第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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「素晴らしき力を持つ者はこの銀河に大勢いる。されど、その力を他者を支配する為に使う者もいれば力を恐れて1人籠る者もいる。前者は悪辣な使い方であるし、後者も最善の判断とは言えないだろう。やがてこの力も時間を掛けて、決まった型や流れに当て嵌められ、その答えが明らかになっていくだろう」
-とあるジダイ・オーダーの古代文書より抜粋-


ボーラ・ヴィオの戦い/前編

-アトラヴィス宙域 ムスタファー星系 惑星ムスタファー 衛星ナー-

何十隻ものスター・デストロイヤーが周辺を警戒し地上に部隊を展開している。

 

センチネル級やゴザンティ級、ラムダ級がムスタファーや衛星ナーに展開し地上に調査隊を送っていた。

 

ムスタファーは以前は完全に帝国の支配下にあった。

 

何せムスタファーにはあのダース・ヴェイダーの本拠地があったのだ。

 

衛星のナーにも“()()()()”の尋問官達の要塞があったしムスタファー星系全体が何処となく帝国の闇の部分が残されていた。

 

そんなムスタファーは銀河内戦末期に独立、現地の駐屯隊を撃破しムスタファーリアン達による独立国家を建国した。

 

しかし第二次銀河内戦の訪れと共ムスタファーの独立国家の運命も大きく変わっていった。

 

第三帝国が誕生し新共和国を打ち破るとその魔の手はムスタファーの側まで迫ってきた。

 

第三帝国は一度、ムスタファーへの全面侵攻を計画した。

 

軌道上爆撃やウォーカーを用いた凄惨な殲滅戦を計画し一一時期はその為の遠征軍まで選び始めていた。

 

だが事前に計画を察知した大セスウェナはこれを阻止する為に行動を起こした。

 

第三帝国によるホロコーストの内容を掴んでいた大セスウェナはこの侵攻を阻止しなければと考えていた。

 

一度戦闘が始まれば血に飢えたあの国はムスタファーに済むムスタファーリアンを1人残らず殺し尽くすまで戦いをやめないだろう。

 

その為大セスウェナはムスタファーの独立とムスタファーリアンによる民族自決を尊重する代わりに大セスウェナ連邦への加盟を促した。

 

事実上第三帝国の属国である大セスウェナ連邦へ加盟すれば第三帝国は大っぴらに手出し出来なくなる。

 

そもそも戦う事なくムスタファーとムスタファーが属するアトラヴィス宙域が手に入るのだからそれで十分なはずだ。

 

ムスタファーリアン達としても第三帝国は脅威に感じていたし大セスウェナの比較的穏健な統治と加盟国への態度を間近で見ていたので大セスウェナに加盟する事を認めた。

 

こうして大セスウェナ連邦の一員となったムスタファーは第三帝国の侵略を受ける事もなかったしヘルムートのグランドモフの権限によってムスタファーの中に収容所が建てられる事もなかった。

 

その為今調査隊としてムスタファー星系に展開している艦隊も全て大セスウェナのものである。

 

調査隊は無事にムスタファーとナーへ上陸し調査を開始した。

 

特にナーの調査では早速驚くべき事が発見された。

 

その一報はテントで調査隊の指揮を取る保安局員のリエース・オスナン司令官の下に届けられた。

 

「司令官殿、大変です!“()()()”!“要塞内部に安置されているジェダイの遺体がありません”!」

 

司令官は立ち上がり絶句した。

 

この要塞には以前から粛清されたジェダイの遺体が安置されているのではないかと噂されていた。

 

元々尋問官はジェダイ狩りを主としたエージェント達であり帝国軍を指揮する事もあったのでその過程で噂が誕生したのだろう。

 

だが銀河内戦の混乱でコルサントのISB本部に残されたジェダイ狩りに関する資料が幾つか消失し、或いは持ち出された。

 

その過程で大セスウェナはこの噂が真実である事を認知した。

 

長らくムスタファーとの関係で調査は行えなかったしそんな余力もなかったが今がチャンスだった。

 

そしてその過程で今、驚愕の真実が発覚した。

 

「私が直接この目で確かめる。技術班には直ちに施設内の監視映像の復元を急げ!仮に持ち出されたとしたら必ず犯人がいるはずだ」

 

オスナン司令官は副官と報告に来た士官と共に要塞の中へ入った。

 

周りには多くの技師官やストームトルーパー、白服の制服を着た保安局員など様々なセスウェナの将兵がいた。

 

彼らに「ご苦労」と時折労いの言葉を掛けながら目的の場所に向かった。

 

この要塞はムスタファーリアンや新共和国軍の攻撃を受けていないのにも関わらずあちこち損傷していた。

 

しかし不思議なことに明らかに戦闘して出来た損傷ばかりなのにも関わらず、兵士の遺体のようなものは一つも確認されていなかった。

 

「こちらです」

 

士官に案内されオスナン司令官は遺体があるとされていた要塞内の廊下に辿り着いた。

 

すでに何人もの士官と技師官とストームトルーパー達が集まっており不思議そうに中を覗いたり機器類をチェックしていた。

 

明らかに何か入っていたようなカプセルの中は真っ暗で液体のようなものも見受けられない。

 

「確かに遺体はない……だが本当に遺体はあったのか……」

 

「分かりません、技術班の解析を待つばかりですが…」

 

もしかするとここではない場所に移送された可能性もある。

 

一通り見回りオスナン司令官は一旦指揮所のテントに戻ろうとした時副官が何かを掴んだのか彼に報告した。

 

「司令官、技術班が要塞内に残された映像を一部復元したとのことです」

 

「なんだと?それは本当か」

 

「はい、こちらのディスプレイに出します」

 

副官が取り出したディスプレイに技術班が復元した監視映像が映し出された。

 

まだ画像は荒いが画面の右下に映像が撮影された年が書かれていた。

 

固定カメラ故に映像は全く動かないが上から見下ろす形で今オスナン司令官達がいる通路を映し出している。

 

映像はずっと武装した何人かのストームトルーパーや士官が集まりバリケードを作って通路に立て篭もろうとしている場面が映し出されていた。

 

この当時はまだカプセルの中に何かが入っているようでそれは殆どが人の形をしており、何人かの技術者のような人物は中に入っているジェダイと思われる遺体を取り出そうとしていた。

 

だがそうなる前に一気に事態は急変する。

 

突然雷のような爆発がバリケードを打ち破り、バリケード近くにいたストームトルーパーや士官を感電死させた。

 

バリケードの残骸が飛び散り一気に煙が蔓延する。

 

若干見えにくくはなったがそれでもストームトルーパーや士官の輪郭はくっきりと見え、銃撃戦によるブラスター・ライフルの光弾もはっきりと見えた。

 

だがトルーパー達の抵抗虚しく直後、煙の中から放たれた電撃により通路にいたストームトルーパー達のほぼ全てが感電死してしまった。

 

辛うじて生き残った者もすぐに次の電撃が放たれ数秒も経たないうちに全身を雷に襲われ全員が死亡した。

 

「何者だ、この人物は」

 

オスナン司令官は副官に尋ねた。

 

だが当然副官はそんなこと知る由もなく「分かりませんが現在画像解析班が調査中です」と的確に報告した。

 

映像はまだ続き電撃を立て続けに放った人物の姿が現れる。

 

真っ黒なフード付きのローブで全身を覆い背後にそのローブとほぼ同じ物を着た集団を引き連れながら何か指示を出す。

 

指示を受け取ると背後の追随者達は分散し遺体が収納されているカプセルに近づいた。

 

スイッチを押し中の液体を抜き、遺体を取り出し始めた。

 

すでにこの時点でこの要塞からジェダイの遺体を盗み出した犯人が発覚した。

 

だがそれと同時に完全に復元されていない映像はここで途切れてしまった。

 

「映像はこれまでです」

 

副官はディスプレイをしまいオスナン司令官と共に立ち上がった。

 

司令官は暫く難しい表情を浮かべながら口を閉ざした。

 

怪訝に思った副官が「司令官?」と彼に声をかける。

 

「いや…今の情報を至急軍司令部かグランドモフヘルムートに届けろ。『要塞内で戦闘があり要塞内の守備隊は全滅、謎の一団に遺体が強奪されていた』との報告付きでな」

 

「了解」

 

「画像解析班には急いでこの映像に映る人物が誰か判別が付くようしてくれと伝えろ。私の勘だが…何か嫌な予感がする」

 

「分かりました」

 

副官や士官達はオスナン司令官の命令を受けて一斉に動き始めた。

 

司令官も副官と共に指揮所のテントに戻ろうとする。

 

ジェダイの遺体、そもそもとうの昔に滅んだはずのジェダイの騎士の遺体が全てここに安置されていたというのが一番の驚きだがそれが実は強奪されていたとは。

 

恐らくあの超人的な技を鑑みてもただの野盗などの類ではないしそもそも野盗程度の連中に帝国軍の守備隊が負ける訳がない。

 

犯人は確実にここにジェダイの遺体がある事を知って襲撃に来たはずだ。

 

なんらかの目的でその遺体を使う為に。

 

一体何に使うのかオスナン司令官には見当が付かなかったがそれでも凄く嫌な予感がした。

 

そしてその予感は当たっていた。

 

ナーから遠く離れたボーラ・ヴィオの寂れた施設ではとある老人が薄気味悪く笑っている。

 

「…もう少し、もう少しだ。蘇る、蘇るぞ“()()()()()()()()()()”!」

 

老人は“()()()”の培養ポッドを見つめながら大声で呟いた。

 

すでに男の周りには何人かのローブを守った“騎士”が佇んでいる。

 

彼ら彼女らを見渡して老人はさらに笑みを深める。

 

「ジェダイ・オーダーは蘇り、我々は“()()()()()()”を建国するのだ。本当の千年帝国を創り出すのはシスでも第三帝国でもない。我々フォースに選ばれたジェダイだ」

 

老人は相当ジェダイに対して強いこだわりがあるようだ。

 

この広間のあちこちにかつて滅んだジェダイ・オーダーのボロボロの旗が掲げられている。

 

まるで亡霊が蘇ったかのような光景だ。

 

「既に鍵となるものは全て揃った。後は時間さえあれば十分だ」

 

老人の帝国にブラスターやウォーカーといった野蛮なものは必要ない、ここから飛び立つ為の舟も簡単に手に入る。

 

老人に一番必要なのは時間だけだった。

 

だが今老人の目の前には厄介な万年来の敵が立ち塞がっている。

 

周囲をスター・デストロイヤーで包囲し、軌道上には大砲を付けたスター・デストロイヤーが静かにこの地を見下ろしている。

 

まずこれを打ち破り、ジェダイの帝国を建国する為の礎としなければならない。

 

だが老人は全く負ける気がしなかった。

 

むしろこのボーラ・ヴィオの戦いこそが新たな弟子の到来となるだろう。

 

「さあ来るがいい、邪悪の使徒よ。我々ジェダイの正義の刃の前に皆ひれ伏すことになるだろう」

 

既にこちらには“()()()()()()()()()()”があるのだから。

 

歪んだジェダイと再び蘇ったシスによる対決が再び始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ハイパースペース内 ジストン級“ピルグリム”艦内-

ジストン級の艦内の構造は殆どインペリアル級やヴィクトリー級、クワット社製品と同じ作りをしている。

 

無機質な外壁やライト、モニターやコンソールの配置に足元には常に数体で纏って動くマウス・ドロイド。

 

