第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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「私が今の道を選んだ理由はただ一つ、国家に対する忠誠を果たす為、つまり国民に対する忠誠を果たす為にこの道を選んだのだ。私が忠誠を尽くす国家とは皇帝であり、その皇帝を皇帝たらしめる国民のことである。忠誠を捧げた相手さえ明確であればその忠誠を果たすのは簡単なことである」
-とある帝国軍大佐の日記より抜粋-


チャルダーン旧共和国造船所での戦い

シス・トルーパーの分隊が周囲を警戒しながらステーションの奥へと侵入した。

 

本来この旧共和国造船所はシス・エターナルが密かに管理していたのだが敵の侵入を受けてからでは何があるか、いつ敵がどこから現れるか分からない。

 

しかしシス・エターナルとしてはここの秘密は絶対に守らなければならない。

 

ここに訪れた敵は抹殺する必要がある。

 

それが仮にただの盗賊だったとしてもだ。

 

今の所敵であるレジスタンス軍が秘密に気づいている様子はない、どうやらこの造船所に残されている古い兵器を取りに来たようだ。

 

卑しき盗人、それはまだいい。

 

問題はここ(旧共和国造船所)で盗みを働くということだ。

 

僅かにでもこの秘密に触れるようであれば生きて帰す訳には行かない。

 

態々セキューター級を筆頭とした揚陸部隊を送り込んだ理由もその為だ。

 

直接手を下す役目を帯びたシス・トルーパー達は静かに内部へと侵入している。

 

既に幾つかのハンガーベイにゴザンティ級含めた揚陸隊が突入しており一個中隊を超える兵員がステーション内に侵入していた。

 

無論これを迎え撃つジョーレンやアイデン達がなんの準備もしていないのかと言われればそうではない。

 

何十もの罠を仕掛け、爆薬を設置し、タレットなどで武装を固めている。

 

何よりジョーレンもアイデンも経験豊富な超エリート特殊部隊員だ。

 

そこら辺の兵卒とは比べ物にならないほどの戦いを経験してきた。

 

たった2人だがたった2人で1000人はゆうに超える働きをしてくれるだろう。

 

シス・トルーパーの分隊長がハンドサインで合図を出し分隊の工兵にイオン・ディスラプションを起動するよう命じた。

 

分隊長始め周囲のシス・トルーパー達は一旦距離を取った。

 

これから工兵が使う兵器は味方にも被害を出しかねない。

 

工兵はバックパックから装備を取り出しすぐにイオン・ディスラプションを起動した。

 

すると周囲に稲妻が走り、辺りに密かに備え付けられていた爆弾は完全に機能停止に追い込まれた。

 

念の為イオン・ディスラプションで爆発物やブラスターなどの電子機器類を無力化したのだがそれは正解だった。

 

ジョーレンとアイデンが備え付けた爆弾は痺れて動かなくなっている。

 

安全を確認した分隊長は再びハンドサインで合図を出しシス・トルーパー達は前進を開始した。

 

だがそれは大きな間違いだった。

 

彼らが通路を通り過ぎようとする瞬間機能停止したはずの爆弾が一斉に起爆した。

 

シス・トルーパー分隊はそのまま爆発に巻き込まれどうすることもなく吹き飛ばされ全滅した。

 

それは他の場所でも同様で通路を通ろうとしたシス・トルーパー達の多くに死傷者が出ている。

 

どのシス・トルーパー達も一度は爆発物をイオン・ディスラプションで機能停止にさせたはずなのに全て起爆しシス・トルーパーに死傷者を出していった。

 

多くの場所でシス・トルーパーは損害と足止めを喰らっている。

 

全てジョーレンとアイデンが仕掛けたものの効力が発揮している証拠だ。

 

「よし…!今のところ順調…!ジェルマンが改良した爆弾の効力だな」

 

ジョーレンはアイデンと共に走りながら喜びを声に出した。

 

ジェルマンの改良した近接反応爆弾はイオン・ディスラプションを喰らうと逆に数秒経って爆発する仕組みになっている。

 

要するにイオン・ディスラプションの効力を逆手に取った形だ。

 

おかげでシス・トルーパーによって無力化されたはずの爆弾も全て無事に機能していた。

 

尤も爆発を喰らったシス・トルーパーは無事では済まないだろうが。

 

「おかげで時間が稼げる…っ!」

 

アイデンは何かを察知しジョーレンをハンドサインで止めた。

 

彼女は静かにドアの奥から顔を出す。

 

「トルーパーが3人、それと部隊長と斥候のトルーパーが2人ずつ」

 

アイデンが見た先には通路の奥に幾人かのシス・トルーパーが屯していた。

 

彼女は冷静に得た情報をジョーレンに伝えつつ作戦を練る。

 

軽装備のシス・トルーパーと部隊長シス・トルーパーの2人と一般隊員と思わしきシス・トルーパー3人とはそこそこの距離が存在していた。

 

その為銃撃戦にならずとも背後から忍び寄って抹殺することは可能だ。

 

「この距離ならバレずに抹殺出来ます」

 

どうやらジョーレンも同じ考えらしくアイデンは計画を実行に移すことを決意した。

 

「よし、手前の兵士は私が。奥の2人は私と少佐でやって残りの2人も同じようにやる」

 

「了解」

 

ジョーレンはナイフを取り出しアイデンは使い慣れたバトンを取り出した。

 

2人は足音すら立てず静かにシス・トルーパーの近くに迫った。

 

シス・トルーパーは全く2人に気づいておらずブラスター・ライフルを構え周囲を警戒していた。

 

そこへアイデンの素早い一撃が振り下ろされる。

 

首に思いっきりバトンを叩きつけ、倒れた所を今度は横合いから頭を叩きつけた。

 

まず最初の一撃で完全に首の骨が折れ、その後の攻撃でヘルメット越しではあるが頭を砕けたずだ。

 

即死したシス・トルーパーは断末魔すら上げずに静かに始末された。

 

亡骸を静かに倒すと2人は一気に他のシス・トルーパーに接近し再び近接攻撃を仕掛けた。

 

ジョーレンはバイブロ=ナイフでシス・トルーパーの喉元を掻っ切り、アイデンはバトンでシス・トルーパーの首を絞めた。

 

再び2人のシス・トルーパーを打ち倒したのだがそれでも僅かな音で軽装備の斥候シス・トルーパーが異変に気づいた。

 

2人は急いで物陰に遺体ごと隠れ、シス・トルーパーの視覚から姿を消した。

 

アイデンは急いで作戦を変え、ハンドサインで指示を出した。

 

部下のシス・トルーパーに部隊長もついてくる。

 

だがもう遅い。

 

アイデンは一気にシス・トルーパーとの距離を詰め、バトンでまず脛を殴りつけた。

 

足の骨が折れたシス・トルーパーは地面に崩れ落ちそこから脳天高くバトンが振り下ろされそのままダウンした。

 

当然部隊長は敵であるアイデンを射殺しようとブラスター・ライフルを構えた。

 

しかし瞬間飛び出したジョーレンによってそれは阻まれることとなる。

 

アーマーの僅かな隙間にジョーレンは正確にナイフを突き刺しダメージを与えていった。

 

そして最後にはトドメとして喉を切り裂き部隊長を絶命させた。

 

「行きましょう、敵のハンガーベイまで後少しだ」

 

「ああ、ドロイド、周囲を警戒しろ。なるべく静かに進みたい」

 

「今みたいに?」

 

「我々に他の進み方があるか?」

 

ジョーレンは苦笑混じりに鼻で笑った。

 

アイデンのID-10シーカー・ドロイドはセンサーを起動し周囲を警戒させた。

 

2人は駆け足で素早くハンガーベイの方まで向かっていく。

 

既にこのステーションのあちこちにシス・エターナルの輸送機が着陸しておりそこから兵員や武器を下ろしていた。

 

2人はこのハンガーベイの輸送機を徹底的に潰すことで後続の揚陸隊の侵入を妨害しつつ敵の注意を背けようと考えていた。

 

輸送機が破壊され敵がそこにいるとなればシス・トルーパー達も後退せざるを得ないだろう。

 

軽装備で優れた機動力と練度によって実行出来る攻撃だ。

 

ジョーレンとアイデンは静かにそして速やかにまだ2人に気づいていないシス・トルーパーを始末しハンガーベイへと急いだ。

 

「辿り着いたが…どうする、潜入して輸送機を破壊するか?」

 

アイデンはハンガーベイのドアの前でジョーレンに尋ねた。

 

するとジョーレンは徐にブラスター・ライフルを手に持ちニヒルな笑みを浮かべた。

 

指でブラスター・ライフルを軽く叩くとライフルを構えハンガーベイの中へ突入した。

 

それだけでジョーレンの考えていることは大体分かる。

 

「全く…」

 

アイデンも困った笑みを浮かべながらジョーレンに続いた。

 

ジョーレンはまるで普段と変わらない様子で引き金を引きシス・トルーパーを撃ち殺した。

 

シス・トルーパー達は反撃しようとブラスター・ライフルを構えたがすぐ援護射撃を行ったアイデンによって撃ち倒された。

 

攻撃を受ける前に弾丸を叩き込み敵兵を倒す。

 

そのまま2人は近くのTIEボーディング・クラフトとセンチネル級の方まで近づいた。

 

その間にジョーレンとアイデンはそれぞれ爆弾を起動させそれぞれ輸送機の方へ投げつけた。

 

爆弾はそれぞれ輸送機のエンジン部分とコックピット部分に接着し間も無く起爆した。

 

「伏せろ!」

 

アイデンの合図と共にジョーレンは地面に伏せ爆発の余波と破片を防いだ。

 

輸送機は2機とも爆発により破損し崩れ、辺りに破片や爆発の熱が広がりシス・トルーパー達も倒れた。

 

TIEボーディング・クラフトもセンチネル級もそれぞれ爆発が別のものに移り誘爆し完全に大破した。

 

シス・トルーパーにも多くの負傷者が発生し辺りは火災に見舞われた。

 

「よし成功だ…!急いで離脱する!」

 

ジョーレンとアイデンは立ち上がり脱出する為に通路へ向かって走り出した。

 

途中で起き上がったシス・トルーパー達は2人を倒そうとブラスター・ライフルを構えるも速やかに撃ち殺された。

 

ハンガーベイを抜け、2人は通路を駆けた。

 

それを復帰したシス・トルーパーや応援に駆けつけた別の部隊が追撃する。

 

シス・トルーパーのブラスター弾が通路を横切り、2人を抹殺しようと迫り掛かった。

 

2人も走りながらブラスター・ライフルで反撃する。

 

しかしどちらも弾丸は当たることなく追いかけっこは続いた。

 

「チッ!ドロイド、スタンだ!少佐すまないが10秒持たせられるか」

 

「15秒でも問題ありませんよ!」

 

アイデンは自身のシーカー・ドロイドに命令を出しその間にアイデンとジョーレンは振り返りブラスター・ライフルの引き金を引いた。

 

突然の反転攻撃によりシス・トルーパーが2人ほど撃ち殺された。

 

アイデンとジョーレンは物陰に隠れつつ銃撃戦を開始する。

 

シス・トルーパーも負けじと撃ち合うが有効的な攻撃とはならずにいた。

 

そこへアイデンが放った刺客が牙を向く。

 

密かに天井を伝ってシス・トルーパーの間に入ったシーカー・ドロイドは凄まじい電撃を放ち、シス・トルーパー達を全員感電させた。

 

トルーパーは痺れ、戦闘不能となったシス・トルーパー達はそのまま全員が地面に倒れた。

 

ドロイドは喜びの電子音を上げながらアイデンの下へ戻ってきた。

 

「ありがとう」

 

彼女はシーカー・ドロイドに優しく声をかけた。

 

