-ある時のマクシミリアン・ヴィアーズ大将軍の発言より抜粋-
-リド星系 惑星ボーラ・ヴィオ周辺 国防軍封鎖網-
リド星系には帝国宇宙軍の一個艦隊がシス・エターナルの任務の機密保持の為に封鎖戦を展開していた。
国防軍の一個艦隊が送り込まれリド星系は完璧に封鎖されていた。
「状況以前として変化なし、星系周辺にジャンプアウトした艦艇は見受けられません」
「スナブ=ファイターなど小型機も同様です」
士官達が封鎖艦隊の指揮官であるキーナー提督に報告した。
キーナー提督は「作戦終了まで警戒を怠るな」とだけ伝えた。
かなり長期に渡って星系封鎖を展開しているキーナー提督と彼の麾下艦隊だがこのリド星系にはレジスタンス軍どころか一般の船すら殆ど訪れる事はなかった。
その為気が緩みがちになるがその度に事の重大さを思い出して身を引き締めた。
「しかしキーナー提督、我々も随分そんな役回りを担わされたものですね。こんな人気のない星系を封鎖するだなんて」
艦隊の将校の1人であるプリスート中佐はキーナー提督に愚痴を溢した。
中佐の言う通りこのリド星系には殆ど人はおらず行き来する事も少ない。
作戦を実行しているのはシス・エターナル軍なのだから武勲を挙げるのも難しかった。
「そういうな中佐、モンスア星雲で反乱軍を取り逃がしてしまった影響は大きかった。我々はこのような小さな任務でも地道にこなしていくしかない」
対新共和国戦に参加し補給線の確保や退却中の新共和国軍掃討戦で戦果を挙げたがそれでもモンスア星雲の失敗を完全に補う事は出来なかった。
このような役回りがキーナー提督達に与えられたのもやはりモンスア星雲の出来事があった故だろう。
「それはそうですが…」
「それに事前の予定ではシス・エターナル軍はそろそろ作戦を終了させ切り上げるはずだ。作戦終了の合図が出れば我々も緩やかに切り上げるとしよう」
キーナー提督は楽観的にプリスート中佐を宥めた。
するとキーナー提督の発言を裏付けるかのように士官から報告が届いた。
「シス・エターナル艦より暗号伝文を確認!作戦は終了、全部隊を率いて今から撤収するとのことです」
その報告を聞きキーナー提督はプリスート中佐と顔を見合わせ表情を緩ませた。
「よし、では我々も封鎖線を解いて…」
「うわぁ!?」
センサー士官の1人が大声を上げてキーナー提督の命令を遮った。
キーナー提督は少々呆れ気味に「どうした?」と士官に尋ねる。
士官はまるで顎が外れたように口を動かしながらキーナー提督らに報告した。
「て…てっ……てっ……提督……提督大変です……ボーラ・ヴィオが……“
「ありません…?どういうことだ、そんな訳ないだろう」
「ほっ本当にないんです…!シス・エターナル軍の撤収報告が来た数分前に謎の高エネルギー体が発射されて……ボーラ・ヴィオが消失しました!!」
ブリッジの乗組員達に動揺の声が溢れた。
一体どういうことなんだ、艦の不調なのかと様々な話が飛び交いざわめきが広がった。
プリスート中佐も困惑した表情を浮かべている。
謎の高エネルギー体にシス・エターナル、惑星の消失、これらのキーワードがキーナー提督の頭の中で結びついてある一つの仮説を生み出した。
だがこの仮説を信じたくなかったキーナー提督はまさかと一蹴しようとした。
シス・エターナルとはいえいくらなんでも、そのような考えがキーナー提督の中にはあった。
されどまた別の士官が妙な叫び声を上げてキーナー提督の名を呼んだ。
「キーナー提督!!」
「今度はなんだ!?」
「ボーラ・ヴィオ周辺を光学カメラで撮影した所……このようなものが……」
キーナー提督とプリスート中佐は急いで士官のモニターの近くに駆け寄った。
2人はモニターの画像を見るなり先程の士官と同じように驚き、顔面蒼白という言葉がピッタリな表情になった。
「……提督……これが……」
「ああ……可能性はあったが……どうして……一体何の意味が……」
キーナー提督の一言がブリッジの乗組員達を再び動揺させた。
提督はこう呟いた、“
シス・エターナル軍が保有している新型のスター・デストロイヤーは惑星を破壊出来るスーパーレーザーを搭載していた。
多くのレジスタンス艦隊がこのスター・デストロイヤーの前に全滅させられ、惑星バロスが破壊され既に性能は示されている。
だからおかしくはないのだ、仮にボーラ・ヴィオが破壊されていたとしても。
モニターに映る画像にはかつてボーラ・ヴィオがあった地点に大量の小惑星のデブリベルトが形成されておりスーパーレーザーによって破壊された事が分かる。
しかし何故ボーラ・ヴィオを破壊したのだろうか。
そもそも最初からボーラ・ヴィオを破壊してしまえば大抵の作戦は完遂しそうなのに。
「ボーラ・ヴィオは完全に破壊されたという事なのでしょうか…」
「それは間違いない、画像とセンサーの内容を照らし合わせてもシス・エターナルのスター・デストロイヤーがスーパーレーザーを用いてボーラ・ヴィオを破壊した…その意味までは分からないが」
キーナー提督は怪訝な表情を浮かべ顎を撫でた。
ボーラ・ヴィオが破壊されたことは確定事項だがその意図までは誰も分からなかった。
「しかし提督、封鎖はどうします。司令部も『作戦規定を遵守せよ』と言っていますが…」
ハンゼルト中佐は他の乗組員から報告を受け取りながらキーナー提督に尋ねた。
キーナー提督はしばらく考えた後、判断を下した。
「我々は司令部の命令に従い予定通り封鎖線を解除し撤退する。ボーラ・ヴィオの破壊については箝口令を出せ、事はシス・エターナルが関わってくる。下手な真似は出来ん」
「了解…!」
提督の命令通り艦隊は行動を開始した。
様々な疑念が残る中、帝国艦隊は失われた惑星を背にして退却を始めた。
-惑星アーヴァラ7 帝国国防地上軍包囲網 エグゼクター級“アナイアレイター”-
アーヴァラ7にはエグゼクター級“アナイアレイター”やデノンからの派遣艦隊から展開されたインペリアル級から送り込まれた地上軍の部隊が着々と包囲網を形成していた。
軌道上にいると目されていた新共和国の残党艦隊は発見出来なかったが地上では幾つかの小競り合いが発生していた。
まず上陸を防ごうと空戦と歩兵戦が発生し先行したマック・テナー司令官率いる上陸部隊は対処に当たった。
最終的に帝国地上軍が圧倒的優勢のまま上陸地点を確保し新共和国残党軍もより防衛線を強固にする為一旦後退した。
無論地上軍も防衛線の構築を許す筈もなく、上陸部隊の第二陣を率いていたコヴェル中将とデイン・ジア上級将軍が最新型のウォーカーを率いて攻撃を開始した。
上空を飛び交うTIEボマーの支援を受けつつ第三帝国のAT-MT正式採用版、通称AT-ATマークⅢ(またⅢ号AT-ATとも呼ばれる)と支援用に開発されたAT-ATマークⅣ(同様にⅣ号AT-ATとも呼ばれる)が前進する。
一部には顎の重レーザー砲が速射性の高い軽ターボレーザー砲に変更されており圧倒的な火力と装甲で残党軍を圧倒していった。
新共和国残党軍が構築しかけていた山岳地帯の要塞部を制圧し後退する新共和国残党軍を無理に追撃せず要塞部を全線の司令部として再活用した。
その間に地上軍は次々と部隊を展開し第三陣には本隊であるブリザード・フォースと最高司令官のヴィアーズ大将軍が上陸し予備と補給部隊として最後にアイガー准将とヨルフォン・ランフェンシュタン少将の部隊が上陸した。
元より練度が高く経験豊富なデノンの部隊と501軍団などヴェイダー麾下の精鋭部隊を保持しているヴィアーズ大将軍の部隊は難なく上陸戦と敵陣地突破と包囲網の形成に成功した。
今では前線の一部で小競り合いが行われているだけだがどれも帝国軍が有利だ。
また本来はシス・エターナル軍と合同で行う予定だった上陸戦もシス・エターナル軍の到着が予定よりもかなり遅れていた為帝国地上軍が単独で実行することとなった。
その為作戦開始の際に多少の不安があったが今では滞りなく進められている。
このままシス・エターナル軍抜きでも作戦を進められそうな勢いだ。
だがシス・エターナルのメンツを考えればそうはいかないだろう。
遅れて参上したシス・エターナル軍のジストン級がハイパースペースからジャンプアウトしブリッジからアーヴァラ7の様子を見たセドリスはより一層怒りを滲ませた。
シス・エターナルの到着の遅れは様々な要因によるものだった。
まずエクセゴルから銀河系に向かう時点でトラブルが発生した。
ジストン級のようなエクセゴルで建造された軍艦はエクセゴルの不安定な大気を上昇する為、外部のナビゲーション・タワーから提供される座標調整情報に頼る必要があった。
そしてセドリスと彼が乗り込んだジストン級がエクセゴルから発進する時このナビゲーション・タワーにシステムエラーが発生した。
復旧にかなりの時間が掛かり仕方なくセドリス達はフリューゲルが連れてきたディープ・コア艦隊の軍艦にナビゲーションシステムを移動させ無理やりエクセゴルから銀河系へ向かった。
だが問題はそれだけではなかった。
この秘密事項の塊であるジストン級がエクセゴルからアーヴァラ7まで向かうのは相当の苦労を有する。
慎重に航路を選びながら進んだ結果予定よりも更に遅れこうして到着する頃には既に上陸戦が終わっていた。
作戦自体には間に合ったとはいえ初戦で戦えなかった事は痛い。
特にセドリスのような性格の者からすれば苛立ちは当然抑えられない。
「作戦は既に始まっており敵の要塞を一つ、第三帝国軍が陥落させたと」
「それは既に報告で知っている!!我が軍団の上陸状況は!」
ジストン級の艦長の報告に八つ当たりするようにセドリスは尋ねた。
艦長は特にそれに何も思わず淡々と報告を開始した。
「第229突撃大隊が敵の砲撃陣地を制圧、第105空挺大隊がポイント76-01の敵補給拠点を攻撃し補給線の遮断に成功しました。また一部の軽歩兵小隊が敵通信システムへの打撃を与えています」
「そうか、流石は陛下から頂いたテネブラス軍団だ。主力の機械化部隊とウォーカー部隊は?」
「現在展開中ですがもう間も無くすれば前線に我が軍団のAT-MT部隊が到着するでしょう」
先程とは一変してセドリスは艦長の報告を聞き十分満足した表情を浮かべていた。
自然と口角が上がり不満の色は消し飛んだ。
遅れた時間はシス・トルーパー達の働きによって取り戻せる、セドリスはそう確信していた。
