第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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銀河内戦に敗北した銀河帝国は新たな指導者に導かれ失われた首都コルサントを奪還すべくコルサント臨時政府に宣戦布告。

コルサントを奪還した帝国は勢い失わぬまま仇敵新共和国に宣戦し再び大戦の火蓋を切る。

帝国は電撃的な攻勢で新共和国の首都、ホズニアン・プライムを陥落させ新共和国を崩壊させた。

僅か2年で帝国の復讐は果たされたのだ。

だがこれは新共和国にも第三銀河帝国を名乗る帝国すらも予測不可能な地獄の幕開けだった。

新共和国との戦いに勝利した第三帝国だったががそれは第二次銀河内戦という戦争の終わりではない。

各地に逃れた新共和国残党軍は抵抗を続け第三帝国を由としない旧帝国の勢力が牙を剥く。

未知領域に逃れたファースト・オーダーも出現し新共和国軍は再び攻勢に出ようとする。

この戦争の終わりは程遠く、新共和国の新たな勝利が再び戦いを長引かせた。

新たな抵抗組織、レジスタンスの産声を上げる声明はイセノから放たれた。

銀河の系全ての人々がレイアと国防大臣シャール・ディゴールの声を聞きある者は希望を持ち、ある者は今後の対策を成し、ある者は静かに放送を聞いた。

しかし人々はまだ気づいていない。

未知領域から迫る者達の姿を。

ジークハルトが、ジェルマンがそれぞれ進む遠く暗い道のりの果てを。

この第二次銀河内戦の行方はまだ誰にも分からない。


未知領域の暗黒
Next Rebel


我々の長きに渡る銀河の歴史は常に戦争と共にありました。

 

()()()()()”と囃し立てられる銀河共和国、ひいては旧共和国の時代の更にその前から戦争は共にあったでしょう。

 

統一戦争、第一次グレート・シズム、タイオニーズ戦争、アルサカン紛争、デュイヌオグウィン闘争、ピウス・ディー聖戦、ウェイマンシーの嵐。

 

更に闘争は続きやがて戦争の発端はジェダイとそこから派生したシスとの二分された宗教大戦争が本筋となります。

 

無論そうでない事例も多いでしょう、例えばガンクの大虐殺やマンダロリアン戦争、ですがそれ以上に彼らの戦いは激化していきます。

 

百年の闇、ハイパースペース大戦、シス大戦やシス内戦を含めた旧シス戦争、ジェダイ内戦。

 

やがて大銀河戦争により共和国は敗北し“()()()”冷戦が始まります。

 

その後も悲惨な戦いを続き共和国もジェダイもシスすらも疲弊し最終的に新シス戦争によりシスは滅亡したとされ戦争は終結しひとまずは1,000年の平和を手にしました。

 

ですが、その間にも戦いは続き戦い以上に銀河は苦しみに溢れていきました。

 

多くのものが堕落し最盛期の力を失いアウター・リムからコア・ワールドですら誰かしらの悲鳴や渇望が聞こえる、そんな時代が訪れます。

 

やがてその不満はナブー危機や分離主義危機に結び付き近代戦の幕開けとなる1,000年ぶりの大戦争、クローン戦争を引き起こしました。

 

再び銀河に大きな戦争が戻ってきたのです。

 

それは我が祖国が建国され反乱同盟軍、現在の新共和国との銀河内戦も同様です。

 

あの頃の我らにとって平和とは文字通り縁のないものでした。

 

特に悲惨なあの戦い、“第二次銀河内戦”では。

 

我々は皆死に物狂いでした。

 

相手もそれは同様で皆平等に狂い狂気の道を進んでいたでしょう。

 

狂気が狂気を包み、我々を彼らの狂気の世界へ連れていこうとする。

 

死を超えた恐怖と狂気が一時、あの銀河系を包んでいたのです。

 

先に申し上げたジェダイやシスの戦いが霞む程の大きな狂気が蔓延っていました。

 

もし我々が負けていたとしたらその後の戦後世界はきっとより狂気に満ちた世界になっていたでしょう。

 

考えるだけで身の毛がよだつ、苦笑いを浮かべるのが精一杯ですよ。

 

だからこそ我々は狂気の世界に逆戻りさせぬ為常に立ち続ける必要があります。

 

今は戦後、ですがいつ戦前となるかわからないのです。

 

特に今日における超兵器の発展は目覚ましくやがては遂にこの銀河を消失し、自らの手で自らを抹消してしまう日が来るかもしれません。

 

そんな最悪の未来を防ぐ為にも我々が正気と思えているうちに踏みとどまる必要があります。

 

それこそが勝利者である我々の務め、狂った大戦争を始めない為に我らはこの“()()()()()”に勝利する必要があるのです。

 

-ある議会でのスターファイター空軍長官の答弁より抜粋-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「急げ!!さっさとしないと爆発するぞ!!」

 

最後部でブラスター・ライフルを連射しながらジョーレンは通路を走る隊員達に声を掛けた。

 

乗ってきたセンチネル級が停泊するハンガーベイのドアまで辿り着きジェルマンやノールマン大尉らと共に迫り来る追撃の帝国兵を撃退している。

 

作戦は全てうまく成功した。

 

上手すぎてこの後が怖くなるほどだ。

 

ディゴール大臣の放送と共に最後の最後まで抵抗していた帝国艦隊は遂に最後の一隻のインペリアル級が撃沈し全滅した。

 

TIEスターファイター隊も残った機体は全て特攻を覚悟で突撃し全滅したらしい。

 

そのせいで予想外の損失を被ったのだが作戦の成功率からすれば微々たるものだ。

 

レイアとディゴール大臣の声は銀河全土に響き渡り“()()()()()()()()”、レジスタンスの産声を銀河に轟かせたのだ。

 

希望の灯火が消えていない事が示されやがて銀河中の人々が立ち上がるきっかけとなるだろう。

 

その布石を示した事が何よりの成功だった。

 

そしてこの後だがこの後はひたすら早くこのイセノから脱出するだけである。

 

既にこの放送を聞き近隣のデノンやビブロスのような惑星からは帝国軍の大部隊が出撃し始めている頃だろう。

 

もはや時間はないのだ。

 

既に全艦がディカーへの帰路を目指し座標計算しており残すはこのステーションにいる特殊部隊だけだった。

 

「ノールマン!ジェルマン!とにかくありったけの爆弾を投げろ!」

 

そう言いジョーレンはサーマル・デトネーターを投げつけ、ノールマン大尉とジェルマンはサーマル・インプローダーと近接反応爆弾を投げ込んだ。

 

起動と同時に全員が急いでドアの内側へ入りジョーレンがコントロール・パネルを破壊する。

 

ドアは完全に閉鎖され三つの爆弾の大火力が頑丈なブラスト・ドアに若干の凹みを生じさせジェルマン達はその間に急いでセンチネル級に急ぐ。

 

ハンガーベイには到着した時にはなかったストームトルーパーや宇宙軍トルーパーの屍が並んでおり相当の戦闘があった事を想起させた。

 

ジョーレンを一番最後に3人が昇降ランプからセンチネル級に乗り込みハッチが締まった。

 

「今出します!」

 

コックピットに急ぐと既にヘンディー曹長とブロンス曹長がコックピットにおり機体を離陸状態まで操作していた。

 

「頼むぞ!」とジョーレンは2人の肩を叩きセンチネル級は浮遊しハンガーベイから離陸した。

 

機体を反転させ偏向シールドが張られているハンガーベイから離脱する。

 

離脱する瞬間にセンチネル級は最大船速に到達し他の離脱しようとするスターファイター隊と合流した。

 

隣には2機のUウィングと一隻のGR-75中型輸送船がいた。

 

輸送船の方から音声通信が届く。

 

『少佐殿!ご無事でしたか!』

 

ハーディ上級曹長の声だ。

 

彼らは当初の予定通り倉庫に突っ込んだGR-75中型輸送船に回収されて脱出が成功していた。

 

これで全ての特殊部隊が欠ける事なく脱出出来た。

 

「ああ、余裕だったさ。ジェルマン、起爆の準備は?」

 

ジョーレンは背後を振り返り席に座るジェルマンに尋ねた。

 

彼は満面の笑みで自爆シークエンスのカウントダウンが映るタブレットの画面をジョーレンに見せた。

 

画面には残り5秒と書いておりどうやらジョーレンが立ち上がりセンチネル級のコックピットから無理やり後方を除いた瞬間ちょうど5秒が経過したようだ。

 

レジスタンス軍のスターファイターやセンチネル級の背後で通信ステーションは大爆発を起こし跡形もなく吹き飛んだ。

 

「これで証拠は隠滅…作戦は完遂か…」

 

「ああ…!やった!」

 

