第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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「未来はきっと、明るいものが続いていると私は信じている。この未知領域でも楽しいことはたくさんあった。きっと明日も続いていくだろう。アカデミーを卒業した後もきっと」
-シーラ帝国アカデミーのドミトリー・ヤゾフ士官候補生の発言-


来るべき脅威

-未知領域 チス・アセンダンシー領 首都惑星シーラ 軌道上訓練施設-

ライトセーバーを持った数十人の“()()”達がルークとマラ・ジェイドを取り囲んでいる。

 

2人も同じくライトセーバーを構え彼ら彼女らを待ち構えていた。

 

当然ライトセーバーは訓練用に出力が調整されており、当たっても怪我をすることはない。

 

しかし辺りには神妙な空気が流れていた。

 

「フォースに流れを合わせて、必ず攻撃するタイミングがあるはずだ」

 

「もしくは自らフォースを引き寄せる」

 

2人はかなりの月日フォースについて教え込んだ弟子達にアドバイスした。

 

弟子達の中には人間種もいればチスもいたしそれ以外の非人間種の者もいた。

 

静かな訓練施設をブォンというライトセーバーが風を切る音が響いた。

 

それはあちこちで揃って聞こえる音でその直後ライトセーバーが重なり合う鈍い音が聞こえた。

 

「もっと意識を高めろ、そして教えられた型を正確に守るんだ。打つべき攻撃の位置はフォースが導いてくれる」

 

ルークは複数人のライトセーバーを躱しながら時々自らのライトセーバーで斬撃を受けてその光剣を弾いた。

 

まだライトセーバーの戦いに慣れていない弟子達は簡単に倒され、再び立ち上がってルークに向かった。

 

ルークはあえて反撃を最小限に抑え弟子達の攻撃を受け続けた。

 

そうすれば弟子達1人1人にまだ足りないものが見えてくる。

 

逆にマラ・ジェイドはもっと厳しく激しく弟子達の攻撃に一つずつ丁寧に反撃を加えていった。

 

彼女としては口頭で言うよりは直接身体に叩き込んでいった方がいいと考えていた。

 

教え方は多少違う2人だがフォースの師として弟子達に足りないものを確実に教えていた。

 

ルークはヨーダやオビ=ワンに言われたように、マラ・ジェイドはシディアスに教えられたように。

 

歩いた道は違えど2人の距離は近づきつつあり互いに尊敬の念を持つようになっていた。

 

1人のフォース使いとして、1人の人間として。

 

「くっハア!」

 

1人のチスがルークの横合いから全力でライトセーバーを叩きつけた。

 

ルークは事前に攻撃を察知しチスの斬撃を防いだ。

 

それでも中々良い一撃だ。

 

「リョーレク、今のは良い一撃だった!太刀筋がどんどん良くなってきている!」

 

ルークは弟子の成長を褒めた。

 

エリョーレクゴルデチ、それが今ルークに一撃を喰らわせようとしたチスの名前だ。

 

チスには長い名前を短縮したコア・ネームというものがあり公的な場以外ではコア・ネームを使っていた。

 

例を挙げるならかの有名な帝国宇宙軍大提督、“()()()()”がその一つだろう。

 

彼の本名は“ミスローニュルオド(Mitth'raw'nuruodo)”というのだがそれを短縮したコア・ネームが“スローン(Thrawn)”なのだ。

 

なので“エリョーレクゴルデチ(Yeryo’lek’Gordech)”もコア・ネームの“リョーレク(Ryolek)”という名で呼ばれていた。

 

でなければチスのフルネームをチス以外が発音するのは難しく手間も掛かる。

 

他の同僚達も彼のことはリョーレクと呼んでいた。

 

彼は元々チス・アセンダンシーで地方の若き公務員として働いていた。

 

そんな中チス・アセンダンシーと亡命帝国はフォース使いの部隊を設立する為にフォース感受者の積極的な募集を始めた。

 

今まで人目を憚り隠していたフォースの力が祖国を守る事が出来ると確信したリョーレクはこの部隊に志願した。

 

そうしてリョーレクは己の力を活かす為にルークとマラ・ジェイドの教えを受けることとなったのだ。

 

リョーレクに続いて負けじと他の弟子達もルークやマラ・ジェイドに斬り掛かっていった。

 

しかし彼ら彼女らはまだ攻撃に迷いがありフォースの流れを掴めていない。

 

マラ・ジェイドはそんな弟子達を容赦なく打ち倒しルークは攻撃を華麗に躱した。

 

「攻撃の迷いは逆に自らの命を危険に晒す。常に冷静に息を合わせるんだ、そうすれば経験以上の力が手に入る」

 

「でなければ本当の戦場で斬られるだけだ。我々か、我々以外に」

 

マラ・ジェイドはルークとは対照的に冷たい言葉を放ったがそうならない為に弟子達を鍛えているのだからある種の優しさであるだろう。

 

彼女は他のダークサイドの達人や尋問官、シス卿よりも優しさがありまだ完全にはダークサイドに染まり切っていなかった。

 

マラ・ジェイドはあくまでも帝国に仕える皇帝の仕事人であった。

 

だからこそ一度主人を失い様々なものを見続けたマラ・ジェイドは誰にも言えない悩みを抱えていた。

 

「さあもう一度だ、時間がある限り何度でも練習すれば必ず出来るようになる」

 

ルークの一言で再び弟子達はライトセーバーを構え戦闘訓練を開始した。

 

その様子を再び上階から何人かの高官が見学していた。

 

「あの剣……思い出すな、クローン戦争の時のことを、我々もあの剣を持った将軍達を沢山見た。みんな最後には反逆罪で打ち殺されたが」

 

「ハハッ、そうだな。だが今度の“()()()()”は我々が作る、国家が作る国家を守護する本当の騎士達になるはずだ」

 

ヴィルヘルムはどこか懐かしそうにタッグ元帥に語り掛けタッグ元帥も希望を込めてそう答えた。

 

タッグ元帥は「噂だとライトセーバーを持った特務将校の話は聞いたことがあるが」と付け加えた。

 

2人は共にクローン戦争に参戦した仲で恐らく最後に戦場での“()()()()()()()()()”を見た世代だろう。

 

2人にとっては普段口に出さないだけであの光る刃はどこか懐かしさを感じるものだった。

 

初めて加わったあの戦争を良くも悪くも思い出す。

 

「確かに皇帝陛下がまだライトセーバーを持った側近を連れていたことは確かだ。だが我々はそれを包み隠さず一つの部門として扱う。そうでもしなければあの“脅威”を防ぐ事は出来ない」

 

1人でも強力なフォース使い達を組織化し一つの部隊として運用する。

 

こうした戦力化は非常に有効だ。

 

単に強力な力を持つ者が1人よりもずっと強い力を生み出すことが出来る。

 

「若き新たな騎士達がこの銀河を脅威から守ってくれることを切に願う……いやそうでなくては困るのだ。我々の全ては願いだけではダメだ」

 

「……そうだな、負ければ何もかもが破壊され消え去ってしまう、なんの意味もなくただ悪戯に」

 

オルデランを容赦なく破壊した帝国よりも邪悪なる存在が銀河の彼方から今も迫ってきている。

 

チスも彼らも皆その破滅を防ぐ為に備え続けているのだ。

 

尤も今も帝国の邪悪なる部分を継承した存在がコア・ワールドに存在しているのだが。

 

「そういえばあのフォース感受者部隊はどういう名前になるのだ?まさかただの連隊名や大隊名で終わる訳ではあるまい」

 

タッグ元帥はヴィルヘルムに尋ねた。

 

フォース感受者だけの特殊な部隊を数字を羅列しただけの部隊にするとは思えない。

 

彼ら彼女らを総称して相応しい名前があるはずだ。

 

「ジェダイという名称は既に反逆者の名となったからな……だが彼ら彼女らも騎士であることには変わりないはずだ。人々の守護者であるライトセーバーを持った騎士」

 

ヴィルヘルムはそれほどフォースに対して信仰深い人間ではなかったがその力は正確に評価していた。

 

故にその力を何かを守護する騎士として役立てようとした。

 

「当然チス・アセンダンシーではまた別の名称となるだろうが私は簡単にこう考えている。“帝国の騎士(Imperial Knight)”、最もシンプルで最も相応しい名前なはずだ」

 

「帝国の騎士……か、良いなそれは。もう皇帝はいなくともまだ護るべき臣民はいる、そんな人々を護る帝国の騎士か」

 

これが始まりだ。

 

後に誕生する帝国を護る忠義の騎士、インペリアル・ナイト

 

今2人の眼前で慣れない武器を用いて訓練している彼ら彼女らが礎となるインペリアル・ナイト第一号なのだ。

 

 

 

 

 

