第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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「自らが光の側にいると盲信する時こそ、我が身を改めよ。汝は既に闇の中にいる故」
-旧ジダイ・オーダーの文書より抜粋-


解放の前に

-譛ェ遏・鬆伜沺 諠第弌繧ィ繧ッ繧サ繧エ繝ォ-

「なんとまあ……悍ましい場所でしたね……」

 

気味悪そうにボルフェルト大将は彼の聖地で見てきたことを振り返った。

 

常人にとってはただただ気味の悪い、悍ましい光景でしかなかっただろう。

 

だが狂人にとっては、狂気に近づいた者達にとってはまた違って見える。

 

「まあ、そう言うな。“()()()()”でも参考になることが幾つかあった。それに“()()”が銀河系に戻れば帝国の統一はさらに加速する」

 

フューリナー上級大将は“ピュリフィケーション”のブリッジで笑みを浮かべ大将を宥めた。

 

他のついてきた幕僚達も皆重苦しそうな表情を浮かべていた。

 

「真反対とはいえハットの国家弁務官区に向かって研究所の最新研究報告を聞けたのはここに来る点で十分意味があった。そして本来の情報も受け取れた」

 

フューリナー上級大将は一際満足そうにしていた。

 

そんなフューリナー上級大将にボルフェルト大将は尋ねた。

 

「しかし、あそこの会場にはファースト・オーダーもチス・アセンダンシーも、大セスウェナもいました。連中にも同じ情報が流された訳ですがよろしいのですか?」

 

()()”は全員を呼んだ。

 

事実上の従属国たる大セスウェナ、同盟国のファースト・オーダー、不可侵条約を締結したチス・アセンダンシー。

 

それぞれ多くの高官がフューリナー上級大将と同じくこの聖地に呼ばれ“()()()()()()()”を聞いた。

 

だがこの聖言は第三帝国が独占すべきもの、少なくとも総統府やCOMPNORの連中はそう思っていた。

 

親衛隊や国防軍としても重要な情報は独占していたいだろう。

 

「仕方ない、“()()”にとって我々は皆平等に同じだ。亡命者も、新共和国を打倒した大国も、未知領域でひたすら待ち続けた者も所詮は同じ帝国の一部。我々に決定権など最初からないのだ」

 

やがて統合され再び一つとなるのだから隔たりも格差も必要ない。

 

皆あの“()()”の前に跪き再び忠誠を誓うまでのこと。

 

しかしそれが“()()()()()()”と言われればまた別問題だろうが。

 

「何はともあれ銀河系はまた大きく変動する。最近ではレジスタンスも活発化し始めているのだろう?」

 

「はい、モン・カラではどうやら最新型の軍艦が多数建造されたようで……アクバー元帥、メイディン将軍指揮の下、ロザルの安全を確保しガレル星系まで接近しています」

 

「それだけでなくヤヴィン4、アノート、ナブーでも異変があるようだが?辛うじて抑えられているのはハット国家弁務官区が真上にあるボサウイだけでワズタやクリズ、アルディノでも帝国艦隊の襲撃が多発しているとか」

 

「ええ…少なくともヤヴィン4はローリング大将軍の本隊が戻り、アノート宙域とワズタ宙域の異変は大セスウェナとオイカン大提督が対処に当たるそうです」

 

ボルフェルト大将はそう押され気味に報告した。

 

銀河全土で快進撃の反動が出回ってきている。

 

特に最近は支配領域でも抵抗活動が活発化し市街地戦などで多くの帝国軍将兵の損害が出ているとも報告を受けている。

 

対テロ、対パルチザン戦は新たに対策を練るとして巨大敵勢力の撃滅は親衛隊だけでなく国防軍や同盟諸邦にもやってもらわないと困る。

 

尤もシュメルケやヒェムナー長官辺りは親衛隊権力強化の為に一手に引き受けるのを覚悟しているだろうが。

 

「モン・カラには“()()”が向かってくれる……きっと、すまさじい事になるぞ。“()()()()()()()()()()”」

 

星図が変わる、それは比喩でもなければ誇張でもないかもしれない。

 

銀河系は、この戦争はまた大きく変わる。

 

変わらざるを得ない。

 

「別に、我々はただの“()()”に過ぎないですよ。そこまでやりはしません」

 

ブリッジの幕僚達は一斉に声の方向へ振り返った。

 

そこには見慣れる装甲を纏った兵士数人と1人の将校、独特な衣装を着込んだ少年達がいた。

 

「シャトルの着艦は報告を受けていませんが…」

 

ボルフェルト大将は密かに耳打ちし将校はフューリナー上級大将の下へ近づいてくる。

 

上級大将に敬礼しその将校は「お久しぶりです」と生真面目な顔で挨拶を送った。

 

「こちらこそ、初々しい准尉がやがて中佐となって今や元帥か。フリューゲル」

 

フリューゲルは苦笑を浮かべた。

 

フリューゲルもフューリナー上級大将もクローン戦争の一時期は同じ艦で戦ったことがある。

 

フューリナー上級大将が幕僚でフリューゲルがパイロット。

 

その時の交流というのは今も大きく残っていた。

 

「第三帝国のフォース感受者の育成計画の支援として“()()()()”からあなた方へ託したい者があります」

 

「ほう?」

 

フリューゲルは後ろに引き連れた子供達を「こっちに、おいで」と優しく近寄らせ紹介した。

 

「彼らは全員フォース感受者です。我々……いえ、一部が教育を施してきたのですがそれをあなた方に預けますよ」

 

フューリナー上級大将は彼らを見つめた。

 

年齢は10代後半から10代未満の子供までかなり広く分かれていた。

 

彼らはみんな虚な瞳をしており背後に何かが取り憑いているような思いを抱かせた。

 

恐らくフリューゲルの言った“()()”とはそのような洗脳行為も含めているのだろう。

 

そのせいかフリューゲル本人はどこか浮かない面持ちだった。

 

「君の名前は?」

 

フューリナー上級大将は一番前に出ていた少年に名前を尋ねた。

 

年齢は、10代後半といったところだろうか。

 

他の子供達よりも大分鍛えられたという印象だ。

 

「ノヴァン・ストラインです。1年前から“()()”に従い信仰を重ねてきました」

 

「ストライン……聞き覚えがあるな、確か新共和国の情報部幹部の名前もストラインだったな?」

 

ボルフェルト大将は急いで他の将校からタブレットを貰い名前を調べ始めた。

 

フューリナー上級大将の記憶力の良さもあるがこれにはとある事件も関係している。

 

「はい!ブリーズ・ストライン新共和国軍中将、艦隊情報部の将校で前大戦では帝国軍全てに対する情報作戦を展開した主要人物と目されています」

 

経歴を読み上げフューリナー上級大将の方を見つめた。

 

ヴァルヘル中佐も「確かコルサント奪還以前も新共和国情報部と連携して我々に諜報戦や謀略戦を進めていましたね」と付け加えた。

 

恐らく故ヒルデンロード元帥が考えていた冷戦構造での対新共和国戦では大きな障害となっていただろう。

 

尤もこの世にいない今では関係のない話だ。

 

「ああ、そして情報部のへリック中将を殺ったのもストライン中将だろう。そして彼は…その親類か?」

 

フリューゲルの方に顔を向けるが彼は「さあ?」と首を傾げた。

 

「彼ら彼女らをどこから連れてきたのか、私には話してくれませんでした。所詮は私は1人の軍司令官でしかありませんので」

 

フリューゲルは冷たく断りを入れた。

 

フューリナー上級大将もそれ以上は深く尋ねなかったし興味もなかった。

 

もし親類関係にあるとしても既にストライン中将は死人の身、関係もないしいざとなれば人質にもなるだろう。

 

それよりも重要なのはフォースの感受能力だ。

 

育成すればまず第一のフォース感受者の戦士の部隊が構成出来る。

 

そうすればレジススタンスや他勢力に対してまた一歩優位に立てるだろう。

 

「しかしいいのか?言った通り我々は皇帝の手を“()()()()()()()()”共々見失ったわけだが」

 

フューリナー上級大将は隠さずフリューゲルにそう告げた。

 

彼女らは全員惑星マーカーで消息を断ち未だに発見されていない。

 

しかしフリューゲルは「問題ありません」と前置いた。

 

「我々は皇帝の手とそのターゲットを発見しています。既に回収隊が向かっている頃でしょう、安心して下さい」

 

「そうか、では君達のことを信じよう。我々はこの報をコルサントと第三帝国に伝えなければならない。これでこの地とは暫くお別れだ」

 

「はい、お気をつけて」

 

フリューゲルは敬礼を浮かべて数人の将校と護衛兵と共に“ピュリフィケーション”のブリッジを後にした。

 

彼らがブリッジから完全に離れるのを確認してフューリナー上級大将は「大きくなったものだ」と一言呟いた。

 

「ツティクレ少佐、彼らを“ピュリフィケーション”の特別寝室まで連れて行け。コルサントに着くまでの間、そこで生活してもらう」

 

フューリナー上級大将の命によりツティクレ少佐が子供達を連れてブリッジを後にした。

 

子供とはいえ“()()()()()()()()()”はある。

 

いやむしろ、子供だから油断してはいけない。

 

あの子達の瞳は既に十分“()()()()()()()()”。

 

子供達がブリッジから離れたのを確認してボルフェルト大将はフューリナー上級大将に近づき口を開く。

 

「本当に今のヴァント提督の事を信じて良いのでしょうか…?我々ですら見つけ出せないのにここにいる彼らが皇帝の手を見つけ出すとは思えませんが……」

 

「むしろ我々でないからこそより特殊な方法で見つけ出すだろう。我々はひとまず大人しく彼らの到着を待てばいい」

 

「ではこのままコルサントに帰還を?」

 

「ああ、下手な事をして信用を失いたくない。それに我々はどうやってこの地にジャンプしたのか、ここからどうやって戻るのか伝えられていない」

 

行きのハイパースペース・ジャンプは全て連れてきた彼らの“()()”が手引きしたものでフューリナー上級大将達が何かしたわけではない。

 

帰りだって事前に教徒達が作り出したハイパースペース・ジャンププログラムに従ってハイパースペース・ジャンプせざるを得ないのだ。

 

それだけこの聖地の機密は固く守られている。

 

「下手な事をして帰れなくなったら我々はここでじわじわと嬲り殺されるだろう。何せ第三帝国自体滅ぶ可能性がある。我々はこのまま大人しく全てに従うまでだ」

 

今回ばかりはありとあらゆる命運が掛かっている、小さな工作すらも出来ないほどのだ。

 

ボルフェルト大将も大きく頷き乗組員達に帰還用のハイパースペースプログラムを起動するよう命じた。

 

操作を部下達に任せながらフューリナー上級大将はブリッジから蒼白に溢れる聖地を見つめた。

 

身の毛もよ立つようなこの地から銀河系に再び新たな新秩序が誕生する。

 

もしかすると幾つかの星は新秩序の為の業火に焼かれ消えてしまうかもしれない。

 