常駐している将兵とこの艦の出自に目を瞑れば帝国軍の軍艦とも偽れそうだ。

 

尤も一部の軍艦はディープ・コアの駐留艦隊にいた将校が運用している為完全な偽りではない。

 

シス・エターナル軍は帝国軍が長い間築き上げてきた技術や軍事的なノウハウやドクトリンを多分に含んで誕生した軍隊だ。

 

そういう意味では“()()()()()()”と評しても過言ではないだろう。

 

それにやがてシス・エターナルは全ての帝国の“()()()”となるのだ。

 

シス・エターナル軍はその近衛軍として、戦略軍としての活躍が期待されるだろう。

 

その為に今のうちに経験や戦果を積んでおかなければならない。

 

モン・カラへの進撃やこのボーラ・ヴィオの任務など、シス・エターナルが上に立つにはそれ相応の力を見せつける必要があるのだ。

 

『兵装システムチェックの為、一時的に機能を第二種戦闘配置に切り替える。繰り返す、兵装システムチェックの為、一時的に機能を第二種戦闘配置に切り替える。以上』

 

ピルグリム”の艦内に流れた放送が切れ技師官や砲手、一部のシス・トルーパーは移動を始めた。

 

目的地には後1時間もすれば到着する為、その前に最終チェックを行う必要があるのだ。

 

艦隊戦の可能性は限りなく低いとはいえいざという時に備える必要がある。

 

放送を聞きながら艦内を歩いていたマラ・ジェイドは完全な軍人や軍隊務めではない為そこまで詳しい事は分からないが。

 

「ボーラ・ヴィオまで後少しだ。部隊指揮官はスカイウォーカー卿がするらしい」

 

「言ってはなんだが彼の方を本当に信じられるのか?一度はヤヴィンでデス・スターを破壊した人物だぞ」

 

「だがこれはシディアス卿が直接指示されたことだ。我々はそれに従うしかない」

 

マラ・ジェイドの横を通り過ぎていったシス・エターナル軍の将校達の話し声は当然マラ・ジェイドの耳にも届いていた。

 

今の彼女は通り過ぎていったシス・エターナル軍の将校達と同じ気持ちだった。

 

何故あの男が今回の任務の指揮官なのか。

 

皇帝を殺したのはあの男ではないとはいえ、殺害に協力していた。

 

あの男はジェダイでヤヴィンではデス・スターを破壊しそれ以降の反乱同盟の活動にも深く関わっていたはずだ。

 

そんな人物をいきなりこんな重要な任務の指揮官にしていいのか。

 

いくら絶対服従すべき皇帝の命令とはいえマラ・ジェイドは些かの疑問を持っていた。

 

だがそれと同じくらいあの男、つまりルークが今回の指揮官に値すべき人物だとも思っていた。

 

ルークの力はルーサン、マーカーで見た通り凄まじいなどという言葉では言い表せないほどの技量と力を持っている。

 

それでいて的確な指揮能力があり正に話に聞く“スカイウォーカー将軍の子”に相応しかった。

 

そして何よりこの任務を受け取る時にエクセゴルで一瞬だけ感じたもの。

 

あれは確かにシス卿の暗黒面の力を秘めておりそれを示すかのように彼の瞳は“黄色”に輝いていた。

 

本当に一瞬だけだったがあの瞳はマラ・ジェイドの師であるシディアスと同じでありシス卿の憎しみを込めた瞳だった。

 

「彼は一体……っ…?」

 

マラ・ジェイドが考えようとした瞬間彼女の目線の先の通路にローブを着た半透明の男がすうっとすり抜けていった。

 

幻覚なのかそれともホログラムの故障か、将又フォースの力なのか。

 

その姿はまるで話に聞くクローン戦争時代の“()()()()”のようだった。

 

「あれは……」

 

マラ・ジェイドは不思議に思い半透明の男が通った通路の方へ向かった。

 

確かこの近くにはルークの居住室があったはずだ。

 

もしかするとあの半透明の男はそこへ向かったのではないか。

 

そう考えたマラ・ジェイドはルークの居住室の方へ向かった。

 

ルークの為に設置された特別な居住室からは誰かの呻き声が聞こえる。

 

怪しんだマラ・ジェイドはゆっくりと近づき半開きのドアから室内をそっと覗いた。

 

そこにはベッドの上で頭を抱えて蹲り、嗚咽のような声を絞り出すルークの姿があった。

 

全身が悪寒のような何かに包まれている感覚でその感触はフォースを通してマラ・ジェイドにも伝わってきた。

 

ドス黒い何かと爽やかな何かを何度も行き来するようなこの感触、その度に悪寒と絶え間ない虚無感や無気力感に襲われ吐き気すら催すような気分の悪い感覚に包まれた。

 

だがこれはあくまでフォースを通して感じているだけでありこの感覚を直に喰らっているルークの苦しみは計り知れたものではない。

 

一体何をしているのだろうか、マラ・ジェイドは余計に気になり近づいた。

 

するとルークの側にうっすらとだが人の影のようなものが見える。

 

さっきルークの居住室に向かって行った半透明の男だ。

 

ルークは半透明の男に話しかける。

 

「……分かっているよ、“()()()”。今度こそ僕達は…」

 

ルークは全てを言い終える前にマラ・ジェイドに気づいたのかマラ・ジェイドがいる方向に目を向けた。

 

姿を察知されたと思ったマラ・ジェイドは大人しくルークの前に姿を表した。

 

「あなた…一体何を…」

 

マラ・ジェイドは思わずルークに尋ねた。

 

フォースを通じて彼から感じたあの感触は只事ではない。

 

あんなものを何時間でも、何日でも感じていたら正気を失ってしまう。

 

「君も感じたのかい?」

 

ルークは驚いた表情でマラ・ジェイドに尋ねた。

 

彼女は小さく頷いた。

 

「そうか…じゃあやっぱり君は……いや、なんでもない。どうしてここに?」

 

「人影のようなものがあなたの部屋に入っていくのを見た。あれは一体なんだ…?」

 

マラ・ジェイドの問いにルークは暫く口を閉ざしていた。

 

答えたくないというより答えるのが難しいのであろう。

 

ルークは慎重に言葉を選んで話し始めた。

 

「……あれは……そうだね……僕の“()()”……かな」

 

ルークは結局全てを包み隠さずたった一言で話した。

 

マラ・ジェイドは一瞬困惑したがすぐに思考を巡らせある一つの答えに辿り着いた。

 

だがその反面“()()()()()”という考えにも至った。

 

何せ彼の父は、ルークの父親はもう“()()()()()()”。

 

彼の口から聞いた、マラ・ジェイドの師である皇帝を殺し自らもその深傷で死に至ったと。

 

だがもし、彼の父が死んだと思われていた皇帝のようになんらかの方法で生きていたとしたら…。

 

もう今のマラ・ジェイドに否定する事は出来なかった。

 

より問い詰めようとした瞬間、艦内放送が流れマラ・ジェイドの言葉は途中で打ち切られた。

 

『上陸部隊指揮官はブリッジにお越し下さい。最終ブリーフィングを行います』

 

いよいよ、という訳だ。

 

ルークはベッドから立ち上がりマラ・ジェイドの側に近寄った。

 

「さあ、行こうか」

 

マラ・ジェイドは疑問を持ちながらもルークの後に続いた。

 

フォースが仕掛けた運命はここから加速する。

 

 

 

 

 

-レジスタンス領 アノート宙域 惑星ベスピン クラウド・シティ アノート司令支部-

ランドやブラマッシュ中将達は必要に追撃してくる帝国艦隊から辛うじてアノート宙域領内へ退却した。

 

最終的な艦隊の損耗率は50%を超えており、彼らにとっては大損害であった。

 

それでもエグゼクター級と精鋭のハンバリン第一艦隊相手に退却しながらよくそれだけの戦力で抑えられたものだと戦闘に参加していない他の将兵は思っていた。

 

相手の物量や状況から言ってあの戦いは全滅してもおかしくない状況だった。

 

しかし失われた艦船は人命は戻らない。

 

喪失感と敗北感と共にランド達はベスピンへと帰還した。

 

『中、軽度の負傷兵と損傷艦は全てアノートの方へ向かわせました。あちらの方が収容数もベスピンより広いですから』

 

「ああ…手酷くやられたからな…完全に失態だった」

 

『仕方がありません……責任は我々にあるとしても将軍はよく指揮して下さいました。私だけでは恐らく艦隊は全滅していたでしょう…』

 

ブラマッシュ中将は面目ないと表情を暗くするランドにそう告げた。

 

アデルハード艦隊の予想外の捨て身攻撃にセスウェナと帝国宇宙軍の、しかもスター・ドレッドノートを抱えた精鋭艦隊の攻撃をなんとか退けたのだ。

 

並の指揮官なら途中で諦め逆に特攻紛いの戦闘を行なっていたかもしれない。

 

ランドだったからこそ少なくとも艦隊の半分は無事に連れ帰れたのだろう。

 

『2人とも、よく生きて帰ってきた』

 

メルクローラーⅡのコックピットに映っていたブラマッシュ中将のホログラムの隣にタロン将軍のホログラムも出現した。

 

ブラマッシュ中将は敬礼を浮かべタロン将軍も敬礼を返した。

 

ランドも軽く敬礼を送り「手酷くやられてしまった」と申し訳なさそうに口を開いた。

 

『いや、少なくともアデルハード艦隊を遂に叩きのめしたというのは大きい。幸いな事にカルリジアン将軍達が退却しつつ追撃隊に遅滞戦術をかけていたお陰で守備隊の動員が間に合った。兵達の犠牲は完全に無意味ではなかった』

 

『それで帝国軍の侵攻状況は?』

 

ブラマッシュ中将の質問にタロン将軍はいつにもなく表情を固くして答えた。

 

『既にバッヴァを放棄しセーラ・ナの瀬戸際で食い止めているが……正直言っていつ陥落の報告が届いてもおかしくない』

 

「向かって来ているのはセスウェナか?それとも我々が対峙したハンバリンの艦隊か?」

 

あのエグゼクター級はマジノ線で確認された帝国宇宙軍の総旗艦、“リーパー”だった。

 

リーパー”が指揮を執っているのは常にハンバリンに駐留している帝国宇宙軍第一艦隊、宇宙軍の最精鋭の艦隊であり強敵だ。

 

あの艦隊が迂回してセスウェナ方面から回って来たという事はいよいよ第三帝国が本腰を入れてアノート攻略にに乗り出したということだ。

 

しかも無理やりセスウェナの戦力も引き連れて。

 

『前衛で戦闘している艦隊は恐らく全てハンバリンから連れてきた“リーパー”配下の艦隊だ。だが制圧した惑星や領域で軍政を展開しているのはセスウェナ軍だと思われる』

 

『チッ!いいところだけ…!』

 

「いや、むしろ占領されるなら大セスウェナの連中の方がマシだ。奴らもそれを分かっててやってる」

 

第三帝国の占領軍が占領地でやっている事は大体想像が付く。

 

こないだだって至急で送られてきたディカー最高司令部からの機密文書には第三帝国の最高機密が書かれており、それは想像を絶するものだった。

 

第三帝国にもはや理性などなくその点においては遥かに理性的で帝国から枝分かれした国家の中では特に人道的な大セスウェナの方が圧倒的にマシだ。

 

「我々が奪還するまで暫く預けておこう」

 

無論いつかは力づくで取り返す。

 