ジョーレンも「いいドロイドですね」とシーカー・ドロイドに目を向けた。

 

「そいつに名前とかはないんです?」

 

「名前?ああ…考えたこともなかった。ドロイドに愛着を持つのは好ましくないと教えられてたから」

 

「ああ…なるほど」

 

ジョーレンもどこか納得したように苦笑いを浮かべた。

 

やはり教えることはどこも同じなようだ。

 

無駄話をしている暇もなくすぐにシス・トルーパーの部隊が奥からブラスター弾と共に現れた。

 

「チッ!」

 

何発か反撃すると2人は再び走り出した。

 

その道中アイデンのコムリンクに通信が入った。

 

「シュリブか!どうした!」

 

それは今ステーションの外で“コルウス”と共に戦っているシュリブからだった。

 

『アイデン!このままだとまずい!敵の数が多すぎてもう俺と“コルウス”だけじゃどうしようもない!』

 

1機のXウィングと一隻のレイダー級ではこの揚陸部隊と戦うには戦力的に開きがありすぎた。

 

敵は常に編隊を組んで何十機ものスターファイターで迫り来るのに対しシュリブは常にシュリブ1機で戦っている。

 

コルウス”の対空兵装を合わせても戦力差を埋められるものではなかった。

 

しかし今の状況では人員も限られておりとてもシュリブの増援に人を送れる状況ではなかった。

 

「“コルウス”の防衛に専念して、今はそれしかない」

 

『ああ分かった…!せめてあと1機でも多ければな…!!』

 

シュリブは半ば叶わぬ願いとしてそう叫んだ。

 

今の状況でスターファイターを増援に出すことは無理だ。

 

()()()()()()()()()()()()()”、だが。

 

『いいやいけるよ!』

 

次にコムリンクから聞こえた声はジェルマンだった。

 

彼は通信を繋いでいる誰よりも気力のある声で話した。

 

「それは一体どういう…」

 

その答えはすぐに分かった。

 

2人がちょうどビューポートのある開けた場所に出るとその答えが宇宙空間を駆け抜けていた。

 

ジェルマンとジョーレンが乗っていたUウィングが青白いエンジンの炎を巻き上げ戦場へと向かっていた。

 

「おいジェルマン、これは一体どういうことだ?」

 

ジョーレンは急いでコムリンクに声をかけた。

 

あの機体に当然ジョーレンは乗り込んでいないしジェルマンが乗り込んでいるとも思えなかった。

 

『前に一度、基地で改修したことがあっただろ?その時に自動操縦システムと自動戦闘システムを取り付けたんだ。単独で操縦してしばらくは戦えるようになってるんだ!』

 

「そんなの初めて…って前一度聞いたことあるな…」

 

『それに自動戦闘システムには少し改良を加えてある!』

 

ジェルマンの言う通り戦場に到着したUウィングは鬼神の勢いでシュリブや“コルウス”の危機を救い、シスTIEファイターを撃墜していった。

 

ブラスター砲やイオン砲で敵機を徹底的に追い詰め、逆に敵機のレーザー砲は軽々と躱し続けていた。

 

とてもドロイド・スターファイターが操縦する機体とは思えない技術だ。

 

コルウス”に取り付こうとするシスTIEファイターを一掃しさらに近くのTIEボーディング・クラフトを撃墜した。

 

『おお凄いぞ!おかげで道が切り開けた!』

 

シュリブからは喜びの声が上がった。

 

その間にもシュリブと無人のUウィングは“コルウス”を守り続けていた。

 

『とても無人機とは思えない動きだ!一体どんな技術を詰め込んだんだ?』

 

シュリブは思わずジェルマンに尋ねた。

 

無人のUウィングの動きは一流のパイロットにも負けてはいない。

 

『システムに“()()()()()()()”、うちのパイロットの操縦技術を。まさかここまでうまくいくとは僕も思ってなかったけど』

 

「それってつまり…」

 

ジョーレンは薄々勘付いたのかブラスター・ライフルを構え苦笑混じりに言葉を発した。

 

すぐにジェルマンからコムリンク越しに返答が来る。

 

『ああ!ジョーレンの操縦技術と戦闘技術を機体に憶えさせた!今のUウィングはジョーレンが操縦しているのとほぼ同じ動きが出来る!』

 

ジェルマンとジョーレンが請け負う任務の状況によっては機体を自動で動かす必要があった。

 

しかも大抵の場合任務は過酷で通常のドロイド・スターファイターでは技量不足となることも多々ある。

 

その為ジェルマンはある工夫を期待に施した。

 

それがメインパイロットの操縦技術のラーニング、つまりジョーレンの操縦パターンや戦闘技術を機体に学習させ自動操縦時にジョーレンと同じ動きを出来るようにしたのだ。

 

幸いにもジョーレンの操縦技術や戦闘技術はやはり経験を積んできたのか新共和国軍スターファイター隊のパイロットとも遜色ないほど優れている。

 

その技量を学習したUウィングの自動操縦システムと自動戦闘システムもまた優れたものになっていた。

 

しかもジェルマンとジョーレンのUウィングは改修が施されており通常のUウィングよりも遥かに性能が上がっていた。

 

並のシスTIEファイターでは撃破不能なほどにだ。

 

そんなUウィングが宇宙空間での戦闘に合流したことでシュリブや“コルウス”もかなり負担が軽減されていた。

 

「シュリブと“コルウス”はこのまま輸送中の艦隊の護衛に専念しろ、一隻たりとも失う訳にはいかない」

 

『了解した!』

 

「ジルディール大尉とデルは引き続き艦隊を移動させろ、我々で敵を防ぐ!」

 

『了解!』


「了解した…!」

 

ジョーレンはスモークグレネードを展開し煙幕の中にブラスター弾を叩き込みつつ2人で別の地点に急いで移動した。

 

敵が突然襲撃をかけたのにも関わらず2つの特殊部隊は連携し見事に対応していた。

 

このままいけば任務の目標通り、この図剪除に放置された全ての艦船を残らずレジスタンス領に持ち帰ることが出来る。

 

だが当然シス・エターナルもこの程度で攻撃を止めるはずもない。

 

既にセキューター級からは新たなゴザンティ級が発艦し造船所地帯に向かおうとした。

 

()()()()()()()()()()()”。

 

 

 

 

 

 

-ディープ・コア 特別造船所-

デルヴァードス将軍がディープ・コアに残していた造船所では密かに入ったクワットの作業員達が日夜残された艦船の復元と新造艦の建造を行っていた。

 

クワットはこのような隠された造船所や兵器工場を自領内のクワット宙域内や他の場所に幾つか保持していた。

 

その為クワットは表向きの工業力よりも更に巨大な工業力を有しておりそれで“()()()()()()()”としての役割を果たしていた。

 

「ご存知だと思いますがこちらが“ナイト・ハンマー”、デルヴァードス将軍が遺したエグゼクター級スター・ドレッドノートです」

 

この造船所の所長を務めるワイファン・パーキスは後から来たオルトロフ、ヴァティオン、プレスタに説明した。

 

彼はオルトロフの甥っ子であり同じパーキスの家の生まれだった。

 

ワイファンは以前までクワットにいたのだがこの数年でたった一つ問題行動を起こした結果、このような銀河の暗闇での仕事を任せざるを得なくなった。

 

第三帝国が中央政府として君臨し始めた頃、惑星フェダルの非合法とされていたトワイレックのスパからワイファンが姿を表したという噂が流れ始めた。

 

第三帝国にとってトワイレックは当然“()()()()”であり丁度この時トワイレックのスパにはFFSBの職員が調査に入っていた。

 

勿論決定的な証拠はなかった。

 

だが調査に携わった職員曰く「よく似ている」らしくその日丁度フェダル政府との調整の為にワイファンがフェダルを訪れていたこともあり疑惑は半ば確証化していた。

 

第三帝国関係者からの疑いの目は強くなり泣く泣くワイファンは公職を降り、表舞台から姿を消した。

 

そんな甥っ子を憐れんだのか、将又その能力とノーマークさに目をつけたのかオルトロフはワイファンをこの特別造船所の所長に推薦した。

 

彼の目は正しくワイファンは能力を十分に活かしこの特別造船所で日夜密かに艦船兵器類を造り続けていた。

 

「既に外装内装含め96%が完成しあと少しで進宙可能です。一応運用テストも行いたいので正式な就役はもう少し先になりそうですが」

 

「これが噂の幻のエグゼクター級ですか。話に聞いた通り真っ黒ですね」

 

プレスタは“ナイト・ハンマー”の船体を眺めそう感想を呟いた。

 

ナイト・ハンマー”はステルス性も考えられているのか船体色は黒で統一されている。

 

まさに本来の艦名の通り“Night hammer(暗黒の槌)”な訳だ。

 

「丁度うちが密かに建造中の“守護者(Guardian)”とはまた違った趣がある。こいつと組み合わせる用の艦隊の建造はどうなっているんだ」

 

「問題なく進行しております。既に何十隻もの艦船が進宙しテスト航行を行っています。プラキスやらのおかげで第三帝国にも発見されることなく上手くやれてますよ」

 

ディープ・コア内にも第三帝国の影響は滲み出ている。

 

銀河内戦後期に独立した独裁国家であるプラキス立憲保護領は名目上第三帝国との同盟国であり他の勢力は全て第三帝国を恐れて中立となるか国防軍や親衛隊に帰属した。

 

そうでない者、例えばここの持ち主だったデルヴァードス将軍やグランドモフ・ガーンなどは皆第三帝国によって抹殺されてしまった。

 

当然名目上第三帝国に従い顔色を窺っているディープ・コアの面々も内心は穏やかではない。

 

特にプラキス立憲保護領はクワットからの軍事援助を受けるという秘密の約束を取り付け、この造船所の存在を第三帝国から隠し続けていた。

 

「鎖国主義者のモフブリルも、クワットの兵器類を前にしたら顔色を変えた。まあ内心自国だけでやっていきたいと思っているだろうがな」

 

ヴァティオンは皮肉混じりにそう呟いた。

 

元々プラキス立憲保護領はフォガ・ブリルというモフがエンドアの戦い後に誕生させた軍閥国家であり鎖国主義を旨とし、長らく独裁体制を敷いていた。

 

第三帝国情報部が掴んだ話によればプラキス立憲保護領は既に独自の経済体制を展開しており内部ではモフブリル統治の下、赤衛警察( Red Polis)という民兵組織が治安を維持していた。

 

同地の駐留艦隊は他の合流してきた艦隊と共に大帝国宇宙軍という独自の宇宙艦隊に再編されプラキス保護領を守護している。

 

外部との繋がりとしては経済的にはマイニング・ギルドとの繋がりはあるものの他は第三帝国が到来する以前は皆無と言っていいほどだった。

 

直属の上官であるグランドモフ・ガーンの指揮にも属さず艦隊も全てモフブリルの指揮の下にあった。

 

本来モフブリルはこの体制を続けていきたかったのであろう。

 

だが第三帝国はコルサントを奪還し我らクワット、そして盟友のコレリアなどを組み込み、遂には新共和国すら下した。

 

グランドモフ・ガーンや他の軍将達も粛清された以上プラキス立憲保護領も危うい立場となっていた。

 

その為モフブリルは方針を転換し第三帝国に半ば従属する形で同盟国となり領域と国家体制の安堵を取り付けた。

 

ディープ・コアよりもまずは帝国の旧領奪還をと息巻いていた第三帝国はこれを受け入れ両者の間には同盟が誕生した。

 

こうしてモフブリルの箱庭帝国は彼の首の皮と共に繋がれた訳だがそれでも不満は溜まっていた。

 

このままではいつ第三帝国がディープ・コアにまで進駐してくるかも分からない、モフブリルには不安が溜まっていた。

 

そこでヴァティオンはモフブリルの不安に漬け込み件の密約を交わした。

 

