第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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記録No.3698721153
本日は今計画の研究報告の為にインペリアル・パレスに出向した。
シーヴ・パルパティーン皇帝陛下に謁見し今計画責任者であるオーソン・カラン・クレニック長官が直接報告を行った。
今回の研究報告はバトルステーションの主力兵器に関する報告である。
先日技術的、性能的、生産的問題を解決した超兵器、カイバー・クリスタル・スーパーレーザー及び性能をダウンし量産化の見通しがあるアキシャル・スーパーレーザーの開発結果、研究結果をクレニック長官は報告された。
バトルステーション自体の建設は現在も遅延気味ではあるが超兵器の運用現実化について皇帝陛下は直接素晴らしいと思への言葉を頂いた。
この二種類の超兵器設計図及び研究資料は今までの技術同様インペリアル・センター情報管理室と惑星スカリフの情報保管庫に保存される。
また後者のアキシャル・スーパーレーザーに関しては現在同時に開発中の次世代ドレッドノート艦建造計画に統合され超兵器を搭載したドレッドノート及びスーパー・スター・デストロイヤーが建造されるとのことだ。
バトルステーションだけでなく、超兵器を搭載した主力艦が今後建造されていく事について個人的には非常に期待感を感じている。
-オーソン・カラン・クレニック長官副官のダンスティグ・プテロ大佐の日記より抜粋-


バロスの戦い

-チャーニス宙域 アンシオン星系 惑星アンシオン第八衛星-

1機のXウィングとミレニアム・ファルコンがアンシオン星系にジャンプアウトした。

 

この2機のスターシップはそれぞれ通信を取りながら連携を取ってアンシオンの八番目の衛星に進む。

 

ここはまだ帝国軍の残党の縄張りで新共和国軍とまだ戦闘を繰り広げていた。

 

前方から侵入に気づいたアンシオンの駐留軍が艦隊を差し向けてきた。

 

一隻のインペリアル級に二隻のレイダー級、そしてストライク級ミディアム・クルーザーが一隻。

 

ストライク級からは5機のTIEファイターが出撃し先行するレイダー級二隻からも艦砲射撃と共に艦載機が出撃する。

 

Xウィングとファルコン号はレーザー砲を掻い潜りながら全速力で衛星まで急行する。

 

反撃しない為TIEファイターは容易にファルコンらの背後に取り付き機体のレーザー砲を放つ。

 

全てを回避するのは難しいと判断したのかファルコン号のレーザー砲がTIEファイターを攻撃する。

 

今まで反撃が全くなかった為油断したのか1機が直撃を喰らいもう1機は右翼に被弾し制御を失い友軍機と激突した。

 

残された6機のTIEファイターは散開し様々な角度からの攻撃を開始する。

 

しかしうち1機がXウィングにより撃墜され5機となったTIEファイターは一旦体制を立て直す為に後退しレイダー級と攻撃をチェンジした。

 

レイダー級の速力はとてもXウィングとファルコン号に追いつけるものではなかったが猛攻は凄まじくこの2機をどこまでも追撃せんとする勢いだった。

 

それに加え後方ではインペリアル級から二、三個のTIEファイター中隊が出撃しようとしていた。

 

だが既に衛星は見え始めていた。

 

Xウィングとファルコン号はそのままセンサー・ジャマーとスモーク・グレネードを展開し姿をくらまし衛星の中へと突入した。

 

『帝国軍は振り切れた!このまま一気に連中のアジトまで突っ込むぞ!』

 

ファルコン号からハンの通信が聞こえXウィングに乗り込むルークも「ああ…!」と返答した。

 

2機のスターシップは帝国軍に見つからぬよう機体を森林の奥底に、それでいて連中のアジトに近い場所に隠して停泊させた。

 

パイロットスーツを脱がずにルークはヘルメットだけ捨ててライトセーバーを起動する。

 

R2も急いで機体から飛び降り、今まで改造されたボディで殺傷能力の高そうな装置を幾つか出した。

 

「気をつけろR2、いつどこから敵が出てきてもおかしくない…」

 

ルークは親友に警戒を促しながらゆっくり進み始めた。

 

後からファルコン号の中から出てきた完全武装のハンとチューバッカも合流し4人は森の中を進んだ。

 

「本当にここに……あの子がいるんだろうな」

 

「ああ、間違いない。コレリアで僕がつけた発信機は確かにここに辿り着いてた」

 

「銀河系の果てに逃げればなんとかなるって思い付いたのか単純に追い詰められた末か…」

 

「ホズニアンで話した通りまだ協定を承認していない帝国が活気付いてる領域に入れば手出しが難しくなると考えたのかもしれない」

 

ルークはハンの言葉に付け加えた。

 

実際ここまで彼らで来るのにストライン中将やクラッケン将軍らに止められた。

 

まだアンシオンは危険である、時を待つべきだと。

 

だがそんな事をしていてはあの子がどうなるか分かったものではない。

 

ホズニアン・プライムで連れ去られたハンとレイアの息子、ルークの甥のベン・ソロの安否が掛かっているのだ。

 

親であるならば、親族であるならば危険を踏み越えて助けにむかわ泣けばならない。

 

「野郎……暗黒面の信奉者集団だかなんだか知らないが人の子供を攫いやがって……絶対に許さねぇ…!」

 

「怒りで我を見失うな、その代わり絶対ベンを助けるんだ」

 

「ああ…!」

 

ルークはハンを宥めながら自らも高揚を抑えるようにした。

 

隣のチューバッカだっていつもよりもボウキャスターを持つ力が強いように見える。

 

ベンを誘拐したのは恐らく最近勢力を拡大しつつあるカーン・オブ・ダークネスという暗黒面のフォースの信奉組織だった。

 

他の暗黒面信奉組織とも協力関係にあるとされていた。

 

推定人数は分からないが少なくともこのアジトには数十人近い武装した信奉者がいると想定されていた。

 

ホズニアン・プライムやシャンドリラなどの支部組織は情報部の特殊部隊や治安部隊により壊滅したがこのアジトはまだだ。

 

もうベンの行き先はここしかない。

 

ここで、必ず助ける。

 

「いたぞ!」

 

ルークの発見の合図と共に木々の合間からブラスター・ライフルの弾丸が放たれた。

 

ルークは全ての弾丸を弾き返しカーン・オブ・ダークネスの信奉者に直撃させた。

 

そのまま父のようにライトセーバーを投げ信奉者を2人斬り倒す。

 

既に4人の信奉者が戦闘不能となり更にハンとチューバッカの攻撃により残りの信奉者は全て撃ち殺された。

 

奥からやって来た2人の信奉者もフォースで引き寄せられライトセーバーで斬り殺される。

 

更に奥にはスナイパーが1人おり、ルークに狙いを定めて弾丸を放った。

 

しかし最も簡単に弾かれルークは思いっきり飛び上がった。

 

スナイパーは急いで上空に狙いを定めたが既に時遅く、ルークの拳と共に意識を失った。

 

ルークの拳に込められたフォースが辺りに潜む全ての信奉者を叩き出し辺りに倒した。

 

恐らく全員気を失っているか絶命しただろう。

 

これで森に潜む防衛用の信奉者は殲滅した。

 

「行こう!」

 

ルークに先導されハンやチューバッカ、R2は続いた。

 

カーン・オブ・ダークネスのアジトは山の麓の洞窟にあった。

 

森に隠れているがスターシップ1機を停泊出来、多くの武装した信奉者を匿える。

 

今ルークと戦ったのは先遣隊であり元傭兵や帝国軍の兵士もいたのだがベンの為に突き進む彼らに敵うはずもなかった。

 

暫く進むとついにそのアジトのある洞穴が見えてきた。

 

洞穴の周りには旧時代のB1バトル・ドロイドや自動防衛タレットとまた武装した信奉者たちが待ち構えていた。

 

「撃て!」

 

1人の信奉者が命令を出し一斉にブラスターの嵐が吹き荒れる。

 

ルークはまずタレットをフォースで吹き飛ばし弾丸を全てライトセーバーで防御した。

 

その隙にチューバッカとハンがグレネードを投擲し爆発で信奉者とバトル・ドロイドが倒される。

 

更にボウキャスターと改造されたDL-44重ブラスター・ピストルが叩き込まれ多くの信奉者とバトル・ドロイドが撃破された。

 

信奉者の1人も反撃としてグレネードを投げようとしたがフォースによって妨害され自らの命を奪うだけに留まった。

 

「後退しろ!こうたっ!」

 

後退を指示した信奉者もハンのDL-44重ブラスター・ピストルの弾丸によって撃たれた。

 

なんとか生き残った信奉者達は洞穴の中に退避しようとするが防衛のブラスター弾が消えたことによりむしろルーク達の攻撃の合図となった。

 

ルークはフォースを込めて力強くダッシュしR2は足のロケットでルークに追随した。

 

ライトセーバーでまず戦闘の意志を見せる信奉者達を次々と斬り倒していく。

 

逆にR2は逃げる信奉者に電撃を浴びせたり消火スプレーを浴びせたりして妨害した。

 

奥からはチューバッカとハンの援護射撃が放たれまた多くの信奉者が打ち倒された。

 

「チッ!このジェダイの畜生め!」

 

退避出来ず残った信奉者の1人がゴツゴツした岩の壁に掛かっていた斧を持ち出しルークに振るう。

 

されど最も簡単に避けられライトセーバーで斧ごと斬り倒された。

 

他にも格闘戦で敵を倒そうとする信奉者がいたが全てチューバッカの怪力により投げ倒されたり岩壁に叩きつけられたりした。

 

これで一先ず目に見える範囲の信奉者は全て倒した。

 

「R2、ライトを頼む。このまま奥に進もう」

 

「ああ」

 

ハンもチューバッカもルークの意見に賛成を示しR2のライトとルークのライトセーバーの光を頼りに前へ進んだ。

 

途中でハンもライトをつけたがその頃にはもう奥まで辿り着いていた。

 

「道が二つある……」

 

ルーク達の目の前には上下に階段が敷かれていた。

 

「一応発信機の反応は上の方にあるけど…」

 

「こうなったら分かれて進もう。俺とチューイは下に、お前とR2は上へ」

 

「そうだね、気をつけて」

 

「当然」

 

チューバッカも「そっちは頼んだ」と告げ4人は別行動を始めた。

 

ルークはライトセーバーを構えながらゆっくり進んだ。

 

R2はセンサーを起動し電気ショック棒を前に構えながらルークに続く。

 

もしかしたらレーザー・マインのような罠が仕掛けられている可能性もある。

 

油断は出来ない、どこから信奉者が襲ってくるかも分からないのだ。

 

「クソッ!もう来た!」

 

「畜生!畜生!」

 

奥から人の声が聞こえそれと同時にブラスター・ライフルの銃弾が放たれた。

 

ルークは全てフォースで弾き敵の方へ追いやる。

 

弾丸の何発かが信奉者に直撃する音が聞こえ足跡からは一目散に逃げ惑う姿が暗い中でも確認出来た。

 

信奉者達は「クソッ!なんでこんなことに!」とか「首領さえ生きていれば……!」とまるでチンピラのような文句を垂れていた。

 

そのことにルークは少々の違和感を感じつつも前に進んだ。

 

フォースで敵のバリケードを吹き飛ばし一気に前に進む。

 

すると仕掛けた発信機が反応を示す部屋から突然悲鳴が聞こえた。

 

「やっやめろ!!」

 

「助けて!!助けてよ!!」

 

その部屋からは先ほどまでルークと戦っていたと思われる男女が2人出てきた。

 

フードと姿を隠す覆面が外れており恐怖を含んだ泣きっ面が嫌でも見えた。

 

男の方はそのまま部屋の中から出てきたアーマーを着たバイブロ=アックスを持つローブの者にその斧で背中から斬り殺された。

 

ローブのフードの奥から少しだけ顔のようなものが見えた。

 

相手はパージ・トルーパーのヘルメットの改造品のようなものを着用しており所々に黒く塗られたストームトルーパーや地上軍トルーパーのアーマーが垣間見える。

 

それにどうやら相手の体の一部は機械らしくその機械のパーツやコードが何箇所か見えた。

 

全身に返り血を浴びており血みどろの手で逃げようとする女の信奉者を掴んだ。

 

「嫌!離して!!離し……」

 

相手は女の首をへし折り、そのまま岩壁に叩きつけバイブロ=アックスを構えルークに突進した。

 

ルークはアックスの振りを回避しそのまま奥の部屋へ向かった。

 

こんな化け物のような相手が出てはベンの安否が心配になってくる。

 

もしかすると殺されてしまったのではという疑念も現れ始めた。

 

急いでこのサイボーグの戦士が出て来た部屋に入るとそこには悍ましい光景が広がっていた。

 

夥しい数の信奉者の死体が地面に転がっていた。

 

ホズニアン・プライムから逃走の為に使われたGX1短距離運搬船の前にもホズニアンで見かけた信奉者達が斃れていた。

 

そこには戦闘を指揮していた者も首領と呼ばれていたカーン・オブ・ダークネスの指導者と思われるヒューマノイドの男の姿もあった。

 

それだけではなく先ほどの防衛戦で一目散に逃げていった信奉者達は全員ここであのサイボーグの戦士に逃亡を理由に殺害されたのだろう。

 

先ほどの男女と同じように無惨な死に方をした信奉者達の遺体が重なって転がっている。

 

「あいつがやったのか……?っ!」

 

ルークは寸前で後ろからバイブロ=アックスを振るってきたサイボーグ戦士の攻撃を回避しライトセーバーを再び起動した。

 

ライトセーバーの斬撃で攻撃を与えつつ敵の攻撃も同じように防ぐ。

 

フォースが使え様々な技と攻撃法のレパートリーに優れているルークの方がサイボーグの戦士よりもかなり優勢で攻撃を受けては反撃を叩き込むを繰り返していた。

 

サイボーグの戦士は徐々に押されルークの斬撃を受ける回数も増えていった。

 

既に足や手に切り傷を負い損傷箇所からスパークが漏れ出ている。

 

そしてサイボーグの戦士に痛恨の一撃が加えられた。

 

その一撃はルークによってではなく、背後からこっそり忍び寄り接近していたR2-D2によるものだった。

 

R2の電気ショック棒がサイボーグ戦士の損傷部分に触れ凄まじい量の電流がサイボーグの戦士に流し込まれた。

 

各回路がショートしまだ生きている生の神経が電流によって損傷しサイボーグの戦士は苦悶の声を上げる。

 

野太く加工されたような声だったが確かに戦士の声だった。

 

ルークはその隙にサイボーグの戦士の両手を斬り落とした。

 