帝国にくれてやる程この銀河系の領域は広くない。

 

『しかし、どう奪還します?我々は防衛するだけで精一杯なのに』

 

ブラマッシュ中将は不安気な表情で彼らに尋ねた。

 

『条約の発動により連合軍の艦隊が追加で部隊を送ってくる。彼らを北上方面に配置し先に帝国軍と戦闘していた守備隊を全て東部に回し攻勢をかけるつもりだ』

 

「しかしその戦力で足りるのか?」

 

ランドの問いは尤もなものだった。

 

相手はあの精鋭、第一艦隊だ。

 

並の部隊を送るだけでは攻勢は失敗に終わるかも知れない。

 

それに相手は全戦力を常に攻勢に持っていける。

 

後方の軍政や補給などは全て大セスウェナ軍が担っている為かなり余裕を持っていた。

 

一方のレジスタンス軍は元より戦力的に余裕がない上に前の戦いの敗北が大分効いているようで士気も低くなりつつあった。

 

まだ若干の不安で留まっているが次負けたらどうなるかは分からない。

 

『南部の予備戦力も投入するつもりだがこれでも行けるかどうか…』

 

『ディゴール大臣から提案された戦力増援の話はどうなっているんでしょうか?』

 

大セスウェナ領内での敗北の報せを聞いたディゴール大臣らディカー司令部はすぐに補填分の戦力を提供するとアノート司令支部に約束した。

 

まず第一陣として民間商船を回収したMCスター・クルーザー五隻と新規で建造されたネビュラ級一隻、CR90八隻、ネビュロンB六隻、キャラック級軽クルーザー七隻が送られる事となった。

 

そしてそれと同時に追加で数は不明だが正式に補填分の艦隊が送られる事となる。

 

尤もこちらはディゴール大臣が「どうせ役には立たない数合わせだろうが」と前置きしていたが。

 

「一体何が送られてくるのやら…」

 

『ディカーからの増援は予備に回すつもりだ。到着はいつになると?』

 

『こちらの“I()n()f()e()r()n()o()”と司令部の特殊ユニットが送ってくるらしいですが…』

 

ブラマッシュ中将も断言は出来なかった。

 

少なくとも第一陣として送られてくる艦船を頼みの綱にするしかない。

 

アノートにも厳しい冬の時代が訪れようとしていた。

 

 

 

 

 

 

-リド星系 惑星ボーラ・ヴィオ ボーラ・ヴィオ・クローニング施設-

上陸用のガンシップがシスTIEファイターと共に対空砲火が展開される中施設へ突入した。

 

既に何機ものガンシップが上陸に成功し外壁の対空兵装はシスTIEファイターによって大部分が破壊されていた。

 

ガンシップが開けた場所に着陸し内部に搭載したシス・トルーパー達を一斉に施設内に突入させる。

 

上陸を見越して迎撃しようとする敵兵と恐らくジョルースが持ち逃げしたであろうセキュリティ・ドロイドがガンシップに攻撃したが直様機銃の役割を果たすブラスター砲によって消し炭にされた。

 

周囲の安全を確保した中でシス・トルーパー達はST-W45ブラスターという新型のブラスター・ピストルを構え施設内に広がっていく。

 

無慈悲な紅き尖兵達は目に付く敵を全て撃ち倒し安全に上陸する地点を確保し始めた。

 

施設内は意外と武装が施されておりブラスター・タレットやKXシリーズ・セキュリティ・ドロイドやプローブ・ドロイドといったドロイドが守りを固めていた。

 

中には何処かで連れてきた傭兵か信者のような生身の人間も混じっておりドロイドと共に侵入者であるシス・トルーパーを迎撃しようと試みた。

 

だがブラスター・タレットや幾体のドロイドも、武装した人間も全て徹底的に教育され正規軍の最高峰の歩兵として育て上げられたシス・トルーパーには敵うはずもない。

 

ブラスター弾を叩き込み、サーマル・デトネーターを投擲し、ブラスター砲で敵を薙ぎ倒して進んでいった。

 

シス・トルーパーは皆無言で単純作業のようにドロイドを破壊し人を殺していく。

 

更にそれをサポートする優れた最新鋭のアーマーと兵器がシス・トルーパーの進撃と上陸陣地の確保を促進した。

 

所詮民兵やセキュリティ・ドロイドの群れでしかないボーラ・ヴィオの占拠者達を技量と技術力で圧倒し僅か数分足らずで第一目標の上陸陣地の確保に成功した。

 

部隊指揮官のシス・トルーパーが本隊に連絡する。

 

「先遣上陸隊より本隊へ、目標確保率を達成。直ちに上陸されたし」

 

『了解した、直ちに出撃する』

 

指揮官が通信を切り部下のシス・トルーパー達に現状の地点を維持するように命じた。

 

占拠者達はシス・エターナル達を施設から叩き出そうと躍起になりセキュリティ・ドロイドやプローブ・ドロイドを更に突撃させた。

 

だが一瞬でブラスター砲や分隊シールドで形成した簡易的な防御陣地でシス・トルーパー達は敵を迎え討った。

 

ブラスター砲の銃声があちこちに響きその度その度にドロイドの残骸が地面に散らばり、鈍い音を立てた。

 

その間に本隊はガンシップに乗り込み、先遣隊が確保した施設へ上陸を開始した。

 

重武装と補給物資を持ったシス・トルーパー達がガンシップから荷物と共に降り立ち、各場所の戦闘区域に合流した。

 

その中には当然IG-99Eやマラ・ジェイド、ルークの対ジェダイの部隊も含まれていた。

 

「間も無く施設に上陸します。着陸地点は確保しましたがそれ以降はまだ敵地のままですのでご注意を」

 

シス・トルーパーの大尉が彼らにそう告げた。

 

「ありがとう」

 

ルークは一言礼を述べると座席を立ち上がりガンシップから外を眺めた。

 

施設周辺では爆炎が見え徐々に接近するに連れて銃声も鮮明に聞こえてきた。

 

既にあの施設の中では戦いが発生しており少なからず死人が出ている。

 

そしてルーク達が上陸する事によってその数は増える事となるだろう。

 

「フォーメーションは話した通りだ。僕とマラ・ジェイドが防ぎつつ接近戦を仕掛けその間にIG-99Eとトルーパー達が敵を銃撃する。R2は施設内の占拠と支援を頼む」

 

「分かった、判断に従おう」

 

「了解」

 

マラ・ジェイドと大尉はルークの判断に従い頷いた。

 

IG-99EとR2も電子音で了承し彼らを乗せたガンシップは無事に施設内に上陸し簡易司令部が建てられている一角にルーク達は向かった。

 

先遣隊の指揮官と合流し状況を尋ねた。

 

「スカイウォーカー卿、ようこそ」

 

「状況は?」

 

「制圧した範囲は確保しつつ防衛戦において何名か負傷、ですが敵の突破は防いでいます」

 

「今一番敵の攻撃が強いのは?」

 

「中央の4番通路です。こちらも問題なく防いでいますが」

 

「よし、そこから突入をかけよう」

 

ルークの以外な判断に大尉や指揮官は彼の方を見つめた。

 

指揮官は「他にも通路はありますが…」と伝えるがルークは首を振った。

 

「敵も逆に中央突破をされるとは考えていないはずだ。むしろここで敵の攻撃の主力を撃破しターゲットまで接近する。その隙に本隊と先遣隊は左右から回り込んで施設内包囲網を形成しろ。敵の注意をどちかに寄せる」

 

「了解、直ちに指示を出します」

 

ルークの命令を受け入れ指揮官は彼に敬礼した。

 

ルークも部隊を引き連れ施設の中へと入った。

 

「時間が何よりも重要だ。ジョルースがこの施設にいる内に奴を仕留める」

 

「流石の判断力だな」

 

マラ・ジェイドはふとルークを褒めた。

 

彼の判断力は素直に尊敬に値するべきものだ。

 

「まだまだ、ジョルースを仕留めるまではそう判断出来ないよ」

 

彼はライトセーバーを手に取り前線へと向かった。

 

ルークのライトセーバーはまだ昔と同じ緑の光剣が出るものでありこれもやがては血の涙を凝縮したような真っ赤な光剣へと変わっていくのだろう。

 

それがシスの陣営にいる者の運命なのだから。

 

施設の中に入ると早速銃撃戦の音が聞こえた。

 

人の断末魔やドロイドが撃破されて崩れ落ちる音など戦場では日常茶飯事なものだ。

 

ルークはそのまま真っ直ぐ進み目的地の4番通路に辿り着いた。

 

既にシス・トルーパー達とセキュリティ・ドロイドの間で戦闘が始まっており双方を弾丸を撃ち合っていた。

 

ルークは一旦部隊を止めてハンドサインで指示を出す。

 

内容はルークとマラ・ジェイドとIG-99Eが突撃する間に元々防衛陣地にいる部隊と共にシス・トルーパー達が支援に向かうというものだ。

 

ルークとマラ・ジェイドはライトセーバーの光剣を出しIG-88も武装に手を掛けた。

 

ルークが3秒前のカウントダウンを手で出しながら3人に合図を出す。

 

彼の指が1本から5本に変わった瞬間2人と1体は前線へ突撃した。

 

ブラスター砲を撃つシス・トルーパーの頭上を飛び越えライトセーバーを振り回す。

 

ルークとマラ・ジェイドが一気に3〜4体のドロイドを叩き切り後方で狙撃しようとする生身の敵兵をIG-99Eが重パルス・ソードキャノンで逆に撃ち殺した。

 

IG-99Eはベースの影響か敵対者として人間とドロイドがいた場合どんな状況下でも真っ先に人間の方を先に狙う。

 

無論その後ドロイドもしっかり破壊するのだが人間がブラスター・ピストルを持っていてドロイドがブラスター砲を持っていようとその殺害の優先順位は不思議なことに全く変わらない。

 

だがどちらにせよIG-99Eはシス・エターナルに仇なす者全てを倒すので別に問題視されていなかった。

 

次は近場のセキュリティ・ドロイドやプローブ・ドロイドを相手にする。

 

弾丸を撃ち込み銃剣を刺し相手の装甲を破壊する。

 

合流したシス・トルーパー隊も援護射撃を行い増援のドロイドを全て破壊した。

 

その間にルークとマラ・ジェイドが残りのドロイドを全て斬り倒し、フォースで押し潰す。

 

「敵影なし、クリア」

 

ルークはライトセーバーの柄を握り締め剣先を出したままの状態で部隊を引き連れて更に奥へ進んだ。

 

あれだけのドロイドを破壊したのにも関わらず敵の戦力は全く減ることはなくすぐに追加のセキュリティ・ドロイドと鉢合わせた。

 

放たれる弾丸を全てライトセーバーで弾き返した。

 

その間にシス・トルーパーとIG-99Eが弾丸を叩き込み戦闘中しているドロイドを次々と破壊していった。

 

ルークとマラ・ジェイドはブラスター弾を防ぎつつ素早く前進しライトセーバーで近接戦に移った。

 

互いにカバーし合いながらドロイドをライトセーバーで斬り倒す。

 

あっけなく切断されたセキュリティ・ドロイドやプローブ・ドロイドはただの残骸となり地面に朽ちた。

 

ルークとマラ・ジェイドがドロイドを切断する中そこにIG-99Eも加わった。

 

ソードキャノンの銃剣と元々持っている鉈で敵のセキュリティ・ドロイドを叩き斬り破壊していく。

 