帝国を本当に元の形に戻してしまうかもしれない。

 

されどこの犠牲なくして銀河系に秩序は訪れない。

 

我々が今やっていることのように。

 

ピュリフィケーション”が聖地を離れハイパースペースのトンネルへと入った。

 

彼らが帰還の報せを伝える頃にはもうこの聖地からは聖なる暗黒の十字軍がスター・デストロイヤーの楔を連ね進軍を始めているだろう。

 

もはや時間は一刻もなかった。

 

 

 

 

 

 

-レジスタンス領 アノート宙域 惑星ベスピン クラウド・シティ-

高級な洒落たマントを新共和国軍の軍服の上から纏ったランドはホログラムに映る親友達と話をしていた。

 

『アノートには今も多くの移民と亡命者が来ているんだろう?』

 

「ああ、エイリアン種族も近人間種もハーフも色々大勢だ。みんな第三帝国の支配下じゃやってられないんだと」

 

『だろうな、連中元の帝国より畜生だ。エイリアンであればその場で殺すことも厭わないし近人間もハーフもまとめて収容所行きだろう』

 

軽い口調だが内容は彼らの話している心情と同等以上に重たかった。

 

こうしている間にも多くのエイリアン種族達が収容所やあちこちの惑星で命を落とし第三帝国の土台として築き固められている。

 

ランドも、今その最前線で抵抗勢力を教導しているハンもチューバッカもそれをよく理解していた。

 

特にチューバッカは自分と同じ種族の同胞達がそのような残虐な連中に四六時中狙われていると考えると居ても立っても居られないだろう。

 

レジスタンスの将兵やレジスタンス側の惑星に住む市民の中にも同じ気持ちの者は沢山いた。

 

『この戦いは前の戦いとは比べ物にならないほど過酷になる』

 

「ああ、望むところだ。早くこの戦いを終わらせて“()()()()()()()”も見つけないと」

 

『そうだな……もうあれから2年か……早くしないとな』

 

チューバッカも重く頷いた。

 

第三帝国なんて存在がなければ、この新たな銀河内戦がなければ今頃はもっと多くの手掛かりを探し出せていただろう。

 

彼らはこの戦いが始まる前から誰にも気づかれない傷を負っていた。

 

「それじゃあこっちは合わなきゃいけない方々がいるんでな」

 

『こっちも訓練の時間だ。それじゃあな』

 

ハンは軽い敬礼を送りランドもまた微笑を浮かべた。

 

チューバッカの「また会おう」という言葉と共にホログラムが消え2人との通信が終了した。

 

ふうっと一息付くランドにボサウイから急いで飛んできたセルヴェント大臣は彼に声をかけた。

 

「聞いてはいましたが随分と前から知り合いなんですね。ソロ将軍とカルリジアン将軍」

 

「ああ、割と碌でもない出会いだったがな。今じゃすっかり腐れ縁だよ」

 

過去を振り返り色々な事を思い出しながらランドは笑みを浮かべた。

 

セルヴェント大臣だって2人の過去を完全に知らないわけではない。

 

むしろ一般の教科書などで習うものよりは深く知っている。

 

彼らは2人とも元々密輸業者だった。

 

その手の稼業では優秀な方らしくランドの方はその後企業家となりこのベスピンの統治権で大きな成功を収め反乱同盟軍にも加わった。

 

新共和国設立事に正式にベスピンの指導者としてアノート宙域の領有権を認める際の式典にも出席した。

 

あの時からランドはあまり変化がないように見えた。

 

「それよりも、もうすぐ来るんだろう?お客さんが」

 

「はい、セッティングは完了しています。しかし本当にいいんですか?私の娘も同行して」

 

セルヴェント大臣は娘のヘルヴィの方を見て尋ねた。

 

ラクサスを脱出した新分離主義連合の暫定政府がレジスタンス政府に対して対第三帝国戦の同盟関係の締結を提案してきたのだ。

 

連合軍の宇宙艦隊は現在ヴァセック方面から急速に領域を拡大中であり、周辺に派遣された帝国軍の警備隊や機動部隊はほぼ駆逐されつつあった。

 

生き残った戦力は反撃の為ミッド・リムの友好惑星や大セスウェナ周辺に退却したというが詳しいことは定かではない。

 

また支配安定のも兼ねて新分離主義艦隊は拡大した領域の治安維持を行い多くの海賊などを撃退した。

 

彼らの支配領域は第三帝国領、レジスタンス各領と並んでこの銀河系で最も安定した場所となるだろう。

 

しかし現状単独で戦って第三帝国に勝てる見込みはないに等しかった。

 

レジスタンス情報部の報告では彼らは未だにクローン戦争期の艦船などを使用しており局所戦はともかく大規模な全面攻勢を受ければ非常に脆い。

 

その為レジスタンスと手を組み共に第三帝国と戦う他ないのだ。

 

レジスタンスとしても連合軍の戦力は強大で味方に引き入れれば心強い味方となる。

 

連合政府はアノート宙域にまず連絡を取りレジスタンスは同盟交渉の代表としてセルヴェント大臣を派遣した。

 

そして今日、このベスピンで交渉が始まるのだ。

 

「構わないさ。私としても美しいお嬢さんがいると気が楽になる」

 

ジョークを交えながらランドは今一度ヘルヴィの同行を許可した。

 

セルベント大臣は安堵の微笑を浮かべ「ありがとうございます」と一言述べた。

 

「ヘルヴィ、緊張することはないさ。私と連合の交渉人をよく見て学べ。それぞれから交渉術を盗み次に自分が交渉人となる時の為に役立てる、それが一番の任務だ」

 

「はい、わかりました。お父様も頑張ってくださいね」

 

「ああ、そろそろ席につきましょうか」

 

「そうだな」

 

3人はソファーに座った。

 

するとドアが開きランドが信頼する補佐官のロボトが数人の将校と共に部屋に入ってきた。

 

「来たのか?」

 

ランドが訪ねロボトは小さく頷いた。

 

「連れてきて来れ」

 

ランドは彼に頼み了承したロボトは将校達と共に連合側の交渉人を呼びに行った。

 

「いよいよだ」と自らの気を引き締めるようにセルヴェント大臣は呟いた。

 

ヘルヴィも身が引き締まり髪をもう一度整え直した。

 

母親譲りの薄水色の髪が靡き耳元に掛かる。

 

それから暫くしてドアのブザーが鳴りランドが「どうぞ」と許可を出した。

 

3人は立ち上がり連合交渉人達を出迎えた。

 

将校達に連れられた連合の交渉人達が反対側の席に着いた。

 

「ベスピン執政官兼将軍のランド・カルリジアンだ」

 

「レジスタンス自由政府外務大臣、ニルメス・セルヴェントです」

 

「外務省外交官のヘルヴィ・セルヴェントです」

 

レジスタンスの面々は形式的な挨拶を交わした。

 

次は連合側の番だ。

 

「新分離主義連合代表、カーチ・クシです」

 

「新分離主義連合軍司令官、スタル・リストロングです」

 

「クシ代表補佐官、ピリスイ・エスチです」

 

クシ代表と真ん中に位置するセルヴェント大臣は握手を交わし互いに笑みを浮かべた。

 

固い握手の後全員がソファーに座り早速交渉を始めた。

 

テーブルにはティーポッドと全員分のティーカップがあり何か不便があればすぐに人が来る仕組みになっている。

 

そんな交渉の席でまず最初に口を開いたのはクシ代表の方であった。

 

「我々は率直に言う。あなた方レジスタンスと対第三帝国の為の軍事同盟を組みたい」

 

「それは我々レジスタンスも同じ気持ちです。第三帝国打倒の為、なるべく多くの同盟関係者が欲しい。この点では意見が一致しています」

 

クシ代表もセルヴェント大臣も安心したように優しい笑みを浮かべた。

 

前々から判り切っていた事とはいえ下手な腹の探り合いをせず素早く意見が一致した。

 

そこでクシ代表は話を深く切り込んでいく。

 

「しかし我々の中にはこの同盟関係締結に反対する者も少なくない。元より新共和国に対して対外戦を意識する者はともかく、以前のラクサス陥落により中立層にも影響が生じている」

 

「新共和国一部軍とジャステン中将がラクサスへ逃亡しそれを追撃する結果で第三帝国がラクサス含めたタイオン・ヘゲモニーへ侵攻、その結果ラクサスが陥落し同盟を不安視する意見が……という事でしょうか」

 

深い内実は知らずとも大方予想は付く。

 

あの一件のことは既に考慮に入れてあるし最初からそこが重要争点の一つになると踏んでいた。

 

ここは相手を感情的にさせずこちらも感情的にならず相手方有利で妥協点を探るしかない。

 

我々の同胞がやらかした事に対する責任と補填から逃げるわけにはいかないのだ。

 

「それだけじゃない。一応救援に来た情報部ユニットから話は聞いていると思うがあそこでジャステン中将は自分達の兵力を使い我々全員を拘束しラクサスの全権力を簒奪した。多くの要人達が一時的に自由を失い軍事独裁の体制のまま破滅へと突き進んで行った。この出来事が『彼らとの同盟により再び連合の主権が簒奪されるのではないか』という不安を与えている」

 

「軍部でも同盟締結の結果、『レジスタンス側に軍権と軍がいいように使われるのではないか』という疑念が上がっています。ジャステン中将は我々の事を随分と雑に扱ってくれたものなので」

 

想定以上に耳が痛い。

 

ジャステン中将の一件はレジスタンス、かつての新共和国残党軍達の間でも信頼や信用を大きく損ねる事となった。

 

一部の勢力や政府からは『打倒第三帝国の為に主権を簒奪し自分達で軍事独裁を行う暴徒の集まり』という負の認識が与えられてしまった。

 

恐らく連合側の反対派も似たような認識を持っているだろう。

 

なんとか誤解を解かなければいけない。

 

特にリストロング司令官の言い方からしても軍部の反対派はより一層我々に良い印象を持っていない。

 

彼らも軍事的観点から見てこの同盟関係には賛成したいはずだ。

 

されどそれでも反対派がいるということは相当深いトラウマとなっていると予測出来る。

 

恐らく賛成派のリストロング司令官だって言い方からしてジャステン中将のことは本気で嫌っているように思える。

 

全く、大変な尻拭いをさせられている。

 

「その件に関しては、我々は謝罪を述べる他ありませんが今後の同盟締結時にはそのような事はありません。新分離主義連合の主権、連合軍の軍権の独立性は必ず守られると約束します。これは私1人の意見ではなく国防大臣シャール・ディゴール、政府副議長タイ=リン・ガー、政府議長レイア・オーガナらレジスタンス自由政府の総意です」

 

「具体的な事は書面に」と付け加えヘルヴィが彼らにタブレットを差し出した。

 

3人はタブレットを見つめ書面の内容を確認している。

 

一読したところでクシ代表はタブレットをテーブルに置き口を開いた。

 

「そちら側の意志と確証はよく分かった。これらは評議会にも提出させていただく、よろしいか?」

 

