で戦闘している味方のアークワイテンズ級に直撃し一撃で轟沈せしめた。

 

それだけではなく射角を変え他のヴィクトリー級やインペリアル級にも攻撃を開始した。

 

ヴィクトリー級は僅か三発の直撃でアークワイテンズ級のように轟沈しインペリアル級も一気に中破まで追い込んだ。

 

あっという間に手痛い損害を喰らってしまった。

 

敵は対軌道上用の重ターボレーザー砲を持っていたのだ。

 

しかも外壁が崩れ落ちその真の姿を露わにする。

 

その間にも砲撃が続けられ再び二隻のアークワイテンズ級と一隻のヴィクトリー級が轟沈した。

 

被害はついに主力艦にも及んだ。

 

敵艦への砲撃に集中していたインペリアル級のエンジン部分にこのターボレーザー砲が直撃しエンジンが大爆発を起こした。

 

航行不能となったインペリアル級は惑星の重力圏に引かれ徐々に惑星へ墜落し始めた。

 

もはや止められるものは誰もいない。

 

インペリアル級はそのまま長い時間を掛けてアンシオンの地上に墜落した。

 

『上級大佐、センサーが敵の都市型ジェネレーターを発見しました』

 

AT-STストライク・スカウト5がジークハルトにそう報告した。

 

唖然としていたジークハルトだがこの時ばかりはすぐに指示を出す事が出来た。

 

「ああ…ヒャールゲン中佐、麾下の保安中隊だけでなく他の突撃大隊も指揮して敵のジェネレーターを占拠しろ。もしかすればあの大砲も…」

 

止められるかもしれない、ジークハルトはそう僅かな希望を抱いていた。

 

あれだけのエネルギーを連発して撃つには都市部の電力供給を賄える程のジェネレーターでないと無理だ。

 

専門のジェネレーターがあるかもしれないが兎に角シールドだけでも使えるようにしなくては。

 

『了解…!攻撃を開始します』

 

「頼む、我々はあの砲台を撃破しなくては…」

 

あの周辺一体は多少砲撃が届いていてもまだ対空砲網が残っている。

 

これではミサイルを放っても対空砲火を喰らい殲滅されてしまう。

 

直接射程距離まで接近し最大火力で攻撃せねばならない。

 

「隊形を変更する、ストライク7とストライク8とストライク9はそのまま首都司令部の攻撃を支援しろ。残りは全て最短コースを維持しながらあの砲台を破壊する」

 

ストライク・フォースが二つに分かれジークハルト達は方向を若干反転させ未だに攻撃を続ける重ターボレーザーの方へと向かった。

 

艦隊はこれ以上の損害を避ける為に一旦射角外へと退避し始めた。

 

だが恐らくこれが狙いだったようだ。

 

艦隊が一時退却した為惑星から出現したベラトール級らの艦隊は徐々にハイパースペースに突入し始めた。

 

これ以上の追撃は犠牲を考慮しても大きな成果を得られない。

 

悔しそうに歯噛みしながらもジークハルトは全速力でAT-ATを砲台圏内まで突入させた。

 

「上級大佐、シュメルケ上級大将から通信です」

 

ホログラムが浮き上がりシュメルケ上級大将の姿が現れた。

 

ジークハルトは軽く敬礼しシュメルケ上級大将は普段の様子のまま口を開いた。

 

『敵にしてやれた、そちらから原因の砲台は確認出来るか?』

 

「現在攻撃の為前進中です、ですから首都司令部攻撃に回した機甲戦力はかなり少ないですが」

 

ジークハルトの報告に若干驚きつつも素晴らしいとシュメルケ上級大将は頷いた。

 

『首都はファルスとライルリンガーの隊に任せろ。全戦力を持って件の砲台を撃破、または鹵獲せよ』

 

そう言いシュメルケ上級大将のホログラムは消えた。

 

ジークハルトは通信機に手を当て再びストライク・フォースに命令を出す。

 

「ストライク・フォース全隊、全戦力を持って敵大型砲台の制圧に着手する。全隊反転」

 

命令は届きそのまま一直線に進んでいたストライク7、ストライク8、ストライク9の部隊も反転し後に続いた。

 

僚機のストライク3が重レーザー砲を放ち護衛のターボレーザー砲を破壊する。

 