もはや国交を塞いでいる事態ではなかった為モフブリルは彼にしては簡単に受け入れてくれた。

 

「しかし奴と密約なんかを交わしてよかったのか?バレたら第三帝国から何を言われるか分からん、それにプラキス内ではかなり残虐な弾圧も行われているんだろう?」

 

モフブリルは自身の帝国を安定させる為警官隊や軍を使って惑星内の反対派を弾圧しているという噂があった。

 

実際それは半ば本当なのだろう、どこの軍閥もなんなら宗主たる第三帝国の同じだ。

 

尤もこの中だと第三帝国の弾圧が最も酷いと思われるが。

 

「バレなければ問題ない。それに関してはやがて抵抗派にこちらからも“()()”を行うつもりだ、小規模であれば投資出来る余裕はある」

 

プラキス内にコネクションを多く作っておくことは重要だ。

 

誰が倒れようと関係を維持出来る。

 

逆にこちらの手法がバレてもこちらに対するダメージは少ない。

 

ここの造船所もいつでも引き上げさせることは可能だ。

 

「隠蔽に関しての問題は少ないのですがそれ以上に人手が足りていません」

 

「人手?ここには十分の労働者を送ったはずだ。特に非人間種の」

 

「いえ、労働力は十分に足りています。問題は完成した兵器類をテストする人員です。こちらは我々の軍から引き抜いていますがそれでも足りません」

 

3人は顔を見合わせた。

 

クワットにはある程度の自由が認められておりその一つが惑星防衛軍、惑星防衛艦隊の保有だった。

 

通常では国防軍に併合されてしまうこの軍事力もクワットの影響力により存続した。

 

クワット宙域軍はクワット宙域を防衛すると同時に各地の造船所や工場の警備、建造された軍艦類のテストなどを行っていた。

 

この特別造船所にも同じようにクワット宙域軍の部隊が派遣されているのだがワイファンはその人手が足りないと訴えた。

 

「これからこの“ナイト・ハンマー”を動かすことを考えても現在の人員では到底足りません、何とか出来ないでしょうか」

 

「しかしこれ以上軍から送るのは難しいぞ、流石に怪しまれる」

 

“特別任務”を称して本国から部隊を派遣するのは簡単だが流石に何度も連発すると第三帝国も疑問に思うだろう。

 

一体どこに送っているのか、特別任務の内容とは一体何なのか。

 

深く探られては一瞬で全てが暴かれてしまう。

 

だがワイファンの訴えた問題は解決しなくてはならない。

 

「…ひとまず何とか部隊を抽出する、本格的な代案は本国に帰ってから検討させてもらう。いいか…?」

 

「…分かりました、こちらでも何とかしてみます」

 

「ああ…頼んだ、ん…?」

 

彼らが話していると奥からヴァティオンの秘書官の1人が駆け足でヴァティオンの方に向かっていた。

 

秘書官は「会長!」と慌てた様子でヴァティオンの近くまで走ってきた。

 

「会長!クワット本星からです!大セスウェナ連邦盟主ヘルムート・ターキンが会談を申し込みたいと!」

 

ヴァティオンはプレスタらと顔を見合わせた。

 

一体大セスウェナの若頭が何の用かとヴァティオンは思考を巡らせた。

 

しかし答えは出てこないのでそのまま「一体何のようなんだ?」と口に出した。

 

大セスウェナもクワットからしてみれば“()()()()”の1人だ。

 

「それは…分かりませんが……とにかくコルサントに償還される際に我々と会談したいと…」

 

「確かに断る理由はないが…分かった、日程を組んでおいてくれ」

 

「はい」

 

ヴァティオンは疑問を心の奥底に持ちつつも手すり越しから再び“ナイト・ハンマー”を見つめた。

 

「クワットの市場は更に拡大する、彼ら(第三帝国)にも、彼女ら(レジスタンス)にも」

 

そのまず先駆けとなるのがこの“ナイト・ハンマー”だろうとヴァティオンは考えていた。

 

 

 

 

 

 

-惑星コルサント 総統府 閣僚会議室前ギャラリー-

今日、総統府では何人かの国防軍、親衛隊高官による会議が開かれていた。

 

議長はカイティス大将軍が務め、国防軍からはヨーデル将軍が参加し各兵団の副官や参謀長としてハース・グレプス上級大佐、ヴィルへルン・バルクドルフ大佐が参加した。

 

親衛隊からはバエルンテーゼ上級大将、アルフェンマイヤー上級大将、そしてフリューデンベルク上級大将の代理としてヘイルン・フェーべライン大佐が参加していた。

 

既に会議は終了し参加者達はそれぞれ疎に会議室前で座り雑談を交わすか次の仕事の為に帰るかしていた。

 

今ここにはカイティス大将軍、ヨーデル将軍、バエルンテーゼ上級大将、グレプス上級大佐、バルクドルフ大佐そしてフェーベライン大佐が雑談を交わしていた。

 

ヨーデル将軍が通路の周りをウロウロしグレプス上級大佐とバルクドルフ大佐は通路に立っており、他の3人は近くのソファーに座っていた。

 

「シス・エターナル軍の攻勢、今も破竹の勢いらしいじゃないか。こないだもついにあのレジスタンス軍の“()()”を陥落させたとか」

 

バエルンテーゼ上級大将は国防軍の将校らに話を振った。

 

国防軍と親衛隊は同じ第三帝国の軍事組織であるが性質が似通っている為かかなり敵対視することがあった。

 

だがジークハルトやバエルンテーゼ上級大将のように国防軍とも親しく連携が取れる将校も決して皆無な訳ではない。

 

根っこは同じ帝国軍の将兵だ。

 

「ああ、逆にこちらの駐屯兵が追いついていないぐらいだ。シス・エターナル軍の司令官から逆に『もっと駐留軍を寄越せ』と言われた」

 

カイティス大将軍はそう答えた。

 

彼は総統に次ぐ国防軍のトップであり当然シス・エターナル軍との連絡口もカイティス大将軍が請け負っていた。

 

「それは我々にも言われた」

 

「親衛隊からも部隊をもっと派遣出来ないのですか?」

 

ブルクドルフ大佐はバエルンテーゼ上級大将に尋ねた。

 

上級大将は難しい顔を浮かべながらもすぐに答えた。

 

「私としてはハット・スペースにおいてある部隊とエストランの部隊を送るよう提案した。だがどちらとも…」

 

「ダメだったか…」

 

「片方はシュメルケに、もう片方は」

 

「ヒェムナー長官に、ですね。あの方がエストラン宙域から部隊を出すとは思えませんし」

 

フェーベライン大佐は人を小馬鹿にしたような笑みのままそう答えた。

 

一方でバエルンテーゼ上級大将は困ったような顔で小さく頷いた。

 

「シュメルケ元帥としてはあそこの戦力を動かしたくないだろうな。シス・エターナル軍と共にレジスタンス軍を殲滅した後の“()()”の為にも」

 

「となるとやはり…」

 

ヨーデル将軍の問いにバエルンテーゼ上級大将は小さく頷いた。

 

「既に親衛隊では“ケッセル侵攻計画”の作戦議題が持ち上がっている。いよいよハット・スペースを経由してケッセルに直接侵攻を行うつもりだ」

 

長らくケッセルは第三帝国の帰属要求を無視し続けていた。

 

ソス・ビーコンの会合にも応じずファースト・オーダーと同盟を締結した時も、チス・アセンダンシーと中立条約を結んだ時もケッセルには声をかけたのだがケッセル自身が応じようとしなかった。

 

既にあそこはケッセル王室が同地の帝国軍駐留軍と結びつき一つの宙域を基盤とした独立国家として確立している。

 

まともに戦えばそれはラクサス、アンシオンと同レベル、いやそれ以上の戦いとなるだろう。

 

むしろ一つの戦線と化すかもしれない。

 

その為第三帝国としてもケッセルへの攻撃には地理的な限界も含めてハット・スペースの大粛清時も決して手を出すことはなかった。

 

ハット・スペースを東方の生存圏として国家弁務官区化した後も同地の駐留軍は頑なにハット・スペースの領域内に留まり続けていた。

 

しかし帰属に応じない高々ケッセルの、しかも顔のいい小娘が指導者をやっているスパイス狂いの軍閥国家など旧帝国の復活と旧領奪還を謳う第三帝国がその存在を許すはずもない。

 

いつかは、やがていつかはと一部の将校達はケッセルに対する戦争計画を練っていた。

 

それに代理総統が掲げた“()()()()()()”とはハット・スペースを併合してそれで終わりではない。

 

極東の領域、ケッセル、ベリズ、カラロン、バクセル、アルバニン、ゾラスター、アルナスール、ガローフ、この8つの宙域も生存圏に組み込むことが総統の掲げる理想への一歩だった。

 

これを実現する為にはやはりケッセル王国は邪魔だ。

 

排除する必要がある。

 

それにケッセルでは良質な燃料が取れる上に良質なスパイスも同時に存在している。

 

燃料は当然帝国宇宙軍の大艦隊を動かす為に必要であるしスパイスは単に薬物としてではなく医療品としての需要もある。

 

戦争が長く続くこの銀河系にとって医療用スパイスはバクタと同じく重要視されている。

 

それらを全て叶え、手に入れる為にも親衛隊ではケッセル 排除の為の作戦計画が持ち上がり上級大将達は皆真面目な顔で議論が交わしていた。

 

いよいよ親衛隊の判断では“()()()()()()()()()()()()()()()()()”という烙印を押された。

 

これからの第三帝国の脅威はレジスタンスの誕生を受けて二の次三の次とされていた帝国軍残存勢力の討伐に移りかけていた。

 

「そのような話、我々にもして良かったのですか?」

 

グレプス上級大佐はバエルンテーゼ上級大将に尋ねた。

 

上級大将は「どうせすぐに総統閣下から似たような作戦を計画するよう言われる」とどこか諦め気味に答えた。

 

「何せケッセル侵攻は総統閣下も強くお望みだ。シュメルケやヒェムナー長官が冷めた笑顔混じりに命ずるようなものではない」

 

「総統の命令であれば我々も期待に応える必要がある」

 

カイティス大将軍は真っ先にそう答えた。

 

彼が国防軍のナンバー2、国防軍最高司令部総長としての地位にあるのもその事務的な能力と代理総統への忠誠心からが大きい。

 

帝国軍人らしいその風貌よりも忠誠心と能力がカイティス大将軍を上位の地位まで登らせた。

 

「間も無く調査隊と交代しヴィアーズ大将軍が帰ってくる。その時までに総統からご命令はきっと下るはずだ」

 

「しかし、君らやヘルダーがいくらその気でも宇宙軍の方はどうだ。オイカンやパワー、デルニッツはそう簡単に首を縦に振るとは思えん」

 

人々が遠い昔の更に昔に宇宙空間に進出し星々を行き来するようになってから戦争のあり方も一変した。

 

星から星へと戦争を続ける為には宇宙軍と宇宙艦隊が必要であり惑星内で戦闘を行うにしても輸送艦による揚陸や軌道上からの支援が必要となった。

 

もはやこの銀河系での通常戦争において地上軍単独で戦争を行うことはまず無理だ。

 

宇宙軍の存在は必要不可欠であり、地上軍と宇宙軍どちらかが欠けては決定的な勝利を掴むことは出来ない。

 

その為双方の士気が高く尚且つ双方の連携が保たれていることが勝利の秘訣なのだが中々そうはいかない。

 

異なる軍種同士を統合運用するのは難しいものだ。

 

「総統の一声があればなんとかなるはずだ。宇宙軍とて総統の命令を断るのは無理だ」

 

「それにどの道作戦を実行するのはハット・スペースの親衛隊です。国防軍はそれほど心配する必要ないかと」

 

