第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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「死んだ者が蘇る、そんな事私は信じていなかった。しかし私の前に戦友はある日突然現れた。ファースト・オーダーという組織を背中に背負い、新しい軍服を着て。それはまるで第三銀河帝国という組織を背中に背負い、新しい軍服を着た私の姿に重なって見えた。ああ友よ、我々はすれ違っていただけなのだな。同じ帝国から生まれた我々はきっと、いずれ同じ結末を辿るのであろう」
-親衛隊将校の日記より抜粋-


抵抗の灯火

-未知領域 チス・アセンダンシー 新拡張宙域-

チスの大発展は単純な領域の拡張だけでなくハイパースペース・レーンを更に引き伸ばし安定させる事に成功した。

 

鎖国主義的なアセンダンシーの教義がこれからも大きく変わる事はないだろうがレーンの増加と安定は様々な発展に繋がる。

 

通商が盛んになるしいざという時に素早く軍を動員することが可能になる。

 

それに亡命してきた多くの帝国軍や市民を養う為にどうしても必要な領域だった。

 

単純に既存の領域では居住地や食糧供給に限界があるのだ。

 

亡命者達は積極的に開拓に協力し周辺の治安維持にも大いに貢献した。

 

しかしそれでもチスに仇なす賊は未だ存在し続けていた。

 

特に最近では海賊の重武装化が進みチス・アセンダンシーでの悩みの種となっていた。

 

だが彼らは立ち上がる。

 

恩義と人々を守る為苦渋を飲んで落ち延びた亡命帝国軍が。

 

彼らの作戦に従いこの拡張された新宙域に二隻のチス・アセンダンシー軍のパトロール艦ながらレーザー砲を放ち一目散に味方領へ逃げ込んでいた。

 

後方には改造された十隻以上のゴザンティ級やロザリアン・コルベットを引き連れた一隻のレキューザント級とMC75スター・クルーザーがパトロール艦を追っている。

 

殆どが文字通りの“海賊船”といった姿だがMC75だけは海賊の紋章やカラーリングが施されているだけで正規軍の軍艦といった姿だった。

 

恐らくこの艦も第三帝国との戦いに敗れた新共和国軍の艦が敗走中に海賊に襲われ奪われてしまったのだろう。

 

もはや賊の船となってしまったMC75はチスのパトロール艦に攻撃を仕掛けていた。

 

敵艦を機能停止に追い込み略奪するし無論乗組員は皆殺しだし情けなどかける必要もない。

 

圧倒的な物量差、船体差と砲門の数で優位に立っていた海賊船団であったが突如横合いから謎の攻撃に襲われる。

 

黄緑色のレーザー弾と無数の震盪ミサイルの襲撃により船団のゴザンティ級やコルベットが二、三隻轟沈した。

 

元々大した偏向シールドもない有象無象の集団だ。

 

攻撃を行った軍艦、グラディエーター級スター・デストロイヤーとアークワイテンズ級司令クルーザーの前では特に。

 

三隻の船隊が攻撃を続けパトロール艦が遠くへ退却するまでの時間を稼ぐ。

 

幸い敵の注意は大多数がグラディエーター級らの方に向きパトロール艦の退却は速やかに終わった。

 

「よし!拡張艦隊の隊が撤退した!我々も後退するぞ!」

 

グラディエーター級の艦長、ターリア少佐はブリッジの真前で興奮気味にクルー達に指示を出した。

 

左右を守るアークワイテンズ級と共にエンジンを回し退却し始める。

 

赤色と黄緑色のレーザー弾が飛び交う中再び追撃戦が始まった。

 

戦列を立て直し海賊船団が全力を挙げて追撃に来るがターリア少佐達は至って冷静だった。

 

「まもなくチス艦隊の重巡洋艦の支援攻撃地点です!」

 

乗組員の1人が報告し少佐は力強く戦況を見守った。

 

「頼むぞ“()()()()()()()()”…お前達に掛かっている…!」

 

少佐がそう祈りを込めた時彼らの背後から何発かの魚雷とレーザー弾が放たれた。

 

全て敵艦に着弾し敵旗艦と思われるMC 75にも側から見える程の被害を与えた。

 

攻撃に怯み海賊船団の速度が失速する。

 

「成功です!攻撃は成功ですよ!」

 

副艦長がガッツポーズを浮かべターリア少佐に報告する。

 

見事に着弾した支援攻撃は敵を怯ませ作戦を予定通りに進ませた。

 

これにはターリア少佐も大喜びである。

 

「ああ!全艦反転後退!逃げに徹するぞ!後は全部本隊に任せておけ!」

 

「了解!」

 

グラディエーター級と二隻のアークワイテンズ級は直ぐに反転しチス重クルーザーと共に全速力で後退した。

 

無論海賊達もタダでは帰さない。

 

再びがむしゃらにターリア少佐達をおいかけはじめた。

 

砲門を真正面に向け全速力で追うものの五隻の敵艦隊には中々追い付けなかった。

 

そしてついに姿を見失ってしまう。

 

困惑する海賊船団に最後の一手として情け容赦のない攻撃が打ち出される。

 

再び反対側の側面から大量のターボレーザーの砲弾が放たれゴザンティ級やコルベット、ネビュロンBを撃破していった。

 

反撃の僅かなレーザーを放ちながら回頭するもその間に多くの船が破壊されてしまった。

 

攻撃者の姿を見た海賊達はその瞬間震え上がっただろう。

 

目の前に広がる大艦隊、超巨大なドレッドノート艦の姿に。

 

ベラトール級ドレッドノート“デスティネーション”。

 

サンクト宙域に配備された宙域艦隊の旗艦でありモフヴィルヘルム・フェルの乗艦でもあった。

 

そして今インペリアル級九隻、アークワイテンズ級十八隻、ヴィクトリー級十二隻、グラディエーター級十隻とチス重クルーザーや軽クルーザー、デストロイヤー艦など十八隻、総数六十七隻の艦隊の指揮を直接取っている。

 

「敵艦隊の半数を撃破しました。モン・カラマリ・クルーザー含めた残り半数は未だ戦闘を続行しようとしています」

 

士官の報告を受けチス拡張艦隊の将校であるチャルフ准将がヴィルヘルムに進言した。

 

「このまま物量に任せて押し潰しましょうか?」

 

「いや、密集隊形を解き包囲戦に移行する。本艦の最大火力を持って敵海賊船団を殲滅せよ!」

 

ヴィルヘルムの命令と共にベラトール級“デスティネーション”全ての砲門、ミサイル、魚雷発射管が生き残った瀕死に近い海賊船団へ向けられた。

 

八連ターボレーザー砲や重ターボレーザー砲、戦艦イオン砲などの大火力の砲塔が静かに狙いを定め艦隊の移動と共に第一斉射を放つ。

 

轟音と共に撃ち出された超弩級の艦砲射撃はたった一撃で生き残ったゴザンティ級やネビュロンB、コルベットを破壊し壊滅に追い込んだ。

 

辛うじて一命を取り留めた船もすぐに放たれた第二、第三のターボレーザー砲やプロトン魚雷によって船体にトドメの一撃を入れられ沈んでいく。

 

もはやこの場では何をどうした所で1秒長く生きるか1秒早く死ぬかの違いでしかなかった。

 

副旗艦格であろうレキューザント級軽デストロイヤーが撃沈する頃にはもう小型船舶の海賊船は全滅し残りは必死の抵抗を見せるMC75のみとなった。

 

周りのインペリアル級やチス拡張艦隊の艦船が全く手を出していないのにも関わらずこのザマだ。

 

悪戯に生き残った乗組員達などただ恐怖に怯える他なかっただろう。

 