荒々しくもあり効率的な戦い方をするIG-99Eはあっという間に周囲の敵を殲滅した。

 

最後にはまだギリギリで機能を保っていたセキュリティ・ドロイドにもトドメを刺す。

 

ルークの方をブラスター・ライフルを向けて狙っていたからだ。

 

「ありがとう」

 

ルークは一言礼を述べたがIG-99Eは「ダークサイドのフォースの天命に従ったまで」と言った。

 

「R2、近くの端末から施設にアクセスしてくれ。トルーパー達は全員周囲の警戒を」

 

「イエッサー」

 

シス・トルーパー達は散開しR2は近くのソケットに接続プラグを差し込んだ。

 

慎重に内部にアクセスし可能な限り情報を手に入れようとする。

 

「思ったより敵は多いようね。尤も、殆どドロイドばかりだけど」

 

「ああ、だが僅かながらに生身の人間も参加してることが驚きだ。ジョルースを野放しにしてもう4、5年が経つけどもしかしたらかなりの大組織になっているかも知れない」

 

もしかすると既にこの施設の本来の機能も回復しているかも知れない。

 

ルークはあえて最悪の事態を口に出さず「急ごう」と彼女に告げた。

 

それと同時に先遣隊の指揮官から連絡が入った。

 

『増援と共に包囲戦を開始しました。包囲中の第三帝国軍及び軌道上の“ピルグリム”から不審なスターシップ類の侵入は確認されていません』

 

「分かった、引き続き頼む。我々はこのまま一気にターゲットが潜伏していると思われる区画へ突入する」

 

『お気をつけて』

 

通信を切りルーク達は大尉の下へ向かう。

 

このままシス・トルーパー達とマラ・ジェイドとIG-99Eと共に戦えば一気にジョルースの下へ向かうことは可能だろう。

 

相手の戦力は第三帝国軍やシス・エターナルほどではない。

 

むしろかつての劣勢時代の反乱同盟軍よりも弱小と言っていいだろう。

 

時間をかけることなく殲滅可能だ。

 

「さあこのまま一気に行こう!ジョルースを仕留め任務をっ…!」

 

何かをフォースで感じたルークは最後まで言い切ることなく頭を抑えた。

 

それはマラ・ジェイドも同じでルークと同じように頭を抑え険しい顔を浮かべていた。

 

「これは…一体…!?」

 

「IG、先行して部隊に合流しろ…“()()()()”!」

 

IG-99Eはルークの命令通り移動しルークとマラ・ジェイドも立ち上がった。

 

遂に対決が始まるのだ。

 

ジェダイ帝国を建国しようと躍起になる境域に取り憑かれた創り物のジェダイとの。

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、2人の本当のジェダイもこのボーラ・ヴィオのクローニング施設に訪れていた。

 

試作のクローキング装置が取り付けられたXウィングが2機、ランニングパットに停泊しそこから2人のジェダイは移動していた。

 

2人の下にもセキュリティ・ドロイドやプローブ・ドロイドが現れたが戦闘経験豊富なジェダイ2人に敵うはずもなく全滅した。

 

暗めの通路を真っ直ぐ進み目的地を目指した。

 

「このまま行けばジョルースの下に辿り着けるはずだ。シス・エターナルも部隊を下ろし始めてる、急ごう!」

 

ジェダイの片割れであるカル・ケスティスは前を走るアソーカ・タノにそう告げた。

 

「ええ…でも、どうしてシス・エターナルがここに…」

 

狂気のクローン、ジョルース・シボースの居場所を見つけたのはつい最近だ。

 

彼の存在を発見してからずっと追い続けてきたアソーカとカルでさえかなり長い月日を経てようやくなのに数ヶ月前にその全貌を露わにしたシス・エターナルがもうジョルースを見つけ、しかも大部隊を展開しているなんて。

 

彼らには相当の諜報能力があるようだ、アソーカは険しい顔を浮かべた。

 

「とにかくシス・エターナルより早くシボースをどうにかするしかない……あの男をシスや帝国に渡す訳にはっ…!?」

 

カルとアソーカもその瞬間ルークとマラ・ジェイドと同じようにフォースから何かを感じた。

 

足が止まり頭を抱え、悲痛な表情を浮かべる。

 

「何かが来る…?」

 

2人は急いで自らのライトセーバーを引き抜き戦闘態勢に移った。

 

フォースとは別に奥の通路からコツコツと足音が聞こえ、その音は徐々に大きくなっていった。

 

確実に何かが来る、アソーカとカルは相手を迎え撃つ準備をし覚悟を決めた。

 

通路からゆっくりその姿が“()()()()()()()()()”と共に現れる。

 

「まさか……ジョルースの…!」

 

古代ジェダイの甲冑のような装備を着たライトセーバーを持つ戦士が現れた。

 

ヘルメットの影響で素顔は全く分からずただフォースで感じるのは相手もフォース感受者であるということだけだ。

 

2人はライトセーバーを構え迫り来る敵の戦士を迎え討った。

 

敵が振るうライトセーバーの一撃を受け止めながら自らのライトセーバーやフォースを用いて反撃する。

 

アソーカは器用に2本の白いライトセーバーで攻撃と防御を素早く繰り出しながら相手を徐々に圧倒した。

 

カルも敵の攻撃を防ぎつつフォースで周囲のものをぶつけながら一気に反撃する隙を探っていた。

 

「こいつらっ!ただのフォース感受者じゃない!」

 

カルはライトセーバーの斬撃を跳ね返しながら逆に反撃で相手のヘルメットを傷つけ、蹴りを入れ更にフォースで敵の戦士を1人吹き飛ばした。

 

一度に2人の相手をしていたアソーカは両方の斬撃を防ぐと両方の戦士に蹴りを入れライトセーバーで腕と腹の部分を斬り付ける。

 

傷口を抑えながら2人の戦士もまた一旦後退した。

 

「ええ、恐らく彼らは全員……“()()()()”」

 

アソーカはそう断言した。

 

カルは険しい表情を浮かべながら吐き捨てる。

 

「それじゃあすでにシボースはクローニング施設を稼働させたってことか…!まずいな…!」

 

「もう少し時間が掛かると思っていたけど意外とそうでもなかった。むしろ我々でさえ後少し来るのが遅かったら…」

 

「来るぞ!」

 

アソーカの言葉を遮るように3人の戦士は一斉に斬り掛かってきた。

 

このフォースのクローン戦士達は既に負傷しているのにも関わらず全く戦意が衰えていない。

 

まるで死ぬことが怖くないようだ。

 

2人は斬撃を回避すると逆に2人は連携して反撃に出た。

 

2対3、数的にはアソーカとカルの方が圧倒的に不利だが2人は経験と力量でそれをカバーし、むしろ上回っていた。

 

蹴りやフォースプッシュも交えながら相手の体勢を崩し間合いをこちらが奪っていく。

 

まずアソーカとカルは最初に1人の戦士を倒した。

 

ライトセーバーを円を描くように振り回し残りの2人の戦士が遠かった所で腹部と心臓部にそれぞれライトセーバーを突き刺した。

 

防御すら間に合わなかったこの戦士はライトセーバーを落とし体内に刺さった光剣が引き抜かれると共にバタリと斃れた。

 

まず1人、これで同数での対決だ。

 

施設の反対側で戦うルーク達と状況は同じになりつつあった。

 

「大尉!部隊を一旦下がらせて防衛戦を構築!」

 

「了解!」

 

ライトセーバーとフォースプッシュで相手を押し出しながらルークは命令した。

 

大尉とシス・トルーパー達は戦闘地域を離れ一旦後退した。

 

その間にマラ・ジェイドとIG-99Eも敵の戦士の斬撃を防ぎながらシス・トルーパー達の後退に支障が出ないよう尽力した。

 

ルーク達の下にもひとまず3人のフォースのクローン戦士達が道を阻む為に出現した。

 

幸いにもルーク、マラ・ジェイド、IG-99Eと単体で戦える者が揃っていたシス・エターナルは戦闘を全てルーク達に任せていた。

 

むしろこの相手はルーク達でないと務まらないだろう。

 

ルークは蹴りを相手に入れ一瞬だけ自由になるとマラ・ジェイドの下に加勢した。

 

2人の意気のあったライトセーバーの剣技は敵を圧倒しルークがライトセーバーを抑えた瞬間にマラ・ジェイドが斬り掛かり、ルークがフォースで相手を吹き飛ばし相手の態勢を崩した。

 

マラ・ジェイドがトドメを刺そうとした瞬間再び別の戦士が彼女の斬撃を防いだ。

 

しかし猛攻を仕掛けるルークによって体勢が崩れたままの戦士は打ち倒されてしまった。

 

ライトセーバーを引き抜き周辺の様子を確認する。

 

マラ・ジェイドの方はまだ余裕そうでこれから一気にラッシュを仕掛けようとしていた。

 

一方のIG-99Eは流石暗殺ドロイド、鉈と銃剣でライトセーバーを持ったフォース感受者のクローン戦士相手に逆に優位に立っていた。

 

容赦なく弾丸を撃ち続け、鉈と銃剣で相手を斬りつけ、敵が攻撃する隙を全く与えない。

 

元々IG-99Eは単なる暗殺ドロイドとしてだけではなく“対ジェダイ用”としての運用が当初から想定されていた。

 

その為今のIG-99Eは正に自らを生み出した使命を全うしているといっても過言ではなかった。

 

やがて相手の体力が限界に近づき隙が生まれた瞬間にIG-99Eはパルスキャノンの弾丸をクローン戦士の全身に浴びせかける。

 

ライトセーバーで防ぐ事すら出来なかった戦士はそのまま火力を全身に受けて斃れた。

 

一方マラ・ジェイドの方からも戦いの終結を齎す音が聞こえた。

 

ライトセーバーの鈍い音が聞こえマラ・ジェイドの方に目を向けると既に相手の戦士は腹部に大きなライトセーバーによる傷跡がありもう戦えない事を示していた。

 

これで突如襲来してきた敵は全て打ち倒した。

 

「一体何だったんだ?」

 

マラ・ジェイドは斃れた戦士のヘルメットを手で取った。

 

IG-99Eも乱暴にヘルメットをもぎ取るとそれぞれ打ち倒した戦士の素顔が明らかになった。

 

ルークはゆっくり近づき素顔を見下ろした。

 

「同じ顔…?」

 

マラ・ジェイドがヘルメットを取った戦士とIG-99Eがヘルメットを剥ぎ取った戦士の顔はなんとまるっきり同じ顔だった。

 

双子、或いは兄弟という可能性は恐らく低いだろう。

 

この施設やターゲットであるジョルースがやろうとしてることから鑑みて彼らは…。

 

「…つまり、クローンか」

 

マラ・ジェイドはそう呟いた。

 

「ああ…恐らくそうだろうね。ジョルースは既にこの放棄されたはずのクローニング施設を稼働させているということになる」

 

これは相当まずい。

 

ジョルースは時間さえあればクローニングで次々と戦士を生み出せてしまう。

 

それもフォース感受者の遺伝子基を持っているのか全てまだ微弱ではあるがフォースが使えライトセーバーを使って戦える。

 

ジョルースの軍団はシス・エターナルだけでなく全銀河の脅威となりかねない。

 

「大尉、我々が先行して一気にターゲットを撃破する。大尉は直轄の部隊と各隊を使って施設全体の制圧を開始しろ。特にクローニング関連のものは全て破壊するんだ」

 

『了解しました』

 