フェーベライン大佐はわざとらしくそう呟いた。

 

彼はその態度や生まれのせいか鼻につく言動が多くフェーベライン大佐のことを好いていない人物も多かった。

 

今の発言は流石にまずいと感じたのかバエルンテーゼ上級大将は威圧を含めてフェーベライン大佐を睨んだ。

 

フェーベライン大佐はおお怖い怖いと言った少し生意気な微笑と共に口を閉ざした。

 

「…とにかくそう遠くない日に再び帝国同士の戦いが始まる。まあレジスタンスもまだ残っているしナブーすら奪還出来ていない、実行されるのは当分先だろうがな」

 

バエルンテーゼ上級大将は険しい表情で遠くの方を見つめた。

 

この時バエルンテーゼ上級大将は気づかなかったがちょうど彼が見つめた遥彼方先には件のケッセルが存在していた。

 

そこには第三帝国すら知らないケッセルの大艦隊が存在しケッセルを守り続けていた。

 

第三帝国は既に大きな読み間違いをしている。

 

総統の狂気の野望の為にケッセルにまで手を出そうとしているがここの狂気はベクトルが違う。

 

コア・ワールドの者達が敵う者ではないのだ。

 

そして既にケッセルは“()()”している、第三帝国なんかよりもずっと“()()”しているのだ。

 

「ハット・スペースのウルマトラとニミアとイリーシアの地上軍基地が再び改装を始めたそうです。新しく施設を増設すると我が情報部がキャッチしました」

 

ケッセル情報部(Kessel Intelligence Service :KIS)、通称KISの将校はクラリッサ、テシック大提督、マルスが集まる執務室で報告を行っていた。

 

テシック大提督は機械の身体を動かしソファーにもたれ掛かった。

 

歴戦の猛者であるテシック大提督ならば分かる、第三帝国はそう遠くない未来にケッセルへと攻め込むつもりだ。

 

ウルマトラはハット・スペース内で最もケッセル宙域に近い主要惑星で既に領域線の警備隊の拠点として機能している。

 

侵攻軍を送り込み最も前線に近い司令部と兵站拠点にするにはもってこいの立地だ。

 

またニミアはケッセル宙域に直接面している惑星ではない。

 

しかし遠回りだがハイパースペース・レーンを通り、カラロン宙域から進軍すればちょうどケッセル本土の裏を取れる。

 

イリーシアの基地も同じような理由だろう。

 

上手くいけば一気に三方向からケッセルを取り囲んで殲滅出来る体制を構築するつもりだ。

 

「そうか、では領域内に潜むパルチザンに紛れて基地の増設を妨害を従来の非対称戦に優先して組み込め」

 

「了解しました、それでは」

 

将校は敬礼し執務室を後にした。

 

テシック大提督はふとクラリッサの方へ目を向けた。

 

「…第三帝国、いよいよ本格的に我々に牙を向くつもりだな。遂に我々が戦争の当事者となる」

 

「シス・エターナルというイレギュラーな存在のおかげで遠ざけられていたものが今になって戻ってきただけのこと、そんなに気負う必要はありませんわ。むしろ、そっちの方が刺激的ですわ」

 

クラリッサはスパイスの香りを楽しみつつそう言葉を返した。

 

マルスも険しい表情を浮かべ小さく頷いた。

 

「第三帝国には今まで味わったことのないような、とびっきりの刺激(スパイス)を与えて差し上げましょう。まずはエリアドゥの白髪の方にも一声かけませんと」

 

クラリッサの微笑みは相変わらず年相応でありそして悪魔的だ。

 

第三帝国は既にケッセルという名の悪魔に魅入られている。

 

第三帝国は再び誤った道を進もうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

セキューター級から発艦したゴザンティ級は多くのシスTIEファイターに守られながら造船所地帯へ突き進んでいた。

 

本来TIEファイターやウォーカーを取り付けているはずのクランプには謎のコンテナが左右両方に取り付けられておりレジスタンス側に多少の不安を与えた。

 

「あのゴザンティ、何か妙だ…“コルウス”、それとシールズ、あのゴザンティ・クルーザーを優先して攻撃する!何か妙だ!」

 

『了解!』

 

UウィングとシュリブのXウィングが先行しゴザンティ級に攻撃を行った。

 

しかし周りのシスTIEファイターが2機の攻撃を妨害し数で動きを封じ込めようとした。

 

一方で後方からターボレーザーとイオン砲で砲撃する“コルウス”も妨害を受けていた。

 

セキューター級のその巨体からなる砲撃はより一層苛烈さを増し、しかもシスTIEファイターも再び対艦攻撃を開始した。

 

敵機の物量に阻まれゴザンティ級に攻撃することは愚か自分の身を守るのも難しい状態となっていた。

 

「クソッ!!一体なんなんだ!!どうしてそこまであのクルーザーをっ!」

 

敵機のレーザー砲を躱しながらシュリブは苛立ちを言葉に乗せてぶつけた。

 

だがそれではこのシスTIEファイターの群れをどうすることも出来ない。

 

1機づつ確実に撃墜していくしかなかった。

 

だがそれでは間に合わない。

 

既にゴザンティ級は“コルウス”の合間も突破し造船所地帯に突っ込んでいった。

 

「チッ!しまった!」

 

シュリブは反転し追撃しようとするがその隙を狙ってシスTIEファイターがレーザー砲を放ってくる為思うように出来ない。

 

それはUウィングも同じでシュリブの命令を聞いて優先ターゲットをゴザンティ級にしていたのだがやはりこちらも護衛機の抵抗を受けて追撃出来ずにいた。

 

シュリブは急いで造船所の制御ステーションにいるアイデン達に通信を繋げた。

 

『アイデンすまないっ!ゴザンティ級を一隻取り逃した!しかもそいつは何か変なコンテナを取り付けている!気をつけろ!』

 

「えっ?」

 

アイデンは再び別のハンガーベイに攻撃を仕掛け追ってきたシス・トルーパー達と交戦中だった。

 

この通信はアイデンだけでなく制御室で艦隊の制御をしているジェルマンとデルにも聞こえていた。

 

ジェルマンはそのコンテナについて少し思い当たるものがあった。

 

「シールズ、こちらに戦闘中のゴザンティ級の詳細画像を転送せよ」

 

ジェルマンはコムリンクを使って自動操縦中のUウィングに命令を出した。

 

Uウィングから速やかに画像が送られ、ホログラムとして映し出される。

 

「本当にコンテナをそのまま付けてある。しかもこのコンテナ……」

 

デルは帝国軍のしかも特殊部隊で戦っていた経験もあるのかすぐに険しい表情を浮かべた。

 

それはジェルマンも見覚えがあった。

 

かつて銀河内戦がまだ行われておりジェルマンが一介の士官候補生だった頃、帝国情報部の将官がホズニアン・プライムの艦隊情報部支部(当時はまだ首都はシャンドリラにあった為)にハッキング攻撃を仕掛けるという事件があった。

 

この攻撃はジェルマンらによって防がれ逆にハッキング攻撃をした側が位置を特定され新共和国艦隊の攻撃を受けて壊滅した。

 

この一連の事件はへリック艦隊への急襲と言われ帝国軍は情報部の有力な将官を失ったことにより諜報能力が大きく衰えた。

 

一方でハッキングが成功していれば新共和国が大変な被害を被っていたのも事実だ。

 

何せこの時点で艦隊はホズニアン・プライムの機能麻痺による上陸作戦まで計画しておりその上陸作戦で使われる予定だったのがあのゴザンティ級に取り付けられているコンテナと同じものだ。

 

しかもジェルマンはここ最近であのコンテナの中身と戦ったことがある。

 

「アイデン!まずい…!このままじゃあ奴が入ってくる…!」

 

「ああ!本当にまずい!!しかも態々ハンガーベイから突入する必要がないから時間を稼ぐのは無理だ!」

 

2人は口を揃えてコムリンク越しに懸命に訴えた。

 

コムリンクからは銃撃の音と共にアイデンの「一体何が来るの!?」と逆に尋ねる声が聞こえた。

 

これも2人は口を揃えて答える。

 

敵は“ダーク・トルーパー”の大群だと。

 

 

 

 

『艦長、予定地点に到着しました』

 

ゴザンティ級で指揮を取る大尉がセキューター急に通信を繋げ艦長に報告した。

 

艦長は「そうか」と満足げな表情を浮かべすぐに命令を下す。

 

「ではコンテナを全てステーションへ投下せよ。中身は全てキルモードで投入し内部に突入させ制圧部隊に合流させろ。空中機動部隊はその後だ」

 

『了解!』

 

通信は切れ艦長はブリッジの乗組員に今度は命令を下した。

 

「ゴザンティ級が部隊を展開させるまで敵部隊に対する砲撃を強めろ!スターファイター隊で包囲しつつ確実に潰す」

 

ステーションの中では敵の巧みな妨害によってシス・トルーパー部隊が足止めを喰らっているようだが“()()()”がくればもう安心だ。

 

狭い室内戦においてあれに敵う者は存在しないだろう。

 

敵がどれだけの手練れだとしても敵は必ず打ち倒される。

 

その後に宇宙空間で戦っているスターファイター隊とあのレイダー級を撃破すればいい。

 

もはや勝敗の行く末は見えている。

 

ゴザンティ級はそのまま制御ステーション近くに止まり、コンテナを4つ投下した。

 

コンテナはゆっくりステーションの外壁に取りつきコンテナ自身をステーションに外壁にロックさせた。

 

しばらくするとコンテナのハッチが開き光が当たらないコンテナの中身が解放される。

 

その瞬間、まるで洞窟の中の蝙蝠のように赤い“()”は光を発しゆっくりと外へ出始めた。

 

これこそがジェルマン達が恐れていた敵にしてセキューター級の艦長が敵う者なしと評した“ダーク・トルーパー”だ。

 

真っ黒な装甲に人間のような手足を持つこのドロイド・トルーパーはロケット・ブースターを操作しつつ周囲に飛び散った。

 

他の3つのコンテナからもダーク・トルーパーが放出され既に動き始めていた。

 

早速1体のダーク・トルーパーが入り口を発見しブラスター・ライフルでこじ開けた。

 

1体ずつだが確実に内部に侵入しジェルマン達に対する攻撃は今にでも始まりそうだ。

 

また他の入口からもダーク・トルーパーはステーション内部に侵入していた。

 

ステーション内に侵入したダーク・トルーパー達は隊列を組み制御室に向かって進軍を開始した。

 

勿論その様子はアイデンのシーカー・ドロイドによって確認されている。

 

近くのソケットを通じて監視カメラにアクセスし情報をアイデンに伝えていた。

 

「ダーク・トルーパーが侵入してきた…!」

 

「ここはもう切り上げましょう…!」

 

ジョーレンはアイデンにハンドサインを送りグレネードを本来付ける部分に煙幕弾を取り付け発射した。

 

シス・トルーパーはブラスター弾を放ち果敢に突撃するも既にアイデンとジョーレンの姿はなかった。

 

2人はジョーレンの合図した通りアセンション・ガンからグラップリング・フックを放ち天井を伝って脱出していた。

 

天上の中を駆け足で移動しながら対ダーク・トルーパーに対する作戦を考えた。

 

「少佐、ダーク・トルーパーとの戦闘経験は?」

 

まずアイデンはジョーレンに一つ尋ねた。

 

ジョーレンは包み隠さず「ああ…何度かは」と答えた。

 

「ついこないだもルーサンで戦った。だがあの時はイオン・ブラスターと上空からの支援があった、今は…」

 

「どちらもないと」

 

ジョーレンは苦笑混じりに鼻で笑った。

 

残念だがアイデンのいうことは正しい。

 

イオン兵器はあっても肝心のイオン・ブラスターはUウィングにつけたままだしこのステーションは閉所である為航空支援は受けられる訳がない。

 