大型クルーザーとはいえこのMC75では7,200メートル以上あるドレッドノート艦に単艦で勝つ術はない。

 

その為絶望的状況の中海賊達は足りない知恵を回して最後の賭けに出た。

 

「敵クルーザー、スターファイターを発艦させています」

 

士官の報告を受けてブリッジの上級将校や幕僚達羽目を合わせた。

 

宙域のモフ時代からの将校であるアレイク・ユマーレフ中将がヴィルヘルムに進言する。

 

「砲撃範囲を迂回し本艦に攻撃を仕掛けるつもりです」

 

「だろうな…全く余計な事を、セイバー中隊とシルバー中隊を回して防御に努めろ。本艦はこのまま攻撃に徹する」

 

「了解」

 

出てくると言っても数機のXウィングやAウィングだろう。

 

このベラトール級にとっては脅威ですらないがそれでも念の為だ。

 

精鋭二個中隊によるオーバーキルに等しい殲滅戦になるだろうが。

 

彼の予測通りレーザーの合間をなんとか避け切った数十機のXウィングやAウィング、旧式のZ-95ヘッドハンターやオーブ=ウィングといったスターファイターが姿を表した。

 

新共和国軍から強奪したであろうXウィングやAウィングはまだ新品で性能が良さそうだが数が少なく、Z-95やオーブ=ウィングは旧式で整備も行き届いていないオンボロ機のようだった。

 

当然性能も悪くおまけにパイロットの腕も悪い為全体的にスターファイターの動きが悪かった。

 

出撃した2/3は“デスティネーション”の餌食となり僅かに生き残った残りカスが迫るだけだ。

 

それもファイター殺しの達人達の元に。

 

ベラトール級とは別の方向からレーザー砲が飛び出し前を進む1機のXウィングを撃破した。

 

破壊された機体の破片を躱しながら進む海賊のスターファイター達は突然の事により見るからに動揺していた。

 

元々ありもしない編隊が完全に崩れ暴徒の集団の方がまだ規律正しく見える程だ。

 

再び幾度となく黄緑色のレーザー弾が撃ち込まれオーブ=ウィングやAウィングが撃破される。

 

僅かに空いたスターファイターの隙間を帝国軍のTIEシリーズのスターファイターが通り過ぎた。

 

その何機かのTIEインターセプターやTIEボマーなどには赤色のラインが引かれており残された12機のTIEディフェンダーには銀色のラインが引かれていた。

 

ふたつの精鋭、赤きストライプのセイバー中隊と銀のストライプのシルバー中隊はそれぞれ中隊毎に編隊を組み互いをカバーしながら敵機を仕留めていく。

 

もはや攻撃意志を失った海賊の機体は皆逃げ惑うばかりで精鋭のTIE部隊に尽く打ち倒されていった。

 

「敵スターファイター隊、100%掃討完了。全滅です」

 

「流石は“()()()()()”…ですか」

 

チャルフ准将の発言に小さく微笑を浮かべヴィルヘルムは命令を出す。

 

「これで懸念材料は消し飛んだ。最後の一斉射を行う。全砲門、最大火力で撃て」

 

ヴィルヘルムは腕を振り下ろし攻撃の合図を送る。

 

再びエネルギーがチャージされた無数のターボレーザー砲が瀕死のMC75に最後の一撃を放ちもはや偏向シールドもエンジンも機能しないスター・クルーザーはモロに直撃を喰らい撃沈した。

 

爆炎を上げ破片を撒き散らすMC75の無惨な姿はブリッジでも確認されていた。

 

「敵海賊船団全滅…お見事ですモフフェル」

 

次席幕僚のスーバ少佐報告を確認し指揮官のヴィルヘルムを褒め称えた。

 

スーバ少佐は元々あの死の小艦隊旗艦であるエグゼクター級スター・ドレッドノート“エグゼクター”の乗組員であった。

 

エンドア戦では偶々別の艦に乗艦しており戦禍から免れたのである。

 

それ以降サンクト宙域や亡命先でメキメキと頭角を表し旗艦“デスティネーション”のの次席幕僚となった。

 

「ああ、だが大小含めた全ての海賊を撃破するまでは安心してられん。全艦散開し周辺域の海賊を一掃せよ。エジャイ上級提督とパーク上級提督の艦隊はどうなっている?」

 

「現在、付近の海賊船隊を殲滅中との事。間も無く帰還出来るそうですが」

 

「分かった、戦闘終了の後一旦領内に帰還しアララニ提督とコーシン提督の艦隊と交代させろ。アララニ提督の方には“アヴェンジャー”と“コンクエスト”、“ストーカー”を付属で付けさせる」

 

「了解」

 

「それと単艦行動中の“リレントレス”と“ジュディケイター”と“ハービンジャー”、“サンダーフレア”も領内に戻せ。これ以上派手にやるとそろそろ見つかるかもしれん」

 

「はい閣下」

 

ある程度全ての命令を出し切ったヴィルヘルムはようやく「ふぅ」と一息つくことが叶った。

 

圧倒的優勢とはいえ戦場では常に気が抜けないものだ。

 

オールバックの髪をかき分け首の下をさする。

 

「少数の友軍で敵を引き付け懐まで迫った所を大火力で一気に殲滅する。流石の戦闘指揮ですフェル最高位元帥」

 

背後に控えていたチャルフ准将はヴィルヘルムの作戦指揮をそう褒め称えた。

 

「よしてくれ准将(Commodore)、私達はただ君達への恩を返しているだけだ。それに“最高位元帥(Supreme Admiral)”なんて畏れ多い称号だ」

 

ヴィルヘルムは戦場での副官に等しいチャルフ准将にそう断わりを入れた。

 

最高位元帥、“Supreme Admiral”とはチス・アセンダンシーの軍隊階級の中で最高位の地位にある。

 

本来余所者のヴィルヘルムが受け取る称号ではないが彼の今までの功績からリヴィリフらによってこの称号が送られた。

 

元々保持しているモフや上級提督の階級も合わせヴィルヘルムは今やチス領内の軍最高司令官としての役割が与えられている。

 

「混乱の残るアセンダンシーをここまで発展させ我らの祖国防衛にも十分貢献してくれたではありませんか。本来前線に立ってこのように海賊を退治するのは貴方の職務ではありませんよ」

 

「だが先ほども言った通り我々には恩義がある。恩には報いなければならない。我々は皆その為に誠心誠意を果たしてるだけさ」

 

「十分果たしたと思いますが…」

 

「閣下、航行中の“ダーク・オーメン”が暗号電文を傍受したとの事です」

 

デスティネーション”に乗艦しているタッセ将軍はヴィルヘルムに報告を行い暗号文が写されたタブレットを渡した。

 

ヴィルヘルムは直接受け取りチャルフ准将と共に内容を読んだ。

 

「なるほど…いよいよか……海賊掃討の後、外縁宙域を封鎖し防備を万全にしろ。非常時に備える」

 

「了解!」

 

タブレットをチャルフ准将に手渡しヴィルヘルムはブリッジのビューポートを見つめた。

 

「再び……“()()()()()”となればいいのだがな……残りの作戦指揮は全てエジャイとコーシン達に任せて我々は直ちにシーラへ帰還する、一応エリンメルヒにも伝えておけ。大事になるぞ…これは」

 

デスティネーション”が一隻だけ反転しハイパースペースに突入した。

 

暗い未知領域にただ一つの行き先があるように。

 

 

 

 

 

 

-ディカー 特別作戦室-

「いよいよ作戦が始まる。帝国に対する反撃の狼煙を上げる作戦だ」

 

ジョーレンの言葉はいつにもなく重たく静かなものだった。

 

