-あるフォースのライトサイド系宗派の司祭の言葉-
一撃、また一撃とライトセーバーの全てを斬り裂く斬撃がシス・トルーパー達を薙ぎ払う。
シス・トルーパー達は必死にブラスター弾を放って抵抗するがアソーカの華麗な剣捌きによって全て弾き返された。
数人で接近戦に持ち込んで抑え込もうとシス・トルーパーの何人かは銃剣を装備しアソーカに向かって突進したが全てフォースで押し飛ばされ、岸壁に叩きつけられた。
「応援を要請するっ!」
他の部隊に応援を呼んでいたシス・トルーパーはすぐに首を刎ねられ、残った2、3人のシス・トルーパーも全て倒された。
これでこの周辺にいたシス・トルーパーは全てアソーカの前に打ち倒された。
辺りを見渡しアソーカはコムリンクに手を当てる。
「周辺を制圧した、あとはこっちで…前言撤回するわ、追加が来た…!」
アソーカはライトセーバーをしっかり構え厳しい目線を送った。
彼女の目の前には数名の部下と共にやってきたある1人のダークサイドの使い手がいた。
隣にはボーラ・ヴィオで戦った暗殺ドロイドが控えている。
確か情報によれば名前はIG-99Eだったか。
IG-99Eはダークサイドの使い手よりも好戦的で今にでもアソーカを襲いそうな雰囲気だった。
「ここまでだ、我々の邪魔はさせん」
その一言と共にダークサイドの使い手、テドリン=シャはIG-99Eやシス・トルーパーと共にアソーカに襲い掛かった。
アソーカは2本の白刃のライトセーバーでシス・トルーパーを先に倒すとテドリンとIG-99Eの攻撃を防いだ。
IG-99Eは片腕の重パルス・ソードキャノンの引き金を引こうとしたが、アソーカは寸前で距離を取って放たれたパルス・レーザーを弾き返した。
それから間髪入れずにテドリンがブラスター・ピストルを放ちながら突撃してきた。
アソーカは意識を集中させありったけのフォースの力で2人を押し出した。
「フォースの使い手がブラスターを使うなんて、私のマスターのマスターが見たらなんて言うか」
「最終的に勝てばよかろうなのだ、手段を選んでいたからお前達は負けた。我々はあの方の為にもなんとしてでも任務をやり遂げる」
その一言と共にIG-99Eがパルス・レーザーを放ちながら突進してきた。
ライトセーバーで受け流すこともなくIG-99Eの斬撃を回避しIG-99Eの踵の部分から出現したバイブロ=ナイフもバク転し反撃の一手と共に躱した。
回避の瞬間にライトセーバーでIG-99Eのボディの一部分を斬撃を入れた。
それがすぐに致命傷とならずとも十分なダメージとなったはずだ。
“斬撃が効いていればの話だが”。
アソーカはIG-99Eのボディを眺めて驚いていた。
ライトセーバーの刃で斬ったはずの部分に傷ひとつ付いていない。
むしろ平然とした様子でパルス・レーザーと腕部のレーザー弾と小型ミサイルをアソーカに向けて放った。
「ふん!どうだ!IG-99Eの装甲はライトセーバーの攻撃も通さない!お前はここで始末する!」
自慢げにテドリンはそう叫んでブラスター・ピストルと共に辺りの岩石をフォースの力でアソーカに向けて吹き飛ばした。
アソーカは弾丸を何発か弾きつつ岩石の上を飛んで一気に上空へと躍り出た。
まずはダークサイドの使い手の方から先に倒す、暗殺ドロイドはその後だ。
アソーカはライトセーバーを突き立て回転しながらテドリンに斬撃を加えようとした。
だが彼女の攻撃は割って入ってきたIG-99Eによって防がれ失敗した。
せいぜいフォースで油断していたテドリンを押し飛ばして転ばせたくらいだ。
「クッ!貴様なんぞに!」
テドリンは立ち上がりそう吐き捨てた。
彼は今までアソーカが戦ってきたダークサイドの使い手達、特に尋問官と戦闘力は同等かもしかしたらそれ以下、それ以上の可能性もある。
故にモールやヴェイダーと言った者達に並ぶ事はない。
問題はIG-99Eの方だ、こちらは下手すればテドリンよりも強いかもしれない。
情報通りIG-88をベースに対ジェダイに特化した戦闘を行っている。
このまま戦えば長期戦となる事は間違いなさそうだ。
「おい、テドリン!早く戻ってこい!さっさと船を出してここから離れるぞ!」
アソーカがライトセーバーを構え敵の2人が一気に攻めかかろうとしている瞬間1人の男の声が聞こえた。
ボサボサの髪に少し荒れた肌。
この男もダークサイドのフォース使いであることがすぐに分かった。
フォースを伝って感じる雰囲気がそれを証明している。
「さっさと退却だ!レジスタンス共がどういう訳かここを嗅ぎ分けやがった!」
セドリスは上空に控えている彼らのジストン級スター・デストロイヤーを見ながらそう吐き捨てた。
彼の言う通り既に上空では戦闘が始まっていた。
『ソードリーダーより全機に通達する、間も無くトンネルを抜ける。Sフォイルを戦闘ポジションに展開し武装のセーフティロックを解除せよ。ジャンプアウトと同時に敵を叩く』
「ソード2了解」
ヴィレジコフ上級中尉はAウィングの安全装置を解除し操縦桿を握り締めた。
もう間も無くで戦場に着く、敵は我々の仲間を大勢消し飛ばした新型のスター・デストロイヤーだ。
あのスーパーレーザーに対する恐怖がヴィレジコフ上級中尉の中にも芽生えている。
当然だ、あのスーパーレーザーは我々レジスタンス軍の艦隊をたった一撃で殲滅した恐るべき相手なのだ。
自分もいつやられるか分からない。
だが与えられた任務をこなさなければ、仲間の仇を取らねば。
『間も無くジャンプアウトするぞ!』
眩い光の中から飛び出しソード中隊のスターファイター12機が一斉にジストン級に向けて戦闘行動を開始した。
ブリッジでは警報が鳴り響き艦長の周りに部下の士官達が集まっている。
「艦長!レジスタンス軍のスターファイター隊です!」
「何故ここに直接来た……こちらもスターファイター隊を出して応戦しろ、対空戦闘用意!」
「艦長、別方面からもレジスタンス軍のスターファイター隊が!」
「なんだと…!?」
ディカー基地から送り込まれたソード中隊らとはまた別のスターファイター隊がソード中隊とは反対の方面から出撃した。
Sフォイルを開いた状態で最大速度でジストン級に向かっていた。
部隊長達はコムリンクを使って各機に指示を出していた。
「全中隊、爆撃隊形を護衛し魚雷を撃ち込んでやれ」
『了解アンティリーズ大佐!』
今回の作戦に投入されたのはヤヴィン戦線のスターファイター隊4個中隊、そしてディカーのスターファイター隊3個中隊だ。
ヤヴィンからはファントム中隊、ローグ中隊、レッド中隊、スカイ中隊が送り込まれそれぞれ選りすぐりのエースパイロットが参戦した。
アンティリーズ大佐、ソークー中佐、そしてラクティス。
Yウィング、Bウィングが編隊を組みそれをAウィングとXウィングが護衛している。
『アンティリーズ大佐、敵機はこちらで引き受ける』
コーラン少佐の機体から通信が入り彼らが出現した場所に目を向けると早速戦闘が始まっていた。
シスTIEファイターとレジスタンス軍のスターファイターがドッグファイトを行っている。
当然その中にはヴィレジコフ上級中尉のAウィングもいた。
敵機を発見し飛び交うレーザー弾を躱しながら狙いを定める。
「堕ちろ!」
正確な狙いでたった2発のレーザー弾で敵機を撃破しヴィレジコフ上級中尉はペダルを踏み込んで最大加速で離脱した。
高速で移動し敵機を素早く撃破してその場を離脱する、正にAウィングの理想的な戦い方だ。
この機体はTIEインターセプターよりも速く何者だろうと追いつく事は出来ない。
だからホズニアン・プライムでも助かった。
ヴィレジコフ上級中尉の僚機も共同してシスTIEファイターを撃墜しAウィングに続いた。