「今の命令を左右から攻撃中の部隊にも伝えろ。ジョルースがクローニング技術を運用しているとなればジョルースの殺害よりもまずクローニングを先に破壊する必要がある」

 

ルークはコムリンクで大尉に伝達するとマラ・ジェイドとIG-99Eを連れて忙しなく歩き始めた。

 

「さっきの話は聞いたと思うけどこのまま僕達だけでジョルースを仕留める。さっきみたいな敵がまだ出てくると思うけどやれるな?」

 

「ええ、むしろ奴を仕留められるのは我々しかいない」

 

ルークの問いにマラ・ジェイドは力強く断言した。

 

IG-99Eも電子音で一言だけ「ジェダイ、殺す」と呟いた。

 

ルークも小さく頷き、彼は息を吐いた。

 

その瞬間マラ・ジェイドにはルークの瞳が“()()()()()()()()”のが見えた。

 

あの時と同じ、ジョルース討伐の任務を受けた時と同じように黄色く、シス卿のように。

 

そして今もその瞳は一瞬で元の青い瞳に戻った。

 

「今のは…」

 

「行こう」

 

ルークはライトセーバーを構え、マラ・ジェイドの言葉を聞くこともなく走り出した。

 

その後にR2、IG-99Eも続きマラ・ジェイドも疑問を抱えたまま進み出した。

 

再び大量のセキュリティ・ドロイドと武装したジョルースの配下の信者達がルークの前に立ち塞がった。

 

だがすぐに放たれたパルスキャノンの弾丸により信者達は斃れ、ルークとマラ・ジェイドが次々とドロイドを斬り倒して行った。

 

フォースでドロイドの破片と共に戦闘中のプローブ・ドロイドが施設の壁に叩き付けられ火花を上げて壊れた。

 

何体来ようとルーク達に勝つことは不可能だ。

 

近距離ではライトセーバーの餌食となり、中距離では弾かれた弾丸とフォースで吹き飛ばされ、遠距離ではパルスキャノンで蜂の巣にされる。

 

もはや民兵以下の練度しかない信者とただの武装したドロイドではこの一団を止める事は出来なかった。

 

施設のドアをロックして封鎖してもすぐにR2がロックを解除し3人を解放し再び戦いとなる。

 

経験豊富なこのアストロメクはルーク達の進撃に大いに役立っていた。

 

誰もルーク達を止められず遂にジョルースがいると目されている施設の中央の一歩手前まで進んだ。

 

だがここでルーク達の行手を阻もうとする者が現れた。

 

フォース感受者のクローン戦士達がジョルースの下に行かせまいとしてルーク達に突進する。

 

「ここで止めさせやしない!」

 

ルークは歯を食いしばりライトセーバーを持っていない左手を前に出した。

 

彼はここでとんでもない力を発揮した。

 

なんと前に出した左手から“()()()()()()()()()()()()”。

 

その力はまるでダース・シディアスや多くのシス卿達が繰り出していたフォース・ライトニングに瓜二つだった。

 

ルークが放ったその電撃は突進してきた戦士達を全員感電させ、特に前に出ていた3人の戦士をそのまま感電死させた。

 

残り2人は辛うじてライトセーバーで受け身を取ったがその膨大な力を前に少しダメージを喰らい吹き飛ばされてしまった。

 

「今のは…」

 

「まだ後2人!来るぞ!」

 

驚きを隠せないマラ・ジェイドを横に、ルークはライトセーバーを構え敵を迎え撃つ準備をした。

 

だが敵が再び攻撃に出るよりも先にIG-99Eがパルスキャノンで牽制しつつ取り出した鉈と銃剣で残りの戦士に斬り掛かった。

 

2人の戦士は完全にIG-99Eに抑え込まれていた。

 

IG-99Eは「先に行け」と2人を促した。

 

ここで時間を取る訳には行かないとIG-99Eに残りの戦士達を任せてルークとマラ・ジェイドとR2は先を急いだ。

 

ドア近くの敵兵を全て蹴散らし施設の中央区画に乗り込んだ。

 

2人ともライトセーバーを構え室内に1人佇む老人を睨みつける。

 

「お前が、ジョルースか」

 

名前を呼ばれたその老人はゆっくりとルークとマラ・ジェイドの方を向いた。

 

見事な真っ白な髭を蓄えこれほどまでに“()()”という言葉が似合う男は存在し得ないだろう。

 

腰にライトセーバーを身につけその姿はオビ=ワンやヨーダなどのジェダイ・マスター達の衣装とよく似ている。

 

この老人、ジョルース・シボースはゆっくりと口を開いた。

 

「如何にも、遂に私の下に来たか。選ばれし者よ、そうだろうと思っていた。共に全銀河がジェダイへ仕えるという大義を知らしめようではないか」

 

ジョルースはゆっくりとルークの方へ手を差し伸べる。

 

だがルークが向けているのはライトセーバー、その意味は分かるだろう。

 

対決が始まる。

 

それは同じジェダイでも同様である。

 

アソーカとカルはジョルースの差し向けた戦士達を全て倒し彼らの身元を確認しようとしていた。

 

ヘルメットを脱がせ顔を確認する。

 

「このオングリー……もしかして……」

 

アソーカは何かに気づいたようだったが彼女が気づいたことに言う前にカルが「何か来る!」と警戒を促した。

 

アソーカもライトセーバーを引き抜き戦闘態勢に入った。

 

足音だけが通路に木霊し2人の緊張を煽る。

 

「やはり、彼らでは勝てなかったか。まあ仕方ない、あのテンプレートでは限界があるからな」

 

足音と共に現れた全身黒ずくめの男は諦めた口調でそう呟いた。

 

アソーカもカルもこの声には聞き覚えがあった。

 

何せ数年前までは一緒にいたし何度か共に鍛錬した仲だ。

 

「だが僕は違う、マスターシボースに鍛えられた“()()()()()”の僕であれば」

 

男はフードを下ろし邪悪に口角を上げた笑みを浮かべ、ライトセーバーを手に取った。

 

男の素顔はブロンドで青い瞳を持つ青年といった様相でその邪悪と狂気に取り憑かれたような笑みさえなければアソーカとカルがよく知っている人物にそっくりだった。

 

「お前は……誰だ…?」

 

アソーカは白いライトセーバーの剣先を向けながら男に問い詰めた。

 

その素顔に反してカルも全く警戒を解こうとしない。

 

男はどこか狂ったように自己紹介した。

 

「僕は“()()()”だよ、ルーク…“()()()()()()()()()()()()”だ」

 

ルークを自称するこの男、“ルウク・スカイウォーカー”は手に取ったライトセーバーを起動し青い光剣を出した。

 

ルウクが持つライトセーバーの柄はアソーカも見覚えがあった。

 

あのライトセーバーは本来、アソーカの“()”が持っていたものでありルークが初めて使っていたと言っているライトセーバーだった。

 

あのライトセーバーはシス今日との戦闘で消失したはず…。

 

「マスターに変わってジェダイの大義を理解しないお前達を“()()”する」

 

ルウクはアソーカとカルに突進しライトセーバーを振るった。

 

狂った造り物のジェダイと惨事を生き残ったジェダイとの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

-アシュ領域 コフリジン星系 惑星コフリジンⅤ軌道上 ネビュラ級“オーディシャス”-

ガレルから脱出したジェルマン達はハイパースペースを何回か経由し惑星コフリジンⅤの軌道上で待機していたネビュラ級“オーディシャス”まで辿り着いた。

 

オーディシャス”とコフリジンⅤの周りには周囲を警戒して哨戒機のAウィングが飛び回っておりピリピリとした雰囲気が流れていた。

 

ハンガーベイに入ったUウィングとステルスXウィングは直ちに整備士達の修理とチェックを受け、ウェクスリー少尉とスタトゥラ少尉は念の為医務室で健康チェックを受けていた。

 

一方無傷のジェルマンとジョーレン、ラクティスは“オーディシャス”のブリッジに召集された。

 

「ラクティス・ストライン中佐、ジョーレン・バスチル少佐、ジェルマン・ジルディール大尉、参上しました」

 

ラクティスが代表して“オーディシャス”艦長のブレストン大佐に挨拶し3人は敬礼した。

 

ブレストン大佐も敬礼を返し「よく任務を成功させた」と3人を労った。

 

「早速だがストライン中佐はこのまま“オーディシャス”に乗ってヤヴィンに帰還し防衛戦に参加してもらう。各地の攻勢に合わせてヤヴィン方面でも帝国軍が動き出した」

 

「はい、勿論です。命令があればどこへだろうと飛び立ちますよ」

 

ラクティスの戦意を頼もしく思いブレストン大佐は笑みを浮かべ小さく頷いた。

 

大佐は今度はジェルマンとジョーレンの方に目を向けた。

 

「そしてバスチル少佐、ジルディール大尉、2人には申し訳ないがこのまま“オーディシャス”に乗ってヤヴィンに行く事は出来ない。最高司令部より2人に直接命令が出た」

 

ブレストン大佐はアベドネドの副官に命じディカーとの音声通信を繋いだ。

 

レジスタンスのスターバードの紋章がホログラムとして浮かび上がりそこからディゴール大臣の声が響いた。

 

『まず機密を考慮し音声通信のみ行う事を了承して欲しい。ガレルでの救出任務、ご苦労だった。生存者の確保とガレル・パルチザンの存在の確認が取れた事はこの状況下では大きな成果だ』

 

「駐留軍に対するダメージはあまり与えられていませんが当分はガレルでのパルチザン排除に苦労するでしょう」

 

『ああ、少尉達の記録に加え君達が目視で確認したシス・エターナルの兵器や艦船類の情報も大いに役立つだろう。そしてこれが本題だ。まず、アノート宙域のレジスタンス軍が大セスウェナ領域で敗北した』

 

早速最悪な報告が舞い込んできた。

 

ブレストン大佐やアベドネドの副官は俯き、状況を知らないラクティスやジェルマンやジョーレンは驚いていた。

 

アノート宙域のレジスタンス軍はほぼ無傷な存在である種のキーカードとして扱われていた。

 

まさかそんなアノート宙域のレジスタンス軍が敗北するとは。

 

『彼らの当面の敵であるアデルハード艦隊は壊滅したが第三帝国の直接侵攻を受ける事となった。今、アノート宙域軍は防戦中だが極めて不利な状況が続いている。そこで我々はまず何隻かの軍艦を提供することになった』

 

ホログラム上に提供する軍艦が映し出された。

 

『だがこれでは足りない。アノート宙域の戦力を回復する為には更なる軍艦の提供が必要だ。そこで君達に一つの任務を与える』

 

ジェルマンとジョーレンは緊張した面持ちで耳を傾けた。

 

顔も映らないディゴール大臣は2人に任務を伝えた。

 

『今から指定する宙域に帝国軍もノーマークの造船所と大量の軍艦が停泊している。かなり古い軍艦ばかりだが少なくとも物の足しにはなるはずだ。バスチル少佐とジルディール大尉にはこの造船所地帯に向かい造船所と軍艦を全て確保してくれ』

 

座標が紋章の隣に映し出され“オーディシャス”の士官の1人が座標をコピーしそれをジェルマン達に手渡した。

 

ディゴール大臣はその間にも説明を続ける。

 

『この任務には別の特殊部隊チームも参加する。“コルウス”を拠点とした“インフェルノ分隊”が共同で造船所と軍艦の確保を行う』

 