ジェルマンやノールマン大尉、分隊長達や先行してステーションを占拠する特殊部隊員達が皆耳を傾けジョーレンの話を聞いていた。

 

全員がある程度の武装を整え手にはブラスター・ライフルやブラスター・ピストルなどを持っている。

 

そんな中ジョーレンは話を続けた。

 

「我々にとってはいつも通りの、破壊工作と施設奪取の作戦だ。緊張する事も力を入れ過ぎる必要もない。バケツ頭を打ち倒し勝利を挙げる、それだけだ」

 

ベテランの兵士からジェルマンやノールマン大尉のような将校まで全員がニヒルな笑みを浮かべている。

 

中にはわざとらしくブラスター・ライフルを持ち上げる者もいた。

 

そんな隊員達にあえて微笑み返し部下達と同じようなニヒルな表情で再び話を続ける。

 

「我々にとっては小さな一歩でも新共和国にとっては大きな一歩である。だから、しっかり踏み付けてやろうぜ。俺達の証を、『新共和国は滅んでいない』ってことをよ!」

 

『おおお!!!!』

 

隊員達はブラスターや拳を天高く掲げ威勢の良い雄叫びを上げた。

 

皆戦意に蜜溢れ負ける気がまるでしない。

 

絶対に勝つ、そう言った確信がその場の全員にあった。

 

不安や緊張を消し飛ばす程に。

 

ジョーレンも満足げに笑みを浮かべて隊員達に命令を伝達した。

 

「それではみんな、各自持ち場についてくれ。出撃準備だ」

 

『ハッ!!』

 

敬礼した隊員達が疎に室内から出て行きノールマン大尉もジョーレンに「それでは少佐、お先に」と敬礼し退出した。

 

「僕達も行こう」

 

「そうだな、武器は手の空いた兵に運ばせとくか」

 

「いやもう積み込んである。昨日少しね」

 

意外な仕事の早さに驚きジョーレンは顎の辺りを撫でていた。

 

出会った時からかなり変わったな。

 

ジェルマンの横顔を見つめたジョーレンはふとそう思った。

 

「まああれだけの修羅場を潜り抜ければそうなるわな…」

 

「ん?」

 

「いやなんでもない、それよりあれ見ろよ」

 

ふとした独り言を隠す為にジョーレンは通路の先を指差した。

 

運命なのかそれとも本当に偶然なのか。

 

「挨拶くらいしてこいよ。生きて帰る為にもな」

 

「あっああ…!もちろん…!」

 

「そいじゃあな!」

 

ジョーレンはわざとジェルマンを突き飛ばし彼を向こうの方にやった。

 

奴には是非とも宜しくやって人らしい生活を送って欲しいものだ。

 

“我々”のようにはなってはいけないだろうから。

 

突き飛ばされたジェルマンはなんとか寸前の所で止まり頭を上げた。

 

「あらジェルマン、どうされました?」

 

外交官のヘルヴィは生き残った他の職員らと共に何かを話していた。

 

そこに2人がたまたま居合わせてしまったのだ。

 

「いえ…たまたま居合わせまして、間も無く出撃なので最後のミーティングを行なっていた所ですよ」

 

「そうなんですね……お気をつけて……」

 

不安感や心配に満ちた表情を浮かべつつも心配させないようにと無理して笑みを作りジェルマンを送り出そうとした。

 

もしかしたら帰ってこないかもしれない、そんな思いがすぐに伝わる。

 

ジェルマンは照れや恥ずかしい気持ちを抑え込み笑顔で彼女に答えた。

 

「大丈夫!僕達は絶対に帰ってきますよ。これからも、この先も」

 

そういうと2人は様々な情を合わせてその場で抱擁を交わした。

 

ヘルヴィが耳元で小さく呟く。

 

「必ず……生きて帰ってきて下さいね…約束ですからね……」

 

それに対してジェルマンも優しく言葉を返した。

 

「はい、絶対に帰ってきますよ」

 

銀河の外縁、コルサントやホズニアン・プライムから遠く離れた地で反旗の燈が広がろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

-インペリアル級スター・デストロイヤー ソリシチュード艦内-

2機のTIEブルートの護衛から離れたラムダ級T-4aシャトルがインペリアル級“ソリシチュード”のハンガーベイに着艦した。

 

このスター・デストロイヤーはファースト・オーダー宇宙軍所属の一隻であり他のインペリアル級同様三万七千名以上の優秀な乗組員が乗艦している。

 

ハンガーベイに搭載されているTIEファイターも第三帝国やその他の勢力が使っているものよりも黒色が強く逆にパネルの部分が灰色になっていた。

 

ラムダ級シャトルが着陸したすぐそばには出迎えの将校下士官兵、ストームトルーパーが並んでいる。

 

列の真ん中には3人、4人の将校が静かにシャトルを待っていた。

 

このラムダ級は意外なことにファースト・オーダー軍のものではない。

 

羽の部分に親衛隊所属を表す十字のベンドゥの紋章が記されている。

 

ハッチが開き護衛のポールドロン付きストームトルーパーがまず2人シャトルにピッタリ張り付いた。

 

奥からは親衛隊の制服を着た顔馴染みの4人の将校がシャトルから降りてきた。

 

ファースト・オーダーの将校達に近づくと先頭を行くジークハルトが敬礼した。

 

彼らは今回ファースト・オーダー軍に視察にやってきたのだ。

 

正式に同盟が締結された第三帝国とファースト・オーダーは両者親睦の証として互いに視察を送る事となった。

 

ジークハルト達もその一団に選出されインペリアル級“ソリシチュード”に送られた。

 

「親衛隊所属、第三機甲旅団旅団長のジークハルト・シュタンデリス上級大佐です」

 

彼に続き他の将校達も挨拶した。

 

「副旅団長のフリーツ・アデルハイン中佐です」

 

「旅団所属の第二十一飛行大隊大隊長、ランドルフ・ハイネクロイツ中佐です」

 

「旅団長副官のニコラツ・ヴァリンヘルト上級中尉です」

 

ファースト・オーダー達の将校達も同じように敬礼を返した。

 

「ようこそ“ソリシチュード”へ。艦長の“モーデン・キャナディ”大佐です」

 

真ん中の生真面目そうな若い軍人が一番最初に挨拶した。

 

年齢はジークハルトと大体同じくらいだろうか。

 

帝国宇宙軍では通常少尉の階級から十年から十五年の歳月が掛かる。

 

しかし目の前のキャナディ艦長はどう見ても十年、十五年よりも遥かに短い期間で昇進していそうだ。

 

キャナディ艦長は更に紹介する。

 

「こちらはファースト・オーダー特殊部隊のコマンダーハスクです」

 

「ギデオン・ハスクだ。よろしく頼む」

 

コマンダーハスクは一歩前に出てジークハルトと力強い握手を交わした。

 

彼は特殊部隊のコマンダー故か常に黒いパイロットが身に付けるものによく似たアーマーを身につけていた。

 

「彼は元々ギャリック・ヴェルシオ提督麾下の部隊長でしたがジャクー戦で乗艦していた“エヴィセレイター”が撃沈し彼自身もドッグファイトで深い傷を負いました」

 

その説明通りコマンダーハスクの顔には幾つかの目立つ傷が残っていた。

 

「だが運良く生き延びた。どれもこれも帝国を蘇らせ新共和国に復讐する為だ」

 

そんな暗い過去をものともせずコマンダーハスクはそう言い切った。

 

後ろではアデルハイン中佐が大きく賛同を示している。

 

ジークハルトも割と同じ気持ちだった。

 

「そちらの方は?」

 