武器を失ったサイボーグの戦士は防御すら敵わず首を緑色の光剣によって斬り落とされそのまま絶命した。

 

残された身体は膝から崩れ落ち自らが殺してきた信奉者と同じように地面へ斃れた。

 

「コイツは一体……ベンは……」

 

ルークは周囲を見渡しベンの姿を確認しようとするがあの幼子はどこにもいなかった。

 

辺りを走りいそうな場所を徹底的に探してもベンの姿はどこにもいない。

 

ルークはGX1短距離運搬船の中も徹底的に探した。

 

貨物エリアからコックピットまで、船の裏側といった有り得なさそうな場所も全てだ。

 

しかしベンの姿は見当たらなかった。

 

「一体どこに……」

 

まだ辺りを探していたR2も悲しげな電子音で「いなかった」とルークに報告した。

 

「ありがとうR2……まだハン達が残っている。そっちに合流しよう、きっと見つかるはずだ」

 

もしかしたら地下に隠しているのかもしれないとルークは希望を持った。

 

どんな状況であろうとも諦める事は出来ない、信じれば道は絶対に見えるはずだ。

 

ルークはふと足元に目線を向けた。

 

洞穴をそのまま改造したアジトの部屋には先ほどの戦士が口封じの為か殺した信奉者達の血や遺体に混じって何かの跡のようなものが見えた。

 

それも“()()()()()()()()()”にそっくりだ。

 

ルークは足元に近づこうとしたがR2が「ハン達に合流しよう」と急かした為ルークはR2の方に向かった。

 

2人はすぐにハンとチューバッカに合流した。

 

まだハン達は戦闘中だった為加勢し残りの信奉者達を一掃した。

 

完全にアジトを制圧した4人はそのまま手分けしてベンを探し始めた。

 

だがやはりベンは何処を探しても見つからなかった。

 

岩間の影や機材や乱雑に置かれたテーブルの下。

 

二度探したところは三度も探し、いそうにない戸棚やアジトの寝室のベッドの下まで。

 

信奉者達の死体をひっくり返して更に地下通路がないかも確認した。

 

ルークが制圧した上の階も再び探した。

 

ルークもハンもチューバッカもR2も必死だった。

 

あの大切な小さな幼子を探す為に本気になって、本気以上でひたすらに探した。

 

それでもやはり、ベンは見つからなかった。

 

暫くしていよいよ時間が来た。

 

アンシオンの帝国軍が捜索の為に本格的に地上部隊を展開してきたのだ。

 

まともにやり合えば人数的な苦戦を強いられる事は間違いないのでルーク達は運搬船など手がかりになるものを持って近くの新共和国軍寮に避難した。

 

そこから再び彼らはホズニアン・プライムに戻った。

 

無念の思いを抱えつつもまだ諦めずに。

 

ホズニアン・プライムのアパートメントでレイアはルーク達と話をしていた。

 

本当は母親である彼女自身が一番自ら探しに行きたかったはずだ。

 

しかし元老院議員でもあるレイアは全てを実に兄と夫と大親友のウーキーに託してホズニアン・プライムでじっと吉報を待った。

 

一番心苦しいであろうがレイアは1人で耐え抜いていた。

 

「カーン・オブ・ダークネスは壊滅したとストライン中将は報告してきたけど…」

 

「それは多分間違いないと思う。だけどダークサイドの信奉者組織はエンドア以降増え続けてる。もしかすると他の組織に流されたのかもしれない」

 

カーン・オブ・ダークネスは恐らく何かの組織の下位組織やダミーのような存在であったのだろう。

 

でなければあんなにあっさり首領が殺され信奉者達も寄せ集めのチンピラばかりというのが説明がつかない。

 

きっと上位の組織に誘拐を委託し拐われたベンだけを連れ去ったのだろう。

 

あの子を“()()()()()()()()()()()()”。

 

レイア・オーガナとハン・ソロの息子、それだけでも大きな存在だが彼らがベンを狙った本当の理由はこのスカイウォーカーの血統とフォースの力にあるはずだとルークは睨んでいた。

 

ただの身代金目当てなら今頃レイアか新共和国の何処かしらの機関に要求のためのホロ通信が掛かってきているはずだ。

 

それすらないということに加え相手は面は違えどフォースの信奉組織、その力と血統は理解している。

 

ベンを浚い、幼いうちから教育を施してきっと自らの組織の指導者として扱うはずだ。

 

それこそシス卿のような存在にして…。

 

「俺はこれからチューイと一緒にキャッシークへ飛んでクラッケン将軍の情報部チームと合流する。ベンを攫ったのが一つの組織でないならこれからは本格的な諜報組織の協力が必要だ。それにどうやらまたキャッシークの周辺がきな臭い」

 

「帝国の残党の動きが活発化している件のこと?」

 

「ああ、一応名目上はキャッシークの防衛と現地のウーキーの郷土防衛部隊の育成ってことでな。チューイの生まれ故郷を守ってやりたいし同時にベンも探せる」

 

ハンは妻のレイアにそう告げた。

 

今彼女の下を離れるのは本当に辛いし出来れば一緒にいてやりたいと思うが拐われた息子を救う事こそが一番の慰めになるはずだ。

 

チューバッカも「必ず探し出してみせる」とシリウーク語で誓った。

 

彼は本当に義理堅い良い奴だ。

 

「僕もR2と一緒に銀河を回ってベンを探すよ。残されたジェダイの遺跡やシスの遺跡、信奉組織を当たってみればベンの手がかりを掴めるかもしれない」

 

特にシス関連の遺跡は今も暗黒面の信奉組織が根城にしている可能性が高い。

 

今のルークは自由に銀河を飛び回れる為一番ベンを直接探し出せる可能性が高いのだ。

 

それに相手はフォース関連の組織なのだから最後のジェダイたるルークが一番見つけやすいのかもしれない。

 

「R2、しっかりルーク様のお世話をしてベン様を見つけ出すんだぞ。それとお前も自分の身は自分で守るんだぞ」

 

C-3POは旅立とうとするR2に労いの言葉をかけていた。

 

まあ直後にR2が軽口を叩いた為にC-3POが「なんだと!?私はお前さんを心配して言ってやってるんだぞ、この分からずやめ」と頭を叩いていたが。

 

「私は他の議員に声をかけてみたり同じような被害に遭われた方を探してみようと思います。声が集まればきっと大きな力になる」

 

レイアは自らの肩書きの力を使ってベンを探し出そうとしていた。

 

もしかするとレイアのやり方が一番正攻法に近いのかもしれない。

 

彼女の責任が今彼女の助けになろうとしている。

 

「3PO、あなたにも任務を出します」

 

「私に?」

 

C-3POはレイアの命令に耳を傾けた。

 

このプロトコル・ドロイドに直接命令が下される事は珍しい。

 

「間も無くこのホズニアン・プライムからある一隻のコルベット艦がディカーという惑星に向けて発進します。あなたはコルベットに乗ってディカーへ行き、私の友人を頼ってください。きっと力になるはずです」

 

「わかりました、すぐに向かいます」

 

C-3POは急足で部屋を後にした。

 

「こうやって全員が集まるのはいつだろうな」

 

ふとハンが呟く。

 

「さあ、でもその時は必ずベンも一緒だ。きっと僕たちにはフォースがついている」

 

レイアもそれに小さく頷きその場の全員が誓った。

 

必ずベン・ソロを見つけ出して見せると。

 

それから2年の月日が経ち、間も無く3年の月日に成り代わろうとしている。

 

気がつくと銀河系では第三銀河帝国が台頭し第二次銀河内戦が始まり、新共和国は崩壊した。

 

結局ルークもレイアもハンもチューバッカもR2もC-3POもベンを見つける事なくディカーで再会を果たした。

 

この銀河の歴史は彼らを待つ事なく進み始めた。

 

されどルークだけは追いつけた。

 

ようやく見つけたのだ、ベン・ソロを、たった1人の可愛い甥を。

 

だがその甥っ子は今や暗黒面のての中にありその首魁は残酷な選択を無理に迫ってきた。

 

新たなる希望がシスの希望となるか、未来を担う若者をその未来通り今暗黒面に委ねるか。

 

ダース・シディアスは笑い、ルーク・スカウォーカーはジェダイとなって始めて絶望した。

 

この銀河はもう、暗黒面に包まれる寸前である。

 

 

 

 

 

 

-レジスタンス領 ドミナス宙域 バロス星系 惑星バロス-

数百隻のレジスタンス宇宙軍の艦艇がバロスに5時間前に到着した。

 

現地の駐留艦隊と併せてその総数は艦艇の大きさを問わなければその数は大凡百八十六隻。

 

うち四十九隻はこの場にいないがそれでも百三十七隻の艦艇がバロスの軌道上に駐留していた。

 

旗艦はMC85スター・クルーザー“ニスタラム”、指揮官はバニス・ボラトゥス提督。

 

ボラトゥス提督はモン・カラの寒冷地に生まれあのラダス提督やアクバー元帥らとも親交が深いモン・カラマリだった。

 

提督は長い間様々な種族の乗組員を率いて抵抗勢力を形成しており最終的に彼の部隊は反乱同盟艦隊の一翼を担う存在となった。

 

彼はモン・カラの駐屯軍司令官を任され精鋭のモン・カラ駐留第一艦隊を率いていた。

 

今回はその虎の子の第一艦隊を率いてバロスでシス・エターナル艦隊を迎え撃ちに来たのである。

 

「艦隊の補給、完了しました。これで後数回はハイパースペース・ジャンプが可能です」

 

副官のマニンス少佐から報告を受け取りボラトゥス提督は「よくやった」と誉めた。

 

「支援隊に戦闘準備を命じろ。敵が動き出したらすぐにでも動けるようにしておくんだ」

 

「はい閣下」

 

「シス艦隊め……これ以上我々の領域に足を踏み入れることはさせん!私の命に変えてもここで必ず……!」

 

ボラトゥス提督は握り拳を作り、怒りを込めた。

 

ガレルの駐留艦隊は全滅、恐らくガレルに駐屯していた地上部隊も生存者はないに等しいだろう。

 

ガレル艦隊の旗艦であるMC85“リバティ”には反乱同盟時代からの戦友が艦長を務めていた。

 

ボラトゥス提督にとってこの戦いは仇討ち合戦であると同時に祖国防衛戦争でもあった。

 

これ以上連中に進撃されればレジスタンスに味方するロザルやドーネア、最終的には絶対防衛線が展開されているサンクチュアリも危険に晒される。

 

多くのレジスタンス派市民を守る為にもこの戦いは是が非でも勝たねばならなかった。

 

『ボラトゥス提督、お早いご到着で』

 

「スファリー准将か、周辺パトロール隊の結集、ご苦労であった」

 

スファリー准将はバロス駐留艦隊の指揮官であり元惑星防衛軍出身の指揮官であった。

 

惑星防衛軍出身の将校は反乱同盟時代の将校に比べて信頼が薄い場合もあるがスファリー准将はレジスタンスを献身的に支え多くの者の信頼を勝ち取っていた。

 

既にバロス内は彼の命令によって艦内に乗り込んでいた全ての陸戦隊員と地上の歩兵部隊が完全防御を敷いており地上戦となれば少なくとも二、三週間は侵攻を停止出来るほどの防御力を構築していた。

 

市民の避難も粗方完了し今惑星にいるのは数百万人のレジスタンス軍の将兵のみだ。

 

元々バロスには1億人近い人口が住んでいたのだがそれらを全て周辺のタラルⅤやヒナクゥーへと避難させた。

 

モン・カラマリのレジスタンス司令部が早期に対策を取ったおかげだ。

 

もしこのままバロスに人々を残したままではやってくるシス・エターナルやその同盟者とみなされている第三帝国に何をされるか分からない。

 

それこそホズニアン・プライムやシャンドリラ以上に酷い事になるだろう。

 

彼らの残虐性は実しやかにだが囁かれ始めていた。

 

『既に哨戒機を出して索敵を行なっています。1分前に敵艦隊は既にガレルを離れたようですので』

 

ガレルとこのバロスの距離はそう長くはなかった。

 

むしろバロスより奥のロザルとの行き来にハイパースペースを使えば僅か数分足らずで到着出来る距離にあるのだからバロスは更にガレルから近い。

 

敵艦隊が動き出したということはもう間もなくこのバロス周辺域に到着するということだ。

 

早速ボラトゥス提督は即断即決の指示を全艦隊に飛ばした。

 

「ならば全艦隊出撃用意!こちらから打って出てこちらが戦場を設定する。スファリー准将はバロスの最終防衛を頼む」

 

『了解!ご武運を、提督…!』

 

その聞きなれた台詞にボラトゥス提督は敬礼で返し通信を切った。

 

一斉にレジスタンス艦隊が動き出し、戦場へ向けて出撃を開始する。

 

この艦隊にはMC85やネビュラ級が何隻も投入された超最新の精鋭艦隊だ。

 

そう簡単に負けるはずがない、勝利は難しくともせめて敵の全貌を知る事くらいはとボラトゥス提督は祈りに近いことを考えていた。

 

「移動と共に戦闘陣形を展開、今のうちに支援隊は所定地につき命令まで待機を。この戦い、命をかけるに相応しい代物だ。我々はここで斃れようと無駄死にではない!むしろ未来の同胞達を必ず勝利に導くはずだ」

 

軽い演説を交えながらボラトゥス提督は艦隊に命令を下す。

 

今の状況では1分1秒がとても貴重に感じられた。

 

ボラトゥス艦隊の移動より4分後、シス・エターナルの艦隊はバロス周辺域にジャンプアウトした。

 

間も無く戦闘が始まる、シス・エターナルとレジスタンスの第二戦目となるバロスの戦いが。

 

 

 

 

 

 

一番最初にハイパースペースからジャンプアウトしたのは艦隊総旗艦たるエクリプス級ドレッドノート“エクリプスⅡ”だった。

 

その次に十隻のジストン級スター・デストロイヤー、更に護衛艦のインペリアル級が二十二隻、アークワイテンズ級やヴィクトリー級が四十四隻ジャンプアウトした。

 

これだけでも十分星系艦隊以上、半個艦隊に匹敵する数だがまだ多くの艦艇をガレルに残してある。

 

今ジャンプアウトした艦隊は“エクリプスⅡ”の第一本艦隊と第二分艦隊の戦力のみだった。

 

ジャンプアウトと共にシス・エターナル艦隊は一斉に陣形の構成を始め、数分も経たずにフリューゲルが提案した防衛と攻撃を兼ね備えたジストン級専用の陣形を構築した。

 

