第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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「皇帝陛下のいない銀河帝国なぞ、価値があるものか!」
-ある帝国特任総督の発言-


決戦の後の月の下で

-コア・ワールド 第三帝国領 アルサカン宙域 アルサカン星系 惑星アルサカン 55-02演習場-

アルサカンの惑星内部には第三帝国の軍事施設が存在しその中には市街地戦、野戦、要塞攻防戦などの演習場が存在していた。

 

このうちの幾つかの施設はかつて新共和国が使っていたものでありアルサカンを奪還した第三帝国は施設をそのまま使っていた。

 

当然新共和国軍の紋章や名残などは消し去られているがそれでも所々面影が滲み出ている。

 

何せ当初の仮想敵は当然帝国軍だった訳で射撃演習場などの的は全てストームトルーパーを模していた。

 

現在ここではセキューター級“ライアビリティ”によって運搬された第9FF装甲擲弾兵軍団の一部将兵が戦闘演習を行なっていた。

 

当然演習内容は対ナブー奪還作戦、平原や市街地での戦闘を重視しストームトルーパーや軍団に所属する特殊部隊の隊員達が演習に励んでいていた。

 

中でも第345中隊、シス・エターナル軍から提供されたシス・トルーパー達は鬼神の如き働きで演習での作戦目標を実行していた。

 

彼らは1人1人の練度が高いだけでなく死んでも目標を達成するという気迫に満ち溢れている。

 

全員が常に死兵となった状態だ。

 

それに加えて彼らが持つ新装備が戦闘能力を向上させているのは言わずもがなだろう。

 

擬似司令部から受ける報告を聞いているだけでもその凄まじさが分かる。

 

「第557猟兵大隊が敵司令部の制圧に成功」

 

「第908装甲大隊は友軍の補給部隊と合流、他のウォーカー部隊と合流し敵残存兵力の掃討に移ります」

 

演習とはいえ作戦は優勢を保ったままかなり高速で進んでいった。

 

司令部ではジークハルトやアデルハイン大佐らが幕僚に囲まれて次の指示や戦術を練っている。

 

「装甲擲弾兵部隊を市街地と平原の敵の間に展開し退路を絶て、予備の歩兵部隊は市街地に」

 

「了解」

 

各部隊に通信士官が連絡を取り軍団全体を動かしていく。

 

その間にもホロテーブルを囲んで軍団の頭脳達は状況を冷静に見ていた。

 

「ハイネクロイツ大佐の航空旅団は前線での要請地点に航空支援を展開し戦線の突破を支援しています」

 

「このまま機動力に優れた軽ウォーカーやタンクを主軸に敵部隊を殲滅しましょう」

 

「ああ、砲兵部隊を……いやメルゲンヘルク大佐、この場合軌道爆撃は敢行出来るか」

 

ジークハルトは隣に控えていた“ライアビリティ”艦長のメルゲンヘルク大佐に尋ねた。

 

彼は今回艦隊のアドバイザーとして演習の司令部に参加していた。

 

ライアビリティ”の艦長を務める前は艦隊の参謀将校を務め軌道爆撃、上陸作戦の調整を務めていた。

 

「可能です、ですが地上の掃討となるとアークワイテンズ級やヴィクトリー級の爆撃で十分でしょう」

 

「分かった、指定したポイントに軌道爆撃を要請。爆撃が済んだら全部隊で掃討を開始せよ」

 

「了解」

 

「大尉、それとメルゲンヘルク大佐はちょっとついて来てくれ」

 

ある程度参謀達に命令を出しジークハルトはヴァリンヘルト大尉とメルゲンヘルク大佐を連れ出して司令部の外に出た。

 

警備のストームトルーパーや将校らが時々敬礼し4人は敬礼を返した。

 

そのまま4人は人気のない司令部から少し離れた場所に出た。

 

「このままだとこの演習は後1時間で終わる、既に作戦は市街地でも平原でも掃討戦に移行している」

 

「予定よりかなり早かったですね、演習ということもありますがこの練度なら奇襲さえ成功させればホズニアン・プライム以上に電撃的にナブーを制圧出来ます」

 

「31兵団との合同演習でも双方の練度と連携力は確認出来ましたし後は反復して訓練を重ねるだけですね」

 

第9FF装甲擲弾兵軍団は元々練度の高い部隊であったがこの数十ヶ月の休養と訓練の積み重ねにより更に高い練度にまで上げることが出来た。

 

戦闘ばかりでは確かに実戦の経験は積めるが部隊は疲弊し続ける。

 

今回も軍団の半数の戦力をアデルハイン大佐の指揮下の下、まだコルサントに残してある。

 

当然作戦が始まれば全戦力をナブーに投入する事となるが。

 

「本艦の揚陸能力も度重なる訓練とこのような演習の機会で飛躍的に向上しています。後は本番で予定通り進めれば良いのですが」

 

「そうさせるのが我々の仕事でもある。そういえば大佐が私と直接共にこのような作戦行動を行うのは十三防地以来だったな」

 

ジークハルトはふと何か苦々しいものを思い出したようにメルゲンヘルク大佐に呟いた。

 

メルゲンヘルク大佐も同じような表情で「そうでしたね…」と頷いた。

 

それ以外の作戦立案や艦艇の中ではよく会う事はあったのだが上陸戦ではあの思い出したくもない激戦以来であった。

 

「……あの戦いは私もよく覚えています、丁度フリズベン上級将軍の配下でした。心中お察しします…」

 

「……あの時大佐は私の部下達の遺体回収などに尽力してくれた、せめて遺族や仲間の下に還れたのは救いになったはずだ……指揮官が優秀だったらこんなことになっていないだろうがな」

 

十三防地の戦い、それはまだ銀河内戦の末期に新共和国軍が当時勢力を保っていたノートハーゼン宙域の帝国軍を撃破する為に行った上陸戦だ。

 

戦場となったのが第十三外縁衛星という居住可能な衛星であった為後にその名が名付けられた。

 

戦いは3回に渡り繰り広げられその全てに当時ジークハルトが率いていた部隊が参戦していた。

 

まだ第一次、第二次は新共和国軍の上陸戦力は少なかった。

 

当時中隊長、大隊長で手持ちの兵力も今ほど大きくなかったジークハルトの部隊でも撃破し防衛に成功することが出来た。

 

尤もそれはジークハルトの指揮官としての能力とアデルハイン大佐やゲアバルドの献身的なサポートのおかげでもある。

 

この戦いでジークハルトは少佐へと特例で昇進し佐官へと上がった。

 

本来喜ばしいことなのだが悲劇はこの少佐への昇進が正式なものとなる時に起こった。

 

ジークハルトが正式な昇進の為にノートハーゼン本国へと召還され部隊の指揮を臨時でゲアバルドが取ることになった。

 

それが悲劇だったのだ。

 

その間に新共和国軍による本格的な第十三外縁衛星への上陸戦が始まった。

 

新共和国軍の戦力5個師団に対しゲアバルドが率いる部隊の戦力は大凡一個大隊、あまりにも絶望的な戦力差であった。

 

上陸は素早い情報伝達で察知されすぐに救援軍が編成され衛星へと駆けつけた。

 

お陰で衛星への上陸は阻止し新共和国軍にも打撃を与えられた。

 

だがそれでも一足遅かったのだ。

 

既に部隊の半数が必死の抵抗の末戦死し代理の指揮官だったゲアバルドも指揮所に砲撃を受け戦死した。

 

ジークハルトが不在の間に彼の部下の半数以上と彼の親友が失われた。

 

その事は今もなおあの戦いを生き残りジークハルトと共に第9FF装甲擲弾兵軍団に所属している古参の将兵達は記憶している。

 

アデルハイン大佐も、他の多くの下士官将校の者達も。

 

「あの戦いは勝ちはしたが我々は勇気ある精鋭の兵士達を多く失った。ですが今回はそうではありません、再び必ず連中に報いを受けさせてやりましょう」

 

「……そうだな、そうしないとあいつらに顔向け出来ないもんな」

 

「…何か…?」

 

ジークハルトは小声でそう呟き自らの心に再び戒めの杭を打った。

 

すぐに「いやなんでもない」と気を取り直しメルゲンヘルク大佐にあることを頼んだ。

 

「既に残りの演習内容は各連隊長や参謀達に伝えてある。それと私は一足先にコルサントに戻らなければならない。何か1機シャトルを貸してくれないか?」

 

「シャトルですか?ラムダ級が何機か空いていますが何かご予定でも?」

 

「准将はこれから国内予備軍の動員令作成会議にアドバイザーとして出席される予定でして」

 

どういう訳か国内予備軍と地上軍参謀本部の編成課の動員令作成会議にジークハルトが呼ばれた。

 

ナブーの作戦もあるというのにジークハルトの中では少し不可解な感情が生まれていた。

 

とはいえ呼ばれたのだから行くしかあるまい。

 