コマンダーハスクの説明を行ったファースト・オーダーの将校と見られる長い黒髪の青年に手を差し尋ねた。

 

ファースト・オーダー軍専用の軍服を身につけ左胸には中佐を示す階級章が付けられている。

 

心なしか最近どこかで出会ったような気がするのだが気のせいだろうか。

 

「失礼しました。私は“ナッシュ・ウィンドライダー”と申します。中佐としてスターファイター部隊の隊長を務めています」

 

「成る程、うちのハイネクロイツみたいなもんか」

 

アデルハイン中佐がそうぼやいているうちにジークハルトはウィンドライダー中佐と握手を交わし同じスターファイター隊の隊長であるハイネクロイツ中佐にも握手を求めた。

 

ハイネクロイツ中佐は快くこの青年の手を握った。

 

「その歳で中佐か。相当苦労しただろう?」

 

自分より数歳年下に見えるウィンドライダー中佐にハイネクロイツ中佐はそう問いかけた。

 

それはほんの会話を広げる為の些細な会話であった。

 

しかしウィンドライダー中佐は一瞬だけどこか暗い表情を浮かべすぐに笑みを浮かべ答えた。

 

「ええ、色々ありましたよ…」

 

握られる手の力が抜け手は離れた。

 

どこか作り笑いめいていた気がするが気のせいだろうか。

 

「そして彼が私と共に視察の案内を務めるジャックス・ジャージャロッド少尉です」

 

紹介を受けキャナディ艦長の後ろに控えていた一人の少年が敬礼と共に姿を表した。

 

ジークハルトも一瞬驚く程の若さだ。

 

まだ二十歳も言っていないんじゃないか。

 

そしてその苗字。

 

少年は無口で真顔のまま敬礼を下した。

 

「クローン戦争で名を馳せた共和国宇宙軍のジャージャロッド提督は彼の曾祖父です。第二デス・スター監督者のモフティアン・ジャージャロッド司令官は…」

 

「私の父親であります。父が戦死しティネルⅣのアカデミーでガリアス・ラックス元帥に拾われました」

 

「なるほど……」

 

幼さをまだ感じるが彼も壮絶な人生を送ってきたのだろう。

 

しかしジャクー戦に参加していたコマンダーハスクがファースト・オーダーに参加していたりジャックス少尉がラックス元帥に拾われていたりこの組織の原型や基礎を作ったのはもしかしてラックス元帥なのだろうか。

 

彼はジャクーやその周辺を支配する帝国軍の残存勢力を率いておりコア・ワールドや銀河中央でも多大な影響力を保持していた。

 

勢力の規模は単体だけなら恐らくベアルーリン、ノートハーゼンを軽く上回るだろう。

 

両者合わせた同盟でも足りるか怪しいし恐らくカイゼルシュラハト作戦を実行した時に集結した帝国軍の戦力でようやく上回るほどだ。

 

それだけの勢力を保持した艦隊提督(Feet Admiral)殿も帝国敗北の決定打となったジャクーの戦いで恐らく旗艦の“ラヴェジャー”と共に戦死したはずだ。

 

いや、それは現在のファースト・オーダーの最高指導者がレイ・スローネ大提督の時点で明白だろう。

 

ラックスはジャクーで何らかの要因で死んだのだ。

 

過程はともかく結果はそう物語っている。

 

惜しまれる事に彼がファースト・オーダーの礎を作る事はあってもファースト・オーダーを直接指揮する事はなかったのだ。

 

ファースト・オーダーの礎を遺し我らには帝国を残す最後のチャンスをくれた人物。

 

恐らく彼がジャクーにいなければ新共和国軍の主力がコア・ワールド内に残り続け国家としての銀河帝国を存続させる事など不可能だったであろう。

 

ラックス元帥がどういう心境だったかは分からないが彼がファースト・オーダーと第三銀河帝国を残すチャンスを作った人物というのは間違いがなかった。

 

「上級大佐、そろそろ視察を」

 

背後からヴァリンヘルト上級中尉がジークハルトに進言しジークハルトも頷いた。

 

「それではキャナディ艦長、お願いします」

 

「はい」

 

その一言と共に一行の視察は始まった。

 

まずは“ソリシチュード”艦内の様子。

 

ブリッジやターボレーザー・ハブ、リアクター管理室やエンジンルーム、艦内の様々なコントロール室など。

 

キャナディ艦長や持ち場の責任者から説明を受けジークハルト達は“ソリシチュード”の艦内を回っていた。

 

お次は“ソリシチュード”に駐留するストームトルーパー部隊やTIEファイターなどスターファイター隊の視察だった。

 

親衛隊とはいえ地上軍人とパイロット将校がメンバーだ、むしろこっちの方が気になると言っても過言ではない。

 

艦と地上部隊の連携や日々の訓練内容、現在の様子を視察しジークハルト自身も何か得る事があったようだ。

 

スターファイター隊の方はハイネクロイツ中佐がほぼ仕切っており一介のパイロットから中隊長、大隊長に至るまで広く話を聞いていた。

 

何より当人はファースト・オーダー軍専用のTIEファイターに乗ってみたい衝動に駆られ時々全員に止められていたが。

 

ある程度の視察を終えジークハルトはあるひとつの結論に辿り着いた。

 

この軍隊の精強さ、有能さを。

 

ソリシチュード”ひとつ見ただけでもその事はすぐに分かった。

 

この艦の乗組員は皆優秀で職務に熱心で何よりキャナディ艦長やファースト・オーダーに絶対の忠誠がある。

 

そう簡単に切り崩せるものではないし何より彼らの熱心で献身的な働きがただでさえ強力なインペリアル級を二倍も三倍も強化している気がした。

 

流石は銀河内戦の混乱期を生き延び未知領域でひたすら耐え忍んできたエリート達だ。

 

その練度は親衛隊の第一艦隊とも引けを取らないだろう。

 

もし敵に回っていたらどうなっていた事らや、今更ながら恐ろしく感じる。

 

絶対的な大激戦になっていただろうしもしかしたら我々の方が押し負けていたかもしれない。

 

そう思える要素が練度の他に幾つか存在していた。

 

例えば使用している武装類がそうだろう。

 

彼らが使うE-11やDTL-19などのブラスター兵器は一部ではあるが少し改良が施されていて既存のものより遥かに性能がいい。

 

それにAT-ATやAT-ST類のアサルト・ウォーカーもTIEファイターやTIEボマーのようなスターファイターさえも改造が施されより使いやすく強力な兵器となっている。

 

特にスターファイターの方はハイネクロイツ中佐が途中でこう言っていた。

 

「あの機体、乗らなくても分かる。既存のTIEファイターなんて目じゃねぇ、色が違うだけで姿形は一緒でも中身は恐らくまるで別もんに近くなってる。とんでもない性能だろう」と。

 

所詮想像でしかないがそれでも十分な勢力だと認めざる負えないだろう。

 

ハイネクロイツ中佐だけでなくアデルハイン中佐もヴァリンヘルト上級中尉も同じ考えだった。

 

「如何ですかこの“ソリシチュード”は」

 

キャナディ艦長がジークハルトに尋ねた。

 

彼は迷う事なく答える。

 

「素晴らしい艦ですよ。性能も乗組員もどれも最高峰で是非第三帝国にいて欲しい程でした」

 

「ハハハ、そう言っていただけるど部下達も喜びますよ」

 

キャナディ艦長は微笑を浮かべジークハルトの評価を裏表なく喜んだ。

 

本来の年齢に近い青年らしい喜び方だ。

 

若くしてスター・デストロイヤーの艦長を務めているせいか随分と大人びて見えるが彼もまだ二十代の若者だ。

 