手持ちの武器と自分達の技量であのバトル・ドロイド・トルーパーに打ち勝つ必要があった。

 

「しかも今回は室内、多分ダーク・トルーパーの方に相当分がある。我々にとっては厳しい戦いになるな…」

 

ジョーレンは最大限ダーク・トルーパーと戦える装備を整えつつ不安げに呟いた。

 

相手が強敵なのはもう十分承知している。

 

だが今回もやはりやるしかないのだ。

 

「よし…!ここで降りるぞ…!」

 

アイデンは鉄格子を蹴破り2人は再び通路に出た。

 

「ダーク・トルーパーの分隊が迫ってきている、少佐は向こうで迎撃を」

 

「了解」

 

ジョーレンはレーザー・マインを受け取ると反対側の壁に仕掛け敵を待ち伏せた。

 

ブラスター・ライフルの状態をチェックしジョーレンはグレネードランチャーにグレネードを装填しアイデンも自身のT-50のガスを装填し直した。

 

すると遠くから重厚さを含んだ足音が聞こえてきた。

 

そのいくつもの足音はゆっくりと確実にアイデンとジョーレンの下に近づいている。

 

徐々にソレはぼんやりとだが姿を現した。

 

赤いデュアルアイに黒い装甲のボディ、間違いなくダーク・トルーパーだった。

 

ひとまずは4体、一つのユニットを組めるほどには存在していた。

 

2人は敵を確認し装備を変える。

 

とても現在のブラスター・ライフルがあの鋼鉄の機械に通じるとは思えない。

 

アイデンはパルス・キャノンに武装を変更しジョーレンはA280-CFEにスナイパー用のアタッチメントを取り付けさらに専用のパワーセルを取り付けた。

 

これでアイデンと同じくパルス・レーザーが撃てる状態となった。

 

2人はスコープを合わせ狙いを定める。

 

アイデンがハンドサインで頭部を狙えと指示を出した。

 

2人はある1体のダーク・トルーパーの頭部に狙いを定め5秒後に攻撃するとアイデンが再び指示を出す。

 

ジョーレンは頷きしっかりブラスター・ライフルを構えた。

 

たった5秒だが伸し掛かる重圧と敵からの圧迫感で5秒が50分にも5時間にも感じられた。

 

しかし時の流れを変える事は出来ない、遂に時間が来た。

 

2人はほぼ同時に引き金を引きパルス・レーザーを放った。

 

2本の黄緑色のレーザー弾がピッタリ同じ箇所に被弾しダーク・トルーパーの黒い装甲が溶解し火花を散らした。

 

だがダーク・トルーパーは倒れる事はなかった。

 

火花を散らしながらも他のダーク・トルーパーと共にブラスター・ライフルの引き金を引き何十発ものブラスター弾を発射した。

 

ダーク・トルーパーの一斉射で少々狙いはブレたが2人は焦る事なく狙撃を続けた。

 

再びアイデンが同じ箇所にパルス・レーザーを命中させるもまだダーク・トルーパーの歩みは止まらない。

 

少々動きはおかしくなっていたがそれでもブラスター・ライフルを掃射し容赦なく2人を殺そうとしていた。

 

続いて撃ったジョーレンのパルス・レーザーでもダーク・トルーパーは倒れなかった。

 

赤いデュアルアイが点滅しブラスター・ライフルの照準が全く合っていなくても戦闘をやめず機能停止する事はなかった。

 

駄目元でアイデンが再び同じ箇所にパルス・レーザーを放ちようやくダーク・トルーパーは光を失い地面に崩れ落ちた。

 

被弾箇所から火花を上げ完全に機能停止していた。

 

ようやくこれでダーク・トルーパーが1体倒された。

 

それでもまだ3体も残っている。

 

同型機の残骸を踏み付け後ろのダーク・トルーパーも距離を詰めてきた。

 

ジョーレンが事前に設置したレーザー・マインが作動し爆発したのだがそれでもダーク・トルーパーに対するダメージは殆どなかった。

 

ただ少しよろけるだけだ。

 

アイデンが仕掛けたレーザー・マインが作動してもそれは同様だった。

 

足が吹き飛ぶ訳でもなくましてや転けることすらなかった。

 

しかし動きの僅かな隙を狙ってジョーレンはインパクト・グレネードを2発投げダーク・トルーパーに被弾させた。

 

しかし多少衝撃を受けるだけで装甲には僅かな煤しかついていなかった。

 

「チッ!」

 

ジョーレンはインパクト・グレネードをダーク・トルーパーの煤のついた装甲に投げ付け衝撃で爆発させた。

 

これでようやくダーク・トルーパーの装甲の一部分が僅かに剥がれた。

 

それでもダーク・トルーパーはダメージを気にする事なく前進と攻撃を続けている。

 

徐々に距離は縮まっておりこのままでは2人は蜂の巣だ。

 

アイデンはチャージされたT-50ヘビー・リピーターの震盪ブラストを解放しダーク・トルーパーの被弾箇所に向けて発射した。

 

ブラスト弾は更に剥がれた装甲部分の損傷を更に広めた。

 

イオン・ダメージの影響か攻撃を受けているダーク・トルーパーは動きがぎこちなくなっていた。

 

ジョーレンはそこに通常のブラスター弾を叩き込みダメージを更に与えた。

 

内部がズタズタに破壊されたのかダーク・トルーパーは火花を広げ小爆発を起こして地面へと斃れた。

 

斃れてもなおブラスター弾を発射していたがその影響で無理が祟ったのか再び小爆発を起こして今度こそ完全に沈黙した。

 

これでようやく半分のダーク・トルーパーを倒せたのだがここでイレギュラーな事態が発生する。

 

なんとジョーレンが被弾してしまったのだ。

 

左の二の腕に被弾しジョーレンは苦痛の表情を浮かべた。

 

「援護する!今のうちに処置を…!」

 

「分かってる…」

 

ジョーレンもサーマル・デトネーターをダーク・トルーパーの足元に投げ急いでバクタ液を被弾箇所にかけ、医療用ガーゼを被弾箇所に貼り付けた。

 

負傷もまだ浅い為これで傷はすぐにでも完治するはずだ。

 

その間にアイデンはもう1体のダーク・トルーパーを撃破しようとドロイドと作戦を共有した。

 

「ドロイド、こちらで敵を引き付けておく。その間に装甲の合間にスタンを流せ」

 

シーカー・ドロイドはすぐに了承したと電子音で告げ、アイデンがダーク・トルーパーに銃撃している間にダーク・トルーパーに近づいた。

 

T-50の火力でもダーク・トルーパーには傷ひとつ付かない。

 

しかしダーク・トルーパーは完全にアイデンの方に集中しておりシーカー・ドロイドの存在など気づきもしなかった。

 

ダーク・トルーパーがアイデンにギリギリまで近づいた瞬間シーカー・ドロイドはダーク・トルーパーに飛びかかり、スタン棒を首元に触れさせ一気に放電した。

 

ダーク・トルーパーの全身に電撃が走りなんとか手で払い除けようとしたがその前に全身の回路がショートした。

 

あちこちから火花を上げダーク・トルーパーは地面に崩れ落ちた。

 

これで残りのダーク・トルーパーは1体となった。

 

最後のダーク・トルーパーは急いでブラスター・ライフルを向けシーカー・ドロイドを破壊しようとした。

 

だがその隙をジョーレンが鋭く突いた。

 

ジョーレンはアクバー元帥から貰った爆弾ナイフをダーク・トルーパーの首元に投げた。

 

ナイフは見事に首元に刺さりジョーレンはさっさと爆弾ナイフを起爆した。

 

爆発によりダーク・トルーパーの首は吹き飛び煙を上げながらガシャーンと大きな音を立ててその場へ倒れ込んだ。

 

これでようやく全てのダーク・トルーパーが撃破されたのだ。

 

敵の沈黙と周囲の状況を確認し2人はようやく一息つけた。

 

やはりダーク・トルーパーは圧倒的な脅威だった。

 

たった4体なのにも関わらず通常攻撃は殆ど効かないし爆発も一部の箇所以外は全く通用しなかった。

 

通常の武装では全く歯が立たずジョーレンに至っては負傷までした。

 

2人は珍しくかなり危機的な状況だった。

 

「この敵が少なくともまだ二、三個分隊ほど…」

 

ジョーレンは珍しく弱音を含んだため息をついた。

 

これほどの敵を全てでなくても倒していくのは骨が折れる。

 

2人は今のうちにブラスターをクーリングし次の弾丸が撃てるよう調整した。

 

「ブラスターのパワーセルは?」

 

「こっちも足りてる、ただ問題はこのままだと制御室を守り切るのは至難の業だ。何か方法を考えないと」

 

アイデンは倒した4体のダーク・トルーパーの残骸を見つめそう呟いた。

 

たった距離を取った状態で4体倒すだけでも至難の業だ。

 

特に通常のブラスター・ライフルの攻撃が全く効かないというのが痛い。

 

多少堅くともブラスター・ライフルが通じるのなら一点に集中して攻撃すればまだ勝ち目がある。

 

しかし現実はパルス・レーザーを一箇所に5発も撃ち続けなければ倒せない。

 

恐ろしい相手が投入されてしまった。

 

しかも敵は数も多い。

 

『ジョーレン!!ヴェルシオ中佐!!ダーク・トルーパーの一個分隊が迫ってきている!!』

 

通信が開きジェルマンの声が響いた。

 

しかも最悪な報告と共にだ。

 

「なんだと!?」

 

『なんとかこちらでも応戦してみるが出来れば救援を!!』

 

ジェルマンの背後ではデルが戦闘準備を行なっている音が聞こえてくる。

 

アイデンはすぐに「分かった、今から向かう」と返答した。

 

だが2人にも再び脅威が降りかかる。

 

通路の奥から今度は少し小走りで再び重厚な足音が響いた。

 

その音だけでアイデンとジョーレンの表情は変わった。

 

2人はすぐに通路の合間に隠れブラスター・ライフルを構えた。

 

コムリンクからは『どうしたんだ…?』とジェルマンの心配する声が聞こえた。

 

「すまんジェルマン……こちらも当分救援に迎えそうにない…!」

 

『えっつまりそれって…!』

 

「ああ…!こっちもかなりまずい状況だ…!」

 

「来たぞ…!」

 

アイデンの一言と共に再びダーク・トルーパーの一団が現れた。

 

今度は6体、しかも後ろにシス・トルーパーまで従えている。

 

2人は先制攻撃としてパルス・レーザーを放ち、出来る限りの火力を投射した。

 

ジョーレンが「駄目元で上等…!」とサーマル・インプローダーを投擲しその絶大な火力でダーク・トルーパーを2体破壊し他の敵兵にもダメージを与えた。

 

しかし倒せたのは2体のダーク・トルーパーのみで残り6体はすぐに後ろのシス・トルーパーと共に起き上がり攻撃を始めた。

 

急いで応戦するがダーク・トルーパーの装甲が鋼鉄の盾となり攻撃を全て受け止めていた。

 

その合間からシス・トルーパーがサーマル・デトネーターをジョーレン達の方へ転がしてきた。

 

「まずい!!」

 

ジョーレンはそう口にしたが今の状況では投げ返すことも出来ない。

 

その隙にダーク・トルーパーの容赦のない一層射撃によって倒されてしまうだろう。

 

「離脱する!」

 

アイデンが言い放ったそのわずか数秒後にサーマル・デトネーターは起爆しあたりに爆発を巻き起こした。

 

その影響かジェルマンのコムリンクは突如雑音が混じり繋がらなくなってしまった。

 

「ジョーレン!?聞こえてるかジョーレン?ヴェルシオ中佐!!」

 