ヴィレジコフ上級中尉も狙われている友軍機を救出したり編隊が崩れた敵機を狙って数を減らしていった。
ソード中隊との戦闘によりシスTIEファイター部隊は殆どが抑えられた。
その間にヤヴィンのスターファイター隊が爆撃を開始した。
ジストン級の対空砲網を抜けてYウィングやBウィングがプロトン魚雷やイオン魚雷を発射した。
更に幾つかのBウィングはかつてプロトタイプに搭載されていた合成ビームレーザーを至近距離まで使って発射した。
長く強力なビームレーザーが偏向シールドを打ち破り切り裂くように船体にダメージを与える。
『爆撃成功!一旦離脱する!』
爆撃部隊は一斉にジストン級の船体を離れ散開した。
何人かのパイロットはコックピットからジストン級の様子を見下ろした。
「ダメージは効いている!だが…」
『ああ…!全然足りない!船体のほんの一部が傷ついただけだ』
確かにジストン級にダメージは与えた、だがあまりにも船体が巨大でこの程度のダメージでは被害を受けていないのとほぼ同じだ。
逆に今の爆撃でレジスタンス軍は少なくとも2機のスターファイターを失った。
「全隊、再編成して再び攻撃開始だ。今度は攻撃箇所を絞って一点集中でやる。ヘルトルはブリッジを、パイアーは船体下部のスーパーレーザーを狙え。護衛は私とソークーとラクティスに任せろ」
『了解ファントムリーダー!!』
散開したスターファイター達は再び結集し爆撃準備を開始した。
シス・エターナル軍は当然ただやられているわけではない。
ラクティスの部下のスカイ9から通信が届いた。
『ストライン中佐!スター・デストロイヤーのハンガーベイから新手が接近中!数は一個飛行群程度はあると見られます!』
「了解したスカイ9、お前は下がって護衛に戻れ。スカイ中隊、それと手の空いた者は私に続け。新手をこちらで食い止める」
『スカイ8了解』
『スカイ11了解、合流します中佐』
ラクティスの側に何機ものXウィングやBウィングが集まり戦場に向かった。
スターファイター同士の撃ち合いがあちこちに広がり爆発の光が徐々に増え始めた。
それは惑星の中から見ていても分かるほどだ。
「急げ!“
セドリスは自らのライトセーバーを起動しアソーカに斬り掛かった。
ライトセーバーの斬撃は最も簡単に防がれ2人は鍔迫り合いの状態となった。
だがその状態も長くは続かず加勢したIG-99Eによって両者は引き離されアソーカは再び2対1の戦いを強いられた。
その間にテドリンは戦いを2人に任せて元来た場所に戻った。
本当はテドリンも抑えておきたかったのだが今は無理そうだ。
セドリスは攻撃を強めアソーカに吐き捨てた。
「このジェダイもどきめ!貴様はここで死ぬ!」
「あなたのようなゴロツキに負けるつもりは毛頭ないわ!」
アソーカはライトセーバーを大きく振りセドリスとIG-99Eを遠ざけた。
ライトセーバーを地面に突き刺し集中力を高めフォースの力で近くの岩をセドリスとIG-99Eにぶつけようとした。
IG-99Eは先にスライディングして岩石の落下を回避し無防備のアソーカを倒そうとパルス・レーザーを放った。
セドリスはライトセーバーで岩の一部分を斬り崩しそのままライトセーバーの斬撃でアソーカを始末しようとした。
当然アソーカもこのようなことは予期していた。
突き刺したライトセーバーを手に取りパルスレーザーを弾き返しながらIG-99Eとセドリスの斬撃を受け止めた。
セドリスは力を更に込め無理やり押し出そうとするがその隙を突かれてアソーカに膝蹴りを喰らい背中を肘で強打された。
一方IG-99Eはライトセーバーを自身の装甲で受け止めパルスレーザーとブラスター弾を放ちながら全身のあちこちの隠し武器などを使って格闘戦を繰り広げた。
もしかすると最初から人を殺す為にありとあらゆるものを積み込まれたこの暗殺ドロイドの方が他の2人のダークサイドの使い手よりも戦闘だけでは強いかもしれない。
それでもアソーカを完全に葬り去ることは不可能だったが。
立ち直したセドリスが背後から斬りかかろうとしたが簡単に躱され再び距離を取られた。
「チッ!畜生ジェダイもどきめ!あの方に楯突く前時代の敗北者が!」
「皮肉しか言えなくなったと言うことはもう負けを認めている証拠?あなた達では私を倒すことは出来ないわ」
実際数々の尋問官と対峙しその尋問官の何人かを仕留めてきたアソーカをセドリスとIG-99Eが倒すのは無理だ。
だがその一言がセドリスの怒りを呼び起こした。
「斬り刻んでガンダークの餌にしてやる!!」
セドリスは怒りに任せてライトセーバーを振り回した。
それに続くようにIG-99Eもアソーカに斬り掛かった。
戦いはまだ始まったばかりだ。
-アウター・リム・テリトリー チス・アセンダンシー亡命帝国領 アルバリオ宙域 マイギートー星系 惑星マイギートー 軍管区司令部-
プライド将軍がマイギートー軍管区の司令官に就任してからそこそこの月日が経った。
その間に銀河系ではシス・エターナル軍が撤退し第三帝国ではコルサントで総統暗殺未遂事件などが起こっていた。
当然マイギートーでもその報せは逐一報告されるしプライド将軍としても関心は高い。
それでも彼らが直接的にその出来事に何かしらの介入をすることはなかった。
亡命帝国、そしてチス・アセンダンシーには彼らとは別のやるべきことがある。
それは祖国第一銀河帝国を自らの手で再建することよりも重要な何よりも優先されるべきことだ。
この任務を怠るようなことがあれば祖国の再建どころか銀河自体が滅びかねない。
「今月に入って新規に編成された第432狙撃兵師団はこのままオード・ビニエールに駐留する予定です。また第464機械化狙撃兵団は惑星アリスに配備されました」
軍管区司令官の副官職に就任したヴァルージン大佐は報告書をプライド将軍の前で読み上げた。
彼はプライド将軍と同じくヴィルヘルムから直接指示を受けてマイギートー軍管区司令官の副官に任命された。
「アリスは有事の際、バスティオンやムウニリンストからの民間人を避難させる重要なハイパースペース・レーンの一つだ。無論逆も然り」
「と仰いますと…?」
「コア・ワールドから我々に対して何かが起こった時、マイギートーから向こうの民間人を避難させるのにアリスは役立つ」
プライド将軍は冷たくそう言い放った。
現在コア・ワールドに残存し彼らに何か大きなアプローチを行える政府は第三帝国以外に存在しない。
つまりプライド将軍は第三帝国がチス・アセンダンシーや亡命帝国に対して何らかの軍事的アプローチを取ってくる可能性を示したのだ。
「…しかし将軍、流石に第三帝国が今すぐに攻めてくるとは考えにくいですが」
ヴァルージン大佐は一般論的な考えを述べた。
第三帝国は今レジスタンス軍の掃討に力を入れておりチス・アセンダンシーや亡命帝国と戦う力はあまりないはずだ。
それに今第三帝国とかの国々が戦えば甚大な被害が出ることは分かり切っている。
ならば合理的に考えてそれを回避しようとするはずだ。
「モフフェルも同じ考えだったし私も今すぐにとは思っていない。だが、第三帝国は時々合理性のない行動を多々する。その合理性のない行動が我々に降りかからないとは言えないだろう?」
「それはそうですが…」
ヴァルージン大佐にも幾つか思い当たる点はあった。
「だがあくまで可能性の話だ。アリスはこのまま通常のドクトリン通りの行動が出来ればそれでいい。私の考えも杞憂に終わればいいのだがな」
プライド将軍は部下を宥める為に微笑んだ。
ヴァルージン大佐も「そうですねぇ…外縁からの侵略者と内縁部からの侵略者なんて両方一度に相手出来ませんからね」と冗談を溢した。
プライド将軍も苦笑を浮かべ再び報告書に目を通した。