「それと地上ではもう間も無く指揮官達による戦略会議が開かれるそうです」
「そうか、ではシス・エターナル派遣軍団の総司令官として出席せねばな。2人、共に来い。シャトルを用意しろ、第三帝国の臨時司令部まで向かう」
セドリスはシス・トルーパーを2人連れてハンガーベイに向かった。
艦長は「お気をつけて」と敬礼し再び無表情のままタブレットを眺め状況をチェックし始めた。
ジストン級のハンガーベイから1機のシャトルが発艦し真っ直ぐアーヴァラ7に設置された臨時司令部まで向かった。
既に地上には“アナイアレイター”から送られたプレハブ式の基地が設置され全体の司令部として機能していた。
基地の一部屋にあたる作戦会議室ではホロテーブルを囲んで指揮官達が険しい表情で状況を報告し合っていた。
『要塞内部の機能は粗方制御しました。少なくとも前線の司令部として機能するのには何の問題もありません』
コヴェル中将はジア上級将軍と共にプレハブ基地にいるヴィアーズ大将軍へそう報告した。
プレハブ基地にいるヴィアーズ大将軍とアイガー准将とランフェンシュタン少将、ロット将軍はそれぞれ顔を見合わせた。
『前線の歩兵部隊は大将軍の命令通りポイント76地点を全面制圧し補給拠点を占拠していたシス・エターナルの部隊と合流しました』
テナー司令官の報告によりホロテーブルに映し出された地図の様子が変化した。
制圧地点を表す青の面が前進しシス・エターナルの紋章と第三帝国の紋章が合流する。
『歩兵のみでこの進撃テンポは素晴らしいものですがやはりそろそろ装甲部隊を展開する必要があると思われます』
テナー司令官はヴィアーズ大将軍やロット将軍達に直接伝えた。
新共和国の残党軍とてここでただやられている訳がない。
むしろレジスタンス軍よりも戦っておらず2年近く兵力を温存させているのだから引き付けてから一気に攻勢する可能性も十分にある。
そうならない為にもAT-ATやAT-STなどのウォーカーを使った機甲戦力による制圧が重要となるだろう。
「ああ、だが到着したシス・エターナル軍のウォーカー部隊を待つ必要がある。我々が持ってきたブリザード、テンペスト、サンダリング・ハードなどのウォーカー部隊に加えシス・エターナル軍のウォーカー部隊があればより全方位からの浸透攻撃が可能になる」
「今の所シス・エターナル軍はどのくらいの部隊が上陸したんだ?」
ロット将軍は他の将軍達に尋ねた。
「少なくとも5,000人は連れてくると言っていたので現在確認出来ている部隊数で考えれば45%程かと」
アイガー准将はロット将軍の問いに答えた。
コヴェル中将からは『早いが…もう少し早ければな』とボヤく。
敵に強固な防衛網を構築され、或いは脱出までの時間を稼がれないようにする為には電撃的に素早く部隊を投入し大攻勢に移る必要がある。
既に帝国地上軍の部隊はいつでも戦える状態にあり後はシス・エターナル軍を待つだけだ。
「中将の気持ちは分かるがこれはあくまで合同作戦だ。シス・エターナルを待つ必要がある」
ヴィアーズ大将軍はコヴェル中将を宥めた。
無論コヴェル中将を宥めるだけではなくヴィアーズ大将軍はすぐに命令を出した。
「とはいえただ待つのも癪だ、こちらの装甲部隊をなるべく前衛に出そう。だが敵に悟られてはまずい、偽装を用いて一気に各前線へ送れ。アイガー准将、君のテンペスト・フォースもだ」
「了解!」
「全装甲師団を少しずつ前進させろ、航空隊は支援を。シス・エターナル軍の配置に合わせてブリザード・フォースも前線へ出す」
「やはり大将軍自ら前線へ…?」
ランフェンシュタン少将はヴィアーズ大将軍に尋ねた。
大将軍は1秒も迷う事なく「ああ」と答える。
階級がどれだけ上がろうと上官が変わろうとヴィアーズ大将軍のやる事は変わらない。
彼は前線将軍であり前線で常に最強である。
「このアーヴァラ7はブリザード・フォースが本領とする気候ではないが問題はない。その為の備えもある。各隊は現状の戦線を維持し攻勢に備えろ」
『了解』
『了解』
「了解」
「了解した、それでは俺も自分のウォーカーに戻って…」
「ヴィアーズ大将軍、シス・エターナル軍の総司令官が到着いたしました」
フリックス・バエルンライン大佐はヴィアーズ大将軍に敬礼し報告した。
ヴィアーズ大将軍は周りの将軍達と目を合わせ「今か?」と聞き返した。
丁度会議が終わりそうなタイミングだったのにと何人かの将軍達は思っていた。
「はい、既にこちらに向かっています……どうしますか…?」
バエルンライン大佐はヴィアーズ大将軍に尋ねた。
彼も今来たところで…という将軍達の雰囲気を感じ取ったのだろう。
「このまま連れてきて構わん。シス・エターナル軍の司令官とも幾つか聞きたいことや話したい事がある。ジア上級将軍達は戻って構わん、前線を守備しろ」
『了解』
ジア上級将軍やコヴェル中将達のホログラムが消えこのプレハブ基地に残っている将軍達の姿しか見当たらなくなった。
しばらくしてヴィアーズ大将軍の要望通りシス・トルーパーを2人と幾人かの将校を連れたセドリスが室内に入ってきた。
セドリスはいつもの服装にわざとらしく黒いマントを羽織っており何処か仰々しい雰囲気を作り出していた。
「お前が国防軍の大将軍、マクシミリアン・ヴィアーズか。“
「マクシミリアン・ヴィアーズ大将軍だ。今回はシス・エターナル軍にも大いに協力してもらう事になる」
セドリスとヴィアーズ大将軍はロット将軍やシス・エターナル軍の将校達が見守る中、互いに握手を交わした。
ヴィアーズ大将軍はセドリスをホロテーブルへと案内しホロテーブルにアーヴァラ7の地図を映し出した。
「早速ですまないがセドリス司令官、シス・エターナル軍のウォーカー部隊は後どれくらいで全て上陸出来る?」
ヴィアーズ大将軍はセドリスに単刀直入に尋ねた。
「ウォーカー部隊だけなら後20分も掛からない、何ならもっと急がせようか?」
「是非お願いしたい、我々が即座に攻勢を開始する為にもウォーカーが必要だ。これを見て欲しい」
ヴィアーズ大将軍はセドリスにアーヴァラ7の地図を見せた。
セドリスは少し首を傾げ地図に目を寄せた。
他の国防軍やシス・エターナル軍の将校達も集まってくる。
「度重なる索敵で既に敵はある程度の塹壕と砲塔による防衛網を構築していると考えており後方には偽装された宇宙港や工場もあると思われる。ここにいる新共和国の残党軍は我々が当初想定したよりも遥かに多いだろう」
「所詮残党だろう?大した戦力ではない、我が軍団のウォーカー部隊を待つのは賢明な判断だがそれ程急ぐ必要はないのでは?」
セドリスは大将軍達に尋ねた。
彼は自らの配下の部隊に絶対的な信頼を寄せており、新共和国軍など取るに足らない勢力と考えていた。
何せここに来る前にフリューゲル麾下の艦隊が遂にあのロザルを陥落させたのだ。
余計にセドリスのシス・エターナル軍に対する信頼は高くなっていた。
それにセドリスは国防軍のことを軽視している訳ではなく、むしろこちらも高く評価していた。
エグゼクター級一隻に加え一個宙域艦隊分のスター・デストロイヤー、更に何隻ものセキューター級や貨物船を前線へ連れてきている。
これだけで一体何十万人の兵士を展開出来ることやら。
セドリスはここに来る途中に地上軍の部隊を幾つか見ていたがどれも凄まじい数だ。
なのでセドリスは余計に敵を過小評価するようになっていた。
だがヴィアーズ大将軍は違った。
「むしろ常に我々と戦ってきたレジスタンス軍とは違い、残党だからこそ戦力が回復している可能性がある。我々は早期に全力を持って全面攻勢を展開し敵を押し潰す」
シュミレーションが展開されホログラム上で帝国地上軍とシス・エターナル軍の全軍が一斉に攻勢を開始し敵を殲滅していくのが描かれていた。
セドリスはその実際の戦場の光景を想像し頬を綻ばせたがすぐにその愉快な想像を取りやめ戦術を考えるのに集中した。
「これほどの大部隊、しかもどれも精鋭だ。たとえ敵が戦力を回復させていたとしても問題あるまい?」
「たとえ相手が弱い民兵や雑兵の群れだとしても守りである以上多少気をつけた方がいい。特に拠点に兵員を入れ、防衛網を確実に構築している場合は尚更だ。損失はなるべく少ないことに限る」
ヴィアーズ大将軍はセドリスにそう告げた。
セドリスは少しイラつきながらもヴィアーズ大将軍の能力の高さを認め始めた。
その上でセドリスはヴィアーズ大将軍に少し反論する。
「確かにその通りではあるな、大将軍。だが時に兵を犠牲にしなければいけない時もある」
「その考えについては時と場合によって賛同するが司令官殿、それは“
セドリスは一瞬だけ表情を硬らせた。
「そうか大将軍、お前は随分と立派な考えを持っているようだな。ではその考えに免じて“
「時間稼ぎ?」
「そうだ、今からシス・エターナル軍の力を持って敵の部隊を幾つか攻撃して撃破してやろう。その内に全ウォーカー部隊を展開すれば敵に悟られることもないはずだ」
セドリスはそう進言し作戦会議室を後にしようとした。
ヴィアーズ大将軍は「少し待ってくれ」と彼を引き留めようとする。
「これはあくまでシス・エターナル軍の攻撃だ。お前にそれを止める権利も義理もない。指揮は私が直接取る、まあ安心しておけ」
「いや、そうではない」
セドリスは楽観的にそう呟いたがヴィアーズ大将軍は違うと否定した。
「我が軍の宇宙軍情報部が掴んだ情報によれば敵は恐らく新共和国軍だけではない。脱走したバルモーラ惑星防衛軍の反乱分子もいるそうだ。奴らは危険な相手だ、用心した方がいい。こちらの情報によれば幾つかの新型兵器を保有している可能性がある」
ヴィアーズ大将軍は良心を持ってセドリスに忠告した。
だがセドリスは「たかが惑星防衛軍」と言った表情で「それでは大将軍、戦場で会おう!」と作戦会議室を後にした。
他のシス・エターナル軍の将校達もその場を離れ室内には不満顔の国防軍将校達が残っていた。
「やけに傲慢な指揮官でしたね」
バエルンライン大佐は不満を隠さずにそう呟いた。
ロット将軍も「彼らは大丈夫なんだろうかね」とヴィアーズ大将軍に尋ねた。
「少し……不安ではある。ブリザード5とブリザード4とブリザード3を向かわせる、何かあれば優秀な彼らが対処してくれるはずだ」
ヴィアーズ大将軍は厳しい表情を浮かべながら会議室の窓からアーヴァラ7を見つめた。
この第三帝国とシス・エターナルの共同作戦、既に不安で山積みだ。