ジェルマンが必死に呼びかけても向こうからは何も返ってくる事はなかった。

 

2人の生死はジェルマンとデルにとって分からずじまいとなった。

 

 

 

 

 

 

-コルサント 帝国首都秩序警察本部 アンダーワールド対策室-

ISBの麾下組織として首都コルサントの保安部隊やベアルーリンの警察組織を再編した帝国首都秩序警察はその名の通り第三帝国の首都、準首都惑星の一般警察業務を担っていた。

 

あくまで一般である為特別業務、例えばFFISOのエイリアン狩りや政治的不穏分子の逮捕などは一般のISB調査部、捜査部とFFISOの第Ⅳ局、第Ⅴ局が担っている。

 

しかし今回のアンダーワールドに対する掃討作戦は双方の組織が複雑に絡み合っている為対策室を秩序警察の本部に置くこととなった。

 

元々秩序警察本部があるこの建物はかつてはジュディシアル部門の本部、ジュディシアル・アーコロジーという名称の建物だった。

 

ここでジュディシアル部門は半ば冷遇され思うように活動が出来ないながらも最大限銀河系の秩序を維持する為に活動していた。

 

それが今では全く真逆の立場である第三帝国の警察組織が同じ建物を使用しているというのは皮肉にも感じられる。

 

今日ここにはアンダーワールド掃討作戦の前日ということで最後のブリーフィングが行われていた。

 

既に上階の封鎖を担当する指揮官達は解散しそれぞれ部隊に戻ろうとしていた。

 

ジークハルトとヴァリンヘルト大尉もそれは同様で既に展開を開始しているタンティスベルク軍団に合流し指揮を取る必要がある。

 

まだ退院して数日も経っていないというのにもう仕事の始まりだ。

 

「封鎖司令部としてポータルの管理室を貸してもらえた。司令機能は全てそこに移す」

 

「了解、先にストライン大佐へ伝えます」

 

ヴァリンヘルト大尉はコムリンクを開きストライン大佐に連絡した。

 

周りでは他の将校も本部のエントランスで雑談を交わしていた。

 

中には将軍以上の上級将校も含まれている。

 

その1人がヴァリンヘルト大尉が気がついた国内予備軍司令官のフリード・フロールム上級将軍だ。

 

「閣下、フロールム上級将軍です」

 

ヴァリンヘルト大尉はジークハルトの裾を引っ張り彼に伝えた。

 

ジークハルトが指を差された方向を見ると確かに国内予備軍の最高司令官がいた。

 

フロールム上級将軍は何やら他の将校らと雑談していた。

 

「先程のブリーフィングにもいた。作戦計画だと予備軍も動員されるらしい」

 

国内予備軍とは主に国防軍の新兵及び指揮官の育成、部隊の再編成などを行う軍組織であり帝国アカデミーとも密接に連携している。

 

ここに含まれるのは地上軍だけでなく宇宙軍、スターファイター隊も存在し親衛隊も同様の組織として親衛隊予備軍を設立していた。

 

しかし国防軍と親衛隊の連携の為にもということで親衛隊予備戦力局は実質的に国内予備軍の隷下にあり時に合同部隊を設立する時には協力し合っていた。

 

その為今も訓練部隊や再編成中の部隊を有している。

 

「隣にいるのはオーブリート中将だな。彼は予備軍の局長の1人だ」

 

「今回の封鎖、国内予備軍が全面に出されるのでしょうか」

 

ヴァリンヘルト大尉はジークハルトに尋ねた。

 

「かもな、前線に出ていない再編中の部隊を展開するのが一番労力を差し引いても安上がりなのだろう。我々のように“()()()()”を兼ね備える部隊はまた違ってくるが…」

 

この作戦でジークハルトはクリース大将と共にだがお互いの手持ち部隊の連携度合いを図り本筋の作戦、ナブー奪還作戦を考えていく必要がある。

 

今の所作戦の内容は7割が完成、訓練も順調で後は時を待つだけだ。

 

テロとこの掃討作戦がなければもう数ヶ月早く実行に移せていただろうが焦る必要はない。

 

ナブーは必ず奪還される。

 

「シュタンデリス准将、少し宜しいですか?」

 

ある1人の将校がジークハルトの名前を呼び敬礼した。

 

ヴァリンヘルト大尉とジークハルトも敬礼を返し「君は?」とジークハルトは名前を尋ねた。

 

軍服や襟章を見ても目の前の将校は国防軍、特に地上軍の少佐だ。

 

確実に親衛隊の将校ではない。

 

「地上軍参謀本部編成課第Ⅱグループ長のマリアス・シュタッフェンベルク少佐です」

 

「第9FF装甲擲弾兵軍団長付副官のニコラツ・ヴァリンヘルト大尉です」

 

大尉は律儀に第三帝国式の敬礼と共にシュタッフェンベルク少佐に敬礼した。

 

先程少佐がした敬礼は一般的な軍の敬礼だった。

 

第三帝国式の敬礼が推奨されている今ではもうかなり珍しくなっている。

 

「私がシュタンデリス准将だが……どうかしたのか…?」

 

態々国防軍の、しかも地上軍の参謀本部の将校がジークハルトに声をかけてくるのは珍しい。

 

それこそ親衛隊の作戦本部の将校が声をかけてくることはあるが国防軍となるともう別の組織である為あまりない。

 

「准将に一つ御用があって参りました、立ち話でよろしければあちらで」

 

シュタッフェンベルク少佐はふと遠くの通路を見つめた。

 

時計を見つめまだ時間も押していないし最悪優秀な部下達に任せれば良いだろうと思ったジークハルトはシュタッフェンベルク少佐の提案を受け入れた。

 

「分かった、少しでよければ聞こう」

 

「ではこちらに」

 

シュタッフェンベルク少佐はジークハルトを連れ副官であるヴァリンヘルト大尉もそれに続こうとした。

 

しかしシュタッフェンベルク少佐は「副官はこちらでお待ちを」とヴァリンヘルト大尉だけを止めた。

 

ヴァリンヘルト大尉は一旦立ち止まりジークハルトの方に目線を送った。

 

「私の信頼出来る優秀な副官だ、ダメなのか?」

 

「すみませんがどうしても副官の方は同行させる事は出来ません」

 

今度はジークハルトの方がヴァリンヘルト大尉に目線を送った。

 

シュタッフェンベルク少佐の言い方からして強引にヴァリンヘルト大尉を連れていく事は無理だ。

 

ヴァリンヘルト大尉は微笑み「構いませんよ」とジークハルトにメッセージを送った。

 

「…先に駐機場へ向かってスピーダーの用意を頼む。私も少佐との話が終わればすぐに行く」

 

「分かりました」

 

ヴァリンヘルト大尉は駐機場の方へ向かいジークハルトはシュタッフェンベルク少佐と共に人気のない通路の方へ向かった。

 

そこにはドロイドの1体もいない静かな空間が広がっていた。

 

ジークハルトは早速単刀直入に「それで、一体何の話が?」とシュタッフェンベルク少佐に尋ねた。

 

「実は我々編成課第Ⅱグループは国内予備軍と合同で有事の際の予備戦力の動員令についての作戦を考えるよう命じられました。そこでシュタンデリス准将には親衛隊からのアドバイザーとして指令作成に参加して欲しいと」

 

「親衛隊のアドバイザー?予備戦力の動員は国防軍と国内予備軍だけの問題ではないのか?」

 

ジークハルトは疑問に思いシュタッフェンベルク少佐に問い詰めた。

 

国防軍と親衛隊は別組織である以上にそこには人によってだが大きな溝があった。

 

総統の命令でもない限り国防軍と親衛隊が合同で作戦を考える事は少ない。

 

「いえ、この計画には親衛隊戦力予備局も関わっていますので。何よりシュタンデリス准将は以前のテロで見事に陣頭指揮を取り指揮系統の混乱を防がれました。その能力を見込んで総統と局長のオーブリート中将は貴方が適任だと任命されました」

 

「そう…なのか…」

 

総統の命令という言葉でジークハルトは若干腑に落ちかけたがここで一つの違和感に気づいた。

 

普段はいつもこういう命令は直属の上官であるモーデルゲン上級大将から受けていた。

 

されど今回は別組織の将校から受けている、何かが妙だ。

 

「…それでその作成会議はいつやるのだ?生憎私も明日から封鎖部隊の陣頭指揮を取るしそれ以降は別の作戦に携わっているのでそれほど時間はないが…」

 

「資料はこちらに」

 

シュタッフェンベルク少佐は事前に用意していたホログラムの資料をジークハルトに見せた。

 

「…この日程なら、当分先だが問題ないはずだ」

 

「そうですか、ならよかったです」

 

シュタッフェンベルク少佐はホロプロジェクターをしまった。

 

「要件はこれだけか?」

 

ジークハルトの問いにシュタッフェンベルク少佐は「ええ、“()()”」と答えた。

 

若干気になる回答ではあったが今はヴァリンヘルト大尉も待たせている為ここで切り上げよう。

 

「そうか、では私はこれで。それじゃあ」

 

少佐に再び敬礼しジークハルトはその場を後にした。

 

再びシュタッフェンベルク少佐は敬礼しジークハルトを見送った。

 

すると横から一足遅れてオーブリート中将が姿を表した。

 

「彼はどうだ?“()()()()()()()”」

 

「難しいですがやってみる価値はあると思います」

 

2人は静かにそしてどこか期待を込めた目線でジークハルトの後ろ姿を見ていた。

 

彼らがこれから何をするのか、その結果何が起こるのかまだジークハルトは知らない。

 

しかし第三帝国に不穏な影があるという事は間違いなかった。

 

 

 

 

 

 

-未知領域 チス・アセンダンシー首都 惑星シーラ クサプラー フォース感受者トレーニング強化室-

ルークとマラ・ジェイドらがシーラに来てから早速フォース感受者たちの訓練が始まった。

 

今はルークが瞑想による集中力とフォースの繋がりを高める訓練を行っている。

 

「冷静に、己の内側から発せられるフォースと外を流れるフォースを感じるんだ」

 

静けさが漂いルークの声だけが優しく静かに響く中、訓練の参加者達は皆目を瞑り意識を集中させていた。

 

意識の高まりの中で参加者達は己の生命のフォースとそれと繋がるフォースを感じその性質を理解していく。

 

彼ら彼女らが学ぶ戦闘瞑想とはフォースの技術の一つで味方の士気や体力、戦闘力を大幅に上昇させると同時に敵の繊維や戦闘力を低下させる技術だ。

 

ジェダイの間では珍しかったがルークはダゴバでフォースの訓練をした時に戦闘瞑想を習い、ベンを探す旅の道中でも戦闘瞑想に関する記述を読み実践した。

 

参加者達は皆熱心に戦闘瞑想を習い、今も基礎たる瞑想を実施していた。

 

「うちに秘めた自分も知らない己を見つめるんだ。自分を知ってこそ他者の力を引き上げられる」

 

ルークのアドバイスを自らに刻みながら参加者達は自らを鍛え上げていた。

 

その様子を上のビューポートから何人かの高官が見つめており中にはタッグ元帥やシャポシニコフ元帥、コーシン上級提督もいた。

 

「これがフォースの訓練か、ライトセーバーの訓練と比べると随分地味に見えるが」

 

「それでもちゃんととした訓練です。今でも能力が上がっているのがよく分かる」

 

亡命帝国空軍将軍の“スーンティア・フェル”はマレックと会話を交わしながら訓練の様子を見つめていた。

 

「これらは全てヴィルヘルムが望むものらしい。奴は今鍛えられている連中こそが銀河を救うと言っていた」

 

「確かにきっと優れた戦力になりますよ」

 

マレックの言葉とは裏腹にスーンティアは何処か納得がいっていないような表情だ。

 