-首都惑星シーラ 軌道上警備ステーション ハイパースペース・レーン管理室-

チス・アセンダンシーの各主要惑星には防衛兼警備用の宇宙ステーションが点在しておりアセンダンシーの領域を警戒していた。

 

そのうちの一つが惑星シーラに存在するこのステーションでは何十隻かのスター・デストロイヤークラスの軍艦を駐留させることが可能だ。

 

また帝国とチスの技術を結集して作った何十、何百門ものターボレーザー砲で武装されており仮に敵対する勢力の艦隊が攻めてきても地上への侵攻は防げる。

 

内部には常駐する幾つかの陸戦部隊があり仮にステーション内に敵が侵入しても即座に防戦が可能だ。

 

平時はハイパースペース・内の監視やシーラを行き交う艦船の管理を務めており今も管理室では数人の拡張防艦隊の将兵がハイパースペース内の管理任務に就いていた。

 

「チェック22-33456、ペスファブリからの輸送船団は後2分後に到着する模様です」

 

「分かった、輸送船団には事前にチェック表を貰っている。ドッキング・ベイ984に直行させろ」

 

「了解」

 

管理室長のヴォレタ少佐は手首のクロノメーターを眺めた。

 

彼はチス・アセンダンシーの拡張防衛艦隊将校で以前はチス重クルーザー“ステッドファスト”に勤務していた。

 

昇進と共にステーションの管理室に移動となり新しい艦船の艦長となるか別の軍艦の戦術長になるまでの繋ぎの職に据え置かれていた。

 

とはいえヴォレタ少佐本人はステーションの管理室長も悪くはないと考えていた。

 

ちなみにヴォレタというのは彼のコア・ネームであり本名はまた別にある。

 

「今日も予定通りだな、どの船団や艦隊も時間に遅れず来てくれる」

 

うち(チス)だけじゃなくて帝国も時間通りなのがありがたいですね。こちらの調整が楽だ」

 

管理室のセンサー士官は感想を述べるように呟いた。

 

実際初期にあった帝国軍とチス・アセンダンシー軍の軋轢のようなものは徐々に減退しつつある。

 

各地で次々とアセンダンシー軍と帝国軍の合同部隊が設立され共に演習を行うことなど日常茶飯事となっていた。

 

共に“()()()()()()”と立ち向かう以上分け隔てなく協力し合えるのはいいことだ。

 

「だな」とヴォレタ少佐は微笑んだが直後別のセンサー士官があるものを発見し1人表情を変えた。

 

「…室長、ハイパースペース・レーンより三隻の艦影が接近しています」

 

「ん?それはおかしいな。私がチェックした限りだとこの時間帯にジャンプアウトするのはペスファブリの輸送船団だけだが」

 

少佐が例に挙げた船団がジャンプアウトし真っ直ぐシーラを目指して航行している。

 

本来の予定ではこれで当分シーラに迫る大型の軍用艦船は存在しないはずだ。

 

管理室に常駐する航行管理士官の1人も「室長の言う通り、予定にはありません」と付け加えた。

 

「もしかすると緊急でシーラへ向かっている艦船があるのでは」

 

副室長のホーファスク大尉はヴォレタ少佐に進言した。

 

「だとすればここにも必ず連絡が入るはずだ。通信士官!」

 

「はい、どの施設及び部隊からも緊急でシーラに向かうといった連絡は受けていません。ですが該当する艦船が通信機能不全に陥っている可能性は十分にあり得ます」

 

「では緊急回線で通信に応答するか試してみろ。我々はその間に」

 

ヴォレタ少佐は部下達に指示を出し自身は室長席のコムリンクをステーションの司令部に繋いだ。

 

こう言う場合は司令部に即座に報告するに限る。

 

「管理室105からステーション司令部へ。連絡にない正体不明艦船三隻をハイパースペース内に補足、艦船に対して緊急回線を用いた通信を試みているが返答ななし。艦船は徐々にシーラ方面へ接近中、司令部の判断を仰ぐ」

 

『司令部、了解した。念の為重力井戸を展開し警戒部隊を展開させる。引き続き通信を継続せよ』

 

「司令部、了解」

 

「応答しません、室長…!」

 

通信士官は半ば焦りながらヴォレタ少佐の方を向いた。

 

少佐は通信士官を宥めながら次の指示を出した。

 

「落ち着け、重力井戸を展開して艦船を強制的に通常空間(リアルスペース)に引き摺り出す。通信の試みはそのまま続けろ」

 

「了解…!」

 

「なんだか大事(おおごと)になってきた気がするぞ…!」

 

ヴォレタ少佐の発言は随分と軽いものであったが内心はかなり深刻に捉えていた。

 

以前もシーラに向けて一個小艦隊ほどのならず者艦隊が向かっていたことがあった。

 

あの時は即座にプライド将軍や参謀本部のヴァシレフスキー少将が応戦に向かった為ことなきを得たがあのような事が二度三度あってもおかしくない。

 

しかも既にかなり奥深くまで浸透されてしまった。

 

ここで対応せねば相手は何をしてくるか分からない。

 

ステーション内には警報が鳴り響きステーション内の将兵が慌ただしく動いていた。

 

『正体不明船団がシーラに接近中、ステーション職員は第二種警戒態勢に移れ。繰り返す、正体不明船団がシーラに接近中、ステーション職員は第二種警戒態勢に移れ』

 

ストームトルーパー、宇宙軍トルーパーは武装して兵舎や持ち場に結集し、兵器技術者達はステーション中の砲塔を動かし始めた。

 

『ハンガーベイ226の職員は直ちに退避せよ。繰り返す、ハンガーベイ226の職員は直ちに退避せよ』

 

「一体何が?」

 

マラ・ジェイドは周囲を見渡しながらふと呟いた。

 

ルークは冷静に状況を観察し「この星に危機が訪れてるようだ」と呟いた。

 

隣にいたR2は先ほどまでステーション内のアストロメク・ドロイドと談笑していたのだがそのアストロメクが「いかなければ」と去ってしまったことにより少し落ち込んでいた。

 

「…分かりました、はい…それでは、ご武運を。どうやらハイパースペース内に正体不明の船団が接近中らしく、念の為守備隊が警戒に当たっていると言うことらしいです」

 

コムリンクで連絡を取っていたリョーレクは2人に事情を説明した。

 

「そうか、では我々はひとまず待機か」

 

「そうなりますね……ヴォスレク司令官が待機室を用意して下さったそうです、そちらへ行きましょう」

 

リョーレクはマラ・ジェイドとルークを案内しようとしたがルークは遠くを見つめたまま深刻そうな表情を浮かべていた。

 

「マスター、どうかしましたか?」

 

「いや……少し嫌な予感がするだけだ」

 

ルークの嫌な予感はフォースの直感でありやがて的中することとなる。

 

その頃ステーションの後方からは防衛の為に帝国軍のインペリアル級三隻と新型のチス・アセンダンシーの技術で建造されたシーラ級スター・デストロイヤー二隻が他の軍艦と共に前進した。

 

シーラ中の各方面から防衛の為の艦隊が集まっていた。

 

インペリアル級やチス重クルーザー、チス・デストロイヤーからTIEインターセプターやヌシス級が発艦した。

 

中にはTIEボマーや爆撃機仕様のヌシス級もおりその中でも一際目立つ存在が赤いラインが引かれたTIEインターセプターの編隊だった。

 

「セイバーリーダーより各機へ、模擬戦を一時中止しステーションの非常時即応司令部の指揮下に加わる。安全装置を解除し戦闘態勢を維持せよ」

 

セイバー中隊及び第181戦闘機大隊司令官のタール・フェナー大佐は自らのTIEインターセプターを操作しながら部隊に命令を出した。

 

先程までセイバー中隊の全機で宇宙空間での模擬戦を行なっていたのだがステーション司令部から要請を受け駆けつけた。

 

「目標の一隻は数キロの大型艦だ。もしかするとかなり大量の艦載機を保有している可能性がある、応援が来るまで我々だけで必ず防ぐぞ」

 

『セイバー3了解』

 

『セイバー4了解!』

 

『スターファイター各機へ、こちらインペリアル級“パーシュート”、正体不明の艦船は後30秒でジャンプアウトする。全機臨戦態勢を維持し命令があればすぐに戦闘を開始せよ』

 

シーラ守備艦隊の一隻である“パーシュート”から指示が届き出撃したスターファイター達はそれぞれ編隊を組んで待機していた。

 

そして“パーシュート”から発せられた時間通りに正体不明の船団はシーラからかなり離れた場所にジャンプアウトした。

 

本来はもう少しシーラの手前にジャンプアウトするはずだったのだが事前に作動させた重力井戸のおかげでかなり距離を稼げた。

 

『目標補足…!相手は……ルクレハルク級に燃料輸送用に改造されたCR70コルベット二隻……』


 