「はい、お構いなく。で、連合側の不安点はそれだけですか?」

 

「もう一つ挙げるならば戦後の問題だ。ラクサスを含め多くの惑星が帝国の手に堕ちてしまった。無論奪還するつもりだが恐らく領土として戻る頃には相当荒廃しているだろう」

 

それは連合側だけでなくレジスタンスも抱えている問題だ。

 

レジスタンスは電撃的なホズニアン・プライム奪還、それからなる全面対決の戦略を大幅に転換した。

 

ヤヴィン、モン・カラ、キャッシーク、ボサウイ、アノート、そしてサラストの敗残兵を統合したディカーからなる6つの大拠点から銀河の外苑部を繋ぎ第三帝国を包囲する。

 

そこからアウター・リム、ミッド・リムの帝国軍に打撃を与え、エクスパンション・リージョン、インナー・リムにも圧力を掛ける。

 

そうすれば第三帝国は次第に困窮し彼らの圧倒的軍事力の前に表面上平伏していた旧来の中立惑星、もしくは比較的親レジスタンス寄りの惑星もこちらに加わるだろう。

 

時間をかけて確実に第三帝国を撃破する戦略だ。

 

しかし時が経てば経つほど第三帝国はその国体の維持の為に簒奪を繰り返すだろうしエイリアン種族や近人間種族の虐殺を続けるだろう。

 

虐殺阻止の為に収容所の位置の捜索と撃破を進めているのだが現状上手く行っていない。

 

親衛隊情報部、親衛隊保安局、帝国情報部、長官がハイドレーヒに代わり完全に親衛隊の手中に落ちた帝国保安局に巧妙に隠されている。

 

それに首都奪還作戦や主要都市惑星での戦いとなるとその分激化する事は免れないし想像を絶する犠牲が出るだろう。

 

かつての前銀河内戦とは違い今内戦は殆ど正規国同士による本格的な大戦争だ。

 

バトル・ドロイド、クローン・トルーパーを使い市民の犠牲が比較的少なく見えるクローン戦争とはまるで違う。

 

第三帝国は徴兵制を動員しているだろうしこちらも徴兵制、もしくは総動員体制を取らざるを得なくなる。

 

今までの戦いの倍近い人が死に、倍近い都市が破壊される。

 

そして戦争が終われば破壊された都市、インフラ、人的な復興も必要になってくる。

 

途方もない苦労と資金が必要となりおまけに相当の時間も掛かる。

 

「恐らくだが連合単独での戦後復興は無理だ。既に首都を失い財源や元々あった国政金も今や第三帝国の手中にある。仮に同盟を組んだとしても『帝国を倒したらそれでハイおしまい』では困るという意見がある」

 

「とはいえ我々も苦しいのは同じです。我々レジスタンスとて戦後復興を完全にやり切れる確証はない」

 

互いに失い過ぎたし互いに損失が大きすぎる。

 

第三帝国も以前のような状態ではないにしてもだ。

 

彼らは今回博打に勝ち、我々がその分のツケを払わされてしまった。

 

「互いに傷だらけ……か」

 

「ええ、限界ですがだから諦めるという訳には行きません。こちらとしては徐々に帝国打倒の軍事だけに留まらない枠組みでの同盟に発展させて行きたいと考えています」

 

「となるとこれは別の問題として時間をかけていった方が良さそうだ。戦後復興などの同盟関係はまた後々という事でよろしいか?」

 

「はい、我々もあなた方とは友好的でありたいので」

 

「そう言って頂けるとありがたい。新共和国、レジスタンスの構成員は皆あのジャステン中将のような者ばかりという拭い切れない偏見が少なからずあるのでな」

 

本当に、常々とんでもない事をしてくれた。

 

彼の妙な行動さえなければこの交渉ももう少し円滑に、井戸端会議並みの談笑で済んでいたかもしれない。

 

親共和国軍最大の汚点だとセルヴェント大臣は心の底で思っていた。

 

「むしろ中将のような存在はごく僅か、とても極端な方です。我々はあくまであなた方ともモスマ前議長のビジョンの通り、関係を改善していくつもりでした」

 

尤もモン・モスマは既に2、3年も前に人気を終えている為、第三帝国との戦いがなければ大きく方針を転換していたかもしれないが。

 

第三帝国が存在しない未来、この戦争が起こらない未来というのは一体どうなってるのか我々にはもう想像が付かない。

 

もしかするとより最悪の未来かもしれないし停滞による憤りの溜まった、鬱屈した未来かもしれない。

 

それでもこの現実よりはマシだ、それもずっとずっとマシだ。

 

罪のない人々がよく分からない理由でひたすらに殺し尽くされて、人々に声も届かず圧殺されるなんて現実よりもマシだ。

 

そういう確証が大臣の中には間違いなくあった。

 

「本来の未来に立ち戻る為に共に立ち向かって行きましょう、第三帝国に。あなた方が昔自由と独立を求めたように、我々が自由と解放を求めたように」

 

セルヴェント大臣は手を差し伸べた。

 

クシ代表は彼の手を握り固い握手を交わした。

 

「ああ、より良い未来といずれ生まれてくる子供達の為に。今は手を取り合おう」

 

双方の国は違えど思いは同じだ。

 

だからこそ手を取り合い、共に立ち上がり、戦う事が出来る。

 

交渉はこの後数時間に渡って行われ両者の軍事同盟は最終的に締結された。

 

これにより銀河系に軍事バランスはまた一つ変わるだろう。

 

より良い未来の為に、レジスタンスと新たな分離主義者達は手をとり立ち向かう。

 

 

 

 

 

-惑星ナブー 首都シード シード宮殿付近-

女王を軌道上のスター・デストロイヤーの檻から救い出し惑星内の海軍本部まで帰還してもう数日が過ぎた。

 

あの後基地に対する攻撃は何度かあったものの殆ど小規模の小競り合い程度で終わった。

 

大規模な攻勢をかけるには準備が足らなさ過ぎるし軌道上爆撃を仕掛けようにも本部には何十個もの偏向シールドがあり攻撃は殆ど無意味だ。

 

その結果保安隊やスターファイター隊、宇宙艦隊は海軍本部を包囲するだけで目立った攻撃は皆無だった。

 

無論解放軍側も攻勢を仕掛けることは無理なのだが小規模な偵察程度ならば可能だ。

 

現在はジェルマンとジョーレン、そして2人を連れてきたホーリス隊長と共にシード宮殿の格納庫付近を偵察していた。

 

ホーリス隊長は3匹のガドゥを束ね、ジェルマンとジョーレンが茂みに身を隠しながらエレクトロバイノキュラーとスナイパー・ライフルで格納庫の様子を探っている。

 

「出てきた…!将校クラスの制服にあの顔……2人とも本部で見たクーデター軍の司令官達だ…!」

 

スコープ越しからジェルマンは2人の司令官、クリース宙将とグリアフ一佐の姿を確認した。

 

何十人かの保安退院に守られながら帝国軍用のラムダ級シャトルに向かっている。

 

「絶対に発砲するなよ。兵士が二、三個分隊以上いる上にスターファイターが何機も飛んで警戒している。こっから撃ったらすぐにバレる」

 

「分かってる、それよりもそっちから親衛隊の将校の姿が見えないか?」

 

「見えてる……階級章と襟章から言って親衛隊少将だろう…続々と配下の部隊が降ろされている」

 

上空に目を向ければ何十機ものセンチネル級やラムダ級、ゴザンティ級が宮殿格納庫や駐屯地に向かっていた。

 

親衛隊少将の側にも数名のストームトルーパーがいるし軌道上にはプロカーセイター級三隻だけでなく遂にインペリアル級が一隻配備されていた。

 

「流石にスター・デストロイヤーは軌道上の弾道ミサイルでの撃破は無理だ……どうすれば……」

 

「ナブー解放はレジスタンスの中でも優先事項だ。宇宙艦隊壊滅の為なら恐らく艦隊を出してくれる。それよりも問題は地上に展開された部隊だ……」

 

ジョーレンは何台も運ばれてくるAT-ATやAT-STと言ったウォーカー類を険しい目で見つめていた。

 

あの地上部隊は間違いなく多数のウォーカーを含めた機甲戦力を有している強敵だ。

 

軌道上にインペリアル級の他に兵員1万6,000名を運搬可能な帝国貨物船が二隻もいる。

 

インペリアル級含めた三隻、これだけで兵員4万名以上の一個兵団クラスを運んできたということになる。

 

現状、単純な兵員数だけでも今の王室解放軍では勝ち目がない。

 

「AT-ATが明らかに一個中隊以上いる……解放軍の対装甲兵器じゃ到底撃破し切れない量だ……更にはスカウト・ウォーカー類まで配備されている。これじゃあ真っ向からやっても勝てない」

 

「カドゥの騎兵隊がいるから作戦によってはただの歩兵部隊はなんとかなりそうだけど……」

 

「しかしやりようによっては貴重な機甲戦力も騎兵戦力も全て失うことになる。それに首都に攻め入る分の戦力も残しとないといけない。こいつはキツい戦いになりそうだ」

 

「うん、首都だけなら丸ごと無傷で制圧出来るよう細工はしたけど……」

 

「なんだそれ、まるで聞いてないぞ」

 

「そんな事よりも…!そろそろ船が動く…!」

 

ジョーレンの注意を格納庫の方へ向けさせジェルマンもしっかりスコープを除いた。

 

親衛隊少将と思わしき人物と会話を少しばかりの間交わした後、2人のクーデター軍司令官はシャトルに乗り込んだ。

 

ラムダ級はしばらくするとゆっくり浮上し両翼を広げ格納庫から飛び去った。

 

飛び去った後も2人は監視を続ける。

 

「連中まさか旗艦に向かってるとはな……」

 

「こないだ乗り込んだ旗艦クラスのプロカーセイター級だ。まさかナブーを離れるつもりなのか…?」

 

「かもな、より本格的な攻撃の為に今は代理の司令官に任せておく算段かもしれん。となればあの2人が戻ってくる今の間が残された最後のチャンスってわけだ」

 

ジョーレンは機材を手に持ちその場を後にし始めた。

 

ジェルマンも彼の後ろにつき同じように茂みから離れていく。

 

暫くすると森の木々を抜け3匹のカドゥを束ねるホーリス隊長の姿があった。

 

「もういいのか」と彼は2人に尋ねジョーレンが「ああ収穫はあった」と返した。

 

「あのクリースとグリアフとかいう将校が上空の旗艦に乗ってもうすぐこの惑星を離れる。遂に厄介な智将がおさらばしてくれるというわけだ」

 

「本当か!?だとすればチャンスだ」

 

「ですがその代わりに親衛隊の一個兵団とインペリアル級が来ました。連中の総戦力はこれできっかりこちらの戦力を上回ってます」

 

散々苦しめてきた司令官達が消失した事実を喜んでいたホーリス隊長だったがその後すぐジェルマンの報告を聞いてすぐ目線を落とした。

 

恐らく彼の方が帝国軍の圧倒的軍事力を身をもって知っているだろう。

 