安堵するジョーレンの隣でジェルマンはガッツポーズを浮かべ大喜びだった。

 

ヘンディー曹長とブロンス曹長もハイタッチしノールマン大尉も一息ついていた。

 

ジェルマンにとっては初めての大勝利だろう。

 

彼は行くところ今までギリギリの負け戦ばかりでこのような勝ち戦はまだ経験した事がない。

 

当然嬉しいに決まっている。

 

喜び興奮する新生レジスタンス軍の将兵達は皆歓喜のうちにディカーへと帰還した。

 

緊急の帝国艦隊が到着する頃には既にイセノの軌道上には破壊されたジャンクのデブリ帯があるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

レジスタンスの急襲は銀河系を、第三帝国を大いに震撼させた。

 

帝国情報部、親衛隊情報部、宇宙軍情報部含めた諜報機関は皆発信源と逆探知に躍起になり両本部は無言の忙しさに包まれた。

 

帝国軍の国防軍、親衛隊の動きも早くデノンからは声明終了の15分後には既に臨時の艦隊が編成されデノンを出撃していた。

 

オイカン上級元帥率いる旗艦“リーパー”の第一艦隊もハンバリンを出立しイセノに向かっていた。

 

他の周辺域からも続々と救援部隊が送り込まれ分散した帝国艦隊が一挙に集中した。

 

それは帝国の首脳部も同様で銀河系に散らばるほぼ全ての高官達に対してコルサントへの緊急招集令が下された。

 

既にイセノに到着していたオイカン上級元帥も“リーパー”単艦で直ちにコルサントに向かい、ローリング大将軍も徹底した大攻勢を支持し“リベンジ・オブ・サイス”でコルサントへ向かった。

 

イセノ、デノンへ向かう最中のヴィアーズ大将軍一行も途中で進路を変え“アナイアレイター”でコルサントへ急いだ。

 

既にインペリアル級でコルサントへ向かっていたハイドレーヒ大将はいち早くコルサントへ到着し親衛隊保安局と親衛隊情報部、帝国情報部に喝を入れ指揮を取った。

 

とんでもない悪魔の帰還は十分に職員達の肝を冷えさせたらしく仕事能率は良くも悪くも何倍か上昇していた。

 

ひとまずコルサントでは徹底した情報統制が敷かれ『このようなテロを増長させる違法放送を許してはいけない』と繰り返しホロネットで流されていた。

 

既に今いるメンバーでCOMPNOR、帝国統治評議会の臨時会合が開かれ代理総統の下対策が練られ始めていた。

 

しかし長官のヒェムナーが到着するまでは代替案や一部の議題しか話し合われず実質的にはヒェムナー長官の到着を待つ事となっていた。

 

ヒェムナー長官とシュメルケ上級大将、フューリナー上級大将らファースト・オーダー視察組の到着はハイドレーヒ大将の到着から1時間後の事であった。

 

急ぎ艦隊と部隊を纏め一行はコルサントへの帰路を急いだ。

 

彼らに続き同盟国としてスローネ大提督やファースト・オーダーの高官が乗り込むエグゼクター級“エクリプス”もコルサントへ急いだ。

 

同盟者として彼らも議会への参加が求められたのだ。

 

ヒェムナー長官はコルサントに到着するなり代理総統に面会しすぐに議会へ急いだ。

 

シュメルケ上級大将とフューリナー上級大将も親衛隊本部へ急ぎ上級大将らと共に会議を始めた。

 

その間にスローネ大提督は代理総統と面会ししばらく最高指導者同士会話を交わしていた。

 

一方国防軍の高官達も続々とコルサントに集結していた。

 

既にホログラムでの会議を行なっており大体の決議は完了していたのだがやはり形というものは重要である。

 

まずヤヴィン攻撃を担当していたローリング大将軍の“リベンジ・オブ・サイス”が一番最初に到着した。

 

次にオイカン上級元帥の“リーパー”、ヘルムートの“エグゼキュートリクス”、ヴィアーズ大将軍の“アナイアレイター”が到着し全ての国防軍高官がコルサントに到着した。

 

軌道上に浮かぶコルサント本国防衛艦隊と共にこの強大なドレッドノートの艦列はホロネット・ニュースによって大々的に報道する。

 

何せエグゼクター級、アセーター級、マンデイターⅢ級とスター・ドレッドノートが勢揃いだ。

 

しかもエグゼクター級に至っては“リーパー”、“ルサンキア”、“アナイアレイター”、“エクリプス”と現存するエグゼクター級がほぼ全て揃っているのだ。

 

これを報道しないわけにはいかないだろう。

 

閣僚や評議員、モフや国防軍人、親衛隊員らも同様にホロネット・ニュースによって報道され帝国の結束力を示すプロパガンダに利用された。

 

かなり仰々しい様子ではあったが国民の不安は少なからず解消されただろう。

 

それは帰還したジークハルトも肌で感じていた。

 

「上級大佐、ご命令通り地上へ警備部隊を展開しコルサントの警備を当たらせています」

 

ヴァリンヘルト上級中尉が地上に展開した保安局や歩兵隊の将校らと共にジークハルトに報告した。

 

ジークハルト達の第三機甲旅団はシュメルケ上級大将にコルサントへの帰還をお供するよう言い付けられ急いで旅団の全兵器と全兵員を“ルサンキア”に押し込み再びコルサントへ帰還したのだ。

 

なんでもシュメルケ上級大将によれば「コルサントに未だ潜む反乱分子や危険種族が今回の放送により妙な考えを拗らせてテロ行為に走った時に君の能力と部隊が必要なのだ」らしい。

 

確かに保安局員一個中隊と幾つかの暴動鎮圧可能な歩兵部隊を持っているが私兵軍とはいえ我々は機甲旅団であり専門の軍事部隊だ。

 

治安維持は警察や保安局の専門で我々ではないしそもそも全く違う役割をやれというのは無茶な話なのだ。

 

まあ余計な事を考えても仕方がないと割り切り出来る限りの事はしているが。

 

「各隊に1人は保安局員の専門をつけろ。特に逮捕する時はなるべく保安局員の指示に従わせるんだ」

 

「了解しました」

 

ヴァリンヘルト上級中尉は他の将校らと共に振り返りその場を後にした。

 

重たい息を吐きながらジークハルトは親衛隊本部の窓辺からコルサントの大地を見つめる。

 

丁度今は日も暮れ始めた夜頃だった。

 

ジークハルト自身は生きてはいないがこのコルサントは随分と変わった。

 

様々な管制などの影響か夜間の都市部の明かりは若干少なくなったように思える。

 

帝国時代より前の旧共和国時代の堕落した、あの腐敗の象徴に近い眩いコルサントはジークハルトの眼前には存在しなかった。

 

灯りはあっても静かであり随分とノスタルジックになる哀愁を醸し出していた。

 

まるでどこか今の第三帝国を鏡で写しているかのようだ。

 

随分と変わってしまった、この都市も、この国も。

 

そして恐らく、私も。

 

「そんな事ないって、お前はお前のままだよ」

 

ジークハルトは振り返り息を荒げた。

 

そこに声の主はおらずただ雑談を交わす何人かの将校や下士官の姿しかなかった。

 

「また……幻聴なのか…?」

 

瞳孔が開き冷や汗が垂れ荒げる息のままジークハルトは周囲を見渡した。

 

幻聴じゃなければどれだけよかった事やら。

 

アデルハインとハイネクロイツ、そしてお前が今の旅団にいたら幾分か私の苦労も吹き飛ぶのだが、自業自得か。

 

「おいおいそんな浮かない顔してどうした?」

 

今度は幻聴ではない聞き馴染みのある声だった。

 

いつものハイネクロイツ中佐だ。

 

バレないようにこっそり汗を拭い平静を装う。

 

「別に、ただこれから…親衛隊保安局の本部に行くだけだ」

 

「うわぁ…それは最悪だ」

 

しっかり勘違いしてくれたようで何より……ではないがまあよかった。

 

正直この憂鬱さは親衛隊保安局の本部に向かう所も大きいかもしれない。

 

あそこは魔窟である親衛隊の中でも特に魔窟だ。

 

全員狂人と思ってもいいかもしれない。

 

「そうだ、丁度いいからお前も来い。余計な事言わなければ、かなりの高官だしハイドレーヒ長官閣下もパイロットらしいしな」

 

「えっ嫌だよ、アデルハインの方を連れて行けよ」

 

「アデルハインはモーデルゲン上級大将に呼ばれている。私1人で行こうと思ったがお前の運が悪かった、行くぞ」

 

ジークハルトは嫌がるハイネクロイツ中佐を引っ張り親衛隊保安局のブースまで引き摺っていった。

 

「そうだハイネクロイツ、お前に一つ頼みたい事があってな……」

 

「ん?」

 

