第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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「第二次銀河内戦とは、第一次銀河内戦とは違い長期にわたる大規模戦でその犠牲者数は比べ物にならない。しかし一つ言えることは、第二次銀河内戦の方が第一次銀河内戦と比較してより“狂気的”なものだったということだ」
-ヴォレン・ナルの歴史書より抜粋-


レジスタンス

-帝国領 インナー・リム 惑星イセノ 軌道上通信ステーション-

1機のセンチネル級がハイパースペースから出現しイセノの軌道上の通信ステーションに近づいた。

 

この手のステーションは珍しくなく惑星エレッセスでは同様のステーションが観測施設として使用されていた。

 

ステーションの周囲にはイセノ本星とステーション、ハイパースペース・レーンを守る帝国艦隊が配備されている。

 

インペリアル級が目で見ただけでも五、六隻、少なくとも一個小艦隊ほどは配備されておりヴィクトリー級やアークワイテンズ級なども合わせれば数十隻以上は確実に存在しているだろう。

 

しかしこれでも相当数が減った方だ。

 

本来このイセノだけでもコロニーズへの玄関口として二十一隻、二十四隻近くのインペリアル級が配備されておりその他の軍艦も百隻以上は確実に置かれていた。

 

だが度重なる新共和国軍の不可解な奇襲攻撃によりインペリアル級一個小艦隊を残して殆どが奇襲地点警備の為に出撃した。

 

その為、イセノの守りは比較的手薄な状態となっていた。

 

通信ステーション司令部からセンチネル急に通信が送られた。

 

『センチネル、現在こちらは六番ベイが正体不明の爆発を受け離着陸が出来なくなっている。すまないが現行コースのまま一番ベイまで向かってくれ』

 

よく見ると合うテーションから小さく明るい光が噴き上がっていた。

 

恐らくそれが件の爆発だろう。

 

センチネル級の船長は気にする様子もなく返答した。

 

「分かった、本機は直ちに一番ベイへ進路を取る」

 

『本当にすまない…一番ベイに送れる人員はかなり少なくなるが…』

 

「構わないさ、むしろそちらの方が大変だろう。こちらは積荷の運搬用ドロイドさえいれば何とかなる。爆発ベイに人員を成る可く回してやってくれ」

 

『何から何まですまない…ドロイドを送っておく。気をつけてくれ』

 

「了解……それと、“()()()()()()”」

 

通信が切れた途端船長はそうシニカルな笑みを浮かべパイロット達に一番ベイへ向かうよう指示を出した。

 

センチネル級は航路を維持したまま一番ベイへ近づいた。

 

ハンガーベイの偏向シールドはセンチネル級も通り抜けられるレベルですぐに着陸出来た。

 

四脚が開き両翼が畳まれる。

 

プシューッという大きな音と共に白い蒸気を放ち完全に着陸した。

 

何体かのドロイドを引き連れた1人の将校と2人の下士官がセンチネル級に近づいた。

 

「積荷の運搬を手伝いに来たぞ」

 

真ん中の将校がセンチネル級に声を掛けるが応答がない。

 

それどころかハッチが開き昇降ランプが現れる事すらなかった。

 

不思議がった将校はゆっくりとセンチネル級に近づく。

 

すると突然センチネル級から拡声器を用いて周囲に警告を促した。

 

『離れろ!!イオン・インプローダーが作動する!!』

 

「何!?」

 

船員の警告虚しく下船部から青白い光が大きなスパークと共に噴き出し周囲の運搬用ドロイドや監視システム、自爆機器やら全てを巻き込み機能停止に追い込んだ。

 

将校と下士官2名もスパークに巻き込まれ気絶或いはショック死した。

 

ハンガーベイのシステム停止により非常用の赤いランプが照らされたが1分も経たないうちにランプは元の状態に戻った。

 

やがて沈黙し続けていたセンチネル級のハッチが開き親衛隊員でも国防軍人でもない誰かが降り立ってくる。

 

皆A300やA310などのブラスター・ライフルを所有しておりかなり重装備のはずなのだが足音一つ立てず移動していた。

 

「クリア」

 

誰ががそう言うと皆耳に手を当て命令を聞いていた。

 

やがて何人かが纏まって行動し始めドア前に人が集まっていた。

 

「何を……する……つもりだ……」

 

朦朧とする意識の中将校は懸命に口を開いた。

 

だがそれが仇となった。

 

その僅かな言葉で生きている事が気づかれてしまったのだ。

 

静かに将校の後頭部にブラスター・ピストルを突きつけ船長を名乗っていた男は一言冷たく呟いた。

 

「寝ていてくれれば楽だったんだがな」

 

引き金の音と共に将校は斃れ男はブラスター・ピストルをホルスターにしまい命令を出す。

 

「各分隊作戦行動を開始せよ。我々は攻撃地点に向かう」

 

『了解、バスチル少佐』

 

「さて行くぞジェルマン、それと情報部のみんな」

 

ブラスター・ライフルに持ち替えるジョーレンは背後に控えていたジェルマンや数名の情報部員、第一分隊がジョーレンの後に続いた。

 

ジョーレンを先頭にジェルマン、ノールマン大尉、バッケイン准尉、ヘンディー曹長、ブロンス曹長達が続く。

 

ここは勝手知ったる帝国の通信ステーションだ。

 

当然ステーション中にストームトルーパーや宇宙軍トルーパー、下士官将校がうじゃうじゃいる。

 

彼らを掻い潜りジェルマン達は攻撃地点に向かわなければならない。

 

ハンガーベイを抜け一行はステーションの通路を進んだ。

 

敵はこちらに気づいていない為大規模な部隊と出会う事は早々なかった。

 

だが2、3名のストームトルーパーや宇宙軍トルーパーとはすれ違う事があった。

 

ギリギリのタイミングでジョーレンが合図を出し毎回事なきを得たがそう何度も同じ手が通用する事はなかった。

 

曲がり角を曲がった瞬間2名のストームトルーパーと1名の下士官と行き合ってしまった。

 

もう回避する事は当然不可能だった。

 

下士官が口を開きストームトルーパー達がブラスター・ライフルを向けようとする。

 

「おいなんだ貴様ら……」

 

しかし下士官は最期まで脅しを言い切る事なく、ストームトルーパーは発砲する事なくバタリと斃れた。

 

後ろを見ればジェルマンがブラスター・ピストルを構えていた。

 

ジョーレンはホッと安堵の一息を吐き微笑を浮かべた。

 

「サプレッサーってのは案外便利なもんだね」

 

「ああ、ナイス判断だ」

 

隊員達が死体を物陰に運んでいる中ジェルマンの行動を褒め称えジョーレンは軽く肩を叩いた。

 

あのような早撃ちは早々出来るものではない。

 

どんどん優秀な兵士に育っていっている気がした。

 

「さて、行くぞ」

 

再び分隊は前に進んだ。

 

足取り速く静かに、緊張的に。

 

作戦を成功させ抵抗の証を打ち付ける、ただそれだけの為に。

 

彼らの原動力はそれだけで十分だった。

 

「前方に宇宙軍トルーパー確認…!数は3…!」

 

ブロンス曹長が発見した敵兵を報告しジョーレンが命令を出す。

 

「時間がない…!俺とノールマンとバッケインでやる…!一気に片付けるぞ!」

 

「了解…!」

 

「イエッサー…!」

 

3人は他の隊員達よりも素早く動き敵の宇宙軍トルーパーの背後を捕らえた。

 

ジョーレンは素早く宇宙軍トルーパーの首の骨を折り他の2人もそれぞれ息の根を止めた。

 

そのまま地面に倒し進む第一分隊に戻った。

 

そのまま最短コースを進み目的の場所に辿り着いた。

 

ドアの前に座り込むジェルマンが簡易端末をソケットに挿しモニターをタップしていた。

 

「解除コードを送信、開くぞ」

 

直後ドアがが開き全員が室内に入った。

 

この通信ステーションの中で最も安全で最も司令ステーションに近い場所、第三会議室だ。

 

ステーション内の中級将校がよく使う会議室で上級将校は滅多に訪れず警備なども比較的薄い場所だった。

 

「少佐、どうですか本隊の方は」

 

ノールマン大尉はジョーレンに尋ねた。

 

他の分隊員や情報部員は皆ブラスター・ライフルを構え周囲を警戒しておりジョーレンに近寄ってきたのはジェルマンと大尉だけだった。

 