-第三帝国領 コルスカ宙域 コルサント星系 首都惑星コルサント ギャラクティック・シティ-
レンディリなどの視察を終えたジークハルトはここ最近は久しぶりに家族がいるアパートに帰り家族と共にテーブルを囲んで食事をするという生活を送れていた。
数ヶ月前までは前線で火すら囲むことなくレーションを口にし部下と戦場を共にしていたとはとても考えられない微笑ましい光景がジークハルトの目の前に広がっていた。
暖かい家庭、どこかでジークハルトが望んでいたものなのかもしれない。
幼い頃に早くして母をテロで亡くし父はそれ以来意気消沈しジークハルトは早くから軍学校に入っていた。
家庭環境は冷め切っていた、というより消失したようなもので父からの愛情が消える事はなくてもジークハルト自身はその愛情を感じる事はなかった。
彼にとって軍隊や軍学校の仲間こそ家族でありそれ故にフリズベン上級将軍の家で初めてユーリアと出会った時何処か惹かれたのだろう。
あの当時はまさかこんな関係になるとは思っていなかったが。
ジークハルトは微笑みながら昔を思い出していた。
「どうしたのパパ?」
「ん?いや、こうして久しぶりに家でみんなで食事が出来る事が嬉しくてな」
ジークハルトは食事を口に運びながら「美味しい」と微笑んだ。
「たまたまホロネットでナーフのパイの作り方をやっていたのよ。だから試しに作ってみたのだけれど美味しかった?」
「うん、とても美味しい。ママの料理はコルサントのどの名店の味よりも勝るね」
ジークハルトはそう言ってマインラートとホリーに微笑んだ。
心の中で本当にと小さく付け加えて。
「そういえば、久しぶりに休みが取れる事になったよ。来週のセントラル地区の演説会が終わったら2、3日ほどだ。本当に珍しくて目を疑ったよ」
「あら、その日はちょうど2人も学校が休みだったわよね?」
ユーリアの問いにマインラートは元気一杯に頷きホリーも目を輝かせていた。
ジークハルトはご存知の通り部隊指揮官であり今ではナブー奪還作戦という重大な任務の作戦立案も担当している。
故に到底休みなど取れる身分ではなく毎日コルサントの親衛隊本部の中で身を粉にしながら働いていた。
その甲斐あってか珍しくジークハルトにも休みが降りた。
彼にとっては細やかだがこの上ない喜びだ。
最近は軍団の指揮官や将兵だけでなくナブー奪還作戦の立案の為に他の部隊の指揮官や幕僚達とも触れ合う機会が多かった。
それだけではなくフリシュタイン上級大佐やハイドレーヒ大将などFFISOの上級将校とも触れ合う機会が増えた。
人の輪が広がるのはいい事だがあそこら辺と深く関わるのは流石に御免被る。
少しは休みを得てリフレッシュしたいと考えていた頃だったので丁度良かった。
それにマインラートとホリーも休みということでたまには家族で何処かへ行く事も出来るだろう。
「また落ち着いてきたらもっと長い休みを取って旅行にも行きたいな。例えばノートハーゼンとかグリー・アンセルムとか」
尤も、この願望が叶うのはもっと先の未来になりそうだが。
少なくとも何度も思うようにレジスタンス軍を撃破するまではこの戦争は終わらないだろう。
「僕はカリダとかティネルⅣに行ってみたいなぁ」
「私もラルティアとかパントロミンとかに行って見たい…!」
「そうだなぁ、確かにそれもいいな。今度の休みは無理でもいつか必ず行こうな」
ジークハルトは2人の頭をわしゃわしゃと撫でた。
マインラートとホリーは目を瞑ってとても無邪気に嬉しそうな表情を浮かべていた。
ジークハルトもユーリアも微笑ましそうに2人を見つめている。
このまま2人を見つめていると仕事のことも親衛隊のことも全て忘れてしまいそうだ。
いっそ忘れてしまえば…。
-ジーク-
何処かから声が聞こえてジークハルトはハッと自身の真正面に目をやった。
そこにはぼんやりと薄っすら映るかつての“
戦友はたった1人だけ帝国軍の制服を着て悲しい微笑を浮かべている。
自分は准将になったのに、アデルハインは大佐になったのに、帝国は再び勝ったのに、目の前の戦友は昔と変わらぬ姿でいた。
どうして、それは自分が一番答えをよく知っているだろう。
「ゲアバルド……」
ふとジークハルトはその名前を口にしてしまった。
忘れることもなく口に出すこともなかったその名前を。
「パパ、それ誰?」
幼いマインラートはジークハルトに無邪気に尋ねた。
ジークハルトはすぐに笑顔を作り「なんでもないよ」とはぐらかした。
再び同じ方向を見つめてみれば戦友の姿はどこにもなかった。
マインラートもホリーも不思議そうな表情を浮かべていたが再び頭を撫でると無邪気に微笑んだ。
しかしユーリアはそうではなかった。
彼女は心配そうな表情を浮かべている。
ジークハルトは最愛の妻にも「大丈夫」と笑みを送った。
そう、大丈夫だ、私が忘れる事はない。
忘れてはいけないのだ。
忘れてしまっては誰が彼ら彼女らを覚えているんだ。
私だけは忘れてはいけない、私だけでも覚えていなければいけない。
私が忘れるということは赦されないのだ。
“ゲアバルド・グートハイル”、懐かしい悲しい名前だ。
ジークハルトが一生忘れることのない戦友の名前を彼は何年かぶりに口に出してしまった。
決して忘れてはいけない名前で決して忘れてはいけない出来事。
今のジークハルトが進む一つの原動力。
ジークハルトは我が子の未来だけで歩み続ける訳にはいかない。
過去に散っていた者達の遺したものの為にも歩まなければならないのだ。
暖かい彼の望んだ家庭の中で彼が歩んできた誓いをジークハルトは再び胸に固く誓った。
シス・エターナル軍のAT-MTが隊列を組んでアーヴァラ7の砂漠を進んでいた。
辺りには幾つかの小山や大岩しかなく風が吹いていない為視界も良好だ。
周りには護衛のAT-STマークⅢや兵員輸送機が列を作りAT-MT部隊の後に続いていた。
「このまま部隊を前進させろ、第三帝国の連中に何か言われる前に敵を打つ!」
セドリスはウォーカーの中からそう命令を出した。
セドリスが乗り込むAT-MTは一番先頭を進んでおり真っ先に砲撃を叩き出せる。
だが一番先頭にいるということは一番最初に狙われる可能性があるということだ。
無論セドリスの中にそんな心配はない。
AT-MTの装甲がそう簡単に打ち破られるはずがないしその前に目ガキャリバーキャノンでもレーザー弾でも撃ち込んでやればいいだけだ。
だが相手はセドリスの予想を遥かに上回ってきた。
突然コックピット内で警報が鳴り響きパイロットが報告した。
「前方より高エネルギー体が高速で接近!」
「何だと…!?受け止めるなっ!回避しろ!私も回避行動を取る!」
その報告を聞きセドリスはすぐに命令を出し目を瞑って腕を前に出した。
セドリスの命令通りAT-MTは回避行動を取ったが小回りの難しいこの機体が接近する砲撃を避け切るなど難しいことだ。
だからセドリスはフォースを使って放たれた高エネルギー体の弾道を変えようと試みた。
セドリスの行動は功を奏し弾道は寸前で変化しギリギリAT-MTの装甲を掠める程度で直撃は免れた。
だが掠った装甲の面はドロドロに溶解し白い煙を出していた。
「このアサルト・ウォーカーの装甲が……溶解した…?」
セドリスにとって大きな衝撃であった。
帝国の最盛期に何度かセドリスは正規の帝国軍と共に戦った事があった。
その時いたAT-ATは何を喰らおうと装甲に傷一つ付かない無敵の存在でこのAT-MTはそんなAT-ATよりも強化されている。
そんなAT-MTの装甲が一部分とはいえ溶解したのだ。
「…チッ!!これ以上相手に撃たせるな!!震盪ミサイル及びグレネード発射!!砲撃地点を叩きのめせ!!」
「了解」
既に相手が撃ってきた位置は分かっている。
各AT-MTからミサイル発射管が出現し震盪ミサイルやグレネードを発射した。
一斉に放たれたミサイルやグレネードが砲撃地点に幾つか命中し地平線が爆発により光を映し出した。
だがそれよりも驚きなのは放たれたミサイルやグレネードの半数以上が迎撃されてしまったことだ。
「全ミサイル、グレネードの69%が撃墜されました」
「連中の対空砲か…!」
「いえ、前方より接近する敵戦闘車両によるものと思われます」
パイロットの1人が報告しコックピットに拡大された画像が映し出された。
丸みを帯びその姿はまるでクビンディのサン・ビートルのようだった。
6本の足を持ちそのウォーカーのような何かは確認出来るだけでも3台は存在し真っ直ぐセドリス達の方へ前進していた。
「これがヴィアーズ大将軍の言っていた新兵器というやつか…全隊、一斉砲撃で奴を撃破しろ!」
セドリスの命令により前方のサン・ビートル型の兵器へAT-MTやAT-STマークⅢが砲撃を開始する。
だがこの攻撃は殆ど新型兵器に効果がなく、傷一つついていないようだった。
唯一効果があったのが顎の重レーザー砲とメガキャリバーキャノンだけでそれでもダメージは少量に留まっていた。
「我が部隊の集中砲撃は殆ど効果ありません」
「何だと!?そんなははずはない!再び撃ち続けろ!」
セドリスは再び攻撃を命じた。
ウォーカーや他の兵員輸送機のレーザー砲をものともせず前進を続ける。
そして遂に攻撃を開始した。
レーザー弾とイオン砲、グレネードランチャーを3台一斉に放ちAT-STマークⅢや兵員輸送機を何台か破壊した。
それに合わせて再び遠距離から砲撃が放たれた。
今度は回避する余裕もなくセドリスが乗り込むAT-MTの脚部に被弾し損傷した。
「第1左脚部損傷!」
「何とか制御しつつ後退しろ!周りのウォーカーは本機を支援!チッ!!なんだあの兵器は!?こちらの攻撃がまるで効かん!」
セドリスが苛立つ中、新共和国残党軍の司令部では敵のウォーカー部隊を圧倒する新兵器の姿を見て技術者や将兵達が喜びの声を上げていた。
「流石
「ああ!この機体があればバルモーラを奪還するのも可能だろう!」
元新共和国軍のザケル・ピースリス技術中佐と同じく元新共和国軍のレディット・ライトン将軍は喜びの声を上げた。
だがそれを聞いても喜べない男が1人、スキンヘッドで強面のハインチ・ベルテイン総督は険しい表情で口を開いた。
「いや、連中の重レーザー砲でこちらのX-0Pは損傷している。しかも見慣れぬ大砲まで背負ったあのウォーカー、些かまずいかもしれん」
「タイミングが悪い」とむしろベルテイン総督は頭を抱えていた。