『しかもルクレハルクは貨物船タイプだ、バトルシップにすら改造されていない』

 

『まるで骨董品の集まりだな』

 

帝国軍のパイロット達は補足した船団の詳細を見るなりそう感想を述べた。

 

ルクレハルク級が活躍したクローン戦争やナブーの戦いからは28年、41年が経過している。

 

CR70などもっと前から存在するコルベット艦だ。

 

パイロット達からすれば骨董品と言いたくもなるだろう。

 

「油断はするなよ、十分脅威だ」

 

『こちらハイパースペース内管理室105、正体不明船団からの返答ありません。こちらの警告も聞き入れようとしません』

 

『了解、全部隊に告ぐ。攻撃を許可する、繰り返す攻撃を許可する』

 

管理室の通信士官の努力虚しく正体不明の船団は全く応答せず士官からの警告も無視した。

 

シーラの安全も考えてここは撃破する他ない。

 

「了解、セイバー中隊先行する」

 

フェナー大佐を先頭にセイバー中隊や他のスターファイターが一斉に敵船団に向かって全速力で迫った。

 

重力井戸で強制的にジャンプアウトさせられた敵船団は暫く行動不能の状態となっていたが先にCR70コルベット二隻が態勢を立て直した。

 

スターファイターが攻撃するよりも先にCR70コルベットがターボレーザー砲を放ってきた。

 

「全機、回避しろ!」

 

急旋回しTIEインターセプターやヌシス級は反撃を開始した。

 

エネルギーをチャージし一気に凝縮してレーザー砲をCR70に浴びせかけた。

 

しかしレーザー砲弾は全てCR70の偏向シールドによって阻まれ全くダメージを与えられていなかった。

 

『なんて硬いんだ!!』

 

『あのコルベット、予想よりも偏向シールドが頑丈に出来ている!並の攻撃じゃ打ち破れないぞ!』

 

ヌシス級のパイロット1人が先に毒付き僚機のTIEインターセプターのパイロットが付け加えた。

 

旧式ながら備え付けている偏向シールド発生装置はかなり良質なものらしい。

 

『落ち着け、爆撃機の偏向シールド貫通弾なら撃破出来るはずだ』

 

すぐに別の中隊長が部下を宥め提案した。

 

「私の隊で敵の攻撃を引き付ける。その間にこっちで示したポイントに貫通弾を撃ち込め」

 

『了解フェナー大佐…!』

 

フェナー大佐が真っ先にCR70に突っ込み船体のギリギリまで接近した。

 

迎撃する為にCR70はありったけの火力をフェナー大佐のTIEインターセプターにぶつけようとした。

 

しかしフェナー大佐は軽々とレーザー弾を回避し弾幕の合間を通り抜けていった。

 

TIEインターセプターを追う為に砲塔は回転したがそれが仇となった。

 

その隙にTIEボマーとヌシス級クロークラフト・ボマーが偏向シールド貫通タイプの震盪ミサイルを放った。

 

2発のミサイルはCR70の船体に着弾しそのままCR70の反応炉にダメージを与えた。

 

衝撃で一時的に偏向シールドが薄れ隙を見計らっていたヌシス級とTIEインターセプターが一斉に攻撃を開始した。

 

偏向シールドを打ち破りそのまま船体に直接ダメージを与える。

 

限界が来たCR70コルベットは崩れるように撃沈した。

 

もう一隻のCR70コルベットもシルバー中隊のシルバー3とシルバー4が攻撃を引き寄せその間に爆撃部隊が震盪ミサイルを放った。

 

こちらのCR70は6発の震盪ミサイルを撃ち込まれた影響でTIEインターセプターやヌシス級が追撃するまでもなく撃沈した。

 

『コルベット艦をやった!』

 

「全隊、ルクレハルク級に先行攻撃を行う。敵艦載機との戦闘があるかもしれん、心してかかれ」

 

『大佐、ルクレハルクから艦載機と思わしきものを3機発見しました。こちらに向かってきています…!』

 

セイバー7がフェラー大佐に報告し彼は自機のセンサーに目を通した。

 

すると出撃したと思わしき3機のスターシップの異変にフェラー大佐はすぐに気がついた。

 

センサーが感知した質量から言えばこれはスターファイターではなく兵員輸送船やシャトルの類だろう。

 

「捉えた…!ロー級輸送シャトル、マキシリピード・シャトル、シーシピード級輸送シャトルそれぞれ1機…!だが……!」

 

だが兵員輸送船やシャトルにしては明らかにおかしいことが一つある。

 

それをセイバー7は報告してきた。

 

『はい!全てのシャトルが通常の2、3倍の速度で接近してきます!!』

 

セイバー7がそう言った直後に3機のシャトルは攻撃の合間を抜けてシーラの方面へと向かった。

 

とてもシャトルとは思えない速度で3機はアセンダンシー軍と帝国軍のスターファイター隊を突破しつつあった。

 

すれ違った瞬間一瞬だけ見えた、あのシャトルは全てエンジンが改造され増強されていた。

 

追加ブースターのようなものがシャトルの速度を上げていたのだ。

 

「後方の予備隊はシャトルを迎撃しろ、残りは全てルクレハルク級の攻撃を続行する!行くぞ!」

 

口惜しいが今から行ってもあのシャトルには追いつけないだろう。

 

であれば大元であるあの大型貨物船に一撃を与えるのみ。

 

フェラー大佐の命令通り後方で待機していた予備のスターファイター隊はシャトル群の追撃を開始した。

 

シャトルは高速で当然彼らのTIEインターセプターやヌシス級ですら追いつけなかったが攻撃は出来る。

 

「喰らえ!!」

 

ヌシス級から放たれた黄緑色のレーザー弾が2発シーシピード級の追加ブースターに被弾しそのままブースターを切り離させた。

 

爆散する追加ブースターを軽々と回避しヌシス級はそのまま速力の下がったシーシピード級を撃墜した。

 

「1機やった!」

 

『残り2機、スーテーションに向かってるぞ!』

 

『1機でいい、威嚇して進路を変えさせる』

 

TIEインターセプター2機がレーザー弾を放ち攻撃を回避しようとマキシリピード・シャトルのが進路を変えた。

 

逆にそれが仇となった。

 

封鎖の為に派遣されたアークワイテンズ級とレイダー級のレーザー射撃を受けてマキシリピード・シャトルは回避が間に合わず機体が穴だらけになって爆散した。

 

これで3機のうち2機を撃墜し残りは1機となった。

 

だが残り1機のロー級輸送シャトルは全速力でひたすらステーションを目指して航行していた。

 

『チッ!なんて速さだ!!』

 

『これじゃあ間に合わん!』

 

『護衛艦の対空射撃も躱された、これじゃあ撃つ手がないぞ!?』

 

パイロット達は焦りながらもロー級への攻撃を続けた。

 

スターファイターが放ったレーザー弾のうち1発がロー級のエンジンを擦り損傷させたが速力に変わりはない。

 

このままでは間に合わないとパイロット達が半ば諦めかけていた時ステーション司令部から命令が届いた。

 

『追撃中の全機に告ぐ、目標をステーション・ハンガーベイ226にまで誘導せよ。ハンガーベイを封鎖してこちらで対応する』

 

「司令部、了解した。全機、行くぞ!」

 

中隊長と共に何機かのTIEインターセプターとヌシス級が続きロー級に執拗なレーザー攻撃を浴びせかけた。

 

中には震盪ミサイルを放つ機もおり攻撃を回避する為にロー級は回避行動を取りパイロット達の目論見通りハンガーベイ226まで誘導することに成功した。

 

何も気づかずロー級は偏向シールドで阻まれたハンガーベイの中に突入した。

 

既にステーションの中には武装したストームトルーパーと訓練を終えた2人のフォース使いがいるとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

轟音を立てて周りのコンテナや機器を弾き飛ばしながらロー級輸送シャトルがハンガーベイの内部に侵入した。

 

このロー級輸送シャトルは本来共和国軍、その後継である帝国軍が使用するシャトルであるのだが払い下げ品として売られたものでそれがどういう訳かこの襲撃者達の手に渡った。

 

表向きの理由はこうであり、本当は違う。

 

帝国に深く関わる者がこれを彼らに引き渡したのだ。

 

ある目的のために彼らを捨て駒にして。

 

ルクレハルク級を操る乗組員も先ほど撃墜されたシーシピード級とマキシリピード・シャトルに乗っていた戦闘員も皆一つの傭兵団の類であり仲介を介して雇われた。

 

仲介は雇い主の名前を出さなかったし雇い主が一体何者なのかも分からなかった。

 

ただ雇い主は前金として大量の第三帝国クレジット(ライヒスクレジット)を突き付けてきた。

 

そして依頼した目的はただ一つ、チス・アセンダンシーの首都惑星シーラに打撃を与えること。

 