褒められると嬉しいのだろう。

 

「私も、部下に恵まれていると常々思いますが艦長はどうですか?」

 

ヴァリンヘルト上級中尉達に目をやりながらジークハルトはキャナディ艦長に尋ねた。

 

すると艦長は微笑みながらすぐに答えた。

 

「私も常々思いますよ。“ソリシチュード”の乗組員達は皆優秀で私は恵まれていると」

 

ジークハルトは小さく頷いた。

 

やはりどの組織もこの部下と上官の絆こそ最も恐ろしいものだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあな」

 

「あなたも頑張って」

 

「ああ、後から行く」

 

ジェルマンとジョーレンとヴィレジコフ中尉は互いに帝国軍から奪取したセンチネル級着陸船の前で握手していた。

 

既にジェルマンとジョーレンはアーマーを着込み戦闘状態を万全に整えた姿だ。

 

一方ヴィレジコフ中尉はまだ制服を着ており先行して出撃するジェルマン達を見送っていた。

 

中尉もいずれは戦闘に参加することになる。

 

「撃墜されないでくださいよ…!」

 

「そっちこそ流れ弾で死ぬんじゃねぇぞ」

 

ジェルマンとヴィレジコフ中尉は互いに冗談じみた不安を投げ合い苦笑を浮かべたまま再び握手を交わした。

 

「そろそろだ、行くぞジェルマン」

 

「ああ」

 

2人は軽く敬礼を浮かべてセンチネル級の方へ向かった。

 

その後をずっとヴィレジコフ中尉は敬礼し見送っていた。

 

「準備は整ってるか?」

 

センチネル級の中に入っていったジョーレンは中の隊員達に尋ねた。

 

「問題ありません、サー」と隊員の1人が敬礼と共に報告しジョーレンも小さく頷いた。

 

他の隊員達はバックを下ろしたりブラスターの簡易点検を行なったり積荷をもう一度チェックしたりとそれぞれやる事があった。

 

ジェルマンとジョーレンはバックだけ置いていくとそのままセンチネル級のコックピットの方へ向かった。

 

「いつでも飛べるか?」

 

「いつでも飛べますよ、そりゃもちろん」

 

ジョーレンの問いに操縦士を務めるブロンス曹長が答えた。

 

隣にはヘンディー曹長が副操縦席に座っておりその横にはバッケイン准尉とノールマン大尉がコックピット機器を操作していた。

 

ジェルマンとジョーレンはその反対側にブラスター・ライフルを置き座り込んだ。

 

「副隊長、ちゃんと全員乗ってるんだろうな?忘れ物はないんだろうな?」

 

ジョーレンは座ったままノールマン大尉に尋ねた。

 

大尉は頷きながら「はい、もう5回、10回は確認しました。問題ありません」と返答する。

 

「そんなアカデミーとか学校の遠足じゃないんですから心配しすぎですよ」

 

「ああ、その逆だから余計心配してる。兵員が1人でも欠ければ成功率は大幅に下がるし武器弾薬の忘れは兵員の生存率に関わる」

 

このセンチネル級着陸船にはステーションに乗り込む第一分隊、第三分隊、第五分隊の隊員達が全員使用する銃火器や弾薬、医療キット共に乗り込んでいる。

 

残りの第二分隊と第四分隊はセンチネル級の隣に停泊するステルスシステムを搭載した2機のUウィング・スターファイターに乗り込んでおり全機ともいつでも出撃可能だった。

 

その合図のようにセンチネル級のハッチが開き固定された。

 

やがて管制室から指示が届く。

 

『攻撃チーム、全機出撃せよ。健闘を祈る』

 

それに対しブロンス曹長が答えた。

 

「こちら“ファースト・センチネル”、了解した。後続の部隊によろしく言っといてくれ」

 

通信を切り安全装置を解除する。

 

轟音を伴う風と共にセンチネル級は浮き上がり機体の“()()”が仕舞われた。

 

センチネル級は両隣のUウィングと共にどんどん浮き上がりある程度の高度に達した所で両翼が展開し3機とも大気圏の先へと進んだ。

 

静かに何人かの将兵達に見送られながら。

 

3機の輸送船はある程度の速度のまま雲が少し掛かる青空を切り進み大気圏を突破した。

 

軌道上には既に以前より見るからに大規模となったディカー駐留艦隊が待っていた。

 

MCスター・クルーザーやCR90コルベット、GR75輸送船などの艦列の間をセンチネル級とUウィングは進む。

 

「旗艦の“クレマンソー”に通信を取ってくれ。ディゴール大臣に連絡を取りたい」

 

「了解」

 

ホロプロジェクターが起動しジョーレンはプロジェクターの側へ近づく。

 

クレマンソー”側もセンチネル級らに気づいていた為かすぐに通信が繋がった。

 

薄透明の青白いプロジェクターにディゴール大臣の姿が映し出される。

 

『バスチル少佐』

 

大臣は敬礼しジョーレンとジェルマン、ノールマン大尉とバッケイン准尉も敬礼した。

 

「大臣、間も無くハイパースペースに入ります」

 

『うむ、今回の作戦は君達の肩に掛かっている。頼んだぞ』

 

「はい、それではお先に戦場で」

 

『ああ、後で行くさ』

 

再び最後の敬礼を交わし通信は途切れた。

 

腕を下ろしジョーレンは席に戻る。

 

「ジャンプ計算、全機とも終わりました。いつでもハイパースペースに入れます」

 

ヘンディー曹長の報告を受けジョーレンは最後の命令を下した。

 

「ハイパースペースへ、戦地へ向かうぞ。新共和国の旗を掲げにな」

 

ジェルマンやその場の全員が頷きレバーが倒された。

 

センチネル級がハイパースペースに突入しUウィング2機もその後に続いた。

 

新共和国再起を掲げた魁達が今敵陣へと向かったのである。

 

 

 

 

 

 

-エクスパンション・リージョン 惑星アタホックス周辺域-

三隻のアークワイテンズ級と護衛のTIEブルートを付けたゴザンティ級が九隻艦列を並べアタホックスの周辺を航行していた。

 

彼らの任務はある兵器の“()()”でありTIEブルートは全て兵器を輸送するゴザンティ級やアークワイテンズ級の護衛だった。

 

兵器の重要性上本来ならインペリアル級やヴィクトリー級のようなスター・デストロイヤーを護衛兼輸送に使うべきなのだろうが生憎兵員などの都合上そうは行かなかった。

 

それにアークワイテンズ級の機動部隊の方がコンパクトで逃げ足も早く十分な対空力もある。

 

「リージ中佐、確認した所やはり通信妨害装置のようなものはこの周辺には見当たりません」

 

ミグス少尉はパイプにもたれ掛かるアークワイテンズ級艦長のリージ中佐に報告した。

 

先程からこの輸送船団に通信障害が生じるようになりその調査を命じていたのだ。

 

「恐らくただの不調だと思いますが」

 

「そうか……少し神経質になっていただけかもな。このまま航行を続ける」

 

「了解」

 

黒い親衛隊の軍服の襟を直し中佐は立ち上がった。

 

この部隊は一応親衛隊の所属でリージ中佐もミグス少尉も他の乗組員も皆親衛隊員だった。

 

以前まではアウシュなどの収容所に“()()”を送る護送任務を請け負っていたが今回はたまたま別の任務を請け負っていた。

 

彼らの目的地はハット・スペースの親衛隊支部にある。

 

「今回の任務、失敗は出来んからな…そうしたら私は終わりだ」

 

リージ中佐はアークワイテンズ級の艦長と同時にこの部隊の責任者でもあり当然輸送任務の責任も全て中佐にあった。

 