道中ハイネクロイツ中佐にジークハルトは小さく耳打ちした。

 

中佐は全てを聞き終えると険しい顔を浮かべ小さく頷いた。

 

「すまんな…私情に巻き込んでしまって」

 

ジークハルトは顔を落とし彼に謝った。

 

こんな暗い顔をするのは久しぶりだ。

 

ハイネクロイツ中佐は微笑を浮かべ「いいんだよ」と答えた。

 

「別に蔑む事じゃねぇさ。父親として当然だと思うぜ俺は。もっと気を楽に持てよ、旅団長」

 

ジークハルトは申し訳なさそうな微笑を浮かべた。

 

それは今まで前線で一度も見せたことのないような微笑だった。

 

 

 

 

 

 

-帝国領 クワット宙域 惑星クワット-

クワットもコルサントほどではないが放送の影響で暫し忙しい状態にあった。

 

ヴァティオンはプリーター級スター・バトルクルーザーに乗り込みコルサントへ急ぎクワットでも重役や閣僚達を集めた緊急会議が開かれていた。

 

またもしかしたら新共和国軍がこのクワットを攻撃するかもしれないとクワット宙域艦隊及び帝国駐留艦隊は全艦警戒体制に入っていた。

 

議会はコルサントの会議に参加しているヴァティオンに変わってプレスタが代理の議長を務めていた。

 

席にはクワットの十家の貴族達が席についている。

 

「例のダミーによれば次の攻撃予定地は恐らくここらしい」

 

ランザー・デポン重役はホログラムを提出し役員や閣僚達に見せた。

 

彼は“ザ・テン”、デポン家の棟梁であり他の10人と同じくヴァティオンとは長い仲だ。

 

ランザーは他の者達と共に諜報活動などを行なっていた。

 

「惑星“ノルマンディー”。コロニーズの惑星でホズニアン・プライムと一直線の距離、何本かのハイパースペース・ルートの上にありイセノと同じく帝国軍の守りの要所だ」

 

星図の上に示された惑星ノルマンディーが赤く染まる。

 

「確かにここを突破すればあっという間にホズニアン・プライムだろうがかなり難しいぞ?」

 

アルタース・アンドリム重役はランザーに疑問を投げかけた。

 

アンドリム家もザ・テンの一員であり本来デポン家とは関係が悪いのだが現代では別だ。

 

またアルタース自身はクワット惑星防衛軍やクワット宙域艦隊を監督しており軍事的な心得も備えていた。

 

「勢いと奇襲で突破するつもりだろう。どの道このノルマンディーを破らない限りは連中に勝利はない」

 

「問題はどうやって情報を帝国に流すかです。やっぱりオルトロフの兄上に頼みますか?」

 

「また?」

 

プレスタの提案にオルトロフは思わず口を開いてしまった。

 

「まあそれしかないだろうな…」

 

「ああ、俺もそう思う」

 

ザ・テンのタブリア・クーラルヴルト重役とベルター・クニーレン重役は立て続けに賛同した。

 

オルトロフは仕方ないとため息を吐き「なんとかするかぁ」とボヤいていた。

 

「後は武器の提供だな……」

 

タンブリアは資料を見つめ口を開いた。

 

帝国と新共和国、レジスタンスの戦いは恐らく激化し両者更に兵器の増産を要求してくるだろう。

 

特にただでさえ普段からとんでもない桁の兵器を生産するよう要求してくる第三帝国は今回の事で更にエスカレートしそうだ。

 

彼らは経った数年で第一銀河帝国軍19年分の兵力を上回るつもりらしい。

 

かなり無理な話だが代理総統自身はその様子だ。

 

「こないだインコムや新共和国の国有工場を抑えただろ。あそこをそのままなんとか流用出来ないか?」

 

隣のベルターはタンブリアに提案した。

 

タンブリアは唸り声を上げ頭を掻いた。

 

代わりに反対側のオルトロフがタンブリアの代わりに答える。

 

お上(帝国)に隠れてやるのは中々厳しいし改修にも時間が掛かる。何より人が足りない」

 

「結局はそれか…」

 

ベルターはオルトロフの最後の発言に頭を抱えた。

 

現在のクワットはエイリアン種族が第三帝国に徴収されその分の労働者が少なくなっていた。

 

「そこは作業用のドロイドを使うしかない……配置は後で考えるとするが」

 

「そうですね…大変な仕事になると思いますが、皆さん頼みましたよ」

 

「ああ…」

 

『皆、元気そうにやってるじゃないか』

 

突然会場のホロプロジェクターが起動しヴァティオンの姿を映し出した。

 

コルサントからホロ通信で会議に飛び入り参加しているのだ。

 

「ヴァティオン、突然現れたから驚いたぞ。コルサントの会議はもういいのか?」

 

『会議?そんなものはない。ただ親衛隊や国防軍、お偉い方に「よろしく頼みます」と言われただけだ。今やってる本会議には出席すら出来てないからな』

 

「なるほど…まあ呼ばれたのはクワット・ドライブ・ヤード社の会長としてだろうからな…」

 

「それで暇になってコルサントから掛けてきたわけか」

 

オルトロフは苦笑いを浮かべながらホログラムのヴァティオンに声を掛けた。

 

だがオルトロフの口調とは反対にヴァティオンの顔は随分と険しいものだった。

 

『それもあるが今緊急で入ってきた情報を急いで伝えたい。全員、心して聞いてくれ』

 

「一体なんですか?ヴァティオンの兄上」

 

プレスタは思わずヴァティオンに尋ねた。

 

重苦しい雰囲気のまま彼から今後の銀河を左右する重大な情報が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-コルサント 親衛隊保安局本部-

「ジークハルト・シュタンデリス上級大佐とランドルフ・ハイネクロイツ中佐をお連れしました」

 

白服の保安局将校が敬礼し黒服のジークハルトとハイネクロイツ中佐は目の前の金髪の男性に同じように敬礼した。

 

金髪の男、ハイドレーヒ大将は簡易式の敬礼を返し案内の将校を下がらせた。

 

「時間通りだな」

 

「はい、シュメルケ上級大将の命令により既に一部の保安中隊と暴動鎮圧可能な歩兵部隊をコルサントに展開しています。ご迷惑なら直ちに下がらせますが」

 

簡潔的な報告で済ませ難癖を付けられない為に最低限の譲歩を付け加えておく。

 

下手に色々話すより簡潔な報告で済ませておくのがこの人に合っているような気がする。

 

長い間話していると変なものに取り憑かれそうだ。

 

「その件は私が上級大将に直接頼んだ事なので問題ない。素早い手配に感謝する」

 

「全てはコルサントの治安維持と市民の安全保護の為ですから。それで、私を呼んだ理由はなんですか?」

 

ジークハルトは単刀直入に尋ねた。

 

この冷酷な保安局長官に物怖じせず尋ね込むのは中々に勇気がいるがそんな事気にしている場合ではない。

 

ハイドレーヒ大将は口元は微笑を浮かべていても獣を宿す瞳はそのまま話し始めた。

 

地下階層(アンダーワールド)で大規模な暴動、抵抗活動を察知し鎮圧部隊を展開する事になった。その指揮をこのフリシュタイン大佐と共に取っていただきたい」

 

「私がですか?適任者は他にもいると思いますが」

 

「これもシュメルケ上級大将の命令だ。それに君の手腕ならすぐに殲滅してくれるだろう?“()()()()()()()()”」

 

「それは誰の事で?」

 

ジークハルトはわざとらしく尋ねる。

 

ハイドレーヒ大将は皮肉いっぱいの笑みを浮かべ「当然君のことだ」と述べた。

 

それにフリシュタイン大佐が付け加える。

 

「上級大佐はアンシオンでの活躍を評価され宣伝省でそのようなプロパガンダが発令される事が予定されています」

 

「そうですか…また大層な名前を……。準備があるのでこれにて失礼します」

 

「ああ、敵対者に対しては何をしても構わん。生かして捕らえる必要もな、躊躇うなよ上級大佐。敵は微かな希望とやらに惑わされた愚か者の集まりだ」

 

「はい長官殿」

 

2人は敬礼し長官室を後にした。

 

通路を歩き親衛隊保安局のブースを出るまで一言も喋らない。

 

もしかすると“()()()()()()”可能性すらもあるからだ。

 

暫くするとハイネクロイツ中佐が口を開いた。

 

「なんだかとんでもない事任されちまったな」

 

「ああ、当然お前にも来てもらう」

 

「はぁ…人使いの荒い旅団長殿だ……」

 

ふとハイネクロイツ中佐は目線を上げジークハルトの顔をまじまじと見た。

 

ジークハルト本人は困惑していたがそれでもハイネクロイツ中佐は彼の顔を見続ける。

 

「お前…あのフリシュタインとかいう保安局の大佐にやけにそっくりだったな」

 