「だが、反面今戦えば勝てる見込みはあるということだ。とにかく戻ろう、戻って作戦を立て準備しないと」

 

「ああ…!そうだな…」

 

3人はカドゥの上に騎乗しカドゥを走らせ3人は急いでその場を離れた。

 

2本の足で平原をすごい速さで走り抜けていく。

 

最初は騎乗にも不慣れだったジェルマンだが今ではすっかり手慣れたものだ。

 

「上空の偵察隊にこっちは悟られてないだろうな?」

 

ホーリス隊長がカドゥの上から2人に尋ねた。

 

「問題ない、かなり距離が離れていたし連中はクリースどもの護衛に夢中だ」

 

「なら多少目立つが最短コースで行くぞ…!ついて来てくれ」

 

ホーリス隊長はカドゥを右折させ2人についてくるよう頼んだ。

 

2人も同じようにカドゥを操りホーリス隊長に続いた。

 

偵察内容を報告しなければならない。

 

彼らのナブー解放への足取りはようやくゴールに辿り着こうとしている。

 

 

 

 

 

-第三帝国領 ドミナス宙域 ガレル星系 惑星ガレル近郊-

「大型主力艦の全火砲を中央に集中、突撃機動群の突破口を切り開け!」

 

MC85スター・クルーザー“ディファイアンス”のブリッジからアクバー元帥全艦に司令を出した。

 

僚艦にはメイディン将軍を乗せたスターホーク級“ユニティ”ともう一隻のMC85“リバティ”が最大火力を敵艦隊へ投射し続けていた。

 

レジスタンス艦隊はいつもとは違い火力で帝国艦隊を圧倒しており優勢を保ち続けていた。

 

「敵インペリアル級一隻撃沈!」

 

ブリッジ士官の1人が嬉々として報告する。

 

アクバー元帥が座る椅子から見えるビューポートからもその様子は確認出来た。

 

1,600メートルもの巨体から火や煙が吹き出しゆっくりと沈んでいくのが良く分かる。

 

「これで中央の要を破れました。連中はスター・デストロイヤーを失って逃げ腰状態です。一気に攻勢を仕掛けましょう」

 

ハシュン中佐はアクバー元帥にそう進言した。

 

他のアークワイテンズ級やヴィクトリー級、グラディエーター級も大きな被害を喰らい徐々に後退しようとしていた。

 

レジスタンス艦隊の布陣は中央に新型艦とスターホーク級などで固め、両翼にも均等にネビュラ級やMC80、MC75を置くことで面での攻撃も可能にしている。

 

帝国艦隊はこのまま防衛線を維持しようとしているが既に中央が火力と防御力の押し合いに負け崩れ始めていた。

 

「だが前方には敵のバトルクルーザーが配備されている。あの艦と交代し戦線を立て直す可能性もある」

 

敵艦隊の旗艦と思わしき艦は中央に位置するアリージャンス級バトルクルーザーであり流石のMC85と言えど苦戦は免れない。

 

温存してあるスターファイター隊を送り込んでもだ。

 

「なら両翼の方面からネビュラ級を基礎とする突撃機動群とスターファイター隊を投入しましょう。中央だけでなくあそこも相当疲弊しているはずです」

 

フェイン・ゴスピック少将はアクバー元帥に攻撃戦術を提案した。

 

アクバー元帥は彼の提案を受け入れネビュラ級スター・デストロイヤーによる全面攻撃を命じた。

 

各艦に指示が伝達されネビュラ級を主軸とした機動部隊が前に出る。

 

数十門以上の重ターボレーザー砲塔から高エネルギーの砲弾が震盪ミサイルらと共に放たれ帝国艦隊に多大なダメージを与えた。

 

アークワイテンズ級やレイダー級は耐えきれずにその場で轟沈しヴィクトリー級やグラディエーター級もしばらくして何隻か撃沈した。

 

レジスタンスのスター・デストロイヤーは“nebula(星雲)”の名に恥じず、帝国艦隊や敵機の破壊による爆発の光により星の雲を作り出していた。

 

インペリアル級よりも一回りほど小さい船体であるがその火力と防御力は引けを取らない。

 

タフで打撃に優れたネビュラ級はインペリアル級にも果敢に立ち向かい只管に火力の嵐をお見舞いした。

 

後方のMC80や75らの支援も相まってインペリアル級は自身では耐えきれないほどの火力を受け何隻かが大破、撃沈し始めていた。

 

前線を支援する後方の艦艇にも被害は及んだ。

 

YウィングやBウィングを主軸とする爆撃隊がプロトン魚雷やイオン魚雷をばら撒き、Bウィングに正式採用された合成ビーム・レーザーを放ち敵艦を蹴散らした。

 

小型のレイダー級やアークワイテンズ級では3、4機の編隊による集中レーザー射撃には耐えられず多くの艦が役に立たないスクラップとなった。

 

ネビュラ級の艦砲射撃に合わせて周囲の雷撃艦に改造されたCR90コルベットや機動力に優れるネビュロンBらが帝国艦隊の懐に入りひたすら攻撃を叩き込んだ。

 

これで中央のみならず戦線の全域で帝国艦隊は窮地に立たされ損害を被らされた。

 

負けず劣らず、MC85とスターホーク級らの集中砲撃も熾烈さを増し更に多くの敵艦を葬った。

 

これで旗艦のアリージャンス級は周囲の戦列が崩され注意を中央だけでなく全域に置く必要になった。

 

火力が分散され被害が少なくなる。

 

「全スターファイター隊と防空群を投入しバトルクルーザーに総攻撃を!」

 

スターホーク級やMC85、多くの軍艦からスターファイターが発艦し帝国艦隊へ最後の攻撃を仕掛けた。

 

迎撃のTIEインターセプターやTIEブルートがアリージャンス級を守ろうとするがスターファイター隊と同じく出撃したCR90やネビュロンBの対空艦隊の支援を受け帝国軍のスターファイター隊は苦境に立たされた。

 

味方の対空艦は大多数が損傷し敵艦は気鋭に満ち溢れたまま対空砲火を繰り出しレジスタンスのスターファイター隊と連携してTIEスターファイター隊を確実に撃破していった。

 

他の各方面からもスターファイター隊が出撃し被害を被った艦列を悠々と進みアリージャンス級への攻撃を始める。

 

プロトン魚雷や震盪ミサイル、イオン魚雷をシールド内に侵入して内側から落とし、対空砲やターボレーザー砲を徹底的に潰していく。

 

ブリッジや偏向シールド発生装置にも集中的に攻撃が仕掛けられ、護衛のTIEスターファイター隊も爆撃隊の護衛であるXウィングやAウィングに阻まれ撃墜された。

 

「敵艦シールド低下率54%、損傷率42%、もう十分だ。艦隊に任せて我々は離脱するぞ」

 

司令官の命令によりスターファイター隊は全機一斉にアリージャンス級から離れ逆に艦隊へ攻撃を開始しようとするTIEボマーなどを背後から襲撃した。

 

既にアリージャンス級はスターファイター隊によって随分と疲弊しており敵艦隊へ火力をとにかく撃ち出すのがやっとだった。

 

だがそんなバトルクルーザーについにトドメが刺される。

 

「全艦、敵バトルクルーザーに向けて一斉砲撃!」

 

アクバー元帥の一言によりMC85やスターホーク級、ネビュラ級や他のモン・カラマリ・スター・クルーザーから重火力の艦砲射撃が放たれアリージャンス級を襲った。

 

シールドを打ち破り、装甲を溶解させ、内部で爆発して大きなダメージを齎す。

 

熾烈な一斉砲撃は数分に渡って行われ、遂に限界点に達したアリージャンス級は船体のありとあらゆる部分から大爆発を起こしながら爆沈した。

 

やがてゆっくりと敵艦は沈み最後にはバトルクルーザーの全てがデュラスチールの鉄屑に変わり果てた。

 

旗艦を失った残りの敵艦隊は慌ててハイパースペースに突入し戦場から逃げ始めた。

 

既に離脱する力も残されていない艦は自沈を選ぶかレジスタンスに捕虜として投降した。

 

ディファイアンス”のブリッジの中では旗艦撃破と帝国艦隊の迎撃に成功した事を乗組員や士官達が共に喜んでいた。

 

MC85とネビュラ級の圧倒的な力が帝国宇宙軍のスター・デストロイヤーの艦隊を真っ向から打ち破ったのだ。

 

今まで苦境の中にいた彼らにとってこれほど喜ばしいものはない。

 

このままガレルまで進撃し帝国艦隊を撃滅し勝利し続けることも可能だと皆が思っていた。

 

アクバー元帥も勝利を安堵しひとまず椅子に寄り掛かり一息ついた。

 

「やりましたね、アクバー元帥!帝国艦隊を撃破し連中の防衛戦力の殆どを叩き潰しました!」

 

ハシュン中佐は喜びの笑みを浮かべアクバー元帥の側に寄った。

 

ホーム・ワン”から“ディファイアンス”へ移ったヴェラック艦長も微笑みを浮かべている。

 

「ああ、帝国軍をガレルの玄関口まで一気に押し出せたのはこのスター・クルーザーとあのスター・デストロイヤーの力が大きい」

 

「ですがMC85の主力艦隊とネビュラ級の突撃機動群を編成しそれを運用出来たのはアクバー元帥のお力あってのことです」

 

ゴスピック少将は謙遜するアクバー元帥の功績を讃えた。

 

確かにMC85もネビュラ級もタフで大火力の素晴らしい新型艦だがこの能力を最大限に活かすには指揮官の手腕が問われてくる。

 

だがアクバー元帥は持ち前の才能と今までの経験によりその問いに120点以上の答えを叩き出した。

 

今やモン・カラのレジスタンス艦隊はかつての敗残兵の集まりではなく精強な突撃部隊を有した第三帝国の十分な強敵となっていた。

 

『帝国艦隊の追撃はしなくてよろしいですか?』

 

ホログラムが出現し隣の“ユニティ”に乗艦するメイディン将軍はアクバー元帥に尋ねた。

 

「ああ、もはや連中の逃げ道はガレルしかない。今追い詰めたところで死兵となった帝国艦隊と戦っては我々も大きな損害を被るだろう」

 

『ではガレル攻略は後方部隊の到着と共にということで?』

 

「うむ、だがまずはこの戦いで我々に投降した帝国軍兵士達をモン・カラへ移送せねば」

 

『なら我が艦隊から何隻か輸送船と護衛部隊を手配しましょう。元帥の艦隊は温存させておかないと』

 

「アクバー元帥、デレリウムの艦隊司令支部より緊急入電です!惑星リアンナに帝国艦隊が集結中、中にはエグゼクター級など多数のドレッドノートも確認されたとのこと!」

 

メイディン将軍との会話に割り込んだ士官の報告はその場の全員を大いに驚かせた。

 

特に間のエグゼクター級という単語がだ。

 

「どの艦だ?」

 

アクバー元帥は報告してきた士官に尋ねる。

 