ジョーレンはガントレットの時計の時間を“6:18”という数字に合わせスイッチを押した。

 

するとホログラムが浮き上がり古代文字のコレマイクでこう書かれていた。

 

“諸君らは孤独ではない”と。

 

この一文がジェルマンやジョーレン達を大いに安堵させた。

 

「第二、第四、ボムの設置はどうなっている?」

 

ガントレットの特殊回線通信機を用いてUウィングの第二分隊と第四分隊に尋ねた。

 

向こうからも素早く返答が来る。

 

『後少しです、そっちは?』

 

「所定位置に着いた、そろそろ来るぞ…御旗掲げた本体が…!」

 

 

 

 

 

 

ハイパースペースの青白いトンネルを進む新共和国艦隊とスターファイター隊がいよいよ目的地に着こうとしていた。

 

先頭を進むのは当然ミレニアム・ファルコンやルークのXウィングといった部隊長機ばかりでその後を何十機ものスターファイターが続いていた。

 

「間も無くハイパースペースを抜けるぞ」

 

ハンの冷ややかな報告はヴィレジコフ上級中尉やスターファイター隊の全員を数秒緊張させた。

 

いよいよ戦いが始まる、そう言った緊張だ。

 

しかしそれはファルコン号の中でも同様だった。

 

チューバッカが心配そうにハンに尋ねた。

 

「本当に大丈夫かな…」とこの大きなウーキーは不安がっていた。

 

そんなチューバッカをハンは優しく宥める。

 

「大丈夫、そう心配する事はない。本当にヤバかった時なんてもっとあった」

 

そう、ハンもチューバッカもこの船も何度危険な目に遭った事やら。

 

ファルコン号の新しいアンテナがそれを物語っていた。

 

「さあていよいよだ…!」

 

「フォースと共にあってくれよ俺…!」

 

Aウィングの中でフォースの祈るヴィレジコフ中尉の目の前にハイパースペースのトンネルではない景色が訪れた。

 

惑星イセノとうざったい帝国軍のステーションや艦隊、広大な宇宙がコックピットの外に広がっていた。

 

既に通信ステーションの一区画からは爆発の光と火災が吹き出し広がりつつある。

 

きっと先行したジェルマンやジョーレン達特殊部隊の最初の戦果だろう。

 

帝国の連中さえいなければいい景色なんだがなとヴィレジコフ中尉は鼻で笑った。

 

元々宇宙に憧れてパイロットになったんだ、宇宙の邪魔でしかない帝国軍なんてうざったい以外の何者でもない。

 

()()”さえあれば遠い昔に反乱同盟の時代からAウィング乗りだったはずだ。

 

ただその“()()”がないから仕方なく故郷の惑星防衛軍に入った。

 

そこからしばらく遅れて軍の代表として新共和国軍に出向しそこでようやく帝国軍と戦えた。

 

戦争が終わった後もヴィレジコフ中尉は惑星防衛軍には戻らなかった。

 

ここの方が何か役に立てる気がするから。

 

だがそれは間違いじゃなかった。

 

何故なら今こうして再び帝国軍と戦えているのだから。

 

先程とは一点シニカルな笑みを浮かべヴィレジコフ上級中尉は操縦桿をしっきり握り締め中隊長の後に続いた。

 

「ソード中隊!戦果を挙げて帰る!待ってろよ帝国軍ども!」

 

ヴィレジコフ上級中尉のAウィングは既に敵を捕捉していた。

 

当然その光景は通信ステーションの方でも補足されていた。

 

ステーションに幾つかの爆発が生じその対応に追われている頃に突然の奇襲だった。

 

ステーションブリッジの士官も酷く混乱している。

 

それは単純な報告にも表れていた。

 

「司令官閣下!!新共和国のスターファイターが!艦隊が!」

 

若い親衛隊士官が顔を硬らせ落ち着きのない様子でステーション司令官のフレント司令官に報告した。

 

既に爆発の対応により将校や下士官兵がブリッジを右往左往している。

 

フレント司令官自身も落ち着きを失いつつあった。

 

「狼狽えるな少尉!爆発区画を閉鎖しろ!これ以上引火を防ぐんだ!それと周辺区画にストームトルーパー、宇宙軍トルーパー隊を展開!この攻撃はスターファイター隊ではない!くっ!」

 

既に新共和国軍のスターファイター隊による爆撃と艦隊の砲撃が始まっており再びブリッジやステーション全体に大きな振動が触れ渡った。

 

YウィングやBウィングの編隊が爆撃を敢行し周囲を警戒していたアークワイテンズ級を一隻大破轟沈に追い込んだ。

 

ヴィレジコフ上級中尉の編隊もアークワイテンズ級から発艦したTIEブルートの3機とパトロールのTIEインターセプター3機を撃墜した。

 

他の中隊機もステーションの対空砲網を潰し哨戒機も片付けていった。

 

『いい調子だぞソード2!』

 

ソードリーダーのコーラン少佐はヴィレジコフ上級中尉の腕前を高評した。

 

彼はYウィングながらも高速のTIEインターセプターなどを軽々と撃墜出来るかなりのベテランだ。

 

2機のXウィングと編隊を組み確実に爆撃を遂行していく。

 

「ソードリーダー、前方よりレイダー急二隻接近。爆撃を頼みます」

 

『確認した、我がソード中隊とレイジー中隊で確実に仕留めるぞ。スカイウォーカー将軍、ソロ将軍、撹乱を頼みます』

 

『了解』

 

『了解』

 

数十機のXウィングやAウィングYウィングが集結しレイダー級とレイダー級を取り囲むTIEインターセプター部隊に掛かって行った。

 

ミレニアム・ファルコンとルークのXウィングが先行し攻撃を掻い潜り敵機を撃破していく。

 

正にその動きは鬼神といった働きで背後の隙を取らせず次々とTIEインターセプターを撃破していった。

 

特にルークの操縦技術は並みのエースパイロットの技量を遥かに超えまるで相手の動きを先に察知しているようだった。

 

攻撃が来る前に一撃を叩き込み敵機が回避する向きに直接全翼のレーザー砲を撃ち当てる。

 

誰もルークの攻撃を回避し反撃する事は出来なかった。

 

『上級中尉、我々は右のレイダー級をやるぞ!君の編隊は先行して敵の砲塔を破壊してくれ、出来るか?』

 

コーラン少佐はヴィレジコフ上級中尉に尋ねた。

 

上級中尉はすぐ頷き答える。

 

「了解!ソード6、ソード7、先行するぞ!」

 

『イエッサー!』

 

『了解!!』

 

3機のAウィングがレーザー砲やTIEインターセプターの大群を避けながらレイダー級に接近する。

 

重レーザー砲やターボレーザー砲を放ち接近するヴィレジコフ上級中尉らの編隊を撃滅しようとしていた。

 

「ジャマーを使う。各機震盪ミサイルを発射する時は追尾を使うなよ!」

 

『おまかせあれ!!』

 

ソード7の返答と共に攻撃が始まった。

 

シールド内部に突入し砲塔に直接レーザー砲を撃ち当てる。

 

3機のAウィングの攻撃を受けた砲塔は次々と破壊され震盪ミサイル発射管もヴィレジコフ上級中尉のAウィングのジャミング機能により殆ど発射されなかった。

 

『震盪ミサイル発射します!』

 

「わかったソード6、俺たちも続くぞ!」

 

『了解!』

 

ソード6が真っ先にレイダー級のブリッジ近くに震盪ミサイルを放ち他の2機もそれに続いた。

 

過度の攻撃を喰らったレイダー級は偏向シールド発生装置が損傷し船体を覆う偏向シールドが剥がれ始めた。

 

「ソードリーダー、敵の偏向シールドまで撃破出来ました!」

 

上級中尉はコーラン少佐に誇らしげに報告する。

 

『すごいぞソード2!我々も弾頭を通常のプロトン魚雷とミサイルに切り替えろ。上級中尉がよくやってくれた!』

 

喜ぶコーラン少佐達の攻撃がついに始まった。

 

隣のレイダー級は既に先行したレイジー中隊が1機のYウィングの犠牲を出しながらもレイダー級を撃沈に追い込んだ。

 

今度はソード中隊の番だ。

 

全機震盪ミサイルやプロトン魚雷を放ちレイダー級に更に致命的な損傷を与えていく。

 