「そうか?そんな事はないと思うが」

 

ジークハルトは否定するがハイネクロイツ中佐はやはり似ていると確信を強めていた。

 

瞳の色や髪の色、なんとなく顔つきも似ているような気がする。

 

「さては親戚なんじゃないの?」

 

ハイネクロイツ中佐は彼に尋ねる。

 

ジークハルトは首を傾げ苦笑を浮かべすぐに首を振り「ナイナイ」と否定した。

 

「私は一人っ子だ。母も早くに死んでしまったし父は不倫したり隠し子を作るような人間じゃない」

 

それもそうだ、故バスティ・シュタンデリス准将は実直で厳格な軍人でその性格も反せず不祥事や如何わしい噂などひとつもなかった。

 

なんとなくジークハルト本人の漢字から察しは着くだろう。

 

「まあ他の親戚は分からないけど少なくとも兄弟とかそんなんじゃないと思うよ」

 

「そうか…?そうかもしれんが…」

 

疑問を持ちながらハイネクロイツ中佐は歩いた。

 

彼の疑問は出撃した後も解決する事はなかったが。

 

 

 

 

 

-イリーニウム星系 惑星ディカー-

ディカーの軌道上に何十隻もの軍艦と何十機ものスターファイターが帰還した。

 

ハイパースペースからジャンプアウトした新生レジスタンス艦隊はディカーを出撃した時よりも多く存在していた。

 

帰還と共に地上のディカー基地は端から端まで歓喜の声に包まれ全員が作戦の成功と無事の帰還を喜んだ。

 

レジスタンス艦隊は歓喜よりも無事に帰ってこれた安堵に包まれ皆互いに隣の翔平と握手を交わしていた。

 

スターファイターや高官達は皆先んじて地上ディカー基地へ戻り多くの将兵達に出迎えられる中司令部へ戻った。

 

ジェルマンとジョーレン達を乗せたセンチネル級も無事地上に着陸した。

 

船内の武器を下ろしながら彼らはディカーの土を踏み締めた。

 

生きて帰ってきた事の何よりの証明だ。

 

「これで無事作戦は終わりか……」

 

「ああ、レジスタンスとしての良いスタートが取れた。だがこれからはもっと忙しくなるだろう」

 

「そうだな。まだ帝国を倒すには至らないし」

 

レジスタンスとして立ち上がる事は成功したがまだ絶対の勝利は何千、何万歩も先の事だ。

 

その薔薇の危険な道を我々は進まなければならない。

 

「しかしこれで少佐とはお別れですね」

 

後ろからひょいと出たノールマン大尉が独り言のように呟いた。

 

「そうだったな。この作戦が終わればこの部隊も解散、新しい任務か」

 

「短い間でしたが色々とありがとうございました」

 

ジェルマンはノールマン大尉に敬礼し大尉も敬礼を返した。

 

この特殊部隊は解散されおそらく別々の任務が割り当てられるのだろう。

 

もしかすると再び結集する事もあるかもしれないが。

 

「また昔のようにバスチル少佐と共に戦えて光栄でした」

 

「俺もだよ。それじゃあな、大尉」

 

「はい!」

 

ノールマン大尉は満面お笑みで敬礼し他の隊員達と共に去って行った。

 

残されたのはジェルマンとジョーレンの2人だけだ。

 

「さて、我々も一服やるか」

 

「ジョーレンタバコ吸わないでしょ」

 

「ああバレたか。まあ少しは休んでいようぜ、いつお呼び出しが…」

 

「バスチル少佐!ジルディール上級中尉!司令室でディゴール大臣がお呼びです!」

 

遠くから士官の声が聞こえ2人は苦笑を浮かべ肩をすくめた。

 

どうやらこの2人に休む時間などないらしい。

 

彼らは士官の呼び出し通り急いで司令室に向かった。

 

道中随分と有名人のように持て囃されたが忙しく少し休みたかった2人にとってはどうでもいい事だった。

 

司令室のドアが開き2人はいつもの室内に入った。

 

「バスチル少佐、ジルディール上級中尉、参上しました」

 

2人は敬礼し帰ってきたばかりなのにもう齷齪働くディゴール大臣に敬礼した。

 

先程まで艦隊を指揮し演説を行なっていたとは思えないほどもう仕事に埋もれている。

 

この人こそ少し休んだ方がいいんじゃないかと2人ともなんとなく思っていた。

 

「ご苦労、休みも与えられず申し訳ない。君達のお陰で作戦は成功しレジスタンスの声明は銀河に広がった。数日後になるが君たちに新しい任務を与える」

 

大臣は先に謝り彼はホロテーブルを起動した。

 

「ディカーの近く、ミッド・リムの惑星ナブー。君達は知っているな?」

 

「はい、平和主義の惑星で…銀河皇帝シーヴ・パルパティーンの生まれ故郷ですね」

 

ジョーレンは簡潔に答えディゴール大臣も「そのと通りだ」と口を開いた。

 

「だがナブー自体は新共和国に友好的に接し加盟国の一つでもあった。だが……」

 

「新共和国崩壊と同時にナブーで現地の保安軍によるクーデターが発生し今は実質定期に帝国の属国……でしたね」

 

ジェルマンは重々しい口調で答えた。

 

ディゴール大臣もゆっくりと頷いた。

 

「今もなおナブーはクーデター軍が主軸の暫定政権が支配している。そこで君達にナブーの解放、もしくは幽閉中のソーシャ・ソルーナ女王らを救出して欲しい」

 

「女王の救出はともかくナブーの解放は……」

 

「ああ、解放に関しては我々も最大限にサポートする。現地のグンガン軍と脱出に成功した保安軍部隊を先導及び武装支援し解放を手助けする」

 

「直接地上軍を送り込むのはどうでしょうか」

 

ジェルマンは思わず提案した。

 

ジョーレンも気持ち的には同じ雰囲気だった。

 

「出来ればそうしたいが地上軍は次の攻撃作戦の為に温存して置きたい」

 

「次の攻撃とは?」

 

ジョーレンはディゴール大臣に尋ねた。

 

大臣は隣に控えている幕僚達と顔を合わせ話してもいいかを目で確認した。

 

幕僚達は了承しディゴール大臣は口を開いた。

 

「我々は次の攻撃地点としてホズニアン・プライムに直接繋がる帝国軍の重要拠点、惑星ノルマンディーを攻撃する」

 

ホログラムがノルマンディーとホズニアン・プライム近くに移り変わった。

 

「このノルマンディーを陥落させればホズニアン・プライムへの突破口が開ける。その為には上陸の為の地上軍の部隊をナブー側に送る訳にはいかないのだ」

 

「なるほど…ですがノルマンディーがそう簡単に墜とせますか?あそこには現在のイセノ以上の帝国艦隊と防衛部隊が展開されていますが」

 

ジェルマンは不安げにディゴール大臣に尋ねた。

 

ノルマンディーがやられれば次はホズニアンというのは帝国軍も重々承知している。

 

その為ジェルマンの言う通りかなりの戦力が敷き詰められていた。

 

「奇襲攻撃による電撃的な上陸作戦を行う。敵はイセノに釘付けでありやるとしたら今しかない」

 

「確かにハイパースペースの航路上の駐留惑星が防備を強化されたら突破が難しくなる。それにナブーをレジスタンスが直接ではなく現地の勢力が本来の女王の下、解放に成功したら十分な大義名分が生まれる」

 

「その通りだ、だから最悪の場合女王と元政府側の人間さえ救出してくれればいい。ソルーナ女王がレジスタンス側に加われば直接部隊を送る事となってもナブーの解放への大義名分が生まれる」

 

ディゴール大臣はジョーレンの感想に説明を付け加えた。

 

第一目標はソルーナ女王らの救出、第二目標はグンガンや抵抗組織を支援し協力してナブーを解放する事。

 

どちらもかなり重大で重要な任務だが成功すれば帝国への精神的な打撃となる。

 

「ナブーはパルパティーンの生まれ故郷、この地が再び陥落したとなれば帝国の面目も潰れるだろう。再び険しい任務となるだろうが頼めるか?」

 

2人は大きく頷いた。

 

そこでジョーレンが口を開く。

 

「なら一つだけ要望が、我々が登場するUウィングにステルス・システムを搭載してくれませんか?ナブーの防衛網を掻い潜って侵入する為にもステルス・システムがあれば安心です」

 

「分かった手配しよう。設置や準備には時間が掛かると思うからその間に休息を取ってくれ」

 

「分かりました」

 

2人は敬礼し司令室を退室した。

 

新たな任務の間の小さな休息を少しでも長く味わう為に。

 

 

 

 

 