「恐らく…ハンバリン駐留艦隊の艦艇も確認されていることからオイカン元帥の“リーパー”かと…」

 

「遂に帝国宇宙軍の総攻撃が始まるのか…?」

 

ハシュン中佐は不安気に呟いた。

 

現状、勝利を重ねているとはいえ帝国宇宙軍のスター・ドレッドノートなどを主軸とした大攻勢を行なわれれば再び危うい立場になる。

 

『そうか…分かった。レジスタンス情報部もコア・ワールドで不穏な動きを察知したそうです。親衛隊の第一艦隊が首都コルサントを離れる準備をしていると』

 

クラッケン将軍が立ち上げたレジスタンス情報部と連絡を取っていたメイディン将軍は受け取った情報を伝えた。

 

これは間違いなく帝国軍が総力を上げてモン・カラ攻略に乗り出そうという算段だろう。

 

貴重なエグゼクター級を二隻も動員し周辺艦隊のみならずハンバリンと親衛隊の第一艦隊という精鋭部隊を送り込んでくるのだ。

 

もはや何を物語っているかすぐ分かるだろう。

 

「このままガレルにいてはリアンナからの攻撃に対処出来ません!」

 

ハシュン中佐は大声で危機を口に出した。

 

少なくともガレルの戦力はほぼ壊滅状態、現状抑えるだけならMC85一隻を旗艦とした艦隊だけで十分だ。

 

しかし明らかにリアンナの艦隊はそうではない。

 

「モン・カラの予備艦隊を動員しデラルト艦隊も直ちにデレリウムに向かわせろ。我々も急行するとデラリウム支部には伝えてくれ」

 

「了解」

 

『しかし抑えの部隊はどれを残しますか?』

 

「“リバティ”麾下の艦隊を残して私とメイディン将軍で向かうぞ。“リバティ”の指揮官を呼んでくれ」

 

アクバー元帥は直ちに命令を出し艦隊の移動を始める。

 

これほどの緊急事態、素早く対処せねば帝国軍の大波のような攻撃により全てが飲まれてしまう。

 

だがアクバー元帥達はまだ何も知らなかった。

 

リアンナにいる帝国宇宙軍が所詮は“()()”であることを。

 

()()()()”は遥か彼方の深淵から姿を表そうとしていることを。

 

まだ誰も、第三帝国すらも知らなかった。

 

 

 

 

-第三帝国首都惑星コルサント 帝国地上軍参謀本部-

帝国地上軍中央司令部は帝国地上軍参謀本部と名称を変更し地上軍長官も地上軍参謀総長という肩書きになった。

 

またヴィアーズ大将軍が南方方面攻略の為長官の職を副長官であるモロック上級将軍へと譲った。

 

しかしモロック将軍は来年で退役する為、既にその職は殆どフリッツ・ヘルダー上級将軍の方へと移行していた。

 

今日の参謀本部では他の宇宙軍、スターファイター隊同様に地上軍でもチス・アセンダンシー領への視察へ向かった時の報告を行なっている。

 

報告会にはヴィアーズ大将軍やヘルダー上級将軍だけでなくブラシン大将軍、マーゼルシュタイン元帥やアルフェード・ヨーデル将軍、カイティス元帥、キャス参謀長、モロック上級将軍など地上軍や帝国軍の重役達が集まっていた。

 

「チス・アセンダンシー軍は亡命したサンクト宙域の帝国軍によって大幅に強化されている。兵士の練度はともかく技術や兵器、全て我が帝国地上軍のものを全員が使える状態だ」

 

「歩兵戦力の方はどうだ?当然チスに帝国軍式の教育が合わさっているから我が軍ほどでなくとも高い練度を誇っていると思うが」

 

モロック上級将軍はヴィアーズ大将軍に尋ねた。

 

最終の結を決めるのは歩兵とよく言ったものでAT-ATやリパルサー・タンクがいくらいようと歩兵という存在はなくならなかった。

 

たとえそれがバトル・ドロイドであっても、クローン・トルーパーであってもだ。

 

必ずどの軍にも歩兵という兵科は存在していた。

 

「敵軍にも501軍団の残存兵力の部隊が存在していた。もしかすると……いや、かなり練度は高いと考えた方がいいだろう」

 

彼らの副官や書記官達がヴィアーズ大将軍の報告を議事録に纏め、他の上級将校達は真剣な顔で報告を聞いていた。

 

中立国で当面戦う予定はないとはいえ、相手のことをよく知っておくのは重要だ。

 

それに少しすれば向こうからも視察団が送り込まれる。

 

「後…これはちょっとした報告だが、亡命軍の中にゼル・ヨハンズという戦車乗りの将校がいた。もしかすると対ウォーカー戦を得意とした戦車部隊がいる可能性がある」

 

「ゼル・ヨハンズ……ヨハンズ……ああ、あの“()()()()”と呼ばれた」

 

ブラシン大将軍は思い出したように彼の名前を呟いた。

 

マーゼルシュタイン元帥やヨーデル将軍は少し苦笑に近い笑みを浮かべている。

 

良くも悪くもヨハンズ将軍は帝国地上軍の中でそれなりに有名な人物だった。

 

「リパルサー・タンクなら地上軍の対車両部隊で対処出来ますかね?」

 

「いいや、あのヨハンズの配下ならきっとファイアホーク・リパルサー・タンクがぞろぞろいる。対車両部隊だけじゃうまくいくまい」

 

テオドル・ブッセル大佐は隣のキャス参謀長に問いかけた。

 

しかし相手の実力をよく知っているキャス参謀長は首を捻りこう返した。

 

ヨハンズ将軍の麾下部隊は帝国地上軍の戦車隊の中でもかなりの最新鋭戦車を主力にした精鋭だ。

 

恐らく並みのAT-ATやAT-STのウォーカー部隊なら軽々と打ち倒してしまうだろう。

 

「ウォーカーの方はどうだ?連中も我が軍同様改造式のアサルト・ウォーカーを使っていたか?」

 

マーゼルシュタイン元帥が今度はヴィアーズ大将軍に質問した。

 

現在、帝国地上軍ではコルサントの秘密地区から発見した全地形対応メガキャリバートランスポート、通称AT-MTをベースにした新型アサルト・ウォーカーを製造中だった。

 

既に部隊に配備され実戦投入されている機体も多く、これから更に新型のAT-ATが増えていく予定だ。

 

だがその一方でチス・アセンダンシーのような勢力も新型のウォーカーを開発しているのではないかという疑念もあった。

 

「私や他の将校団が視察した限りではそのような機体は確認されていないが……“()()()()()”可能性はある」

 

「と、なればこちらも現状のⅣ号ウォーカー以外の機体も生産する必要があるか…」

 

帝国地上軍装甲強襲師団のトップであるハイス・グーリアン上級将軍はヴィアーズ大将軍の報告を聞き重い表情のまま呟いた。

 

グーリアン上級将軍はヴィアーズ大将軍と同じくらい有名な装甲部隊の指揮官であり“()()()()()()()”のあだ名で呼ばれていた。

 

「連中がウォーカーを蔑ろにするとは思えん。きっと強化しているはずだ」

 

ヘルダー上級将軍は注意と危惧を込めて進言した。

 

「となればこちらの視察も通常AT-ATのみ展開する……の方が良さそうだな」

 

カイティス元帥は他の幕僚達と顔を合わせヴィアーズ大将軍も仕方なしと納得した。

 

そして次の質問に入ろうとした所ある1人の将校が会議室に入室した。

 

「なんだ?」

 

ヨーデル将軍が声を掛けるとその将校は「重要報告があってやって参りました」と答えた。

 

コードシリンダーは4本、胸の階級章と襟章を見るに地上軍参謀本部付の少佐だろう。

 

「入ってくれて構わない」とヴィアーズ大将軍は手招きしその少佐は中へ入った。

 

「で、報告とはなんだ?」

 

マーゼルシュタイン元帥は少佐に尋ねた。

 

少佐はしばらく間を置き全員が聞こえるくらいの声の大きさで報告を始めた。

 

「未知領域から帰還中のフューリナー上級大将の旗艦より暗号通信を受け取りました。“()()()()()()()()()()()()()”と」

 

一見意味不明な暗号文に将校達は鈍い反応を示すもフューリナー上級大将が向かった先と照らし合わせると意味はすぐに分かった。

 

いよいよ“()()()()”。

 

閉ざされた門を開き、隠された秘密の軍隊が銀河系へと進軍する。

 

「報告ご苦労、下がってくれ」

 

「はい」

 

少佐はヘルダー上級将軍の言う通り命令を受け会議室を後にした。

 

それからしばらくは思い沈黙の時間が流れた。

 

「あの連中、本当に信じて良いのですか?」

 

デイツワインズ中将は他の将校らに疑問を投げかけた。

 

何人かは“彼ら”が送ってきた案内人の姿を見たことがある。

 

それは軍事組織の斥候というにはあまりにも逸脱しておりまさしく“狂信者”という言葉が相応しかった。

 

「しかし、彼らの戦力は地上軍だけ見てもかなりのものです」

 

参謀本部第一部副部長のフリースト・パールス少将は彼らをそう擁護した。

 

「それに総統が彼らの行動を許可なされたのだ。我々はそれに従うまでだ」

 

大臣のカイティス元帥も戦力的な評価は口に出さなかったがあくまで総統の意向に従うべきだと将軍達を促した。

 

他の将軍や幕僚達は何も言わなかったがそれぞれ悶々とした思いがあった。

 

それはヴィアーズ大将軍もマーゼルシュタイン元帥も同じだった。

 

だが一つだけはっきりと分かり全員が共通して思っていることはある。

 

()()()()()()()()”、抽象的な言葉だがそれ以外に形容出来なかった。

 

 

 

 

 

-未知領域 惑星イラム軌道上 インペリアル級スター・デストロイヤー“ヴィジランス”-

ハイパースペースを抜けイラムに帰還したのは迎えのインペリアル級“ヴィジランス”、“アルティメイタム”と“アシディティ”の三隻、セキューター級一隻、帝国貨物船三隻のみだった。

 

行く時はエグゼクター級“エクリプス”一隻で向かったのだがその時に既に案内人から一つの命令を受けていた。

 

「“エクリプス”は最少人数の乗組員でエクセゴルまで来るように」と。

 

最初スローネ大提督もグランドモフランドもボラム将軍もその意味がまるで分からず一時期は反対していた。

 

しかし案内人の通り最少人数で彼の地に向かいようやくその理由が分かった。

 

エグゼクター級“エクリプス”は“()()()()()”、いや“()()()姿()()()()”。

 

()()”によって“エクリプス”は彼女の妹達と同じ姿となるのだ。

 

そしてそれはファースト・オーダーにとって大きな力となり、勢力基盤を整える足がかりとなる。

 

彼の地に向かったことはそれだけで大きな収穫だった。

 

だが彼の地で得たものは当然全てが良いこととは限らなかった。

 

彼の地で目撃した事はファースト・オーダーの者達に多くの不安と不信を与えた。

 