武装をほぼ破壊され丸裸となったレイダー級は防御する事すら出来ずソード12が大破炎上するレイダー級から離れる頃には既に轟沈まで差し掛かっていた。

 

『二隻撃破確認!ノーマルオペレーションに戻る!』

 

『いえ隊長殿!前方から更に三隻の艦船を確認!アークワイテンズ級とグラディエーター級です!』

 

ソード8の報告はヴィレジコフ上級中尉を敵艦隊の方へ振り向かせた。

 

その報告通り数十機のスターファイターと共に小戦隊がこちらへ向かっていた。

 

『流石にあれをスターファイターだけで捌くのは難しいぞ!どうする!』

 

『我々に任せろ!』

 

コーラン少佐の苦渋の声を覆すようにMC80“クレマンソー”のリジック艦長から通信が届いた。

 

直後スターファイターの頭上を赤色のターボレーザー弾が何十発も飛び交い接近するアークワイテンズ級二隻とグラディエーター級をすぐさま撃沈させた。

 

あれだけのターボレーザー砲を全て着弾させるとは、艦隊の砲手達はどれだけ優秀なのだろう。

 

他の部隊同様凄まじい訓練を行ったに違いない。

 

「敵艦撃破確認!」

 

『いい腕だ“クレマンソー”!』

 

『そちらばかり手柄を取らせる訳にはいかないのでな』

 

リジック艦長は通信機越しだったが間違いなくニヒルな笑みを浮かべているだろう。

 

ヴィレジコフ上級中尉も負けじと再び2機のTIEブルートを単機で撃破した。

 

『大臣、見てみろ。ようやくスター・デストロイヤーどもが食いついて来やがった!』

 

ハンの報告は艦隊やスターファイター隊の目線を奪うに十分だった。

 

イセノ側からインペリアル級が六隻ほぼ全てこちらに接近しているのが分かる。

 

それだけではなく護衛のアークワイテンズ級やヴィクトリー級、グラディエーター級ら全てもステーションの方に迫っていた。

 

ディゴール大臣は冷静に指揮を飛ばす。

 

『分かっている、全艦防御陣形!全て作戦通りだ。タイミングがいいぞ』

 

艦隊が陣形を整えスターファイター隊も同様に再び態勢を立て直す。

 

MC75装甲クルーザーを先頭に艦列を組み対インペリアル級の防御陣形を作った。

 

その間にもインペリアル級の砲門が新共和国艦隊の方向を向きいつでも砲撃出来る状態を作る。

 

艦載機のTIE部隊も出撃し両者はようやく真っ当な戦闘に移ろうとしていた。

 

特に帝国軍側は。

 

だが新共和国側はそうではなかった。

 

ディゴール大臣の下に報告が届く。

 

「大臣!“()()()()()()”と“()()()()()”が!」

 

「ついに来たか…!」

 

迫るインペリアル級の小艦隊の背後と横からハイパースペース・ジャンプアウトを行う部隊があった。

 

それが味方か敵か、帝国側は分からなかった。

 

だがディゴール大臣達は確実にその存在を認知していた。

 

駆け付けた“()()()”の存在を。

 

 

 

 

 

時間は少し前に遡り戦闘はステーションの中に移り変わる。

 

ステーション内はけたたましい警報と共にステーション外の戦闘の音が響き小さな緊張に取り囲まれていた。

 

通路を駐留していたストームトルーパーと武装した宇宙軍トルーパーの部隊が走り徐々に隔壁が封鎖され始めた。

 

呑気なステーションのアストロメクやプロトコル・ドロイドは右往左往する将兵の列を見つめ「一体何が起きているんだ?」とぼやく始末だった。

 

E-11やDTL-19を担いだストームトルーパーの軍曹や伍長が先頭を指導し敵が潜んでいると思われるポイントに辿り着いた。

 

通信ステーション内の食料や消耗品などを一括管理する倉庫だ。

 

敵は恐らくこの中に潜んでいる。

 

全員が一旦止まり部隊長のストームトルーパー・キャプテンが隊員に指示を出した。

 

タブレット端末とバックを背負ったストームトルーパーの工兵が頷きリモコンのようにタブレットを操作しバックから1体の量産型シーカー・ドロイドを取り出した。

 

キャプテンや工兵達全員がかなり距離を取りブラスター・ライフルを倉庫のドアに向け待機した。

 

ドロイドが本来マウス・ドロイド用の通り口を抜け敵の位置とドア付近の爆薬を確認しに向かった。

 

それは倉庫内の新共和国特殊部隊、第二分隊と第四分隊も同様だった。

 

分隊長のハーディ上級曹長が命令を出し数名の隊員が前に出る。

 

スタンバイ完了を見届けた上級曹長はスイッチを押しドアの爆薬を起動した。

 

大きな爆風によりシーカー・ドロイドは完全に破壊されドアも吹き飛ばされた。

 

その様子を伺っていた帝国軍の兵士達は突撃の準備を始め立ち上がり始める。

 

ストームトルーパーや宇宙軍トルーパーが徐々にドアの近くに迫る中彼らの足元にコロコロと幾つかの球体が送られた。

 

それを見た背後から続く宇宙軍トルーパーの軍曹は「離れろ!」と忠告する間に足元の球体は爆発し数名の兵士を命共々吹っ飛ばした。

 

爆風や熱が肌や装甲を焼くがトルーパー達は怯まずブラスターを放ちながら倉庫の中へ突入していった。

 

「バケツどもがかなり釣れた!応戦だ!」

 

特殊部隊もブラスター・ライフルを用いて反撃し始めドアに群がるストームトルーパーや宇宙軍トルーパーを次々と撃ち倒していった。

 

身を隠しながら応戦する特殊部隊に対し勢いのまま突撃するストームトルーパーや宇宙軍トルーパー達の命中率は比較するまでもなく状況的には帝国側の方が圧倒的に不利であった。

 

しかし帝国軍には圧倒的な物量と兵士達の不屈の精神がありいくら倒してもキリがない。

 

ハーディ上級曹長の隣で1人の隊員が敵にサーマル・デトネーターを投げつけ何人かの兵士が吹き飛んだ。

 

足元には幾人ものストームトルーパーと宇宙軍トルーパーの亡骸が覆いかぶさっているが生者達は気にせず突き進んだ。

 

気づけば多くの帝国兵が倉庫内部に入り込み敵を殲滅せんと包囲するように囲っていた。

 

器用にコンテナなどで身を隠しながら銃撃する特殊部隊員達は若干後退しつつも未だに誰1人死傷者を出していなかった。

 

後方には狙撃手も控えておりストームトルーパーの大きな頭を確実に撃ち抜いていた。

 

多くの兵の銃撃に隠れて1人のストームトルーパーが腰のN-20バラディウム=コア・サーマル・デトネーターを投げつけようと取り出しスイッチを押した。

 

それに気づいたスナイパー隊員が急いでトルーパーの頭に狙いを定め引き金を引く。

 

放たれたブラスター弾が装甲と脳を貫通しデトネーターを持ったままトルーパーをその場に倒れさせた。

 

スイッチが押されていたサーマル・デトネーターはその場で爆発し逆にトルーパー達に大きな被害を及ぼした。

 

「増援を要請しろ!宇宙軍トルーパーでもストームトルーパーでもいい!とにかく連中を押し出っ…!!」

 

部下のストームトルーパーと宇宙軍トルーパーを怒鳴りつけ増援を要請していたドアの向こうのストームトルーパー・ルテナントの頭が撃ち抜かれその場に斃れた。

 

残された部下達が中尉の遺体に駆け寄り物陰に引き寄せるがあの一撃は即死ものだ。

 

こうやって指揮官を撃破し一時的にでも指揮系統と部隊の判断力を鈍らせ増援の要請と到着を1秒でも遅らせるのも役目の一つだ。

 

応戦区画の最前衛では重火器を持った隊員達が訓練通りに敵を待ち伏せ大火力で仕留めている。

 

元々練度の高い兵士達だがジョーレンの訓練によりより完成された鋭く硬い棍棒のような刃へと成長していた。

 

「怯むな!撃ち続けろ!」

 

キャプテンが命令を出し宇宙軍トルーパーやストームトルーパー達が前に進んだ。

 

ブラスターの弾幕が厚くなる中1人の隊員が誘導ミサイルを放ち前衛の宇宙軍トルーパーやストームトルーパー一個分隊を吹き飛ばした。

 