事情を納得したメルゲンヘルク大佐はすぐに了承した。

 

「ではこちらで許可を出しておきます。短い航路ですがどうぞお気をつけてください」

 

「苦労をかける、では頼んだ。出発は明日になりそうだ、パイロットの方は大丈夫そうか?」

 

シャトルを1機動かすにしても最低2人のパイロットは必要だ。

 

アルサカンからコルサントまでの距離はそこまで長くないとはいえそれでもパイロットには苦労をかける。

 

「予備として待機中の操縦手がいます。なんでしたらハイネクロイツ大佐に頼まれては?彼ならどんなことがあろうとすぐ了承してくれますよ」

 

「それは最後の手段だな、TIEファイターのように私達が乗るシャトルを操縦されては困る」

 

ジークハルトは冗談混じりに断りを入れた。

 

メルゲンヘルク大佐も苦笑気味だ。

 

結局あいつにコルサントのスカイ・レーンを運転させた時もかなり荒っぽいものだった。

 

せめてアルサカンとコルサントまでは安全に穏やかに行きたい。

 

「では我々も司令部に戻るとするか、作戦終了と共に各隊には休憩を取らせて1時間後には各隊毎に制圧後の残存ゲリラ戦力の掃討演習を行わせる」

 

「了解、その間に我々は演習の分析ですね」

 

ヴァリンヘルト大尉の言葉にジークハルトは小さく頷き3人は司令部に戻り始めた。

 

大尉も随分と副官職に慣れてきたようだ。

 

そろそろ彼も別の参謀職や部隊長になる頃だろう。

 

そうなれば少し寂しいが部下の出世は嬉しいことだ。

 

こうして新しい世代が育っていく、帝国軍は今後も続いていくだろう。

 

きっと平和な時代になっても、あの子達(マインラートとホリー)が大きくなった後でも。

 

もう少し戦い続けなければならない。

 

あの戦いで失われた全ての同胞達へ報いる為にも。

 

ジークハルトは制帽を被り直して司令部へと戻った。

 

 

 

 

-モッデル宙域 エンドア星系 惑星ケフ・バー 第二デス・スター墜落地点-

もう5年も前のことだ。

 

かつてここで戦いが起き、多くの人が死んだ。

 

ここで死んでいった人々は自由の為に戦った者もいれば秩序の下戦った者もいた。

 

その中に第一銀河帝国という最大の国家を建国した皇帝と皇帝の右腕として恐怖の代名詞となった暗黒卿が含まれていることは有名な話だ。

 

多すぎる帝国の中枢を司る人物がこのエンドアという辺境の地で死んだ。

 

帝国宇宙軍の精神たる“エグゼクター”も、モフジャージャロッドが心身を削って僅か数年で半ば完成まで持ち込んだ第二デス・スターは小さな一突きによって破壊された。

 

本当に僅かな小さな一突きだったがその一突きが帝国を崩壊に至らしめた。

 

これこそがエンドアの戦いと呼ばれる銀河内戦史上最大のターニングポイントであり今でも勝利や反乱の象徴だ。

 

第三帝国が台頭しシス・エターナルの艦隊が銀河系に襲来してもそれは変わらない。

 

むしろ負けた側の第三帝国はエンドアの戦いに対して非常に強いコンプレックスを抱いている。

 

「エンドアは全く変わりがないようで安心した。第三帝国との緊張悪化の際に念の為予備兵力を置いておいたのが功を奏したな。何もなかったら今頃エンドアの森は焼け野原、イウォークたちは皆殺しにされていたはずだ」

 

ハンはファルコン号のコックピットの中で副操縦席に座るチューバッカにそう呟いた。

 

エンドアの戦い陰の功労者があの森の衛星には住んでいる。

 

その名はイウォーク、モフモフした熊のような生物で知覚種族ではあるのだがエンドアの森の中で狩猟による原始的な生活を送っていた。

 

その為ハン達とイウォーク達のファーストコンタクトは最悪であった。

 

お腹を空かせたチューバッカがイウォークの仕掛けた罠の餌を取ろうとして全員が捕まってしまったのだ。

 

生捕りにされたハン達はそのままイウォーク達が住むブライト・ツリー村に連れて行かれハンは後一歩でイウォーク達のメインディッシュとして食べられるところであった。

 

幸いにもイウォーク達はその場にいたC-3POを“()()”だと勘違いしルークが機転を利かせてなんとかした為今ではこうして良き友人として一緒にいるのだが。

 

「ああ……それでなんだが……3PO、なんとかこいつらをコックピットから追い出せないのか!?」

 

彼らの前には勝手にファルコン号のコックピットのスイッチ類を押そうとしたり機器を無造作に動かそうとしているイウォーク達がいた。

 

今回の作戦、いつもの3人と3POで行うにしては人手が足りないしかと言って他から持ってくる訳にもいかない。

 

そこで協力してくれる存在として白羽の矢が立ったのがエンドアのブライト・ツリー村に住むイウォーク達であった。

 

ハン達はブライト・ツリー村に現れたゴラックスという巨大生物をついでに倒す代わりに2人のイウォークを借りていった。

 

1人はウィケット・ウィストリ・ウォリック、ハンやレイアと最も親交の深いイウォークの戦士だ。

 

彼と一番最初に出会ったのはレイアだった。

 

エンドア潜入時にパトロール中のスカウト・トルーパーとバイクチェイスの末気絶したレイアをウィケットが発見した。

 

最初は何者か分からない為用心していたウィケットだったが次第に敵ではないことを悟り、エンドアの森を勝手に開拓する帝国軍駐屯部隊と共に戦う為協力した。

 

彼ら戦士の活躍により同盟軍の潜入部隊は全滅を免れ作戦を成功させた。

 

そしてもう1人はパプルー、彼もエンドアの戦いで一番最初に活路を開いたイウォークの戦士だ。

 

いざエンドアの帝国軍施設に潜入するとなった時シールド・バンカーには3人の見張りがいた。

 

当初ハンは1人ずつ片付けるつもりだったのだがパプルーがウィケットと相談した結果、この勇敢な戦士は勝手に1人でバンカーの目の前まで行ってスピーダー・バイクを盗み出した。

 

それに気づいた見張りのスカウト・トルーパー2人がパプルーの追跡に向かった為バンカーは手薄となりハン達は侵入に成功した。

 

彼がいなかったら最初から作戦は成功していなかったかもしれない。

 

「それは難しいご要望ですねソロ将軍、彼らファルコン号の目新しい機能に随分と興味を惹かれているようでして言っても聞きません」

 

「ああ、そうかい。だが神様なんだからなんとか出来るだろ」

 

「また私に神を演じろと仰るんですか!?」

 

「早くしてくれ、あっこらそれは押しちゃダメだ。席に戻って」

 

「…なんだか無事に着けるか心配になってきたわ」

 

レイアは少し頭を抱えるような感じでそう呟いた。

 

C-3POはなんとかイウォーク達を席に戻しミレニアム・ファルコンは目的地のケフ・バーへと急いだ。

 

惑星内に突入し大気の雲間を抜けて地表へと進む。

 

「星系のデブリ帯に目的のものは見つけられなかった。そうなるとやっぱり情報にあった通りこの星に墜落した残骸の中だな」

 

第二デス・スターの破壊によりエンドア星系には巨大なデブリ・フィールドが形成されこのケフ・バーにも巨大な残骸の一つが海上に墜落した。

 

だが不思議なことに巨大な質量を持った第二デス・スターの残骸が宇宙空間からケフ・バーの海上に墜落したのにも関わらずケフ・バーの生態系が破壊されることはなかった。

 

尤もレジスタンスの命運を賭けた任務を背負っているハン達がその事実に対する疑問を持つことはなかったのだが。

 

ミレニアム・ファルコンは暫くケフ・バーの上空を飛行しセンサーで地表の様子を探査した。

 

するとチューバッカがセンサーのモニターを差してみんなに何かを訴えた。

 

「どうしたチューイ……こいつは、“()()()()()()()”」

 

ハンはファルコンが捉えたセンサー映像を見るなり操縦桿を握り着陸態勢を取った。

 

「降りるぞ、目的地についた。敵はいないと思うが念の為警戒してくれ」

 

ハンとチューバッカはコックピットを離れミレニアム・ファルコンからケフ・バーの大地へと降り立った。

 

辺りはとても静かで少し冷えた空気が漂い風が辺りの草木を靡かせていた。

 

「聞いてた通り知覚生命体はいないな。まあ墜落したデス・スターに生き残りでもいたら別だが」

 

当然これはハンの冗談で一行は目的地を目指して歩き始めた。

 

ウィケットとパプルーは初めて来たこの惑星を物珍しそうにキョロキョロしながら歩いていた。

 

「デス・スターの破片が落ちたにしては綺麗な惑星だな」

 