「新たな師団の編成で我々もようやく目標の地上軍戦力4宙域総合500万名に到達しました。各アカデミーも順調に稼働しているようですし来年には追加でもう数百万人の増員が可能でしょう」
「それはいいな、ドロイドや技術面ではどうだ?」
「自動操縦能力の向上とブラスター・ライフルの射撃向上装置の開発が入ってきています。将軍が提示された方針のお陰ですよ」
プライド将軍は自身の軍管区で兵士の創意工夫を向上させる方針を採りその影響が様々なところで出ていた。
技術面もその影響の一つで多くの優秀な技術士官達が日夜既存の技術の発展や新技術の確立を目指していた。
テクノロジーだけが戦争に勝利する方法ではないがテクノロジーの進歩は時に勝利に大きく貢献することもある。
特にこれから彼らが戦うであろう者達相手では少しでも優れた技術が必要となっていた。
「まあ自動操縦能力は“
「仕方ありませんよ、我々の総戦力なんて強大に見えてたかが知れてますし。本来の帝国軍の何十、何百分の1でしかありません」
ヴァルージン大佐の発言は決して単なる比喩表現ではなかった。
もはやこの銀河系にかつての帝国軍と同等の戦力を持つ軍隊は存在しない。
かの伝説の祖国の軍隊はもう失われてしまったのだ。
プライド将軍も自身の属してきた帝国軍が崩壊する姿を目の前で目にした1人だ。
そんなことを思い出しながら静かに語り出した。
「…思えばジャクーでの戦いから早4年、たった4年だが銀河は大きく変わった。無論我々も」
だが変わったからと言って嘆いてはいられない。
我々は我々の新たな国を守るのだ。
プライド将軍はマイギートーの冷たい大地を見つめながら再び自らの信念に誓った。
-コア・ワールド 第三帝国領 首都惑星コルサント アンダーワールド-
保安局主導によるアンダーワールドの掃討作戦は多くの人員と多くの時間を掛け殆どが成功し上階の封鎖も徐々に解除され始めた。
だがアンダーワールドにはまだ保安局の部隊が残っており立ち入り禁止の立て看板と封鎖部隊が置かれていた。
閉ざされた空間の中で保安局員達は作戦の“
もはや何かわからない焼け焦げ千切れ飛んだものを集め人々から隠すように布で覆った。
破壊された建物は解体しアンダーワールドはかつてのゴチャゴチャした雰囲気から変貌し更地と化していた。
無機質な煤汚れた地面が永遠と広がる無機質な空間が何千という階層に分かれている。
アンダーワールドの階層の一つでフリシュタイン上級大佐は何人かの部下に囲まれ報告を受けていた。
「回収作業と撤去作業は4割が終了、一部の階層は完了しましたが封鎖解除には最低でも後3週間は必要です」
「ハイドレーヒ大将はなんと?」
「長官方は作戦の成功に満足しておられます。作業は焦らず確実にやった方が良いかもしれません」
ハイドレーヒ大将との連絡将校を務めるマルテンコプフ上級大尉はそう答えた。
コルサントは大きい上にこの
完全に何もかもを消し去りさもそこには何もなかったかのように更地にするにはどれだけの人員がいても足りないだろう。
「死体と損傷の酷い建物のみ優先して回収しろ。残りはコルサントの建築総監殿に任せておけばなんとかなる」
「…ゲルマニア・コルサント構想ですか…どちらにせよ我々の人員だけでは無理でしょうしね」
代理総統がグランド・コンセプトを考案したゲルマニア・コルサント構想、そこにはアンダーワールドの改装も含まれていた。
その為に多くのアンダーワールドの人口をコルサント外に追放したりしたのだがいよいよその必要もなくなったのだ。
アンダーワールドはこれから第三帝国の手によって生まれ変わる。
旧共和国のような矛盾や闇を抱えることのないコルサントの美しい一部として。
今回の行動はその為に必要な作戦だった。
国家の最高指導者を暗殺しようとするテロ組織が住まう地下都市など存在していいはずがない。
国家を一度は敗北に導いた種族が住まう地下都市など存在していいはずがないのだ。
多くの保安局員達はそうやって自らの心に本当の狂人から与えられた正当性を植え付けていた。
「死体の回収だけなら日数的には半分以下で終わらせられるはずだ。なるべく上階から、早めに封鎖を解除していきたい」
現在でも一部のポータルは国内予備軍や国防軍や親衛隊と交代したFFISOの部隊が封鎖を続けている。
早めに解除しなければそろそろなんらかの支障が出始めるだろう。
国内予備軍やFFISOの部隊も封鎖の為に存在している訳ではない。
このまま封鎖が長引けば練度も徐々に低下し始めるだろう。
「他の現場の指揮官達にも伝えてくれ。死体の回収と損傷の激しい建物を優先的に撤去しろと、後は首都圏地区部門に任せる」
「了解!」
マルテンコプフ上級大尉は敬礼しその場を去っていった。
近くには搬送用のセンチネル級が着陸しかき集められた遺体が運ばれていった。
「撤去が済み次第この区画の兵員は全員TIEボーディング・クラフトかTIEシャトルかドロップシップに乗せろ。センチネル級や輸送船は撤去に使いたい」
「分かりました」
「我々は先に本部に戻る、用を済ませたらまた戻ってくるつもりだ」
フリシュタイン上級大佐は報告書を纏めたタブレットを部下に渡すとその場を後にした。
現場の部隊長や参謀達は「お気をつけて!」と上級大佐に敬礼を送った。
フリシュタイン上級大佐の前には黒い装甲が特徴的なゼータ級シャトルが停泊している。
シャトルのハッチが開き中にいた2人のトルーパーが敬礼した。
「親衛隊本部まで頼む、ハンガーベイは45番を」
「了解、直ちに」
ハッチが閉じゼータ級シャトルはリパルサーリフトの力で浮上しアンダーワールドの階層を離れた。
他のセンチネル級や貨物船と共にポータルを使い上階へと上がっていく。
その間にもフリシュタイン上級大佐は報告書に目を通していた。
「回収出来た死体は……まだまだ掛かりそうだな」
「それが各部隊の指揮官達によるとどうも想定したよりも遥かに数が少ないようでして。そもそも想定よりも攻撃時に存在していた対象が少なかったと」
隣に座るミシュトライン中尉は彼に付け加えた。
フリシュタイン上級大佐は眉を顰め尋ねた。
「それはどういうことだ?」
「ですから文字通り対象が少なかったのですよ。どうしてだかは分かりませんが」
フリシュタイン上級大佐は静かに報告を聞き頭の中で思考を巡らせた。
そもそもアンダーワールドの住民に対しては渡航禁止令を出していたはず。
管理もかなり厳しく行なっていた為アンダーワールド住民がコルサント外に出ることは不可能だったはずだ。
それなのに何故。
一つ可能性として挙げられるのはレジスタンス軍のスパイか何かが闘争を手引きしたか。
だがレジスタンス軍が数千人以上を一気に運ぶ事が出来る船が訪れた形跡はない。
だとすれば一体どこの組織がなんの目的で。
「…これは報告する必要があるな」
フリシュタイン上級大佐は静かにそう呟いた。
「それと上級大佐、コルサントにヴォーレンハイト少将がお越しです」
ミシュトライン中尉はフリシュタイン上級大佐にそう報告した。
上級大佐は顔を上げ微笑を浮かべた。
「…確か“
ヴォーレンハイト少将はロイヤル・アカデミーの視察の前にもう一つ視察を行なってきた。
そのことの報告を是非とも聞きたい。
ゼータ級シャトルはアンダーワールドを抜け最上階の5127階層に辿り着いた。
ポータルからスカイレーンに乗り込み親衛隊本部に急いだ。
その黒い装甲と同じくらいの黒い事情を抱え込んで。
テドリンは走った。
いつの間にかレジスタンス軍がジェダイを連れて襲撃してきたのだ。
相手はあのアソーカ・タノ。
オーダー66、帝国のジェダイ狩りすらも逃れた数少ない生き残りでどう言う訳かマラコア以降も生きてレジスタンス軍に加わっていた。