「インフェルノ……あの元帝国軍の特殊部隊ですか?」

 

インフェルノ分隊は新共和国内でも特に有名だ。

 

元々帝国軍の特殊部隊であったがエンドア戦後のシンダー作戦の時に帝国を離反、新共和国軍の特殊部隊となった。

 

それ故に反乱同盟時代を生き抜いてきた将兵からすればインフェルノ分隊は恐るべき脅威であるし、新共和国時代から軍に入った新兵達からすればとても頼れる存在であった。

 

新共和国崩壊後もジェルマンやジョーレン、パスファインダーや第32コマンドー部隊、第61起動歩兵隊、通称“()()()()()()()()”のような精鋭特殊部隊同様に第三帝国に対し攻撃を仕掛け、戦果を挙げてきた。

 

そんな特殊部隊も使うということは相当隠密性を重視しているのだろう。

 

『既にインフェルノ隊には動いてもらっている。ブレストン艦長、バスチル少佐とジルディール大尉への補給とUウィングの整備は後どれくらいの時間が必要だ?』

 

ディゴール大臣はUウィングの整備と補給を担当する“オーディシャス”の責任者に尋ねた。

 

ブレストン大佐は副官や他の将兵に聞くこともなくスラスラと答え始めた。

 

「整備と燃料、弾薬の補給だけなら損傷にもよりますが後40分以内に完了するでしょう。今回の任務は航空戦も少なかったのでそれも考慮すれば30分も経たずに出撃出来ます」

 

『分かった、では整備と補給が済み次第座標元に向かってくれ。艦長と“オーディシャス”には申し訳ないが暫く現地に留まり敵の警戒を』

 

「了解」

 

ディゴール大臣はそれぞれに命令を出しブレストン大佐やジェルマン達も動き始めた。

 

そして最後にディゴール大臣はこう付け加えた。

 

『また大変な任務になると思うが頼んだぞ。諸君らがフォースと共にあらんことを』

 

ホログラムと音声通信が途切れ会話が終了した。

 

通信に携わっていた乗組員も徐々に元の位置に戻りブレストン大佐もアベドネドの副官と話し合いを始めた。

 

ラクティスは2人に近づき別れの会話を交わした。

 

「また任務か、大変だな」

 

「そちらこそ、スクランブル発進ばっかりでしょう?」

 

「まあな、だが昔から空を飛んでる事は好きだった。こんな状況だが少なくともこの思いだけは忘れてない」

 

微笑混じりにラクティスはそう呟いた。

 

ジョーレンも他人のことだがどこか感慨深そうにしていた。

 

そんな中ジェルマンはガレルの時には言えなかった事を話した。

 

「そういえば以前レンディリに潜入した時、ノヴァン君の手掛かりが掴めました。もしかしたら彼は……シス・エターナルに拉致されたかもしれません」

 

その一言でラクティスは一気に表情を変えた。

 

「本当か?」

 

「ああ、避難先のキャッシークにもいなかったという事は疎開の途中で行方不明になった可能性が高い。そしてシス・エターナルの到来…最もあり得るシナリオだ」

 

ジェルマンに続けてジョーレンもそう答えた。

 

「なるほど…」とラクティスは険しい表情を浮かべしばらく考え込んでいた。

 

彼らは軍人の一家だが誰1人として自分の家族に対する情が薄い訳ではない。

 

むしろこういった一族の中ではとりわけ情が深いようにも見受けられる。

 

「…分かった、また叔父貴にも話しておくよ。それじゃあな、頑張って」

 

2人は頷きジェルマンとジョーレンはひとまず“オーディシャス”のハンガーベイに向かった。

 

1秒でも早く出撃する為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

-第三帝国首都惑星コルサント 親衛隊本部 親衛隊情報保安本部区画 長官執務室-

「…それで、現在の我々が採掘したカイバー・クリスタルの45%をシス・エターナルに譲渡するという事だな」

 

ハイドレーヒ大将は執務室でシス・エターナルの会談に出席した幾人かの将校から報告を聞いていた。

 

彼はいつにもなく情を感じさせない冷徹で険しい顔を浮かべており将校達に緊張が走っていた。

 

「はい、それとシス・エターナルは我々の国家弁務官区計画も掴んでいるようです。しかも最高機密のエストラン宙域のものをです」

 

「なんだと?」

 

ハイドレーヒ大将はナイフや牙をそのまま瞳に宿したような目付きで報告するシェーンベルク少佐に向けた。

 

少佐とハイドレーヒ大将は案外長い付き合いである為もう慣れた様子だった。

 

「シス・エターナルの使者団からエストラン宙域国家弁務官区の話が出てきました。彼らは名目上“()()”ですのでエストラン宙域の話はしてもおかしくありませんが国家弁務官区の話は出てこないはずです」

 

あの時シェーンベルク少佐もかなり問い詰めたのだがシス・エターナル側からは「フォースが教えてくれた」と曖昧な返答しか返ってこなかった。

 

「奴らはどの程度知っている素振りを見せていた?」

 

「“()()()()”と言っていたので凡そは…」

 

「…分かった、親衛隊内にシス・エターナルとの協力者がいるのは間違いないな。尤も今更捕縛した所で遅いが」

 

既にシス・エターナルと第三帝国は軍事的な同盟関係を結んでおり関係を崩す事は出来ない。

 

だが不安を抱えたままでいるのは少々癪に触る。

 

「ヒェムナー長官は共に復興していくのだから問題ないと仰っていましたが…」

 

「あの方ならシス相手なら全部そう言うだろう」

 

ハイドレーヒ大将は呆れ気味にそう呟いた。

 

しかもそれが第三帝国の為になっていると考えているのだから余計に攻め辛い。

 

現状第三帝国の害になっていないのだから代理総統が口を出すこともなかった。

 

「ともかく、だ。親衛隊の内側に外部へ情報を漏らしている者がいる事は放っては置けない。我々が忠誠を尽くしたのは第三帝国と総統であってシス・エターナルではない」

 

ハイドレーヒ大将の話を聞き、周りの将校達は小さく頷いた。

 

「近いうちに対策は取る、だが今日はひとまず解散だ。各々解散しそれぞれの任務に戻れ」

 

「了解」

 

ハイドレーヒ大将の指示により報告に来た将校達はそれぞれ疎に執務室を後にした。

 

だがハイドレーヒ大将が直々に「シェーンベルク、君は残れ」と言った為にシェーンベルク少佐だけは残る事となった。

 

少佐以外の全ての将校が退出したのを確認したシェーンベルク少佐はハイドレーヒ大将に「何故私だけ?」と尋ねた。

 

「君と今から呼ぶ者にある命令を伝えたくてな」

 

ハイドレーヒ大将がそう言ってから10秒ほどで執務室の衛兵から『ネーベル准将が到着しました』と報告を受けた。

 

「入れてくれ」

 

執務室を守る頑丈なドアが開きFFISO所属の親衛隊アルスール・ネーベル准将が執務室に入った。

 

ネーベル准将はハイドレーヒ大将に敬礼し「到着しました」と大将に伝えた。

 

「ご苦労、早速だが准将、例の情報の真偽は掴めたか?」

 

「はい、こちらに」

 

ネーベル准将はベルトに付けていたポケットからホロプロジェクターを取り出しハイドレーヒ大将らの前で起動した。

 

ホログラムにはオーラベッシュで文字が書かれていた。

 

「ハイロイド上級大尉がやってくれました。現在調査中ですが恐らくコルサント市民の1人が総統暗殺を企てています」

 

代理総統暗殺、それは度々ある事件だ。

 

第二次銀河内戦が始まる前にも何度か総統の暗殺未遂は起こっていたし北東戦線で新分離主義連合と戦っていた時にも暗殺未遂事件がありヒャールゲン中佐が身体を張って食い止めた。

 

そして再び代理総統を暗殺しようと言う動きが発見されたのだ。

 

「既にFFSBの時から可能性として指摘され調査が行われていた。暫くネーベルとオーヘルドロフに調べさせていたが…その結果がこれだ」

 

「まだ個人は特定出来ていませんので更なる調査が必要ですが」

 

ネーベル准将はそう付け加えた。

 

「シェーンベルク、君にはⅣ局E部を率いてネーベルらの調査に協力しろ。流石に二度、三度も総統の暗殺計画を見逃す訳にはいかん」

 

「了解」

 

ハイドレーヒ大将の命令をシェーンベルク少佐は了承し彼に敬礼した。

 

大将は更に付け加える。

 

「私との連絡将校として誰か1人付ける。先程の話の繰り返しになるが我々は総統閣下に忠誠を誓った、その忠義を果たせ」

 

シェーンベルク少佐とネーベル准将は敬礼しその意味を胸に刻んだ。

 

ハイドレーヒ大将はいつもの虚無すら感じる表情で頷きひとまずこれで由とする。

 

「以上だ、2人とも下がってくれていい」

 

「分かりました」

 

「失礼します」

 

ハイドレーヒ大将の言葉通り2人は執務室を後にした。

 

執務室にはハイドレーヒ大将1人だけが残っている。

 

いつもはフリシュタイン上級大佐が隣にいるのだが今彼は忙しい。

 

「さて、これでどうなるか」

 

ハイドレーヒ大将は独り言を静かな執務室で呟いた。

 

この暗殺計画、既に総統含めた総統府の上級幹部達には伝達済みだ。

 

犯人の逮捕はネーベルとシェーンベルクに任せるとして、総統自身が暗殺に巻き込まれると言う可能性は限りなく低い。

 

既にボーマン辺りが日程や予定の調整を行なっているだろう。

 

問題はこの事件を受けて諸国がどう出るかだ。

 

レジスタンス軍の関与はヨースト曰く限りなく低いらしいが他の帝国軍の残党やチス・アセンダンシー、ファースト・オーダー、ケッセルといった勢力は分からない。

 

大セスウェナも最近不穏な雰囲気が感じられる。

 

恐らく何事もなく、と言うのは無理な話だ。

 

だがそれこそ親衛隊の腕の見せ所となる。

 

ハイドレーヒ大将は静かな執務室で自らの邪悪な考えを張り巡らせた。

 

 

 

 

 

 

 

ルークはライトセーバーを構えながら徐々にジョルースに近づく。

 

マラ・ジェイドはその一歩後ろにいたが彼女はジョルースだけでなく他の敵も警戒していた。

 

相手が1人で戦う可能性はなくはないが複数で戦う可能性の方が高い。

 

尤も、複数で戦えるだけのクローン戦士を造れているかはまた別問題だが。

 

「スカイウォーカー、お前はよくやった。シスを倒し、シスの帝国を倒し、悪徒どもを征伐した。だが何故今お前はシスの軍門に降ろうとしている?大義を忘れてしまったのか」

 

「大義?一体なんの話だ」

 

ルークはぶっきらぼうにジョルースに尋ねた。

 

ジョルースはフッフッフと笑みを浮かべ微笑んだ。

 

「我々ジェダイ全てに与えられた大義だ。フォースのライトサイドの使者である我々はこの銀河を正しく光へと導き銀河を纏めていく義務がある。故に我々は我々の帝国を作るのだ、ジェダイの帝国をな」

 

「ジョルース、君の狂気はジェダイという概念を歪めているようだ。ジェダイは他人を支配したりはしない、一方的に他者を正しい道へ導くという傲慢な考えはジェダイではない」

 

ルークはジョルースが言う大義をキッパリと否定した。

 

今のルークがジェダイであるのか、シスであるのかは分からない。

 