「ええ、不気味なほどに」

 

レイアは少しこの惑星に不安を覚えていた。

 

破片といってもこの地に落ちた欠片は第二デス・スターの破片の中でも特に大きな部分だ。

 

宇宙空間から巨大な質量を持った物質が墜落すれば地表は正に地獄のような有様と化すはず。

 

しかしケフ・バーは未だ美しい自然を保ったままだった。

 

「この惑星に本当にデス・スターの破片が落ちたとならばこの程度の被害では済まないはずです。何せ質量が…」

 

「何か奇跡でも起きたんだろう、それか情報が間違いか。だがファルコンのセンサーはここに間違いなく墜落したって……」

 

3POの発言を遮るように喋り出したハンですら目の前に広がっている光景を見て言葉を失った。

 

レイアもチューバッカも目を開き目の前にあるこの自然に溢れた惑星には不似合いの代物に驚きを覚えた。

 

なんとなく目にしたことはあるがその重要性がまだ完全に分かってはいかったウィケットとパプルーは顔を見合わせ静かにそのものを見つめていた。

 

「確かに……“()()()()()()()”……あの異物が」

 

ハンは忌々しくそう吐き捨てた。

 

彼らの目の前には“()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()”。

 

しかもデス・スターの特徴的なスーパーレーザーを放つ“()”の部分の残骸だ。

 

尤もあの特徴的な“()”は爆発と共に吹き飛び目の前の残骸はその部分が僅かに残るだけだった。

 

チューバッカは「情報は正しかった」と呟いた。

 

「ああ、ファルコンをもっと近づける。念の為離れていたがこれならもっと近くに寄せても問題はなさそうだ」

 

チューバッカとハンは急いでファルコンに戻ろうとしたがすぐにレイアが「待って!」と2人を止めた。

 

2人はすぐに戻ってきて「どうした」と尋ねた。

 

「あれを見て…!」

 

レイアが指を差した先には見慣れた帝国軍のシャトルが停泊していた。

 

あの形状はセンチネル級着陸船で遠くから見てもデス・スターの残骸から出てきたにしては綺麗な形状をしていた。

 

すぐにチューバッカから手渡されたエレクトロバイノキュラーで再びセンチネル球を見た。

 

綺麗どころかあれは新品の、しかも“()()()()()()()()()()”機体だった。

 

「羽の部分を見てみろ、あの紋章は昔の帝国のものじゃない」

 

レイアはハンからエレクトロバイノキュラーを受け取りハンに言われた通りセンチネル級の翼に注目した。

 

彼の言う通り昔の帝国軍の紋章ではない。

 

あれは“()()()()()()()()”。

 

しかもセンチネル級のハッチが開き中からストームトルーパーが出てきた。

 

ヘルメットの特徴的な形状からして間違いなく第三帝国のストームトルーパーだ。

 

「なんで連中が態々ここにいるのか知らんがとにかく急がないと」

 

ハンはホルスターからブラスター・ピストルを引き抜きそう呟いた。

 

レイアもエレクトロバイノキュラーを降ろし、静かに頷いた。

 

 

 

 

-未知領域 チス・アセンダンシー領 首都惑星シーラ クサプラー 地下極秘管理室-

「シーラの襲撃事件、最後はオナガー級がルクレハルク級を吹っ飛ばして事件は鎮圧したんだって?」

 

プライド将軍は事件の一部始終を知っていたヴァシレフスキー少将に尋ねた。

 

この日、各軍管区の司令官達が集まる調整会議があった為プライド将軍もマイギートーから遥々シーラにやってきていた。

 

会議は終了しプライド将軍は司令部の極秘管理室の倉庫に呼び出された。

 

まだ時間もあるしクサプラーのレストランで同期の将校と飲む時間にまでまだ余裕があった為ヴァルージン大佐に後は任せてこの場所にやってきたのだ。

 

「ああ、だが想定を超えた一撃を放ったオナガー級はSHCBTLのシステムに異常が発生してクサプラーの軍港で修理とチェックを行っている」

 

ルークとマラ・ジェイド、リョーレクのフォースを用いた共鳴による砲撃を行ったオナガー級“ヴァニッシャー”は予想外の衝撃とエネルギー発射により船体の一部が損傷してしまった。

 

データの採取と修復も込めて“ヴァニッシャー”はクサプラーの軍港に入港した。

 

「俄には信じられないが……既に報告書には目を通した。襲撃者の侵入経路は?」

 

「警備隊のゴザンティ・クルーザーが燃料補給用の無人輸送船を領域内に幾つか発見した。GR-45タイプで完全に無人運用されていた」

 

状況証拠やアセンダンシーの保安情報組織と旧ISBを統合した国家統合保安局(National Integrate Security Bureau:NISB)が行った“()()”によればこんなことが分かった。

 

今回の襲撃者達はあのルクレハルク級を未知領域の奥地であるシーラまで送る為に無人のGR-45輸送船を幾つかのポイントに配置し帰還する時に燃料補給の場として使おうとしていた。

 

一方でシーラの防衛体制がここまで厳重とは聞かされておらず“()()()()()()()()”だと思っていたらしい。

 

「連中、誰から雇われたのかまだ吐いていないんだろう?」

 

プライド将軍はヴァシレフスキー少将に尋ねた。

 

「ああ、むしろNISBの職員達の報告書では『追及は不可能』と書かれていて本当に知らない可能性が高い」

 

保安局員達は様々な手法や自白剤を使って口では言えないような方法を用いた尋問も行った。

 

それでも捕まえた捕虜達は「わからない、知らない」の一点張りでそれ以上は無理だと判断された。

 

何人かは正体不明のクライアントから第三帝国のクレジットを受け取ったと話していた為一部では「第三帝国が黒幕なのではないか」と疑う声もあった。

 

しかし第三帝国のクレジットは既に様々なところで共通通貨として流通している。

 

何処の馬の骨とも知らぬ組織の差金かもしれない。

 

「となると我々に出来るのは防衛能力の強化だけか」

 

「既に警戒艦隊の増設が決定した。イーライ・ヴァント司令官とフェルノ司令官が当分着手する」

 

2人が雑談しながら歩いていると目的地に辿り着いた。

 

警備のストームトルーパーと1人のチス・アセンダンシーの将校がいた。

 

トルーパーと将校は2人を見るなりすぐに敬礼した。

 

「管理室警備長チェルファプサロノフ大佐です。お待ちしておりました」

 

「エンリク・プライド将軍と参謀本部のヴァシレフスキー少将だ」

 

2人はコードシリンダーをロノフ大佐に渡し念の為のチェックを頼んだ。

 

2人のコードシリンダーは正常に作動しておりすぐに検査機は安全を示すOKのサインが出た。

 

それを見るありロノフ大佐は2人を扉の向こうに連れていった。

 

「どうぞこちらに、フェル元帥からの許可は受けております」

 

ブーツの足音が管理室の倉庫の中に広がり奥へ進んでいった。

 

プライド将軍はあちこちに保管されているどこかの民族のものと思われる武具や装飾品を見渡した。

 

どれもプライド将軍は今まで一度も見たことないものばかりであった。

 

ヴァシレフスキー少将は一度目にしたことがあるのか平然としていたが。

 

管理室の倉庫の中には警備のトルーパーや将校だけでなく技術者や様々な部門の研究者達がいた。

 

当然3人とすれ違うこともありその度に将兵から敬礼を受けていた。

 

2人の階級は少将と将軍(General)、殆どの将兵達は頭の上がらない存在だ。

 

その中でプライド将軍の意識を引く会話をしている2人の将校(階級章を見ると2人とも中尉のようだ)の姿が見えた。

 

「細胞のサンプルは先兵研(先進兵器研究部門)の生物兵器科に回しておけ。分析にかけたいそうだ」

 

「了解」

 

「上手くいけば対外生物特化の兵器が出来るかもしれん……!」

 

2人はすぐにプライド将軍らに気づき敬礼した。

 

将軍とヴァシレフスキー少将らも敬礼しそのまま目的のものを目指して歩いて行った。

 

「この中には“()()()()()()”に対抗する為今までチスと帝国が収取してきた“()()”に関連するものが全て保管されています」

 

ロノフ大佐は2人に、特にプライド将軍へ説明を行った。

 

アーマーのようなものや武器のような生物のようなもの、培養ポッドに浮かぶ肉片の一部など種類は様々だ。

 

だがよく見ると全ての意匠に共通性が見られた。

 

少なくともこの銀河のデザインではないことは確かだ。

 

「今回の襲撃は完全に予想外の出来事だったが、これから見るものは特に予想外だ。今まで肉体の一部や武器類など僅かなものしか収集出来なかったが“()()()()()1()()”確保出来たのは大きい。たとえ死体であってもだ」

 

何分か管理室を歩くと再び巨大な扉が3人の前に立ちはだかった。

 