ストライク1も屋上からAT-STを破壊しようとするストームトルーパーの一段を中型ブラスター砲で殲滅しそのまま局所防衛砲台を一つ破壊した。

 

他のウォーカーも急遽な命令だったが即座に行動し周辺の敵防衛砲台を撃破していた。

 

幸いにも重ターボレーザー砲は冷却中で今は動けないらしい。

 

するとついに敵も本気を出してきた。

 

まず最初はストライク5からの報告だった。

 

『旅団長、敵のスカウト・ウォーカーです。二台接近中』

 

「付属のスカウト・ウォーカーを下がらせろ。ストライク4は撃破の支援を頼む、撃破して通るぞ」

 

命令通りストライク5を守っていたAT-STが二台後方に下がりAT-ATが敵機へ向け攻撃を開始した。

 

最初はAT-STが何発か顎の中型ブラスター砲を脚やコックピットに当ててきたがほAT-ATには殆ど効かず逆にAT-ATが反撃の重レーザー砲を放った。

 

前方を進んでいたAT-STは重レーザー砲に直撃しコックピット部分の上半身が一撃で吹き飛んだ。

 

足だけになったAT-STはくてっと倒れその側を歩いていたもう一台のAT-STも支援の命令を受けたAT-ATストライク4の重レーザー砲を喰らい破壊された。

 

「各機、敵ウォーカーも冷静に対処しろ。最短コースを維持するんだ」

 

ストライク1から二発ほどのミサイルが放たれセンサーに映っていたインペリアル・アサルト・タンクを二台撃破した。

 

足元の曲がり角から一台のインペリアル・コンバット・アサルト・タンクがエリートAT-ATに中型レーザー砲を浴びせ掛けた。

 

しかし強化されたエリートAT-ATの装甲は破れず僚機のAT-STの攻撃を受け爆散する。

 

「前方にAT-ST一台確認、付属機としてオキュパイア・タンク二台を連れています」

 

十分その姿は見えている。

 

AT-STの背後に二台のインペリアル・コンバット・アサルト・タンクが続いていた。

 

「確認した。AT-STは我々が撃破する、僚機はビークル・ミサイルでタンクを叩け」

 

エリートAT-ATはすぐ重レーザー砲を放ち味方のAT-STに攻撃する一歩手前だったスカウト・ウォーカーを撃破した。

 

付属機もミサイルを放ちインペリアル・コンバット・アサルト・タンクを攻撃する。

 

一台はミサイルを喰らい沈黙したがもう一台は履帯が破壊されただけでまだ機能していた。

 

タンクが二門の中型レーザー砲を放ちAT-STを破壊しようとする。

 

しかし優秀なドライバーは間一発で機体を逸らしレーザー砲を躱した。

 

躱されたレーザー弾はそのままビルに直撃し轟音と共に土煙を巻き上げた。

 

直後エリートAT-ATの重レーザー砲を喰らいインペリアル・コンバット・アサルト・タンクは爆発四散した。

 

だが敵はまだまだ出現し続ける。

 

『旅団長!いよいよ大物が出てきました』

 

ストライク3のハインズマン上級大尉の報告を聞きジークハルトは目線を上に向けた。

 

二台のAT-ATがこちらに迫ってきている。

 

久しぶりのAT-AT対AT-ATの戦いとなりそうだ。

 

「ストライク6、ストライク12、ダメージが低くても構わん。敵の胴体部に砲撃を仕掛けろ。ストライク2はミサイル攻撃準備だ」

 

一番両端にいる二台のAT-ATが顎の重レーザー砲を敵のAT-ATの胴体部分に向け砲撃を始めた。

 

独特なレーザー音と共に赤い光弾が放たれAT-ATの巨大な胴体部分に直撃する。

 

一般的なブラスターやロケット・ランチャーとは違いしっかりとダメージは通っていた。

 

敵機は大きく揺れ微妙に体制を崩しかけた。

 

だが全く致命傷ではない。

 

ようやく煤の付いた小さな穴が付いた程度だ。

 

全体のまだまだ相手は余裕だった。

 

ストライク6とストライク12は間髪入れずに砲撃を続ける。

 

優秀なパイロットと指示を下す車長達のおかげでレーザー砲弾は一発も外す事なく直撃を受けている。

 

「ストライク4とストライク5は敵付属機の撃破に専念しろ。ヘールスのスカウト・フォースはミサイル・ランチャーで敵機の注意を引き付けるんだ」

 