「クソッ!バケツ頭どもがまるで減らん!」

 

悪態を突きながらも額に汗を浮かべ戦う隊員は流石に目の前のトルーパー達の物量が恐ろしく感じ始めていた。

 

殺しても殺しても突き進んでくるその白と黒の決死部隊を本当に引き付けていられるのだろうか。

 

ここを死に場所と考えてはいるが自分が死んだところで一体何人を道連れに出来、一体何人を長く抑えていられるだろうか。

 

そんな時隊長のジョーレンの言葉がふと脳裏に過ぎった。

 

『いいか上等兵、恐るな。恐れは本来の力をセーブし死に直結させる。恐るな上等兵、全てを出し切れば俺達はみんな銀河最強の兵士だからな』

 

そうだ、恐るな。

 

恐る必要はない、バケツ頭と警備員如きに恐る必要なんて何もない。

 

俺たちは最強の兵士、新共和国軍特殊部隊だ。

 

誰にも負けない、死ぬ事すらない。

 

隊員の顔つきが変わり精神力とブラスターの命中率が格段に上昇した。

 

他の隊員も皆全力を出し数で劣る中敵兵を完全に押さえ込んでいた。

 

それはステーションブリッジでも確認され将校達は皆険しい表情を浮かべていた。

 

特にフレント司令官は苛立ちが抑えられない状態だった。

 

『敵兵に圧倒されている!更なる増援を寄越してくれ!』

 

現場の士官達の報告にブリッジの幕僚や参謀達は皆険しい表情だった。

 

「どうします?弾薬庫の封鎖と消火活動から人員を回しますか?」

 

「ハンガーベイは放棄するとしても敵部隊突入の際に周辺部の防御を行わなければなりません」

 

将校達の助言は悪戯にフレント司令官を悩ませるだけだった。

 

親衛隊の制帽を雑に脱ぎ取りモニターテーブルの近くに置いた。

 

イライラした様子で頭を掻きむしり命令を出す。

 

「司令部区画の警備部隊と弾薬庫の警備部隊を回せ!ハンガーベイ封鎖隊もだ!とにかく動員して敵を数で殲滅せよ!!」

 

「了解、各隊兵員を補完格納庫に展開せよ。繰り返す……」

 

通信機で各隊に連絡を取る中フレント司令官は制帽を被り直し再びイライラした様子で腕を組んでいた。

 

「艦隊から増援を要求せねば……イセノ小艦隊はどうなっている?」

 

「現在戦闘体制のままこちらに接近中ですが…」

 

「司令官!!ハイパースペースより艦影多数接近!!友軍艦の信号ではありません!!」

 

将校の報告を遮り通信士官が慌ててフレント司令官に報告した。

 

「なんだと!?」

 

 

 

 

 

ディゴール大臣達が確認した“()()()”、フレンと司令官達が確認した“()()()()()()()”何かは直様姿を表した。

 

スターホーク級が二隻、MC80が四隻、MC75が三隻、その他のフリゲートやコルベットが数十隻の新共和国艦隊がイセノに現れ挨拶の一撃として一斉にターボレーザー砲を放った。

 

彼らこそが戦場で確認されたハイパースペースの艦影の姿そのものだ。

 

モン・カラやキャッシークを出立した機動部隊は背後と側面からイセノの帝国小艦隊を奇襲する。

 

背後や真横からの突然の奇襲により帝国艦隊は対処しきれず何隻かの軍艦が損傷し或いはエンジンが破壊された。

 

スター・クルーザーやバトルシップから放たれる艦砲射撃の中を何十機ものスターファイターが通っていく。

 

「フェニックス中隊全機、先行して艦隊を撹乱する。ウェッジ、そっちは?」

 

改造型VCX-100軽貨物船“ゴースト”からヘラ・シンドゥーラ将軍は隣を飛ぶXウィングに通信を取った。

 

「問題ない、ファントム中隊、レッド中隊、ローグ中隊全機、スカイウォーカー将軍に合流する」

 

『了解ファントムリーダー、さあて行くぞ!』

 

ファントムリーダーでありこの三中隊の隊長であるウェッジ・アンティリーズ中佐の後をローグリーダー、タイコ・ソークー中佐は続いた。

 

スターファイター隊の中でも超精鋭の部隊は迫り来るTIE部隊を軽々とねじ伏せルークの下に辿り着いた。

 

『将軍、指示を頼む』

 

ウェッジとソークー中佐のXウィングがルークのXウィングにくっ付き編隊を成した。

 

シンドゥーラ率いるブルー中隊、フェニックス中隊、エコー中隊、アンヴィル中隊、ヴァンガード中隊、イエロー中隊、グレイ中隊、ゴールド中隊、ブレード中隊の九中隊は既に戦闘を開始している。

 

背後からの爆撃でアークワイテンズ級やヴィクトリー級などの比較的小型の艦船を撃破し出撃したTIE部隊と交戦している。

 

「全機、敵機を撃破しつつインペリアル級の偏向シールドと武装を破壊しろ。艦隊の攻撃を優先して通すんだ」

 

『了解将軍』

 

ルークのXウィングを先頭にファントム中隊、レッド中隊、ローグ中隊の機体がそれぞれ後に続きインペリアル級の砲撃を掻い潜りながら攻撃を開始した。

 

ハンとチューバッカ率いるミレニアム・ファルコンとディカー・スターファイター隊も対艦攻撃を開始しアークワイテンズ級やレイダー級、グラディエーター級に突撃している。

 

2機のXウィングが編隊を崩さずインペリアル級のブリッジに接近しふたつの偏向シールド発生装置にレーザー弾とプロトン魚雷を浴びせた。

 

流石にこの程度の攻撃での破壊は難しく防衛に出たTIEインターセプターに邪魔されて退避する他なかった。

 

3機のTIEインターセプターに追撃されるが援護に来た別のAウィングにより窮地を救われ再び攻撃に移った。

 

「各機、無理に反応炉を狙う必要はない。艦隊の対艦攻撃が通じるように少しでもシールドを削るんだ」

 

『了解スカイウォーカー将軍』

 

Yウィングパイロットのレッド2が他のYウィングと編隊を組んで前方のインペリアル級に突撃した。

 

前から迫り来るTIEブルートを1機撃墜し震盪ミサイルとプロトン魚雷を連続して発射する。

 

着弾したミサイルと魚雷の威力によりシールド発生装置が一つ破壊され更にレッド2の編隊はもう一つのシールド発生装置に高出力のレーザー砲を撃ち出した。

 

当然破壊する事は出来なかったがブリッジから離れる瞬間レッド2がダメ押しのプロトン爆弾を投下し装置にダメージを追加する。

 

流石はエンドア戦にも参加しYウィングでTIEインターセプターを撃墜する程の名パイロットだ。

 

ルークとウェッジ、ソークー中佐もインペリアル級を護衛しようとするTIE部隊を撃破し偏向シールド発生装置に攻撃する。

 

プロトン魚雷をそれぞれ一発ずつ放ちレーザー砲も喰らわせた。

 

先行して攻撃したレッド2達のダメージが大きかったのかXウィングの攻撃でも偏向シールド発生装置の破壊に成功した。

 

装置が2基とも破壊されインペリアル級のシールドが見る見るうちに消失していった。

 

『いいぞ、偏向シールドが消失した』

 

ウェッジは二つの球体を無くしたインペリアル級を見て気分良く言い放った。

 

これで艦隊の攻撃は更に効きやすくなるだろう。

 

ソード中隊やローグ中隊がインペリアル級の八連ターボレーザー砲を何基か既に破壊している為火力自体も落ちている。

 

絶好の攻撃チャンスだった。

 

『“クレマンソー”、攻撃を頼みます。敵艦は丸裸だ』

 

『分かっている、全艦左翼のインペリアル級に集中砲火せよ』

 

MCスター・クルーザーやネビュロンBの火力がシールドをなくしたインペリアル級に集まり次々と被弾していった。

 

僅かな合間でインペリアル級の耐久値は限界に達し崩れ落ちるように撃沈した。

 

別のインペリアル級を攻撃しながらソークー中佐はコックピットの中でガッツポーズを浮かべた。

 

『よし!インペリアル級一隻撃沈!』

 

『それはこっちも同様よ』

 

目線を移せばシンドゥーラ将軍率いるフェニックス中隊やゴールド中隊、ブレード中隊のBウィング部隊がインペリアル級の撃破に成功していた。

 