数十人のストームトルーパーが警備しており今度はロノフ大佐の部下と思わしき中佐が3人の前に出て敬礼した。

 

「プライド将軍とヴァシレフスキー少将をお連れした。開けてくれ」

 

ロノフ大佐は中佐に特殊なコードシリンダーを渡しドアを開錠するよう要求した。

 

中佐は自らコードシリンダーを差し込み「少しお待ちください」と検査機が判断するのを待った。

 

検査機は当然すぐにOKのサインを出し常時施錠されている扉が開錠した。

 

「では少将、将軍。どうぞ」

 

ロノフ大佐に連れられ2人は扉の奥へ足を踏み入れた。

 

扉の中の室内には幾つかのコンソールが据え置かれ、何人かの研究者と警備のトルーパーが控えていた。

 

だがそんな様子が霞むほど室内で最も目を引くある一つの設備が3人の目に入った。

 

巨大なポッドに肉体を維持する溶液が入っており、中には見慣れぬ姿をしたエイリアンが1体入れられていた。

 

このエイリアンは身体のあちこちに傷があり、胴体が真っ二つに裂かれていることからすでにこの生命体は死亡していることが分かる。

 

顔は骸骨に無理やり血肉を埋め込んだような異形の見た目で通常知覚生命体であるなら存在しないようなトゲや特徴が身体全体に垣間見えた。

 

「これが先日の襲撃時の際、警備ステーションに突入してきた部隊に紛れていた“()()()()()”です。身体の特徴や細胞などを見てもこの銀河系に存在しない生命体なのです」

 

ロノフ大佐ははっきりと断言した。

 

どのエイリアン種族や近人間種族にも似ていないこの外来生命体からはどこか死を思わせる不気味さがある。

 

「奴がどうやって襲撃部隊と合流したかは不明ですが奴は間違いなく“来るべき驚異”の“尖兵”であり、これから我々が戦う存在です」

 

「これが…」

 

プライド将軍は感慨深く外来生命体の亡骸を見つめた。

 

死を思わせる恐ろしさ、そして不気味さ、獰猛さが死んでいるはずなのにこの骸からは感じ取れる。

 

しかもこの外来生命体は我々この銀河の生命と全く関わりや共通点がないようにも見える。

 

まるで何か生命を繋ぐ糸のようなものがこの外来生命体だけポツリと切れているようなそんな感覚だ。

 

「報告書によればこの外来生命体は我が方の訓練中の候補生1名とエターナル側からの教官2名と戦闘した末死亡したそうだ」

 

「先兵研生物兵器科によれば脳に損傷が見られる為もしかするとこの個体はなんらかの記憶の欠落がある可能性が指摘されています。尤も生命活動や戦闘能力にはなんなら問題なかったようですが」

 

ロノフ大佐の報告を聞いて再び外来生命体の全身を見つめた。

 

彼の言う通りこの外来生命体には今回の戦闘で受けた傷以外にも頭に治ってはいるがまだ浅く残っている傷があった。

 

記憶に欠落があると言うことは仮に彼を捉えてNISBに“尋問”させても有益な情報は吐かせられないだろう。

 

それどころかNISBの尋問が効く相手かも分からない。

 

相手は本当に未知の敵なのだとプライド将軍はこの時思い知らされた。

 

「我々はやがて“()()”と対峙しなければならない。負ければ我々どころかこの銀河系の未来はない」

 

ヴァシレフスキー少将は固唾を飲み重い表情でそう呟いた。

 

彼の言う言葉はなんら抽象的でも胡蝶が入っているわけでもない。

 

むしろヴァシレフスキー少将の放った一言一句全てが真実なのだ。

 

プライド将軍も道中するように「分かっているつもりだ」と返答した。

 

「だからこそ我々は銀河系の争いに関与している余裕はないのだ。私がファースト・オーダーから移ったのもその為、この敵を打ち滅ぼすためだ」

 

ステッドファスト”の戦闘群を引き連れてプライド将軍は最初はファースト・オーダーの側につこうとした。

 

だが戦友達やアカデミーの同期達が彼に事情を話しプライド将軍をチス・アセンダンシーと亡命帝国に率いれた。

 

今となってはそれは正しい判断だっただろう。

 

貴重なスター・デストロイヤーの戦闘群とプライド将軍という優秀な指揮官を引き入れられた。

 

「何年先になるかは分からんが、我々は必ず勝つ。今に見ていろ」

 

プライド将軍は外来生命体の亡骸を睨みつけ遥か彼方から迫り来る敵対者達に対して静かな宣戦布告を述べた。

 

 

 

 

 

ケフ・バーに展開された第三帝国の部隊は一般的な国防軍の部隊でもなく、親衛隊の地上軍部隊でもなかった。

 

ISBやFFISOが以前より保有していた直轄のストームトルーパー隊がケフ・バーに派遣されていたのだ。

 

ヘルメットに刻まれているはずの親衛隊の紋章は無理やり削られていた。

 

辺りの気温が低いのか将校や下士官は軍用トレンチコートに身を包んでおり海岸沿いで作業するストームトルーパー達にはそれぞれポンチョが配布されていた。

 

「兵員の展開は大方終了しましたが内部偵察用のドロイドと瓦礫撤去の重機が足りていません。本隊から更に増援を要請すべきだと思います」

 

振り分けられた区画の指揮を取るFFISOの大尉に部下の少尉は進言した。

 

大尉は辺りで活動する全地形対応建設トランスポート、通称AT-CTや全地形対応装甲貨物トランスポートを目にした。

 

この区画で活動するにしても今の数では足りないのは大尉も分かっていたのだがそれと同時に問題もあった。

 

「だがここで本隊を動かせば悟られる可能性がある。装備の不足は分かるが増援を呼べばそれだけ連中に察知されたら終わりだ。今は予備の装備を解禁して作業に当たらせるしかない」

 

「しかし予備装備を動かしても不足分は補えませんよ?」

 

少尉は大尉に詰め寄りそう進言した。

 

少尉としてはもっと大規模な部隊で捜索すべきという指揮が根底にあり本当なら現状の2倍の部隊が必要だと考えていた。

 

そんな少尉の熱意に押されたのか大尉はしょうがなく少尉の意見を飲むことにした。

 

「…分かった、ハイネンシュルツ中佐に掛け合ってみる。それでなんとかなるかは分からんがな」

 

恐らく中佐は了承しないだろうと思いつつも少尉を宥める為に大尉は面倒くさそうに約束した。

 

すると大尉の名前を呼びながら遠くから駆け寄ってくる1人のストームトルーパーが見えた。

 

トルーパーはポールドロンを身につけておりポールドロンの色からして軍曹であることが分かる。

 

「大尉!プローブ・ドロイドが内部への侵入に成功しました。ドロイドのカメラから内部の様子が確認出来ます」

 

「そうか、直ちに向かう。ドロイドを壊さぬよう気をつけろよ。行くぞ少尉」

 

「はい!」

 

2人は軍曹に連れられプローブ・ドロイドを操作する工兵のストームトルーパー達の下へ向かった。

 

プローブ・ドロイドをコントロールするコンソール・パネルにはドロイドが撮影したこの第二デス・スターの内部の様子が映し出されている。

 

「こちらです」

 

ストームトルーパー達は大尉が来るなり敬礼しその中の1人が自らのコンソール・パネルを見せた。

 

大尉と少尉はコンソール・パネルに映し出された第二デス・スターの内部の様子を見るなり顔を顰め何かを吐き出すように口を開いた。

 

「これは……酷いな。“()()()()()()”」

 

「…はっはい……」

 

別に予想が出来ていなかった訳ではない。

 

第二デス・スターには少なくとも120万名もの人員が乗っていたはずだ。

 

そのうち脱出出来たのはほんの僅かで大多数はあのバトルステーションの中で自らの一生を終えた。

 

爆発で消し飛んだか将又破片が墜落した時の衝撃で即死したか。

 

宇宙空間の戦闘で艦船類やバトルステーションに乗船しているのならそのどちらも有り得る死に方だ。

 

誰しもが自分もこんなふうに死ぬのだとやんわりとした覚悟を持っていた。

 

そしてこのケフ・バーに墜落した第二デス・スターの残骸は他の残骸よりも最も巨大なものだ。

 

しかも完全に爆発せず衝撃により施設内が大きく損傷しているがその中にいた将兵がみんな消し飛んだ訳ではない。

 

“遺体は必ず残るはずだ”。

 

プローブ・ドロイドが捉えた残骸の内部の様子はその全ての事象を正確に映し出していると言っていい。

 

辺りには数え切れないほどの“帝国軍将兵(同胞)”の遺体が転がっていた。

 

ストームトルーパーの白いアーマーの上にストームトルーパーの白いアーマーが乗っかり、鎖のように連なり敷き詰められて斃れている。

 