だが彼が今まで見てきたジェダイ・マスターの背中はそうではなかった。

 

ジョルースの遺伝子基がどういう人であったかルークは知らないが明らかにジェダイのあり方ではない。

 

ジョルースの狂気がジェダイという概念を酷く歪めているようだった。

 

しかしジョルース自身はそう思っていないようで彼は笑いながら反論を始めた。

 

「傲慢などではない、これは我々フォースを感じライトサイドに生きる者の崇高な使命だ」

 

彼にとってこの考えは自然なことのようで何を言っても無駄に思えた。

 

だがそれはジョルースの方も同じなようだ。

 

「これ以上話していても無駄なようだな。まあ既に弟子はいる、暗黒に堕ちた哀れな者達に裁きを与えるとしよう……この世の理も分からぬ愚かな者になぁ!!」

 

「それは我々のセリフだ」

 

「よく言う!」

 

ジョルースから静かに笑みが消え彼の手からフォース・ライトニングが放たれた。

 

既にシディアスから何度もこの技を喰らっていたルークはライトセーバーで電撃を素早く防いだ。

 

その間にマラ・ジェイドがライトセーバーで彼に斬り掛かった。

 

ジョルースはマラ・ジェイドの斬撃を避けると彼も自らのライトセーバーを手にした。

 

フォース・ライトニングの攻撃が終わった途端ルークも接近しジョルースに斬撃を与える。

 

ジョルースは剣先でこれを受け止めると再びフォース・ライトニングを放った。

 

ルークは一旦距離を取りつつ攻撃を防ぎその代わりにマラ・ジェイドが再び接近しその剣技でジョルースを仕留めようとした。

 

だがジョルースもこれを予測していなかった訳ではない。

 

彼はルークにピンポイントで放っていたフォース・ライトニングをより広範囲に放った。

 

その結果距離を取っていたルークにダメージはなかったが接近していたマラ・ジェイドは完全に防御し切れず少量の電撃を喰らってしまった。

 

「うわぁっ!」

 

「マラ・ジェイド!」

 

吹き飛ばされかけたマラ・ジェイドをルークが受け止めるとジョルースは再びフォース・ライトニングを放った。

 

ライトセーバーで防ぐ時間がなかったルークは意識を集中させ手のひらに力を集めるような感じでフォースのシールドを生み出しフォース・ライトニングを防いだ。

 

自身の体力が凄い勢いで消費されていくのが感じられ、その度にルークは己の意識を集中させた。

 

その間にマラ・ジェイドは自身のライトセーバーをジョルースの方へと投げた。

 

かつて、よくダース・ヴェイダーが繰り出していた技の一つでマラ・ジェイドはそれを見様見真似でやってみた。

 

意表を突かれた攻撃にジョルースも防御の方に集中しフォース・ライトニングを放つのをやめた。

 

自身のライトセーバーを掴むとマラ・ジェイドはルークと共に立ち上がった。

 

2人の息は少々切れ気味だったがすぐに意識を集中させ呼吸を整えた。

 

それと同時に自分達の身体の異常にも気がついた。

 

「気がついてしまったか…」

 

ジョルースは何故か落ち込んだ声音でそれを悟った。

 

「やはり…」

 

「ああ、フォースの精神攻撃の一種。ジョルースはずっと我々に疲労や倦怠感を感じさせる術をかけていた。でなければこんな短時間にも関わらずここまで披露している事の説明がつかない」

 

マラ・ジェイドは冷静に自分達が掛けられていたフォースの術を分析した。

 

ルークも薄々気づいていたようで先ほどフォース・バリアーを防ぐと同時に術もなんとか解き放った。

 

今2人は可能な限り意識を張り巡らせてジョルースがフォースの術をかける隙を与えないように試みた。

 

「流石だ、やはり殺してしまうのは惜しい。どうだ?2人とも今からでも私と共にジェダイの帝国を造らないか?私の弟子としてやり直すチャンスだ」

 

「断る、我が師はパルパティーン1人のみだ」

 

マラ・ジェイドはジョルースやルークよりも先に断った。

 

その後にルークも続く。

 

「僕はお前のジェダイの考えに賛同するつもりはない。多くの人の為にもここでお前を倒す」

 

「そんな……何故……何故なんだ!愚か者め!」

 

泣き叫びそうになったかと思えば突然怒り出したジョルースはフォース・ライトニングを何度も放ちながらライトセーバーを振るった。

 

2人は電撃を防ぎながらライトセーバーの攻撃も躱し逆に反撃を始める。

 

この戦いはまだ始まったばかりだ。

 

それはまた別の場所で戦うアソーカとカル、そしてルウク・スカイウォーカーもそうであった。

 

ルウクの執拗な攻撃を2人はライトセーバーで防ぎながら反撃の機会を伺っていた。

 

それと同時にこの目の前のルーク・スカイウォーカーそっくりの人物が何者なのかも探ろうとしていた。

 

だが完全に2人を抹殺しようとするルウクの前にそんな余裕を保つのは難しい。

 

鍔迫り合いの格好となったアソーカがルウクに問い詰める。

 

「お前は何者だ!?どうしてそのライトセーバーを…!」

 

アソーカの悲痛な問いにルウクは邪悪な笑みを浮かべて軽々しく答えた。

 

「これはマスターから頂いたものだ。“()()()()()()()()()()()()”」

 

ルウクは力を目一杯込めてアソーカを振り払った。

 

その後斬撃を加えるカルの一撃を回避しルウクは一旦距離を取りフォースで近くの壁を引き剥がした。

 

引き剥がした外壁をフォースで勢いをつけてアソーカとカルに投げつける。

 

カルはそのままライトセーバーで防御を取りアソーカは外壁と天井の隙間を起用に回避しルウクに一本のライトセーバーを投げつけた。

 

カルのライトセーバーの刃が外壁を切断すると同時にアソーカの白いライトセーバーの刃がルウクに直撃した。

 

しかしルウクは直前で自らが手に持つライトセーバーで攻撃を防いでいた。

 

地面に着地しアソーカはライトセーバーを手に取ると再びカルと共に同時に攻撃を仕掛けた。

 

ルウクは倒されたクローン戦士が持っていたライトセーバーを手に取ると2本の刃で攻撃を防ぐ。

 

アソーカとカルは力を込めるがルウクはなんとか耐え抜いていた。

 

「流石シスの時代を生き抜いた古きジェダイ達だっ!ならばッ!」

 

ルウクはフォースプッシュで周りを押し出し距離を取ると意識を集中させフォースの術を展開した。

 

「気をつけろ…何かが来る…」

 

「ええ…“()()()()()()”という以上に奴はジョルースからかなり強力な技を教え込まれている…!」

 

アソーカとカルはライトセーバーの柄をしっかり握り締め意識を集中させ平静を保っていられるよう心を落ち着かせた。

 

全身のフォースや全身に共存するミディ=クロリアンと意識を合わせルウクの技を身構える。

 

だが既にルウクの術は発動していた。

 

その証拠に2人にはルウクが現れた通路の角から足音が聞こえた。

 

笑みを絶やさないルウクの背後から2人の男が姿を表した。

 

その2人を目にしたアソーカとカルは一瞬だけ動揺し瞳が揺らいだ。

 

アソーカには1人の“()()()()()()()()()()()()が”、カルには1人の“()()()()()()()()()()()()()()()”が見えた。

 

人間の青年と大柄なラサットはアソーカとカルの名前をそれぞれ呼んだ。

 

そして手を差し伸べゆっくりと近づいてくる。

 

気づいた時にはルウクの姿は見当たらず通路の反対側からはアソーカとカルにしか見えない何かが近づいていた。

 

だが2人とも既に“()()()()()()”、“()()()()()()()()”。

 

迫る2人の何かをアソーカとカルはライトセーバーで断ち切り自らを現実世界へと引き戻した。

 

すると忽ち幻影は消え頭を抑えるルウクの姿があった。

 

「チッ!まさか効かないとはッ!」

 

ルウクは舌打ちしライトセーバーを起動し直す。

 

そんなルウクにアソーカは一つ吐き捨てた。

 

「まやかしで屈するほど、私たちは弱くはない!」

 

「チッ!…通信…?」

 

ルウクは距離を取りつつリング状のホロプロジェクターに通信が届いているのを確認した。

 

そこには彼を呼び戻す内容の文言が書かれていた。

 

しかもある男の名前付きで。

 

「しょうがない…ここはひとまず退くとするか…」

 

近くのパイプを捻じ切りアソーカとカルに投げつける。

 

その隙にルウクは彼らに背を向け後退した。

 

無論この程度で戦いをやめるジェダイ達ではなく、アソーカとカルはルウクの追撃を始めた。

 

しかしここで邪魔が入る。

 

再び2人ほどのクローンの戦士がアソーカとカルの前に立ち塞がった。

 

アソーカはライトセーバーを構え迎え討とうとしたがその前にカルが前に出て2人にライトセーバーを振るった。

 

戦士達の刃を受け止めながらカルは「先に!奴とジョルースを絶対に逃すな!」とアソーカに叫んだ。

 

「ここは任せたわ!」

 

アソーカは戦士達をカルに任せ先を急いだ。

 

戦士達はアソーカを追撃しようとしたがカルの猛攻によりとてもそれどころではなかった。

 

ルウクを追いアソーカは走り続ける。

 

同じ頃、ルークとマラ・ジェイドもジョルースを追って施設内を走り続けていた。

 

ジョルースは後退しつつ様々な術を巧みに繰り出しルークとマラ・ジェイドを疲弊させていた。

 

それでいてジョルースは明らかに老いを重ねているのにも関わらず身軽でとても軽やかな動きとライトセーバーの技を繰り出していた。

 

フォース・ライトニングと斬撃を多用し2対1にも関わらずジョルースは全く振りを感じさせなかった。

 

「久しくないこの感触!素晴らしい!」

 

狂ったように喜びを全面に表しジョルースはルークとマラ・ジェイドの斬撃を防ぐ。

 

「こちらは迷惑ばかりだ!」

 

マラ・ジェイドはジョルースに蹴りを入れ一撃、また一撃と連続してライトセーバーの斬撃を与えた。

 

だがすぐ体勢を立て直したジョルースは全ての攻撃を躱し受け止めた。

 

そこでルークが横合いからライトセーバーの突きを繰り出す。

 

その予想外の攻撃にジョルースは驚きながらも寸前の所で回避し直後振り下ろされたルークの一撃を受け止めた。

 

「やはり惜しい…惜しいぞその力!ジェダイはシスとは違いフォースと繋がる者全てを受け入れる!今からでも遅くはないぞ!」

 

「何度も言うが断る!」

 

「そうか、では終わりだ」

 

ジョルースは左手の指2本で何かを引っ張るような動作をしてルークから少し距離を取った。

 

すると突然先ほど来た通路から1人の男が発狂しながら走り近づいてきた。

 

「うわあああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

よく見ると男の胴体には幾つものサーマル・デトネーターやインプローダーが付けられておりその様相は自爆犯を思い起こさせた。

 

ジョルースがフォースの術でこの男を操っているのだろう。

 

男はまるで死を恐れることなくルークとマラ・ジェイドに迫った。

 

「まずい!」

 

「くっ!」

 

最初に動いたのはマラ・ジェイドだった。

 

彼女は近接戦では危険が高いとライトセーバーを投げ槍のように投擲し見事相手の顔面にヒットさせた。

 