-ミッド・リム コメル宙域 ナブー星系 惑星ナブー軌道上-

何隻かの灰色のラインとナブー王室と帝国の国章が合体したような紋章を入れた艦隊ナブーの軌道上に集結していた。

 

何機かのTIEインターセプターの背後にN-1スターファイターやN-1Tアドバンスト・スターファイターが続きスターファイターの編隊を成している。

 

艦隊は殆どがCR90コルベットやネビュロンBフリゲートと言った惑星防衛軍や警備部隊に配備される標準的な代物ばかりだ。

 

しかし間にアークワイテンズ級やレイダー級、グラディエーター級が入る事によって微妙に異質な存在という事を示していた。

 

艦隊の間反対には三隻のインペリアル級スター・デストロイヤーが護衛のアークワイテンズ級と共に艦列を組み待機している。

 

そのちょうど間にインペリアル級よりも400メートル程小さないスター・デストロイヤー、プロカーセイター級スター・デストロイヤーが三隻軌道上に駐留していた。

 

この三隻のプロカーセイター級が今後のナブー王室宇宙艦隊の中核を成す存在として旗艦を務めるのだ。

 

中央のプロカーセイター級のブリッジには現在のナブーの実質的指導者であるクリース一等宙将が帝国軍側の説明を聞いていた。

 

「ブリッジは通常の帝国艦船と同じで一応オートメーション・システムで人員の削減が成功しております」

 

宇宙軍の中佐は微笑を浮かべクリース宙将らに説明を行っていた。

 

「ですが暫くはシステムの監視の為我が軍の技術者や乗組員を置かせて頂きます」と付け加える。

 

「構いませんよ。こんな素晴らしい軍艦を提供して頂けるのなら十分だ」

 

ブリッジや船体を見つめクリース宙将はそう評価した。

 

「本来はインペリアル級を提供する予定でしたが戦力的に叶わず…」

 

「全く問題ありません。この艦があれば当分ナブーは防衛出来ます」

 

プロカーセイター級スター・デストロイヤーは全長が1,200メートルとインペリアル級よりも400メートル程小さい艦だ。

 

本来は護衛艦としても役割も備えており、火力もインペリアル級よりは低いがクリース宙将の言う通りナブー王室宇宙艦隊からすれば十分な代物だ。

 

特に航宙戦力がN-1スターファイターしかないような時代と比べれば随分と豊かに感じる。

 

「地上部隊用として何台かのアサルト・ウォーカーとホバータンクを提供します。是非地上部隊の戦力増強としてお使いください」

 

「直ちに手配しましょう」

 

イェアル新保安隊隊長はそう口を開いた。

 

彼の背後にはクーデターに参加し新たに部隊長や将官となった者達が続いている。

 

皆裏切り者であり第三帝国や帝国への信奉者達だった。

 

第三帝国派としてクーデターを起こしソルーナ女王を幽閉した彼らはその褒美として第三帝国から軍事支援などを受けナブーの支配を万全としていた。

 

かつての平和主義を掲げていたナブーの姿はどこにもなく首都シードではあちこちでフラッシュ・スピーダーやステッドファスト戦車が闊歩している始末だ。

 

それだけならまだマシだがナブーのあちこちでクーデターを逃れた保安軍将兵が抵抗活動を続け首都シードなどは度々戦闘になる事があった。

 

しかも彼らはグンガンの支援を受けている為かなり手強い相手だ。

 

故に軍備増強はクーデター軍の暫定王室を長引かせる為にも重要な課題となっていた。

 

「新共和国の残党がレジスタンスを結成する声明、あれにより我が国のテロ活動も活発化する可能性があるでしょう。何よりレジスタンスからの直接攻撃も……不安は尽きません」

 

クリース宙将は不安げに最近の実情を話した。

 

彼の言う通りナブーにも流されたあの声明は抵抗勢力を活発化させる力を十分に持っている。

 

このまま抵抗運動が続けば厄介な事になるのは間違い無いだろう。

 

なんなら無政府状態かもあり得る話だ。

 

「その事で一つお話したい事が…」

 

「なんですか?」

 

クリース宙将の問いに中佐は彼の近くに向かって小声で耳打ちした。

 

中佐の情報を聞いたクリース宙将は顔を硬らせ「それは本当ですか?」と尋ね返した。

 

「はい、親衛隊情報部、帝国情報部からの確かな情報です」

 

中佐は二つの諜報組織の名前を出して断言した。

 

クリース宙将は少し考え込み「すぐ対策を取ります」と返答した。

 

惑星ナブー。

 

銀河皇帝の生まれ故郷であり永き平穏を終わらせる第一の戦場となった場所。

 

始まりの場所で再びレジスタンスの始まりと自らの立場を賭けた戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

-コルサント 帝国軍司令本部-

国防軍での会議が終了しヴィアーズ大将軍は珍しく1人通路を歩いていた。

 

大将軍になってからは常に補佐官や副官が数名付きっきりで1人で歩く事など滅多になかった。

 

数年前まではそんな事なかったのだが。

 

あの“エグゼクター”の中で当時指揮官だったオッゼル提督と共に通路を歩いていたのはもう五年も前か。

 

その直後にピエット元帥、当時はピエット艦長が報告しそこからホスの戦いが始まった。

 

当初予定されていた軌道上爆撃が叶わずかなりの苦戦が予想されたが我々はそれをなんなく突破した。

 

オッゼル提督は奇襲が得策だと判断したがあの段階では既にヴェイダー卿の言う通り愚策であっただろう。

 

提督が間抜けで不器用……かは断言出来ないが少しばかり前線に向いていなかったのは違いない。

 

だがある意味オッゼル提督のお陰でブリザード・フォースの伝説は形作られた。

 

しかしあの戦いは必ずしも帝国の圧倒的優勢であったわけではない。

 

ネヴァー准将とスターク大佐を失いヴィアーズ大将軍自身も負傷した。

 

運良く今もパイロットのラストクらに救出され速やかな処置によりその後も敵基地まで攻撃を敢行出来たがもしかしたらその場で死んでいた可能性すらある。

 

負傷からの回復と上級将軍(High General)に昇進し復帰した頃にはエンドア戦、忙しい数年間だった。

 

それは今後も変わらないだろうが。

 

忙しくなる、だが全ては守るべき祖国の為に。

 

帝国軍人として帝国に忠義を尽くす、ただそれだけだ。

 

「ヴィアーズ大将軍、久しぶりだな」

 

通路の奥から声が聞こえた。

 

「ブラシン大将軍」

 

ヴィアーズ大将軍と同じく深緑色の軍服に大将軍の階級章を身につけたこの人物はマルコール・ブラシン大将軍だ。

 

若くから帝国の士官として戦いローリング大将軍とほぼ同時期くらいに大将軍に昇進した帝国地上軍の軍人だった。

 

しかし頼りにしていたとある将校に裏切られ決定的な敗北を受けた。

 

それでもブラシン大将軍はエンドア戦後も名有りの帝国軍人であり続けラックス元帥の一派に暗殺されかけるなど散々な目に遭ったがそれでも生き延びつい最近第三帝国に帰属した。

 

エイリアン種族の盗賊に妻と娘を殺されたブラシン大将軍はエイリアン種族迫害主義の第三帝国と総統に深く心酔していた。

 

その為途中参加であっても他の大将軍とほぼ同格の扱いを受けているのである。

 

「方面軍の司令官は慣れてきましたか」

 

「まだマーゼルシュタイン元帥やローリング大将軍にサポートされてばかりだ。だが私を救っていただいた総統閣下とこの国の為、精一杯やるつもりだ」

 

この国の為、か。

 

同じ事をヴィアーズ大将軍も思っていたがブラシン大将軍とは熱意の矛先がどこか違う気がした。

 

「そちらも地上軍長官と防衛司令官、南方方面への進軍の兼任は大変だろう」

 

「ええ、まあ。ですがやはり直接部隊を指揮している時が一番慣れ親しんだ気がしていますよ」

 

ブラシン大将軍は「確かに」と相槌を打っていたが自ら直接部隊を指揮するヴィアーズ大将軍とはやはり微妙に違っていた。

 

とはいえブラシン大将軍は同じ帝国に仕える大将軍同士としてかなりヴィアーズ大将軍を気に入っている様子だった。

 

それは恐らく同じくラックス元帥に殺されかけ大将軍であるローリング大将軍にも言える事だろう。

 

そんな話をしているからだろうか。

 

先程まで同じ会議室にいたローリング大将軍が近くを通り過ぎようとした。

 

何処となくいつもの彼とは違い少し不機嫌気味な様子だ。

 

しかしそんな事お構いなしにブラシン大将軍は声を掛けた。

 

「ローリング大将軍、ここで出会うとは。大将軍3人、運命的なものを感じるよ」

 

「…ヤヴィン攻略の部隊を一部防衛に回すように命じられた…!あれだけの打撃を与えたのに…!」

 