あるトルーパーは完全に首が捥げており別のトルーパーは墜落の衝撃か剥き出た鉄骨に串刺しになっていた。

 

そしてアーマーを着ていない将校や下士官兵の殆どはもっと酷い有様だった。

 

あの戦いから既に5年が経っているのだ。

 

即死した人間の遺体が元の姿を保っていられるはずがない。

 

殆どが白骨化しボロ切れのようになった帝国軍の軍服の中から骨の一部が見えた。

 

そうでなくても軍帽や宇宙軍トルーパーのヘルメットの下には一部が砕けた骸骨の姿がある。

 

アーマーで姿は見えないがストームトルーパーも状態は同じだろう。

 

一部のトルーパーは腕や足や頭が全て捥げてバラバラになっていた。

 

一体どういう経緯でバラバラになってしまったのかは考えないほうがいいだろう。

 

少なくともその時点でストームトルーパーは痛みを感じることなく死んでいるのだから。

 

「中はこのように乗組員の遺体だらけです。一部では漏電によるスパークも発生しておりシステムの不調かドアの開閉機能が故障し非常に危険な状態です。当然足下も非常に危険で有りどこが崩落しいつ天井が崩れるか分かりません」

 

「……分かった、このことは中佐や他の捜索隊にも連絡しろ。あまりに酷い光景だから流石に見るかは自己の判断に委ねるが……」

 

「了解」

 

遺体が転がっているだけならばドロイドだけでなくストームトルーパーを編成した生身の捜索隊を突入させられただろうが、このように危険だらけの場所では無理だ。

 

これ以上この地に新たな遺体を遺していく訳にもいかない。

 

アンダーワールドの掃討作戦に参加し幾つかの収容所で勤務したことのある大尉も流石にこのかつての同胞達の姿には堪えたようだ。

 

ずっと後味の悪い表情が消えていない。

 

このようなものを見て神経が鋭くなっていたせいだろうか、大尉はあるものを察知した。

 

「ん?おい今向こうの草叢が動いたぞ…?」

 

一斉にストームトルーパー達は大尉が指差した方向に振り返った。

 

大尉には確実に何か茶色いものが草叢から動く瞬間を目にした。

 

「何もありませんよ…?」

 

少尉はすぐにそう呟いたが大尉はまだ疑っていた。

 

「何かあると危険だ。2人、少し見てこい」

 

大尉は近くに控えていたストームトルーパー2人に偵察を命じた。

 

この時の大尉の判断は正しいものだったであろう。

 

問題は偵察に向かった先に“()()()()()”ということであるが。

 

暫くしてストームトルーパーの2人が戻ってきた。

 

偵察に向かったにしては少しばかり時間が掛かり過ぎていたがそれでもまだ許容範囲だった。

 

「周囲を捜索してみましたが特に異常はありませんでした」

 

「そうか、気のせいだったか……」

 

部下の報告を聞き大尉は首を傾げ先ほどの疑念を忘れようとした。

 

丁度いいことに彼のトレンチコートに入れていたコムリンク・ホロプロジェクターが振動し他の部隊からの通信が届いていた。

 

ポケットからホロプロジェクターを出し通信を繋げる。

 

「こちら捜索区画チェレク、どうした」

 

『捜索区画エンス、人手不足でそちらのトルーパーを何人か貸して欲しい。3、4人程度で十分だ』

 

「そうか、なんとかしよう。少し待ってくれ」

 

『なるべく早く頼む』

 

そう言うとエンスからの通信は途切れた。

 

大尉はすぐに周囲のストームトルーパーに「誰か手の空いている者はいないか」と声を上げた。

 

すると先ほど偵察に向かった2人のストームトルーパーが「我々が行きます」と名乗り出た。

 

時間もないので大尉はまず2人を固定し後2人を選ぶことにした。

 

「伍長、後上等兵はこの2人と一緒に区画エンスの応援に迎え」

 

大尉は警備に当たっていたストームトルーパーの伍長と上等兵を呼びつけた。

 

「どちらかスピーダーは操縦出来るな?」

 

「自分が操縦します」

 

大尉の問いに上等兵が先に名乗りを挙げた。

 

「よし、ではそこのランドスピーダーでエンスまで迎え。道中の指揮は伍長に任せる、エンスに着いたら現場の指揮下に入れ。頼んだぞ」

 

「了解、よし全員着いて来い」

 

4人は敬礼し伍長に先導されてスピーダーに乗り込んだ。

 

区画チェレクから区画エンスまではそれほど遠くなく15分も掛からずに目的地に辿り着いた。

 

他の区画からも応援を呼んでいたようで区画エンスには3台のランドスピーダーが停泊していた。

 

「区画チェレクから応援に駆けつけた」

 

確認に来たストームトルーパーに伍長は敬礼と共に状況を報告した。

 

すぐに事情を理解し出迎えのトルーパーは「あちらの駐機場へどうぞ」と案内した。

 

スピーダーを操縦する上等兵はハンドルを傾け駐機場の方へ回り込んだ。

 

他のランドスピーダーと間を開けつつ静かに駐機場へランドスピーダーを停めた。

 

4人がスピーダーから出るより先に駐機場を管理しているトルーパーが近づき「区画指揮所まで直ちに向かってください」と声をかけた。

 

「了解、聞いた通りまずは指揮所まで行くぞ」

 

4人はランドスピーダーを降りて言われた通り指揮所まで向かった。

 

「どうした2人、そんなに珍しいものでもあったか?」

 

伍長は後ろを歩いていた2人のトルーパーに声をかけた。

 

先ほど程まで大尉に命じられ偵察に出ていたトルーパー2人だ。

 

「いっいえ、目の前のあれを見るとどうしても…」

 

片割れのトルーパーは焦ったようにそう呟き最後微笑を浮かべた。

 

もう片方のトルーパーは偵察に出てから一言も発していない。

 

「確かに、こうやって見ると衝撃的だな」

 

恐らくこの伍長はエンドアの戦いに参戦していないどころかエンドア以降にストームトルーパーになった類だろう。

 

もうあの戦いから5年が経った、たった5年でこうなってしまった。

 

エンドの戦いに“()()”した2人にとってはやはり思うことがあった。

 

そうこの2人のストームトルーパーの中身は偵察に出た時の2人ではない。

 

あの時“()()()()()()()()()()”。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()”に。

 

2人には他のストームトルーパーには聞こえない回線にヘルメットの通信機を繋ぎ合わせ秘密の会話を行っていた。

 

「どうにか潜入出来たけどこの後どうするの?」

 

レイアはふとハンに尋ねた。

 

ハンは度々ストームトルーパーやパイロットの服装を奪って潜入する作戦を思いつき今回も実行した。

 

初めてレイアと出会った時も彼女を救出する為にルークと共にストームトルーパーの格好をして監房内に侵入していた。

 

だが大抵の場合この手の潜入は行き当たりばったりで行われることが多かった為レイアは少しばかり不安になった。

 

「この様子じゃ連中もまだ目的のものを見つけていないはずだ。ドロイドの1体を操作して手に入れるか、連中が手に入れた瞬間強奪する」

 

「出来るの?」

 

「やってみなけりゃ分からん」

 

ハンの一言でレイアの不安感は一気に増した。

 

そんな中2人のヘルメットのコムリンクに残してきたチューバッカ達から通信が入った。

 

急いで接続し「どうした?」と尋ねる。

 

『ソロ将軍、それと議長、たった今レジスタンス軍の特殊作戦司令部所属の機体から通信が入りました。増援に来たと』

 

「なんだと?ディゴールの差金か?」

 

『分かりません、ただ向こうは着陸してこちらに合流すると仰っています』

 

2人はヘルメット越しだが顔を見合わせレイアが彼らに指示を出した。

 

「3PO、チューイ、よく聞いて。特殊部隊と合流して残骸の東側に展開している舞台に攻撃を仕掛けて。敵がそちらに集中している間に我々で例のものを探し出す」

 

『ですが議長、あのデス・スターの残骸の中から目的の物質を探し出せる可能性は…』

 

「時間がないの、私達の行動にレジスタンスの命運が掛かってる。チューイ、イウォーク達を頼んだわ。彼らはきっとゲリラ戦で役に立つ」

 

チューイからは不満感の溢れる声音が聞こえたが渋々了承した。

 

ハンはふとレイアに尋ねた。

 

「それで、あれは俺が言った方法で取るつもりか?それとも他に秘策が?」

 

「ええ、私の力だけじゃ不確かだけど……確実な方法があるわ」

 

レイアはヘルメットの奥でルークと同じ意志の強い光を宿した瞳で強く頷いた。

 

忘れることはない、彼女にもルークと同じ“()()()()()()()()()()”が流れていることを。

 

 

 

 

 

 

-未知領域 シス・エターナル領 惑星エクセゴル 玉座の間-

北東銀河での“()()()()()()()()()()”を含めた一連の戦役を終えたシス・エターナル艦隊は一部を残してエクセゴルに帰還。

 