先程インペリアル級を撃破したばかりなのにBウィング達は再びヴィクトリー級やグラディエーター級の攻撃に移ろうとしている。

 

迫るTIEブルート、TIEインターセプターを撃墜し敵艦をイオン砲やレーザー砲、プトロン魚雷で爆撃した。

 

瞬時に大火力を浴びせ敵艦の防御を行う間も無く轟沈に追い込んだ。

 

これがモン・カラマリの名エンジニアが基礎設計を行なった新共和国軍最強とも言っていい爆撃機の力だ。

 

ファルコン号やゴースト号に支援され帝国艦隊が消失するまで何度も爆撃を敢行する。

 

改造されたこの貨物船達は今までの戦い同様凄まじい戦果を挙げていた。

 

戦闘が始まって以来一体何機の敵機を撃墜した事か。

 

ファルコンとゴーストはそれぞれ互いに絶妙なライバル意識を持っているもののそのコンビネーションは凄まじく敵を寄せ付けない強さだった。

 

『スターホークの攻撃が効いている。間も無くもう一隻墜ちるわ!』

 

『そいつはいい!敵艦隊は俺たちに囲まれてどこを攻撃するか迷ってやがる、更に混乱させるぞ!』

 

爆炎を上げ沈むインペリアル級をバックにファルコンとゴースト、新共和国のスターファイター中隊が続いた。

 

ハンの言う通り敵艦隊は前方、後方、側面からの奇襲攻撃によりどこへ集中的に攻撃していいのか分からずただ悪戯に包囲され全滅するのを待つのみだった。

 

恐らく指揮官がもっと有能でもう少し戦力があれば状況は変わっていただろう。

 

イセノ防衛艦隊は既に大損害であり全滅する可能性すら出ていた。

 

一方新共和国艦隊は入念な計画と訓練により損害は微々たるもので艦船に至ってはまだ一隻も撃沈していなかった。

 

「敵艦隊を押し出せ!いつでも内部の特殊部隊を回収出来るようステーションから敵を引き離すんだ」

 

ディゴール大臣の指示により新共和国軍の攻勢が更に強まった。

 

帝国軍は更に押され完全に敗北ムードであった。

 

そんな中ステーションから通信が届く。

 

()()()()()()()()()()()”と。

 

 

 

 

 

 

「艦隊の奇襲は成功で帝国軍の駐留艦隊が増援を寄越す可能性も低い……そっちはどうだ?」

 

『敵はある程度抑え込みました。多少は警備がいるでしょうが突破は容易でしょう』

 

ハーディ上級曹長はジョーレンのそう返答し最後に一つ付け加えた。

 

『後の事は任せましたよ』

 

「ああ、分かってる…それじゃあ」

 

通信機を切りジョーレンは自身のブラスター・ライフルを手に取りヘルメットを被り直した。

 

他の隊員達も準備万端と言った様子でいつでも戦闘出来る様子だった。

 

ジェルマンもサインを出し彼の後ろに控える情報部員達も戦闘準備が整っている。

 

「行きましょう少佐」とノールマン大尉もジョーレンに促し彼も頷いた。

 

もはや待つ必要はない、ただ実行するのみ。

 

「全員、これが新たな戦いの火蓋を切る最初の戦いだ。行こう」

 

力強い頷きと共にドアが開き司令部を堕とす為に結成された精鋭部隊が放たれた。

 

駆け足で確実な道を進み多少の敵は全て蹴散らす。

 

「敵兵だ!」

 

「撃て!」

 

第一分隊に気づいたストームトルーパーがE-11ブラスター・ライフルを発砲し足止めを行おうとする。

 

しかし前衛を担当する隊員達が身に付けている個人用戦闘シールドとブラスターのコンバット・シールドが機動しブラスター弾を防ぐ。

 

代わりに左右に分かれた隊員が反撃しストームトルーパー達を蹴散らした。

 

敵兵は皆戦闘不能に陥りジョーレンの合図と共に分隊が前に進む。

 

「来たぞ!隔壁を閉鎖しろ!」

 

急いでドアのコントロールパネルを操作するトルーパーを撃ち隣で応戦するストームトルーパーの伍長と歩兵を3名撃破する。

 

しかしブラスト・ドアの封鎖は開始しておりドア前にたどり着く頃には既に封鎖が完了していた。

 

「ジェルマン!」

 

ジョーレンの合図によりジェルマンはすぐポケットからより小型の端末を出しソケットに差し込む。

 

素早くパネルをタップしデータと指令を書き換えた。

 

ジョーレンのハンドサインにより隊員達が脇とドア前でブラスター・ライフルを構え敵の待ち伏せに備える。

 

素早い書き換えによりブラスト・ドアは10秒も掛からず開き始めた。

 

ドアの開くその僅かな数秒が隊員達の緊張と不安を大いに煽った。

 

ブラスト・ドアが半開きする瞬間彼らは向こう側の状況を確認した。

 

やはり敵がいた。

 

ならばジョーレンが態々合図する必要もない。

 

皆速やかに引き金に指を掛け躊躇う事なく引いた。

 

徐々に広まる隙間にブラスター弾が送り込まれ反応の遅れたストームトルーパーや宇宙軍トルーパー達を撃ち倒していった。

 

3人、4人とトルーパーが倒れ左右に避けながらトルーパー達も反撃し始めた。

 

赤いブラスター弾が飛び交い断末魔の叫びのような声が時々聞こえた。

 

バッケイン准尉が磁気式サーマル・デトネーターを投げ込み爆発に巻き込まれた敵兵が数人吹き飛ばされた。

 

ジョーレンもブラスター・ライフルを右手で持ちながら左手でブラスター・ピストルを握りより多くの敵兵を倒す。

 

銃撃戦の末帝国軍のトルーパー達は皆撃ち倒され第一分隊は更に司令部のブリッジへ進んだ。

 

行手を阻もうとするストームトルーパーの分隊もヘンディー曹長が持つRT-97C重ブラスター・ライフルによって薙ぎ倒され数名の宇宙軍トルーパーもジェルマンとジョーレンの早撃ちにより撃破された。

 

通路や室内から出てくる帝国軍兵士も皆撃ち倒されブリッジまで後少しとなった。

 

「このまま一気に行くぞ!」

 

「了解!」

 

迫るストームトルーパーや宇宙軍トルーパーを撃退し妨害しようと立ちはだかる帝国軍のドロイドもブラスター・ライフルなどで撃破する。

 

「KXを!!グワァッ!!」

 

指示を出す宇宙軍の将校を撃ち抜き隊員達は前に進んだ。

 

しかし突如出て来た黒い何本かの手足によって前にいた2、3人の隊員達が殴られ、蹴られ吹き飛ばされた。

 

全員受け身を取り速やかに防御体制を取ったが突然の事により顔に拳が当たった者は鼻血を出していた。

 

「KXドロイドか!!」

 

「チッ!」

 

ノールマン大尉の吐き捨てる言葉と共にKXシリーズ・セキュリティ・ドロイドが4体ほど姿を表した。

 

腕にはトルーパーから持たされたE-11やSE-14Cブラスター・ピストルを構え今にでも発砲しそうな状態だ。

 

躊躇いや疲れ、痛覚のないドロイドはこの武器をフル活用し隊員達を薙ぎ倒しに来るだろう。

 

だがそうはさせまいとジョーレンはその昔モン・カラに向かった時貰った爆弾ナイフを三本取り出した。

 

勢いよくドロイドの頭や胸部に突き刺しジョーレンの操作により間も無くナイフは爆発した。

 

残りの1体をジェルマンはA180で頭と胴体を撃ち抜きドロイド脳を破壊する。

 

機能を停止したセキュリティ・ドロイドは糸の切れた傀儡人形のように倒れジェルマンはそのままセキュリティ・ドロイドの出た通路にドロイド・ホッパーを投げつけた。

 

甲高い音と共にドロイド・ホッパーは起爆し奥で起動し始めていたセキュリティ・ドロイドやシーカー・ドロイドを一斉に機能停止にした。

 

更にバッケイン准尉が通常のサーマル・デトネーターを投げ込み通路にいるストームトルーパーや技術者達を吹き飛ばし戦闘不能にした。

 

「まだ行けるか!?」

 

ジョーレンは負傷した隊員達に問いかける。

 