雇い主からは件の前金とかなり多くの武器弾薬、燃料が与えられたが作戦や方法は傭兵達に全て一任された。

 

その為彼らは使わなくなった古い輸送船を補給船として地点地点で燃料補給しシーラまで目指す方法を取った。

 

広大で星図も少ない未知領域の旅は危険を伴い何隻も補給船を失ったがなんとか目的地に辿り着いた。

 

ようやく仕事が始まる。

 

ロー級のハッチが開き中から一斉に戦闘員達がブラスター・ライフルを持って走り出した。

 

しかしアセンダンシー側も完全に無抵抗だった訳ではない。

 

侵入と同時にすぐに自動防衛システムが機動しブラスター・タレットが戦闘員達にブラスター弾の嵐を放った。

 

先頭を走っていた2人の戦闘員が撃ち殺され更にもう3人の戦闘員が負傷した。

 

すぐに他の戦闘員達はブラスター・ライフルで応戦しつつ近くの障害物に隠れた。

 

ブラスター・タレットはロー級のレーザー弾によって破壊され更にロー級のレーザー砲塔が前方の正面ブラスト・ドアを破壊した。

 

「急げ!司令部を強襲するぞ!」

 

遮蔽物に隠れていた戦闘員達が一斉に身を出し破壊されたブラスト・ドアに向けて走り出した。

 

警備ステーションを一時的にダウンさせられれば次の作戦に移ることが出来る。

 

だが戦闘員達は目的を果たすことなく2、3人が煙が漂う破壊されたブラスト・ドアの向こう側から投擲された光る剣のような何かによって斬殺された。

 

一旦残りの戦闘員達が動きを止め、ブラスター・ライフルを構え近くの遮蔽物に身を隠した。

 

戦闘員を一撃で数人斬り殺した謎の光剣は吸い込まれるようにブラスト・ドアの奥へ消えていった。

 

戦闘員達はブラスター・ライフルを向け敵が姿を現すのを待った。

 

今弾丸を撃ち続けても必ずしも当たるとは限らない。

 

ハンガーベイの空調システムが原因ではない冷ややかな緊張を孕んだ空気感が辺りを包んだ。

 

静寂の中、ただの一音があたりに響き渡る。

 

ライトセーバーの刃が姿を現す独特な一音が静かに空気を伝わって戦闘員達の耳元にも届いた。

 

「撃てー!!」

 

戦闘員達は一斉にブラスター・ライフルの引き金を引き何十発ものブラスター弾を一気に放った。

 

破壊されたブラスト・ドアの奥には黒いローブを被った1人の男が緑色のライトセーバーを持って立っている。

 

男は戦闘員達から攻撃を受けても微動だにせず、ライトセーバーを使ってブラスター弾を冷静に弾き返した。

 

弾かれたブラスター弾に被弾して戦闘員達が1人つづ倒れていった。

 

なんとか動きを止めようと散開し周り込みながら銃撃しようとするが戦闘員達は回り込む前に弾丸を弾かれ、或いはフォースの力で薙ぎ倒されていった。

 

隠れていた障害物が突然動き出して突き飛ばされたり、身体が突然宙に浮いて床に叩きつけられたりした。

 

「グレネードを投げろ!!」

 

1人が指示を出して別の戦闘員が急いでインパクト・グレネードを起動して男に投げつけた。

 

しかしインパクト・グレネードは爆発する前に空中で突然動きを止め、逆に反対方向に動き始めた。

 

「爆発するぞー!!」

 

インパクト・グレネードはあろうことか戦闘員達の近くで起爆し周りにいた数人を負傷させた。

 

これがより殺傷能力の高いサーマル・デトネーターだったら不詳では済まなかっただろう。

 

尤も負傷した戦闘員もこの後横合いから迫り来る“2()()()”戦闘者によって始末されるのだから変わりはない。

 

爆発で戦闘員達の意識がそちらに向く中封鎖された別のドアが勝手に開き一瞬で何かがハンガーベイに入った。

 

「今だ!」

 

2本のライトセーバーが起動し先に飛び出したマラ・ジェイドと共にその刃が戦闘員達に牙を剥く。

 

何もかもを斬り裂く斬撃によって戦闘員達は抵抗虚しく倒されていった。

 

リョーレクもブラスター弾を弾きながら隙を見て攻撃に転じていた。

 

「無茶はするなよ、雑兵とはいえこれは訓練じゃない!」

 

「はい!分かってます!」

 

マラ・ジェイドはリョーレクの代わりに積極的に攻撃し戦闘員達を倒していった。

 

本当はリョーレクを連れていきたくはなかった。

 

まず最初に相手の注意を引く役をルークが引き受け攻撃をマラ・ジェイド1人が担当するはずだった。

 

しかしこの生真面目な弟子は「自分にも何か出来るはずだ」と共に戦うことを進言してきた。

 

最初は2人とも断ったがリョーレクの熱意に押され連れていくこととなった。

 

代わりにリョーレクは防御に集中するよう念を押されていたしマラ・ジェイドもリョーレクを守りながら戦っていた。

 

だがリョーレクは比較的戦闘センスが高く実戦は初めてなのにも関わらず既に何人かの戦闘員を自力で倒していた。

 

フォースの訓練をして、ライトセーバーを握ってまだ数ヶ月にも関わらずこれだけの強さは目を引くものがある。

 

そしてもう一つ、マラ・ジェイドの意識を引くものがあった。

 

それはルークだ。

 

彼は一番最初に戦闘員達の前に現れ敵の注意を引いた。

 

それが作戦なのだがインパクト・グレネードを投げつけられた後も彼1人でここの戦闘員を全員殲滅出来そうな勢いだった。

 

どこか冷酷に、静かな恐怖を纏ってひたすら戦闘員達の攻撃を弾き返していた。

 

マラ・ジェイドはふと、帝国にいた頃の噂話を思い出した。

 

スカリフの戦いの終盤、敵旗艦のモン・カラマリ・クルーザーは救援に駆けつけたインペリアルⅠ級“デヴァステイター”によって航行不能にさせられた。

 

情報を得る為、そしてスカリフ惑星内から受信したデータを確認する為に“デヴァステイター”から乗船部隊が出撃した。

 

その中には彼もいた。

 

ダース・ヴェイダー”、マラ・ジェイドの主人であるシーヴ・パルパティーンの右腕でありたった2人しかいないシス卿の1人だ。

 

全身を黒いアーマーで身に纏い不気味な呼吸音とその黒ずくめの姿が他者へ威圧感と恐怖を与える。

 

その戦闘力は衰えたと言われているのにも関わらず尋問官やダークサイドの達人とは比べものにならないもので数多くの生き残りのジェダイと帝国の敵を抹殺してきた。

 

恐怖の代名詞として君臨しその力で帝国をある一面で束ねてきた。

 

ある時期から裏側に“()()()()()()()()()()()()()()()()()()”という考えも抱きながら。

 

ヴェイダーには彼すら知らなかった息子がいた。

 

それがルーク、彼がヴェイダーの血を引く者だ。

 

スカリフでヴェイダーはクルーザーの艦内にいた反乱軍の兵士を惨殺した。

 

必死に抵抗する兵士を1人づつ斬り殺し、フォースで天井に叩きつけ、最期は扉に串刺しにして恐怖と共に死を与えた。

 

閉所にいた反乱軍兵士達は逃げることすら出来ず皆殺しにされたらしい。

 

その様子が何故だか今のルークと重なって見えた。

 

どうすることも出来ない戦闘員達が抵抗虚しくルークに倒されていく。

 

まだ自らライトセーバーで斬り殺さないだけヴェイダーよりも慈悲があるということなのだろうか。

 

であれば彼にはそこで踏みとどまって欲しい。

 

ルークがヴェイダーのように怒りや悲しみを背負い殺戮マシンとなって血だらけの日々を送って欲しくはない。

 

何故だか自然とそう思うようになってきた。

 

理由はマラ・ジェイドの中でも釈然としないが。

 

バイブロ=ブレードを持って近接戦闘を行おうとする戦闘員をライトセーバーごと叩き斬り、強敵を排除しようとロー級の中に潜んでいた狙撃手の放ったブラスター弾はリョーレクが防ぎ正確に弾丸を狙撃手へと返した。

 

彼自身気づいていない見事な腕前だ。

 

するとロー級のレーザー砲が角度を変えてルークに狙いを定めた。

 

「まずい!」

 

マラ・ジェイドは急いでフォースを使ってロー級のレーザー砲塔を捻じ曲げた。

 

長細い砲塔がメキメキと音を立ててあり得ない方向に曲がり、今度はベキベキと音を立てて砲塔の装甲が凹んだ。

 

もう一方の反対側のレーザー砲塔はルークが破壊した。

 

彼は手の先からフォースを用いた雷を放った。

 