連戦による戦闘データの確保と艦の本格修復、兵員の補充、アキシャル・スーパーレーザーの状態チェックが行われていた。

 

その間に司令官のフリューゲルはブリッツェ中佐や他の指揮官と共に最高指導者の玉座の間へ呼び出された。

 

戦役の結果報告を直接聞きたいそうだ。

 

「我々のシス・エターナル派遣艦隊は後退する第三帝国艦隊と入れ替わる形でトゥーングルからドミナス宙域に侵入。ガレル軌道上のレジスタンス艦隊を殲滅しまず橋頭堡として確保。それからバロスのレジスタンス軍を惑星ごと殲滅し戦略目標の一つであるロザルを制圧。カラマリ宙域のサンクチュアリまで進撃し当初の戦略通りロザルを除く占領地のほぼ全てを第三帝国に委ね、我々は撤退しました」

 

「損害は地上軍、宇宙軍、スターファイター隊を含め全て軽微です。ですがメルヴァー将軍はロザル攻略戦の際に負傷し復帰は1週間後になるかと予想されます」

 

フリューゲルが戦果を、グレッグ提督が損害をパルパティーンに報告した。

 

彼らの発言には微塵も誇張はなく実際に派遣艦隊が失った艦艇はなく、地上部隊とスターファイターに幾つかの損害が出たが全体数に比べれば微々たるものだ。

 

それに派遣艦隊はバロスからサンクチュアリまで何度もレジスタンス軍と大きな衝突があった。

 

この事を鑑みれば多くの将校は“()()()()()”という印象を受けることだろう。

 

恐ろしい兵器に最高峰の指揮能力が加わり正しい方法で運用されれば無敵の軍隊となるのだ。

 

「素晴らしい…」

 

パルパティーンも玉座から戦果の報告を称えた。

 

彼がある軍隊の名実的な最高司令官であったのはもう31年以上前からだ。

 

その長い経歴の中で何度も同じような報告を将校や国防省の官僚から聞かされていた。

 

中には今のような報告とは真逆な耳を塞ぎたくなるような散々な戦果もあったが。

 

「ロザルで得たカイバー・クリスタルは全て超兵器開発に回せ。僅かであっても1門でも多くアキシャルの砲を揃えるのだ」

 

「既に輸送ルートは確保しています。調達局と共同しあの造船所を本格稼働させれば長く見積もっても6年で艦隊の方は“()()”を上回る戦力を確保出来ます」

 

フリューゲルは断言したが内心ではまだ不安感があった。

 

ジストン級を建造するパーツ、そしてその他の艦船の建造パーツは既にクワットと確かな約束を取り交わした。

 

向かわせた締結官によればクワットの指導者であるヴァティオンは少し気分が悪い顔だったらしいが。

 

それでも確かな約束を結べていたのならそれでいい。

 

クワットには帝国の時代からここに僅かだが軍用パーツを流すよう約束を取り付けていた。

 

このことは銀河内戦が終結した後も更新され続いている。

 

シス・エターナル軍を維持する為には“()()()”の力が必要でありクワットはその一つだ。

 

だが問題は集めたパーツを一つの艦船にする造船所の方にあった。

 

この造船所は驚異的な力でシス・エターナル艦隊を生み出し最新鋭のドレッドノートすら難なく建造出来た。

 

しかしシス・エターナルの技術者達、パルパティーンは度々この造船所が全ての力を出し切っていないと断言していた。

 

エクセゴルの造船所はあるシス卿達がかけた“()()”ともいうべきシスの術により人智を超えた能力を発揮する。

 

造船所は造船所の中だけの“()()()()()”、その無人の中でひたすら兵器を生み出し続ける。

 

僅か1年で数十年分の兵器が出現することになるのだ。

 

彼ら曰く古代のシス卿の中には時に歴史に全く名を残さず1人争いに敗れて、或いは争いの場に出ることなくシスの聖地や全く関係のないところで己の集大成ともいうべきフォースの秘術を遺して消えていった者達がいるらしい。

 

このエクセゴル造船所に秘術をかけたシス卿もその代償として自らの命を無機質な造船所に捧げた。

 

一度だけその秘術を誰かが試したことがあるらしいが時間を歪ませる事は出来ずただ無人で艦船を建造し続ける場所が出来上がったそうだ。

 

古代の秘術は未だに解明出来ないものも多くあるという。

 

あまりにオカルトチックな話の為全てを信じるに値しないだろうが幾つかは本当のことだろうとフリューゲルは思っていた。

 

フリューゲル達の開祖であるクイエム・ヴァント元帥も一千と数十年前に最後のシスとの戦いで名を上げた。

 

シスは実在する、かつてジェダイが実在したように。

 

だからシスが扱う秘術が存在しそれが効力を発揮するということもなんとなくだが実在すると感じていた。

 

「造船所はやがて本格的に稼働させる、あの代物は扱い切れずとも必要だ。後は人材、かつての帝国が揃い其方の下に幾百億の将兵が揃えばこの銀河に対する脅威は完全に消えて無くなるはずだ」

 

「ファースト・オーダー、それとチス・アセンダンシー、セスウェナや中小規模の独立勢力は陛下の下に降るでしょう。ですが問題が一つ」

 

パルパティーンは軋む機械のようにゆっくりと頷いた。

 

シス・エターナル指導部が兼ねてより危惧していた不安要素の一つ。

 

かの終末司令でも予想に入れていなかった要素が今や銀河系を席巻し新共和国すら打ち倒した。

 

「第三帝国、あのちょび髭の総統とその一味はそう簡単に陛下に降らぬでしょう。国防軍と呼ばれる旧帝国の正規軍を利用してクーデターを起こさせても恐らく総統が抱える親衛隊との全面衝突になる」

 

親衛隊の戦力は国防軍にはやや劣るものの本格的な軍事衝突となれば力で制圧するのは難しい。

 

本来は銀河協定で制限されるはずだった軍事力を秘匿保有する為に誕生した私兵軍だったそうだが今では完全に第三帝国の軍事部門の一つとして存在している。

 

親衛隊はスター・デストロイヤーが主力の艦隊やウォーカーなどを含めた機甲兵団だけでなくエグゼクター級やアセーター級といったスター・ドレッドノートも保有している。

 

既に一つの軍隊として確立し戦力的には中小規模の旧帝国勢力を遥かに上回っている。

 

帝国軍人達の伝手を用いて国防軍にクーデターを起こさせたとしても親衛隊が存続している限りはそのまま政権を簒奪するのは不可能に近い。

 

「ヴァント元帥、どうだね。親衛隊にも介入して国防軍と親衛隊の双方でクーデターを起こすというのは」

 

1人のシス信者がフリューゲルに提案した。

 

フリューゲルは一応テルノ中将やグレッグ提督らに目線を送ったが彼らも考えはフリューゲルと同じであった。

 

皆即座に首を振り諦めたような表情であった。

 

「親衛隊も元帝国軍の将校が大多数ですので一部は呼びかけに応じるでしょう。ですが総統に忠誠を誓う者、或いは中立を決め込む者が大多数を占めるはずです。恐らくこれは国防軍も同じかと」

 

バエルンテーゼやヘス辺りなら我々に靡いてくれるかもしれない、だがシュメルケやフューリナーは無理だ。

 

国防軍もヴィアーズやオイカン辺りなら乗ってくれるだろうがカイティスや今の参謀本部のメンバーではダメだろう。

 

昔のローリングならいざ知らず、今の“第三帝国大将軍”としてのローリングは完全に総統に忠誠を誓っている。

 

報告では親衛隊との反目があるらしいがそれでもあの総統と第三帝国の国体がある限りは決して動かないだろう。

 

今や第三帝国にはかつての帝国とは全く違う生態系が確立している。

 

「それと一つ、仮にクーデターを起こす際の不安要素は第三帝国の保安組織です。ISBと帝国情報部、親衛隊のFFISOは徐々に指揮系統が統合され一つの勢力として確立しています」

 

グレッグ提督はもう一つの不安要素を進言した。

 

そもそもシス・エターナルが介入したからと言ってクーデターがそのまま起こせる訳ではない。

 

常に内乱の脅威を監視し国家の維持を職務とする存在が帝国時代から存在している。

 

それが今ではFFISOという存在になってきているだけだ。

 

「提督の言う通り、ISBとFFISOの存在は無視出来ません。彼らの監視網と彼らの持つ戦闘部隊が第一の脅威となるでしょう。調略も現在の長官であるハイドレーヒという人物に効くとは思えません」

 

フリューゲルはあのハイドレーヒという男を一度だけ目にしたことがある。

 

昔は宇宙軍の将校で艦隊勤務に就ていたはずだ。

 

何故そのような男が縁もゆかりもない保安組織の長官を務めているか疑問ではあるが報告書や入ってくる噂を総合して考えるに彼もシュメルケやフューリナーと同じタイプだ。

 