「この周辺に新共和国や敵対勢力の報告は受けていませんが…」

 

「警告!ハイパースペースより正体不明勢力が接近中です!」

 

「何!?」

 

ミグス少尉の私見を遮りセンサー士官が焦り気味に報告する。

 

リージ中佐も顔を一気に硬らせ軍帽を握り締めた。

 

「まさか敵…!?」

 

「とにかく第一種戦闘配備だ!スターファイター隊を出して全艦対空防御に当たらせる!」

 

「間も無くジャンプアウトします!」

 

機動部隊の側面から4機の見慣れないTIEシリーズのスターファイターが出現した。

 

それから更に数秒後一隻のアークワイテンズ級が出現し主砲を左翼防衛を担当するアークワイテンズ級に向け二、三発のレーザー砲弾を放った。

 

偏向シールドの弱い友軍のアークワイテンズ級はシールドが破られ被弾し爆炎がリージ中佐達からも見えるほど吹き荒れた。

 

スラスターを蒸し敵艦は体制を整える。

 

「ファイターを急がせろ!あの敵艦を撃ち落とすんだ!」

 

リージ中佐は命令を出し全てのゴザンティ級から4機のTIEブルートが出撃する。

 

同じように同型の敵艦に主砲を向け一斉にレーザー砲を放つが通常のアークワイテンズ級よりも高速で移動する敵艦に躱され一発も当たらなかった。

 

その間に見慣れないTIEファイターはまるでXウィングのように翼を広げレーザー砲を放った。

 

4機のスターファイターは応戦に向かおうTIEブルートを2機撃破した。

 

「SフォイルのTIEファイターだと!?なんだあの機体は!」

 

リージ中佐は憤慨するがそんな事をまるで知らない敵機はTIEブルートやゴザンティ級のレーザー砲を軽々と躱し再びまた3機の友軍機を破壊する。

 

一瞬で圧倒的に数で劣る敵機に戦力の13%近くが撃破されてしまった。

 

「アークワイテンズ級の艦載機部隊も出せ!とにかく数で押し出すんだ!」

 

「中佐!」

 

「ここで撃滅して振り切るんだ!それしか道はない!」

 

アークワイテンズ級から艦載された全てのTIEインターセプターが出撃し戦闘に加わる。

 

だがそれは敵も同じだった。

 

敵艦からも明らかに8機以上のTIEファイターが出撃していた。

 

「あの敵艦、一体どういうことなのだ。こちらのアークワイテンズ級よりも高速で艦載能力が高いぞ」

 

「改造艦なのでしょうか」

 

「どうなのだ、技術士官」

 

リージ中佐はブリッジに駐在している技術士官に尋ねた。

 

モニターを凝視していた技術士官は首だけ振り返り2人に返答した。

 

「あれは艦船改造計画の546級計画で船体改造を施されたクラス546タイプのアークワイテンズ級です。機動力はこの艦の二、三倍に匹敵するかと」

 

「564級計画だと……?まさかあの艦は…!ぐッ…!」

 

リージ中佐はブリッジの近くで爆発四散した友軍機の爆光から目を守った。

 

既に9機近くの友軍機が撃墜され15:4という圧倒的優位な状況なのにも関わらず味方のスターファイター隊はボロボロの状態だった。

 

「味方艦の何隻かがイオン攻撃を受けブリッジなど一部機能が麻痺しています」

 

「また1機撃墜されました。スターファイター隊の損耗率は既に22%近くに達しています!」

 

「まさか相手はあの“()()()()()()()()()”とはな…!全火力を敵の546クルーザーに向けろ!連中の目的は恐らくこの“()()”だ、絶対に生かして返すな!」

 

敵機を追う襲撃者の特殊なスターファイターは一気に3機の編隊を撃破し発艦したTIEファイターもその陰に隠れて1機のTIEインターセプターを撃破する。

 

なんとか背後を取ろうと攻撃を加えるTIEブルート2機もすぐに敵機に引き離され上空からレーザー砲を叩き込まれ死に追い込まれた。

 

常道を逸脱した動きを見せるスターファイターに翻弄されまた2機撃墜されその間に真正面から迫る別のスターファイターに幾つかの変態が突破される。

 

この一瞬のうちにまた10機のTIEブルートとTIEインターセプターが撃破された。

 

「損耗率44%を突破しました!もう半数近くが撃破されています!」

 

「このままでは…!」

 

「敵機は恐らくストーム・コマンドー用のTIEハンターです!並みのTIEファイターでは太刀打ちできません!」

 

「ならばどうすれば…!」

 

「敵機本艦に接近してきています!」

 

「何!?うわっ!」

 

アークワイテンズ級に急接近したTIEハンターと思われる機体は両翼から青白いレーザー弾を放ちリージ中佐達が籠るブリッジに直撃させた。

 

高出力のイオン砲だ。

 

ブリッジの回路やシステムがダウンし青白いスパークや光が現れ殺傷用の実弾よりも深刻な被害に見舞われた。

 

「復旧急がせろ!早くしないと…」

 

ガコンという何かが外れる音がアークワイテンズ級の船体の隅々からブリッジの先まで聞こえた。

 

リージ中佐やミグス少尉の額から冷や汗が垂れ流れ瞳孔がしっかりと開いている。

 

「まさか…“()()”が……」

 

「そんな馬鹿な…あれは独立システムを使っているからブリッジのシステムが落ちた所で突然起動する事は……“()()()()()()()()()()()()”」

 

中佐の結論はブリッジの乗組員全員を恐怖で押し固めた。

 

焦ったリージ中佐は急いで部下に命令を出す。

 

「はっ早くブリッジのシステムを復旧しろ!!急いで衛兵を警備に当たらせて非常事態に備えるんだ!!」

 

「りょっ了解!!」

 

ブリッジの乗組員達が大急ぎで復旧作業に当たりリージ中佐達は非常用の通信機を装着し他の艦と連絡を取り始めた。

 

「各艦状況を報告しろ!どうなっている!?」

 

リージ中佐の問いに一番最初に応答したのは彼のアークワイテンズ級の背後に控えるゴザンティ級の艦長からだった。

 

それも最悪の報告と共に。

 

『中佐助けて下さい!!現在暴走した“ダーク・トルーパー”に襲撃されもう長く持ちません!!このままでは全滅してしまいます!!』

 

「やはり…今すぐ艦を捨てろ!逃げるんだ!」

 

『もうダメです!!うわっ!あぁーッ!!』

 

絶叫の断末魔と共にブツリと通信は途切れリージ中佐の顔は絶望に満ち溢れた。

 

それは別の艦と通信を取っていたミグス少尉も同様だ。

 

「中佐……右翼護衛のゴザンティ級も……」

 

その積荷、ダーク・トルーパーのハッキングは輸送船団全てで同時に行われていた。

 

襲撃者に操られたダーク・トルーパー達は次々と船団を構成するゴザンティ級やアークワイテンズ級の乗組員を襲い船を乗っ取っていた。

 

既に三隻のゴザンティ級は完全に占拠され他のゴザンティ級ももう長く持たないだろう。

 

下手すれば護衛のアークワイテンズ級すらも……。

 

そんな彼らに更に最悪の不幸が訪れる。

 

「中佐!両艦のゴザンティ級が本艦にドッキングしようと接近してきています!」

 

「なんだと!?封鎖しろ!!絶対に近づけさせるな!!輸送艦の破壊も許可する!!」

 

「ですがまだ艦内通信が回復していません!」

 

「ええいなら私が直接命令を出す!!」

 

「中佐自らが!?」

 

混乱したリージ中佐は今にでも走り出しそうな勢いでズンズンとブリッジを出ようとした。

 