隊員は鼻血を拭き取り大きく頷いた。

 

「後少しだ!気張って行くぞ!」

 

「了解!!」

 

再び隊員達が大声を上げ突き進んだ。

 

曲がり角の通路からまた何人かのストームトルーパーと暴動鎮圧用のシールドを持った宇宙軍トルーパーが銃撃してきた。

 

個人用シールドやコンバット・シールドを起動してこれを防ぎつつその合間からブロンス曹長が自身のブラスター・ライフルに取り付けられたグレネード・ランチャーの引き金を引いた。

 

グレネードが敵兵の下で炸裂し素早くヘンディー曹長や重火器を持った隊員が突撃し大火力を通路の向こうにばら撒いた。

 

1名腕に擦り傷を負うも戦意は衰えず敵兵を倒し続けた。

 

「クリア!!」

 

ヘンディー曹長の大きな声が聞こえジョーレンとジェルマン達が走る。

 

「時間がない!ドアは吹き飛ばす!」

 

「ジョーレンは通路を曲がる瞬間に近接反応爆弾を起動しドアに取り付け身を伏せた。

 

数秒後起爆と共にドアが吹き飛び爆風が辺りを包んだ。

 

ジリジリと焼ける爆風の嵐の中をジェルマンとジョーレン達は進みついにブリッジの中へ足を踏み入れた。

 

「なっなんだ!?」

 

混乱する将校をまずはピストルで撃ち抜きジェルマンやノールマン大尉らも室内にいる衛兵や下士官兵、将校を皆撃ち殺した。

 

ブラスター・ピストルを持って応戦しようとする者、逃げ出そうとする者様々だが皆すぐに撃たれバタバタと倒れていった。

 

この司令室のブリッジを抑える為には致し方ない事だ。

 

「こっ降伏すっ!!」

 

両手を上げ後退りするフレント司令官もジョーレンによって無慈悲に撃ち殺され爆風の煙が収まる頃にはブリッジの室内の占拠は完了していた。

 

「クリア」

 

ブロンス曹長の確認と共にジェルマンや情報部員達は一斉に端末を持ち出し通信ステーションの占拠とステーションを媒介とした全銀河系放送の用意を開始した。

 

目にも止まらぬタイピングとシステム占拠により既に第一段階がクリアされた。

 

「ステーションを乗っ取った!後は中継システムに侵入するだけだ!」

 

「えっ早くないすか」

 

ジェルマンのあまりの動きの速さにその場の情報員含めた全員が驚いた。

 

だがジョーレンは「まあいつものことだ」と腕を組みぼーっと見ていた。

 

「それより艦隊への連絡はどうした?」

 

「送ってますよ。今頃ディゴール大臣は用意してる頃だ」

 

「そうか、ならいい。警戒だけは怠るなよ」

 

「了解」

 

「後少しで終わりそうだ!!」

 

「えっやっぱ早くない?」

 

ジョーレンは隣にいるノールマン大尉に尋ねた。

 

流石の大尉も奥にいたバッケイン准尉も苦笑いだった。

 

「こっちも完了です!」

 

「いけます上級中尉!」

 

他の情報部員達からも完了の合図が浮き上がりジェルマンも最後の仕事に移った。

 

「よし…!これで…!出来たぞ!!“クレマンソー”に通信システムを譲渡する!」

 

ジョーレンは痩身のボタンをタップした。

 

クレマンソー”のシステムが譲渡されついに放送が始まった。

 

 

 

 

 

-全ての新共和国の者達へ告ぐ-

 

「新共和国の敗北は帝国の意表を突いた奇襲と圧倒的な殲滅によるものだった。痛ましいこの敗北は多くの兵や市民の心の支えを砕き、軍隊、政府、新共和国という全てを崩壊に導いた」

 

クレマンソー”の放送室でディゴール大臣は淡々と、それでいて熱を込めて語った。

 

この大臣の放送は映像付きで帝国領、新共和国領、中立領問わず中継され放送されている。

 

大臣はそんな大舞台でも臆する事なく口を開いた。

 

「その結果我々は皆希望を失い再び帝国の支配を許す事となってしまった。だが私や、今この場で戦う者達、遠く離れた場所で戦い続ける者達は希望を抱き続けている。確かに我々はあの日、帝国の空前の大艦隊と地上軍に屈した。動員が遅れ兵力差ではなく帝国の狡猾さと戦術、戦略の前にホズニアンを捨て退却を余儀なくされた。しかしこれで終わりだろうか?これで終わりなのか?希望は、我々が新共和国に、反乱同盟に見た希望は失われたのか?このまま敗北し続けるのか?いいや、それは違う!」

 

ディゴール大臣は力強く断言した。

 

それは違う、決定的な敗北ではない。

 

ディゴール大臣の絶対的な本心であり皆が心の奥底に持っている感情だった。

 

「新共和国元老院の議員は皆死亡、もしくは帝国に殺されたがそれは全員ではない。我々にはまだ“希望”がある!この私、シャール・ディゴール新共和国国防大臣と後に話す方の事を信じて欲しい。新共和国は何も失われてはいない!かつて帝国を打倒した時のように再び我々は帝国を打ち負かし戦う者達は増え続けるだろう!」

 

絶望するのはまだ早い。

 

諦めるにはまだ早すぎる。

 

かつて今よりも僅かな軍事力で立ち向かった反乱同盟軍に比べれば今はまだマシだ。

 

まだ戦える、まだ希望はある。

 

「新共和国は孤独ではない!新共和国は孤独ではないのだ!!まだこの国の為に戦う戦士達が銀河のあちこちに控えている!モン・カラ、ヤヴィン、キャッシーク、全ての惑星は未だ帝国を抑えつけ今すぐにでも足並みを揃え戦い続けるだろう!」

 

ディゴール大臣は高らかに宣言した。

 

やがて勝利を手にする為の戦いをまだ続けられる。

 

絶対的な敗北にはまだ遠い、絶対的な勝利はすぐそこだ。

 

「この戦争は、この新たなる銀河の戦争は我々の国の敗北で終わるのではない。この戦争の歴史は新共和国の敗北という文字で終わることはないのだ!帝国が誤りの言葉を垂れ、我々の戦いの時が如何に長引こうとも、どのような苦しみが降り掛かろうともこの真実が変わる事は決してない。銀河に潜む全ての新共和国兵達よ!我々の敗北では戦争は終わらない!帝国の敗北によって戦争が終わるのだ!」

 

国防大臣としてディゴール大臣は全ての兵士に語りかけた。

 

戦いは彼らが決める、彼らが勝利へと近づけるのだ。

 

「この銀河には、いつの日か必ず帝国を打ち破る方法がいくつも残されている!昨日強力な軍隊に敗北したのなら私とこの方の声を聞き明日、より強力な軍隊を作り勝利しようではないか!この銀河の運命が我々に掛かっているのだ!故に私の声だけでなくこの方の声も聞いてほしい!絶望のホズニアン・プライムから生きて帰った亡国の王女、レイア・オーガナ議員の声を!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この放送は銀河系の全てで流された。

 

それはコア・ワールドのコルサントでも同様だ。

 

総統府の代理総統の部屋でもそれは流れたし将校や官僚達は皆驚きと怒りに溢れ様々な声が広がった。

 

一般の家庭にもこの放送は流され当然ユーリアとマインラート、ホリーも聞いていた。

 

「ねえお母さん、この人たちが敵なの?」

 

マインラートはホロネット・ニュースの映像に指を差し尋ねた。

 

ユーリアも険しい表情を浮かべ頷いた。

 

「この人達がマインのおじいさんも他の人も大勢殺したのよ。だからお父さんは命を賭けて戦っている。もう誰も殺させない為に」

 

「僕たちも戦うのかな?」

 

マインラートは怖気付く事なく尋ねる。

 

しかし隣のホリーは少し怖いものを見た感じだった。

 

そんなホリーの手をマインラートは優しく握った。

 

「もしかしたらね、でもきっとお父さんが全てやっつけてくれるわよ」

 

 

 

 

そんな気休めにも似た返答は当人のジークハルト達も知る由がなかった。

 

彼らはアンシオンの基地で親衛隊やファースト・オーダーの将校達とこの放送を聞いていた。

 

皆ホロネット・ニュースを映し出すモニターやホログラムに集まり怒りなどを募らせながら見ていた。

 

「一体どこからの放送でしょうか?」

 