腹の底で何を考えているか分からんが簡単に総統を裏切るような人物ではない。

 

「其方らの懸念は尤もだ。第三帝国にしては兼ねてより決めていた手法でことを為す。其方らは第二の“()()()”に備えよ」

 

「了解」

 

第二の再征服、今回のような一部艦隊を用いた侵攻ではなくシス・エターナル全軍で行う本格侵攻。

 

レジスタンスとシス・エターナルに仇なす敵を全てアキシャル・スーパーレーザーの一撃で消し飛ばし再び銀河を一つに統一する。

 

そして銀河系の全ての戦力を用いて“()()()()()”。

 

遥か彼方、遠くからきたる“()()()”。

 

その為に我々は存在している。

 

「余と、余の前から続く悲願を達成する為に。再びシスの世を作り出すために」

 

「陛下の為に全力を尽くします。それでは我々はこれにて」

 

フリューゲルは敬礼し玉座の間を去った。

 

最後の一言、やがてあのような何かに取り憑かれたような発言を仰ることが増えていくのだろう。

 

フリューゲルはなんとなくだがそう感じ取っていた。

 

だが再び銀河を一つにする為には“()()()()()()()”の力と手腕が必要だ。

 

玉座にはそれに相応しい座り手が必要で、帝国には皇帝が必要なのだ。

 

代理総統もスローネもヴィルヘルムもターキンの末裔も、静かに舞台から消えたズンジもケインも大提督達も、そして彼らを消したラックスも1人残ったヒルデンロードも皆銀河を束ねる玉座に座るには役者不足だ。

 

彼ら彼女らは一つの大国、超大国の指導者にはなれても全てを統一し一つの“()()()()”の指導者として存在するにはまだ足りない。

 

無論所詮一軍人でしかない私も私以外のヴァントの血族もだ。

 

陛下には本当の最悪を防ぐために唯一の人として成し遂げてもらうしかない。

 

たとえもう“()()()()()()()()()()()()()()()”。

 

暗黒が漂うエクセゴルの空を見つめフリューゲルは過去の誓いを胸に軍帽を深く被り直した。

 

 

 

 

 

 

-アウター・リム・テリトリー レジスタンス領 ヤヴィン星系 衛星ヤヴィン4司令部-

『遠征飛行師団各機は第46ハンガーベイを使用せよ。整備班は直ちに第46ハンガーベイへ』

 

アソーカやカルの要請と共に派遣されたヤヴィン4の精鋭スターファイター隊は任務を終え、ヤヴィン4の地上基地へと帰還した。

 

当然シス・エターナル軍の攻撃は凄まじく還らぬパイロットも少なからずいたがそれでも今回の戦いはレジスタンスにとって大きな戦果を齎した。

 

「アンティリーズ大佐!ご無事の帰還、なによりです!」

 

主任整備士の下士官が敬礼し機体から降りてくるウェッジを敬礼で出迎えた。

 

ウェッジも敬礼を返しすぐ下士官に頼み事をした。

 

「機体のフライトレコーダーと戦闘データ、後ドロイドのデータを全て分析チームに送ってくれ。急いでだ」

 

「了解しました!」

 

下士官は頼まれた通り早速フライトレコーダーの取り外しを始めた。

 

ウェッジはヘルメットを持って部下の下へ歩き始めた。

 

多くのパイロット達は今回の戦いに手応えを感じ、兵員運搬機の中で満足気に喜びを噛み締めていた。

 

「パトロール隊は残りの部隊と予備隊に任せろ。艦隊のスターファイター隊もまだ残っているはずだ。参加した部下達は今のうちに休ませておきたい」

 

「了解!」

 

ウェッジが近づくと指示を出していたラクティスと隣で待機していたソークー中佐は敬礼した。

 

「司令部に行って簡易報告をする。ライカン将軍達もきっと報告を待ち望んで……」

 

ウェッジが何かを言い終える前にハンガーベイに小さな男の子が走ってくるのが見えた。

 

2人もその姿が見えたようで優しく微笑んでいた。

 

ウェッジも少し困ったような笑顔で走ってくる男の子に声をかけた。

 

「ポー!格納庫の周りは1人で来ると危ないぞー!」

 

ウェッジの声に気づいたのかその男の子はウェッジの方に近づいてきた。

 

「アンティリーズ大佐ー!」と幼い声で彼の名前を呼び覚えたての可愛らしい敬礼を送った。

 

この男の子の名前はポー・ダメロン、ケス・ダメロンとシャラ・ベイの息子でこの時の年齢はまだ7歳であった。

 

()()()()()”であればこの男の子が銀河系に名を残すパイロット兼将軍となるのだがそれは遠い先の話だ。

 

「ポー、格納庫は爆弾や機材がいっぱいで危ないんだぞ?せめて誰かと一緒に来なさい」

 

ウェッジはまだ幼いポーに注意した。

 

確かにポーは母親のある種の英才教育で同い年の子より機械やスターファイターに詳しいがそれでも7歳の子供を1人にするには少し目に余る危険が多い。

 

戦友達の子供であるが故にウェッジもポーとは面識があった。

 

ウェッジも度々ポーに操縦の仕方やスターファイターの構造について話したものだ。

 

この戦争が起きるまでは母や父の活躍ぶりを話そうとすると2人とも嫌がるからしなかったが。

 

「ポー、お父さんはどうした?」

 

ソークー中佐はポーに尋ねた。

 

彼の父親ケス・ダメロンは反乱同盟軍時代からの特殊部隊員であり今は上級曹長として特殊部隊員の教育や自らも特殊部隊として任務に就いている。

 

「任務だからって今はいないの」

 

「…そうか、お母さんに会いに来たのかい?」

 

「うん!」

 

ポーは大きく頷いた。

 

ラクティスもソークー中佐も「連れて行ってやりましょう」という顔でウェッジの方に微笑んでいた。

 

ウェッジも仕方なさそうに、されど少し嬉しそうに頷いた。

 

「分かった、お母さんのとこに連れてってやる。はぐれるなよ?」

 

「ありがとうございますアンティリーズ大佐!」

 

「分かった、分かった。さあ、行くぞー」

 

ウェッジは立ち上がって会いている片手でポーと手を繋ぎポーの母がいるはずの着陸場まで4人で向かった。

 

辺りにはXウィングやYウィング、AウィングやBウィングが並んでおりポーは様々な機体に目を輝かせていた。

 

オレンジ色や緑色のパイロットスーツを着た周りのパイロット達もポーに手を振っている。

 

常に自らの命を賭けた仕事の場にいると子供というのが無性に可愛く見えてくるのだろう。

 

尤もポーがあのシャラ・ベイの息子というのもあるかもしれないが。

 

「なあポー、将来はやっぱりパイロットになりたいか?」

 

ふとウェッジはポーに聞いてみた。

 

彼の周りにいる大人は殆どがパイロットか軍隊の兵士だ。

 

シャラだって最初に退役した時は自分の乗っていたAウィングを貰っていた。

 

ポーの周りには自然とパイロットとスターファイターが揃っていた。

 

「うん!母さんみたいなみんなの役に立つパイロットになりたい」

 

彼は当然のようにそう答えた。

 

ウェッジはなんとなくだが彼が自分達のように軍のスターファイターに乗り込むようになるのだろうと感じていた。

 

これはフォースではなくただのウェッジの感だった。

 

しかしポーは自分と同じで貨物船や客船のパイロットのような刺激の少ないものは選ばないだろうなという確固たる自信があった。

 

「へえ、じゃあポーも将来はAウィング乗りかな?」

 

ラクティスは冗談混じりにそう呟いた。

 

ポーの母であるシャラ・ベイはずっとAウィングのパイロットだった。

 

彼女はあのインターセプターを巧みに操り優れたパイロットとして活躍していた。

 

今回のジストン級攻撃にも参加し多くのシスTIEファイターを撃墜して仲間の命を救ったのだ。

 

「でも僕は…Xウィングが…いいかな」

 

ポーは近くに着陸していたXウィングを見ながら照れくさそうに小さく呟いた。

 

3人は顔を見合わせ少し驚いたような表情を浮かべていた。

 

だがそれと同時にちょっと嬉しかった。

 

何せ3人とも今はXウィングのパイロットである。

 

ウェッジとソークー中佐はAウィングにも乗ったことがあるがこの数年は殆どXウィングばかりだ。

 

ラクティスはパイロット家庭を卒業してから今に至るまでずっとXウィング乗りだった。

 

その為3人ともポーがXウィング乗りを目指していると聞いて嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「Aウィングもいい機体だが……そうかXウィングかぁ」

 

「Xウィングは頑丈でいい機体だぞ。TIEなんかとは比べ物にならない」

 

「4機の中からXウィングを選ぶなんてお前は見る目があるなぁポー!」

 