少しキザな様子で声を掛けるブラシン大将軍に対しローリング大将軍は前触れもなく愚痴を入れた。

 

彼の苛立ちの原因は恐らくそれだろう。

 

イセノの大打撃を受けて戦力を一部戻すよう言われたのだ。

 

しかもイセノの守備を担っていたのは親衛隊でありローリング大将軍は実質的に大嫌いな親衛隊の尻拭いをしている事になる。

 

「私も部隊を一部デノンやインナー・リムへ戻すよう命じられた。今は仕方のない時だ」

 

「ああ…!だが納得出来るか!何故連中の尻拭いの為に俺の兵力を削がなければならんのだ!」

 

「まあまあ、そう目くじら立てずに。反撃のチャンスはまだいくらでもある」

 

ブラシン大将軍は怒るローリング大将軍をそう言って宥めた。

 

反撃のチャンス、か。

 

ブラシン大将軍の発言である事を思い出したヴィアーズ大将軍は小さく笑みを溢した。

 

それを見逃す大将軍2人ではなくブラシン大将軍とローリング大将軍はヴィアーズ大将軍の方を見た。

 

ヴィアーズ大将軍はそのまま口を開いた。

 

「反撃のチャンスはすぐそこにある。ローリング大将軍」

 

「なんだ」

 

ぶっきらぼうに答えるローリング大将軍にヴィアーズ大将軍は答えた。

 

「あなたの力とスターファイター隊を借りたい。レジスタンスとやらの出端を挫いてやろう」

 

 

 

 

 

 

同じ頃コルサントの帝国軍本部では宇宙軍長官のオイカン上級元帥が宇宙軍情報部のウィルへランツ・カーレリス提督と立ち話をしていた。

 

かつては帝国情報部に併合された宇宙軍情報部であるが銀河内戦後、一つでも拡張組織を欲した帝国は宇宙軍情報部を再編し復活させた。

 

現在は再統合の話が出ているが今の所情報部長を勤めているのはこのカーレリス提督だ。

 

彼らは宇宙軍情報部が今の所入手している情報の共有と対策を練っていた。

 

隣には国防宇宙軍から新たにファースト・オーダー宇宙軍へ交換将校として出向くクリス・パワー提督がいる。

 

「レジスタンス艦隊は経路不明のハイパースペースを経由しどこかしらの秘密基地へ撤退した可能性が高いです。それもハイディアン・ウェイとコレリアン・ランを経由して」

 

「周辺のパトロール部隊も一時的にですが妙なクロノー放射を捉えたという報告が出ています」

 

カーレリス提督の報告にパワー提督は付け加えた。

 

クロノー放射はスターシップがハイパースペース・ジャンプを行う際に放出されるものだ。

 

情報を照らし合わせればもしかすると敵を割り出す手掛かりになるだろう。

 

「帝国情報部と親衛隊情報部は恐らく別の情報を掴んでいます。恐らく帝国に対する次の攻撃作戦かと」

 

「ならばローリング大将軍とヴィアーズ大将軍が対処するだろう。恐らく敵の攻撃地点は惑星だ、宇宙軍は必要に応じて動かす」

 

「了解」

 

命令を聞き入れパワー提督がその場を後にした。

 

残りはオイカン上級元帥とカーレリス提督だ。

 

独り言のようにカーレリス提督は口を開く。

 

「しかし銀河に対する宣言ですか……こんなものを許すとは帝国も随分と緩くなったものですね」

 

「そう言うな。その分の反撃と埋め合わせはきっちりやるさ」

 

オイカン上級元帥はそう宥めたがカーレリス提督はまだ話した。

 

「…正直、新共和国に宣戦する時点から若干危惧していました。“()()()()()()()()()()()()”と。我々は無茶な事をしている気がします」

 

「それはそうだが…我々はそれでも勝利した」

 

「ですが今回、いやその先はどうでしょうか。我々は“向かってはならぬ道”を進んでいる気がしてなりません…」

 

オイカン上級元帥は一瞬だけ口を閉ざした。

 

確かにエンドアから今に至るまで我々は随分と道を間違えたのかもしれない。

 

だがもう引き返す事はないし他に道はないのだ。

 

「過ぎた事ばかり言ってしまいました。忘れて下さい」とカーレリス提督は寂しく言いその場を去っていった。

 

「進み過ぎたのか…この国も…」

 

オイカン上級元帥はふと昔のことを思い出した。

 

まだクローン戦争時代の中尉だった頃。

 

戦火の被害を受けた故郷の姿。

 

オイカン自身に力がなかったのは確かだったがあの銀河共和国自体に力がなかった。

 

結局何も守れなかった。

 

だから疑問を孕みつつも新たに希望と力を持って生まれた帝国の存在をオイカンは受け入れたのだ。

 

何かを守る為に、あの二の舞を防ぐ為に。

 

だが、そう思って進んで来た道の果てのはずなのだが…。

 

少し遠くに来過ぎたのかもしれない。

 

オイカン上級元帥は最後に一言小さく付け加えた。

 

「私も…」

 

 

 

 

 

 

3人の将校に引き連れられ数十名の暴動鎮圧ストームトルーパーが進んでいく。

 

どれも親衛隊保安局配下のストームトルーパーで部隊長は白いポールドロンを身に纏っている。

 

恐らく部隊の軍曹だろう。

 

3人の将校、フリシュタイン大佐とジークハルトとハイネクロイツ中佐は皆アーマーを着てその上からロングコートを羽織っている状態だった。

 

手にはブラスター・ピストルと通信機などを持ち各部隊に指示が出せる状態を維持していた。

 

「間も無く配下の小隊と合流出来るはずです」

 

「警備のショック・トルーパー小隊と我が親衛隊保安局の保安小隊が既に暴徒集のアジトを包囲しています。なるべく急ぎましょう」

 

ジークハルトの報告にフリシュタイン大佐は冷たく提案した。

 

あまり好意的ではない返答の仕方だ。

 

その様子を見てハイネクロイツ中佐は見るからに不満げな表情を浮かべている。

 

そこであえてジークハルトはフリシュタイン大佐に尋ねた。

 

「しかしよくもまあそこまでアジトを割り出したもんですね」

 

「保安局麾下の警備隊の警備強化もありますがハイドレーヒ大将の影響が大きいでしょう。彼が情報部と保安局の連携を強化したことによってこのコルサントの暗部は光で照らされた」

 

暗闇がなくなり彼らの言う“()()()”とやらが浮き彫りになったわけか。

 

所詮は一介の上級大佐でしかないジークハルトが親衛隊や親衛隊保安局の全貌など分かるわけがないが想像はつく。

 

今や親衛隊の諜報機関や秘密警察はハイドレーヒ大将の帝国となったわけだ。

 

「では今回のような事も次期になくなるというわけですか?」

 

ジークハルトはフリシュタイン大佐に更に尋ねた。

 

フリシュタイン大佐は口調や表情を変える事なく返答する。

 

「はい、我々が“()()”を成し遂げればの話ですが」

 

「試練?一体なんのことですか?」

 

フリシュタイン大佐のその言葉はまるで宗教的な何かに聞こえた。

 

保安局が治安維持活動を行う事が試練とはなんなのだろうか。

 

しかしフリシュタイン大佐は「すぐに分かりますよ」とだけしか言わなかった。

 

だがそれ以上会話が続く事はなかった。

 

前方に五十数名はいるストームトルーパーの一団を発見した。

 

第三機甲旅団配下のストームトルーパー歩兵小隊だ。

 

「シュタンデリス旅団長!」

 

小隊長のハリウス少尉がトルーパーをかき分け前に出て敬礼する。

 

ハリウス少尉のストームトルーパー達は全員暴動鎮圧用装備を身につけておりライオットシールドと警棒付きのE-11を装備していた。

 

ジークハルトとハイネクロイツ中佐も敬礼を返し彼の方に分隊ごと近づいた。

 

「ヴァリンヘルト上級中尉が直接率いている二個小隊が別の暴動鎮圧地域を制圧したとの報告が入りました」

 

案の定暴動、氾濫活動が始まったようだ。

 

流石ヴァリンヘルト家の男にして自慢の副官だ、既に一団を撃破したようだった。

 

そのヴァリンヘルト上級中尉にジークハルトは命令を出す。

 

「そうか、直ちにショック・トルーパー小隊に合流させろ。暴徒集の揺動の可能性がある、親衛隊保安局の鎮圧プログラム通りに動くんだ」

 

「了解しました」

 

別の下士官が頷き通信機を起動した。

 

その間にジークハルトは周囲を見渡し様子を確認する。

 

アンダーワールドも随分と静かだ。

 

我々の存在を警戒してか人っ子一人見当たらなかった。

 

「…静かだな」

 