「全艦の陣形展開完了、スターファイター隊も出撃可能です」

 

エクリプスⅡ”のブリッジで通信士官のブリス中尉がフリューゲルら上級将校に報告した。

 

フリューゲルの隣にはシス・エターナルの黒い軍服を着たブリッツェ中佐やテルノ中将、グレッグ提督らがいた。

 

他にも多くの幕僚将校やスターファイター隊指揮補佐官のハバドン少将や参謀のデミングス司令官もフリューゲルの隣にいた。

 

「まず各艦の第1と第2の中隊を先行出撃させ待機させろ。各ジストン級はチャージを始めろ」

 

「了解」

 

ジストン級やインペリアル級からTIEインターセプターやTIEブルートだけでなくシス・エターナル軍専用のTIEファイター、TIE/SNスターファイターこと通称シスTIEファイターが出撃していった。

 

通常のTIEファイターとは違い機体のパネルは短剣のように尖っておりシス・エターナルを示す赤いラインが引かれている。

 

このTIEスターファイターはあくまで実験段階の機体にありより日夜性能を追い求める研究がなされていた。

 

それでも並のパイロットからすればこのシスTIEファイターは十分な戦闘力を持っていた。

 

「このペースだと最大出力チャージを終えるまでに敵艦隊と会敵してしまいますね」

 

デミングス司令官はフリューゲルに耳打ちしてそう呟いた。

 

「ああ、だが最初に1発だけ撃てばそれで十分だ。アキシャルによる火力投射は合流と共にだ」

 

「敵艦隊発見!モニターに移します」

 

士官の報告と共にブリッジのモニターにレジスタンス艦隊の姿が映し出された。

 

かなり広範囲に艦艇を配置し僚艦、僚艦それぞれが距離を取っていた。

 

むしろ距離の取りすぎにも見えるほどだ。

 

「敵将、誰だか知りませんが対策を取ってきましたね。散開隊形を取ればこちらのアキシャルでの攻撃で受ける損失を軽微に留められる」

 

デミングス司令官は敵の布陣を一瞬で読み解きそう呟いた。

 

フリューゲルも「ああ、それでいて対空防御は確実に形成されている」とレジスタンスの陣形を褒めた。

 

更に敵艦隊は高速艦を前衛に配置している為乱戦状況に持ち込みやすくなっている。

 

艦隊同士がぶつかり合い乱戦状況となればアキシャル・スーパーレーザーはそう易々と使用は出来ない。

 

むしろ数的にはレジスタンス艦隊の方が上である為レジスタンスが辛うじて有利に立てるだろう。

 

当然そんなことを許すつもりはなかったが。

 

「レーザーのチャージ状況は?」

 

「左翼ジストン級の“モフ・アルティス”がエネルギー充填率15%を突破しました。同様に右翼中列の“アドレーション”も10%であれば発車可能です」

 

「ならば両艦に命令、アキシャル・スーパーレーザーを10%の出力で敵艦隊に放て。目標敵艦隊中央の主力艦艇群、一番槍は我々のものだ」

 

「了解!」

 

命令は即座に伝達されジストン級“モフ・アルティス”と“アドレーション”は戦隊下船部のアキシャル・スーパーレーザー砲の発射体制に入った。

 

スーパーレーザー砲区画の乗組員達は退避を行なったりシステムの制御や目標の入力作業が始まっていた。

 

両艦のブリッジでは将校達が慌ただしく報告を行なっている。

 

「安全装置解除、メインエンジンをスーパーレーザー・モードへ」

 

シス・エターナルの宇宙軍トルーパーや乗組員達は素早くパネルを操作し“モフ・アルティス”をアキシャル砲発射体制へと持ち込んだ。

 

このアキシャル・スーパーレーザー砲はかつてマジノ線にローリング大将軍らが持ち込んだアキシャル・シージ・レーザーキャノンと同機種の存在だ。

 

オナガー級スター・デストロイヤーやデス・スターのスーパーレーザーを技術的祖として改良が進められた。

 

あくまでシージ・レーザーキャノンの時代は惑星破壊を何隻も投入して長時間のバースト射撃を行わなければならなかったがこのスーパーレーザーは違う。

 

エクリプス級の“()()()”とはいえその火力は十分な威力であり長時間バースト射撃は必要でもたった一隻の一撃で惑星を破壊することが可能だ。

 

当然艦隊など相手にもならない火力である。

 

「砲撃モードをプラネット・デストロイヤーからフリート・デストロイヤー拡散モードへ、出力チャージ10%」

 

「砲撃位置入力完了、船体固定完了、発射態勢構築完了」

 

「乗組員の退避も完了しました。艦長、いつでも撃てます」

 

砲術主任士官長が“モフ・アルティス”の艦長に砲撃準備の終了を報告した。

 

それから数秒も経たずに艦長は容赦無く命令を下す。

 

「では目標に向かって撃て」

 

そのたった一言で“モフ・アルティス”から超兵器の一撃が放たれた。

 

爆音と共に流血のような真っ直ぐ伸びた赤いレーザーが敵艦隊に降り掛かり厄災を招いた。

 

10%の威力であるのにも関わらずアキシャル・スーパーレーザーの一撃は一瞬でMC80スター・クルーザーと僚艦として控えていたCR90二隻を文字通り消失に追い込んだ。

 

船体の一部分すら残らずこの三隻の軍艦は消え去り周りにいたネビュロンBやブラハットク級ガンシップ、CR90も撃沈、または損傷し行動不能となった。

 

アキシャル・スーパーレーザー砲は現在対艦攻撃の拡散モードに設定されている為より広範囲に火力を振り撒く事が出来る。

 

しかしそれを見越してか、レジスタンス艦隊は散開隊形を取っていた為被害は最小限に抑えられていた。

 

最大火力の拡散モードならガレルのようにレジスタンス艦隊を一撃で葬り去る事が出来ただろうが。

 

続いて“アドレーション”からもアキシャル・スーパーレーザー砲が放たれた。

 

アドレーション”の一撃はMC75を一隻撃沈しMC80を一隻中破に追い込み多数の周辺艦艇に損傷を与えた。

 

こちらも攻撃は概ね成功と言ったところだろう。

 

敵艦隊に対し、初手に手痛い一撃を喰らわせてやった。

 

MC85スター・クルーザー“ニスタラム”のブリッジでも混乱は全く抑えられていなかった。

 

「提督!あの兵器は!?」

 

「オナガー級のような兵器を想定していたが……全く予想外だった……!まさかデス・スターと同じものを主力艦に搭載していたとは…!」

 

ボラトゥス提督は歯噛みしブリッジのアームレストに拳を叩きつけた。

 

周りの将校は一兵卒から幕僚に至るまで皆不安そうな表情を浮かべている。

 

提督はすぐにこれでは敵の思う壺だと自覚した。

 

「だが散開隊形をとっておいて正解だった。こちらの損失はあの一撃を喰らったにしては軽微で連中のあの大砲は確かに凄まじい威力だがチャージと砲撃に時間が掛かるようだ。このまま予定通り作戦を開始する!怯むな諸君、我々は勝てるぞ!」

 

「はっはい提督!各艦に作戦開始を伝達しろ!」

 

「了解!」

 

ボラトゥス提督は自分の発言が敵の弱点的部分を過大評価したものだと知りながらももはやこれしか道はないと考えた。

 

むしろこのまま部下達を不安がらせておく方が敗北に直接的な原因を作りかねない。

 

今は方便でもなんでも使って作戦通りに包囲戦を構築、乱戦状況とスターファイター戦に持ち込んで敵艦隊を叩く他なかった。

 

「全艦艇の援護砲撃と同時にスターファイター隊を展開し敵艦隊へ突入させよ、連中にメスを入れてやるのだ」

 

ボラトゥス提督の指示と共にレジスタンス艦隊は反撃を始めた。

 

主力艦や護衛艦の火砲がシス艦隊に牙を剥きその隙にXウィングやAウィングを先頭にBウィングやYウィングの爆撃隊が突撃する。

 

火力と物量による正面攻勢とスターファイター隊による切り崩し戦術ならあの超威力を艦隊から遠ざけられるはずだ。

 

どんな大砲でも撃たれなければひとまずはなんとかなる。

 

「撃って撃って撃ちまくれ!」

 

ボラトゥス提督の乱雑に見えつつも正確な指示が艦隊を一瞬の混乱から引き戻し作戦を再開させた。

 

シス艦隊も通常の艦隊戦に移行しつつある。

 

モフ・アルティス”と“アドレーション”は一旦後退しそれ以外の主力艦が主砲を用いて反撃し始めた。

 

インペリアル級の八連ターボレーザー砲は安定した火力を撃ち出しジストン級の重ターボレーザー砲やイオン砲も十分な威力を上げている。

 

「火力で言えば向こうがやや有利……ならば本艦も撃ち出すとしよう。ドレッドノート通常攻撃隊形展開!エクリプス級の火力を連中に見せつけてやれ」

 

艦隊の中央に若干の隙間が開き“エクリプスⅡ”が少し前に出た。

 

何発かのレーザー砲弾が“エクリプスⅡ”に被弾したが全く傷ついていなかった。

 

分厚い偏向シールドが常にこの次世代ドレッドノートを守っている。

 

「艦隊の陣形展開完了しました」

 

エクリプスⅡ”艦長のセルガス・ラノックス艦長がフリューゲルにそう告げる。

 

「早速一斉射撃を開始しろ」

 

エクリプスⅡ”の最大火力が敵艦隊に掃射された。

 

何百門の砲門からレーザー弾が放たれあるいはミサイルや魚雷を撃ち込み敵艦隊を攻撃する。

 

エクリプス級はエグゼクター級やマンデイター・ラインなどの既存のドレッドノートの先を行く次世代型の超弩級戦艦だ。

 

当然一つのターボレーザー砲の火力をとってもその威力はエグゼクター級を遥かに上回りエグゼクター級よりも船体は若干小さいのにも関わらず遜色ない火力を撃ち出していた。

 

直撃を喰らった小型艦が一撃で破壊され主力艦のMC80やMC75もタダでは済まされない。

 

何せ最新鋭艦のネビュラ級やMC85だってこのエクリプス級に押されているのだ。

 

「各アークワイテンズ級及びヴィクトリー級は対空戦闘に移行しろ。スターファイター隊は友軍艦に取り付く敵機を全て撃墜せよ」

 

フリューゲルの命令が下り待機していたTIEインターセプターやシスTIEファイターの部隊が攻撃を開始した。

 

圧倒的な物量と機体性能を活かし対空防御の中を突っ込んでくる敵機を袋叩きにする。

 

1機のXウィングがアークワイテンズ級にプロトン魚雷を撃ち込もうとした瞬間駆けつけたシスTIEファイター2機がXウィングを撃墜した。

 

更に支援の為に接近してきたブラハットク級を3機のシスTIEファイターとTIEブルートとTIEインターセプターの混成2個編隊が迎撃する。

 

周辺の敵機を殲滅し震盪ミサイルやイオン魚雷をブラハットク級に放ち最終的にはヴィクトリー級のターボレーザー砲を合わせて撃沈に追い込んだ。

 

堅牢な対空防御陣形とスターファイターの動きにレジスタンス軍は苦戦を強いられていた。

 

特にスターファイターの動きは並の帝国軍のパイロットを遥かに超えている。

 

シス・エターナル軍の大半のパイロットはエクセゴルや銀河系から“()()()()()”優秀な子供達の成れの果てだがフリューゲル麾下の部隊は違った。

 

殆どが元ディープ・コア駐留軍所属の精鋭達で経験も練度も桁外れだ。

 

更にはテルノ中将麾下のゴールドウィング中隊やシルバーウィング中隊といったスターファイター隊も戦闘に加わっていた。

 

そこにシスTIEファイターやインターセプター、ブルートの性能が組み合わさりレジスタンスを圧倒する。

 

それにフリューゲルは元パイロットでスターファイター隊指揮官でもあった。

 

現在は艦隊司令官だが他のどの将校よりもスターファイター隊のことについては熟知しているつもりだ。

 

様々な要因が重なりレジスタンス軍スターファイター隊と突撃部隊の攻撃は難攻していた。

 

レジスタンス軍も作戦通りに従ってそれぞれ奮戦していたがシス・エターナル艦隊はそれすらもまるで露を払うかのように簡単に薙ぎ払ってしまう。

 

本来はとうの昔に崩れているはずのシス・エターナル艦隊の前衛も艦列の崩壊どころか一隻たりとも撃沈した艦を出していなかった。

 

「スターファイター隊と対空部隊の連携により敵のスターファイター隊と突撃群は完全に防がれました。しかし連中は戦術を切り替え方位線に移行するようです」

 

「よくやってくれた中将、敵艦隊の動きはどうなっている?」

 

「左右に艦隊を展開し包囲体形の足場を作ろうとしています。センサー士官らの報告によれば間も無く敵の予備隊がジャンプアウトすると」

 

ラノックス艦長がフリューゲルに報告する。

 

現状敵艦隊の増援を受ければ敵は更なる数的優位を手にし物量と包囲体制によりアキシャル・スーパーレーザー砲の威力を元のもせず攻勢を開始するだろう。

 

そうなると流石のシス・エターナル艦隊も敗北は避けられない。

 

ならば頃合いだ、こちらも一気に王手をかけるとしよう。

 

「ガレルの第三分艦隊と第四分艦隊に出撃命令を出せ。連中の艦隊の出現間近に重力井戸を起動し体制を崩させる。艦長」

 

「はい元帥閣下」

 

ラノックス艦長を呼び付け彼に尋ねる。

 

「“エクリプスⅡ”の充填率はどのくらいだ?」

 

それはこの戦闘を素早く切り抜ける為に重要なキーパーソンだ。

 

ラノックス艦長は数秒の間も置かずにフリューゲルの問いに答えた。

 

「チャージに専念していたので100%です。20%までなら照射してもバロスに到着することにはフルチャージ出来ます」

 

その返答はフリューゲルを大いに満足させ彼の戦術を次の段階へと押し上げた。

 

もう少しレジスタンスにはまともに戦ってもらおう。

 

連中が包囲網を展開し勝利に近づこうとする時、それは連中の敗北の合図だ。

 

シス・エターナル艦隊に迫る二つの牙は更に大きな牙によって折られて押さえつけられようとしていた。

 

 

 

 

 

 

-チス・アセンダンシー領 未知領域 惑星シーラ 首都クサプラーアリストクラ会議室-

このチス・アセンダンシーには元々9つの家がありそれらがアセンダンシーの統治と政を担ってきた。

 