彼は元々バルモーラの総督であった。
バルモーラは今も第三帝国の惑星でベルテイン総督も表面上は第三帝国に忠誠を誓っていた。
だがその裏でベルテイン総督は第三帝国を打倒し再び新共和国を復活させようとする野望を抱いていた。
バルモーラはウォーカー、地上兵器などを生産する軍需産業惑星であった。
その為クワットとは今も良好な関係であり第二次銀河内戦開戦当初は中立であったが第三帝国の圧力とクワットの手引きを受けてバルモーラは第三帝国に加盟した。
だがバルモーラの民が望んでいるのは第三帝国への服中ではなく独立であり自身の軍需製品をより広い自由市場に売り込む事だった。
それはベルテイン総督も同様である。
元よりバルモーラがクワットとは違い新共和国に所属しながらも中立でいたのは帝国と新共和国双方に自身の軍需品を売り込む為だった。
その過程でバルモーラの経済を活発化させバルモーラを発展させるつもりでいた。
しかし新共和国は予想に反して開戦直後に崩壊しその野望は果たせなかった。
そこでベルテイン総督はある工作を行った。
まずバルモーラに駐留していた新共和国軍と自国の惑星防衛軍の一部隊を“
実際には新共和国軍を逃しこのバルモーラ反乱軍を新共和国軍とのパイプ役にしていつでも連絡が取れるようにしたのだ。
そして総督は彼らを当分第三帝国が手を出さないであろう辺境の惑星へ配置しそこで秘密基地と秘密工場を作らせ密かに最新兵器を研究し増産するよう命じ今に至る。
アーヴァラ7に秘密基地を作った新共和国軍とバルモーラ反乱軍は度々ベルテイン総督の視察を受けつつ研究を行っていた。
その結果の一つが誕生したのがセドリス達と戦っているX-0P ヴァイパーである。
この機体は以前からバルモーラが研究している代物でありこのアーヴァラ7でも引き続き研究が行われていた。
だが資源の乏しいアーヴァラ7では思うように研究が進まずこのプロトタイプのヴァイパーも本来予定していた性能よりも著しく機能が低下している。
火力や装甲は予定通りであるが本来ドロイド脳を積んで無人化する予定だったがこのプロトタイプでは3人操縦となり、レーザー兵器を吸収するはずだったモレキュラー・シールドもより高性能な偏向シールド程度の能力しか果たしていない。
しかも重レーザー砲の集中砲撃やメガキャリーキャノンの前ではまだ限界があるようで損傷していた。
それでもヴァイパーが盾となり後方に位置するエリートAT-TEのフルパワー砲撃でセドリスらの部隊を追い詰めている。
「このまま前線をもう少し持たせるとして脱出の準備は順調か?」
「ああ、脱出部隊の搬入は後少しで終わる。電撃的な攻撃で要塞区画が陥落したのは驚きだったが損害は最小限で抑えられた。退路も秘密通路を使えば問題ない」
「そうか、それでレジスタンスからの返答は」
「我々を歓迎しているそうだ、無論総督の名前はいつか話す」
ベルテイン総督やライトン将軍は前々から誕生したレジスタンスに接触したがっていた。
この技術があればレジスタンス軍は惑星内の陸戦で苦戦する事も少なくなるだろう。
そして数日前にようやくレジスタンス軍との接触が叶い、アーヴァラ7から脱出した後も受け入れてくれるそうだ。
「ならば安心だ、ヴァイパーを手土産に持っていけばレジスタンスの地上軍は国防軍とも対等に戦えるようになる。そうなれば情勢はまた変化する」
「このまま遅滞戦術を展開し退却するつもりだ。心配なのは帝国軍の全面攻勢だが…少なくともヴァイパーだけは何としてもレジスタンスに持ち込む」
「ああ、頼んだぞ。私はこれでバルモーラへ帰還しなくてはならない」
ベルテイン総督は何人かの付き人と共に司令部を離れようとしていた。
ライトン将軍は「気をつけろよ」と付け加えようとした瞬間驚きの報告が舞い込んできた。
「ヴァイパー0-3!撃破されました!」
一斉に驚きと動揺の声が司令部に広がった。
ライトン将軍も一気に気の抜けない表情となりベルテイン総督は険しかった表情がより険しくなった。
やはり、という感情が強いようでこの後の戦いの熾烈さをベルテイン総督の表情が物語っていた。
一方戦場ではまだセドリス達の部隊は未だ苦戦し突然の砲撃が敵の新兵器を撃破した事を驚いていた。
「一体誰が…」
『戦闘中のシス・エターナル隊に通達する、今のうちに後退を。あの敵は我々が撃破する』
セドリス達のウォーカーに突然青年の声が響いた。
通達を終了させヴァイパーを1台撃破したウォーカー部隊は再び攻撃を開始した。
“
「全隊、軽ターボレーザーで敵を牽制しつつメガキャリバーの合成レーザーで確実に撃破する。敵新型兵器を」
『ブリザード4了解!』
『ブリザード5了解』
ゼヴロンが命令を出し3台のAT-ATマークⅢが攻撃を開始した。
ヴィアーズ大将軍からセドリス達を支援するよう命じられたゼヴロン達はセドリス隊に続きそこで新型の兵器であるヴァイパーを発見した。
このまま合流しても砲撃の巻き添えになるだけだと感じたゼヴロンはあえて部隊を迂回させ側面からの攻撃に移った。
ゼヴロンの判断は結果的に功を奏し側面からの襲撃によってヴァイパーを1台撃破することに成功した。
ヴァイパーも負けじと反撃のブーステッド・ブラスター
AT-ATマークⅢの軽ターボレーザー砲であれば敵のモレキュラー・シールドを打ち破れるようで十分な効力を発揮し更にもう1台撃破した。
残り1台のヴァイパーは確実な方法で仕留める。
「メガキャリバー合成ビーム・レーザー、発射!」
ゼヴロンの命令によって3台のAT-ATマークⅢから放たれたメガキャリバーキャノンが合成し1本のビーム・レーザーとなってヴァイパーへと放たれた。
元より強力なこのレーザー弾はヴァイパーの装甲とシールドを完全に打ち破りヴァイパーを破壊した。
ヴァイパーはゆっくりと地面に崩れ落ち3台とも煙を上げて沈黙した。
『敵ビークルの撃破を確認!』
ブリザード4のブレス・スターク中佐は喜びを込めて報告した。
「よし、予定通り砲兵隊と我々で敵砲撃地点を制圧する」
AT-ATマークⅢからミサイルが放たれそれに呼応するように後方から数十発の砲弾が放たれた。
砲弾とミサイルはエリートAT-TEを周辺ごと吹き飛ばしこれ以上砲撃されないように叩き潰した。
「よしこれで完全に制圧完了……前進し撃破した敵機を確認する」
『了解』
3台のAT-ATマークⅢが前進し破壊されたヴァイパーの残骸付近まで接近した。
既にセドリスのシス・エターナル軍もヴァイパーの残骸の周りに接近しておりシス・トルーパー達が周囲を取り囲んでいた。
ゼヴロンはヴァイパーの残骸を触り機体を眺めた。
「これが噂の新兵器…なのか…?」
「恐らく…しかしあの機体、単純に装甲と偏向シールドで防御している訳ではなさそうでした。きっと何か秘密が…」
「おい貴様!!誰が助けて欲しいと言った!!」
向こうから怒鳴り声が聞こえた、セドリスだ。
セドリスは怒り心頭のままゼヴロンの胸ぐらを掴んで怒りを口にした。
「この敵は我々シス・エターナルが倒すはずだった!!それをよくも邪魔したな!!」
セドリスは怒っていた。
元々セドリスは苦戦していた上に倒すべき敵がゼヴロン達に横取りされた事に余計に腹を立てて逆恨みした。
だがあのまま戦っていたらセドリスの部隊はもっと損害を負っていただろう。
既にセドリスが乗っていたAT-MTは大分損傷しこれ以上の戦闘は不可能となってしまった。
「何をするんですか!ヴィアーズ中佐を離してください!」
「貴様は黙ってろ!」
スターク中佐はセドリスにそう詰め寄ったがセドリスに威嚇されてしまった。
周りのトルーパーやパイロット達もセドリスをヘルメットの奥から睨んでいる。
これだけでもゼヴロンが父であるヴィアーズ大将軍と同じくらい部下から慕われている事が分かるだろう。
「名前は何というんだ、貴様の名だ」
セドリスはゼヴロンの名を尋ねた。
「デノン軍集団第501軍団ブリザード・フォース所属、ゼヴロン・ヴィアーズ中佐です」
ゼヴロンは答えた。
その一言で一瞬だけセドリスの威勢は削がれたがすぐに取り戻した。
「ヴィアーズ…?あの大将軍のか?」
「マクシミリアン・ヴィアーズ大将軍は私の父です、それが何か」
「ゼヴロン・ヴィアーズ中佐、貴様はシス・エターナル軍に泥を塗る行為をした。我々が倒すべきだった敵を貴様が横槍を入れて邪魔をした」
「ですがあのまま戦っていればあなた方の部隊の損害は…!」
「口答えするのか!?貴様本来であれば大尉にでも降格させてっ…!」
「セドリス司令官、ヴィアーズ大将軍からです」
別のAT-MTの車長を務めていたシス・エターナル軍の将校が敬礼しセドリスにホログラムを見せた。
ホログラムにはヴィアーズ大将軍が映っておりセドリスは仕方なくゼヴロンを離した。
「大将軍、この部隊はお前の差金か?」
『いや、たまたま哨戒中の部隊が戦闘に合流しただけだ。そんな状況でもよくやったゼヴロン、それとスターク中佐』
ヴィアーズ大将軍はセドリスの問いをはぐらかしつつ我が子と部下達の戦果を褒め称えた。
そのことにセドリスは不満を持ちつつも顔を顰めるだけで何も言わなかった。
やはり元は同じ軍とはいえ今は他軍のしかも大将軍にセドリスが何か言えることは少ないのだろう。
『セドリス司令官、あなたの部隊の陽動のおかげで各ウォーカー部隊の配備が完了した。司令官にはすぐにプレハブ基地で指揮を取って欲しい、私は前線で直接部隊を率いて指揮を取る。ゼヴロンはウォーカー部隊を率いて直ちに今から指定するポイントで合流しよう』
「そうか、分かった。直ちに向かう」
ゼヴロンも頷きヴィアーズ大将軍は『では戦場で、司令官』とセドリスと敬礼を交わした。
ホログラムが途切れシス・エターナル軍の将校が「急いで戻るぞ!」と部隊を戻し始めた。
セドリスは一瞬だけゼヴロンを睨みすぐにその場を離れた。
ゼヴロンも睨まれてしかも胸ぐらまで掴まれ怒鳴られて決していい気分ではなかったが特に何か言う事はなかった。
「戻ってヴィアーズ大将軍に合流しよう」
スターク中佐はゼヴロンにそう勧めたがゼヴロンは少し待って欲しいと伝えた。
「ええ、ですがその前に。輸送隊に連絡してこの残骸を回収させないと」
新型兵器、これは解析する必要がある。
敵を知る事は何よりも重要だと、かつてとある大提督も言っていた。
この若き大将軍の息子がどこまでその本質を理解しているかは定かではないが。