「しかしその優れた戦力も正しく活かされねば無駄となる。君が私の部隊に来る前、多くの部下達が愚かな上官のせいで戦死することとなったように」

 

マレックはシス・エターナルに来る前まではスーンティアが指揮していた第181戦闘機大隊に所属していた。

 

とある反乱軍への攻撃で戦死したパイロット達の代わりとして補填されたマレックはその高い技量で大隊の一員として戦果を重ねていった。

 

中にはザーリン、ハーコヴといった裏切り者達への対処など特殊な任務もあったが。

 

その過程でマレックはヴェイダー卿や皇帝パルパティーンといった帝国の最高指導者達にその“能力”を認められ皇帝の手となった。

 

故にエンドア後は離れ離れとなり再会までには5年近くを有したわけだが。

 

「しかし指揮官は貴方の従兄弟のモフフェルです。彼はクローン戦争にも従軍した優れた将校であり政治家ですよ」

 

「と同時に冷酷でもある、かつて我々の生活を助ける為に銀河へと足を踏み出した者とは思えないほどな」

 

スーンティアにとって今亡命帝国の指導者であるヴィルヘルム・フェルはそこそこ歳の離れた従兄弟だった。

 

これはまだスーンティアが生まれる前のことだ。

 

元々フェル家というのはコレリアのアストリルド・ボトムランド地方で穀物及び飼育連合、通称AGRの下で農業を営む一族だった。

 

その為ヴィルヘルムも最初は父やおじ、つまりスーンティアの父親達の跡を継いで一族の生活を繋いでいくものだと思っていた。

 

だが時代は彼がただの農民で終わることを許さなかった。

 

ある時期からアストリルド・ボトムランド地方の作物は不作に見舞われフェル家は非常に苦しい状況に陥った。

 

このままでは農業を続けて行くことすら難しい、それほどまでに一族全体が大きな危機に見舞われた。

 

そこでヴィルヘルムは家族の為に農業の道を捨ててある場所で働くを決意した。

 

それはコルサントに存在する銀河共和国ジュディシアル部門、ジュディシアル・アカデミーだ。

 

丁度その頃のジュディシアル部門は2、3年前のナブー侵攻を受けて人員を拡大する為に多くの招聘を必要としていた。

 

幸いにもヴィルヘルムは頭が良かった。

 

ヴィルヘルムは進路として家族と共に暖かな農業の生活を送ることを諦め、家族の為にジュディシアルの道を選んだ。

 

彼は試験を合格しジュディシアル・アカデミーに入学した。

 

ジュディシアル・アカデミーでは候補生にも給料が支払われる為ヴィルヘルムは毎月仕送りをコレリアの家族の下へ送っていた。

 

やがてヴィルヘルムはジュディシアル・アカデミーを優秀な成績で卒業しジュディシアル部門の将校として日々の難題と向き合っていった。

 

ヴィルヘルムは度々遠く離れた駐留地からコレリアの家族の下へ手紙を送っていた。

 

「日々の生活はどうだ」とか「母や父は元気か」とか他愛もないものばかりだが。

 

またヴィルヘルムは度々コレリアの地元に帰り農業を手伝ったりもした。

 

その為スーンティアや弟のトドルが生まれ、物心つく頃からヴィルヘルムはずっと青い制服を身につけ続けていた。

 

そして遂にあの戦争が始まった。

 

銀河系に争いの時代を呼び起こしたクローン戦争が。

 

ヴィルヘルムは共和国軍の憲兵将校、軍政将校として戦争に従軍した。

 

フェル家の家族はスーンティアも含めてヴィルヘルムの安否を心配した。

 

確かにクローン戦争は多くのクローン・トルーパーとジェダイが主力として戦っていたが戦争を支えていたのはそれだけではない。

 

今まで影でひっそり共和国や故郷の惑星を守っていたジュディシアル・フォースや惑星防衛軍の将兵も共和国軍の中に組み込まれた。

 

ハースト・ロモディ退役元帥やニルス・テナント、ジークハルト・シュタンデリスの父、バスティ・シュタンデリスやその友ゴットバルト・バエルンテーゼや故ウィルハフ・ターキン、故パウルス・ヒルデンロードなど。

 

あの戦争に従軍した将兵は多くその後の帝国軍の礎を築いた。

 

生身の将兵達はクローン達と肩を並べて、或いはクローン達とは別に分離主義者のバトル・ドロイドと戦った。

 

何千、何万ものバトル・ドロイドの進撃を塹壕で、市街地で守り通し分離主義者から取り返した領土に進駐しその地を守護した。

 

ヴィルヘルムはそこで奪還領域の軍政、前線での戦争犯罪の取り締まりを行った。

 

当然砲弾が飛び交い、いつ破れるか分からない偏向シールドの中で一夜を過ごしたこともある。

 

それに味方を取り締まるという事は何よりも重要で何よりも大変なことだ。

 

心を鬼にする必要がある。

 

ヴィルヘルムはクローン戦争中ずっと心を鬼にしてそれらの職務に当たり、その結果ヴィルヘルムは優秀な政治将校だと評された。

 

家族へ送る手紙もやがて簡素なものとなり次第に途絶えていった。

 

スーンティアがヴィルヘルムと再会したのはクローン戦争が終わり、ようやく仕事がひと段落した後だった。

 

コレリアに帰ってきたヴィルヘルムはまさに変わり果てた姿となっていた。

 

変わり果てたと言っても別に腕や足をなくしたとかではない。

 

むしろ表面上の傷よりも戦争で荒んだ心の傷が顔に現れていた。

 

ヴィルヘルムは昔のヴィルヘルムを忘れてしまった。

 

彼は戦場で生きる為に非情さを学びそれを戦後も帝国のためと育んできた。

 

それは今もそのままだった。

 

管理監査官となっても、惑星の総督になっても、サンクト宙域のモフとしてチス・アセンダンシーとの窓口になったとしてもだ。

 

恐らく迫り来る最悪の“()()”と戦う時もヴィルヘルムはそのままだろう。

 

だからこそチスのお偉方には頼れる盟友として扱われているのだろうが。

 

ヴィルヘルムがあの戦争で得て帝国時代に育んできた冷酷さはこの銀河系を守るのに確実に役に立つ。

 

必要であれば自らの命も捧げるだろう。

 

スーンティアであれば割り切れないこともきっと。

 

「だがヴィルヘルムがこの地(未知領域)で我々に安寧の地を与えてくれたのも事実だ。今やフェル家はタッグ家と並んでチスのルーリング・ファミリーの1つとなっている。おかげで私も将軍などと高い階級を得ているが」

 

「ですが閣下はそれに相応しいお方です。そういえば181大隊とセイバー中隊のメンバーはどうですか?」

 

マレックはかつての戦友達の近況を指揮官に尋ねた。

 

「私は第181戦闘機大隊の指揮官を既にフェナーに譲ったが今でも共に飛んでいるから分かる。依然“()()()()”だ。むしろこの未知領域に来てからも練度は上がり続けている」

 

スーンティアはどこか嬉しそうにマレックに話した。

 

彼にとって配下の第181戦闘機大隊は何よりの誇りであったし部下達は戦友であり半ば家族のようなものだ。

 

彼が持つ“男爵(Flight Baron)”の称号よりも誇るべきものとスーンティアは思っていた。

 

当然マレックもその1人である。

 

今は確かに直属の部下ではないが未だ戦友であることに間違いはない。

 

「赤きストライプ集団の名声は衰える事はない。無論私のパイロットとしての腕もな」

 

「将軍がいつまでもスターファイターに乗ってていいんですか?」

 

「クリスフリート・ヴァントだって将軍なのにスターファイターに乗って戦っている。別にいいだろ?」

 

スーンティアは冗談まじりにそう返しマレックも苦笑を浮かべている。

 

昔からスーンティアは指揮官であったが他の指揮官とは少し違っていた。

 

多くの指揮官のように軍艦のブリッジの中で部隊の指揮を取り作戦を遂行するようなことは苦手でむしろ部下達と共にスターファイターに乗り込んで戦うことの方を好んでいた。

 

それは彼がフェル家の一員として将軍にまで昇進した後もそうだった。

 

ヴィルヘルムからは「もう少し司令室にいてくれ」と言われたこともあったが。

 

「それで、君は今までどうだったんだ?君がエンドアの後どうしてシス・エターナルに向かったのかは聞かない、だが大切な部下の1人の心のうちくらいは聞いておきたくてな」

 

「それは……」

 

マレックは少し口を閉ざし目線を落とした。

 

マレックが“()()()()”となり己の能力を磨いている頃エンドアの戦いが起こりマレックの力を見抜いた2人が一度に死んだ。

 

それからマレックは“()()()()”シス・エターナルの本拠地エクセゴルに連れて行かれた。

 

そこでマレックは衝撃的で、自身の忠誠を揺らぐようなものを見た。

 

エクセゴルには確かにマレックの、いや銀河の“()()”がいた。

 

だが“()()”は既に変わり果て、かつてマレックの力を見抜き銀河系を我が物として安寧を与えた優れた指導者の面影は殆ど残っていなかった。

 

()()”は衰弱し気付けば妄言ばかり吐くようになっていた。

 

最初は離反しようとした、ここに自分の仕えるべき者はいなかったと。

 

だが“()()”は悲しいことに最後の一欠片分の理性を残し自らの理想を、妄言のような理想ではなく“人()()()()”たる理想がマレックを繋ぎ止めた。

 

あの“()()”がエクセゴルに用意していたものは半分は妄言のような理想の為で、もう半分は銀河の為の用意だった。

 

だからマレックは衝撃を受けその忠誠心は揺らいだ。

 

しかしそれ故に己の忠誠心が完全に崩れる事はなかった。

 

それが余計にマレックを苦しめた。

 

誰も頼れる存在がなくマレックは1人苦しんでいた。

 

「…私は今、迷っているのかもしれません。私自身が行くべき場所が分からない迷宮のような場所で……帝国軍人として迷いは失格でしょうが」

 

マレックは自嘲気味に笑ったがスーンティアは「そんな事ないさ」とフォローした。

 

「私やフェナー、いやヴィルヘルムやあの時代に生きた全ての真っ当な軍人なら誰しも迷ったはずだ。迷わなかった奴は何かに取り憑かれていたかろくでなしばかりだ」

 

誰しも迷った末に自らの選択をした。

 

皇帝という指導者を失った帝国の者達は皆迷える盲目の子羊となっていた。

 

それはスーンティアもヴィルヘルムもマレックも多くの将兵がそうだ。

 

だからマレックは決して間違った訳ではない。

 

むしろこれから自らで正誤を判断するのだ。

 

その判断を他人(皇帝)に委ねていた分を。

 

「我々だってあの時選んだ選択が正しいのか今でも分からんのだから」

 

 

 

 

 

 

 

「ダーク・トルーパー部隊、室内の57%を制圧完了」

 

『了解、空中機動部隊の投入を許可する』

 

ゴザンティ級のブリッジからセキューター級のブリッジへ連絡を取り追加部隊の投入の許可を貰った。

 

ゴザンティ級の操舵手達が機器を操作し艦内にいる部隊員に命令を出した。

 

「これより航宙降下を開始する。総員、降下用意せよ」

 

『了解』

 

隊員達は指揮官やサポーター達の合図で装備を纏め席から立ち上がった。

 

艦内のランプはまだ赤のままだがハッチが開き外の宇宙空間とゴザンティ級の中を遮るものは偏向シールド1枚となった。

 

サポーター達が周囲の様子やゴザンティ級の安全を確認し部隊長に降下よしの合図を出した。

 

部隊長はヘルメットのコムリンクでブリッジに通信を繋いだ。

 

『全隊員の降下準備完了、外部及び内部の問題なし』

 

部隊長から報告がありブリッジの乗組員達は指示を出した。

 