奴は既にボーラ・ヴィオの占領で目撃されており明確な抹殺対象とされていた。
だが今はそれよりも別の重要な任務がある。
レジスタンス軍が襲撃し地上ではあのジェダイの生き残りが暴れている。
折角“
その為にもまずは“
セドリスとIG-99Eは何とか離脱するだろう。
せめてジストン級にまで行けば後はどうとでもなる。
シス・エターナル軍最強のスター・デストロイヤーがたかがスターファイターにやられる訳がない。
あの地帯が最も安全な場所だ。
「急げ!離脱するぞ!」
周りのシス・トルーパーをかき集めテドリンはシャトルの下へ急いだ。
所詮は奴1人、こちらの任務は至極簡単なこと。
我々の任務の成功は確実だ。
だがここでテドリン達にとって予想外の出来事が発生した。
突然テドリンの目の前を走っていたシス・トルーパー数人が何もないのに反対側へ吹き飛ばされたのだ。
テドリンはしゃがみ自身のフォースを用いて対策を取った。
この攻撃は間違いなくフォースの攻撃だ。
まさかセドリスとIG-99Eが破れたのか。
「チッ!奴をこちらに近づけさせるな!!」
テドリンは周りのシス・トルーパーに命令して自身はそのまま再び走り始めた。
シス・トルーパー達は言われた通りブラスター・ライフルを発砲して攻撃を受けた側に弾丸を叩き込んだ。
だがそれは全て“
他のシス・トルーパーや吹き飛ばされたシス・トルーパー達も戻り戦闘に加わったが状況は変わらなかった。
撃たれた分だけブラスター弾は弾き返されシス・トルーパーが何人か撃たれた。
「チッ!ここで足止めを食う訳には!」
弾丸を弾き返しながら男は、カルはフォースで跳躍をつけ敵の注意が上を向いた隙に2人のシス・トルーパーを斬り倒した。
先に戦っていたアソーカから連絡を受け攫われた子を助けようと襲撃したのだ。
カルは流れるように残りのシス・トルーパーにも斬撃を加えていった。
ブラスター・ライフルを叩き切りライトセーバーの斬撃を直接本人に与え、近づいてくるシス・トルーパー達をフォースで吹き飛ばし近くに木々にぶつけた。
ブラスター弾を弾き返しながら1人のシス・トルーパーを踏み台にし背後のシス・トルーパー2人を一気に倒した。
踏み台にされたシス・トルーパーが振り返る瞬間にライトセーバーを振るいトルーパーの首を斬り落とした。
これで周りにいたシス・トルーパーは全て打ち倒した。
カルは休む暇もなく走りトルーパー達を仕切っていた男の下へ向かった。
「待て!」
森を抜け少し開けたところに出るとそこには何機かのシャトルと数十人のシス・トルーパーがいた。
先ほどのダークサイドの使い手はそのうちの1機のシャトルに乗り込もうとしていた。
まず逃走を防ぐ為にシャトルのエンジンをフォースで捻り潰し破壊した。
エンジンからは装甲がひしゃげ配線のショートで火花が出ている。
「もう追いつきやがった!やれ!」
テドリンは周りのシス・トルーパーに命じてカルを攻撃させた。
カルは再び2本のライトセーバーを用いてシス・トルーパー達の攻撃を防ぎつつ反撃に転じていた。
気がつけば既に半数のシス・トルーパーが打ち倒され残りのシス・トルーパーは全て近くのシャトルの装甲や木々に叩きつけられ戦闘不能に陥った。
もはや今戦えるのはテドリンのみだ。
「今すぐ攫った子を返せ」
カルはテドリンにライトセーバーの剣先を突きつけ最後通牒を送りつけた。
だがテドリンは余裕そうな表情を変えずに指を鳴らした。
するとシャトルから2体のダーク・トルーパーが姿を表した。
ダーク・トルーパーはカルを視認するなりブラスター・ライフルを向け発砲し始めた。
「そいつの相手をしていろ!」
テドリンはダーク・トルーパーにその場を任せシャトルの中へ入っていった。
ダーク・トルーパーは血も涙もない殺人マシンの特徴を活かしてひたすら対象の抹殺に己の全ての技量をぶつけた。
カルは放たれる雨のようなブラスター弾を弾きながら左右に動きつつダーク・トルーパーに近づいた。
ダーク・トルーパーは片腕でカルを殴りつけようとしたがその腕の伸ばした瞬間を狙ってカルはライトセーバーで腕を斬り落とした。
重厚なダーク・トルーパーの腕がオレンジ色の断面と共に地面に落ちる。
その隙にもう1本のライトセーバーで胴体に斬撃を3回叩き込み首を刎ねて完全に機能を奪った。
破壊されたダーク・トルーパーを前にもう1体のダーク・トルーパーはジェットパックを用いて浮上し上空からブラスター弾を叩き込もうとした。
だがダーク・トルーパーは弾丸を1発も放つ前に破壊され地面に墜落した。
何故ならカルがフォースを用いてダーク・トルーパーを握り潰したからだ。
装甲や内部の機器が軋み全身から火花を出して破壊された。
最終的にただの金属の塊となったダーク・トルーパーはそのまま放され地面に墜落し周囲には変をばら撒いた。
テドリンが慌てて気絶した“
「自慢のトルーパーもこのザマだな」
「チッ!なら私が相手だ!」
テドリンはライトセーバーとブラスター・ピストルを取り出し武器を構えた。
カルも2本のライトセーバーを接続しダブル=ブレード・ライトセーバーの形状にした。
フォースの使い手と戦うにはかなり有効だ。
「この邪魔者どもが!!」
テドリンは先手必勝と言わんばかりにブラスター弾を放ちながら突進した。
カルはダブル=ブレードで弾丸を弾きテドリンよりも先に斬撃を叩き込んだ。
テドリンは寸前で防御し反撃しようとブラスター・ピストルを動かした。
だがそれよりも早くカルがライトセーバーを振るいダブル=ブレードの片方の光剣がテドリンの衣装を掠めた。
それからカルは上部のブレードを叩き込むように振りテドリンが防御すると今度は下部のブレードで斬撃を叩き込んだ。
辛うじてダブル=ブレードの攻撃をなんとか防いだが圧倒的に押されていることはテドリンも理解していた。
勢いを殺さずカルは攻撃を強め何度もダブル=ブレード・ライトセーバーでテドリンを圧倒した。
少し距離が空いた瞬間カルは自身に回転を掛け回転斬りの斬撃をテドリンに与えた。
テドリンはなんとか防御出来たが完全に体勢が崩れこけてしまった。
その隙を逃さずカルは集中力を高め全身全霊の力でテドリンをシャトルの外壁に叩きつけた。
防御が間に合わなかったテドリンはフォースの攻撃をモロに喰らい何も出来ずにシャトルの外壁に衝突した。
「ガッ!!」
シャトルの装甲が少しへこみテドリンは衝撃で気を失った。
これでカルと連れ去られた子に対する驚異はなくなったはずだ。
カルは急いでシャトルの下へ向かい連れ去られた子に近づいた。
気を失っているが生きている。
「BD-1、スターファイターを頼む。アソーカにも伝えてくれ、彼は救出出来た」
コムリンクを切るとカルは男を抱き上げその場を離れた。
シス・エターナル軍の目標が彼の誘拐であるようにアソーカやカル達の目標も彼をダークサイドの手から守ることだった。
このまま彼を安全な場所まで運びダークサイドの魔の手から彼らを隠すことが出来れば任務は達成される。
しかしこの時カルは気づいていなかった。
カルと“忌子”を狙うもう1人の存在がいることを。
シディアスが差し向けたダークサイドの使い手は“
-レジスタンス最高司令部 イリーニウム星系 惑星ディカー-
ディカーに突如ハイパースペースから何十隻もの軍艦が出現した。
どれも新共和国軍がかつて使っていたもので識別コードは殆どが元バルモーラ駐留軍のものだった。
最初は緊迫した雰囲気が漂い疑いの目が向けられたがジャンプから3時間も経てばすっかり身の潔白は証明された。
そして今ではディカー基地内に降ろされた新型の地上兵器に注目が集まっていた。
アーヴァラ7のラボで開発されたX-0Pヴァイパーがディカー基地の格納庫に運搬され整備士や技術者達に囲まれている。