ヴァリンヘルト上級中尉は不安そうに疑問の声を上げた。

 

「分からん、だが連中よくもこんな事を抜け抜けと…!必ず打ち倒して殺してやる…!」

 

怒りと憎しみを激らせるアデルハイン中佐は拳を手のひらに叩き合せそう吐き捨てた。

 

仲間でなくてもアデルハイン中佐の紅蓮のような怒りが探知出来るだろう。

 

「落ち着け、今はとにかく全てを聞くしかない。これが何処から放送されてるかも分からないんだ」

 

ハイネクロイツ中佐は珍しく抑え役に周り苛立つアデルハイン中佐を宥めた。

 

彼の言う事は至極尤もだ。

 

何処から放送されているかも分からないものに怒りを当ててもしょうがないし調べる機械もないので今は全て聞くしかない。

 

だが快いものではないと言うのは確かだろう。

 

 

 

 

同様の放送を軌道上のエグゼクター級“ルサンキア”でも確認されていた。

 

ピュリフィケーション”から会議の為に“ルサンキア”に移ったフューリナー上級大将はシュメルケ上級大将と共にこの放送を見た。

 

今急いで部下に発信の出どころを調べさせている所だが調査には時間が掛かるらしい。

 

解析の報告はまだ届いていなかった。

 

「もしこれが帝国の施設から流されているとするならばそれはハッキングかそれとも奇襲による奪取か…」

 

「間違いなく後者だろう。通信ステーションを占拠しそれを媒介に放送している、そこの守備隊はもう全滅している頃だろうな」

 

フューリナー上級大将の問いをシュメルケ上級大将は冷たく答えた。

 

驚くべき事に彼の予測はほぼ完璧に当たっていたのだ。

 

普段とは違い2人とも笑みを浮かべず冷酷な鋭い眼光で放送を聞いて見ていた。

 

「これで新共和国と他の反乱分子は団結するだろう。新たな脅威の誕生だ」

 

フューリナー上級大将は放送を鼻で笑い口を開いた。

 

ある種の皮肉も込められている。

 

しかしシュメルケ上級大将共々彼らに焦りの色は見えなかった。

 

「構わないさ、敵が団結してくれるのなら指を差しやすく、一狩りに殺し易くなる。程よい敵というのは我々の力を増幅する為には必要な存在だからな」

 

シュメルケ上級大将にようやく冷笑的な笑みが浮かんだ。

 

予想外の事態さえ彼らには都合のいい駒に過ぎないのだ。

 

そして直属の上官である男もまた似た考えだった。

 

 

 

 

ヒェムナー長官はファースト・オーダーのハックス将軍と共にこの放送を見た。

 

彼はまだ視察の途中で教育方針の似たハックス将軍と意気投合し先ほどまで全ての予定をキャンセルして2人だけで語り合っていた。

 

そこでちょうどこの放送が入ったのだ。

 

「まずい事になりましたな」

 

ハックス将軍はホログラムに移る状況を見つめてヒェムナー長官に告げた。

 

滅ぼした筈の新共和国が蘇る可能性があると言いたげな表情だ。

 

「心配する事はありません。あなた方の力があれば今の新共和国など団結した所で微々たる脅威です。それに我々の教育が合わされば帝国はさらに強くなる」

 

ハックス将軍は大きく頷いた。

 

自分達の世界に浸り込んでいる狂人達にとっては大した脅威に感じられなかった。

 

 

 

 

だが厳しい目で見ている者もいる。

 

それはエグゼクター級“エクリプス”でファースト・オーダーの高官達といた最高指導者スローネ大提督もその1人だった。

 

隣にはボラム大将軍、グランドモフランド、イェール・カールセン提督がいる。

 

放送に映る人物を睨みつけるように凝視していた。

 

「新共和国も再起するようだな、我々のように」

 

スローネ大提督は低く呟いた。

 

地獄から這い上がった者達は油断ならぬ相手となる。

 

それはファースト・オーダーも第三帝国もそうだ。

 

地獄の経験者達は一回りも二回りも強敵となって帰ってくるのだ。

 

「第三帝国は彼らに勝てるのか…」

 

「分からんが勝たねばならないのは我々も同じだ」

 

ボラム大将軍の問いにグランドモフランドは答えた。

 

どの道新共和国は倒さねばならない。

 

彼らこそ本来自分達が打ち倒す敵なのだから。

 

 

 

未知領域の奥底、チス・アセンダンシーでも同様に通信傍受により状況を確認していた。

 

「ヴィルヘルム、どうやら新共和国は蘇るようだな」

 

「はい。ですが陛下、蘇ったからとはいえそれが勝者だとは限りません。無論我々も含めて」

 

「手厳しいな」とリヴィリフは苦笑を浮かべた。

 

「しかしこれで銀河は更に混乱するだろう。どうする、我々はまだ傍観しているか?」

 

エリンメルヒ・タッグ最上位元帥は彼に尋ねた。

 

ラストーレも同様の質問を持っている様子だ。

 

「いや以前決めた通りだ、我々に変更はない。もう我らが負ける事はないだろうさ。そうだろう?“G()r()o()ß()a()d()m()i()r()a()l()”」

 

 

 

 

一方その放送をより険しい面持ちで見つめていたのは特に帝国国防軍の上級将校達だ。

 

ヴィアーズ大将軍はナブーの軌道上でエグゼクター級“アナイアレイター”の艦内で放送を聞いていた。

 

隣にはコヴェル中将やアイガー准将、スターク中佐、ロット将軍、ゼヴロンがホログラムを囲んでいる。

 

「大変な事になったなヴィアーズ…」

 

同い年のロット将軍はそう呟いた。

 

ヴィアーズ大将軍も小さく頷いている。

 

「反乱軍めぇ!よくもぉ!」

 

「落ち着けスターク中佐、ここで怒ってもしょうがない」

 

興奮するスターク中佐をアイガー准将は冷静になるよう押さえた。

 

「敵の出どころは何処でしょうか?」

 

コヴェル中将はヴィアーズ大将軍に尋ねる。

 

するとブリッジから報告が飛んできた。

 

「確認しました!敵は恐らくイセノの通信ステーションから放送を行なっています」

 

士官の報告は特にゼヴロンを驚かせた。

 

「イセノといえばデノンのすぐ近くだ!父さん!」

 

「ああ、直ちにデノン艦隊をイセノへ向かわせ緊急防衛体制を敷くよう指示を出せ。我々もすぐデノンに戻るぞ」

 

アナイアレイター”は反転し配下の艦隊と共にハイパースペースへと入った。

 

 

 

同じように直接命令を出す者がコア・ワールドの惑星ハンバリンにもあった。

 

軌道上の艦隊を束ねるエグゼクター級“リーパー”の中でオイカン元帥は放送を聞き部下から報告を受けていた。

 

「新共和国軍は恐らくイセノの通信ステーションを通して放送を行なっています」

 

「イセノは確か親衛隊の宇宙艦隊の管轄だったな?」

 

「はい、ですが放送が成功しているという事は…」

 

カイント提督は険しい表情を浮かべ最悪の事態を濁した。

 

だが間違いなくカイント提督が思い浮かべる最悪の事態が起こっているだろう。

 

「周辺の帝国基地への奇襲攻撃はこの為の布石か…周囲の艦隊を直ちにイセノへ向かわせろ!我々もジャンプの用意だ」

 

「了解」

 

幕僚達が各艦に指示を出す為に一旦オイカン上級元帥の下を離れた。

 

1人になった所で上級元帥は小さく呟く。

 

「この戦い長くなるかもしれんな…」

 

 

 

 

その考えとは全く反対の思いを持つ者がマンデイターⅢ級“リベンジ・オブ・サイス”の艦内にいた。

 

その男、ケナー・ローリング大将軍は放送を聞きながら他の将校同様怒りを募らせ吐き捨てた。

 

「忌々しい反乱分子どもめ…!やはりあの時に殲滅しておくべきだった!」

 

ホズニアン・プライム陥落直後の状況を思い出しローリング大将軍は更に怒りを募らせる。

 

このように人物や帝国軍人としては比較的典型的なわかりやすいタイプなのだがそれ故に慕われる面もある。

 

彼はオイカン上級元帥とは別に固く誓う。

 

「必ず速やかにその首を取ってやる!」

 

 

 

 

だがオイカン上級元帥と同じ思いの人物も少なくはない。

 