現在は革命や亡命の関係でこの家々も随分と変化したがやる事自体は変わらない。

 

「チス・アセンダンシーの新領土は想定いたよりも大幅に利益を上げています。このままフェル殿の進言通り、サーティネイアンを“()()()()()()”とすれば来るべき驚異に備えられるでしょう」

 

オビック家のオビックトストヌフは議場でそう報告した。

 

彼はルーリング・カウンシルの職だけでなくヴィルヘルムやタッグ元帥と共にと共に割譲領域の政治委員を務めており領域の発展や軍事耐性の強化、治安維持や民進掌握に力を入れていた。

 

「領域内の旧帝国軍勢力も大多数は我々に味方してくれるそうです」

 

「初期は全く味方がいないに等しい状況だったのに、よくそこまで持ち上げたな」

 

ボアディルザレヴィチは意外だという風に話に入った。

 

元々あの地にはかなり反抗的な元帝国軍の勢力が確認されていた。

 

それがチス・アセンダンシーにとっての一番の心配だったし課題点であった。

 

「それはやはりフェル殿の“()()()()”のおかげでしょう」

 

トストヌフはヴィルヘルムの方に目をやりザレヴィチの疑問に答えた。

 

しかしヴィルヘルムは「チス秘密警察と情報部の力添えがあってこそです」と付け加える。

 

彼が行った特殊作戦とは情報部や保安局のスパイ、又は各部門の特殊部隊を送り込み反抗的な帝国軍残党勢力の指導者を抹殺していった。

 

また勢力の指導者に反対する者に支援を行いクーデターを実行させたり小規模な戦闘を行い艦艇やスターファイター、ウォーカーなどを吸収するなどのことを行なっていった。

 

この一連の作戦で決して少なくはない数の元帝国軍人が暗殺され、死んでいった。

 

ある勢力は内乱状態に陥ったしある勢力はほぼ崩壊し力を失った。

 

だがそれだけの軍人が死のうとヴィルヘルムからすれば“()()()()()”だった。

 

もし仮に敵対の意思を示す勢力と真っ向から戦いになるとしたらその一連の戦いでの戦死者数は一体どうなるだろうか。

 

敵の一つ一つの勢力はチス・アセンダンシーと亡命帝国軍の総力に比べれば微々たるものだが全て合わせればかなりの数になる。

 

単純にインペリアル級一隻が沈んだってそれだけで乗組員や将校、ストームトルーパーを合わせ3万7,000人以上の人命が失われることになる。

 

当然犠牲はそれだけに留まらず、敵の戦術や戦略次第によっては犠牲者の数は大きく変わってくるだろう。

 

焦土作戦や軌道上爆撃を積極的に行えば多くの民間人や軍人が犠牲となるし単なる陸戦でも数万人の犠牲は避けられない。

 

そうなれば単に尊い人命が失われるだけでなくチス・アセンダンシーの権威にも傷がつく。

 

せっかく得た割譲領域を維持出来ないどころかチス・アセンダンシーの本来の領土の存在さえも危ぶまれるのだ。

 

その危険性があるならばヴィルヘルムは多少血に塗れた汚い手を使うことも厭わなかった。

 

ずっとそうしてきたのだ、エンドアからチス・アセンダンシーに亡命するまで。

 

トゥハチェフスキーや多くの敵対者や反逆者たちを粛清してきた。

 

だがそのおかげで多くの者が生き残れたはずだ。

 

「編入された戦力は十分にチス・アセンダンシーの安全保障に寄与するものであります、陛下」

 

「素晴らしい戦果だフェル。だがまだ軍内部に監視体制を展開していると聞いたが……」

 

リヴィリフはヴィルヘルムに対して何処か監視されている将兵への同情の念を抱きながら尋ねた。

 

されどヴィルヘルムは首を振った。

 

「陛下、彼らの中にはまだ表面上従っているだけの忠誠心に疑いのある者が多くおります。奴らに寝首を掻れない為にも我々は備えを怠ってはなりません」

 

「その為の備えであると?」

 

「はい」

 

ラストーレの問いにもヴィルヘルムは素早く断言した。

 

彼の瞳には疑念とか躊躇といったものが一切感じられなかった。

 

「叛逆を企てているのなら粛清し歪みとして消すのみ、企みを諦めるなら受け入れるべきでしょう。もしこれがチスの負担となっているのならすぐ手を打ちましょう」

 

「いやいいのだ。むしろフェルの忠義を嬉しく思う」

 

ヴィルヘルムの進言にリヴィリフは断りを入れた。

 

この男はチス・アセンダンシーとの交渉口を務めていた時から常に自らの仕える国に忠義を尽くしてきた。

 

それはチス・アセンダンシーに亡命した後も同じだ。

 

彼は自らの昔の身内を切ってでもその忠誠心を示し続けた。

 

鉄の男、そうでなければ説明がつかないほどだ。

 

ヴィルヘルムの行動と功績は他のアセンダンシーの面々に彼の実力と忠誠心を認めざるを得ない状況を作り出した。

 

おかげで亡命帝国は今日まで存在と命脈が保たれている。

 

「尤も得た戦力は即時に軍を増強できるもので長期的に補強する手立てではありません」

 

「ああ、我々も既存の帝国の技術だけではなくチスの技術や新たな技術を開発していく必要がある」

 

ヴィルヘルムにタッグ元帥が続けて口を開いた。

 

新技術の拡張は現在の亡命帝国軍並びにチス・アセンダンシー拡張防衛軍の大きな課題である。

 

それは来るべき驚異の他にも安全保障を確立させる為でもあった。

 

既にヌシス級クロークラフトや新型装備のAT-ATなどが開発され各部隊に配備され始めていた。

 

「そのことについてだが、我が拡張艦隊は遂に“()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()”の建造に成功した」

 

イリジアララニ、アララニ提督の名で呼ばれる彼女は議場の全員に成果を報告した。

 

彼女は随分昔からチス拡張防衛艦隊に士官として仕え続け革命後は艦隊司令部の上級将校の中でも特に中心人物としてチスの防衛に貢献し続けている。

 

以前チス・アセンダンシーの拡張領域で発生した治安維持作戦にも参加し前線でも活躍を見せていた。

 

その為彼女はいまだに尊敬の念や敬称を込めてリヴィリフや多くの人々から提督の名で呼ばれていた。

 

「まだ改修の余地はあるがひとまず正式な主力艦としての建造を進めていく予定だ。一番艦の進宙式は来月に執り行う」

 

「チスのスター・デストロイヤーか……我々の既存の技術に合わせクワットや亡命帝国が持ち込んだ銀河系の技術による我々のスター・デストロイヤー」

 

ザレヴィチは繰り返しチスのスター・デストロイヤーという言葉を呟いた。

 

チスにとっては帝国に初めて特使を送り込んだ時からインペリアル級と同等、もしくはそれ以上の軍艦を主力艦とすることはある種の悲願でもあった。

 

別にスター・デストロイヤーを持つことが重要ではない、銀河系の技術を含んだ主力艦が必要だったのだ。

 

この未知領域の国を守る為に。

 

「開発に取り掛かったのがもう4年以上前、案外早く建造できたな。もう少し時間が掛かると思っていたが」

 

ヴィルヘルムはアララニ提督に若干の驚きを込めて尋ねた。

 

計画自体はヴィルヘルム達が亡命する前から行っていたのだが現物が出来上がるのはもう少し先の話だと思っていた。

 

「クワットの技術供与があったおかげだ。あの企業のお陰で問題の最終段階をクリア出来た。再来年までには主要艦隊旗艦、もしくは機動部隊旗艦まで建造出来るでしょう」

 

「それは素晴らしいアララニ提督。だがシス・エターナルから提供された例の計画艦はどうする?あれも建造せねばならないと思うが」

 

「無論同時進行で行います。ですがあの計画艦は極秘である為今建造場所を決めかねております」

 

アララニ提督はリヴィリフにそう伝えた。

 

以前シス・エターナルの本拠地であるエクセゴルに導かれた時彼らはチス・アセンダンシーにある一つのものをプレゼントした。

 

それは幻の次世代スーパー・スター・デストロイヤー、ソヴリン級スーパー・スター・デストロイヤーの“()()()”であった。

 

幾つかの資源を与えシス・エターナルの軍将校と見られる男はチス・アセンダンシーの者達に対してこう告げた。

 

『この計画艦を建造して見せろ。帝国唯一の同盟主たるあなた方なら出来るはずだ』と。

 

エクセゴルから急いでシーラに帰還した彼らはすぐに設計図を開き解析しそして“()()()()”。

 

この次世代スーパー・スター・デストロイヤーには単純なドレッドノート艦の戦闘能力以上のものが備わっていた。

 

何百門もの砲塔、480機以上のTIEシリーズ・スターファイターの艦載機、そして重力井戸(Gravity well)システム。

 

だがそれらの能力も霞んで見えるほどの超技術がこの計画艦ソヴリン級には備わっていた。

 

アキシャル・スーパーレーザー、かのデス・スターと遜色ない火力を撃ち出し惑星すらも灰燼に変えてしまう銀河系最大級の火力を持つ大砲がソヴリン級には基礎設計の段階から備わっていた。

 

知らぬ間に帝国軍はデス・スターを一隻の軍艦にして建造する計画を準備していたのだ。

 

チス・アセンダンシーの者達が貰った設計図はこれだけであったがエクセゴルの軌道上にはまた別のスター・ドレッドノートとスター・デストロイヤーがあった。

 

恐らく彼らは既にアキシャル・スーパーレーザーを形にして運用に成功してしまったのだ。

 

たった一撃で惑星を破壊出来る代物を軍隊規模で使い始めている。

 

そのことに当然多くの者は恐怖を覚えこのソヴリン級の設計図を見る度に「我々もこうなるのか」と想像を膨らませた。

 

「ボゴ・ライ星系の造船所地帯はどうだろうか。あそこにはファロ提督の第十一艦隊が駐留しているから警備の面でも安全なはずだ。それに銀河系からは確認が難しい」

 

ラストーレはアララニ提督に提案した。

 

トストヌフも「割譲領域で建造するよりはまだいいだろう」とラストーレを支持する。

 

「連中はシーラの守備についているヴェンジェンス級にも気づいていません。それを鑑みても建造はシーラより奥の方が良いかと」

 

「ならボゴ・ライの造船所を第一予定地として他の艦隊将校とも協議して決定する」

 

アララニ提督の提案に他の者達も頷きひとまず建造予定地の議題は幕を下ろした。

 

「しかし惑星を一撃で破壊出来る超兵器か……頼もしい抑止力だが恐ろしくもあるな」

 

プリュク家の家長であるプリュクギールオドは若干の冷や汗をかきながら独り言のように呟いた。

 

彼の気持ちは誰もがよく理解出来る。

 

ソヴリン級が持つスーパーレーザーほど簡単に惑星一つを破壊出来てなおかつデメリットの少ない超兵器は数少ない。

 

確かにインペリアル級やオナガー級の軌道上爆撃は都市を破壊し惑星を溶解させられるが破壊まではいかない。

 

かつての大戦争で20人の戦士の犠牲の下起動したスターフラッシュとは違いアキシャル・スーパーレーザーは発射時に誰かが犠牲となることもない。

 

せいぜいデメリットと言えばカイバー・クリスタルがなければ作れないことだ。

 

それを除けばこの兵器は本当に引き金が軽くそれでいて威力は銀河系最大級である。

 

それ故に使い方や振る舞いを間違えばその威力は自分達に帰ってくるかもしれない。

 

どこかに不安があり皆その不安を払拭したがっていた。

 

「しかしアキシャル・スーパーレーザーを搭載した艦を建造し防衛に回せば來るべき脅威に優位に立ち回れるだろう」

 

ラストーレはギールオドの不安を取り除いてやろうとメリットを口にした。

 

「それは分かるが…」とギールオドは閉口する。

 

メリットはとうの昔に分かっている、だがそれ以上に持っている物の重みと使う時の軽みが恐怖を呼んだ。

 

彼は「強い力は使うべきだ」とか「力に恐怖してはならない」と言えるほどの狂人でも芯の強いチスでもなかった。

 

「情報部によれば既にシス・エターナルの先遣隊はガレルのレジスタンス艦隊を殲滅し今はバロスで戦闘中のようだ。しかも予測によればあと数時間でバロスも堕ちる」

 

タッグ元帥は顔を少し顰めながら銀河系の情報を話した。

 

その距離や進軍速度をよく理解しているヴィルヘルムはより硬い表情になった。

 

「シス・エターナルはソヴリン級の建造に成功したならば他の超兵器搭載艦の設計図と建造技術を提供すると言っていましたが……」

 

「恐らく真実だろう。我々にスーパーレーザーの艦隊を持たせるつもりだ。銀河系の“防波堤”を任せる為に」

 

ヴィルヘルムは正確にシス・エターナルの思慮を読み取った。

 

彼らは単なるカルト組織ではない。

 

ある意味で備えの為に生み出されたのだと考えていた。

 

その役割を我々にも肩代わりさせたいのだろう。

 

「どの力を持とうと何を与えられようと我々の目的ややるべきことは変わらない。我々は力を持って全てのチスの民とチスの大地を守るだけだ。その事だけは忘れてはならない」

 

リヴィリフの信念は固く多くの者がそれに同調した。

 

「信じよう、我々自身と我々の未来を」

 

 

 

 

 

 

-コルサント コンプノア・ユーゲント・アカデミー-

48分ほど前に会議を終えたフリシュタイン上級大佐は部下のリッツァー中尉を引き連れ帝国ロイヤル・アカデミーの一角であるコンプノア・ユーゲント・アカデミーに向かった。

 

データ改竄の再調査の報告書と正式な特別コース移籍者書類をアカデミーの指導教官達に渡しに来たのだ。

 

先程までかなり綿密な作戦計画の戦略会議を行なっていた為疲れが大分残っていたがこの書類を届けるまでは休めない。

 

フリシュタイン上級大佐は疲れを隠して押し殺すようにアカデミーの通路を歩いた。

 

「急ぐぞ中尉、なるべく早く提出して本部に帰還する」

 

「はい、ハイドレーヒ大将にも戦略会議の簡易報告をしなければなりませんからね」

 

「そうだったな……ん?あれは」

 

フリシュタイン上級大佐は遠くから走りながら歩いてくる2人のコンプノア・ユーゲントの姿を目撃した。

 

あの姿には見覚えがある、何せ彼の父親とはついさっきまで戦略会議で一緒にいたからだ。

 

「あれは……シュタンデリス准将のお子さん達ですね。確か名前は…」

 