彼がドアの前に一歩足を出す前にドアは突然開いた。

 

リージ中佐はドアの前に立つ“()()”を見上げる。

 

全身を黒色の装甲で固め真紅のゴーグルアイを備えた無機質な機械の身体。

 

リージ中佐が、ブリッジの乗組員達が最期に見た光景は“()()”にブラスターを向けられ一斉掃射される瞬間だった。

 

人の気配を失った輸送船団はまるで亡霊のように先頭を進む546級のアークワイテンズ級司令クルーザーに続いている。

 

護衛TIE部隊も殆どがTIE/HUハンター・マルチ=ロール・スターファイター、通称TIEハンターにより殲滅された。

 

宙を行くTIEファイターは全て襲撃者達のTIEファイターで船団の乗組員同様護衛部隊に生存者など誰1人存在する事はなかった。

 

血塗られた船団の行先は一体どこなのだろうか。

 

()()()()()”、それとも……。

 

行き先不明の艦隊はハイパースペースへと忽然と姿を消した。

 

 

 

 

 

 

-大セスウェナ セスウェナ宙域 惑星セスウェナ 新造船所-

「えっ!?ほんとに艦船の建造再開するんですか!?」

 

モッティ提督はヘルムートの命令に大いに驚いた。

 

声を上げ他の将校達に静かにしろと睨まれている。

 

ヘルムートは大きく頷き宇宙軍将校達に話を始めた。

 

「既に第三帝国からの許可は取っている。表向きの理由としては“()()()()()()()()()()()()()()()”だ。まあ詭弁に過ぎないのだがな」

 

「解体したスターホークやMCクルーザーを流用して艦船を建造します。このセスウェナの造船所なら可能でしょう」

 

ザーラ司令官はヘルムートに続いてそう伝えた。

 

他の宇宙軍将校達は納得しつつも唸り声を上げていた。

 

「確かに“()()()()()()()”という意味では私も賛成ですが…」

 

モッティ提督は賛成を示したが「でもなぁ」とまだ迷い気味だった。

 

「私はセスウェナを守る為、ヘルムート殿がそう決断されたのならそれに従います」

 

「ありがとうクリフ、トレークスはどう思う?」

 

クリフォード・プラージ宇宙軍准将はヘルムートに大きく賛同を示した。

 

彼はあの超名門プラージ家の人物で共和国軍で活躍したコリン・プラージ大佐は501軍団のナードニス・プラージ中佐に憧れて帝国軍に入隊した。

 

エンドア戦前に中佐に昇進したクリフォードはグラディエーター級の機動部隊を率いていたのだが戦後所属の宙域が軍将化し帰る場所を失ってしまった。

 

その為彼は親類である当時リチオ・モッティ准将の伝を辿って当時の大セスウェナに亡命した。

 

プラージ家とモッティ家は遠い昔に婚姻関係を成しており同じく婚姻を成すターキン家のヘルムートからも暖かく歓迎された。

 

彼は亡命時の功績を讃えられ大佐に昇進し先のホズニアン陥落の混乱期には先遣隊として手早く周辺の新共和国軍を撃破した事により准将に昇進した。

 

そしてトレークスというのは同じく宇宙軍のトレークス・デルヴァードス少将の事だ。

 

彼はこないだ志半ばで粛清されたサンダー・デルヴァードス将軍のいとこでありエンドア戦後初期は彼の下で機動部隊を率いていた。

 

しかし立場に驕れ帝国から半ば離反し剰えセスウェナの権利を乗っ取ろうとするいとこに見切りを付けたトレークスは麾下部隊と有志の兵を集めプラージ准将と同じく大セスウェナに亡命した。

 

婚姻で親族となったサンダーよりもセスウェナを守る愛の強いトレークスはとても頼りになる存在だった。

 

「第三帝国が認めたのならもはや心配するものは何もありません。我々で好きにやってしまいましょう」

 

「そうだな、爺様はどうお考えですか?」

 

ヘルムートは軍服を着ていない白い髭と荒くれた格好の年配の男性に声を掛けた。

 

彼こそがターキン家の中である意味最強であり最も変わり者である“ジョヴァ・ターキン”である。

 

ターキン家にはある年齢に達すると一族に伝わる様々な困難を乗り越える為の試練にエリアドゥのキャリオン・プラトーと呼ばれる危険な荒野へ連れて行かれた。

 

当然ヘルムートもその試練をこなして今の姿があるしそれは故グランドモフウィルハフ・ターキンも同様であった。

 

今の所生きているターキン家のメンバーは全員この試練を乗り越えている。

 

ジョヴァはその中でもかなりの異端児でキャリオン・プラトーでの試練を乗り越えた後彼はそのままキャリオンに残り住み続けた。

 

やがて産まれ出るターキンの子たちのキャリオンでの試練の導き手となるように。

 

そうして彼は長い間その役割を担い続けていた。

 

ヘルムートだけでなくウィルハフにも、ウィルハフやヘルムートの父達にもだ。

 

そのお陰なのか分からないが彼はあり得ないほど長生きをしており今でもウィルハフに試練を与えていた頃とまるで変わらない姿だった。

 

洞察力や戦闘力は衰えるなくむしろ年数を重ねる毎により強くなっている気がする。

 

そんなジョヴァもエンドア後の混乱期に当時まだ幼いヘルムートを助ける為にキャリオンから戻ってきた。

 

ジョヴァはまた別のターキン家の人物であるエルデスト・ターキン上級将軍と共に大セスウェナ連邦から今に至るまでヘルムートを支え続けてきた。

 

その為ヘルムートは2人にとても感謝しておりジョヴァの事を爺様と呼び、エルデストの事はおじ上と呼んでいた。

 

「私はお前が成すべき事だと思うなら賛成するぞ。法のない所に法を作る、その為には確かに必要な事だ」

 

「じさまにそう言われたら敵いませんよ……分かりました!私も全力で賛成し全力で守り抜きましょう!」

 

「そうか、ならリチオ、造船所の監督と防衛は任せた。フォート総督と共に頼んだぞ」

 

「えっ」

 

「私もリチオ殿なら安心です」

 

「えっ」

 

ヘルムートに続きプラージ准将も賛同した。

 

デルヴァードス少将も何度も頷いている。

 

ザーラ司令官も「頼みましたよ」と一言言い放ち、ジョヴァに至っては何故かニコニコしていた。

 

「嘘だぁ」

 

「フフ、さて…あなたならどうする。大伯父上」

 

ヘルムートは天を見つめウィルハフの姿を思い浮かべた。

 

大伯父ならすぐに最適を見つけられただろうか。

 

この暗闇のような未来に正しい選択を成すことが出来るのだろうか。

 

自分自身は分からない、だから導いて欲しい。

 

仮にそこにいなくとも、自分の選択に後悔しない為に。

 

 

 

 

 

 

 

-エクスパンション・リージョン 惑星アウシュ 総督府-

ハイドレーヒ大将とフリシュタイン大佐はこの地でファースト・オーダーと第三帝国の同盟の話を聞いた。

 

彼らはアウシュの収容所の視察を行なっていた為そちらの会合には参加出来なかったのだ。

 

本来なら後一週間は滞在する予定だったが急遽予定を変更して後1日で帰還する事となった。

 

「良いではありませんか。同盟が締結し帝国軍の戦力の一部が戻ってくるなら我々とて害ばかりではありません。むしろ治安維持向上にもつながるでしょう」

 

フリシュタイン大佐は親衛隊保安局長官の専用室でハイドレーヒ大将に感想を述べた。

 

だが大佐と違いハイドレーヒ大将はあまり乗り気ではなかった。

 