ジークハルトはコックピットのスコープでより深く戦場の様子を見つめた。

 

敵のAT-ATも徐々に攻撃を始めている。

 

顎の重レーザー砲が放たれあわやストライク11に直撃する所だった。

 

一方付属機殲滅に集中していたストライク5は砲撃を交わし切れず重レーザー砲弾が機体を掠った。

 

角の部分が小さく抉れ白い煙が出ていた。

 

「ストライク3、我々で敵の頭を潰す。十字砲火で一気に両機撃破するぞ」

 

『了解旅団長…!』

 

「しっかり狙えよ。ストライク2は敵の攻撃体制を崩せ」

 

『了解』

 

AT-ATストライク2のゲールマン少佐は命令を受け取り敵AT-ATに向けミサイルを放った。

 

ミサイルは胴体部だけでなくAT-ATの足や顔面にも直撃し射角がズレた一台のAT-ATが無人のビル街へ重レーザー砲を放った。

 

轟音と共にビルが崩れ落ち無機質に通り過ぎようとする。

 

しかしこの隙を見計らっていたジークハルト達が砲撃を開始した。

 

撃て(Fire)!」

 

エリートAT-ATとAT-ATから重レーザー砲が放たれ頭のコックピット部分の装甲と首の連結部分を破壊した。

 

一台のAT-ATの頭がそのまま千切れ飛び司令塔を失ったアサルト・ウォーカーは力尽きたように倒れた。

 

もう一台のAT-ATは辛うじてまだ生き残ってはいたが再びストライク1とストライク3の砲撃を喰らいコックピットが完全に吹き飛んだ。

 

機械が軋む鈍い音と共にAT-ATは倒れその屍をストライク・フォースは越えていった。

 

「敵大型砲台、射程圏内です!」

 

パイロットの報告を聞きジークハルトは再びペリスコープ・ディスプレイを覗き込んだ。

 

センサーや別の機器が敵砲台の各パーツの予想を展開する。

 

「今なら鹵獲出来る…エネルギー連結器と供給機は分かるか?」

 

ジークハルトはパイロット2人に尋ねた。

 

すぐ様調べ上げジークハルトに報告した。

 

「連結器及び供給機を発見しました」

 

ディスプレイに映し出されジークハルトはいよいよ攻撃の命令を出す。

 

「最大出力で連結器と供給器を破壊する。ストライク11、確か装備としてイオン・ミサイルを持っていたな」

 

『はい、弾数は六発ですが』

 

ストライク11の報告は十分ジークハルトの策略を現実的にした。

 

「我々が砲台のエネルギー供給を砲撃で断ち切った後、周辺をミサイルで攻撃して機能停止にするんだ」

 

『了解!』

 

『上級大佐!ジュネレーターの制圧に成功しました!』

 

ヒャールゲン中佐の報告がベストタイミングで届いた。

 

「流石だ中佐!我々も大型砲台を制圧するからそちらも電力供給をストップさせ敵兵を近づけさせるな」

 

『了解!』

 

通信が途切れジークハルトは冷静そのまま命令を出した。

 

「ターゲットを合わせる、発射体制に移れ」

 

ペリスコープ・ディスプレイの自動ロックオンシステムをうまく活用しながら連結器と供給器に狙いを定める。

 

幸いにも二つはかなり近い距離にある。

 

エリートAT-ATの一度の砲撃で十分破壊可能だ。

 

「出力チャージ完了」

 

「砲撃体制、固定完了」

 

パイロット達の報告と時を同じくジークハルトのロックオンも完了した。

 

彼は命令を出す。

 

「出力最大、撃て!」

 

二門の重レーザー砲が最大出力の一撃を放ち重ターボレーザー砲のエネルギー連結器と供給器を破壊した。

 

破片が飛び散り爆炎が上がる。

 

そこに砲撃を確認したストライク11がイオン・ミサイルを撃ち込んだ。

 

かなり近距離に着弾したミサイルは周辺の機器を無力化しついには砲台自体の無力化に成功した。

 

これで艦隊はこれ以上攻撃に晒される事はない。

 

「直ちに部隊を降ろして直接的な制圧を…っ!」

 

しかし再びジークハルトの命令は掻き消された。

 

エリートAT-ATのコックピットに警報が鳴り響いたのだ。

 

軌道上爆撃を知らせる警報が。

 

「まさかここに…!?」

 