「ああ、コルサントも寂れたもんだ」

 

「どうかしまし…」

 

刹那、コートの中から眩い赤い光が別々の方向に二発放たれ近くの建物から黒い何かが落ちその僅かな自由落下の時間に近くの柱が大きな爆発を起こした。

 

少尉は困惑しフリシュタイン大佐はブラスター・ピストルを引き抜き臨戦状態に入る。

 

直後何かが落ちてきた建物の方から銃声音と共に赤い光弾が放たれジークハルトの側に寄ってきたハリウス少尉と彼の背後にいたストームトルーパーが一名その弾丸に直撃した。

 

Defense(防御)!」

 

ジークハルトの一言と共にストームトルーパー達が一斉にライオットシールドの壁を作り隙間からブラスター・ライフルを覗かせ発砲した。

 

その間にジークハルトは少尉とストームトルーパーの側により2人を手当てし始めた。

 

また別の衛生兵が駆けつけ「そっちを頼む」とストームトルーパーの方を任される。

 

「大丈夫か少尉」

 

「はい……それよりも早く敵を倒さないと…!」

 

「大丈夫だ少尉、その心意気さえあればお前は勲章ものだ」

 

バクタ液を掛け少尉に止血帯を巻き付ける。

 

ジークハルトの手際の良さは隣の専門職の衛生兵並みですぐに応急処置が完了した。

 

その間にフリシュタイン大佐のストームトルーパー隊が追加の攻撃を行い敵に集中砲火を浴びせ掛け爆薬を投げつけた。

 

時折断末魔の叫びのようなものが聞こえ人影のようなものがその場に倒れていった。

 

「チッ!先回りされた!」

 

アタッチメント付きのウェスター35ブラスター・ピストルを放ちながらハイネクロイツ中佐はそう吐き捨てた。

 

しかしハイネクロイツ中佐の突然の銃撃と小隊の素早い防御、フリシュタイン大佐達の烈火の如き攻撃により敵は完全に総崩れだ。

 

優勢なのは間違いなくこちら側だった。

 

劣勢を悟った敵は直ぐに建物の通路を伝って逃げ始めた。

 

当然逃すつもりもない。

 

「構成第一分隊は建物の中から敵を追え。第二は少尉と負傷者の救護、第三はこのまま通路から、第四、第五は直ちにヴァリンヘルト隊に合流しろ」

 

「了解!」

 

素早く小隊に命令を出し敵を追撃させる。

 

ストームトルーパー達は分散して敵を追いかけ残されたのはフリシュタイン大佐麾下の分隊とハイネクロイツ中佐のみとなった。

 

ハイネクロイツ中佐はジークハルトとアイコンタクトを取り彼は腕のグラップリング・フックとアセンション・ケーブルで空中から敵を追った。

 

ジェットパックがなくとも彼は空中を自由自在に動きアンダーワールドの狭い空を駆け巡り襲撃者を追う。

 

「奴らの追撃はハイネクロイツに任せて我々は…」

 

「敵のピンポイントの奇襲攻撃、更には確保された逃走経路に先にハイネクロイツ中佐が破壊した爆弾。連中我々を確実に監視してますね」

 

「ええ、まさか逆に見張られていたとは思わなかった。だが裏を掻く事もできる」

 

ジークハルトは先ほどまで銃撃戦が行われていた建物の中へ入っていった。

 

既に先んじて突入したストームトルーパー分隊のおかげで内部の安全性は確かめられている。

 

ジークハルトとフリシュタイン大佐を先頭に他のトルーパー達もシールドを構えつつ内部に侵入した。

 

建物の中は明かりがなく真っ暗闇だった。

 

「ライトを」

 

フリシュタイン大佐の命令で1人のストームトルーパーがヘルメットのギアに取り付けられたライトを点灯する。

 

明かりで建物内がよりクリアになり一行はその中で地下に繋がる通路を発見した。

 

階段からその下はより深い暗闇でよく見えなかったが段ごとに泥で汚れた足跡がついている。

 

ここから襲撃者達はどこかへ逃げたのだろう。

 

「行きましょう」

 

ジークハルトは真っ先に階段を降り先に進んだ。

 

敵が待ち構えている可能性も罠が仕掛けられている可能性もまだあるがそれでも指揮官として先に進まなければならない。

 

「きっ来たぞ!!」

 

遠くから声が聞こえジークハルトは暗闇の先にいる敵の存在を確認した。

 

やはり待ち構えていたようだ。

 

敵が高速で離脱した為罠などの存在はないだろうと予測していたが敵の待ち伏せの可能性は十分に高かった。

 

だがその対策は既にしてある。

 

ジークハルトはロングコートから二丁のE-11ブラスター・ライフルを取り出し両手でしっかりと押さえながら引き金を引いた。

 

二丁の強力なブラスター・ライフルから一瞬のうちに何発もの弾丸が放たれ敵を撃とうとした襲撃者達を蹴散らした。

 

暗闇の向こう側で何かがバタバタと倒れる音と鈍い音や声が聞こえ襲撃者達は次々とジークハルトの弾丸に撃ち倒された。

 

「今のうちに進め!恐らくこの通路は敵のアジトに通じている!ここから直接叩くぞ!」

 

数名のストームトルーパー達がジークハルトの前を横切り盾とブラスターを構えながら前へ進む。

 

ジークハルトも発砲をやめ前進するストームトルーパー達に続いた。

 

隣にはフリシュタイン大佐もいる。

 

彼は指揮官らしくRK-3を装備しジークハルトの隣を歩いていた。

 

2人並ぶとその姿は本当に兄弟や双子のようで両者とも唯ならなぬ気配を顔し出していた。

 

それはケーブルで空中浮遊し移動するハイネクロイツ中佐も同様だった。

 

コートを脱ぎ捨て一部のアーマーを付けた状態で敵を追いウェスター35で狙い撃つ。

 

既に2、3人の逃げる敵や湧き出て応戦する敵を撃ち殺していた。

 

左腕のケーブルとウェスター35のケーブルで敵を追う彼に突如通信が入った。

 

『ハイネクロイツ、こっちは地下通路から敵を追撃中だ。そっちは恐らく暴動鎮圧中の部隊に合流するだろう。その時は容赦なく敵を殲滅しろ、降伏しない限り撃ち漏らすな』

 

「了解、それじゃあ案内も兼ねて連中は追いかけながら何人か生かすとする」

 

『頼んだぞ』

 

通信が途切れハイネクロイツは左手のウェスター35に別のアタッチメントを装着し一気に攻撃モードに入った。

 

敵の近くにケーブルを差し込み一気に距離を詰める。

 

回転しながら接近し接近時間を短縮し一番後ろを逃げる敵を銃撃した。

 

斃れる屍を超えて猛スピードで逃げる襲撃者の1人を左腕の銃剣付きウェスター35で刺殺した。

 

刺された襲撃者はローディアンだったようで彼の腕やアーマーにベッタリと緑の血がついた。

 

「チッ!クソ!」

 

「おい待て!」

 

2人の襲撃者が制止を聞かず立ち止まってハイネクロイツ中佐をブラスター・ライフルで攻撃する。

 

彼はステップを踏み銃撃を躱し通路を抜け出る。

 

再び左腕のケーブルを鉄格子に差し込み地面スレスレの状態で2人の襲撃者を撃った。

 

地面を蹴り右手のウェスター35のケーブルを制止したニクトの襲撃者に差し込み思いっきり地面に叩き付ける。

 

彼は右の肺が貫かれ更には地面に思いっきり叩きつけられた為戦闘不能になり他の襲撃者達から見捨てられた。

 

「クソッ!!なんでこんナァッ!!?」

 

状況を苛立ちと共に嘆き吐き捨てようとした男はハイネクロイツ中佐のピストルで撃ち抜かれその真横を走っていた男も応戦しようと立ち止まった瞬間脳天を撃ち抜かれた。

 

「親衛隊さえいなければ!!」

 

グランの男と別の人間の男がブラスター・ライフルを使い中佐を撃とうとするが全て躱され弾丸の中を掻い潜り接近するハイネクロイツ中佐に彼らは恐怖を覚えた。

 

2人がバラバラに別方向に離れようとする瞬間、ハイネクロイツ中佐は建物の中に突っ込んだ。

 

「どうした!?」

 

リーダー格のイシ・ティブの男が振り返る頃には既にグランの首は無惨に掻き切られ血が垂れ流しの状態だった。

 

砂煙が巻き上がり反対側から轟音と共に何かが抜け出てくる。

 

イシ・ティブの男と他の襲撃者達がそれを見上げると全員が瞳孔を開き絶句した。

 

その何かは宙を舞う人間の男だった。

 

瞳からは光が消え背中から流れる流血は滝のように垂れている。

 