「マインラート・シュタンデリスとホリー・シュタンデリスだな。旧姓はセレッドで養子らしいが」

 

リッツァー中尉が2人の名前を口に出す前にフリシュタイン上級大佐が事情も含めて詳しく話した。

 

「意外とお詳しいですね」

 

リッツァー中尉は意外そうな口ぶりで彼に話す。

 

「ああ、以前ギャラクティック・シティで親衛隊将校が銃撃された事件があっただろう?あのホリー・シュタンデリス候補生はどうやら銃撃され後日死亡した親衛隊将校の娘らしい」

 

「ありましたね、あれも結局治安悪化の一例として扱われましたが。ということは彼女はシュタンデリス准将の養子ですか?」

 

リッツァー中尉はフリシュタイン上級大佐に尋ねた。

 

上級大佐は「何があったか知らんがそうらしい」と中尉に返した。

 

「つまり実子はマインラート・シュタンデリス候補生1人だけと?」

 

「ああ、よく似ているだろう?瞳の色は違うがあの髪の色とか顔つきとかどことなくだがな。彼らがフォース感受者ではないのが残念だ」

 

独り言のように自分の感想を述べているとマインラートとホリーはこちらを見つめながらゆっくり近づいていた。

 

フリシュタイン上級大佐とリッツァー中尉は怪訝な表情を浮かべながらひとまず立ち止まる。

 

近づいてきた2人はその小さい手で律儀に敬礼し上級大佐と中尉も敬礼を返した。

 

「どうした候補生。何か用事でも?」

 

フリシュタイン上級大佐は特別扱いするそぶりも見せず2人に尋ねた。

 

するとマインラートの方から話してきた。

 

「その……お父さんによく似ていたので、てっきりお父さんかと思って話しかけちゃいました」

 

「人違いでした、ごめんなさい」

 

「いやいいんだ。お父さんを目指して頑張れよ候補生」

 

フリシュタイン上級大佐は当たり障りのない言葉で2人を許し励ました。

 

2人もすぐに「はい!」と良い返事を返す。

 

リッツァー中尉は微笑ましいという顔でその様子を見つめていたがフリシュタイン上級大佐はどうも違う様子だった。

 

特にマインラートの方をじっと見つめて一言も発さない。

 

リッツァー中尉が「あの、上級大佐?」と声をかけたがそれすら気にせずこの純粋さを身に纏ったような少年を見つめていた。

 

「どうしました…?」

 

マインラートが不思議そうなあどけない顔で首を傾げた時ようやくフリシュタイン上級大佐は意識を引き戻した。

 

何度か瞬きし「いやなんでもない」と彼に話す。

 

「それより何処か行くところがあるんじゃないのか?」

 

「あっそうだった。それじゃあ!」

 

「失礼します!」

 

フリシュタイン上級大佐に諭され2人は大人達の脇を抜けて走り去っていった。

 

その様子を再びフリシュタイン上級大佐はじっと見つめている。

 

リッツァー中尉は流石に何処かおかしいと感じたのか「先程から何かどうしました上級大佐?」とフリシュタイン上級大佐に尋ねた。

 

彼はマインラートとホリーに目を向けたまま独り言のように呟いた。

 

「中尉、あの2人は……マインラート・シュタンデリス候補生は本当にフォース感受者ではないのだな?」

 

上級大佐の以外な問いにリッツァー中尉は「ええ…」と小さく頷いた。

 

「不正された形跡もありません。上級大佐も先程仰っていた通りですが……何かありましたか?」

 

「いや……単なる思い違い…なはずだ。行くぞ中尉」

 

「了解…」

 

後ろ髪を引かれるようにフリシュタイン上級大佐の意識と目線はまだしばらく背後のマインラートとホリーにあった。

 

彼の感じた謎の感覚を払拭出来ぬまま。

 

 

 

 

-レジスタンス領 惑星ヤヴィン 衛星ヤヴィン4 マサッシ宮殿支部-

マサッシ宮殿の通信士官の周りにアンティリーズ大佐やラクティス、ソークー中佐などスターファイター隊の司令官達が集まっていた。

 

奥の方ではディクスやライカン将軍、ダーリン少将が他の報告も交えて簡易的な会議を開いていた。

 

「どうだ……ガレルの通信は傍受出来そうか…?」

 

ラクティスが通信士官に尋ねる。

 

「いえ……まだ妨害網の突破が難しく…後少しなのですが」

 

「ゆっくり確実にやってくれ。モン・カラの為にも」

 

通信士官はラクティスから励ましの声を受けて小さく頷きコンソールに向き直った。

 

ラクティスは姿勢を元に戻しアンティリーズ大佐に近づく。

 

「この調子ではやはりガレルのスターファイター隊は全滅した可能性の方が……」

 

ラクティスの悲観的な観測にアンティリーズ大佐もソークー中佐も口を閉ざした。

 

ガレルの駐留部隊にはこのヤヴィン4から送り込んだスターファイター隊も存在していた。

 

戦線に余裕の出ていたヤヴィン4では支援としてスターファイター隊をモン・カラのレジスタンス軍に送り込み支援していた。

 

そのうちの一つがガレルの駐留部隊にも含まれており全滅の可能性を彼らは危惧していた。

 

ヤヴィン4のスターファイター隊にはまた別の独立した通信網がありそれで連絡を取ってせめて生存者の確認だけでもと小さな希望に望みをかけていた。

 

「少なくともまだ望みはある、それにかけよう」

 

「大佐!中佐!ガレルの駐留部隊と回線は微弱ですが通信網が確立しました!!」

 

アンティリーズ大佐の言葉通りと言わんばかりに先ほどの通信士官は喜びを含んだ声で彼らに報告した。

 

周りのスターファイター隊指揮官達は一斉に通信士官の側により手渡されたコムリンクをラクティスが握り口に近づける。

 

「こちらラクティス・ストライン中佐、ガレル隊応答せよ。こちらの声が聞こえていたら応答せよ」

 

『こち……ら……ガレル駐留……14中隊……テミ……ウェクスリー少尉です!』

 

ラクティス達はその名前を聞き声を上げた。

 

「スナップか!?無事か?負傷はしていないか?」

 

『はい……機体を……ないましたが……なんとか』

 

安堵の声がその場の全員から漏れ出たがラクティスはすぐに表情を変え再び彼に問いかけた。

 

「部隊はどうなった?君以外のパイロットや陸の兵士達は」

 

雑音が酷い中ウェクスリー少尉はラクティスの問いに答えた。

 

『スターファイター隊は……除いて全滅……隊は……1名を残し他の生存者は……されていません……生存者は2人だけです……』

 

雑音が酷くなり聞き取れない部分が増えたがそれでも大まかに把握出来た。

 

ウェクスリー少尉らが確認出来ている生存者はウェクスリー少尉含めて2人だけ、他は全員戦闘で戦死したか捕らえられ殺されたのだろう。

 

もしかしたらまだ生きている可能性もあるが救い出すのはほぼ不可能だ。

 

「…わかった、最低限の物資を出来る限り集めて現在の地点かより安全な場所を見つけて待機しろ。すぐに救援に向かう」

 

『いえ……力……で…』

 

「無茶言うな、どうせまともな機体は全部喪失したんだろう。無茶せずまずは生き延びることを考えろ。君達の証言は必ずレジスタンスに優位に働く」

 

『りょう…い……中佐達を……ちしています……』

 

「ああ…!必ず助けに向かう」

 

ラクティスのその言葉と共に通信は途切れ雑音しか残らなくなった。

 

コムリンクをゆっくり通信士官に返すとラクティス達は急いでライカン将軍らの下に向かった。

 

臆せず何階級も上の将軍や提督達に進言する。

 

「将軍、今すぐガレルに救出部隊を送りましょう。今ならガレルの敵戦力の偵察も可能です」

 

ライカン将軍は幕僚に指令を纏めたタブレットを渡しラクティス達の方に振り返った。

 

何人ものパイロット達がライカン将軍の前に詰め寄っている。

 

「しかしこちらには救出専門の任務部隊を送り出す余裕もないぞ」

 

「スターファイター隊を展開して奇襲を敢行している間に行います。Uウィングなら可能です」

 

ライカン将軍が難色を示す中ラクティスは全く引き下がろうとしない。

 

まだ生きている仲間がいるのだから出来る限り救うべきだ。

 

原初の反乱組織から続くその意志をラクティスもしっかり受け継いでいた。

 

「しかしこちらもそれほど大部隊を送り込める訳ではないぞ。出せる戦力は二個中隊と一隻のコルベットが限界だ。これ以上絞ればヤヴィンの戦線維持が不可能になる」

 

ディクスは冷静にヤヴィンから打ち出せる戦力を彼に伝えた。

 

確かに反乱同盟時代に比べれば多い方かも知れないがそれでも惑星に駐留する一個艦隊に奇襲を仕掛けるには少なすぎた。

 

「今ガレルにいる戦力は?」

 

「艦隊の大半はバロスに向かったと報告を受けているがそれでも三隻のインペリアル級と六隻の護衛艦を残している。恐らく地上には既に敵の航空基地があるはずだ」

 

アンティリーズ大佐の問いに戦力分析官のキャピン・ハリナー大佐は答えた。

 

インペリアル級三隻に対しスターファイター二個中隊とコルベット一隻ではあまりに分が悪すぎる。

 

特にコルベット艦ではインペリアル級の集中砲火を受けて最も簡単に撃沈されてしまうだろう。

 

しかも対空戦闘を考えてかインペリアル級一隻につきしっかり護衛艦が二隻も僚艦として待機している。

 

「悪戯に救出に向かっても返り討ちに遭い更なる損失を受ける可能性が高い。今はまだ耐える時だ」

 

ゼロヴァー准将はラクティスを宥めるようにそう告げたが彼はまだ納得の行かない顔をしていた。

 

「せめて敵の目にさえ留まらなければ…」、ラクティスは悔しさを歯噛みした。

 

だがその一言が突破口となった。

 

ラクティスの一言を聞いたアンティリーズ大佐が何かを思い出したように口を開く。

 

「……新型の“()()”ならいけるんじゃないだろうか」

 

アンティリーズ大佐の“()()”と言う言葉にすぐ察し付いたのはソークー中佐だった。

 

「まさか……“()()”か…?しかし機体の性能はともかく備え付けのシステムはまだ不十分だぞ」

 

「だが性能も性質も十分今回の救出任務に役立つはずだ」

 

周りの将校達はまだよく分かっていない雰囲気だったがライカン将軍とラクティスはだんだん分かってきたようだ。

 

「しかし“()()”は貴重品では…」

 

「いやこの際だ、使ってしまおう。これなら仮に戦闘になっても特に問題はない」

 

ライカン将軍は何かを決断し「ついて来てくれ」とその場の将校達を全員引き連れて地下の格納庫まで向かった。

 

一行がライカン将軍を先頭に格納庫の中へと入り明かりが付く。

 

「あの…将軍、これは一体……」

 

ハリナー大佐はライカン将軍に尋ねた。

 

将軍は勿体ぶらずに答える。

 

「現在使用されている我が軍の主力機、T-65シリーズ・Xウィング・スターファイターの最新機。“T-70 Xウィング・スターファイター”だ」

 

彼らの目の前に佇む1機のXウィングは今まで使われていたT-65BやT-65A2、T-65C-A2とは若干デザインに差異があった。

 

Sフォイルを閉じたままのこの機体はエンジン部分が一つの丸になっており今までの4つのエンジンがついている状態とは大きく違う。

 

このT-70 Xウィング・スターファイターは今までのXウィングやSフォイル系統の技術を詰め込んだ第三帝国に対抗する新たなレジスタンスの翼だ。

 

そして目の間のT-70にはもう一つ大きな特徴があった。

 

「この機体は単純な魚雷装填数や火力、特殊機能全てでT-65シリーズを上回っている。だがそれ以上にこの機体には他の機体を上回る機能がついている」

 

「“()()()()()()()()()()()()()()()()()”……ですね」

 

ラクティスの返答にライカン将軍は大きく頷いた。

 

このT-70には他のXウィングや同機種とは違いクローキング装置が付けられておりより完璧なステルス・スターファイターになることが可能だった。

 

本来はステルス・システム込みで量産したかったのだがコストや問題点、何より思ったよりも成果が見られないと言うことでクローキング付きT-70はこの1機に留まった。

 

「クローキング中は一切の攻撃が不可能で多くの電力を消費する。Xウィング1機に付けるには高すぎる上に無用の長物だったが今回の作戦では役に立つはずだ」

 

「クローキングを使用し艦隊の防衛網を出し抜き地上のウェクスリー少尉らを救出……上手く行けば全くの損害なく2人を救出出来ますね」

 

アンティリーズ大佐の構想は大まかライカン将軍のものと一緒だった。

 

更にライカン将軍は「予備隊としてスターファイター一個中隊とコルベット一隻を備えておけば不足の事態に備えられるはずだ」と付け加えた。

 

いい作戦だがラクティスはある一つの小さな疑問を問いかけた。

 

「しかし将軍、このT-70は単座のスナブ=スターファイターです。最低でも2名の人間をこの機体に乗せるのは不可能ですが…」

 

「大丈夫だ中佐、その事については考えがある」

 

ラクティスの問いにライカン将軍は安心するようにと言葉をかけた。

 

彼はその考えを話し始める。

 

「同じ能力を備えた2人以上を輸送出来る機体が我々レジスタンスにはある。しかもパイロット2名はレジスタンス特殊部隊と情報部の中でもかなりの手練れだ」

 

「まさか…」

 

ライカン将軍は小さく頷いた。

 

「彼らはレンディリに向かっているとディゴールから報告を受けている。ならばそのままガレルに向かってもらおう」

 

 

 

 

 

 

バロス周辺域での戦闘は益々激化の一途を辿っていた。

 

レジスタンス艦隊はほぼ玉砕覚悟でシス・エターナル艦隊に喰らい付き圧倒的な火力を前にしても怯まず勇敢に戦っている。

 

中々の損害を被っているはずなのだがレジスタンス艦隊は麾下のスターファイター隊も含めて未だに組織的な戦闘を続けられていた。

 

恐らくこれは各将兵の練度の高さと指揮官のボラトゥス提督の能力、そして互いの信頼関係によるものだろう。

 

もしこのシス・エターナル艦隊がただのインペリアル級の艦隊や国防宇宙軍、親衛隊宇宙軍の艦隊であれば難なく撃退していたはずだ。

 

されど新造艦のジストン級を主力とし、何十門ものアキシャル・スーパーレーザーを並べるシス・エターナル艦隊相手ではそうも行かない。

 