ゼヴロンは“
-未知領域 チス・アセンダンシー領 惑星シーラ 首都クサプラー 拡張防衛軍最高司令部-
キャルヒーコルから帰還したプライド中将はすぐさま将軍への昇進が決定しヴィルヘルムとリヴィリフによって階級章が渡された。
それから暫くしてプライド将軍はヴィルヘルムと2人で会談を行なっていた。
銀河内戦以降のヴィルヘルムは滅多にこのように少人数での会話をする事は珍しくなっていた。
最初はたわいない話ばかりだったが徐々に本題へ入っていった。
「将軍、君はキャルヒーコルでも随分と規律に厳しく異なる軍同士を十分纏め上げて戦ったそうだな。本来なら2軍の運用で済むが君の場合は君が連れてきた軍閥とファースト・オーダーの派遣軍も含まれている」
プライド将軍は元はファースト・オーダー系統の司令官であり彼が率いている部隊の中にはファースト・オーダーから直接与えられたものもあれば自分が率いていた軍閥のものもある。
特にこの時のプライド将軍はまだ自分がファースト・オーダー所属であると言う事は微塵も思っていなかった。
プライド将軍はジャクー戦から自力で脱出した部隊と第二帝国に加わる事の出来なかった勢力を取り込んで独自の軍閥を未知領域に形成していた。
ファースト・オーダーとはあくまでまだ協力関係を結んでいる状態でありアンシオン軍の救援に向かった時もあくまで要請に応じただけであった。
その為プライド将軍はファースト・オーダーの協力者であってファースト・オーダーの将校ではないのだ。
現に彼は今チス・アセンダンシーと亡命帝国に仕え将軍の階級章を貰った。
ファースト・オーダーよりもチス・アセンダンシーの方が部下達の命を保証し役に立てると感じていたからだ。
尤もその中にはファースト・オーダーよりも帝国時代の旧友達が多かったという事もあるが。
「とはいえ私が率いた軍は規模で言えばまだ少数です。異なる軍と言っても元を辿れば殆どが帝国軍とチス・アセンダンシーですので」
「その2軍の運用だけでも大したものだ。我々は本来使う言語も違えば軍事的な編成も階級すらも違う。それにかつての帝国はもう崩壊し再統一を望んではいるがもう皆別の組織だ」
ヴィルヘルムとしてはもう以前のような第一銀河帝国を銀河系に甦らせる事は不可能だと思っていた。
彼は銀河内戦中に幾度となく帝国同士による争いを経験し統一の難しさを感じ彼はもうかつての帝国が復活するのは不可能だと諦めた。
その為第三帝国と中立条約を結んだ時も決して第三帝国の傘下には入らずあくまでチス・アセンダンシーに留まった。
統一を望んでいるとされているファースト・オーダーや名目上傘下に入っている大セスウェナなども内心ではそう思っているだろう。
「帝国は分裂しすぎた、再統一するのは不可能でも枝分かれした軍閥の遺産を再利用する事は可能だ。そして我々はアセンダンシーの安全保障を維持する為にも、“
「…新領域、ですか」
「その通りだ、新領域には我々に忠誠を誓った大勢の将兵がいる。だが彼らを完全に纏め上げられているとは言えない、まだ反逆の兆しがある者も大勢いる。君にはこの新領域に設置されるマイギートーの特別軍管区の司令官の任を与える。“
ヴィルヘルムは彼に口で新しい職を伝えある1つのタブレットを渡した。
そこには今後に関わる様々な軍改革や軍の予定が書かれていた。
超兵器開発、軍の再編成、徴兵制度の整備など今後のチス・アセンダンシーと亡命帝国の軍事の今後を決めるものばかりだ。
「この資料にも目を通しておいてくれ。君は今後未知領域の軍事の中心人物となる」
「良いのですか?私に任せて」
プライド将軍は引き受けるつもりではいたが一応ヴィルヘルムに尋ねた。
プライド将軍はまだチス・アセンダンシーの陣営に入って間もない。
そんな人物に軍事の中心に関わらせるのは普通は不安に思うはずだ。
だがヴィルヘルムは不敵に笑い理由を話した。
「ああ、問題ない。日が浅いか深いは関係ないとやはり銀河内戦中に思い知らされた。君の職業軍人としての態度と能力で私は選んでいる」
「そう言う事であればお引き受けしましょう」
プライド将軍は正式に了承しヴィルヘルムは安心したように微笑を浮かべた。
「参謀本部ではシャポシニコフ元帥やヴァシレフスキー少将らが改革を進める。宇宙軍はアララニ提督やタッグ元帥が、スターファイター隊はヴァント将軍やフォーラル司令官、そして私の親族のスーンティアが行う。君にはバスティオン軍管区の司令官と協力し新領域の改革を進めてくれ」
「モフフェル、このバスティオン軍管区の司令官ですが…」
プライド将軍はタブレットを見てかなり驚いたようにヴィルヘルムに尋ねた。
タブレットには各軍管区の司令官の名前が丁寧に記載されている。
シーラ軍管区、拡張領域軍管区、コーミットグラード軍管区、キノス軍管区、コロニアル・ステーション軍管区、マイギートー軍管区、極北軍管区、そしてバスティオン軍管区。
このバスティオン軍管区の司令官の名前はプライド将軍も知っている人物の名前でそれを聞けば大半の将校は驚くはずだ。
「やはり帝国軍人であれば地上軍でも宇宙軍でもスターファイター隊でも気付くだろうな。私も最初、大いに驚いた」
ヴィルヘルムも微笑を浮かべたままそう答えた。
バスティオン軍管区はこれからシーラに続く首都惑星、もしかしたらシーラと肩を並べる首都惑星になるかも知れない場所だ。
そんなバスティオンを中心とする軍管区司令官がこの人物であれば納得だろう。
だが同時にプライド将軍は一つの疑問を持った。
「しかしモフフェル、この人物は本当に本物なのですか…?彼は確か…」
「ああ、間違いない。私は何度も会ってる上にその能力の高さに驚かされている。どうやってここに来ていたのかは定かではないがな」
ヴィルヘルムはプライド将軍にそう答えた。
プライド将軍もヴィルヘルムがそこまで言うならと納得した。
「マイギートー軍管区は新領域の中心部を担う領域だ。故にどの方向から攻撃を受けたとしても重要になってくる」
「任せて下さい、ご期待に添えるよう尽力を尽くします」
タブレットを持って立ち上がりプライド将軍はヴィルヘルムに敬礼した。
ヴィルヘルムは「任せた」と敬礼を返しプライド将軍はヴィルヘルムの執務室を後にした。
これである程度の配置は決まった。
まだ時間はあるが急がなければならない。
“
尤もそれだけでは足らないかも知れないが。
少なくとも新領域だけでかつての帝国地上軍と同じだけの人員は動員出来るようにしたいものだ。
ヴィルヘルムは休む暇もなく執務に向かった。
-アーヴァラ7 新共和国残党軍及びバルモーラ反乱軍第三防衛線-
アーヴァラ7の新共和国残党軍はバルモーラ反乱軍と共に第一から司令部のある第四までの防衛戦を形成し非常時には各防衛線は敵と対峙しつつ撤退までの時間を稼ぐ事が求められた。
今回の帝国軍の襲来に際しても残党軍と反乱軍は焦る事なく冷静に予定されていた戦闘を実行した。
防衛線で敵を食い止めている間に司令部やヴァイパー製造工場や新兵器研究施設では急いで退却準備が行われクルーザーや輸送艦に荷物や必需品の運搬が開始された。
だが予想外にも帝国軍は電撃的に戦闘を優位に進めなんと第一防衛線の司令部がある山岳地帯を制圧し防衛戦を一つ完全に打ち破ってしまった。
この行動は衝撃的であったがまだ防衛線は残っており時間を稼ぐ事も出来る。
偏向シールドも十分機能しており敵は地上戦か航空戦を仕掛ける他なく、防衛戦の利が消失した訳でもない。
まだ前線で戦う将兵達の士気は高くやるべき事をやれるだけの冷静さが各前線に残っていた。
特に第三防衛線はまだ第二防衛線を挟んでおり前線に最も近い防衛線ではあるがまだ当分敵は来ないだろうという暗黙の確証があった。
それよりも増援として第二防衛線に向かう時の方が敵と遭遇するはずだ、落ち着いているベテランの将兵ならそう思うだろう。
「敵影なし、第二防衛線が破られたという報告もなし。静かなもんですね」
大岩の上からエレクトロバイノキュラーで永遠と広がる砂漠の向こうを監視していた残党軍の伍長は上官の軍曹にそう報告した。
「第一防衛線が破られてかなり時間が経つが確かにそうだな……第二防衛線の兵士達がよく守っている証拠だろう。このまま我々の撤退まで第二防衛線が持ってくれるかもな」
「そうなると我々が支援しなければなりませんね。前線一つ前の防衛線は前線の撤退を援護しなければならないので」
伍長は軍曹の発言に付け加えた。
軍曹は頷きつつも「それは砲兵隊や機甲部隊が重点的にやるはずだ」と言った。
あくまで彼らのような軽歩兵は速やかに撤退するのみだ。
再び伍長と軍曹はエレクトロバイノキュラーで砂漠の向こうを覗き込んだ。
だが当然何もなく軍曹はエレクトロバイノキュラーから目を離し時計を取り出して時間を眺めた。
「我々も後5、6分したら交代だ。次塹壕に戻る時には撤退命令が出るといいが…」
「軍曹っ…!あれをっ!」
軍曹の代わりにエレクトロバイノキュラーを覗いていた伍長が急いで軍曹に声を掛けた。
軍曹はエレクトロバイノキュラーを取り出す前にその異変に気づく事が出来た。
明らかに砂漠の地平線の奥から何かが砂煙を上げてやってくるのが見えたからだ。
「アサルト・ウォーカーです…!それも1台、2台ではありません…!明らかに10台以上の大部隊です!」
エレクトロバイノキュラーで見るとより鮮明にその姿は見えた。
AT-STを引き連れた背中に砲塔を装備したAT-ATが隊列を組んでその大きな足で1歩ずつこちらに向かって前進していた。
あの数は明らかに第二防衛線を迂回して現れた数ではない。
何しろ第二防衛線を迂回する事はほぼ不可能だ。
それらを鑑みるに…。
「チッ!こちら予備偵察チームβ!前方数キロメートル先に帝国軍のウォーカー部隊を確認!数はアサルト・ウォーカー10台以上、スカウト・ウォーカー含めた僚機はその2倍!“
軍曹は急いでコムリンクを開き第三防衛線の司令部にそう報告した。
伍長はその間にエレクトロバイノキュラーをポーチにしまい、立てかけておいたブラスター・ライフルを手に取った。
軍曹と伍長は急いで自分たちが乗ってきたランド・スピーダーに走る。
たった2人の偵察兵ではとてもではないがあの無敵の大軍団に敵うはずがない。
彼らの判断は的確であった。
ランド・スピーダーは帝国軍のウォーカーに背を向けて走り去る。