その間に部隊の指揮官であるライトン将軍はディゴール大臣と面会していた。
「元バルモーラ駐留軍司令官、レディット・ライトン将軍だ。我々もレジスタンス軍に合流したい」
ライトン将軍と彼の部下達は全員ディカー基地の面々に敬礼した。
ディゴール大臣もヴィアタッグ将軍もライトン将軍のことは何度か目にしたことがあった。
元カリダ惑星防衛軍で帝国時代になると帝国軍に馴染めず少佐で除隊。
それからどういう伝を辿ってきたのかは知らないが反乱同盟軍に加わり貴重な地上部隊の指揮官として同盟軍を支えていた。
新共和国が誕生しある程度安定する頃には彼は既に将軍になっておりバルモーラ駐留軍の司令官を任されていた。
それからバルモーラは第三帝国に加わりバルモーラ駐留軍はそのまま全員捕えられたと思っていたのだが今消えたはずの駐留軍と司令官が大臣達の目の前にいる。
多少の驚きはあるがまずは色々と話を聞く必要がある。
「シャール・ディゴールレジスタンス政府国防大臣だ。こちらはディカー基地司令官のデュロン・ヴィアタッグ将軍」
2人はライトン将軍達に敬礼を送った。
将軍は2人に「お会い出来て良かった」と返答した。
「私はタイ=リン・ガー元新共和国元老院議員、現在はレジスタンス政府副議長を務めている。本来なら議長たるレイア・オーガナ殿に会って欲しいのだが今は不在だ」
「オーガナ姫が議長ですか、となるとやはりモスマ前進共和国議長は…」
ライトン将軍は目線を落とし少し震えた声で尋ねた。
ディゴール大臣も重苦しい声で反乱同盟、新共和国を作りし聖母の生死を伝えた。
「モスマ前議長は侵攻時、シャンドリラで亡くなられた。帝国軍には捕えられまいと敵兵を巻き込んで自爆されたらしい。見事な最期だ」
「……そうですか、我々はずっとアーヴァラ7に篭りっぱなしだったもので、レジスタンスの事もついこないだ知ったばかりで」
ディゴール大臣はこの瞬間少しばかりライトン将軍から嘘臭さを感じた。
そこに明確な根拠はなかったがどうも今の一瞬は嘘臭かった。
「何故君たちはアーヴァラ7へ?あそこは良くも悪くも戦略的な価値はないと思うのだが」
ガー副議長はライトン将軍に尋ねた。
第三帝国だって態々アーヴァラ7に部隊を派遣した理由はそこに新共和国軍の残党がいたからだ。
本来であればあんな場所に部隊を展開する必要はない。
「だからこそです、我々が撤退中に手に入れた設計図を現実のものとするには価値のない場所に拠点を置く必要があった。帝国の強大な地上軍と対抗する為には我々が開発したあれが必要です」
ライトン将軍は断固とした表情でガー副議長の疑問に答え彼らが持ってきたものの必要性を説いた。
当然ディゴール大臣もヴィアタッグ将軍もそれが何か分かっている。
「開発コードX-0P、ヴァイパーか。あれが我々レジスタンス地上軍の主力兵器になると?」
「まだプロトタイプですが十分に活躍出来ます。現にアーヴァラ7の撤退戦では我々の撤退の時間を稼いでくれた」
まだAT-MTやAT-ATマークⅢ、マークⅣには敵わないが十分な打撃は与えられた。
ヴァイパーが完成し正式採用機としてレジスタンス地上軍の主力兵器となれば帝国地上軍のウォーカーにも対抗出来るだろう。
いやむしろ圧倒することだって出来るかもしれない。
それだけの可能性をあのヴァイパーは秘めているのだ。
「元はバルモーラの開発記録に存在していましたがそれを我々が撤退戦時に強奪しました」
「なるほど、それでアーヴァラ7でこそこそと開発を続けていた訳か」
「あの当時はまだ残存する新共和国軍はどこも分断されていましたので、ヴァイパーが完成するまでは我々は姿を隠しておこうと考えたのです」
あの2人が新共和国軍を繋ぎ合わせイセノでレジスタンスの宣言をするまでは新共和国残党軍はバラバラの烏合の衆だった。
実際ラクサスに逃げた残党軍のようにかなり無茶をやる残党軍も存在していた。
ライトン将軍達が身を隠そうとするのは当然だろう。
「しかし秘密にされていたアーヴァラ7の秘密基地は突如バレて襲撃を受けた」
「ええ…正直今も不安な所です。しかも恐らく敵の指揮官の中には間違いなくホスのマクシミリアン・ヴィアーズ将軍がいた」
ディゴール大臣もヴィアタッグ将軍もなんならガー副議長ですらその名前を知っていた。
マクシミリアン・ヴィアーズ、帝国地上軍の上級将校で今では“
ホスの戦いで英雄になった当時はまだ一介の将軍であったが今では大将軍、カイティス、ローリング、ブラシンと並ぶ帝国地上軍の超上級将校である。
「あの戦術…我々の防衛線は最も簡単にアサルト・ウォーカーの大群によって打ち破られた。帝国は弱体化したとはいえまだ我々では勝てない」
ライトン将軍はアーヴァラ7での出来事を噛み締めるように呟いた。
レジスタンス結成以前から新共和国軍や反乱同盟軍は帝国地上軍に対して劣勢に立つことが多かった。
AT-ATや俊敏で容赦のないAT-STと戦うにはまだ力不足過ぎたのだ。
あの巨人達を相手に数多くの兵士達が犠牲となった。
「それは我々も感じている、レジスタンス軍は惑星内じゃ苦戦続きだ。無論ただやられている訳にはいかん、君達が命を賭して持ち帰ってくれた艦隊と地上戦力、そしてあの新型兵器は有効に活用させてもらう。ライトン将軍、ようこそレジスタンスへ」
そう言ってディゴール大臣はライトン将軍に手を差し伸べた。
ディゴール大臣からの歓迎の印だ。
ライトン将軍は微笑を浮かべ彼の手を力強く握り返した。
「受け入れに感謝する、大臣」
「艦隊は第4プラットフォームに駐留させろ。地上部隊は全員下ろして新設された兵舎で休ませてくれ、きっと疲れているだろう。もちろん将軍や君たちも」
ディゴール大臣はアイサインで部下に確認を取りライトン将軍達に頷いた。
ライトン将軍は「何から何まで感謝する」と呟き司令室を後にした。
将軍達の退出を見送るとディゴール大臣は呼び寄せていたレジスタンス情報部のプローウル少佐とパロダイ主任に尋ねた。
「バルモーラの総督は確かベルテイン総督が今も務めていたな?」
「はい第三帝国への忠誠を示したので総督であることを許可されました。現地には帝国軍部隊も駐留していますが独自の惑星防衛軍もまだ存在しています」
「我が情報部も数名がバルモーラに潜入しています。何せバルモーラは依然として軍需産業の一大生産地ですので」
この戦争が起こるまではバルモーラは中立惑星として新共和国軍にも軍需製品を送っていた。
「バルモーラの惑星防衛軍で新共和国崩壊から今日に至るまで、何か変わったことはないか?例えば部隊が突如喪失したとか」
ディゴール大臣はかなり奇妙なことを聞いていると内心で思っていた。
しかし優秀な2人の情報将校はすぐに答えた。
「確かラクサス侵攻の前にバルモーラでは惑星防衛軍の一部隊が反乱を行ったという通信を傍受した記憶があります。我々が介入する間も無く鎮圧されましたが」
「バルモーラ惑星防衛軍は数ヶ月に一度、遠征部隊を各国に送っているそうです。その内の一部隊が行方不明という事件も聞いたことがあります」
「……そうか、分かった。引き続きバルモーラの諜報は現状を維持しろ、後は私がなんとかする。それよりも諜報を強めなければいけないのは依然として第三帝国…」
大臣の一言と共にホロテーブルに第三帝国の支配領域の星図が映し出された。
シス・エターナル軍の退却により一時混乱するかと思われていた占領地域の維持は思いの外目立った出来事もなく進んでいた。
だが第三帝国の不穏な出来事は占領地の外域よりも内側のコア・ワールド内で多発していた。
代理総統暗殺未遂事件に続く新たな不穏な動き。
「コルサントで突如敷かれたポータルの封鎖に保安局の実働部隊がアンダーワールド内で何かしらの特殊作戦をしていたというスパイからの情報。どうにも気がかりだ」