この砲台ごと我々を殲滅する気かとジークハルトは危惧した。

 

『いえ!敵艦の位置からして若干ズレています!』

 

ストライク8からの報告は正しく頭上に軌道上から放たれたターボレーザー砲の砲弾は一つもなかった。

 

とするとどこに。

 

どこを道連れにする気だ。

 

既に各部隊は敵地へ突入し制圧を始めている。

 

このタイミングで軌道上爆撃を繰り出すとなると必ず友軍を巻き添えにしなければならない。

 

ならばどこだ。

 

アデルハイン中佐の隊か。

 

それともヒャールゲン中佐とジェネレーターか。

 

いや違う。

 

敵が道連れにするのはその程度の代物じゃない。

 

「…まさか!!」

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ!そのまさかだよ!」

 

タイミングよく司令部のドウル元帥が笑み浮かべ相手に言い放った。

 

数十人近くのストームトルーパーと部隊長のファルス少佐にブラスターを突き付けられ取り囲まれている。

 

他の部下もよく戦ってくれたが全員先に戦死してしまった。

 

ドウル元帥も腕から血が流れ額も傷をつけられ出血している。

 

「悪いが捕虜になるつもりはない!何処の馬の骨かも分からない紛い物の指導者に付き従うつもりもない!」

 

息を荒げながらも何処か誇らしげなドウル元帥はそう彼らに吐き捨てた。

 

ヒルデンロードならともかく、あのような大道芸人に付き従う理由は一つもない。

 

我々が忠誠を誓ったのは皇帝のみだ。

 

「あの世でお前達の総統とやらに教えてやるといい!真の帝国の指導者は名誉を失うくらいなら死を選ぶとな!どうせすぐに逝っちまうんだろうからな!」

 

「なっ何を…!」

 

突撃大隊のファルス少佐はブラスター・ライフルを構えながらもその腕は震えていた。

 

「お前達も皆道連れだ!!」

 

ハーウス将軍は良き戦友だ。

 

別れ際の言葉も聞き逃さずその意味を理解してくれた。

 

奴がいるならば脱出部隊もなんとかなるだろう。

 

ベラトール級“パペティアー”から放たれる爆撃はこの司令部を吹き飛ばし中にいる敵兵諸共皆殲滅する。

 

連中に与えるものは何もないのだ。

 

あの大砲だってすぐに機密保持として自爆する。

 

何も得る事のないまま悪戯に損害だけ食らうがいい。

 

「くっ……この!」

 

「大隊長!早く撤退しましょう!このままでは…!」

 

副官がファルス少佐に声を掛け撤退を促した。

 

軌道上爆撃はすぐそこまで迫っている。

 

少佐は目の前の元帥を討つことよりも死の恐怖に屈し撤退命令を出した。

 

「……っ!…総員撤退!急げ!」

 

トルーパー達も慌てて逃げ出し司令室には再びドウル元帥1人となった。

 

静かに倒れ込みテーブルに寄り掛かる。

 

もう立っている気力も残されていなかった。

 

情けないものだ、仮にも帝国軍だろうに。

 

あんな簡単に戦いの場から逃げ出すなんて。

 

しかも目の前に敵の総大将がいるのに。

 

帝国軍も堕ちたものだ。

 

そしてそんな連中に負けた自分自身も。

 

「……さらばだ、祖国よ。今すぐに行く」

 

ベラトール級の爆撃は司令部の区画に直撃し多くの死傷者を出した。

 

爆撃によりドウル元帥は戦死、惑星アンシオンは陥落した。

 

しかしこの時脱出する寸前のベラトール級“パペティアー”のブリッジでは無言の敬礼がされていた事はあまり知られていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

フォース使い同士の熾烈なライトセーバーによる戦いは未だ終わりを見せていなかった。

 

双方技量としては互角と言ったところで両者一歩も譲らなかった。

 

しかし疲労という面ではルークの方が不利であった。

 

眼前の皇帝の手だけでなく他のパージ・トルーパーなども相手をしなければならなかったからだ。

 

幸いハン達が加勢してくれたがそれでもやはり疲労は抜けない。

 

受ける一撃一撃がより重たく感じた。

 

再び皇帝の手が斬り掛かりルークは無駄のない動きで攻撃を受け流すと鋭く突きの一撃を入れた。

 

当然のように躱されるが予想の範疇だ。

 