彼らはひたすらに相手が悪すぎた。

 

銀河最新鋭の艦隊でなければ、シスの派遣軍でなければ、相手の数がもう少し少なければ。

 

彼ら自身がそう思うことはなくともこの戦いを見れば誰しもが思う感想だ。

 

シス・エターナルを相手にするには数が少なすぎ上に分が悪すぎる。

 

「もう少し耐え抜くんだ!あと少しで予備隊が到着し包囲隊形が形成される。到着と同時に全方位からスターファイター隊と突撃群による浸透攻撃、その為胃に今は耐え抜くんだ!」

 

スターホーク級やMC75装甲クルーザーが前衛に出てジストン級の大火力を一身に引き受ける。

 

反撃としてレジスタンス艦隊も中々の数の砲撃を繰り出しているが効果は今一つといった感じだった。

 

それでも自軍艦隊の中央突破は辛うじて防いでいるし包囲網展開の為の足掛かりは半ば完成した。

 

敵艦隊は我々の総軍がこれだけだと思っているだろうが実は違うのだ、今から目に物見せてやると艦隊の将兵は息巻いていた。

 

「主力艦はすべての出力エネルギーを偏向シールドと火力に分配せよ。最大の防御と最大の火力を持って耐え凌げ!勝利は近づいている!」

 

ボラトゥス提督の命令通りにMC80やネビュラ級、MC85の偏向シールドと火力が増大しよりこう威力のターボレーザー砲が放たれる。

 

その反撃としてジストン級やインペリアル級からもターボレーザー砲が放たれ、ジストン級からは二、三隻がアキシャル・スーパーレーザー砲を5%ほどの威力で掃射した。

 

アキシャル・スーパーレーザーは数隻のレジスタンス艦艇を完全に破壊し艦列に見過ごせない程の穴を開けた。

 

しかしすぐに予備の艦艇によって艦列が組み直され再び砲撃戦が始まる。

 

「敵艦隊は崩壊箇所を素早く埋め立て、戦闘を続行しています。これではキリがありません」

 

ブリッツェ中佐がフリューゲルらに報告し上級将校達は互いに顔を見合わせ参ったなと言う表情を浮かべた。

 

敵艦隊は思ったより粘る、流石は全滅も恐怖の対象外と言われていた反乱同盟艦隊の末裔か。

 

「敵艦隊は包囲網を完成させた。このままでは敵の伏兵が到着し我々は包囲されアキシャル砲を持ってしても一網打尽だ」

 

グレッグ提督はフリューゲルに進言するもその顔はまだ余裕に満ち溢れていた。

 

デミングス司令官やハバドン少将も同じような雰囲気だった。

 

「スターファイター隊には防衛のみを命じていますが」

 

テルノ中将の問いにフリューゲルは「ああ、必要最低限の隊だけ残して後退させて構わん」と告げた。

 

「よろしいのですか?」

 

テルノ中将はフリューゲルに少し怪訝を含んだ面持ちで尋ねる。

 

「ああ、時期にレジスタンス艦隊は総崩れになる。これ以上戦闘に出して消耗させる必要はない」

 

「了解しました。各隊に伝達、前衛部隊は戦線を後退と同時に一旦母艦へ帰還せよ。繰り返す……」

 

「分艦隊の移動状況は?重力井戸圏外にまだいるな?」

 

フリューゲルの問いにブリッツェ中佐が答える。

 

「はい、ほぼ定刻通りに到着すると思います」

 

「流石シス・エターナル軍と言ったところか、まあ我々もシス・エターナル軍なのだがな。重力井戸(グラビティ・ウェル)発生装置起動!連中をハイパースペースから引き摺り下ろせ!」

 

フリューゲルの命令と共にブリッジの黄色い紋章の入った艦隊技術者達と重力井戸発生装置のコントロール室の艦隊技術者達が重力井戸発生装置のシステムを起動する。

 

このエクリプス級“エクリプスⅡ”にはイモビライザー418クルーザーやインターディクター級スター・デストロイヤーに備わっていた重力井戸発生装置とほぼ同じものが搭載されていた。

 

インターディクション・フィールドと呼ばれる人工的な重力井戸を展開しハイパースペースを航行中のスターシップを強制的にリアルスペースにジャンプアウトさせる。

 

現在も専門の艦艇のみが持つ特殊技術であるがこのエクリプス級には重力井戸の機能が備わっていた。

 

またこれは余談だがこの重力井戸発生装置は計画艦であるソヴリン級スーパー・スター・デストロイヤーにも搭載される予定である。

 

エクリプスⅡ”でインターディクション・フィールドの展開が準備されている頃レジスタンス艦隊の旗艦“ニスタラム”ではボラトゥス提督に新たな報告が舞い降りてきた。

 

「提督!あの1分ほどで予備隊が到着します!」

 

「そうか…!全艦、間も無く増援が到着し包囲体制が形成される!後ほんの少しの辛抱だ、最後の一踏ん張りを見せてくれ!」

 

部下を鼓舞し自らも真っ直ぐ戦場を凝視する。

 

このままいけば勝てる、目の前の敵艦隊を撃破し母星を守れるとボラトゥス提督は考えていた。

 

だがボラトゥス提督達は“エクリプスⅡ”の重力井戸を知らない。

 

むしろ増援を待ち望んでいるのはシス・エターナル艦隊の方で敵が網に掛かるのを待ち望んでいた。

 

「予備隊!到着します!」

 

部下の報告と共にボラトゥス提督はあることを確信し言い放った。

 

奇しくもその一言はなんと敵将であるフリューゲルの一言と被り重なっていた。

 

「『勝った』」

 

その一言が被った瞬間ハイパースペースからレジスタンス艦隊の予備隊が到着した。

 

()()()()()()()()()()()()()()()”。

 

まるで何かから弾き出されるようにレジスタンス艦隊の予備隊はハイパースペースからジャンプアウトした。

 

艦の制御を失った何十隻もの軍艦はそのまま弾き出された勢いで近くの戦闘中の友軍艦に衝突した。

 

その一瞬の出来事は側から見ればまるで最初から衝突する為に突然何十隻もの艦艇が姿を表したように見えるだろう。

 

ネビュロンBの船体にCR90の船首が衝突し真っ二つに折れたり、MC80がジャンプアウトした瞬間に周りのブラハットク級やキャラック級と衝突しながら最終的にMC75と激突し爆沈したりしていた。

 

一瞬で何十箇所から爆発の光が溢れ出し何十隻もの軍艦がこの衝突で轟沈、もしくは戦闘不能になった。

 

あるMC80スター・クルーザーのブリッジでは艦長が「回避!」と命じたが既に時遅くブリッジに弾き出されたCR90コルベットが接近し部下の1人が「ダメです!間に合いません!」と最期に叫んでブリッジが潰されるという被害もあった。

 

それら全ては旗艦“ニスタラム”に報告されていた。

 

「“ディフェンス・オブ・カーマス”、“キテル・ファード”轟沈!“デンタール”と“ワポー・アトリシア”はブリッジとエンジンが大破し行動不能の損傷!」

 

「周囲の生きている艦で護衛しつつ戦列を離脱しろ!」

 

唐突に訪れた絶望的な状況下でも屈せずボラトゥス提督は指示を飛ばした。

 

だが彼の部下の幕僚達はそうはいかなかった。

 

「一体どうなっているんだ!?何があった!?」

 

「なんの攻撃だこれは!?敵は重力井戸を使ったのか!?」

 

「でも敵艦に重力井戸搭載艦なんてどこにもないぞ!!」

 

もはや正常かつ冷静な状態とは言えずそれぞれ恐怖と怒りを言葉に入れて半ば感情的に話していた。

 

ボラトゥス提督は「狼狽えるな諸君!」とまず喝をいれる。

 

「生き残った全ての艦艇を集めバロスまで後退する!もはやここで雌雄を決するのは不可能だがバロスで戦えばまだ敵を防げる勝算はあるはずだ」

 

「提督!ハイパースペースより敵艦艇と思われる艦影多数接近!シス・エターナルの増援です!」

 

ボラトゥス提督の希望もこの瞬間に絶たれてしまった。

 

ニスタラム”のブリッジには今や絶望だけが漂っていた。

 

ボラトゥス提督に報告したレジスタンスの士官はある意味で有能だろう。

 

彼が報告したコンマ0点何秒の瞬間にシス・エターナルの増援たる分艦隊は到着したのだから。

 

ハイパースペースから再び左右両方に四隻のジストン級とその護衛の艦艇がリアルスペースにジャンプアウトした。

 

到着と同時に彼らは参戦の合図としてアキシャル・スーパーレーザー砲の一撃を敵艦隊へと叩き込む。

 

まず最初に撃ったのはサブロンド司令官の旗艦“デリファン”からであった。

 

「アキシャル・スーパーレーザー、撃て!」

 

司令官の命令と共に“デリファン”ら四隻のジストン級が一斉にアキシャル・スーパーレーザー砲を放つ。

 

出力は他の艦同様抑えられていたがたった四隻の一撃でレジスタンス艦隊の右翼面はほぼ壊滅した。

 

続いて“アドヒアレント”のレンウィス司令官も「第三分艦隊に遅れをとるなよ!撃て!」とアキシャル・スーパーレーザー砲を発射する。

 

更にインペリアル級もそれに合わせて砲撃を開始しレジスタンス艦隊左翼面を撃滅する。

 

重力井戸による予備隊との衝突の混乱と損害から立ち直れない両翼面の艦隊はまともな反撃すらも出来ずになす術もなくアキシャル・スーパーレーザーとターボレーザー砲の餌食となった。

 

重力井戸の展開と分艦隊の到着から僅か数分も立たずにレジスタンス艦隊とシス・エターナル艦隊は完全に形勢が逆転した。

 

両翼の艦隊がアキシャル・スーパーレーザーの大火力によってすり潰され分艦隊は更に突進し艦隊に攻撃を加える。

 

既にこの時点でレジスタンス艦隊の包囲網構想は叩き壊され代わりにシス・エターナル艦隊による逆包囲という現実を叩き付けられた。

 

まだ充填率に余裕のある第三分艦隊、第四分艦隊はアキシャル・スーパーレーザーを撃ち出し続け進路をこじ開けている。

 

対するレジスタンス艦隊は両翼の消滅により防御が間に合わず反撃も僅かしか出来なかった。

 

何より厄介なのは衝突により動けなくなった艦艇とアキシャル・スーパーレーザーにより損傷した艦が彼らの前に無惨に漂い続けている為下手に砲撃すれば誤射しかねないということだ。

 

損傷した敵艦を盾にしつつシス・エターナルの分艦隊は大火力を撃ち出しながら進んでいった。

 

彼らからして見れば動けなくなった敵など気にする必要もなくアキシャル・スーパーレーザーと重ターボレーザー砲の火力でまとめて殲滅してしまえばいいだけの話だ。

 

シス・エターナルに躊躇いという言葉は存在しなかった。

 

それと同時に中央の本艦隊と第二分艦隊も大攻勢を始めた。

 

「敵艦隊は崩れている!死に体となったレジスタンスの艦隊の喉元にスーパーレーザーの槍先を突き出し引き裂いてやれ!」

 

この時のフリューゲルの命令は本人もしっかり認知しているほど芝居掛かっていたがそれが兵達の指揮を高揚させた。

 

後方に待機していたジストン級“モフ・ヴァイケン”と“プレラート”からアキシャル・スーパーレーザー砲が放たれる。

 

この二隻は極力戦闘には参加せずエネルギー・チャージに専念していたので他の艦よりも高出力の一撃が繰り出せた。

 

レジスタンス艦隊は再び何十隻という艦がアキシャル・スーパーレーザー砲の餌食となり消し飛んだ。

 

更に追い討ちをかけるようにインペリアル級や他のジストン級、エクリプス級の砲撃はより苛烈さを増していく。

 

今までの戦闘で蓄積されたダメージに加え今から放たれる子の砲撃の嵐は鉄壁を誇るスターホーク級やMC75装甲クルーザーを沈め、MC85やネビュラ級すらも撃沈に追い込んだ。

 

流石の最新鋭艦もあまりにも状況と相手が悪すぎる。

 

既に艦隊は崩壊しもはや撤退すら許されない状況だった。

 

「逃げる敵は一隻残らず重力井戸で引き摺り戻せ。そしてチェックメイトは本艦が決める」

 

フリューゲルはハンドサインを出し“エクリプスⅡ”による砲撃を準備させた。

 

徐々に艦隊の中央が開きゆっくりと“エクリプスⅡ”が前進する。

 

周囲ではシス・エターナルの艦艇が“エクリプスⅡ”をブリッジや船体のビューポートから見守っていた。

 

ジストン級同様砲撃モードを対艦攻撃拡散モードにセットする。

 

何十、何百人という将兵が砲撃態勢を作り出した。

 

「発射態勢、完了しました。いつでも撃てます」

 

ラノックス艦長はフリューゲルにそう報告する。

 

彼は腕を前に出し命令した。

 

「撃て」

 

たった一言だがその一言で十分だった。

 

今もこの先もだ。

 

エクリプスⅡ”の艦首からあのデス・スターと同じ色のスーパーレーザーが放たれレジスタンス艦隊へと迫った。

 

その光景をもはやどこにも逃げ道のないレジスタンス艦隊の将兵は阿鼻叫喚の艦内の中で、静まり返ったブリッジの中でしっかりと目に焼き付けることとなった。

 

それはボラトゥス提督も同様だった。

 

彼は優秀な提督だが運命から逃げることも今から勝利を掴むことももう不可能なのだ。

 

先程MC85“ニスタラム”はジストン級かインペリアル級か分からないがターボレーザーの砲撃を喰らいブリッジに被弾した。

 

偏向シールドが辛うじて殆どを受け止めたがそれでもブリッジは損傷し乗組員に死傷者を出した。

 

ボラトゥス提督も座っていた椅子が壊れ彼の頭からは血が垂れ流れ片腕を押さえている。

 

「ダメです……提督……!“ニスタラム”はエンジンに損傷があり今から回避は出来ません……!」

 

「ああ…エンジンが無事でもあれは避けられん。すまないな諸君、我々はどうやら終わりらしい」

 

諦めに似た言葉を発しボラトゥス提督は最期に不敵に笑った。

 

その笑みのままこう言い放つ。

 

「アクバー閣下、後は頼みましたよ。連中は必ず我々レジスタンスが…!」

 

ニスタラム”含めた残りの全てのレジスタンス艦艇は“エクリプスⅡ”のアキシャル・スーパーレーザーに巻き込まれ全滅した。

 

再び一隻も、1機も、1人も生き残らなかったのだ。

 