「名目上は暗殺犯の掃討なのでしょうが……どうもそれだけとは」
第三帝国は既に数多くの残虐な犯罪行為を行なってきた。
それはジェルマンとジョーレンが持ってきた情報でも証明されている。
「それにシス・エターナル、撤退したとはいえいつ戻ってくるかは分からん……やはり“我々から打って出るしかないのか”」
ディゴール大臣が目線を落とした先にはある極秘の作戦が記されていた。
その名も“
レジスタンスの反撃の時が刻々と近づいている。
「クソッ!このデカブツ!一体何発の魚雷をぶち込んでやれば堕ちるんだ!!」
あるBウィング乗りのパイロットは湧き出る苛立ちを言葉にして眼前のバトルクルーザー級のスター・デストロイヤーに吐き捨てた。
既に何十回も反復して集中爆撃を行なっているのにも関わらずこのスター・デストロイヤーはビクともしない。
『せめてブリッジのシールド発生装置だけでも破壊しろ!そうすれば少しは攻撃が通りやすくなる!』
「了解!」
2機のBウィングが対空砲のレーザー弾や敵機の迎撃を掻い潜りつつブリッジに接近した。
2人は数々の戦いを生き延びた歴戦のBウィング乗りだ。
そう簡単にこの貴重な爆撃機を失うようなヘマはしない。
周りのAウィングやXウィングに守られBウィングの脅威は次々と駆逐されていった。
中でもBウィングの前方から迫る3機のシスTIEファイターを一気に殲滅したAウィングがいた。
ヴィレジコフ上級中尉の機体だ。
『ソード2援護に入る』
「助かった…!間も無く爆撃を開始する。コンポジット・ビーム・レーザーの準備を」
『了解、照準を合わせる!』
Bウィングはそれぞれ対空攻撃を回避しながら合成ビーム・レーザーの準備を行った。
照準を合わせ安全装置を解除し引き金に指を掛ける。
「左舷のシールド発生装置に攻撃を集中する。先にプロトン魚雷を撃ち込んでそこにレーザーを叩き込むぞ」
『了解!』
別の引き金を引きBウィング2機からそれぞれ1発ずつプロトン魚雷が偏向シールド発生装置に向けて放たれた。
赤ピンクの球体はシールド発生装置に着弾すると同時に周囲の偏向シールドを掻き消した。
今がチャンスだ。
「コンポジット・ビーム・レーザー発射!」
機体の4方向から放たれたレーザーがある一箇所で凝縮して1本の強力なビーム・レーザーとなって放たれた。
2本の合成ビーム・レーザーは偏向シールド発生装置に直撃しそのまま装置を焼き切った。
耐久地に限界が来た偏向シールド発生装置は爆散し周囲に破片をばら撒いた。
偏向シールド発生装置が破壊されジストン級全体を覆っていた偏向シールドが徐々に弱体化し消え始めた。
各スターファイターのセンサーでも感知出来るほどだ。
『偏向シールド発生装置を1基破壊完了!』
パイロットはコムリンクを繋いで全機に報告した。
この報告がレジスタンス軍の集中攻撃の合図となった。
「了解、全機船体下部の偏向シールド発生装置に集中攻撃!我々の仲間を大量に葬った大砲を破壊してやれ!」
ウェッジのXウィングを先頭に何十機ものスターファイターが続いた。
あのスーパーレーザーからはかなりのエネルギーが発射される。
であればそのスーパーレーザーのエネルギー源はどこにあるのか。
技術者や参謀達の見立てによれば船体下部に直接繋がっている反応炉の可能性が最も高い。
ならばその反応炉とスーパーレーザー砲塔を攻撃すれば逆に敵艦に大ダメージを与えられるのではないか。
このピンポイント攻撃に最も適応出来て最も有効な攻撃を打ち出せるのはスターファイター隊しか存在しない。
数千メートルもの主力艦をたった一撃で殲滅出来る悪魔のスター・デストロイヤーを数十メートルしかないスターファイターが撃破する。
多少なりとも戦場の高揚がパイロット達を包んだ。
当然シス・エターナル軍も黙ってやられる訳にはいかない。
迎撃の為に再び何十機ものシスTIEファイター部隊を送り込んできた。
黄緑色のレーザー砲が反応の遅れたレジスタンス軍のスターファイターを何機か撃墜した。
「全機応戦しろ、そして可能な限り反応炉とスーパーレーザー砲塔に攻撃を叩き込め!」
ラクティスはタラソフ大尉やソークー中佐と共に先行し迫り来る敵機の編隊を切り崩した。
「俺たちも行くぞ!」
『了解!』
それにヴィレジコフ上級中尉の編隊も続きスーパーレーザー砲塔の周りで再び激しいドックファイトが始まった。
レーザー弾や震盪ミサイル、プロトン魚雷やイオン魚雷が放たれ乱戦状況を生み出していた。
当然ジストン級にとってこの状況は好ましいとは言えない。
ブリッジでは艦長や幕僚達が苛立ちを浮かべていた。
「アキシャル砲の周辺ではスターファイター戦が始まっており非常に危険な状態です」
「なんとか押し返させろ、全速力で現領域から移動しなんとか振り切れ。ジャマーの出力を強化し敵の爆撃を妨害しろ」
「了解!」
「地上の回収部隊はどうなっている、セドリス殿やテドリン殿はどうした」
艦長は部下に地上に送り込んだ部隊のことを尋ねたが部下からは「分かりません」としか返ってこなかった。
地上からはなんの報告もない為現状ジストン級のブリッジの中だけでは判断しようがない。
「一体何をしているのだ、彼らが戻らなければ我々も撤退出来ないぞ」
やられた訳ではないと思うがそれでもなんの連絡や報告ないことに艦長は焦りを感じていた。
そんな状況の中、ジストン級の船体下部では依然として戦闘が続いていた。
スターファイター同士が撃ち合い生き残った出力半分の偏向シールドがジストン級への直接的な被弾を防いでいた。
ある2機のYウィングが対空砲やシスTIEファイターの猛攻を掻い潜って反応炉への攻撃を行った。
「喰らえ!」
何発かのプロトン魚雷と震盪ミサイルが放たれ反応炉とスーパーレーザー砲塔を狙った。
だが周囲に展開されたジストン級のジャマーの影響で照準が狂いプロトン魚雷や震盪ミサイルが全弾あらぬ方向へ飛んでいってしまった。
他のXウィングやAウィングが放った攻撃も同様だ。
『ジャミングで自動追尾が出来ない!』
あるパイロットが苛立ちを込めてそう吐き捨てながら報告した。
「直接照準に切り替えろ、ギリギリまで接近して魚雷をぶち当てる。ソークー、ラクティスついて来てくれ」
『了解!』
『了解!タラソフ援護を頼む!』
護衛をタラソフ大尉らに任せ3機のXウィングがスーパーレーザー砲塔に直接攻撃を開始した。
近づいてくるシスTIEファイターを3機がそれぞれ仕留めていく。
ウェッジは敵機のレーザー弾を機体を回転させながら回避しその勢いのまままた別のシスTIEファイターを撃墜した。
ソークー中佐は周囲のターボレーザー砲を破壊して周り安全を確保しようとした。
ラクティスは背後から援護し敵機を潰して回った。
「よしこのまま行くぞ、システムを自動追尾からダイレクトに切り替えろ。全弾を反応炉とスーパーレーザー砲塔の合間に叩き込む」
『了解…!シビアな戦いになりそうですね…!』
「ヤヴィンで成功させた奴はもっとシビアだったんだ、これくらいなんてことはないはずだ!」
3機のXウィングが見事な機動力で敵の防御網を突破し遂に反応炉の近くまで接近した。
ここまで来ればもうシスTIEファイターも対空砲塔も誤射を恐れて攻撃出来ない。
まず最初にソークー中佐のXウィングから2発のプロトン魚雷が発射され砲塔周囲の偏向シールドを打ち破り船体に直撃した。
デュラスチールの装甲が最も簡単に打ち破られ僅かだが砲塔と反応炉にダメージを与えた。
『ウェッジ、ラクティス、被弾はさせたが装甲の一部を引き剥がしただけだ』
『ではこちらで更にダメージを広げます、大佐はトドメを』
次にラクティスのXウィングからプロトン魚雷が放たれた。