この電撃はレーザー砲塔に着弾し砲塔を吹っ飛ばした。

 

マラ・ジェイドはこの技を何度か見たことがある。

 

彼女の師であるパルパティーンが何度か使っていた、フォース・ライトニングというダークサイドのフォースに属す攻撃能力らしい。

 

しかしルークは「ダークサイドだけとは限らない」と言っていた。

 

確かにルークがあの技を使う時、ダークサイドのフォースを感じない時がある。

 

ルークはそのまま電撃を放って残りの数十人の戦闘員達を一気に無力化した。

 

戦闘員達の身体が痺れブラスター・ライフルも手から離して全員伸び切っていた。

 

「これだけの大人数を……流石ですマスター!」

 

「“()()()()”はこんなものではないさ」

 

ルークはローブのフードを下ろして謙遜しつつそう呟いた。

 

電撃を喰らった戦闘員達からはまだ生命の感覚がありルークが今のフォース・ライトニングでは誰も殺していないことが分かった。

 

「どうして殺さなかった?」

 

マラ・ジェイドはルークに尋ねた。

 

「彼らには答えてもらわなければ、誰の指示でこんなことをしたのか。少なくともただ闘争をしたいという理由だけでここまで来るのは不自然だ」

 

ルークは倒れた戦闘員達に近づき理由を答えた。

 

あくまでチスの為、ルークは冷静に先の事を読んでいた。

 

「しかし我々の領域に警戒艦隊の目を掻い潜ってくるなんて、凄い奴らですね。祖国や同胞を傷つけようとする時点で尊敬の念なんてものはないですが」

 

リョーレクは苛立ちを込めてそう吐き捨てた。

 

彼にとってチス・アセンダンシーとこの未知領域は彼の故郷だ。

 

怒りを覚えるのも当然だろう。

 

リョーレクはライトセーバーを下ろしロー級に近づいた。

 

「まだ中に誰かいるかもしれないぞ、気をつけろよ」

 

念の為ルークはリョーレクの後ろについていった。

 

ロー級の中にフォースで人の気配は感じられないが念の為だ。

 

だがこの判断がリョーレクの命を救うこととなる。

 

「このシャトルも誰かから渡されたんですかね」

 

リョーレクはロー級の中に入って行こうとした。

 

その時、ロー級のシャトルの中から何かが飛び出してきた。

 

リョーレクは気づいていなかったが後ろにいたルークは急いで飛び出した。

 

「避けろ!!」

 

ルークは瞬発的に動きリョーレクを押し飛ばした。

 

ライトセーバーを起動し自らを防御しようとしたが一足遅かった。

 

ロー級から飛び出してきた鋭い刃物のようなものはルークのライトセーバーに少し擦れ、残りはルークの腕を切り裂いた。

 

「クッ!!」

 

負傷箇所から血が出てルークは顔を顰めたがすぐにフォースで相手を押し出そうとした。

 

しかし明らかに“()()”がない。

 

「ルーク!!」

 

「マスター!!」

 

2人が心配しライトセーバーを構えて近づいてくる。

 

相手の存在が分かっていないのに2人を来させる訳にはいかない。

 

それに相手が飛ばしてきた鋭い刃物のようなもの、今度は鞭のように変形して2人を攻撃しようとしている。

 

このままでは防御してもルークのように負傷してしまう。

 

「このぉ!!」

 

ルークは意識と“()()”を高め再び手のひらから電撃を放った。

 

先ほどのフォース・プッシュは無意味だったが現実に影響するフォース・ライトニングならば攻撃が通ずるかもしれない。

 

ルークは暗黒面に一歩近づいて怒りの電撃を鞭に流した。

 

鞭を伝って電撃が相手に伝わるはずだ。

 

わずか数秒でライトニングは相手に届き呻き声と“笑い声”が響いた。

 

それから悶えるように相手はロー級の中から出てきた。

 

「…一体こいつは…?」

 

3人はライトセーバーを構えた。

 

ルークを襲った敵は立ち上がり今度は鞭をスタッフ状の武器に変えた。

 

相手は気味の悪いアーマーを纏っており肩からは棘のようなものが出ていた。

 

そして顔はもっとより不気味だ。

 

人間の骸骨を無理やり肉に変えたような見た目で歯は剥き出し、目は黄色く光っていた。

 

間違いなくこんな種族この銀河系にはいなかったはずだ。

 

こいつは一体何者なんだ。

 

()()()()()()”。

 

3人は一足早く対峙することとなる。

 

()()()()()()”、“遠くからのよそ者(Far-Outsiders)”、“選ばれし種族(Chosen Race)”。

 

Y()u()u()z()h()a()n() ()V()o()n()g()”、奴こそが来るべき驚異そのものなのだ。

 

 

 

 

 

-惑星シーラ軌道上 警備ステーション司令部-

ステーション司令部ではステーションのヴォスレク司令官とその場に居合わせたヴィルヘルムとタッグ元帥がいた。

 

その他にもステーションに常駐している幕僚や2人の副官らが司令部に集まっている。

 

各艦隊に指示を出しシーラを守る防御陣形を展開していた。

 

またそれと同じくステーションのハンガーベイ内での戦闘も監督している。

 

監視カメラの情報から戦闘を分析しルーク達をサポートしていた。

 

「艦隊の封鎖網は展開完了しました。これでルクレハルク級が惑星内に侵入することはありません。周辺には重力井戸も展開済みです」

 

「地上の避難誘導は」

 

「完了しています。防空部隊の展開も完了しています」

 

まず先行したスターファイター隊が第一の防波堤となり、防衛艦隊が第二の防波堤となり、ステーションを固める最後の艦隊が第三の防波堤となり、地上軍の防空及び対艦部隊が最後の防波堤となる。

 

この四層の盾が全て打ち破られればシーラに甚大な被害が及ぶこととなる。

 

少なくとも現段階では第一の防波堤であるスターファイター隊によって敵の攻撃は防がれていた。

 

だが同時に敵のある“()()”によってスターファイター隊も迂闊に手が出せない状態であったが。

 

「しかし元帥殿、どうする?あの敵艦は……」

 

ヴォレスク司令官は不安気な表情をヴィルヘルムに向けた。

 

あのルクレハルク級はシャトルを3機搭載していただけで他にドロイド・スターファイターなどのものは搭載されていなかった。

 

その代わりにルクレハルク級はこの巨大な船体のほぼ全てにライドニウムなど大量の爆発物を搭載していた。

 

下手にスターファイターが攻撃して1発でもライドニウムに被弾したら一気に誘爆して周囲の味方まで巻き込んで大損害を起こしかねない。

 

あれがもし地上で爆発すればシーラの首都クサプラーは地下都市ごと吹き飛ぶだろう。

 

なんならこのまま迎撃しても軌道上の艦隊に少なからず被害が出る。

 

「せめて動きだけでも止めよう。スターファイター隊各機、ルクレハルクのエンジンだけでも破壊出来ないか」

 

『セイバーリーダーより司令部へ、エンジンだけならば誘爆の危険性はありません。なんとかやれるはずです』

 

「ではエンジンを破壊して足を止めろ。対策を講じるまでの時間を稼ぐんだ」

 

『了解…!!』

 

ヴィルヘルムの命令でスターファイター隊が一斉にルクレハルク級のエンジン部分に攻撃を開始した。

 

流石にデリケートなエンジン部にまで爆薬は仕掛けられていないだろうと考えた上での命令であり、ヴィルヘルムの予測は当たった。

 

TIEボマーとヌシス級クロークラフト・ボマーの精密爆撃によってエンジンに一点集中のダメージが与えられた。

 

数の上ではこちらが有利、後は時間さえ稼げれば解決方法があるはずだ。

 

「大佐、我々の艦隊の中で最も単艦で尚且つ一撃の火力が高い軍艦はどれだ」

 

ヴィルヘルムは幕僚のメルトノフ大佐に尋ねた。

 

大佐はすぐに「この中ですと恐らくオナガー級“ヴァニッシャー”です」と答えた。

 

「オナガー級か、確かに強力な砲艦だが…」

 

「だがあの艦の火力では最大火力を持ってしてもルクレハルクを一撃で消滅させるのは難しい。必ず誘爆を起こして被害を出すはずだ」

 

オナガー級スター・デストロイヤー。

 

超重合成ビーム・ターボレーザーを備えるこの軍艦はその出力源をカイバー・クリスタルで補う超兵器搭載艦の一つであった。

 

火力はジストン級ではないがそれでもたった一撃で都市や山など吹き飛ばせるレベルの火力を有していた。

 

尤もタッグ元帥の判断通りオナガー級の火力ではルクレハルク級を誘爆することなく一撃で消滅させることは出来ない。

 

それが出来るのはジストン級などのスーパーレーザー搭載艦でなければ無理だ。

 