特に大セスウェナを治めるグランドモフヘルムート・ターキンは。

 

彼はモッティ提督やプラージ准将、デルヴァードス少将、ザーラ司令官、そしておじ上と呼ばれるエルデスト・ターキン上級将軍と共に放送を聞いていた。

 

「これは大変な事になってきましたね…」

 

「ええ…再び新共和国との大きな戦いに備えなければならないかもしれん…」

 

モッティ提督の呟きにデルヴァードス少将が同調した。

 

プラージ准将も不安げな表情を浮かべている。

 

「再び大規模な戦いですか…」

 

「ああ、やはりこの戦い長くなるだろうな。厳しい時代になりそうだ、ヘルムート」

 

ザーラ司令官はそう呟きエルデストはヘルムートの肩を優しく叩いた。

 

厳しい時代、彼はそう評価した。

 

だがこのエリアドゥ含めたセスウェナに一時でも厳しくない時代などあっただろうか。

 

先祖達が乗り越えてきたもの、自分も乗り越えてみせる。

 

ヘルムートはこの時大きな試練を確信したのだ。

 

 

 

 

一方この放送を少し変わった目線で見ている者もいた。

 

当然そんな人物がコアからミッド・リムにいるはずもなくアウター・リムの外れ、ケッセルの御令嬢その人だ。

 

放送はケッセルまで届きクラリッサはマルスと共に聞いていた。

 

「えらいこっちゃ戦争ですわ!…というやつですわ…」

 

何処か溜息混じりにクラリッサはそう呟いた。

 

「ええ、やはり単騎での決着など無理な話です」

 

「でもその方が面白くなってきましたわ。戦いの果てに何があるのか貴方と見届けませんと」

 

「はい」

 

 

 

 

それぞれの評価の中にクワットの重鎮達のものあった。

 

ディープ・コアからクワットに戻ったヴァティオンとオルトロフは2人で放送を見ていた。

 

「おいおい…なんかとんでもない事になってきたんじゃねぇのか…?」

 

オルトロフは少し怖気付いた様子で口を開いた。

 

だが顎を撫でるその顔はやはり微笑混じりだ。

 

「ああ、とんでもない事になってきた。また俺たちが忙しくなっちまう地獄の時代の幕開けだ」

 

「よくねぇなほんと…まあでも忙しく働くか」

 

「ああ、忙しく働こう。我々は元々そういう星の下に生まれたからな」

 

ニヒルな笑みを浮かべヴァティオンはそう吐き捨てた。

 

 

 

 

エイリアン種族殲滅を実行する親衛隊保安局の長官ハイドレーヒ大将とフリシュタイン大佐はコルサントへの帰還中のインペリアル級の中で放送を聞いていた。

 

2人とも余計近寄り難い雰囲気を醸し出している。

 

「愚かな連中だ……我々の手ばかり煩わせる」

 

「はい、ですがこれはチャンスでしょう。親衛隊の勢力拡大と最終的な平和への解決の為のプロセスを加速させる事が出来ます」

 

「ああフリシュタイン、故に我々も忙しくなる。早速情報部統合を進言する準備をしよう」

 

「はい」

 

第三帝国の暗部を担う彼らにとってもこの状況は想定外なものだった。

 

しかし全員が心の淵ではこう思っている。

 

それをアンシオンのジークハルトは一言で代弁した。

 

 

 

「だが勝つのは我々だ。誰が何を言い何をしようと最後の勝者は我々だ」

 

 

 

誰しもが勝者と感じるこの第二次銀河内戦、終わりはまだ遠い先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

-この戦いは第二の銀河内戦だ-

 

「私はオルデランの悲劇と同様にホズニアンの悲劇を生き残りました。そしてあの時と同様、悲劇の現場をこの目で目撃し新共和国という私達の祖国が、大勢の方々が命を賭して作り上げたものが崩れる姿を目にしました。私達が戦ってきた多くの日々が過去に葬り去られ再び過去の暗黒の時代に戻ろうとしています。私達は生き残ったものとしてこれを、食い止めなければなりません」

 

ディカーの放送室からレイアはディゴール大臣と同じように放送を行った。

 

しかし特殊な回線を使い彼女がディカーから放送を行なっているという事は分からないようになっていた。

 

レイアは静かに、そして重く聖母のように語りかけた。

 

「私には二つの罪があります。一つは帝国に対する戦いを躊躇う元老院を止められなかった事、もう一つは新共和国の崩壊を止められなかった事。平和を強く望みすぎるあまり私達は臆病で弱い存在へと落ちていたのかも知れません。ですが、私は罪を償い市民と、新共和国と、自由の為に戦うみなさんの為に再び戦う事を決意します。この戦いは長く険しいものになるでしょう。多くの苦難と暗黒が訪れわたしたちを絶望へと誘おうとするでしょう。ですが私は、私達は皆、決して折れる事はありません!銀河に自由が訪れる日まで私は戦い続けます!皆さんが私に『我々の成すべき事はなんだ?』と問うならば、私はこう答えます。フォースが与えし銀河に残る全ての力を使い戦い続ける事だと」

 

自由の為に、それは銀河内戦中何度も兵士たちの口から聞こえた言葉だ。

 

そして自由の戦士達は未だにこの銀河から消える事はない。

 

新共和国は崩壊しても自由の灯火は消す事は出来ないのだ。

 

「帝国は以前にも増して暴政を振るい人々を苦しめ、未だかつてない悲惨で残虐的な殺戮を行うでしょう。私達は戦い続けこの行いを止めさせる、これこそが私が皆さんに告げる成すべき事です。帝国を倒しこの暴政と殺戮を止めるのです。そして皆さんは私に『我々の目標は何か?』と問うでしょう。私は自由を取り戻す為の勝利だと答えるでしょう。たとえ勝利の道が悲劇と苦難で溢れていたとしても帝国を倒し勝利を得なくては私達は自由を手にする事は出来ません!」

 

第三帝国は多くのエイリアン種族を虐殺し続けていると聞く。

 

それはかつての帝国よりも病的で異常的なもので悲惨かつ残虐なものだ。

 

早く食い止めなければならない。

 

その為の勝利なのだ。

 

レイアは再び語りかける。

 

「私達が気力と希望を失い帝国を倒し損ねる事はありません。私達は最後まで戦います。私、レイア・オーガナが今いる場所は教えられません。ですが皆さんが望むのであれば私はどこへでも行くでしょう。私達は皆同じ自由の為の戦士です。私達は再びホズニアン・プライムで戦うでしょう。この銀河系の宇宙でも、惑星でも戦うでしょう。私達は力をつけ銀河の果てから中心でも戦うでしょう。どんな苦難があろうとも私達は自由の為に戦います。私達はアウター・リムの果てで戦い、ミッド・リムの星々で戦い、拡張領域(エクスパンション・リージョン)の草原や過酷な環境で戦い、インナー・リムの街頭で戦い、コロニーズの都市で戦い、やがてコア・ワールドの中で戦うでしょう」

 

それは確固たる決意であり長き戦いを表していた。

 

銀河の至る所で戦う。

 

やがて訪れる勝利の日の為に。

 

「我々が降伏する事は決してありません。もし仮に銀河系が再び帝国に全て制服され、市民が苦しみ殺戮が平然と行われる暗黒の時代が一時でも訪れるのなら我々はフォースの加護と共に力を取り戻し、全力を持って自由と解放の為に銀河の果てまで新共和国艦隊が立ち上がり私達は皆戦い続けるのです!」

 

暗黒の中にも光はある。

 

絶望の中にも希望はある。

 

希望がある限り新共和国に負けはない。

 

人々は立ち上がるのだ。

 

海岸から、水際から、野原から、街頭から、丘から、惑星から、星系から、宙域から全て。

 

「この放送を聞く銀河系全ての皆さん、私は立ち上がろうとする全ての皆さんを歓迎します。仮に武器を持っていなくても、今戦う力がなくとも構いません。私はその戦うと決めた意志を歓迎し必ず応えます。何が起ころうともこの銀河から抵抗の炎が消える事はありません、何が起ころうとも消えてはならないのです。その為に私は明日も今日のように皆さんに語り続けます」

 

レイアは一息起き銀河系に宣言した。

 

 

「私レイア・オーガナは帝国を打倒し自由を取り戻す為、今ここに“レジスタンス”の結成を宣言します」

 

 

つづく

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