そんなことを通知らず、帝国地上軍とシス・エターナル地上軍のウォーカー部隊は前進を始めた。
彼らの頭上をTIEボマーとTIEインターセプターの編隊が飛び去り先んじて敵に打撃を与えに向かった。
帝国地上軍、シス・エターナル地上軍の連合軍によるウォーカーの大攻勢は軍曹達が偵察を行う前から既に始まっていた。
ヴィアーズ大将軍とセドリスの命令の下、前線に控えていたAT-ATマークⅢ、AT-ATマークⅣ、AT-STマークⅢ、兵員郵送機、2Mホバー・タンクやインペリアル・アサルト・タンクら装甲部隊の突撃が開始した。
砲兵部隊の砲撃とTIEボマーの爆撃がまず第二防衛線へ被害を与えその次に前進するAT-ATマークⅢとAT-ATマークⅣらによるメガキャリバー合成ビーム・レーザーが防衛線の各地に放たれた。
AT-ATマークⅣは本来AT-MTが出現する前に開発に取り掛かっていた代物であり今後の主力となるAT-ATマークⅢのメガキャリバーキャノンによる合成ビーム・レーザー砲が放てるよう設計に手直しが加えられメガキャリバー・キャノンを装着した形で誕生した。
その為リンクさえ合えばAT-ATマークⅢとAT-ATマークⅣは何の問題もなくメガキャリバーキャノンによる合成ビーム・レーザーが撃てた。
メガキャリバーキャノンの火力はAT-ATマークⅣの方が支援型である為多少火力は劣るがそれでも既存の地上兵器を遥かに凌駕する存在だ。
しかもAT-ATマークⅣであれば既存のウォーカーに改修を施してⅣ号型にする事も出来た為急速にその数は増えていった。
前線では兵士達が慌てて武器を取り後方に奇襲を知らせたが事前に張り巡らされた通信妨害の影響で奇襲の報せは後方に届く事はなかった。
その為前線に援軍が来る事はなく、第二防衛戦の将兵は既存の戦力と第一防衛線の残存兵を合わせて戦うしかなった。
各前線で帝国、シス・エターナル地上軍と新共和国残党、バルモーラ反乱軍が激しく衝突した。
だが新型のAT-ATを前に塹壕に籠る歩兵部隊は瞬く間に蹴散らされ、打ち破られた。
援軍に向かおうとした残党軍と反乱軍の装甲部隊も事前の爆撃と砲撃、更には事前に偵察で発見していた迂回路を使い浸透した機械化部隊やウォーカー部隊による攻撃を受けて前線に到着したのはごく少数に留まった。
その少数の機甲戦力もAT-MTとAT-ATマークⅢとAT-ATマークⅣによって瞬く間に蹴散らされる。
元々AT-ATに対し新共和国軍が持つ機甲戦力では圧倒的に力の差がありすぎるのだ。
ジャガーノート・タンクやエリートAT-TEなど一部対抗出来る兵器もあるがそれでもAT-ATマークⅢとAT-ATマークⅣ、AT-MTの敵ではない。
ヴァイパーのような最新兵器も最前線である第二防衛線には存在せず既存の戦力で戦わざるを得ない残党軍や反乱軍の機甲部隊は最新兵器を持つ帝国地上軍やシス・エターナル軍相手に苦戦した。
歩兵達が対車輌兵器で応戦しようとしても僚機であるAT-STマークⅢによって接近する間も無く撃破されストームトルーパーやシス・トルーパーの攻撃を受けやられていった。
またヴィアーズ大将軍は事前に大規模な迂回部隊を用意し第二防衛線の補給線と迂回路を断ち切った。
背後を取られた第二防衛線は後退する暇もなく敵装甲部隊の攻撃を受けて文字通り壊滅した。
ヴィアーズ大将軍は続けて更なる防衛線の突破に着手した。
ウォーカー部隊は第二防衛線を撃破し意気揚々と前進を開始した。
第三防衛線では事前にウォーカー部隊の発見に成功し第二防衛線とは違い事前に対策が取れた。
先んじて塹壕の兵士達は対ウォーカー用の装備を手にし前線に機甲部隊が向かった。
対空防御の為にプロトン魚雷ランチャーや重砲、野戦砲が展開され前線では迫撃砲兵達が迫撃砲を構えて敵を待ち構えていた。
無論それを承知で各部隊は前進していく。
コヴェル中将率いるシュヴェーア・フォースのAT-ATマークⅢとAT-ATマークⅣは頭上を飛び交うTIEインターセプターやTIEボマーの部隊と共に前進した。
「後方の砲撃大隊より砲撃支援来ます」
パイロットの報告と共にコヴェル中将のAT-ATマークⅢの上を何十発もの砲弾が飛んでいった。
砲弾は全て目標に着弾しそれぞれ損害を与えた。
命中率を計算しパイロットがコヴェル中将に報告する。
「全弾命中、各戦線に放たれた砲弾の命中率も同様です」
「ほう、今回はやけに砲兵の命中率が高いな」
通常この手の砲撃の命中率がこれだけ撃って100%になる事はまずない。
されど今回はどの戦線でも全ての砲弾が命中しているそうだ。
これにはしっかりとした理由が存在していた。
それはプレハブ基地で瞑想を行いフォースで部隊を支援しているセドリスの力によるものだった。
彼のフォースによる戦闘瞑想は砲兵の命中率を大きく向上させ一部のシス・トルーパー達の能力を極限まで高めていた。
セドリスの戦闘瞑想により敵に対して最大の力で打撃を与える事が可能になったのだ。
セドリスはライトセーバーだけでなくフォースの術も十分な能力を持っていた。
されど彼がシス・アプレンティスになる事はなかったのは生まれの問題ではなく単にセドリスより上位の存在がまだいるからだろう。
彼の技術とてフォースの力としてはほんの一部なのだ。
「シュヴェーア・フォース全隊、ヴィアーズ隊形プランCを展開。前方の塹壕と後方から接近してくる機甲部隊を打ち破り、敵砲撃陣地を制圧する」
コヴェル中将の命令により各ウォーカーの車長達から『了解』という返答が聞こえた。
ではまず牽制にとコヴェル中将は僚機のAT-ATマークⅢとAT-ATマークⅣのリンクを合わせシュヴェーア・フォース全機による合成ビーム・レーザーの砲撃を浴びせかけた。
3台1組、AT-ATマークⅢとAT-ATマークⅣ含め12台いるシュヴェーア・フォースは一度に4発の合成ビーム・レーザーを撃ち出し前線の塹壕を砲撃した。
「よし、全弾命中!各機、砲塔を潰しつつ前進の手を緩めるな。スカウト・ウォーカー隊は塹壕に接近した瞬間に塹壕内の掃討を行え」
ペリスコープ・ディスプレイから外の様子を確認しつつコヴェル中将達は攻撃を開始した。
塹壕からはレーザー弾や迫撃砲によるイオン弾や砲弾が放たれたが自動対空装備を装着した機体は自動で撃墜しそうでない機体はAT-STマークⅢが撃ち落としていった。
その間にAT-ATマークⅢやAT-ATマークⅣが顎の軽ターボレーザー砲や中型ブラスター砲、メガキャリバーキャノンを持って塹壕内の兵士達を蹴散らした。
この3つの装備はどれを取っても歩兵を一撃で即死させる力が備わっている。
12台のAT-ATマークⅢから一斉攻撃を喰らった塹壕の中はまさに地獄だ。
兵士達は死体となった戦友や破壊された機器類に気を留める事もなく攻撃を続けた。
迫撃砲から砲弾が放たれある1人の兵士が放ったスマート・ロケットの弾が両方ともAT-ATマークⅣの顔面に直撃したが傷1つ付かず直後その兵士達は両方もと反撃として放たれた軽ターボレーザー砲によって撃ち倒された。
「前方1,200メートル付近にタンク発見、T-2BとT-4Bの混成小隊と思われます」
パイロットがコヴェル中将に報告し中将はディスプレイからその様子を確認した。
早速T-2BとT-4Bヘビー・タンクはAT-ATマークⅢに向けて砲撃を開始した。
1台のAT-ATマークⅢが被弾するも全く気にせず反撃として軽ターボレーザー砲を撃ち放った。
「優先して重戦車の方を狙え、我々は敵の指揮戦闘者を破壊する」
コヴェル中将はメガキャリバーキャノンで後方で兵員を展開しようとするジャガーノートに砲撃を放った。
ジャガーノートの装甲とはいえメガキャリバーキャノンを防ぐ事は出来ず爆散した。
更に僚機のAT-ATマークⅣが軽ターボレーザー砲でT-4Bタンクを破壊した。
塹壕まで接近してきた1輌のT-2BをAT-STマークⅢがツイン・レーザー砲で滅多撃ちにして爆散させその間に他のAT-AT達が残りのタンクを破壊した。
あっという間に敵の戦車小隊は殲滅されAT-STマークⅢが生き残った歩兵を掃討している。
『前方1,800メートル付近に改造モデルのAT-TEとT-3Bタンク部隊を発見!』
「いやこちらは手出しするな、上空を見ろ」
コヴェル中将は報告してきた同隊のシュヴェーア5にそう告げた。
上空からはシス・エターナル軍のシスTIEボマーが3機飛び去って行き、シュヴェーア5が発見した機甲部隊にイオン爆弾とプロトン爆弾を投下していった。
エリートAT-TEとT-3Bヘビー・アタック・タンクの周りは爆炎に包まれた。
T-3Bは爆撃で全滅し残っているのはエリートAT-TEのみだった。
すぐに反転し戻ってきた3機のシスTIEボマーがエリートAT-TEにレーザー砲を浴びせ完全に破壊した。
「シス・エターナル航空隊、支援に感謝する」
『作戦に従ったまでだ』
コヴェル中将はコムリンクでシスTIEボマーの編隊に礼を送り自身の部隊を更に前進させた。
迫り来る歩兵部隊や機械化部隊、機甲部隊を相手にしながら全て叩き潰し前進していく。
爆撃や砲撃の支援が効いているのか戦闘全隊が優位に動いているのを感じられた。
『コヴェル中将、アイガー准将のテンペスト・フォースが敵戦線を突破したとのことです。またジア上級将軍の501軍団が敵の地下網を発見し現在占領中とのこと』
「了解した、我々も砲撃陣地を制圧した後一気に攻勢をかける」
ペリスコープ・ディスプレイを下ろしコヴェル中将は目標を定めた。
「砲撃陣地発見……もう少し接近する」
シュヴェーア・フォースは徐々に前進し砲撃陣地に接近した。
接近に気づいた砲撃陣地の砲兵達は急いで重砲や野戦砲を向けシュヴェーア・フォースを迎え撃とうとするがシュヴェーア9が放った煙幕弾により一時期的に視界が奪われた。
「よくやったシュヴェーア9。シュヴェーア2とシュヴェーア3は私とリンクを合わせろ。合成ビーム・レーザーで一帯ごと吹き飛ばす」
僚機のAT-ATマークⅣとシステムがリンクし合成ビーム・レーザーのチャージが開始された。
既に敵の位置に検討は付けてある、後は引き金を引くだけの状態だ。
チャージが完了しコックピット内の機器の一つがピピピッと鳴った。
「撃て」
3台のAT-ATのレーザーが融合し1本のビーム・レーザーを生み出す。