「だが箇所によっては誘爆を最小限に抑えられるはずだ。少なくとも通常の艦艇に砲撃を任せるよりは……」

 

「元帥、一つよろしいですか」

 

同じく幕僚のシェルノフ中佐が進言した。

 

「なんだ、言ってみろ」

 

「シス・エターナル軍の情報共有の中にあったあの理論を実践してみてはどうでしょうか。あの理論ならば“ヴァニッシャー”の主砲は2、3倍以上の火力を投射できます」

 

シェルノフ中佐の提案にヴィルヘルムを含め司令部の上級将校達は皆頭を悩ませた。

 

「あの理論はまだ実用化されていない、どの程度の効果があるのかさえもだ」

 

タッグ元帥はシェルノフ中佐に対して不安点を口にした。

 

彼が述べた理論は最悪オナガー級をオーバーフローで失いかねない。

 

「ですがシーラで開発中のスーパーレーザーが使えない以上、オナガー級でどうにかするしかありません」

 

チャルフ准将はシーラで扱える最大火力を例に挙げシェルノフ中佐を支持する側に立った。

 

「それにシス・エターナル側では何度か実験に成功していると記録されています。恐らく不可能ではありません」

 

シェルノフ中佐はそう進言した。

 

幕僚達も徐々にシェルノフ中佐の進言に賛同するようになっていた。

 

だが決めるのはこの場の最高位の階級を持つヴィルヘルムだ。

 

ヴィルヘルムの決断は早かった。

 

「分かった、中佐の案を取ろう。シャトルを手配しろ、確実に成功させたい。その為にはまず2人を回収せねば」

 

ヴィルヘルムはハンガーベイ226のカメラ映像に目を向けた。

 

ルークとマラ・ジェイド、そして候補生の1人のリョーレクがロー級輸送シャトルの中から出てきた敵と戦っていた。

 

敵の姿を見て上級将校達は皆顔を顰め、睨みつけるようにモニターを見ていた。

 

今ルーク達が戦っている敵が後に彼らの“()()()()()()”となる。

 

「あれが我々が対峙する…来るべき敵……」

 

幕僚の1人であるセシウス少佐はモニターを見つめてそう呟いた。

 

若い将校の中にはあの敵を初めて見るという者も多かった。

 

名前だけ知っているのと実際にその姿を見ているのでは大きな差がある。

 

「増援部隊を送って早急に敵を始末せよ。あの3人、少なくとも2人は急いでついれていきたい」

 

「了解…!」

 

ヴィルヘルムは至って冷静な表情で状況を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

ルーク達とロー級の中にいた刺客との戦いは熾烈を極めていた。

 

あの刺客が持っている武器、武器というより生物だろうか。

 

蛇のようなスタッフが時々硬くなってライトセーバーの攻撃を防いだり逆に軟化して鞭のようになったりした。

 

おまけに時々毒液を吐いてくるのだ。

 

辛うじてフォースで毒液を辺りに撒き散らして防いでいるが中々厄介な攻撃となっていた。

 

それに刺客の戦闘のセンスは大したものでかなり戦い慣れていた。

 

防御と攻撃を交互に繰り返し最悪防御が間に合わなくても全身のアーマーがライトセーバーの一撃を防ぐ。

 

刺客は随分と戦い慣れているようでそのせいだろうか、頭に大きな傷を負っていた。

 

「チッ!厄介な相手め!」

 

マラ・ジェイドは近くに落ちていたコンテナをフォースで刺客にぶつけ体勢を崩させた。

 

あの刺客にフォースの技は効かない。

 

マインドトリックもテレキネシスも効かない。

 

テレキネシスはせいぜい刺客を少しつまずかせられる程度に限定された。

 

マインドトリックが効かないのでは相手と意思疎通を行うことすら出来ない。

 

刺客は銀河標準語(ベーシック)どころかその他の主要な言語すら喋らず邪悪に近い呻き声と笑い声を上げるだけで会話が出来なかった。

 

だからこそマインドトリックの効果が期待されたのだがあの刺客には不思議なことにフォース全般の技が通じなかった。

 

通じるのはせいぜい物理的に相手にダメージを与えられるフォース・ライトニングかフォースで掴んだものを相手にぶつけるか、圧力の変化でダメージを与えるかの3つくらいだった。

 

最初にルークが攻撃を喰らった時もフォースで刺客の存在をキャッチ出来なかった。

 

この刺客だけまるでフォースとの繋がりが一切ないようだった。

 

そんなことあり得るのだろうか。

 

生き物である以上どんなものでも多少フォースとの繋がりはあるはずだ。

 

以前フォースとの繋がりがあるドロイドすらルークは目にしたことがある。

 

相手は生物ですらないのか。

 

いや、しかしだ。

 

もし相手が“()()()()()()()()()()()()()()()()”。

 

マラ・ジェイドは一気に刺客に近づきそのままライトセーバーの斬撃を与えその場を離れた。

 

今度はマラ・ジェイドの背後に隠れていたルークとリョーレクの版だ。

 

彼女が与えた箇所と同じ所に2人は斬撃を与えた。

 

流石に瞬間的に同じ箇所を3回も斬られたら耐久値が限界に達したのか斬撃が通り刺客の肉体に直接ダメージを与えた。

 

斬撃の痛みが刺客に伝わり刺客は大きな呻き声を上げた。

 

ルークは間髪入れずに再びフォース・ライトニングを浴びせ傷口に更にダメージを与えた。

 

再び刺客は痛みによる絶叫を挙げた。

 

まるで獣の雄叫びのような声音であり刺客はすぐに気味の悪いうめき笑いを浮かべた。

 

さっきもそうだ、ルークが一番最初にフォース・ライトニングを浴びせかけた時も刺客は痛みに苦しむばかりか何故か笑い声を上げた。

 

今の刺客は口角を上げまるで痛みを喜んでいるようだった。

 

「笑ってる…?」

 

「気味の悪いやつですね…」

 

2人とも刺客の謎の行動に不気味さを覚えていた。

 

姿形も不気味で戦い方も不気味で声も不気味で行動も不気味。

 

相手と戦えば戦うほど相手のことが何も分からず後気味の悪さを覚える結果となった。

 

痛みを堪え刺客は再び持っている武器を軟化させ毒液と共に振り回し始めた。

 

「来るぞ!」

 

ルークの合図で3人は地面に伏せたりフォース・ジャンプで高く飛び上がり広範囲の攻撃を避けた。

 

地面に伏せたマラ・ジェイドは周囲に落ちていた戦闘員のブラスター・ライフルをフォースで拾い上げた。

 

引き金を引き、宙に浮いた何丁ものブラスター・ライフルから一斉にブラスター弾が放たれた。

 

それと合わせてハンガーベイにまだ使われていなかった自動防衛システムが起動しブラスター・タレットが刺客を狙ってブラスター弾を撃ち始めた。

 

あちこちから一斉にブラスター弾を受けて刺客が纏うアーマーにも限界が来た。

 

身体に弾丸を受けあちこちから黒い血のようなものが垂れていた。

 

それでも刺客はまだ立って気味の悪い笑みを浮かべている。

 

「このぉ!さっさとくたばれ化け物が!」

 

リョーレクは苛立ちと共に戦闘員達がまだ持っていたインパクト・グレネードを投げつけた。

 

リョーレクの技量ではまだインパクト・グレネードを1発しか投げつけられなかったが効力としては十分だ。

 

インパクト・グレネードは刺客の近くに落下紫蘇の衝撃で爆発した。

 

爆発の熱と破片が刺客の肉体を少し抉ってダメージを与えた。

 

「どうだ…!?」

 

爆風が過ぎ去り攻撃を喰らった敵の姿が露わになった。

 

インパクト・グレネードの爆発で足が吹き飛んでおりアーマーもだいぶ傷ついて黒い血のような液体があちこちから垂れている。

 

顔は俯き頬から黒い血が垂れている。

 

持っていた武器も蛇のような頭が途切れ飛んでおり軟化したまま動かなくなっていた。

 

暫く何の動きもなかったので2人は死んだのではないかと考えた。

 

普通ならフォースで感知出来るのだが元々フォースが感じられないので目で判断するしかない。

 

「やったん…でしょうか……」

 

リョーレクは相手を倒したと考えライトセーバーを下げようとしたがマラ・ジェイドが注告した。

 

「いや、まだ油断するな」

 

相手が未知の存在である以上本当に死んだかの確証はない。

 

それにこれは戦闘だ、最後まで油断は出来ない。

 

彼女の戦闘者としての判断は正しく刺客の武器を持つ右腕がピクリと動いたのが見えた。

 

再びあの武器を鞭のように振るうつもりなのだ。

 

「また来るぞ!!」

 

マラ・ジェイドは急いでリョーレクに攻撃が来るのを伝え防御と回避の準備をした。

 