ソークー中佐と寸前も違わず同じ箇所に直撃させ更にデュラスチールの装甲を破りダメージを与えた。
反応炉と砲塔側から何回も小爆発が発生しており非常に危険な状態だ。
「よしよくやった、あとは任せろ」
スコープを覗きながらウェッジは狙いを定めた。
ジストン級の破損箇所はヤヴィンで戦った第一デス・スターの排熱孔よりは大きい。
だが目標に対してこちらは自動追尾システムを使わず直接真っ直ぐ当てるしかない。
ヤヴィンの時もウェッジは被弾が原因で辛うじて生き残れた。
一緒にいたビッグスはやられてしまったが。
ルークに出来た事が自分にも出来るだろうか。
ウェッジは一瞬だけ小さな不安に駆られた。
ウェッジはかれこれ11年以上パイロットとして戦い続け数々の激戦を生き延びてきた。
そんな歴戦のエースパイロットでも不安になる時だってある。
そんな中ウェッジはルークから言われたある言葉を思い出した。
“フォースを信じて”。
その一言がウェッジの信仰心に火をつけたかどうかはともかく戦友の言葉はウェッジにやる気と加護を与えた。
ウェッジは自らのXウィングを限界まで接近させジストン級と衝突ギリギリのところまで近づきプロトン魚雷を破損箇所に叩き込んだ。
2発のプロトン魚雷は反応炉と砲塔の連結部を完全に破壊し双方に深刻なダメージを与えた。
直後発生した爆発がウェッジのXウィングの前に現れたが彼は恐れず爆発の炎の中を突破して離脱した。
「全機一応距離を取れ、どのくらいの被害が出るか分からん」
ウェッジの判断でレジスタンス軍機は可能な限りジストン級から距離を取った。
その間に反応炉とスーパーレーザー砲塔には爆発が広がり徐々に崩壊し始めていた。
ブリッジでも当然その様子は報告されていた。
「連結部が大破!反応炉とアキシャル砲双方にダメージがありこのままでは誘爆して本艦は大破します!」
「チッ!」
アキシャル・スーパーレーザー砲はこの超大火力のスーパーレーザーを発射する為に砲塔とソーラー・イオン化反応炉が直接連結していた。
その為どちらかに重大な損傷が与えられれば対策を打たない限り誘爆してジストン級自体が危険な状況になる可能性があった。
勿論通常ではアークワイテンズ級やヴィクトリー級といった護衛艦が付き、シスTIEファイター部隊が周囲を警戒し遠距離からアキシャル・スーパーレーザー砲を発射すればいいのでこのような危険な状況になる可能性は極めて低かった。
しかし今回は特殊な任務であった為護衛艦をつけず、しかも相手があのレジスタンス軍最強のパイロット達だったのが問題であった。
また“証拠隠滅”の為にスーパーレーザー発射の準備をしていた為それが問題であったかもしれない。
艦長達は対策に迫られていた。
「反応炉の全隔壁を封鎖しダメージコントロール!反応炉の出力を抑えろ!艦とアキシャル砲との連結も完全に解除するんだ!」
「しかし艦長このままでは連結を失ったアキシャル砲が崩壊し大破する可能性が!」
「やむを得ん!本艦全体を守る為だ!急げ!」
艦長の決断によりジストン級では破損部分周辺の隔壁が作動しこれ以上の被害を抑える為に反応炉の出力も抑えられた。
そして何よりもジストン級最大の特徴であるアキシャル・スーパーレーザー砲塔が連結を解除されそのまま大破し破壊された。
このまま連結させていればジストン級全体に被害が及ぶとはいえジストン級はこれで自らが持つ最大の兵器を失うこととなった。
それでもジストン級はアキシャル砲塔の爆発により損傷を免れなかったが。
「ちくしょう!接続を解除しやがった!」
敵機を撃墜しながらヴィレジコフ上級中尉はそう吐き捨てた。
『いや、偏向シールドが更に薄くなった。出力が落ちている』
コーラン少佐はセンサーを見ながらヴィレジコフ上級中尉を宥めた。
『全機、もう一度反応炉に集中攻撃だ。次であの艦は墜ちる、最後の一踏ん張りだ』
再びウェッジを先頭にレジスタンス軍のスターファイター達は攻撃を開始した。
これが反撃の狼煙だと言わんばかりに。
アキシャル・スーパーレーザーが軌道上で爆散する中、カルは攫われた青年を抱えて走った。
あともう少しでBD-1が機体を持ってきてくれる。
この子を安全なところまで運べればそれで良し、ひとまずシスの手から遠ざける必要があった。
カルはこの青年の出自を知っている。
この青年がどうやって生まれたのか、誰の遺伝子を持っているのか、どうしてシス・エターナルが付け狙っているのか。
正直この青年の親にあたる人物のことを考えると胸が締め付けられる思いになる。
この少年の親にあたる人物のせいで大勢の仲間が殺された。
カルのマスターであるジャロ・タパルもだ。
それだけではない、あの時ついさっきまで笑い合っていた戦友達が自分達に突然牙を向けてきた。
彼らとの友情も引き剥がされてしまった。
それでもこの青年は全く関係がない。
親は親、子は子だ。
この青年はまだ何もしていない、きっとまともに生きることすら忌むことだとされたはずだ。
せめてこの青年だけは何の呪縛もなく己の生を全うしてほしいとカルは願った。
だが運命はそう簡単に彼の願いを叶えさせてはくれなかった。
青年は目が覚めた。
あの暗殺ドロイドに襲われずっと気を失っていた。
「…………ここは……」
「ッ!大丈夫だ!俺は敵じゃない!君を救いにきたんだっ!」
「…なんで……」
「ある人物に頼まれた、安心してくれ。俺たちには仲間がついている」
カルは優しく青年を宥めた。
青年はカルが敵ではないことも嘘をついていないことも何となく雰囲気で察した。
「無理はするな、俺が運んでいく。君は身体を休めておけ」
「……っ彼女は!?彼女はどこに!?」
「落ち着いて、君と一緒にいた女の子はもう俺の仲間が助けている。だからきっと大丈夫だ」
青年はその一瞬だけ混乱し大声を上げたがその一言で再び落ち着きを取り戻した。
だが青年の声を聞き逃さない人物が別にいた。
その男は2人に狙いを定め自らの武器をありったけの力を込めて投げ飛ばした。
男が持つパイク状の武器はクルクルと回転しすごい速さで2人に迫った。
寸前で危機を察知したカルは自らのライトセーバーを起動しその武器を弾き返した。
だがパイクはそのまま何かに引き寄せられるように男の下へと戻り、男はその武器を持ってカルに突進した。
「クッ!」
男はパイクから赤い光剣を起動し大きく振るった。
ライトセーバー・パイク、もしかするとこの人物は相当の手練れかもしれない。
「君は隠れているんだ!」
カルは青年を守る為に危険を承知で自ら打って出た。
こちらもダブル=ブレード・ライトセーバー、相手のライトセーバー・パイクに負けてはいない。
すると相手もパイクの下の柄の部分にもう一つの刃がついておりカルの攻撃を防いだ。
男はすぐにライトセーバーの剣先をカルに叩き込んだがすぐ防がれた。
2本のライトセーバーがぶつかり合い周囲が少しだけ明るくなる。
カルはその明るさで敵の姿を見た。
敵は皇帝のロイヤル・ガードそっくりの装備を身につけていた。
だがロイヤル・ガードと違うのは全身が赤くなく、むしろ真っ黒だということだ。
しかも不気味にゴーグルアイの部分と顔のヘルメットの周りの部分だけが赤く塗られている。
ロイヤル・ガード同様この男もヘルメットの奥底で一体何を考えているのか見当も付かない。
ただ分かることは男が敵であり、ダークサイドのフォースの使い手であるということだ。
男は再び両刀を用いて積極的に攻撃し始めた。
流石ロイヤル・ガードの装備を身につけているだけあって近接戦や格闘術に長けている。
「お前は一体何者だ!」
黒いロイヤル・ガードはカルの問いに全く答えようとせず沈黙を貫いた。