ライトセーバーの剣先が刺さった男は即死したが一足遅かった。

 

マラ・ジェイドがライトセーバーを手に取り戻すと同じ瞬間に自爆犯は硬直した腕でスイッチを押した。

 

「マラ・ジェイド!」

 

「しまっ…!」

 

ルークが手を伸ばしフォースで防御を作る瞬間にはもう爆発が始まりその余波で彼女はルークと共に吹き飛ばされてしまった。

 

ルークは寸前で受け身を取れたがマラ・ジェイドはそうではなかった。

 

彼女は近くの柱に背中を打ちつけて気絶しまった。

 

ルークはすぐにマラ・ジェイドの側に近寄り彼女の容体を確認する。

 

まだ息はあり、意識が途切れる瞬間にルークに対して「奴を…」と任務を託した。

 

彼女を先頭に巻き込まれないよう端にやり周囲を確認するとルークはジョルースを睨んだ。

 

ジョルースはまるで劇でも見ているように悦に入っていた。

 

ルークは自ら内に湧き出る怒りの力を感じその力をライトセーバーとフォースに込める。

 

しかし思考は常に冷静でいられるように細心の注意を払った。

 

ライトセーバーを構え徐々に加速しジョルースに近づいていく。

 

ジョルースがフォース・ライトニングを放ちそうになった瞬間ジャンプし逆に同じ技をジョルースに放ってやった。

 

驚いたジョルースはライトセーバーで防御したが一瞬間に合わず微量な電撃を喰らってしまった。

 

「ぬおぉ…!」

 

苦悶の声を上げ後退りするように転がった。

 

ルークは間髪入れずに攻撃を仕掛ける。

 

斬撃を放ち相手の弱点や意識の足りていない所にカイバー・クリスタルから放たれるエネルギーの刃をぶつけた。

 

ジョルースは見事に全て防いでいたが押されている状況に変わりはない。

 

すぐに自らの不利を悟ったジョルースはフォース・ライトニングを地面に放ち、近くのパイプを投擲してルークから距離を取った。

 

そして控えさせていた2人のクローン戦士を投入しルークと戦わせた。

 

だがルークは多種多様なフォースの技を使いこの戦士達を最も簡単に打ち破った。

 

胴を斬られ、首を刎ねられた戦士達が地面に転がった。

 

彼らの遺体を踏まぬように歩きルークはさらに後退するジョルースに迫った。

 

「逃さんぞ…!」

 

ルークはゆっくりと詰め寄る。

 

しかしジョルースはこの場を待っていたかのように笑みを浮かべた。

 

「逃さん?フッフッフ…疽列葉こちらのセリフだ若造、我々がお前達を逃さんのだ。まずお前は“()()()()()()()”」

 

「…?」

 

ルークは首を傾げジョルースの意味不明な発言に反応を示した。

 

だが自分を動揺させようとしているだけかも知れないとルークはすぐに意識を戦闘に向けた。

 

しかしジョルースはそうではないようだった。

 

その答えはすぐに訪れた。

 

反対側の通路のドアが煙と共に吹き飛びその中から1人の男が出てきた。

 

男はフードを被っており顔はよく見えなかったがジョルースの側に近づき「お待たせいたしました我がマスター」と頭を下げた。

 

ジョルースの弟子、もしくは協力者であることは明確でありフォース使いである事が分かった。

 

しかし不思議なことにこの男のフォースは何故か既視感を覚えた。

 

「良い良い、追っ手は振り切れたか」

 

「いえ、まだ私を追っているでしょう。もう間も無く訪れると」

 

「そうか、ではお前の追っ手の相手は私がする。お前は私の敵と相手をしろ」

 

その男はルークの方を見た。

 

ルークは警戒しライトセーバーを構えている。

 

ルークを見るなり男は「奴が、ですか」と若干驚いた様子で反応した。

 

「そうだ、姿を見せてやれ我が弟子よ。お前は奴と戦い、どちらが“()()()()()()()()()()()()()()()”であるのか答えを出すのだ」

 

「はいマスター」

 

ジョルースにそう告げられ男は笑みを浮かべフードを脱いだ。

 

その顔はルークにとって驚きを十二分に越していた。

 

「お前は……“()”…?」

 

手が震え明らかに自分が動揺しているのが分かる。

 

かつてルークは一度だけ、自分を見た事がある。

 

その時の自分は父親と同じ黒い装甲服に身を包みルークがライトセーバーで首を落した瞬間、その邪悪に染まった笑みを浮かべた自分の顔が割れたヘルメットから見えていた。

 

その時と同じ表情をした自分と同じ顔の男が自分の目の前に立っている。

 

あの時の光景を思い出しルークは戦慄した。

 

そしてもう1人のルークは自己紹介する。

 

「僕はルーク、ルウク・スカイウォーカーだ。さあ戦おう、どちらが本物のルーク・スカイウォーカーであるか、どちらが本物のジェダイなのか」

 

ルウクを名乗るその男はかつて自分が持っていたはずのライトセーバーを手にしていた。

 

あのライトセーバーは今の道を気づかせてくれた恩人から受け取ったものでありそれ以前はルークの父親のものであった。

 

それを何故か目の前の男が持っていた。

 

あのライトセーバーは一度、ベスピンで紛失したはずだ。

 

それなのに何故…。

 

ルークの疑問は更なる混乱と共に掻き消された。

 

「しまった合流して……ルーク…?」

 

ルウクが出てきた通路の奥から今度は1人のトグルータの女性が出てきた。

 

彼女とは面識がある、彼女は自分がルークの父親の弟子だったと語ってくれた。

 

「アソーカ…」

 

アソーカも動揺していた。

 

動揺していないのは2人の狂気に染まったクローン達だけだ。

 

彼らは邪悪な笑みを浮かべこの状況を楽しんでいるようにも思える。

 

ジョルースは一言呟く。

 

「さあ決めよう、誰が本当に正しいのかを。誰が狂気なのかを」

 

シス対造花のジェダイ対新時代のジェダイの戦いが幕を開けようとしていた。

 

 

 

 

 

 

-シス・エターナル本領 未知領域 惑星エクセゴル 玉座の間-

この銀河の中心地から離れた場所から眺める銀河系もまた良いものだとパルパティーンは思っていた。

 

彼は常に銀河系の中心の表舞台にいた。

 

様々な陰謀詐術を巡らせ裏の顔を持っていたパルパティーンだが一度たりとも表舞台から退いたことはない。

 

彼は常に自ら二面の役割を演じていた。

 

それが全て演技だったのかそれとも本音が混じっていたのかはもう誰にも分からないが。

 

だが今では全てが他人事のように思える。

 

一度死に、あの世に半身を常に掴まれたような身体に蘇った。

 

遠く離れた未知領域のエクセゴルからこの身体を通して見る銀河は酷く他人事のよう思た。

 

大に帝国も第三帝国もましてや新共和国すらもだ。

 

最初は驚きもしたが今となっては微塵も感情が湧き上がらない。

 

まるで書物に書かれた物語を見ているような気分だった。

 

かつてのように内側から湧き起こる衝動やエネルギーはもう全て枯渇してしまった。

 

消えそうになるこの意識を時折思い返す過去の記憶と未来から迫る脅威を認識して呼び戻しているだけに過ぎない。

 

死んでいるように生きている、この言葉に尽きるだろう。

 

唯一湧き起こるものとすればこのエクセゴルを通じて送られてくる暗黒の意志だけだ。

 

自らがダース・シディアスである時こそ最も生を実感していた。

 

再び銀河を支配したい、永久の生命を手に入れたい、シスの悲願を達成したい。

 

我が身にある欲望は全てシスのものでありそうでない面、シーヴ・パルパティーンとして湧き上がるものは限りなく少ない。

 

そしていずれはこのまま…。

 

悲しい結論に至る前に連絡役のシス・エターナル信者が顔を出した。

 

「その面持ちから察するにまだボーラ・ヴィオの戦闘は終結しておらんな」

 

「流石ですシディアス卿、その通りにございます。施設の制圧は殆ど完遂しておりますが目標のジョルース・シボースの殺害には至っておりません」

 

シス信者は微笑を浮かべ彼に頭を下げ報告した。

 

「艦長や指揮官達には手を抜かぬよう伝えよ。奴が生きている内は平穏など訪れぬ」

 

造られた命というのはすぐ狂気に陥ってしまう。

 

そう思うとカミーノアンはやはり素晴らしい技術を持っていたのだろう。

 

ジョルースも私の身体も何かに蝕まれている。

 

「分かりました、それでは報告に映らせていただきます。テドリン司令官の隊が“レン騎士団”との合流に成功致しました」

 

まずテドリンに任せていた任務が達成された。

 

レン騎士団は誕生経緯などはかなり違うものの同じダークサイド系統の組織だ。

 

彼らとは協力関係にある、必要ならばシス・エターナルと共に戦ってもらう事もあるだろう。

 

今もなお生き残っているジェダイの残党を討伐する為にも。

 

だがパルパティーンは見抜いていた。

 

「其方の報告はこれが本命ではないな」

 

そう言うと再び信者は照れたように「流石にございます」と頭を下げた。

 

「ようやく見つけました、シディアス卿。我々が創り出した“()()”が」

 

信者の言葉を聞いた途端、急に頭の上から何かが降ってくる感覚に見舞われた。

 

その感覚が長引くにつれて失われていた気力が取り戻され活力が宿ってくる。

 

シディアスは掠れた笑い声を響かせ信者にすら伝わるほどの熱狂的に歓喜を込めた笑みで答えた。

 

「そうか、ようやく見つけたか。して奴はどこに」

 

「辺境の惑星にてその地の女とつがいとなり、穏やかに過ごしていると」

 

「所詮は役立たずの出来損ないよ、余の血を受け継いでいるのにも関わらずフォースにすら繋がれない欠陥品だ」

 

シディアスは“()()()()()”ともいうべき存在を侮辱し忌々しそうに吐き捨てた。

 

奴は期待外れすぎたのだ、器としても子としても。

 

やつには何もなかった、そして逃げ出した。

 

だが所詮何も出来ない者は何も出来ずに捕まるのだ。

 

「テドリンに命ずるのだ、レン騎士団は先にエクセゴルへ向かわせ其方は指定された惑星に向かい“忌子”とそのつがいの両方を生かしてエクセゴルまで連れ帰れと。力なき出来損ないだがまだ利用価値はある」

 

「かしこまりました、直ちに伝えます」

 

信者は玉座の間から姿を消し報告に向かった。

 

雷鳴が轟く中、シディアスは笑みを浮かべる。

 

奴には利用価値がまだある、余を完璧な状態に復元させる為にはまだ奴が必要だ。

 

それが叶えば次は余のもう一つの身体を修復する。

 

ガンや膿となった者共を蹴散らし銀河をこの手に取り戻すのだ。

 

そしてやがては永遠を手にする。

 

スカイウォーカーを弟子に添えて。

 

再びエクセゴルに邪悪な笑い声が響き渡る。

 

一千年、六千年も前からの悲願が達成されるのだ。

 

ダース・シディアスは玉座の間から銀河系に響くほどの笑い声を響かせた。

 

 

 

 

つづく




おっすおっす、お久しぶりっす、Eitoku Inobeっす

ナチ帝国もついに50話越えでシス関連のお話も加速していくっす

是非是非楽しみにして欲しいっす

そいではまた〜



ジークハルト「今回結局出番なかったね」
ヴァリンヘルト「いつものことじゃないすか」
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