ライトセーバーを持つ右手と同時に左手を突き上げ意識を集中させる。

 

フォースの力が加わり皇帝の手は押し出され空中に少し浮き体勢が崩れかけた。

 

すぐに持ち直し踵で地面を削りながらブレーキを掛ける。

 

素早くライトセーバーを構え直しヘルメット越しからでも解る程ルークを睨みつけた。

 

そんな皇帝の手にルークは制止する。

 

「もうよせ!これ以上無益な戦いは望まない!」

 

しかし皇帝の手は無言のまま再びルークに斬り掛かった。

 

呼吸とフォースと体を合わせ相手の斬撃を躱し続ける。

 

左、右とその動きには無駄なくまるで相手の攻撃が見えているかのようだった。

 

五回の斬撃を避け切った時ルークは反撃を始めた。

 

自身のライトセーバーを突き上げ無理やり防御をこじ開けるとすかさず胴に鋭い斬りの一撃を入れる。

 

皇帝の手はギリギリのところで斬撃を防ぎ弾かれるように身を任せ距離を取った。

 

ルークはかつて見た技術を真似てライトセーバーを敵へ向け投げつけた。

 

皇帝の手は自身のライトセーバーで弾きルークの緑色のセーバーは宙へと舞った。

 

だがこの一瞬が欲しかったのだ。

 

思いっきり拳を握り締め地面を強く叩く。

 

研ぎ澄まされた強力な意識に応えるかのようにフォースの力は現れた。

 

辺り一帯の地面を割りながら広範囲に力の波動が広がる。

 

それは皇帝の手でも防げない程のもので再び外へと押し出されかけた。

 

ルークはライトセーバーを手に戻し再び構えた。

 

だがそこに更なる攻撃が訪れる。

 

危機を察知した皇帝の手は急いでその場から離れ皇帝の手が元いた地面にレーザー弾が直撃した。

 

爆発と共に土を巻き上げ大地を崩した。

 

ルークは何事かと上空を見上げるとそこにはR2が乗って行ったはずのUウィングが飛行し皇帝の手を攻撃していた。

 

コックピットハッチが開き一発のロケット・ミサイルが放たれ皇帝の手に迫る。

 

フォースで弾道を変えたはいいが更に再びUウィングのレーザー斉射を喰らわされた。

 

何発かをライトセーバーで防ぎつつ足場を移動した。

 

だが足をついた途端地面が崩れそのまま崩落する岩や土と共に皇帝の手は姿を消した。

 

「やったか!?」

 

「分かんないけどとりあえず退けたぞ!」

 

スマート・ロケットを担ぐジェルマンはそうジョーレンに報告した。

 

その横からR2がジェット噴射を使いルークの下に戻った。

 

「R2!」

 

地面に着陸しルークの下に駆け寄った。

 

すかさずR2はルークに電子音で提案した。

 

「そうだな、今なら脱出出来る!ハン!チューイ!」

 

ルークはR2と共にそのまま駆け出し岩壁の高台から飛び降りた。

 

再びライトセーバーを起動し2人を襲うドロイド・コマンドーを全て斬り倒した。

 

「帝国軍の本隊が来ないうちに早く逃げよう!」

 

「そうだな…チューイ!船に急げ!」

 

返事をするチューバッカを先頭に2人は船に乗りミレニアム・ファルコンのハッチが閉まった。

 

「僕たちも急ごう」

 

R2は頷きを示し2人も自分のXウィングに急いだ。

 

ジェット噴射でアストロメク・ドロイド用のソケットに入りルークもXウィングに飛び乗る。

 

流石にパイロットスーツまで着る余裕はない為ヘルメットだけ被りキャノピーを閉めた。

 

ファルコン号もすでに発進し残るはルークとR2のXウィングのみとなっていた。

 

だがもう敵が襲ってくる心配もなく2人のXウィングも無事うウィングやミレニアム・ファルコンと合流した。

 

3機のスター・シップがルーサンの大気圏を飛び越え惑星の外を出た。

 

もう追える距離ではなくなってしまった。

 

瓦礫の上に立つ皇帝の手は憎しみを込めながら3機のスター・シップを睨んでいた。

 

 

 

つづく




わ た し だ

ええ諸事情あってウィルズ二・二六事件は延期となりました…

悲しいですねぇスッゴイカワイソ

ちなみにpixivにイラストだけはあります
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