ビーム・レーザーはそのまま煙幕を突き破り砲撃陣地に着弾し爆炎へと変わった。
これで目標は粗方完了した。
「砲撃陣地の制圧完了、各隊の状況は」
「タナー司令官が本戦線の司令部と思わしき基地を制圧、ランフェンシュタン少将の装甲兵団がアイガー准将のテンペスト・フォースに続いて戦線を突破しました。また敵軍はどうやら撤退を始めているようです」
コックピットにホログラムが移り残党軍の後退の様子を映し出した。
各所の報告付きで残党軍が撤退しているのが分かる。
「ではシュヴェーア・フォースと我が装甲軍も前進し一気に敵を殲滅する。攻撃の手を緩めるな、徹底的に打撃を与えろ」
コヴェル中将の進撃と同じくして彼の師のような存在であるヴィアーズ大将軍も行動を起こそうとしていた。
サンダリング・ハード中隊を含めたブリザード・フォースが敵の防衛線を突破し幾つかの迂回路を抜けて一気に軌道上から特定した敵の司令部と思われる場所まで接近した。
ここを叩ければ敵の司令部機能は麻痺する。
『将軍、プローブ・ドロイド及びシーカー・ドロイドの分布終了しました。各隊の配置も完了しています』
ブリザード2のバエルンライン大佐はブリザード1のヴィアーズ大将軍にそう報告した。
ブリザード1の背後にはブリザード2だけでなくブリザード3、ブリザード4、ブリザード5とブリザード・フォースのAT-ATが後に続いている。
各ウォーカーに乗り込むストームトルーパー達は皆武装を整えており後はヴィアーズ大将軍の一声を待つだけとなった。
大将軍はまず息を吐いて数秒目を閉じてから声を発した。
「ブリザード・フォース全隊、攻撃開始!」
ブリザード1を先頭にブリザード・フォースのAT-ATが前進する。
ブリザード・フォースは優先してAT-ATマークⅢを与えられておりしかも各機に改造が施されAT-ST、AT-MPの護衛機がなくともある程度の戦闘に対処出来るようになっている。
これはヴィアーズ大将軍がまだ死の小艦隊に所属していた頃からの慣わしだ。
部隊の数を減らしその上で効率を上げて最大限の力を発揮する。
ヴィアーズ大将軍と大将軍に鍛えられたこの雪原の勇者達であれば仮に戦場が砂漠に移っても何の問題もなかった。
『目標施設まで残り5,100メートル、また前方より敵装甲部隊が接近中』
「了解ブリザード4、各機戦闘開始。このまま前進を強行する」
ペリスコープ・ディスプレイを取り出し外を覗き込んだ。
敵の数はこちらの奇襲に気付き接近してきた斥候のT-1BとT-2Bの戦車小隊だ。
あの程度の数、態々全隊で攻撃する必要すらない。
早速ブリザード4が軽ターボレーザーを連射し接近される前に敵の戦車小隊を撃破した。
更に中型ブラスター砲を叩き込み随伴歩兵も掃討する。
流石はスターク大佐の親族、攻撃に躊躇いがなくやはりパフォーマンス的な意味合いが強かった。
尤も前任のブリザード4であるスターク大佐はその結果大損害を被ったのだが。
『敵戦車小隊を撃破しました!』
スターク中佐は喜びの感情そのままそう報告した。
「よくやったブリザード4、敵対空砲網を叩いて航空支援の展開を可能にするぞ。全隊ヴィアーズ隊形プランDに移行」
本来ヴィアーズ隊形とは防衛砲台や砲塔群を撃破し突破する為にヴィアーズ大将軍がホス戦で使用したものより洗礼された部隊隊形だ。
そこにヴィアーズ大将軍はコヴェル中将らと共に手を加え様々なパターンを編み出した。
先ほどコヴェル中将が使っていたヴィアーズ隊形プランCはコヴェル中将が編み出したもので防衛砲台だけでなく、塹壕内の歩兵戦闘、接近する敵機甲部隊との戦闘の全てを同時に行える方法だ。
まずAT-ATが前衛に立ちAT-STやAT-MPのような僚機に対する攻撃をカバーする。
その間に各僚機はAT-ATに接近する歩兵や小型、中型ビークルを破壊し対空防御などに専念する。
AT-ATは持ち前の火力の高さと汎用性を活かしマルチに攻撃を行い、塹壕に接近した後は塹壕内の敵をAT-STのような対歩兵ウォーカーが対処し塹壕内を制圧する。
AT-ATとAT-ST、AT-MP全てのウォーカーの特性を活かせる隊形でありそれ故に汎用性も高かった。
一方でヴィアーズ大将軍が使用しているヴィアーズ隊形プランDはよりAT-ATを中心に置いた敵地強襲用の攻撃性の高い隊形だ。
その実力は今、実戦で振るわれている。
対空砲やミサイル・ランチャー、プロトン魚雷ランチャーが容赦なく破壊され残骸が地面に散乱していた。
当然歩兵達も蹴散らされ中型ブラスター砲や外付けのブラスター・タレットによって容赦なく逃げ惑う歩兵や戦う歩兵を銃撃していた。
「敵センサーも徹底的に叩け」
ヴィアーズ大将軍の命令でAT-ATマークⅢは軽ターボレーザーやメガキャリバーキャノンで周囲のセンサー網を徹底的に潰し、司令部周辺の防空能力を低下させた。
接近するエリートAT-TEやジャガーノートのようなAT-ATに対抗出来る大型ウォーカーやビークルも合成ビーム・レーザーによって瞬く間に殲滅されてしまった。
この隊形の利点は前進しながらメガキャリバーキャノンを使った合成ビーム・レーザーを放てるということだ。
通常兵器よりも射程が長く火力も高い合成ビーム・レーザーを用いた火力の擲弾は更にウォーカー部隊の前進を加速させた。
ブリザード・フォースは更に前進し一気に司令部の奥深くまで進撃した。
だがここにブリザード・フォースの進撃を止めんとするものが現れる。
『…っ!前方1,200メートルより例の新型が接近中!』
ゼヴロンが乗り込むブリザード3からそう報告が届いた。
ヴィアーズ大将軍も急いでペリコープ・ディスプレイで確認した。
セドリスの部隊を苦しめた残党軍の新型兵器、ヴァイパーがなんと10台も隊列を組んで接近しているのだ。
しかも僚機にT-2BやT-4Bタンクを連れて確実にブリザード・フォースを撃破せんとしている。
『新型が10台、ホバー・タンクが僚機としてその倍…厄介ですね』
ブリザード2、バエルンライン大佐はコムリンクを用いてそう呟いた。
実際数の上では向こうが有利だ。
しかもまだ性能の底が知れていないヴァイパーが相手となると苦戦は免れない。
『一旦後退して待機させてあるブリザード・スカウト隊と合流しますか?』
バエルンライン大佐はヴィアーズ大将軍にそう進言したが彼の答えは違った。
「いや、そうなれば敵は復旧してしまう。このまま前進し新型を含めた敵の機甲部隊を撃破する。各機、合成ビーム・レーザーと震盪ミサイルを装填しろ。私に一つだけ試したい事がある、あの新型には合成ビーム・レーザーと震盪ミサイルを放て、それ以外には従来の武装で対処だ」
『了解』
ヴァイパーは早速ブーステッド・ブラスター砲でブリザード・フォースを攻撃した。
被弾したAT-ATマークⅢが一瞬だけ後方に飛ばされそうになるが踏ん張り攻撃を耐えた。
『敵機のブラスター砲は我が方の重レーザー砲と殆ど同じ威力です!』
被弾したAT-ATマークⅢの車長は全隊にそう報告した。
しかしヴィアーズ大将軍はそんな報告にも動じる事なく答えた。
「そうか、なれば問題ない」
その一言は単なる無茶ではなくブリザード・フォースの面々に絶大な信頼を与えた。
再びブーステッド・ブラスター砲が放たれたがAT-ATマークⅢの正面装甲は辛うじて耐えている。
『エネルギーチャージ、完了しました!』
バエルンライン大佐の報告を聞きヴィアーズ大将軍はまず第一斉射を命ずる。
「全機パワー全開、発射!」
合成ビーム・レーザー砲がAT-ATマークⅢの間に構築されその凄まじい一撃をヴァイパーに放った。
2台のヴァイパーが辛うじて回避したものの1台は脚部が破壊され中破し残りの2台は正面から攻撃を受けて破壊された。
今のヴァイパーのモレキュラー・シールドではメガキャリバーキャノンの合成ビーム・レーザー砲を受け止め切れない。
更にヴィアーズ大将軍は続けて攻撃を命じた。
「全隊震盪ミサイル発射、その間に軽ターボレーザーで随伴機を足止めしろ」
AT-ATマークⅢから震盪ミサイルが放たれヴァイパーを襲った。
ヴァイパーに備わっているモレキュラー・シールドは通常の偏向シールド同様に敵のレーザー攻撃を防ぎ場合によっては防いだ攻撃のエネルギーを自機のエネルギーに変換する事が可能だ。
本来であれば重レーザー砲やプロトン魚雷のエネルギーも変換出来る水準まで向上させたかったのだがやはりこのアーヴァラ7では技術的に困難であった。
それでも歩兵が手に持つブラスター・ライフルやブラスター砲程度であればエネルギーに変換出来るのだが震盪ミサイルのような実態弾は違う。
対空防御が間に合わず何台かが再び被弾し大破した。
『震盪ミサイル命中!攻撃は効いています!』
バエルンライン大佐がその光景を見て喜びの声を上げた。
だがヴィアーズ大将軍は冷静に状況を読み解き答える。
「ああ、そうだな。全機、このまま合成ビーム・レーザーと軽ターボレーザー砲で新型を殲滅する。ブリザード3らの報告によれば軽ターボレーザー砲も一点集中であれば十分効果がある」
ゼヴロンらの隊が持ち込んだ戦闘報告は極めて貴重でありその上でヴィアーズ大将軍は確実に勝てるであろう戦闘方法を生み出した。
生き残ったヴァイパーはまだブーステッド・ブラスター砲を放っておりこのままでも十分危険な相手だ。
既に周りの随伴していたT-2BやT-4Bはミサイルや軽ターボレーザー砲を喰らって破壊され半数近くが行動不能に陥っていた。
その間に生き残ったヴァイパーに向けてAT-ATマークⅢの軽ターボレーザー砲が一点に集中して放たれ撃破される機体が増えていた。
もしヴァイパーと戦うのが1年違くてしかもAT-ATマークⅢやAT-ATマークⅣではなく通常のAT-ATで向かっていたとしたらヴィアーズ大将軍達でも相当苦戦しただろう。
早いうちに芽を潰せておいて良かったとヴィアーズ大将軍は安堵していた。
「合成ビーム・レーザー砲、発射!」
ブリザード1とブリザード2、ブリザード3から合成ビーム・レーザーが放たれ最後の3台のヴァイパーがまとめて撃破された。
『新型機の殲滅を確認!』
「残りのタンクも殲滅しろ、ラストク曹長、敵司令部までの距離は?」
ヴィアーズ大将軍はブリザード1の操縦手であるAT-ATパイロットのTK-7834、ラストク曹長に尋ねた。