本当に彼らを信用していいのか、本当に我らの味方となるのか。

 

抑えきれない不安が確かに存在していた。

 

「ボラム大将軍はどうした?」

 

「僚艦の“エラディケイター”へと一旦移りました。グランドモフランドも同じく僚艦の“アシディティ”にいます、ピアーソン提督もそこに」

 

乗組員のニルス・トスウィン少佐は追加の情報を合わせてスローネ大提督の問いに答えた。

 

彼はこの“ヴィジランス”に乗ってからもう4、5年ほど経つ。

 

本来アキヴァの反乱時に失われる運命に近づいた“ヴィジランス”だったがラックス元帥に変わり救援に駆けつけたオイカン大提督の艦隊により窮地を脱した。

 

しかしあそこでの敗北は多くの高官とアキヴァを失い新共和国と帝国の支持率が逆転しまうという悲惨な結果だった。

 

それからスローネ大提督はラックス元帥らとの果てない闘争に巻き込まれながらここまで来た。

 

壊滅しかけたヴァルコ・パンディオンの艦隊を吸収し、ジャクーからラックス配下の部隊を撤収させ、他の多くの勢力を吸収して周り未知領域に辿り着いた。

 

「それと間も無くピーヴィー艦長のリバイバル級“ファイナライザー”が護衛の“ヴァンキッシュ”と共に到着します」

 

トスウィン少佐は今後の予定も続けて報告した。

 

「リバイバル級……例の新型スター・デストロイヤー建造計画か。しかしあの艦はテナントの言い分だとまだ“()()()()()()”らしいが」

 

スローネ大提督は今まで受けてきた報告の数々を思い出しながらトスウィン少佐に尋ねた。

 

リバイバル級スター・デストロイヤー、別名リバイバル級スター・バトルクルーザーは全長2,400メートルほどの大型主力艦だ。

 

共和国宇宙軍のヴェネター級、帝国宇宙軍のインペリアル級の長所をそれぞれ合わせ対空能力などを向上させた次世代艦でありファースト・オーダーによる対新共和国戦の尖兵となるはずの存在だった。

 

様々な能力を詰め込んだ為リバイバル級はインペリアル級よりも800メートルほど大きくその分少数艦となっていた。

 

また本来の計画では後もう400メートルほど巨大でスターファイターも三個中隊多く詰める設計だったのだが生産性と技術面から今の形に留まった。

 

その為テナント提督らはこの艦をあくまでプロトタイプと評していた。

 

「詳しくは技術士官でないと分かりませんがリバイバル級は今後、少なくとも初期ロットは改修を重ねて機能を追加していくそうです。それで問題がなければ最終系で本格建造を始めると」

 

「つまり、プロトタイプであることに変わりはないのだな?」

 

「はい、ですが大提督、あのリバイバル級は現状の性能でも十分問題ありません。最大火力も偏向シールドによる防御力も艦載機及び兵員搭載能力もインペリアル級以上です」

 

「性能に関して心配はしていない。少しテナントの言葉が引っかかっただけだ」

 

リバイバル級を擁護する素振りを見せたトスウィン少佐に対してスローネ大提督はあくまでと断りを入れた。

 

「大提督、間も無くタラッツ提督とテナント提督が到着します」

 

ブリッジの奥からドマリク・クイン大尉がスローネ大提督に敬礼し報告した。

 

クイン大尉は元々士官ではなく下士官の立場にあった。

 

しかしジャクーの戦いで多くの宇宙軍トルーパーやストームトルーパー達を纏め上げ脱出に貢献した姿を認められ一気に中尉にまで昇進した。

 

その後未知領域に辿り着いた後は兵員不足を補う為に更に大尉に昇進しスローネ大提督の付属士官として日々の報告などを行なっていた。

 

「会場は“ファイナライザー”に設定してある。到着したらしばし待つよう伝えろ」

 

「会議の内容はやはり“()()()()”のことですか?」

 

クイン大尉は思わずスローネ大提督に尋ねた。

 

トスウィン少佐から厳しい目線を向けられたがスローネ大提督は気にせず答えた。

 

「そうだが、お前にはまだ関係ないことだ」

 

「僭越ながら大提督、あの地の連中はもはやカルトです。未来が見えるだのなんだの…」

 

「しかし大量の艦船、そして兵員が我々の味方となるのだぞ。チスと第三帝国と彼らの戦力があれば現状の戦力の一万倍…そうでなくとも帝国を纏めるのに彼らは必要だ」

 

トスウィン少佐はクイン大尉の不安感に対し彼らと同盟を組むことによる利点で和らげようとした。

 

しかし今のクイン大尉にはあまり効果なかった。

 

「見返りを求めてくるかもしれませんよ。それにカルト連中が帝国の中枢を占拠するような事態にでもなったら…!」

 

「問題はない、彼らとて数のうちでは我々に到底及ばないことをよく知っている。出過ぎた真似は出来ん」

 

スローネ大提督はクイン大尉を宥めるように実情を話した。

 

しかし大尉はまだ納得出来ない様子だった。

 

「パルパティーン皇帝から始まり、アミダ大宰相、ラックス元帥から受け継いできた帝国の意志を彼らに穢されるような事は私が断じてさせん。安心しろ」

 

「はい……」

 

渋々納得したクイン大尉はそれ以上何も言わなかった。

 

沈黙の間にブリッジの乗組員が「リバイバル級“ファイナライザー”、到着しました」と報告した。

 

「分かった、それでは私は会議に行ってくる」

 

「お気をつけて」

 

2人に敬礼されスローネ大提督はシャトルで待つ幕僚達の下へ向かった。

 

その道中で大提督は考えた。

 

クイン大尉やトスウィン少佐達には隠していたことを。

 

あの“エクリプス”にはいくつかのデータや記録が抹消されていた。

 

例えばウェイランドからコピーされた記録や航路の一部が“エクリプス”やレプリカヨットの“インペリアリス”のデータバンクから抹消されていた。

 

無論復元はほぼ不可能に近かった、しかし“()()()”が来てからは違った。

 

奴は抹消された全てのデータを復元させた。

 

我々は奴が蘇らせだデータの航路を辿り彼の地まで向かった。

 

どうやって復元させたのか、誰がデータを消したのか、その答えをずっと大提督は考えていた。

 

そもそも“エクリプス”を、“インペリアリス”をスローネ大提督が与える前に操作出来る高官は1人しかいない。

 

亡き助言者、ガリアス・ラックス元帥。

 

あの男が消したというのか?

 

スローネ大提督に全てを託して死んだ男がまだ隠し事をしていたのか。

 

ならば何故隠したのか。

 

そして消された道を辿った先にあったあの光景。

 

ラックス元帥は確かに帝国を滅ぼそうとした、しかし帝国を自ら復活させようともした。

 

選ばれた者達による帝国の再編、このファースト・オーダーの原型を作ろうとしていた。

 

志半ばで斃れ、スローネ大提督に全てを託したはずだ。

 

しかし、しかしもし彼が道を隠していたとすれば…。

 

もし彼が“()()()”を辿って帝国を再建しようとしていたならば…。

 

「この帝国を……ファースト・オーダーを……どこへ導くつもりだったんだ……ラックス」

 

彼女の様々な感情が入り混じった握り拳は誰にも見えずに虚空へと消えた。

 

 

 

 

-惑星ディカー レジスタンス司令部-

「大臣!ナブー潜入中のシールズ1から緊急暗号通信です!」

 

前の士官と時間により交代し今しがた席に着いたジェイク中尉は暗号を聞くなりすぐ大臣に報告した。

 

幕僚達と協議中だったディゴール大臣は近くでC-3POと話していたレイアの2人が急いでジェイク中尉の側に寄ってきた。

 

「暗号は?」

 

「特務暗号ですぐ解読出来ました。要約して読み上げます」

 

「頼んだ」

 

ジェイク中尉はモニターに映ったオーラベッシュを読み上げ2人は固唾を飲んで見守った。

 

「我々は女王救出に成功、遂に全土奪還作戦を開始する。本作戦に際しディカー司令部には艦隊及び地上戦力撃滅、揺動の為の支援戦力の投入を要求する……だそうです」

 

「具体的な敵戦力はどのくらいだ?記載されているのか?」

 

ディゴール大臣の問いにジェイク中尉は「されてます」と答えこれも読み上げ始めた。

 

「敵艦隊はナブー艦隊に合わせインペリアル級一隻、大型輸送船二隻、地上部隊は王室保安軍に合わせ親衛隊地上軍一個機械化兵団だそうです」

 

「帝国軍もかなりの戦力を送ってきましたね」

 

レイアは後者の帝国軍の戦力の多さに険しい表情を浮かべた。

 

守備隊としては少し多過ぎる程の戦力だ。

 

「宇宙艦隊だけならば“()()()”を全て投入すれば圧倒出来るだろう……問題は地上部隊だ」

 

あの2人が機械化兵団と判断したのだからその情報は間違いないのだろう。

 

兵員輸送のために持ってきたと思われる帝国貨物船二隻とインペリアル級の兵員搭載能力を合わせた単純計算でも凡そ4万人以上。

 

更に機械化ということは機甲部隊ほどでなくてもAT-ATやAT-ST、装甲車両を多数保有しているだろう。

 

地上部隊の戦力が他所と比べて乏しいディカーから送れる部隊は相当限られてくる。

 

「ナブーへの援助は私と麾下の機甲師団で行こう。私の師団なら少なくとも兵員数では互角だ」

 

「ヴィアタッグ将軍…」

 

レジスタンス地上軍将軍のデュロン・ヴィアタッグ将軍は奥から現れ自ら名乗りを挙げた。

 

ヴィアタッグ将軍は惑星ボサウイから派遣されてきた将軍でボサウイから一個軍ごとこちらにやってきた。

 

またヴィアタッグ将軍はサラストの敗残兵部隊も併合しディカーの地上総司令官となっていた。

 

「恐らく暗号の言い方やあちらの指揮官達のやり方からして我々が優先して行うのは艦隊の撃破でしょう。せめて敵兵団を抑えるだけで構いません、頼みましたよ」

 

「はい議長、それじゃあ大臣」

 

レイアからの信任を受けディゴール大臣は了承を出した。

 

ヴィアタッグ将軍は敬礼しすぐに麾下の幕僚達と共に司令室の外へ出た。

 

「今すぐ基地に緊急攻撃の放送を流せ。守備隊と予備隊以外の全艦艇及び全スターファイター隊を投入する」

 

「了解」

 

ディゴール大臣の命令を受けジェイク中尉が緊急出動用の放送とランプを鳴らした。

 

更に大臣はジェイク中尉にもう一つ命令した。

 

「後バスチル少佐とジルディール上級中尉らに返信を返せ。“()()()()”と」

 

「はい!」

 

事前に録音された音声は警報と共に基地中に鳴り響き将兵達に出撃の報せを届けた。

 

『コードE-1発令、指定部隊員は総員出動せよ。繰り返す、コードE-1発令、指定部隊員は総員出動せよ』

 