だが刺客が再び攻撃を行うことはなかった。

 

ブォンという一音と共に刺客の胴体が真っ二つに斬り裂かれて地面に崩れ落ちた。

 

それから本当に刺客はピクリとも動くことはなく完全に息絶えた。

 

「ルーク!」

 

「マスター!」

 

刺客の亡骸の後ろに立っていたルークはその振り下ろした刃をしまい、骸を見下ろした。

 

ルークは最初の広範囲攻撃を回避し回り込むように刺客の後ろを取った。

 

そしてインパクト・グレネードの爆発でも死ななかった刺客が再び攻撃する前にトドメを刺したのだ。

 

マラ・ジェイドとブラスター・タレットの攻撃にリョーレクのインパクト・グレネードの爆発によってアーマーは限界に近づいていた為ライトセーバーの一撃で斬り倒すことが出来た。

 

静かな一振りが襲撃者に最期を告げた。

 

刺客を倒したのとほぼ同時にブラスト・ドアが開きストーム・コマンドーの3個分隊が一斉にハンガーベイの中へなだれ込んできた。

 

先行した戦闘員や死んだ刺客にブラスター・ライフルを向け周囲を警戒した。

 

「戦闘員の何人かはまだ生きてる。監房室にまずは入れた方がいい」

 

ルークは端的に状況を説明しストーム・コマンドーの分隊長と思わしき人物が小さく頷いた。

 

気絶した戦闘員達はすぐ手錠をつけられ後から来たストームトルーパー部隊によって引きづられていった。

 

一方刺客の亡骸は何か特別なカプセルに入れられそのままストーム・コマンドーの1個分隊が厳重な警備態勢のままどこかへ運んで行った。

 

「スカイウォーカー殿、マラ・ジェイド殿、それとリョーレク准尉、ヴィルヘルム・フェル最上位元帥より協力要請が出ています」

 

宇宙軍の将校を2人引き連れた少佐と思わしき人物は3人に敬礼しそう告げた。

 

「出頭要請?」

 

「はい、あなた方の“()()()()()()”が必要なのです」

 

 

 

 

 

-惑星シーラ軌道上 オナガー級スター・デストロイヤー“ヴァニッシャー”艦内-

『セイバー中隊、ルクレハルクのエンジンを全て破壊した。これで目標は動けなくなったはずだ』

 

『セイバー中隊及び全スターファイター隊、よくやった。後退し安全圏である第二線で待機せよ』

 

『了解』

 

ルクレハルク級に対する攻撃を終了したフェラー大佐らスターファイター隊は最大速度でその場を離れた。

 

ゴザンティ級やクエーサー・ファイア級のような迎えの艦が先行して何機かのスターファイターを回収する。

 

その艦列の中に一隻、特徴的なハンマーヘッド・コルベットの向きを変えたようなスター・デストロイヤーが存在していた。

 

それがオナガー級スター・デストロイヤーの“ヴァニッシャー”だ。

 

安全圏のギリギリまで近づいてそこから超重合成ビーム・ターボレーザー砲を放つつもりだ。

 

「間も無く安全圏限界100メートル付近にまで接近します。これ以上の接近は艦の安全が保たれません」

 

「もう50メートル近づけさせろ、出来る限り近距離で放つんだ」

 

副長のルハイドフ中佐の進言に“ヴァニッシャー”艦長のヴラドン・ラノヴィチェンコ上級大佐は航行士官達にもう少し近づけるよう迫った。

 

彼はインペリアル級の艦長になった頃から超兵器や核弾頭などの戦略兵器の運用部隊の指揮を務めていた。

 

その功績があってラノヴィチェンコ上級大佐はオナガー級という帝国軍、特に亡命帝国の中では数の少ない超兵器搭載艦の艦長に任命されたのだ。

 

「安全圏限界50メートルに到着、機関停止します」

 

「艦を固定し、砲撃準備。目標をロックしろ」

 

ラノヴィチェンコ上級大佐の命令で“ヴァニッシャー”はその場に停止し超重合成ビーム・ターボレーザー砲による砲撃準備を始めた。

 

今回の砲撃は今まで演習で放ってきたような砲撃ではなく新たな概念を取り入れた実験的な要素の強い砲撃だ。

 

その分危険も大きいがシーラに迫る脅威を排除するにはこれしかない。

 

SHCBTL(超重合成ビーム・ターボレーザー砲)標準システム起動、ターゲットを前方ルクレハルク級LH-3210貨物船にセット」

 

「了解、照準入力開始します」

 

砲術長のティポシン中佐は照準システムのロックを解除し部下の砲術士官達が照準入力を行った。

 

大体はドロイドやコンピュータが狙いを示せば様々な計算を行なってくれるので人間の砲術士官は最終チェックを行う。

 

「誤差修正マイナス3度、直線上に味方及びデブリは確認出来ず、ターゲットロック…!」

 

「砲撃用意、安全装置を解除しエネルギーチャージ。エネルギー収束装置を起動」

 

「収束装置、チェックします」

 

専門の技術士官がブリッジでカイバー・クリスタルを用いた収束装置を監督していた。

 

同じ“ヴァニッシャー”の収束装置管理室では数十人の帝国軍兵器技術者達が共振装置を管理している。

 

管理室の室長はヴォスマン上級大尉、コレリア帝国アカデミー技術部門を卒業した後応用科学研究所を卒業し去年までシーラに出来た新しい工兵アカデミーのスタッフを務めていた。

 

生粋の技術将校であり“ヴァニッシャー”での経験を積んだ後、別の超兵器搭載艦に移動になるだろうとされていた。

 

「管理室よりブリッジへ、収束装置は安定して稼働中。フォース・パワーを用いたカイバー・クリスタルとの共振行動の許可を願います」

 

『ブリッジ、こちらでも稼働の安全性を確認した。共振行動を許可する』

 

「ブリッジ、了解した。それでは、お願いします」

 

ヴォスマン上級大尉は隣にいたルーク、マラ・ジェイド、リョーレクに頼んだ。

 

「分かった、2人とも意識を合わせて。瞑想を用いてカイバー・クリスタルと共振する」

 

マラ・ジェイドとリョーレクは頷き3人は目を瞑り意識を集中させフォースを用いてカイバー・クリスタルと共振した。

 

3人のフォースがカイバー・クリスタルと結びつきカイバー・クリスタルの能力を解き放った。

 

その様子をヴォスマン上級大尉は多少疑問を含んだ目で見ていたが収束装置の数値を見て既に変化を感じ取っていた。

 

チャージされた超重合成ニーム・ターボレーザー砲用のエネルギーが収束装置を通ってそのパワーが何倍にも膨れ上がっている。

 

通常ではあり得ないことだ。

 

当然その様子はブリッジでも確認されていた。

 

「エネルギーチャージ率250%を超えました、さらに上昇中」

 

「SHCBTLの全安全装置を解除し砲塔を最大まで拡大します」

 

ティポシン中佐は再び解除コードを打ってオナガー級の安全装置と超重合成ビーム・ターボレーザー砲の砲塔を拡大した。

 

通常サイズで撃ってはエネルギーの膨大さ故に艦が損傷する恐れがある。

 

「フォースによるカイバー・クリスタルの共振……何故ここまでエネルギーが倍増するんだ?」

 

「恐らくですがフォースの共振によってカイバー・クリスタルの収束能力と増幅能力が格段に飛躍したからだと思われます。本来はない機能もフォースによって引き出されたと」

 

技術士官であるブリシュコ中佐はラノヴィチェンコ上級大佐にそう説明した。

 

彼はヴォスマン上級大尉と同じコレリア帝国アカデミー技術部門を卒業した後応用科学研究所も卒業した。

 

その後暫くはスカリフの安全管理施設やヴァルト核融合実験施設など帝国軍先進兵器研究部門の一員として働いていた。

 

それから移動になりサンクト宙域の技術研究部門で研究を続けていた。

 

そんな技術部門の出世街道を歩んできたブリシュコ中佐でも予測でしかこの出来事は把握出来ていなかった。

 

かつてゲイレン・ウォルトン・アーソ博士が“()()()()()()”に携わる前に一時期行っていた研究ではカイバー・クリスタルとフォースについての研究がなされていた。

 

カイバー・クリスタルはフォースに共振する特殊な鉱石でありそれ故にジェダイのライトセーバーはカイバー・クリスタルが原材料となっている。

 

フォースはカイバー・クリスタルの眠れる力を引き出す能力があり我々はまだカイバー・クリスタルについて知らない能力があるのではないか、我々はまだカイバー・クリスタルの限界を勘違いしているのではないか。

 

この研究の後すぐにクローン戦争が始まりアーソ博士がこれ以上この論文を書くことはなかった。

 