戦闘領域には敵艦の残骸が溢れ無機質なまま宇宙を漂っている。

 

「お前達はよく戦った、我々相手に本当によくやった。だが相手が悪かったんだ。恨むなら我々と、フォースの意思とやらを恨め」

 

勇敢に戦い最期まで果敢に立ち向かった敵兵に対してフリューゲルは独り言のように言葉を送った。

 

もはや最後は戦いですらなかった、一方的な火力の暴力だ。

 

これが新時代の戦い方なのかそれとも今後“()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()”。

 

恐らく両者とも正解であり現実は後者に向かっていくと願うばかりだ。

 

この戦い方は一歩間違えれば銀河そのものを崩壊に追い込んでしまう。

 

この力だって本来内側に向けるべきものではないのに。

 

「敵艦隊の全滅を確認、生存者は1人もいないと思われます」

 

「再び我々の勝利…でいいんでしょうか」

 

報告を受けデミングス司令官はフリューゲルに問いかけた。

 

しかしフリューゲルは「まだだ」と険しい顔で告げた。

 

「全艦、バロスに向けて発進準備。アキシャル砲搭載艦はチャージを開始せよ。あの星を統べるまでこの戦いは勝利とは言えない」

 

ゆっくりとシス・エターナル艦隊が前進する。

 

赤き軍旗とそのシスの紋章が銀河に翻るその日まで。

 

 

 

 

 

-ファースト・オーダー領 未知領域 惑星イラム軌道上 アカデミー・ステーション-

ファースト・オーダーのアカデミー・ステーションの通路を数人の白服の将校が歩いていた。

 

真ん中の1人は言わずもがな、ファースト・オーダーの最高指導者であるレイ・スローネ大提督。

 

彼女の姿を見ると将校、ストームトルーパー、候補生問わず全ての人間が一旦作業や立ち話をやめて敬礼を送った。

 

スローネ大提督はもうただの軍司令官ではなくファースト・オーダーという一つの国家、一つの組織の長なのだ。

 

そして彼女の隣を歩いているのは元帝国保安局のエージェントで現在のファースト・オーダー保安局のエージェント、ソーン。

 

一時期ホズニアン・プライムにスパイとして潜入していたこともあり彼女があのスターホーク計画の情報を掴んだのだ。

 

反対の若い保安局将校はアンシヴ・ガーマス少尉。

 

この未知領域でアカデミーを卒業した初の保安局将校でありファースト・オーダー保安局の新世代の一期生だ。

 

彼は顔をこわばらせ不安そうな表情を浮かべている。

 

ガーマス少尉は恐る恐るスローネ大提督に声を掛けた。

 

「大提督……本当にやるのですか…?」

 

「何をだ?」

 

スローネ大提督は何処かぶっきらぼうに逆に問いかけた。

 

「尋問ですよ……それもハックス将軍への。流石に指導教育長官殿が流出者な可能性は…」

 

「ほう少尉、お前はアカデミーで『ブレンドル・ハックスという男にだけは捜査するな絶対に疑うな』という教育でも施されたのか?」

 

スローネ大提督の痛烈な皮肉にガーマス少尉はさらに恐縮し「いっいえそんな…」と首を振った。

 

「ですが大提督……本当に“()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()”など存在するのでしょうか……」

 

ファースト・オーダーは知っての通り未知領域で再び帝国軍と同等、そうでなくとも新共和国を打ち倒し銀河系を支配出来るだけの軍隊を形成する為にリザレクション計画と呼ばれる育成計画を実行していた。

 

この計画は承認を得る為だけでも随分と最高評議会が紛糾したのだが今回シス・エターナルの出現によって更なる深刻な問題が発生した。

 

人材育成の為に銀河系や未知領域から誘拐、彼らの言い方で言えば“徴募”された子供達の一部が失踪しシス・エターナルへ流出していたのだ。

 

これはラックス元帥がヨットの“インペリアリス”から抹消されたデータを復元している最中に発覚しスローネ大提督は急いでファースト・オーダー保安局を動員し調査を始めた。

 

特にハックス将軍ら教育指導を担当する部署に徹底的に尋問や聞き込みを行い流出を行った犯人は誰かを探し出そうとした。

 

しかし犯人は見つからずおまけに教官や指導部の人間達すらも集められた子供達がシス・エターナルに流出していることを知らなかった。

 

何故かと問い詰めて見れば「イラムから別のアカデミーに移籍するよう命じられてその後は知らない」だの「徴募時にこのクラスだけは才能値が高い為特別コースへ移籍させるから別の惑星まで輸送する」だの上手いことはぐらかされていたようだった。

 

しかもどの証言にもしっかりとした証拠や経歴があり誰も嘘はついていなかった。

 

そこでスローネ大提督や捜査をしていた保安局員達はある男を疑い始めた。

 

それこそ教育指導長官であるブレンドル・ハックス将軍の存在だ。

 

彼の権限なら経歴を残しつつ誤魔化す事も出来る上に揉み消すのも得意だろう。

 

何よりハックス将軍は死んだラックス元帥に直接選ばれた数少ない帝国軍将校の1人だ。

 

もしかしたら最初から全てを知っておりその上で人員を流出していたのかも知れない。

 

醜く太った豚のような生簀かない碌でもない男だが決して無能ではないので仮にシス・エターナルに上手く子供達を送っていても不思議ではなかった。

 

「存在するから現に子供達が消失しているのだろう。それもハックスなら可能だ、さあ着いてしまったぞ少尉」

 

話している間にもう一行はハックス将軍の執務室の前にいた。

 

まずアケニス・アカデミー時代の教え子のストームトルーパーが2人スローネ大提督らの前に立ち塞がる。

 

「ハックス将軍は現在、執務中です。いくら大提督と言えど面会はまた別の機会に」

 

「この保安局員達の姿が見えないのか?少尉、言ってやれ」

 

スローネ大提督はあえてガーマス少尉を前に突き出す。

 

少尉は胃が苦しそうな表情でストームトルーパーらに告げる。

 

「ファースト・オーダー保安局の捜査権限でハックス将軍を捜査する。ドアを開けろ!」

 

その言葉を聞いたストームトルーパー達は「一体何の捜査だ」と詰め寄ったがすぐに他の保安局員がストームトルーパーを抑えエージェント・ソーンが保安局専用のコードシリンダーを差し込んだ。

 

ドアが解除されスローネ大提督と保安局員たちはズケズケとハックス将軍の執務室に入っていく。

 

執務室の椅子に座るハックス将軍はポカンとした表情で中に入ってきたスローネ大提督達を隣のジャクーから連れてきた候補生と一緒に見ていた。

 

まだ状況や様子が掴めていないと言った表情だ。

 

「将軍、場合によってはお前を逮捕しなくてはならない。大人しく我々に従ってもらおう」

 

スローネ大提督の脅しに近い発言にハックス将軍は見る見る内に青ざめ感情的に口を開いた。

 

「いっ一体なんだ大提督!?私はファースト・オーダーに叛逆するようなことは何もしていないぞ!!」

 

スローネ大提督は後ろの保安局員と目を合わせる。

 

その保安局員はアイコンタクトを取ってハックス将軍の口ぶりや表情から得られた情報を大提督に伝えた。

 

彼はどうやら嘘は何一つ言っていないようだ。

 

周りの保安局員達が執務室を捜査しているのを見てハックス将軍はひたすら困惑した表情を浮かべていた。

 

それは隣の候補生も同様だ。

 

ジャクーで連れられてきたこの少年も対処しようがないと言った表情と身振り手振りを浮かべている。

 

スローネ大提督はあえて強めの口調でハックス将軍に問い詰めた。

 

「ほう?ではシス・エターナルに徴募された子供達を流出させていた事も知らないと?」

 

スローネ大提督はハックス将軍が嫌いだし信用もあまりしていない。

 

彼は自分の息子すらまともに愛せず教育出来ない奴だ。

 

それに本音を言えばボラム大将軍同様にリザレクション計画なんてやりたくはなかった。

 

あの歴戦の老人の言う通りこの計画は非道そのものであり軍隊という組織構造から見ても無駄が多すぎる。

 

ボラム大将軍は様々な理由で反対意見を口にしていたが最終的にはスローネ大提督とグランドモフランドの説得で何とか納得してもらった。

 

彼の言う事は最初から最後まで正しかったように思える、それでもファースト・オーダーという組織の最高指導者としては賛成せざるを得なかった。

 

あの計画がなければ未知領域という銀河から遠く離れた場所で軍隊を形成するなど不可能だった。

 

ずっと弱小の軍閥の寄合世帯のまま終わっていくだけだ。

 

ラックスや他の者達から受け継がれたものを何も未来へ引き渡せない。

 

「子供達の流出…?何だそれは、そんな報告受けていないぞ…!」

 

ハックス将軍は再び困惑の音を顕にした。

 

白を切る訳でもなくかと言って冷静に無実を証明する訳でもなく困惑し部下を呼ぼうとしていた。

 

「ほう、知らないとは。白を切るつもりかそれとも単にお前が部下から一切の信頼を置かれていないだけなのか」

 

「本当だ!第一報告書を全て読んでもそのような流出は確認されていない!部下だってきっとそうだ!リザレクションで徴募された子供達は我々の中では何よりも重要視されている!1人でも消失しているのなら直ぐに捜索が始まるはずだ!我々はこの計画に万全の注意を払ってきた!」

 

再びスローネ大提督は後ろに控える保安局員に目線を送った。

 

保安局員は冷や汗を掻きながらハックス将軍はやはり嘘をついていないと伝えた。

 

それを受け取った大提督の方が混乱しそうだ。

 

確かに彼は嘘をついていない、それはどことなくスローネ大提督にも分かる。

 

しかし元に流出は起きているのだ。

 

明らかに数クラス単位で集められた子供達はどこかへ消えている。

 

これは保安局の正式な調査で既に立証されていた。

 

それでも指導教育部の人間は1人残らず犯人ではなかった。

 

このままいけば目の前のハックス将軍もだ。

 

彼らは全員知らないどころか消えた子供達はしっかりファースト・オーダー・アカデミーで教育を受けていると誰しもが思っていた。

 

そして履歴や書類上では確かにそうなっていた。

 

「だがラックスは確かにエクセゴルとシス・エターナルのことを知っていた。私が知っている限りジャクー戦中にやつの本当の計画を知らされたのはお前くらいだ。本当知っていたんじゃないのか?」

 

「奴がエクセゴルとシス・エターナルを知っていたというのは驚きだが少なくとも私は、他の子供達もそのことは知らされていない!元帥から教えられたのは未知領域で選ばれた者による帝国の再建計画だけだ!」

 

ハックス将軍はキッパリと言い切りそれ以上は何も言わなかった。

 

スローネ大提督もこれ以上問い詰める言葉が見つからず黙り込んだ。

 

エージェント・ソーンは小声で「どうやらハックス指導教育長官は本当に他の部の者と同じく流出の事を知らないようです」と耳打ちした。

 

スローネ大提督も「ああ…」と小さく頷き「どうやら我々はとうの昔からシス・エターナルの僕であったらしいな」と小声で呟いた。

 

「それにシス・エターナルとはもう同盟……いや、あれが“()()()”となることで帝国は復活するはずだろう。何せあの組織には“()()()()”…」

 

ハックス将軍が全てを言い切る前に1人の将校が慌ててスローネ大提督の名前を呼んで執務室の中に入ってきた。

 

その将校は“ヴィジランス”に乗艦しているトスウィン少佐で息を荒げ汗をダラダラ流していた。

 

「大提督!バロスが!!」

 

バロスという言葉にスローネ大提督は反応を示し眉毛がピクッと動いた。

 

バロスといえば今頃シス・エターナルの先遣艦隊がレジスタンスの艦隊と戦闘している頃だ。

 

少佐はそのことを報告しに来たのだろう、スローネ大提督はそう思っていた。

 

しかし彼の報告はそれよりも遥かにとてつもないことだった。

 

「バロスが……“()()()()()()()()()()()()()”」

 

トスウィン少佐の報告は一瞬スローネ大提督の思考を停止させると共にある一つのことを確信させた。

 

 

 

銀河系に再びデス・スターが帰ってきた”。

 

 

 

 

 

ボラトゥス提督の艦隊の全滅はバロスの守備に回っていたスファリー准将の機動部隊にも伝わっていた。

 

ブリッジの乗組員達から動揺の声が上がる中スファリー准将は感情を押し殺し命令を下す。

 

「もはや我々の戦力だけでは防衛しきれん……惑星内にも伝達せよ!今より我々はバロスを放棄、ロザルまで後退しロザル駐留艦隊と共に防衛戦線を展開する!我々はバロスの駐留部隊が退却する時間をなるべく多く稼ぐぞ!」

 

スファリー准将の決断に乗組員達は顔を硬らせ張り上げた声で「了解!」と命令を承諾した。

 

ボラトゥス提督のあの艦隊の数でさえ全滅してしまったのだ、守備隊の機動部隊がどのくらい時間を稼げるか分からない。

 

准将は内心自分達がロザルの駐留艦隊に合流する事は出来ないだろうと思っていた。

 

それでもバロスの地上戦力さえあればレジスタンスは陸戦においてまだ粘り続けられる。

 

「バロスの輸送船は足りるか?」

 

スファリー准将の問いに幕僚の1人が答えた。

 

「はい、兵員も武器弾薬兵器類も全て乗せられます。先行して兵員の方を脱出させるそうですが」

 

「それでいい、兵士は貴重だ。1人でも生き残れればそれでいい。彼らの脱出まで我々がなんとしてもここを…」

 

「准将!エネルギー・レーザーと思われる高熱原体が急速に接近しています!」

 

センサー士官がその報告を終える頃には既にスファリー准将達も肉眼で見えるほどにまで接近を許していた。

 

真っ赤なレーザーがブリッジのビューポート越しに近づいてくる。

 

准将は慌てて「回避を!」と指示を出そうとしたがもう遅かった。

 

彼が全てを言い終える前に赤いアキシャルの・スーパーレーザーの中に巻き込まれスファリー准将達は肉片も残らず消え去った。

 

最後にバロスを守る砦となろうとした彼の機動部隊は1秒の時間を稼ぐ事も出来ず全滅した。

 

消し飛んだ機動部隊がいたはずの空間を消し飛ばした張本人たるシス・エターナル艦隊が悠々自適に通過した。

 

『アキシャル・スーパーレーザーをチャージして正解でしたね。まだ惑星に艦隊を残しているとは』

 

デリファン”のサブロンド司令官は“エクリプスⅡ”にホロ通信を介して話していた。

 