その報告を聞いた着替えの最中だったヴィレジコフ上級中尉は急いでチャックを締め直し生命維持装置などを付け直し始めた。

 

先程まで飛行訓練を行なっており本来この後は休憩だったのだがこのコードの放送が流れてしまってはこの後のスケジュールは全て白紙だ。

 

直ちに愛機に戻り戦場へ向かわねばならない。

 

「警報を聞いたか!?急げよ!」

 

コーラン少佐は急いでロッカールームに入り隊員達に声をかけ先に機体へ向かった。

 

ソード中隊のパイロット達も「了解!」と返答し一番最初にヴィレジコフ上級中尉がロッカールームから走って外に出た。

 

通路を走っていけば多くのパイロットや兵士、技術士官達が慌ただしく駆け回っていた。

 

それは外に出ても同じことで輸送機やスピーダーが兵士やパイロットを乗せて闊歩し機体の発進準備が進められていた。

 

「最終整備、チェック急げ!出撃だぞ!」

 

整備士長が大きな声で部下達を鼓舞し他の整備兵達も念入りに素早くチェックを行う。

 

『ジュエル中隊全機、発進開始せよ。ライトニング中隊はジュエル中退発進後に出撃されたし』

 

管制官の誘導が飛行場全域に広がり滑走路から飛行する何十機かのXウィングとAウィングの姿が確認された。

 

当然見とれている場合ではない。

 

ヴィレジコフ上級中尉は急いで愛機のAウィングに乗り込みヘルメットを被った。

 

「チェック完了、いつでも飛べます!」

 

「ありがとうベイア上等兵!行ってくる!」

 

整備兵に礼を述べコックピットを閉めた。

 

システムを起動しAウィングをいつでも飛べる状態にする。

 

「ソードリーダー、こちらソード2。いつでも発進出来ます」

 

『了解ソード2、そろそろソード中隊全機の用意が整う。それまで待機しろ』

 

コーラン少佐の返答にヴィレジコフ上級中尉は「了解」と返した。

 

大きな息を吐きふと右側の滑走路を見れば多くのスターファイターが飛行場を飛び立ち軌道上の艦隊へと向かおうとしていた。

 

下の方に目を向ければまだ多くの整備兵達が機体のチェックや整備、弾薬の補給を行なっている。

 

そこに慌ててパイロット達が到着し急いで機体に乗り込んでいった。

 

『ソードリーダー、全隊員搭乗完了しました。機体も全機万全の状態です』

 

ソード3がコーラン少佐に報告し少佐は「分かった」と一言だけ返し全ソード中隊員に命令を出す。

 

『ソード中隊全機、滑走路は現在ライトニングとマナンズ中隊が使用中だ。我々は今すぐ出撃したい為りフローティング・モードで出る』

 

「了解!」

 

機体のシステムを微調整し愛機をゆっくり上空に浮上させる。

 

フローティング・モードでの発進では少なくとも数十メートルほど地上との距離が必要だ。

 

高度をしっかり確認しつつ安全圏まで機体を浮上させる。

 

ある一定数の高さまで行くと機体の計器が青く光り発進しても安全だということをパイロットに知らせた。

 

「ソード2、発進する」

 

機体を回転させつつ上向きにし、ヴィレジコフ上級中尉はペダルを踏み込みエンジンを全力で吹かして上空へと発進した。

 

コーラン少佐や他のソード中隊機も後に続き12機のスターファイターが一斉に発進した。

 

一方彼らが発進した後も地上では兵員を輸送させたりしていた。

 

フル装備のレジスタンス兵士達が輸送機に乗り込み上空の大型主力艦に乗り込もうと急いでいた。

 

「第1、第2歩兵中隊はリパルサー・タンクと共にコレリアン・ホーラーへ!他の歩兵中隊はCR25とGR75を優先的に使用しろ!」

 

誘導の中尉が歩兵達の輸送船を指定し混乱なく詰め込めるよう指示を出した。

 

その後ろを戦闘服を着たヴィアタッグ将軍が数人の幕僚と共にUウィングに近づいていった。

 

2人の将校が敬礼しUウィングにヴィアタッグ将軍に説明した。

 

「将軍、間も無く“アルザス”が抜錨します」

 

Uウィングの奥からゆっくりと巨大なMC85スター・クルーザーが姿を表し浮上しながら前へ進んでいった。

 

モン・カラから送られてきたMC85スター・クルーザー“アルザス”は“クレマンソー”に代わりディカー艦隊の旗艦を務めている。

 

他にも僚艦として送られてきた二隻のネビュラ級スター・デストロイヤーが艦隊の要として軌道上に駐留している。

 

「兵員は全員乗り込んだか?」

 

「はい、後は全てネビュラ級に搭載する兵員と兵器のみです。我々はこのUウィングで“アルザス”まで向かいます」

 

ヴィアタッグ将軍は頷き幕僚達と共にUウィングの中に入った。

 

他の輸送船や輸送機と同じようにこのUウィングも浮上しMC85“アルザス”へ向かう。

 

軌道上では幾つかのスターファイター隊と出撃する艦隊がハイパースペースへの突入準備を始めていた。

 

その中にはヴィレジコフ上級中尉達のソード中隊もいた。

 

『全機、ハイパースペース・ルートを設定。目標をナブーへ』

 

「ナブーへ…?ってことはつまり……あの2人の任務がついに…!」

 

ヴィレジコフ上級中尉はハイパースペース・ルートを設定しながらそう勘づいた。

 

それから暫くして全軍にディゴール大臣からの通信が入る。

 

『コードE-1指令を受けた全将兵へ、我々は今よりナブーに向かう。ナブーの正当な指導者であるソルーナ女王らは解放され、遂にナブー奪還作戦が開始された。我々は新共和国建国以来の盟友であるナブーを守らなければならない。共に戦い、ナブーに会報を齎すのだ!諸君らの奮闘を期待する』

 

通信は途切れヴィレジコフ上級中尉はバキバキ指の関節を鳴らし目の前に迫る戦いに備えた。

 

惑星内から姿を表したMC85“アルザス”とMC80“スターリリーフ”が艦列に加わり全ての用意が整った。

 

ブリッジではデュロスのクロルティ司令官が艦長席に座っていた。

 

何隻かのモン・カラマリ・スター・クルーザーはその名の通りモン・カラマリのにしか扱えない。

 

しかしMC80やこのMC85のような軍用艦や他の種族も扱う艦は改装、もしくは設計から誰でも扱えるようになっていた。

 

今ではモン・カラマリだけが使えるMCクルーザーの方が数少ないだろう。

 

「司令官、全艦及び全スターファイター隊ルート固定完了しました」

 

「艦内部隊の着上陸体制も整っています」

 

幕僚達から報告を受けクロルティ司令官は大きく頷いた。

 

背後からヴィアタッグ将軍とその一行の幕僚達も現れクロルティ司令官らは敬礼した。

 

「上陸時はまず本艦が敵を抑えつつ後方の“スターリリーフ”とネビュラ級の兵員を地上に展開。それから本艦の部隊を展開する予定であります」

 

「ああ、まず上陸した部隊で安全圏を構築しそこに徐々に部隊を降ろしていく。そうすれば主兵力を安全に降下させられるだろう」

 

「わかりました、ではそのように」

 

クロルティ司令官は上陸戦時の確認を済ませると艦長席を回転させ全部隊に指示を出す。

 

「全艦、固定ルートに従いハイパースペースへ!惑星ナブーへ急行する!」

 

司令官の命令と共にスターファイターと艦隊がハイパースペースへ突入した。

 

ナブーの救援の為、レジスタンスの勝利の為に。

 

 

 

 

海軍本部では各司令官や部隊長達が集まり最終チェックを行なっていた。

 

既に全員が武装を整えいつでも戦闘出来る体制を構築していた。

 

「それでは、作戦の最終確認を」

 

フランケ一佐が全員の顔を見合わせ説明を開始する。

 

「まず首都奪還の為の特殊工作部隊をバスチル少佐、メンジス三佐、ジルディール上級中尉が率いる擲弾兵及び保安特殊隊員、海軍特務歩兵らによる部隊がシードに潜入します」

 

「シード突入は当然Uウィングで行う。最大限ジャマーとステルスを使って敵の目を潜り抜けるつもりだ」

 

「それにシードの“仕掛け”は話した通り既にこっちでなんとかしてある。潜入さえすれば後はタイミング次第でどうとでもなる」

 

「“仕掛け”が作動した後は我々で玉座の間を制圧します」

 

3人の部隊長達が意気揚々と話す。

 

フランケ一佐はそれから本題に戻った。

 

「そして近衛兵及び保安隊、海軍歩兵隊、グンガン歩兵の全軍を率いてシードを制圧するのがソルーナ女王とキャプテンコォロとなります」

 

ソルーナ女王は小さく頷き他の将校達は皆どこか心配の目で見ていた。

 

女王であるのだから無理に前線に出なくても良い、指導者なのだから流れ弾で死んでもらっては困る。

 

しかし女王は反対意見を全て押し切ってそこに名を連ねた。

 

「本当によろしいのですか?我々とて全ての危険をお守り出来るわけではありません」

 

キャプテンコォロは何度も彼女に忠告した言葉をもう一度繰り返した。

 

それでも当然ソルーナ女王の心情に変化は訪れない。

 

「いいえキャプテン、ナブーの全人民が命の危険性に晒されているというのに1人、安全地帯で戦況を眺めている事は出来ません。かつてアミダラ女王が成したように自らの手で人民を助け、自らの声で解放を宣言しなくてはなりません」

 

「…分かりました。我々は全力で護衛にあたります」

 

「我々グンガンの歩兵隊も女王殿を命の替えてもお守りします」

 

歩兵隊長のウステン・シール隊長はソルーナ女王に誓った。

 

彼はナブーの戦いで通商連合のバトル・ドロイド軍と戦ったタブラー・シール将軍の息子でウステン・シール隊長もそんな父の背中を目指して隊長にまで上り詰めた。

 

ホーリス騎兵隊長とは戦友の間柄で共にナブー王室解放軍に全面協力していた。

 

「そして残りの揺動部隊、まず本基地を包囲する保安隊を側面から奇襲する部隊をホーリス隊長のカドゥ騎兵隊が、そして重戦力を使って保安隊の機械化部隊と帝国軍の装甲部隊と対峙するのが私率いる第1本部護衛軍です」

 

ホログラムにホーリス隊長の騎兵隊とフランケ一佐の第1本部護衛軍が出現し包囲中の保安軍、帝国軍に攻撃した。

 

彼らはあくまで解放軍が正面から包囲を破ろうと試みているという陽動の部隊だ。

 

騎兵隊もある程度の損害を与えられるだろうが突破は不可能だし、第1本部護衛軍も2つの部隊を抑えるので精一杯だ。

 

「第1軍は所詮保安隊と抵抗組織の構成員と海軍歩兵、水兵、そしてグンガン兵の寄せ集めの軍だ。帝国軍の機甲部隊相手にはそう長くは持たんぞ」

 