「だがな大佐、彼らが国防軍にいるようなこの平和への最終的解決の重要さを理解出来ないような連中ばかりだったらどうする?横割り食って我々が積み上げてきたものが全て無駄になったら」

 

「そうならないよう全力を尽くす他ありません。それに連中とて下手な行動は出してこないでしょう。何より総統が許しません」

 

ハイドレーヒ大将の心配事にフリシュタイン大佐はそう付け加え安心させようとした。

 

だがハイドレーヒ大将はまだ納得していない様子だった。

 

「あのおいぼれに期待しなければならん事が屈辱だな」

 

「あのおいぼれってまさか総統閣下のことですか?聞かれたら大変な事になりますよ」

 

「心配するなフリシュタイン、私の行く先にそのような心配はない。だが問題は…」

 

『失礼します。閣下にお会いしたい人物をお連れしました』

 

室内に取り付けられたインターフォンが起動し親衛隊保安局員の1人が映し出された。

 

当然見えるのはこちら側のみであり向こうに映し出されるのはハイドレーヒ大将の声のみだ。

 

「よし、通せ」

 

『はい』

 

ドアが開き帝国軍の緑色の軍服を着た1人の将軍が部屋の中に入ってきた。

 

「お連れしました。では失礼します」

 

「ご苦労様です」

 

保安局員は敬礼し室内を後にした。

 

長官専用室にはハイドレーヒ大将とフリシュタイン大佐と目の前の将軍1人のみとなった。

 

さほど緊張感のない中ハイドレーヒ大将は口を開く。

 

「さて、国防軍での生活はどうですか、ヘス将軍」

 

帝国国防地上軍のヴァリン・ヘス将軍はニヤリと小さく微笑を浮かべた。

 

彼は先日まで惑星モラックの帝国残存勢力の指揮官の1人として過ごしていた。

 

しかしフリシュタイン大佐とディールス元長官により流された親衛隊保安局のスパイにより第三帝国へ帰化した将軍の1人だった。

 

尤も帰化しなかった連中からすればヘス将軍は過去の事も併せて「バーニン・コンの愚か者」と呼ばれていたが。

 

そんなヘス将軍が口を開いた。

 

「モラックより全然快適ですよ。再び帝国の為に戦える事は私の誇りです」

 

「それは良かった。私はフリシュタイン大佐としても喜ばしい限りだ」

 

大佐は微笑を浮かべヘス将軍も同じように返していた。

 

「それで、私がここに呼ばれた理由はなんです?」

 

ヘス将軍は単刀直入に尋ねた。

 

時間がない訳ではないがこれ以上の無駄話は必要ではないと言う事だろう。

 

ハイドレーヒ大将も率直に問いを入れた。

 

「この施設を、この収容所を見て将軍、何を感じましたか」

 

それはあまりに率直過ぎる問いだった。

 

この施設の重要性が理解出来るか否か、とても簡単な選別だ。

 

間違えればそれまで、ハイドレーヒ大将の望み通り答えればどうなるのか。

 

様々な可能性がある中ヘス将軍はハイドレーヒ大将にとっての最適解を選び抜いた。

 

「この銀河の治安を維持する為には重要な施設だと私は思います。人道だなんだと囚われていてはあの新共和国の二の舞でしょう」

 

「大義を成す為には小さな犠牲でしょう」とヘス将軍は続けた。

 

ハイドレーヒ大将はその解答に見るからに満足していた。

 

それはフリシュタイン大佐も同様だ。

 

「成る程、なら今この場で私がこのアウシュの指揮をあなたに託すと言ったら?」

 

「喜んでお受けしましょう。大いなる帝国の善の為ならば是非とも」

 

ヘス将軍の笑みが広がった。

 

だがそれはハイドレーヒ大将も同じだ。

 

大将は立ち上がりヘス将軍の方へ近づいた。

 

右手を差し出し手袋を脱いだヘス将軍の手と握手を交わした。

 

「おめでとうヘス“()()”。今日からここの部隊は君の配下だ。親衛隊とは恐怖と戦慄の混合による治安秩序の維持の為のもの。その名に恥じない働き、期待している」

 

力強い期待を込めた握手の想いはヘス将軍にも十分伝わっていた。

 

今新たにヘイス中佐と並びここにヴァリン・ヘスアウシュ収容所所長が誕生する事となった。

 

 

 

 

 

 

 

「大臣、全部隊ジャンプ用意整いました」

 

MC80スター・クルーザー“クレマンソー”のリジック艦長はディゴール大臣に報告した。

 

すぐ前をミレニアム・ファルコンとスカイウォーカー将軍のXウィングがスターファイター中隊を引き連れて通り過ぎていった。

 

周囲にはMC80やMC75、スターホーク級やCR90コルベット、ネビュロンBフリゲートなど戦闘艦が集結している。

 

ディカーに駐留する艦隊のほぼ全軍だ。

 

この攻撃艦隊は皆イセノに向かう為準備が整えられ報告通りハイパースペースへの座標計算が完了している。

 

「スターファイター隊は」

 

「同様です、全機大臣の指示を待っております」

 

「そうか…それでは議員、行って入ります」

 

ディゴール大臣とリジック艦長達はホログラムで浮かび上がるレイアやガー議員、セルヴェント大臣に敬礼した。

 

『頼みましたよ、ディゴール大臣』

 

『死ぬなよ』

 

『後は任せた』

 

「はい、それでは」

 

レイア達は頷きホログラムが切れた。

 

いよいよ戦いに向かう時が来たのだ。

 

先に向かったバスチル少佐達は上手く潜入しているだろうか。

 

いや、余計なことは考えるな。

 

成功していると確信し毅然とした態度で向かわねばならない。

 

大臣はアームレストの通信機を取り軌道上の全部隊に通信を入れた。

 

「諸君、我々は今より惑星イセノ、帝国領に突撃する。これは新共和国再興を賭けた重要な一戦となるだろう。抵抗の火を絶やさぬために」

 

響く通信は艦船からスターファイター、ディカーの地上基地にも伝わっていた。

 

皆真剣に大臣の声に耳を傾け頷いている。

 

それはAウィングに乗り込むヴィレジコフ中尉もそうだった。

 

ぎゅっと操縦桿を握り締めディゴール大臣の発言一つ一つを漏らさず聞いていた。

 

息を吐き肩の力を抜く。

 

「待ってろよ…帝国のクソ野郎ども…」

 

ヴィレジコフ中尉の一言と共にディゴール大臣は戦地へ向かう為の最後の指示を出した。

 

「フォースが共に我らは前進する。前隊!ハイパースペースへ!」

 

最後の一言と共に新共和国スターファイター隊は、新共和国艦隊はハイパースペースへと入った。

 

ミレニアム・ファルコンを先頭に敵のど真ん中へと進んでいく。

 

目標、惑星イセノ通信ステーション。

 

抵抗の火を銀河に広める為に、希望を絶やさぬ為に。

 

 

「フォースと共にあらんことを」

 

 

 

戦いはいよいよ次のステージに向かおうとしていた。

 

 

 

つづく




キャナディ「キャナディとー」
ピーヴィー「ピーヴィーのー」
2人『FO艦長ズトークー』

キャナディ「で、これは一体何をすればいいんですか?」
ピーヴィー「分からんがまあとりあえずブレンドルの悪口を言っていけばいいだろう」
キャナディ「いいんですかそんなことして?」
ピーヴィー「どうせ30ABYぐらいには確定で死ぬんだからべつn…」
キャナディ「あーあーメタいメターいー!」

ピーヴィー「それはそれとして次の回も出番あるのかな」
キャナディ「そこになければないんじゃないですかね」



???「スパイスですわ!!!」
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