隣には“アドヒアレント”のレンウィス司令官もいた。

 

「ああ、連中も後詰めくらい残している事は察しがついていた」

 

『しかし元帥閣下、本艦は充填していたアキシャル・スーパーレーザーのエネルギーを使い果たしチャージにもう少し時間がかかりますが』

 

サブロンド司令官は端的に状況を報告する。

 

されどフリューゲルは「問題ない、暫くはチャージに専念しろ」と伝えた。

 

「このまま“エクリプスⅡ”のアキシャル・スーパーレーザーでバロスに対し惑星砲撃を開始する。だがその前に残された敵地上部隊に降伏を勧告しろ」

 

「本当によろしいのですか?別に降伏を勧告せずともこのまま砲撃してしまえば……」

 

「敵は艦隊を失い我々の艦隊に対抗するだけの力を惑星内には持っていないはずだ。デミングス司令官、敵艦隊へ降伏勧告を行え」

 

「はい閣下!」

 

ブリッツェ中佐の意見を押し退けフリューゲルはデミングス司令官に降伏勧告を送るよう告げた。

 

これで降伏すれば万々歳、降伏せずとも我々の勝利は確定している。

 

「重力井戸を起動し敵の退路を断て、残りの艦隊は惑星の包囲網を形成し非常時に備えろ」

 

フリューゲルは予備にも備えて命令を下す。

 

彼はふと思った。

 

この戦いはシス・エターナルの力を見せつける初戦としては良い出出しを切れたように思う。

 

レジスタンス艦隊を一隻残らず撃破し敵の惑星を堕としてせしめた。

 

このアキシャル・スーパーレーザーの実力とシス・エターナルの脅威を広める良い機会となるだろう。

 

レジスタンスとやらの撃破も容易くなり帝国の統一もあの方が加速させるはずだ。

 

そうすれば再び帝国は蘇り私達は“()()”に専念出来る、元に戻れるのだ。

 

そうすればきっと、きっと“()()()()()()”。

 

フリューゲルに珍しく小さな希望が湧き始めていた。

 

最後に希望を抱いたのは一体いつのことだったか。

 

親族と最後に会った時かそれともエクセゴルであの方から言葉を聞いた時か。

 

銀河内戦が始まりエンドアの戦いが終わった頃からずっと彼らの前には希望などなかった。

 

皇帝は死に、帝国は崩壊、彼らが駐屯するビィスやディープ・コアでも帝国同士の戦いが始まりフリューゲル達も徐々に巻き込まれた。

 

フリューゲルはそこで未知領域の死守の為に多くの同胞を手にかけた。

 

今みたいに何個もの同じ帝国軍の部隊を全滅させた事もある。

 

その中にはかつて部下だった者や同僚、気心の知れた元戦友もいた。

 

フリューゲルはそれら全員を手に掛け、ディープ・コアの秘密を守る為に殺し尽くした。

 

そこには夢も希望もなく、ただ最後に与えられた命令を実行するだけの虚無的な何かがあっただけだ。

 

そんなフリューゲルの下に新しい命令が下った。

 

遠く離れた未知領域から“()()()”が届いたのだ。

 

フリューゲルはラックス元帥らと共謀しディープ・コアの可能な限りの艦隊を集め未知領域へと向かった。

 

与えられた航路を進み、与えられた行き先には“()()()”がいた。

 

死んだはずのシーヴ・パルパティーンが行き先の果てにあるエクセゴルにいた。

 

死を迎えたはずの皇帝は昔と変わらない同じ語り口調でフリューゲルに秘密を打ち明け協力する頼んだ。

 

だからあの時尋ねたのだ。

 

「どうして命令してくださらないのですか」かと。

 

命令してしまえば早いのに。

 

その時皇帝パルパティーンはこう告げた。

 

「命令したから立ち向かえる相手ではない。君の意志が必要なんだ、自ら選んだという意志が。数少ないこの銀河の秘密を知る者として協力してはくれないか」

 

この銀河の明日を作る為に。

 

フリューゲルは皇帝の協力者となることを自らの意思で選んだ。

 

その時何処か新たな原動力のようなものが現れたように感じる。

 

彼は新たな軍服を受け取りシス・エターナルの軍事エグゼクターに就任した。

 

艦隊と地上軍を編成しシス・エターナルの信徒を盛況な兵士へと鍛え上げた。

 

フリューゲルは軍人として出来ることを全て成し遂げた、たとえどんな清廉な人間を目指す者がやりたくないことでさえも。

 

仕方がない、ヴァント家とは開祖が新シス戦争で共和国の軍旗を掲げた時からそうだった。

 

逃れられない使命でありフリューゲルだって他の先祖達だってそれを受け入れた。

 

そしてその使命は意味があった。

 

皇帝と結んだ約束は、フリューゲルが選んだ選択は彼の一族の使命に意味を持たせたはずだ。

 

浮かび上がった希望の為に報われぬ努力をし続けてきた使命がようやくだ。

 

「元帥……バロス惑星内のレジスタンス軍は降伏を拒否しました。降伏するくらいなら我々は最期の一兵となるまで戦うことを望むと」

 

デミングス司令官は少し困った顔でフリューゲルに告げた。

 

しかしフリューゲルは何処か落ち着いた表情で「そうか」と口を開いた。

 

「仕方がないことだ司令官。砲撃体制に移れ、我々は連中の望み通りに名誉をくれてやる」

 

幕僚達は頷き砲撃の準備を始めた。

 

こうなる事は分かりきっていたはずだ、それでも最後の望みをかけたという事はフリューゲルにはまだ躊躇いの心があったということだ。

 

だがそれもレジスタンスの返答と自らの選択がそれを無くした。

 

あの時の皇帝の約束と使命を思い出さなければ躊躇いの感情を含んだまままた機械のように戦っていただろう。

 

フリューゲルは遠い昔のクローン戦争で学んだ、人間はいくら心を機械にしても本物の機械であるドロイドには勝てないと。

 

人間は人間であるが故に自らの感情と選択で戦う意志を固めなければならない。

 

機械では勝てないのだ、ならば自らの意志で選択し自らの手で自らを戦場の地獄に突き落とさねばならない。

 

幸いにもフリューゲルはそういう一族に生まれた為ある意味で“()()()()()”。

 

「砲撃準備、整いました」

 

ラノックス艦長がフリューゲルに報告すると彼は素早く命令を下した。

 

「目標バロス、最大火力を持ってこの星のレジスタンスを殲滅する。撃て」

 

再び“エクリプスⅡ”の艦首から黄緑色の太いレーザーが5つの方向から放出されそれが一塊になってより太い強力な一線を撃ち出す。

 

エクリプスⅡ”の最大火力を含んだアキシャル・スーパーレーザーはそのまま真っ直ぐバロスに続きバロスの大地に直撃した。

 

この次世代ドレッドノートが備えているアキシャル・スーパーレーザーはジストン級の量産型とは違いその火力は殆どデス・スターのスーパーレーザーと遜色がない。

 

故に着弾すれば惑星の崩壊までは秒数をカウントする必要すらなかった。

 

スーパーレーザーの一撃が地面に着弾し惑星のコアに届いた瞬間、バロスは崩壊し木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

その光景は最初に破壊されたオルデランにとてもよく似ていた。

 

これこそスーパーレーザーの本懐であり今で死ぬことはないと思っていた者達に初めて与える死の恐怖の体現者だ。

 

バロスの戦いはシス・エターナル軍の大勝に終わった。

 

文字通りレジスタンス軍は1人も生きて戦場から帰ることはなかった。

 

 

 

 

崩壊し爆散するバロスを見つめてダース・シディアスは高笑いを浮かべた。

 

恐怖と猟奇的な喜びの入り混じった笑い声はエクセゴルに深く響き渡った。

 

「見たか、レジスタンスの愚か者どもめ。余の無敵の艦隊には遠く及ばぬことをこれで思い知ったであろう」

 

シディアスは更に笑みを膨らませた。

 

セドリスや他のダークサイドの達人達もフードの奥から笑みと感嘆の声を上げていた。

 

しかしそれを複雑な表情で見ている者もいる。

 

マラ・ジェイドはその1人だった。

 

確かに帝国の勝利は彼女にとっても喜ばしいことであるはずなのだ。

 

しかし心のどこかで完全には喜びきれないでいた。

 

そんな感情を隠す為にマラ・ジェイドは御成に控えているルークに皮肉を浴びせる。

 

「あんたの仲間は案外脆かったようね。皇帝の慈悲が効いている今が最後のチャンスよ」

 

マラ・ジェイドはこの時またいつものように柔和な声で反論してくるだろうと思っていた。

 

されど今日のルークは違った。

 

目線を全くこちらに向けず「ああ、そうだな」と一言だけ返した。

 

まるで別人のようだ。

 

あまりに呆気ない返しだったのでマラ・ジェイドはルークの方に目線を寄せた。

 

彼女はルークの瞳を見て驚愕し思わず半歩だけ後退りした。

 

彼の瞳が“()()()()()”、まるでシディアスや他のシス卿のように。

 

マラ・ジェイドはその時言葉を失い再びルークの方を見つめた。

 

目の錯覚だったのだろうか、今度見た時はいつもと同じ青色だった。

 

一体何がと思慮を巡らせる前にシディアスはルークとマラ・ジェイドに声を掛けた。

 

「余の若きスカイウォーカー、そして忠実なる余の皇帝の手よ。其方らに新たな任務を託す」

 

2人は振り返りシディアスの方に体を向けた。

 

皇帝は2人に任務の内容を話した。

 

「シス・エターナルの忠実なる兵士を連れて放棄されたボーラ・ヴィオのクローニング施設に向かえ。そこで施設を完全に破壊し機能を奪え。奴は既に動き出しておる」

 

「奴…とは一体誰のことで?」

 

マラ・ジェイドは尋ねた。

 

シディアスは声音を全く変えずに2人にそのことを話す。

 

「かつて余が創り出したジョラス・シボースの狂気のクローン……“ジョルース・シボース”、奴はオリジナルの血が強すぎたのかボーラ・ヴィオのクローニング施設を強制稼働させ“ジェダイの帝国”を建国せんとクローン戦士を生み出そうとしておる。奴の野望を阻止し残ったジェダイを抹殺せよ。其方らにはこのIG-99Eもつけていく」

 

玉座の側からシス・エターナルの暗殺ドロイド、IG-99Eが姿を現した。

 

IG-99Eのカメラアイはいつにも増して真っ赤に光っている。

 

シディアスは最後にこう告げた。

 

「自らの手でジェダイの歴史に終焉を打ち、新たなシスの千年帝国を築く礎とせよ。スカイウォーカー、いや」

 

()()()()()()()()()”。

 

マラ・ジェイドはルークに何があったのか分からない。

 

しかし彼はいつの間にか皇帝に下り弟子の名前を付けられている。

 

それに対してルークは反論する訳でも肯定する訳でもなく膝をついてシディアスの任務を受け取った。

 

今のマラ・ジェイドの心のうちを示すかのようにエクセゴルの雷が落ち轟音が鳴り響く。

 

混乱と現実、ただ一つ分かることは今示された任務をこなさねばならないということだけだった。

 

シスの栄光は未知領域から蘇ろうとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-未知領域 オク=トー星系 惑星オク=トー テンプル・アイランド 最初のジェダイ寺院-

フードを被った2人の男女がこの最初のジェダイ寺院のあるテンプル・アイランドに集まっていた。

 

彼らが乗ってきたスターファイターは近くの開けた場所に停めてある。

 

幸いにもこの寺院を守護するラナイのケアテイカー達からは暖かく歓迎された。

 

だがそんな暖かく自然豊かなこの星から2人は離れなければならない。

 

それが2人の、残された数少ない“()()()()”の使命だからだ。

 

「やはりボーラ・ヴィオに奴がいる事は間違いない。どうする、奴は狂人のクローンとはいえ元は同じジェダイだ。本当に倒すのか?」

 

フードを被った人間の男は隣でオク=トーの美しい海を見つめるトグルータの女に尋ねた。

 

2人とも随分長い間ボーラ・ヴィオにいるジョルース・シボースを探していた。

 

とあるダークサイド信奉組織の撃滅中にその存在を確認し2人はその狂気の行いをやめさせる為にずっとジョルースを追い続けていた。

 

しかしまだジョルースの息の根を絶つかは2人とも決めかねていた。

 

「彼が私たちの説得に応じなかったらやるしかない。多分十中八九応じる事はないだろうけど…」

 

トグルータの女は目線を落としこれからやらなければならない事を心の中で嘆く。

 

それでもジョルースの行いは阻止しなければならない。

 

彼が皇帝に見つかる前にその技術ごと抹消しなければレジスタンスが危険に晒される。

 

「そういえばルークの居場所は見つかったか?」

 

人間の男はトグルータの女の方に尋ねた。

 

しかし彼女は首を振りルークが見つかっていないことを示した。

 

「レジスタンスの調査隊がマーカーに向かったらしいけど全滅したって。多分生きているだろうけど…」

 

「我々もジョルースを打ち倒した後に捜索に協力しよう。彼と3人で戦わなければ恐らく皇帝に勝つのは難しい」

 

トグルータの女は小さく頷いた。

 

それと同時に彼女はある事を危惧していた。

 

「ルークが消え……その前にはベンが誘拐された。これがもし蘇った皇帝の仕業だとしたら……」

 

「皇帝は再びスカイウォーカーの一族を狙っているということか?」

 

「その可能性は十分にある」

 

男、“カル・ケスティス”はフードを下ろし自身の顎を触った。

 

十数年前よりも歳を取り更に経験を蓄えたカルはもうジェダイ・マスターだと言われても違和感のない風貌になっていた。

 

もう彼はマスター・タパルの下で学ぶだけのパダワンではなくなっていた。

 

「いずれオーガナ議長も狙ってくるだろうか…」

 

「分からない、でも我々はひとまずジョルースを倒して皇帝の野望を阻止しないと」

 

トグルータの女の決意にカルは頷き2人はスターファイターの方へ向かった。

 

石造りの階段を降りていく。

 

2人のジェダイもボーラ・ヴィオに向かおうとしていた。

 

ジェダイとシス、ライトサイドとダークサイドがあの地で合間見える事となる。

 

1人の狂気のクローンを巡って銀河系の端でフォースの前哨戦が行われようとしていた。

 

ジェダイ、“アソーカ・タノ”は再びダークサイドと直接対決することを覚悟している。

 

ジェダイとシスの戦いは未だ終わりを見せる事はない。

 

過去も、未来も、永劫に。

 

 

 

 

つづく

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