「分かっている、ゲリラ戦と防衛陣地を使ってなんとか足止めして時間を稼ぐ。そして各敵駐屯地とスターファイター隊を抑えるのが本部の海軍艦隊と海軍航空隊を率いるオーリー空将らの部隊です」

 

オーリー空将とドルフィ空将、前海軍作戦部長のルース・マウントン海将とガイルス二佐は頷いた。

 

彼らは遊撃し他の駐屯地や飛行場からの増援を出来る限り食い止め出撃不可能にするのが役目だ。

 

恐らく彼らが最も多くの戦闘を行うだろう。

 

海軍本部に駐留中の全艦艇が出撃し使えるスターファイターは全て出す。

 

王室解放軍の最大戦力は最大の揺動と遊撃として扱われる。

 

「そして帝国軍の主力部隊と宇宙艦隊を撃破するレジスタンス軍の増援ですが…」

 

フランケ一佐はジョーレンとジェルマンの方を見つめた。

 

レジスタンス軍が来なければ宇宙艦隊から更なる増援が送られるし親衛隊の主力兵団を抑えおかなければ王室解放軍などすぐに圧倒され潰されてしまう。

 

「先ほど“()()()()”との返信が来ていた。しかも特務コード付きで読んでみれば部隊数が書いてある。新型主力艦三隻、MCクルーザー一隻、機甲師団丸々一つだ」

 

その報せを聞き、将校達からはわっと歓声が湧いた。

 

ディカー基地としては送るだけの戦力を全て送るつもりだろう。

 

解放軍が立てた作戦を十分成功させるだけの戦力だった。

 

「では以上です。それではソルーナ女王」

 

フランケ一佐は最後に作戦の決行をソルーナ女王に託した。

 

この場の最高責任者であるソルーナ女王には最終の決を決める責任があった。

 

ソルーナ女王は一間を置いて口を開く。

 

「ナブー王室解放軍は我々が囚われている間も、我々を救い出した後も、ナブーの解放の為に全力を尽くしてくれました」

 

その一言はグンガンや人間といった全ての種族の間を超えて胸に深く染み渡った。

 

全てはこの時の為、多くの者が死に、多くの者が命と持てる全てを賭けたのだ。

 

「そしてレジスタンスからは2人の勇敢で精強なる協力者が我々を手助けしてくれました。我々はナブーの平和と自由を尊重する多くの人々によって今日まで命脈を繋ぎ止めることが出来ました」

 

ジェルマンとジョーレンは小さく微笑んだ。

 

2人とも命令を受けてからナブー解放の為、様々な戦いに身を投じた。

 

任務の為ではあるがその過程で多くの戦友とまた巡り合えた。

 

この美しい星の為にここまでやってきた。

 

遂にその努力の集大成がやってくる。

 

最後にソルーナ女王は決断の一言を述べた。

 

「我々全員の悲願を成す為に、私はナブー王室解放軍“最後の命令(final order)”を下します。“ナブー解放作戦”を実行しなさい」

 

第三次ナブーの戦いはこうして静かに火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-惑星マーカー-

荒野の近くに2人、いやアストロメク含めれば3人の人影が見えた。

 

1人は男性で黒っぽい服を着て、グローブの焦げ跡から見える“()()”の面を庇いながら土を弄っていた。

 

男は元々農夫でありこの惑星マーカーと同じくらい、場合によってはもっと酷い場所で家族の手伝いをしていた。

 

叔父と叔母は中々に厳しい人物で男を星から外に出すことを随分と嫌っていた。

 

父の話をしても「貨物船パイロットで事故で死んだ」と嘘を吐きあまり話そうとしなかった。

 

だが今にしてみれば死んだ叔父と叔母はある意味家族として、義理ではあるものの両親として正しいことをしていたのかも知れない。

 

男の父親の末路は悲惨で、母親の末路も悲惨だった。

 

2人が遺したたった1人の我が子を、なんとしてでも守りたいと願うのは当然のことだ。

 

それが例え過保護であっても、本人の意思に沿っていないとしても。

 

それだけ“()()()()()()()()”という血筋は特別であり、ある意味呪いに近かった。

 

男の周りをうろうろするアストロメク・ドロイドのR2-D2はその全てを目撃していた。

 

自分の主人が変わりゆく悲しい現場を彼はその小さな瞳で記録していたのだ。

 

後々、時間があるうちに息子にもそれを伝えた。

 

息子は、ルークはかなり心を痛めたがそれでもジェダイとして生きる道を選んだ。

 

このような悲劇を防ぐ新たな時代のジェダイとなる為に。

 

「君はこれからどうするつもりだい?“マラ・ジェイド”」

 

ルークは隣に座る皇帝の手、“マラ・ジェイド”にそう声をかけた。

 

彼女はずっと主人である亡き皇帝、シーヴ・パルパティーンの復讐の為にルークを追い続けていた。

 

エンドア後行き場を失った彼女はFFSOUの司令官であるフューリナー上級大将に拾われた。

 

フューリナー上級大将にとってみれば貴重なフォース使いであり丁度良い駒だと思っていることだろう。

 

マラ・ジェイドはフューリナー上級大将の命令を受けてルークを殺す為に差し向けられた。

 

無論それはマラ・ジェイドも望んでいたことだった。

 

憎きルーク・スカイウォーカーを殺し皇帝の復讐を果たす、それこそが与えられた最後の使命だ。

 

だがルーサンでの襲撃は失敗しこのマーカーでの襲撃も失敗した。

 

特にマーカーでは全員が燦々たる目に遭い彼女が連れてきたトルーパーは乗ってきた輸送機ごと全滅、ルークのXウィングも損傷し頼みの綱は何もなくなった。

 

幸いR2が親友に向けた最後の救難信号があったがそれ以外は何もなく2人は生き残る為に渋々協力する事となった。

 

そこで2人は色々な事を話した。

 

互いの身の上話、フォースに対する考え方、そして皇帝を殺害した本当の人物。

 

ルークは皇帝を直接殺した訳ではない、むしろ皇帝に殺されそうになり“()()()()()()()”。

 

本当の心を取り戻した父親、“アナキン・スカイウォーカー”に。

 

黒い仮面を被った“()()()()()()()()()”ではなく“()()()()()()()()()()()()()”が皇帝にトドメを刺した。

 

その衝撃がマラ・ジェイドのルークに対する復讐心を完全に有耶無耶にしてしまった。

 

「またあの親衛隊に戻るのかい?」

 

ルークは再び尋ねた。

 

しかしマラ・ジェイドは首を振った。

 

「いいえ、戻ってもどうせ殺されるだけだわ。あのフューリナーって男は一見寛容そうに見えて使えないと判断するとすぐ処分する」

 

「じゃあこれからどうするつもりなんだ?」

 

「さあ、また路頭に迷うか密輸組織にでも加わるか……」

 

「帝国と戦う気は無いのかい?」

 

ルークの意外な問いにマラ・ジェイドは思わず吹き出してしまった。

 

「私は元帝国よ?それに私は皇帝に育てられたダークサイドの戦士で…」

 

「いいや、君はまだ暗黒面の戦士じゃない。君はあくまで皇帝と帝国の忠義の為に戦っていただけだ、そこに善悪や光や闇は……っ!」

 

突然危機を察知した2人は急いでその場を離れライトセーバーを起動した。

 

直後、ルークの座っていた岩壁に大きな鉈が深く突き刺さっていた。

 

「なんだ!?クッ!」

 

更にルークの方面にだけ大量のブラスター弾が飛んできた。

 

ルークは厳しい表情を作りながらも全てを捌き切り残りの弾丸をフォースで押し返した。

 

体勢を立て直し、いつでも戦える姿を作り出す。

 

「何者だ!?」

 

ルークの返答には答えず黒く、長細い物体が2本目の鉈を振り回しながら襲ってきた。

 

ライトセーバーにも耐えられる高性能な鉈は何度もルークに攻撃を仕掛け、ルークの攻撃を受け流した。

 

蹴りをフォースと共に入れて遠くに吹っ飛ばそうとするがカウンター攻撃のように数発のブラスター弾を撃ち込まれ、上手くいかなかった。

 

「その形状……ホロワンのIGシリーズか…?」

 

赤い冷酷な瞳に全身が細長くまるでパイプを寄せ集めたかのうなその不気味なシルエットは間違いなくIGシリーズの暗殺ドロイドの姿に酷似していた。

 

しかしボディは黒で統一され腕や足に見慣れない赤いラインと独特な紋章が描かれていた。

 

一体なんの敵かとルークが考えていた矢先、そのIGシリーズ暗殺ドロイドは腕からウィップを出し振るう。

 

ルークはそれを冷静に躱しながら一旦後ろに下がり、次の出方を待った。

 

「あれは一体!?」

 

マラ・ジェイドも暗殺ドロイドを見て困惑している。

 

となればあれは親衛隊や帝国軍が使っているものではないのだろう。

 

暗殺ドロイドはウィップを投擲した鉈に付けそのまま引き寄せた。

 

鉈を手に取ると接続部に付け再びブラスター・ライフルに持ち替えひたすら連射する。

 

ルークとマラ・ジェイドは全てのブラスター弾を弾きながら防御に徹した。

 

無感情にブラスター・ライフルを連射するその暗殺ドロイドは突然足から小型ミサイルを放った。

 

ルークはそれをフォースで押し返すも爆発の煙と火花が周囲に煙幕を少しの間作った。

 

その中を暗殺ドロイドは鉈を持って突っ込み再びルークに斬り掛かった。

 

「こいつ!一貫して狙いは僕だけか!」

 

暗殺ドロイドは凄い力でルークを力押ししダメージを与えようとする。

 

だが暗殺ドロイドはそれ以上の攻撃を“()()()()()()()”。

 

「IG!よせ、もう十分だ」

 

遠くから聞こえてきた聴きなれぬ男の声により暗殺ドロイドは停止し武器を全てしまった。

 

足音と共に男の声は近づきルークに非礼を詫びる。

 

「どうも、我が“()()”が無礼を働き申し訳ありません。スカイウォーカー殿いや、“お弟子様(Apprentice)”」

 

ルークとマラ・ジェイドはライトセーバーをしまうもずっと警戒した様子であった。

 

「誰だ…?君達は…?」

 

ルークはフードを被り見慣れぬ“()()()()()()()()()()()”を後ろに連れるその男に尋ねた。

 

男は暗殺ドロイドより前で止まりフードの先からも見える笑みを浮かべルークの問いに答えた。

 

「我々は“()()()()()”を信奉する者達……迎えに上がりました!新たなる“我らが卿(My lord)”よ!主が貴方をお待ちです。我ら“シス・エターナル”の主が……貴方を」

 

男は静かに頭を下げた。

 

男の上空には見慣れぬ大砲を付けたスター・デストロイヤーが一隻、ゆっくりと姿を現した。

 

まるで破滅の降臨かのように。

 

 

 

 

つづく


























おいじゃ!(あいさつ)

真夜中投稿は気分がいいの!

まるでスパイスキメた気分じゃ!(問題発言)
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