そもそもここに出てくるジェダイは皆反逆罪で即時処刑されブリシュコ中佐が軍人になる頃には1人も存在していなかった。

 

だが今まさに同じ艦の中に同じ力を持った者がいる。

 

そして決して見ることはなかったであろうアーソ博士が言った“眠れる力”を目の前で見ている。

 

「充填率900%で停止、最大チャージです」

 

「分かった、最終確認だ。周辺に味方がいないか確認し砲塔周辺の人員を退避させろ」

 

「了解」

 

念には念を入れたラノヴィチェンコ上級大佐の確認によって“ヴァニッシャー”は得られる限りでの最大限の安全を保ったまま砲撃体制に移ることが出来た。

 

「周辺域に味方確認できず」

 

「乗組員の退避完了しました」

 

「SHCBTLのシステムを再確認しました、問題ありません。いつでも撃てます」

 

士官達は次々と報告し後はラノヴィチェンコ上級大佐の命令を待つだけとなった。

 

隣でルハイドフ中佐が「艦長…!」と指示を仰いだ。

 

上級大佐は静かに息を吸って吐くと緊張を噛み締めて命令を出した。

 

「超重合成ビーム・ターボレーザー砲、発射!!」

 

その一言で“ヴァニッシャー”の超重合成ビーム・ターボレーザー砲は今まで見たことのない巨大な極太のレーザーを撃ち放った。

 

オナガー級の船体の全高を遥かに超える巨大なビーム・レーザーが真っ直ぐ一直線に放たれ宇宙空間にビームの色を鮮明に残した。

 

他の軍艦からも“ヴァニッシャー”が放つビーム・ターボレーザーの姿がよく見えている。

 

ビーム・ターボレーザーの“投石(Onager)”などでは言い表せない巨大なエネルギーの塊がルクレハルク級を目指して突き進んでいた。

 

ルクレハルク級の船体装甲がレーザーに触れたと思った瞬間に一気に船体全てがレーザーに飲み込まれた。

 

ライドニウムなどが誘爆する間も無くルクレハルク級は溶解しもはや存在すら認識出来ないほど粉々になって消え去った。

 

目標のルクレハルク級を容易に消し去った後でもビーム・ターボレーザーはその全てのエネルギーを出し切るまで吐き出され続けた。

 

とてつもない衝撃が“ヴァニッシャー”を襲い艦内が激しく揺れた。

 

あまりの衝撃の大きさに“ヴァニッシャー”自体が後ろに下がりそうになっていた。

 

「くっ…!全速力を出して何とか衝撃を相殺しろ!!この艦の強度なら辛うじて押し潰されないはずだ!!」

 

ラノヴィチェンコ上級大佐の命令によって“ヴァニッシャー”のエンジンが吹き出し辛うじてその場に留まることが出来た。

 

衝撃はエネルギー収束装置管理室に当然きていた。

 

むしろここは衝撃よりもカイバー・クリスタルから放たれる謎の光の方が遥かに影響が強かった。

 

「ウワァァ!何の光だ!?」

 

「分かりません!!ですがカイバー・クリスタルから放たれています!!」

 

ヴォスマン上級大尉と兵器技術者の会話はルークには聞こえていなかった。

 

ただフォースが彼とカイバー・クリスタルを共振させていた。

 

そしてフォースはこの共振にあるものを流した。

 

ルークも光の中に包まれ“()()”を超えて未来も過去も全ての先へと流された。

 

ルークは静かに目を開けた。

 

ルークは見ず知らずの場所に立っていた。

 

ここはどこか、少なくともスター・デストロイヤーの艦内ではない。

 

ルークは辺りを見渡した。

 

一緒にいたはずのマラ・ジェイドもリョーレクも技術大尉もいなかった。

 

ただ夕陽が輝く塩の大地に立っていた。

 

ルークの前の前には帝国軍のAT-ATが進化したようなアサルト・ウォーカーの前に2人の男が遂になって立っているのを目撃した。

 

片方の男は全身黒い服で片手には赤い“()()()()()()()()()()”を持っていた。

 

もう片方の男は髭が生えた初老の年寄りといった感じでルークは何故だか“()()()()()”と感じた。

 

老人は若者に向かってこう呟いた。

 

-素晴らしい、今お前がいったことは全て間違っている-

 

その一言と共にルークがいる場面はまた大きく変わった。

 

今度は帝国軍の施設にた。

 

ここはどこだろうか、宇宙空間の中にあるステーションだということは分かる。

 

ある1人の帝国軍の女性将校の周りにはたくさんの帝国軍の将軍や提督がいた。

 

しかし彼らは皆纏まりのない自分勝手な事ばかり呟き、まるで議論になっていなかった。

 

そんな中女性将校が一言呟いた。

 

-帝国は一つ、艦隊は一つ、これが我々の勝利を保証してくれる唯一の戦略です-

 

その一言と共に時が少し先に流れ今度は同じ会場で辺りに毒ガスが流れ無意味な会話を続けていた将軍や提督がバタバタ倒れていた。

 

唯一助かったのは彼女に理解を示した立派な白髭を蓄えた老将校だけだった。

 

不思議なことにルークはこの将校を訓練中にシーラで見かけたことがあった。

 

再び場面は転換し今度はまた別の場所に移った。

 

目の前に自分がいる、そしてその隣にはマラ・ジェイドがいる。

 

2人はマラ・ジェイドが抱き抱える赤子に笑みを浮かべていた。

 

あの子は一体誰だ、どうして自分も優しい気持ちになる。

 

今度はまた別の場面に移った。

 

先ほどの初老のルークが燃え盛る寺院の前で絶望したように座り込み相棒のR2を撫でていた。

 

それからまた場面は変わった。

 

今度はルークがエクセゴルでシディアスの座っていた玉座に座っている。

 

ルークの前の前には2人の男女が彼に跪いていた。

 

1人はさっきのクロスガード・ライトセーバーの青年、そしてもう1人は一体誰だろうか。

 

何故か彼女から流れる血は“()()()()()()()()()()”でもあるし“()()()()()()()()”であるような気もする。

 

完全に理解することは出来ず別の場所へと送られた。

 

見慣れた帝国軍の施設内、1人の黒い帝国軍の軍服を着た男が淡々と復讐心と狂気と悲しみを込めて語りかけていた。

 

「第三帝国を許すな、未知領域から、いや銀河から彼らを駆逐した先に我々の未来はあるのだ。復讐せよ、雪辱を果たせ!奴らをこの銀河から一掃しろ!奴らに与える“()()()”こそが我々の最後に与える“()()()”となる!」

 

男の背後には双頭の不死鳥が帝国の紋章を掲げた黒い旗が掲げられていた。

 

だがルークは不思議なことにこれが自分の生きる世界の未来ではないことがわかった。

 

第三帝国は確かに今も存在している、だがこれはまた別の世界なのだろうと。

 

それも狂気と暗黒に満ちた黒い世界。

 

そう知覚した瞬間フォースは最後に彼に彼が今生きる世界の未来を見せた。

 

数年後のコルサント、美しい街だったはずのこの地は辺り一面廃墟になっておりあちこちから砲撃の音が聞こえる。

 

そこら中をストームトルーパーや兵士が闊歩しそれをまともな装備もない民兵が必死に守っていた。

 

あちこちから様々な軍旗が登っておりその中にはレジスタンス軍やチス・アセンダンシー軍のものもあった。

 

このコルサントの姿がある“()()()()()()()()”を何故だか想起させた。

 

人々は逃げ惑い悲鳴がどこからでも聞こえる。

 

そんな中ある一角の建物が爆発しその近くを1機のスターファイターが飛んでいた。

 

死と崩壊と報いに塗れたコルサントがこの世界の行き着く先の一つだと言うのか。

 

それはまだ分からない、決めるのは自分たちなのかもしれない。

 

そんな中ふとベンの声が聞こえた。

 

-ルーク、忘れるな。フォースはいつも共にある-

 

-ずっと我々も側にいる-

 

-未来の子供達を導け、若きスカイウォーカー-

 

ベンだけはなかった、自分の父と自分の師の声も聞こえる。

 

ルークは小さく頷き決意を新たにした。

 

我々はフォースと共にある、父がそうであったように、妹もそうであるように、これから生まれてくる子供達がそうであるように。

 

その為にはまず数万年に渡る対決に終止符を打たなければ。

 

5つの仮面を被った女官達が見守る中、ルークの意識はゆっくりと現実へ帰っていった。

 

 

 

つづく




わ し や ! ! !

ナチ帝国のお時間です

これで確か60数話、もう早いことでナチ帝国を投稿してから2年が経とうと(と言うか多分経った)しています

早いですね〜書いても書いても全然終わりませんね〜

まあこれからもゆっくりナチ帝国は書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします

後そういえば今日から2日後が帝国の日(ツイッターラント限定)なんですけど…

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