ラストク曹長はホスの戦いで特攻により撃破された旧ブリザード1のAT-ATのパイロットも務めており今隣で砲手を務めているTK-5187と共に破壊されたアサルト・ウォーカーの瓦礫の中からヴィアーズ大将軍を救い出した。
ヴィアーズ大将軍がホス戦で生き残れたのは彼の強い不屈の精神力もあるがラストク曹長とTK-5187による救助活動のお陰だった。
2人はこの活躍で一気に軍曹まで昇進しシャンドリラ攻略戦の戦果も相まって今は2人とも曹長の階級を得ていた。
「残り2,100メートルです。ですがその前にあの山の中に偽装されたシールド発生装置があります」
ラストク曹長は指を差してヴィアーズ大将軍に位置を報告した。
「距離は?」
「本機の軽ターボレーザーであればフルパワーで届く距離です」
「分かった、TK-5187、目標を山岳部のシールド発生装置に設定しろ。シールド発生装置の破壊と同時に艦隊へ伝令、工場地帯及び前線へ支援砲撃を」
「了解」
偏向シールド発生装置の破壊はホスの戦いでもシャンドリラの戦いでも行った。
その為手慣れてはいるがそれでも緊張が走る。
慎重に砲手であるTK-5187がターゲットを絞りヴィアーズ大将軍もそれをサポートした。
『敵タンク部隊の撃破を確認!』
「ブリザード・スカウト、全隊に次ぐ。アサルト・ウォーカー隊と共に前進し司令部攻略戦を実行せよ。各AT-ATは兵員を展開し司令部の制圧のみに集中、砲撃支援を怠るな」
スターク中佐の報告を聞きヴィアーズ大将軍は一気に作戦を前に推し進めた。
部隊が後方からやってきたAT-STマークⅢが合流し司令部を守ろうとする歩兵を蹴散らしていく。
その間にもブリザード1は偏向シールド発生装置に狙いを定めていた。
「エネルギーチャージ完了、ターゲットロック完了」
TK-5187はヴィアーズ大将軍にそう報告する。
それからヴィアーズ大将軍は僅かの間も無く命令を下した。
「
ブリザード1の軽ターボレーザーが最大火力で放たれ山の頂上ごと偏向シールド発生装置を破壊した。
頂上の山が崩れ爆発が起こる。
それと同時にアーヴァラ7の戦闘域全体を覆っていた偏向シールドの膜が徐々に薄れて消えていった。
偏向シールドの消失を感知し軌道上の艦隊からは支援の為の軌道上爆撃が開始された。
まずヴァイパーなどを製造していた新型兵器開発工場や研究所が破壊され続いて第四防衛線の司令部も壊滅した。
だがこの時点で既に残党軍と反乱軍は撤退を開始しており本来よりも与えた打撃は大分少なくなっていた。
特にこの時点で工場はもうもぬけの殻であり残ったヴァイパーに至っては全台輸送艦に詰め込まれ運搬が開始されていた。
とはいえ展開した13台のヴァイパーが全台破壊されるとは残党軍の司令官であるライトン将軍も考えていなかっただろう。
先行して司令部に突入したブリザード4は早速兵員を展開し他のAT-ATマークⅢと共に基地内戦を開始した。
ストームトルーパー達が基地内部に侵入し残党軍の歩兵達と戦闘を繰り広げていた。
ブリザード・フォースが周辺を制圧した事により侵入出来るのはAT-ATマークⅢが運んできた兵員だけではない。
何機ものセンチネル級が護衛のTIEインターセプターと共にAT-ATマークⅢの周りに停泊し兵員を展開し始めた。
乗っているのは当然501軍団の優秀な兵士達で数、質共に新共和国残党軍の兵士を圧倒していった。
またシス・エターナル軍も基地内へ侵入し攻撃を始めた。
第四防衛線の司令部が軌道上爆撃によって壊滅し第四防衛線の殿を務めていた部隊は壊滅した。
その勢いのままシス・エターナル軍は発見した地下通路にシス・トルーパー隊を突入させ内部の制圧を開始。
上空では絶え間ないシスTIEボマーとTIEボマー隊の爆撃が続く中シス・トルーパー達は司令部まで繋がる地下通路の敵を打ち倒し突破していった。
2方向からの侵入を許した残党軍と反乱軍はそれぞれでバリケードを形成し応戦するも精鋭501軍団とシス・トルーパー隊の前に次々と突破された。
だがこの時点で残党軍と反乱軍の撤退準備は完了しており既に輸送艦やクルーザーが秘密裏に建造された宇宙港から発艦しつつあった。
残っているのは殿を務める部隊と最高司令官であるライトン将軍だけだ。
『エリア-02陥落!外周が突破された!繰り返す外周が突破された!』
警報が司令室にまで鳴り響きライトン将軍含め、残った数人の通信士官や幕僚達は各地へ指示を出した。
そこへ脱出部隊の責任者であるスコードレン大佐は室内に入ってきた。
「第一、第二脱出部隊がアーヴァラ7の脱出に成功しました!残る第三、第四ですが予想よりも敵軍に内部を侵入され損耗も激しい上既に第二の一部が軌道上の包囲艦隊に発見されてしまった為、第三を最終部隊にして残りの全部隊を詰め込んで撤収しようかと考えています」
「分かった、全域に総員撤退の報を出す。お前達も撤退の警報を出したら直ちに司令室を離れて最も安全な26番ハッチの脱出船に急げ」
「了解!」
機器類を操作し防衛線全域に警報が発令された。
それと同時に通信士官達は全ての通信履歴を削除し自らの席を離れた。
ライトン将軍に「お先に!」と敬礼を送り通信士官達は司令室を後にした。
ライトン将軍もそれを見届けるとホルスターにブラスター・ピストルをしまい、用意させたA280ブラスター・ライフルを手に取った。
「我々は本来第四の旗艦になるはずだった“コメンスメント”で脱出する」
「了解!」
2人も司令室を後にしこの空の執務室にストームトルーパーとシス・トルーパーの連合部隊が訪れたのは僅か15分後の出来事であった。
各地で行われている戦いも部隊が退却するか壊滅するかで終結し大部分を帝国地上軍とシス・エターナル地上軍が制圧していた。
むしろ戦闘は地上よりも宇宙空間に移ったと言える。
脱出部隊を捕捉した“アナイアレイター”率いる帝国艦隊が脱出部隊に対し砲撃を浴びせかけていた。
熾烈な艦隊戦、スターファイター戦となったがもうこうなれば帝国地上軍に出来ることは少ない。
地上からの支援砲撃を行なっているが決定的な打撃を与えられるかは帝国宇宙軍に掛かっている。
勝利を祈りつつヴィアーズ大将軍はブリザード1の前でセンチネル級に乗ってやってきたジア上級将軍と話し合っていた。
「あの新型兵器…以前バルモーラで似たような機体の開発案を見た覚えがある」
ジア上級将軍は破壊されたヴァイパーの残骸を見てそうヴィアーズ大将軍に話した。
「宇宙軍情報部のカーレリス提督によればバルモーラの反乱軍もこの地に潜んでいるらしい。反乱軍がバルモーラから抜き取った情報の可能性もある」
「となるとベルテイン総督らバルモーラ政府にも報告する必要があるな。残骸は君の息子が回収したのだろう?」
ヴィアーズ大将軍は頷き「何か解析して分かる事があると良いんだがな…」と祈るように呟いた。
「ともかく、地上戦で特にシス・エターナル軍と問題を起こさずこれだけの戦果を挙げられたのは大きな収穫だ。これで君は雪原と砂漠、双方で異名を取る事になる」
ジア上級将軍のジョークにヴィアーズ大将軍は苦笑を浮かべた。
すぐに「よしてくれ」と呟きジア上級将軍も同じよう苦笑いと言った笑みを浮かべている。
するとゼヴロンが2人に敬礼し近づいてきた。
「負傷兵の運搬が完了しました。それと司令部内のデータは全て消失していたらしく復旧は難しいそうです」
「分かった、報告ありがとう」
ゼヴロンは敬礼しヴィアーズ大将軍の下を去って行こうとした。
ゼヴロンが2、3歩進んだ所でヴィアーズ大将軍が「ゼヴロン」と彼を引き留めた。
ゼヴロンは振り返りヴィアーズ大将軍の方を見つめた。
大将軍は微笑を浮かべ彼に言葉を送った。
「良くやった、凄かったぞ。私の……いや、私と母さんの自慢の息子だ」
たった一言だった、されど重要な一言だ。
昔はこの一言でさえ送ることは出来なかった。
だが今ならお互いにその一言を言い合える事が出来る。
「ありがとう、父さん」
ゼヴロンもその一言を返し2人はまた元に戻った。
互いに暖かい喜びの感情を抱いたまま。
この様子を眺めていたジア上級将軍は少し笑みを浮かべ「随分と仲良さそうじゃないか」と呟いた。
「普通の親子関係だよ、尤も昔の私は普通ですらまともにやれなかった訳だが」
「“エグゼクター”の時とは大きく見違えた。何かあったのか?」
ジア上級将軍は戯れにヴィアーズ大将軍に尋ねた。
大将軍は過去を振り返る。
「いや…小さなことだけだ」
その小さなすれ違いが全てを変えたのだ。
良いようにも悪いようにも。
ヴィアーズ大将軍は微笑み混じりにそう感じた。
同じ頃、プレハブ基地では瞑想を終了させ首を捻って身体をほぐすセドリスの姿があった。
シス・エターナル軍の将校とシス信者、シス・トルーパーが彼の周りに佇んでおり命令を待っていた。
「これで一つ目の任務は完了した。後は2つ目だが…」
「既に捜索隊の編成は完了しています」
シス信者がセドリスに伝えた。
セドリスは少し考え込むような仕草をして彼らに命令を出す。
「全テネブラス軍団を戦闘区域、占領区域から撤収させ捜索に当たらせろ。ジストン級からも人員を駆り出してこのアーヴァラ7を隈なく探せ」
「では戦闘区域と占領区域は全て第三帝国軍に任せてよろしいのですか?」
シス・エターナル軍の1人の将校がセドリスに尋ねた。
セドリスは邪悪な笑みを浮かべ「ああ、構わん」と答える。
「ヴィアーズ大将軍は優秀だ、彼の手下も多少反抗的なのはあったがそれでも十分役に立つ。余程の無能であればどうしようかと不安であったが奴らなら全て任せても問題ないだろう」
「分かりました、ではそのように」
その将校は頭を下げて早速命令を出しに向かった。
セドリスは続けて全員に伝える。
「これは陛下から賜った最も重要な任務だ、決して失敗は許されん」
その場の全員が頷き命令を出した。
「“
アーヴァラ7の戦いは勝利した。
だがシス・エターナルにとってはここからが本当の任務の始まりだ。
9ABY、いついかなる時代においても華の存在は狙われている。
だがシス・エターナルは、セドリスは知らない。
彼らが狙うその幼子は既に“とあるマンダロリアンの賞金稼ぎ”と共にアーヴァラ7を離れていることを。
つづく
イノベちゃんだよぉ!?
大晦日はナチ帝国でナチ帝国締め!
そんでこれが今年最後のナチ帝国です!
いやぁ全然終わらないっすねこの話()
来年もどんどん書いていくと思うのでよろしくです〜
それでは良いお年を〜!!