男の亡骸は無惨にも地面へ捨てられその合間から二丁の銃口が剥き出ていた。

 

一度に二発の赤い光弾が放たれまた2人の襲撃者が撃たれ死んだ。

 

彼のウェスター35に挿入されているブラスター・ガスの影響で弾丸は赤色のものとなっている。

 

もうダメだと敗北を悟った残りの3人は一目散に通路を走り直ぐ近くのアジトへ逃げようとした。

 

だが彼らはアジトの方を見た瞬間絶望した。

 

第三帝国の弾圧を耐えながら皆で慰め合い隠れ住んでいた古いアパートが大勢のストームトルーパーに囲まれ一部が燃やされていた。

 

レジスタンスの希望の声を聞いた新たな家が暗黒の軍団に襲われている。

 

彼らはその光景を見ただけで絶望し足が止まった。

 

だがそれは彼らの命の終焉を意味するものだった。

 

銃声と肉を裂く鈍い音と共に3人は滑り落ちるように斃れた。

 

その屍を踏み越え1人の男が彼らの家に迫る。

 

「旅団長殿の言う通りだ!こいつで終わりよ!」

 

ケーブルを回転で調整しながらハイネクロイツ中佐はベルトに巻き付けられたバラディウム・コア=サーマル・デトネーターを建物に投げつけた。

 

即座に起動したサーマル・デトネーターは割れた窓ガラスの中に入り建物の中で大爆発を起こした。

 

煙と炎が収まろうとする中ハイネクロイツ中佐はその中にウェスター35のケーブルを差し込み中に突入した。

 

受け身を取りながら直ぐ様ブラスター・ピストルを構える。

 

建物の内部はサーマル・デトネーターの爆発でかなり崩壊し煤だらけだ。

 

敵の姿も殆ど見当たらなかったが背後で息絶え絶えの苦しそうな唸り声が聞こえた。

 

見るとそこには建物の崩落に巻き込まれて押し潰されているノートランの男がいた。

 

彼のブラスターは遠くに飛ばされ丸腰の状態だった。

 

そんな中でもこのノートランは戦意の炎を消さずハイネクロイツ中佐に吐き捨てた。

 

「いつか……必ず……お前達は負ける…!」

 

「そうだといいな。だがそうならない可能性の方が高い」

 

「ハハ……どうかな…殺すなら……殺せ…!」

 

「ああ…」

 

ハイネクロイツ中佐は冷たく引き金を引き苦しまずにノートランの命を終わらせた。

 

彼にとって他者を殺す事など幼少の頃から当然の事だった。

 

そう言う一族の生まれだったから、他の連中もそうだろう。

 

アイツだって進んでこの道に向かったわけじゃない。

 

血の呪縛と大きな背中を負ってきたんだ。

 

そうなんだろう?なあ。

 

「そっちはどうなってる。ジークハルト」

 

 

 

 

 

 

「これは…」

 

ジークハルトはライトを照らしながら地下通路の壁の一角に描かれた紋章のようなアートを見つめた。

 

まるで血そのものを使って描かれたようなこのアートはベッタリと赤いラインが塗られている。

 

既に塗料が乾いている為かジークハルトが素手で触っても手には何もつかなった。

 

既にアジトは鎮圧されたらしくこの通路に逃げ込んでくるかもしれない敵を迎え撃つ為待機していた。

 

その時偶々足を滑らせたトルーパーが壁の方に寄り掛かりその時ヘルメット・ライトによって照らされたのがこれだ。

 

迎撃体制を整えつつジークハルトはこの不思議な紋章に釘付けになっていた。

 

「一体なんでしょうか、これは…組織章かそれとも……」

 

「どこかで見た事がありますね」

 

フリシュタイン大佐はこの紋章を見つめそう呟いた。

 

ジークハルトももう一度目線を向けるがこのような紋章はやはり見たことがない。

 

連隊章や師団章でもないし他の惑星の紋章でもこのようなものは見たことがなかった。

 

しかしそのような疑問は直ぐに消し飛ばされる。

 

「大佐!上級大佐!誰か来ます!」

 

トルーパーの1人がそう報告し全員がライオット・シールドを構えブラスター・ライフルを突き出す。

 

ジークハルトも二丁のE-11を持ちフリシュタイン大佐もブラスター・ピストルを構える。

 

冷ややかな緊張が分隊の全員を覆い地下通路の冷たさがアーマーを通して伝わってくきた。

 

向こう側からはコツコツと何人かの足音が聞こえこちらに迫ってきている事がよく分かる。

 

敵か、味方か、判断材料が少なすぎる為全員明確な指示を出せずにいた。

 

足音は地下通路に広がる影と共にどんどん大きくなり近づいていた。

 

恐らく追撃の隊がいるならばとジークハルトは思い切って声を上げる。

 

「お前達は誰だ!」

 

彼の声は地下通路の閉鎖空間を反響しよく響いた。

 

恐らく向こう側へ伝わるにはまだ数秒のラグがあっただろうが返答は比較的早くに帰ってきた。

 

「敵ではない!我々は敵ではない!」

 

意外な返答は文隊員の暴動鎮圧ストームトルーパー達を困惑させた。

 

本当に敵ではないのか、それともこちらを油断させる為の罠なのか。

 

いざという時の為に全員が現状のまま待機させられた。

 

「では誰なんだ!」

 

ジークハルトは再び問いかける。

 

向こうは足音と共にその姿が見えた。

 

全員が薄気味悪い雰囲気を黒灰色のローブと共に纏いフードを被って顔を隠していた。

 

そのうちの真ん中の1人が代表してジークハルトの問いに答えた。

 

「我々は“()()()”だ。君たちと同じ、君たちの“()()”だ」

 

確かに誰かという問いには答えたがジークハルトには理解不能の返答だった。

 

()()()”、“()()”、さらには君たちと同じというのが余計分からない。

 

彼らも同じ元帝国の関係者なのか。

 

自らを“信奉者”と名乗る男は更に続けた。

 

「先ほどの暴徒の鎮圧、見事だった。流石は帝国の信徒諸君だ」

 

「あの暴徒の首謀者はお前達か?どうやって組織した」

 

「今から話す、だから我々を受け入れてくれ」

 

とても信用ならない言葉だったが隣のフリシュタイン大佐がこう問いかけた。

 

「再び問うが、君達は誰だ。一体なんの信奉者なんだ」

 

その一言を待っていましたと言わんばかりに男はフードを下ろしニヤリと狂気的な笑みを浮かべた。

 

そしてただ一言、こう呟いた。

 

「“()()()()()()()()()()()”、迎えに来たぞ、第三銀河帝国」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-譛ェ遏・鬆伜沺 諠第弌繧ィ繧ッ繧サ繧エ繝ォ-

雷鳴が轟き、光が溢れる。

 

蒼白の空に暗雲の雲が掛かる。

 

地から破壊者が出立ち全ての歴史を早め狂わす。

 

破壊者達の群れは三つの年を数えたとは思えない程膨れないはずの“蝕”が三つほど破壊者達に囲まれていた。

 

雷が降り落ち蒼白の空を彩る。

 

破壊者に溢れた(うみ)では無言を貫く静寂が全ての歓喜を著している。

 

信奉者に溢れた陸では鎮魂歌のような唱和が全ての歓喜を著している。

 

三十の年を跨ぐ事なく暗雲から這い出る赤黒の腕が光明を潰そうとうねり上げる。

 

死人に囚われた者は手を突き上げ復讐と自壊の雷を求める。

 

者どもに映る景色は破壊者の群れと亡霊の見た戯言の夢の果ての姿だ。

 

無言の歓喜と鎮魂の歓喜が星々を満たす中七千年の亡霊に囚われた者が万雷の復讐と喝采を込め発する。

 

 

-フォースは我らを自由にする-

 

 

遠く離れた亡霊と狂信の星で死者の口が開いた。

 

 

 

 

つづく




はいどうも〜!ヴェイダー卿をTSするとクソめんどくさいメンヘラヒロインになってしまう、Eitoku Inobeです!

帝国軍人をTS化させると未亡人率が多くなることをみなさん知っていますか?

そもそも帝国ってなんでこう未亡人率が高いんでしょうね

知ってるだけでもヴィアーズ将軍でしょ?モフモーズでしょ?ブラシン大将軍でしょ?ヴェイダー卿でしょ?

もう未亡人ランドじゃないですか、銀河帝国は性癖博覧会かなんかですか

そんな中でも私は「共和国軍に魅せられてしまった狂人ことしょたコンロリコンお姉さんのブレンドル・ハックス(TS)」の概念を推していきたいです(彼は狂っていた)

そいではまた来週〜

そういやそろそろこのナチ帝国初めて一年立つな…




アデルハイン「なんだよこれ」
ヴァリンヘルト「いつものことです」
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