カルはその間にダブル=ブレードを解除し2本のライトセーバーで攻撃を行った。
身軽な元ジェダイの斬撃が黒いロイヤル・ガードを襲う。
黒いロイヤル・ガードはライトセーバー・パイクで斬撃を躱しつつ距離を取った。
まるでカルと戦うことが目的のようだ。
「まさか!」
カルは急いで青年が隠れた場所へ戻ろうとした。
途中黒いロイヤル・ガードが何度も妨害を行ったがカルは素早く全ての攻撃を回避した。
しかし黒いロイヤル・ガードの妨害のせいかカルが戻った時にはもう遅かった。
「たっ助けて!!助けて!!離せ!!」
「その子を離せ!!」
助け出した青年は背後から先ほどまで戦っていたダークサイドの使い手、テドリン=シャによって取り押さえられていた。
「大人しくしろ、やれるものならやってみろジェダイ!この“忌子”は我らが作りしもの、我らがどうしようと勝手だろうが」
「歪んだダークサイドの呪縛から解放しろ!クッ!」
黒いロイヤル・ガードは2人の前に立ちはだかり重たい一振りでカルを押さえつけた。
黒いロイヤル・ガードは自らのライトセーバー・パイクを周囲に振り回しカルを遠くに寄せて距離を取った。
首を振ってテドリンに「今だ」と合図する。
テドリンは合図に従って青年を捕らえたまま森の中に逃げ込んだ。
「待て!」
カルは青年を助けようとしたが再び黒いロイヤル・ガードが邪魔に入り鍔迫り合いの格好となった。
遠くから連れ去られる青年の声が響く。
「せっせめて!!せめて彼女だけは助けてくれ!!彼女は関係ないんだ!!関係あるのは……俺だけだ……」
青年の声は全てを諦めたような絶望に満ちた声音だった。
しかもカルに懇願するように必死に訴えかけた。
遠くで啜り泣く音も聞こえる。
怖いが恐怖を押し殺して愛する者を守ろうとしているのだ。
そんな青年にカルは大声で答えた。
「必ず助けに行く!!俺たちが全員で!!」
カルは全力でフォースの力を用いて黒いロイヤル・ガードを押し出した。
黒いロイヤル・ガードは防御していたはずなのだが遠くまで吹き飛ばされてしまった。
しかしもう退却するだけなのだからこれでよかったのだ。
青年が連れ去られ、黒いロイヤル・ガードが吹き飛ばされた地点から1機の輸送船が出現した。
銀河共和国時代から存在するサブライト・プロダクト社製のWTK-85A恒星間輸送船だ。
最大速度でその場を離れ、カルがフォースの力で引き寄せようとしてももう手遅れだった。
“
アキシャル・スーパーレーザーの喪失は惑星内の地上からでもはっきりと見えていた。
閃光と共に周囲に爆発の光が広がり巨大な長細い砲塔が崩壊していくのだ。
このことにセドリスは大きなショックを受けた。
アキシャル・スーパーレーザー砲はシス・エターナル軍最大の兵器にして暗黒面の時代を再び甦らせる為の“長槍”なのだ。
その長槍が今セドリスの目の前で叩き折られた。
これは自信家でシスの軍隊を深く信奉しているセドリスのメンタルに多大なダメージを与えた。
「なっ!アキシャル・スーパーレーザーが…!?」
ただでさえアソーカとの戦闘で疲れ始めているセドリスにこの光景はあまりにも酷であった。
彼がこの衝撃を怒りに変える前にアソーカに隙を突かれてしまった。
まず蹴りを2回入れられ更にフォースで押し出され完全に体勢が崩された。
「クソッ!」
IG-99Eが間に入ってセドリスを守ったが2本のライトセーバーがIG-99Eの武器を押し返し更にフォースで押し出した。
その間に立ち上がったセドリスがライトセーバーを振り回し迫ってきたが彼の乱れた剣戟などアソーカの相手にすらならない。
軽く防御し受け流しながら逆にもう1本のライトセーバーで反撃に転じた。
アソーカの一糸乱れぬ洗礼された型の攻撃が更にセドリスを追い詰めていった。
セドリスは再び防御するだけで状況を何も変えられずにいた。
そのもどかしさが彼の冷静さを奪うと同時に怒りによる暗黒面のパワーを与えたが今のアソーカには通用しない。
一回転してパワーをつけた斬撃をセドリスは辛うじて受け止めた。
だがこのままでは力負けしてダメージを負う。
セドリスはあえてフォースで自身の身体を浮かせアソーカから距離を取った。
「クソッ!テドリンは離脱出来たのか!?状況が分からん!」
アソーカは余裕を持った表情のままライトセーバーを構え直し呼吸を整えた。
彼女の2本の白い光剣はこの真夜中では一際目立って光っている。
セドリスも急いでライトセーバーを構え直し再びIG-99Eと共に攻撃を開始した。
IG-99Eのパルスレーザーを敢えてセドリスの方へ弾き彼を更に疲弊させた。
「撃ち方やめろIG-99E!!こいつは近接戦でッ!!」
セドリスが横合いからライトセーバーで、IG-99Eが銃剣と鉈、更には左足のカッターでアソーカを襲った。
4方面からの同時攻撃、これを回避するのは無理だ。
せいぜい一旦距離を取ってこの攻撃を回避する程度しかないがそれをやればIG-99Eが小型ミサイルでダメージを与える。
それからセドリスが斬撃を加えればアソーカの体勢は崩れてトドメを刺せる。
2人にはしっかりとした勝利のビジョンがあり高揚があった。
故にセドリスの顔は邪悪な笑みに染まった。
だがアソーカの予想外の行動が彼らの勝利のビジョンを崩した。
突然アソーカがセドリスらの目の前から姿を消した。
彼女は攻撃を喰らう前に倒れるようにしゃがみ攻撃を全て防いだのだ。
それがどうしたとIG-99Eは踵落としで致命傷を与えようとしたが元ジェダイの素早さは暗殺ドロイドよりも高い。
踵落としを喰らう前にフォースで勢いをつけアソーカはセドリスに強力なタックルを喰らわせた。
「グァッ!?」
更にアソーカはセドリスの顔面に蹴りを入れ地面に叩きつけた、
攻撃をモロに喰らいセドリスの全身に激しい衝撃と痛みが回った。
地面に倒れ込み衝撃の影響か暫く立てなかった。
アソーカは静かにライトセーバーを突き立てセドリスにトドメを刺そうとした。
このままこんなトグルータのジェダイもどきに殺されるのかとセドリスは恐怖と怒りで全身が震えた。
IG-99Eも今の状況では間に合わない。
セドリスの瞳は大きく開いていた。
だがここでセドリスを死の危機から救い出す存在が訪れた。
アソーカは寸前で危機を察知し急いでその場から離れた。
すると数秒も経たずにその場に赤いブラスター弾が1発着弾した。
あのままセドリスを倒すことに集中していればブラスター弾は彼女の脳天を貫いていた。
「何!?」
アソーカがライトセーバーを構えた瞬間今度は更に大きな攻撃が来た。
1発のロケット弾が放たれアソーカは再びその場から離脱した。
爆発と煙幕が周囲に広まり視界が奪われた。
その隙にアソーカを狙った者は行動を開始した。
ジャンプして崖を飛び降りその間にナイフを取り出しセドリスの下に近づいた。
「オーチ!!」
2本の角が生え黄色い瞳を持つ特殊が角ばった仮面を被ったその男はセドリスを立ち上がらせた。
その間にIG-99Eが2人の前に現れてアソーカの前に立ちはだかった。
「ッ!あれは!?」
彼らの背後には1機のWTK-85A恒星間輸送船が浮遊していた。
昇降ランプが降りておりオーチはセドリスを抱えたまま船内に入った。
「待て!」
アソーカは輸送船を止めようとしたがIG-99Eがパルスレーザーを撃って妨害した為もうどうすることも出来なかった。
輸送船はハッチを閉めて急いでジストン級の下に向かった。
あれだけ距離が離されてはもうどうしようもない。
“
つづく
はいどうもEitoku Inobeです〜!
ナチ帝国もこれで61話!だいぶ投稿期間がはいてしまいましたが今後はもっとゆったりとしたものになるでしょう(気象予報士並感)
今年中にはこの章を終わらせられるといいですねぇ
そいではまた〜