「了解、センサーチェック」

 

「センサー、チェックします」

 

ゴザンティ級のセンサーで周囲の安全をチェックする。

 

敵のコルベット艦と2機のスターファイターは友軍のシスTIEファイター部隊に抑えられておりこちらに来る事はない。

 

周囲に敵影はなかった。

 

「センサーに敵影なし」

 

「よし、分かった。高度を確認」

 

「高度問題なし」

 

全ての安全性と降下条件を確認しゴザンティ級の艦長は部隊へ指示を出した。

 

「ブリッジより空中機動部隊へ、全隊降下せよ」

 

その合図と共にランプは青へと変わり、内部にいた空中機動部隊のシス・ジェットパック・トルーパー達は一斉に艦内から飛び降りた。

 

降下と共にシス・ジェットパック・トルーパー達は宇宙の波に流されそうになったがすぐにジェットパックを点火した。

 

ジェットパックのエンジンでシス・ジェットパック・トルーパー達は宇宙空間を自由自在に飛び回った。

 

それぞれ分隊規模でダーク・トルーパーがこじ開けた入り口に向かった。

 

シス・ジェットパック・トルーパーは他の軍隊のジェットパックの兵士のようにジェットパックを用いて空中を飛び回り優れた機動力で敵を翻弄する。

 

今回はダーク・トルーパーと同じく速やかに精鋭部隊を内部に展開する為にゴザンティ級に乗り込んでいた。

 

シス・ジェットパック・トルーパーはステーションに侵入し更に細分化された3人の隊で奥へ奥へと浸透した。

 

その間にダーク・トルーパー隊とシス・トルーパー隊も最後の制圧目標である中央制御室に向かっていた。

 

ここを抑えれば敵はもうこのステーションで何もすることがない。

 

しかし中央制御室に続く通路は1本しかない為、部隊はダーク・トルーパーを前衛にして前進していた。

 

ゆっくりと確実に、シス・エターナルの軍隊は前進する。

 

だが進ませてばかりではいられないのだ。

 

1発のブラスター弾がダーク・トルーパーの首に直撃し出血のような檜原を散らした。

 

更にもう1発のブラスター弾が同じ箇所に命中しそのダーク・トルーパーは弱点を完全に破壊され機能停止した。

 

その瞬間、一斉に他のダーク・トルーパーや合間のシス・トルーパー達が弾丸が放たれた方向に向かって制圧射撃を開始した。

 

何十発ものブラスター弾が飛び出し狙撃手を牽制した。

 

だが狙撃手にとってこれが良かった。

 

敵の注意が完全に自らの方へ引き付けられているからだ。

 

『大尉、やれ』

 

狙撃手、デルはコムリンクでジェルマンに合図を出した。

 

ジェルマンは小さく「了解」と呟くとスイッチを押し、仕掛けてあるものを一斉に作動させた。

 

エネルギー管や物陰に隠れていた近接反応爆弾が起爆し更にブラスター・タレットがダーク・トルーパーや敵に対して一斉に銃撃を開始した。

 

やはり近接反応爆弾程度ではダーク・トルーパーを破壊する事は不可能だったがそれでもシス・トルーパー達に大打撃を与えた。

 

ブラスター・タレットはシス・トルーパーを瞬時に撃ち倒すことは出来てもダーク・トルーパーには全く効力がなかった。

 

ダーク・トルーパー達はブラスター・ライフルでブラスター・タレットを確実に破壊していく。

 

デルが後方からスナイパー・ライフルで1体のダーク・トルーパーが持つブラスター・ライフルを狙い撃った。

 

直撃したブラスター弾がダーク・トルーパーのライフルのパワーセルを誘爆させダーク・トルーパーの右手ごと吹っ飛んだ。

 

ダーク・トルーパーは武装の整った別のダーク・トルーパーと立ち位置を交代した。

 

その間にジェルマンはイオン魚雷を専門の発射装置に装填し肩に担いだ。

 

狙いを定め前衛のダーク・トルーパーにイオン魚雷を発射した。

 

ダーク・トルーパーは迎撃や回避する余裕もなくイオン魚雷が直撃し完全に機能が停止した。

 

流石のダーク・トルーパーといえどやはりバトル・ドロイドの一種なのでイオン魚雷の力には敵わなかった。

 

アイデンが用意していたものだがまさかこんな方法で役に立つとは。

 

残り1体もジェルマンが同じ発射装置に詰め込んだ誘導弾が見事にダーク・トルーパーの首元近くで爆発しダーク・トルーパーの首を吹っ飛ばした。

 

ころんと落ちたダーク・トルーパーの頭のデュアルアイから光がなくなっていく。

 

「よし!1体撃破!」

 

『気を抜くな後方から更に4体接近!』

 

ジェルマンの喜びの声とは裏腹にデルは緊迫した声音で報告した。

 

彼の言う通り一旦後退し増援を待とうとするシス・トルーパーの代わりに別のダーク・トルーパーが4体現れた。

 

ジョーレンとアイデンがダメージを与えてくれたのか何体かのダーク・トルーパーは装甲の塗装が剥がれているがほぼ無傷に近い状態だ。

 

しかも早速ブラスター弾を放ちこちらのタレットを何基か破壊した。

 

『大尉、イオン・グレネードを投擲しろ。こっちはイオン・グレネードを上空でバーストさせて敵の動きを封じる』

 

「了解!」

 

最後に残ったダーク・トルーパーは後方のダーク・トルーパー部隊と合流しつつ後方へ下がった。

 

その間にジェルマンはイオン・グレネードを投擲しデルはグレネード・ランチャーに装填したイオン・グレネードを発射する。

 

急いでスナイパー・ライフルに持ち替えたデルは発射されたイオン・グレネードを丁度ダーク・トルーパーの頭上で撃ち抜いた。

 

ダーク・トルーパーの足元で起爆したイオン・グレネードとダーク・トルーパーの上空で撃ち抜かれたイオン・グレネードが一斉にダーク・トルーパーに効力を与えた。

 

放たれたイオン・エネルギーの雷がダーク・トルーパー達の装甲を抜け、その内部の回路をショートさせた。

 

一刻も早く抜けようとダーク・トルーパー達は動いたが上下から放たれるイオン・グレネードの嵐からはそう簡単には抜けられなかった。

 

その間にジェルマンとデルはそれぞれダーク・トルーパーに直接攻撃を開始した。

 

『首元を狙え!そうすれば確実に倒せる!』

 

デルは再び帝国軍の技術者という経験からダーク・トルーパーの弱点となり得そうな箇所をコムリンクで伝えた。

 

ジェルマンはグレネードでダーク・トルーパーの首を貫き、デルもスナイパー・ライフルでダーク・トルーパーの首を撃ち抜いた。

 

動きさえ止まればこちらもやりようはある。

 

イオン・グレネードの効果が切れてきた頃、破壊されたダーク・トルーパーは地面へと崩れ落ちそうでないダーク・トルーパーも膝を下ろしシステムの障害に見舞われた。

 

だがある1体のダーク・トルーパーだけそうでないものがいた。

 

それはデルによって片手を吹き飛ばされ後方に下がっていたダーク・トルーパーだった。

 

後方に下がっていた為1体だけイオン攻撃を受けておらず片手がない以外は他のダーク・トルーパーよりも戦える状態にあった。

 

それを素早く認知したダーク・トルーパーはイオン攻撃が終わると同時に一気に走り出した。

 

「なっ!?」

 

『しまった!一体見逃していた!」

 

ダーク・トルーパーはジェルマンやブラスター・タレットの攻撃を全く受け付けず、勢いそのままジェルマンを思いっきりタックルした。

 

「グハッ!!」

 

凄まじい衝撃が身体中を襲い、ジェルマンはそのまま勢いを流せず近くの通路の壁へ思いっきり叩きつけられた。

 

耐え切れないような痛みがジェルマンのダメージとなって彼の体力や気力を大きく奪った。

 

痛みの衝撃で暫く身体が全く動かせない。

 

目眩もするし意識がどこかへ行ってしまいそうになった。

 

だがジェルマンは気力でなんとか意識を繋ぎ止め体を動かして近接用の装備を手にしようと踠いた。

 

その間にダーク・トルーパーは残り全てのブラスター・タレットを残された左腕の拳で殴り壊した。

 

ダーク・トルーパーのパンチは最も簡単にブラスター・タレットを破壊し、ブラスター・タレットの残骸はまるで瓦割りの瓦のように真っ二つに割れていた。

 

デルはスナイパー・ライフルで再び首元を狙おうとした。

 

だがこのダーク・トルーパーは学習しているのか右腕で首の部分をガードした。

 

「ガードだと!?コイツ帝国が使っているタイプよりもはるかに学習速度が…!」

 

ダーク・トルーパーはガードの体制のまま走り出しデルではなくまだよろよろとしか動けないジェルマンの方を狙った。

 

まず手負いの者から始末するつもりなのだろう。

 

「ジェルマン!!」

 

デルは名前を叫び急いでブラスター・ライフルに持ち替えてダーク・トルーパーを狙撃した。

 

だがダーク・トルーパーの背後の装甲は弾丸を全て無効化しその間にダーク・トルーパーはジェルマンを持ち上げて再び近くの外壁に叩きつけた。

 

「ガァッ!!」

 

潰れた声と共にジェルマンの口からは血が少量だが吐き出された。

 

せっかく回復してきたのにジェルマンに再び凄まじい衝撃とダメージが与えられた。

 

息は荒くなり手が痺れてホルスターの中のブラスター・ピストルが上手く握れない。

 

ダーク・トルーパーは左手でジェルマンの胸ぐらを掴み、持ち上げた。

 

本当は首元を握り潰そうとしたのだろうがジェルマンが少し距離を取った為上手くいかなかった。

 

だがダーク・トルーパーにとって首を握り潰せずともこれからどの道殺すのだから些細な問題ではないと判断されていた。

 

ジェルマンはなんとか力を込めホルスターからブラスター・ピストルを引き抜き近距離から腹部を狙撃しようとするがこの攻撃も全く効かなかった。

 

ダーク・トルーパーはジェルマンを壁に押し付け力を込めた。

 

「ぐっ…!!」

 

「クソッ!!」

 

背後からはデルがブラスター弾を撃ち続けているのにも関わらずダーク・トルーパーからしてみれば問題外の攻撃と認知されていた。

 

ジェルマンはなんとかブラスター・ピストルを持ち上げようとする。

 

その間にダーク・トルーパーは更にジェルマンを締め上げ、右手のなくなった右腕を首から離した。

 

ダーク・トルーパーのポーズは誰がどう見てもこれからジェルマンを殴る、殴り殺すといった感じだ。

 

拳がないとはいえダーク・トルーパーの右腕は破片や回線が焼き切れたような形になっているのでこの状態で殴られたむしろ逆に痛い。

 

千切れた部分が衝撃と共に顔面を容赦なく切り裂くだろう。

 

ジェルマンは歯を食いしばりなんとか抗おうとしている。

 

だがブラスター弾すら効かないダーク・トルーパーには全く効果がない。

 

ダーク・トルーパーはいつでもジェルマンを殴れる体勢になっている。

 

後はダーク・トルーパーのドロイド脳が攻撃のゴーサインを出すだけだ。

 

もう攻撃のゴーサインを出すまで数秒もない。

 

後数秒でダーク・トルーパーから殺人パンチが飛んでくる。

 

まだ任務も果たしていないのに、まだジョーレンやアイデンの生死も分かっていないのに。

 

ジェルマンは今、彼の人生史上最大のピンチに陥っていた。

 

 

 

 

つづく




私 だ 。

  終
制作・著作
━━━━━
  I H N

(そういや帝国のホロネット・ニュースは略称にしたらIHN(インペリアル・ホロネット・ニュース)になるんすかね)
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