3人は急に饒舌になった。

 

特に一番調子に乗っていたのはラクティスであろう。

 

尤も全員少しづつテンションがおかしくなっていたが。

 

「それで、どうしてXウィングがいいんだ?何か理由はあるのか?」

 

ふとウェッジはポーに尋ねた。

 

ポーは空を見上げながら質問に答え始めた。

 

「このヤヴィンで……このヤヴィンと銀河を守った“あの人(スカイウォーカー)”が乗っていたのはXウィングだったから…」

 

ポーはふと少し前の出来事を思い出した。

 

数年前、ポーは一度だけ彼の憧れの人と会っている。

 

なんでもある任務の合間にヤヴィン4に立ち寄ったそうだ。

 

ポーの両親とは昔からの知り合いだそうでとても仲が良く話していた。

 

ポーにもXウィングの操縦技術や思い出を語ってくれた。

 

彼はジェダイだそうだがポーはジェダイであることよりもパイロットとしての彼に憧れた。

 

Xウィングパイロットの、ヤヴィンの英雄であるルーク・スカイウォーカーに。

 

ポーの口ぶりからルークの存在を察した3人は肩を竦めつつも小さく微笑んでいた。

 

特にルークと共にヤヴィンで戦い、何度も共に戦ったウェッジはとても嬉しそうだった。

 

「ポー、お前の時代に私やルークが経験したような戦争や今みたいな戦争がまだあるかは分からん。だが忘れるな、Xウィングはいつの時代も“()()()()()”だ。あのSフォイルの翼は戦いの時代も、平和な時代もみんなに勇気と希望を与える。私も短い間だったが平和な時にそれを感じた」

 

TIEファイターが帝国の栄光の象徴であるならXウィングは自由と希望の象徴だ。

 

自由を望む人々はあのX字に開いたSフォイルの翼を見て感動しそこに希望を見出す。

 

それは他のどの機体でも成し得ないことだ。

 

Xウィングというのはもはやただのスターファイターではなく何者にも壊すことの出来ない大きな象徴となっていた。

 

「Xウィングのパイロットであるということはそれだけでみんなの希望になるんだ。だからポーも自分の夢に誇りを持て、ポーもきっとルークと同じような人々に希望を持たせるパイロットになれるさ」

 

ウェッジはポーの頭をわしゃわしゃと撫でた。

 

ポーはウェッジの言葉を聞いて心の底から無邪気に嬉しそうに微笑んでいた。

 

「ほら、お母さんがいたぞ。ベイ大尉!」

 

「母さんー!」

 

ポーはAウィングの近くで整備士と会話をしている黒髪の女性の下に走った。

 

彼女がポーの母であるシャラ・ベイだ。

 

シャラは駆け寄ってきた愛おしい息子を抱き抱えた。

 

「ポー!どうやってきたの?」

 

「連れてきてもらった!」

 

「危ないから着いてきてやった」

 

3人はシャラに微笑んだ。

 

シャラは「ありがとうございます」と3人に頭を下げた。

 

ウェッジやソークー中佐とは長らく共に戦った戦友だが階級は彼らの方が圧倒的に上だ。

 

それでも気さくで面倒見の良い3人はあまり気にしていなかった。

 

「母さんは任務終わった?」

 

「ええ、みんなのお陰で無事に帰って来れたわ。ポーやフォースのおかげね」

 

ポーは頭を撫でられ嬉しそうに目を瞑っていた。

 

「父さんはまだ任務?」

 

「うん、じいちゃんが『無事に帰ってくるといいね』って言ってたよ」

 

「そうね…」

 

特殊部隊の任務はパイロット以上に危険が伴うものだ。

 

捕まったら命はないし死ぬより恐ろしい目に遭う可能性だってある。

 

それでもケスはシャラと同じく再び志願し軍務に復帰した。

 

2人とも本当は銀河内戦が終わる前に退役しヤヴィン4で余生を過ごしていた。

 

しかし第三帝国の台頭と今回の戦争が原因で全て変わってしまった。

 

新共和国は奇襲により崩壊し新共和国軍は大打撃を受けて一時は完全に空中分解していた。

 

その程度で逆境に争い続けた歴戦の猛者達は諦めなかったが。

 

各地で多くの退役軍人やその子供達が依然として領域を維持し続けている新共和国残党軍の下に集った。

 

多くが「まだ何か出来るはずだ」、「私にもやれることがあるはずだ」と復員を申し出た。

 

それはレジスタンス軍になっても変わることはない。

 

シャラもケスもそうだった。

 

シャンドリラとホズニアン・プライムの陥落を聞いた2人は新共和国がどうなってしまうかすぐに悟った。

 

それと同時にこの銀河が再び2人が戦っていた時代に逆戻りするだろうということも。

 

2人はそれから深く考えた、また子供を置いて軍に戻るか否か。

 

だが2人は現実から目を背けることは出来なかった。

 

自分たちが作り上げたものが破壊される恐怖、そして幼い息子が生きる時代に第三帝国という悪魔が存在し続ける恐怖。

 

2人は立ち上がらずにはいられなかった。

 

シャラとケスは再びポーを父達に任せ軍に戻った。

 

ケスは特殊部隊の教官として、シャラはAウィングパイロットとして。

 

戦場で命を落とすことになるとしてもこれはやらねばならぬことだと2人は感じていた。

 

我が子が生きる未来のために。

 

「暫くは予備隊と艦隊の艦載機部隊に任せるつもりだ。ベイ大尉もゆっくりしてくれ」

 

「はい」

 

「さて、我々は司令部に行くとするか。結局反対側の方向に来てしまったが」

 

本来は司令部に直行する予定だったがやむを得ない事情があった。

 

帝国軍ならどんな顔をされるか分からないがライカン将軍なら許してくれるだろう。

 

そんなことを思っていた矢先、司令部付の将校が3人の名前を叫びながら走ってきた。

 

「アンティリーズ大佐!!ソークー中佐!!ストライン中佐!!」

 

「どうした中尉」

 

ウェッジは彼に見覚えがあった。

 

名前は確かモーズといい元は新共和国防衛艦隊出の将校で中尉の階級章を身につけている。

 

モーズ中尉はすぐに息を整え3人に敬礼した。

 

「ディカー最高司令部より緊急連絡です!!現在、大セスウェナ領域のエリアドゥ、セスウェナ及びサラストら複数箇所で収容されていた我が軍の捕虜が脱走!!アノートやナブーに流れ込んでいます!!」

 

3人は顔を見合わせた。

 

モーズ中尉のこの表情から言って恐らく今し方入ってきた情報でヤヴィンの司令部も混乱しているだろう。

 

衝撃的な事件ではあるが囚われていた仲間達が解放されたのは喜ばしいことだ。

 

あまりの衝撃にまだそこまで頭は回らないが。

 

「至急上級部隊指揮官には司令部に集まって頂きたく…」

 

「分かった、直ちに向かう。それじゃあポー、お母さんと仲良くな」

 

「うん、バイバイ!アンティリーズ大佐!」

 

最後にポーに一言だけ声をかけ3人は司令部に向かって走り出した。

 

混乱する状況下ではまず情報を得ることが最優先だ。

 

間違った命令で出撃しない為にも。

 

まずは今出来ることから始めなければ。

 

 

 

 

 

 

「敵視認、重火器を持っている兵士はいない。スカウトが数人、スピーダー・バイクも何台かある。後は……作業用ウォーカーが厄介だな……」

 

ジョーレンはエレクトロバイノキュラーで敵の陣地を見ながら呟いた。

 

2人は地上からビーコンで誘導されケフ・バーの大地に着陸した。

 

すぐにチューバッカと3POから事情を聞き戦闘準備を整えた。

 

まず眼前の敵陣地のプローブ・ドロイドをハッキングして幾つかの爆弾を設置しさらに索敵を開始した。

 

敵陣地には周囲の様子を確認するためかスカウト・トルーパーが何人か控えている。

 

それにスピーダー・バイクがあれば通信を妨害しても即座に他の展開中の部隊に情報が漏れる可能性がある。

 

敵を引き付けるのが役目だが情報は全てこちらで管理したい。

 

偽の情報で誘い出して小分けにした敵部隊を一つづつ制圧していけば負担も減る。

 

「AT-CTはともかくランドスピーダーには一部Eウェブがついてる。あの火力は厄介だ」

 

「それにウォーカーはAT-ACTもいるらしい…航空支援があれば余裕だがないんじゃ歩兵からした脅威はAT-ATと大差ない」

 

あの全長35メートル弱、全高32メートル弱ある巨体にブラスターを通さない装甲、AT-ATより遥かに弱いとはいえ重火器を装備していない歩兵からすればとてつもない脅威だ。

 

AT-CTもあのアームや脚部を用いて暴れまわれたら対処が難しくなる。

 

歩兵のストームトルーパーは見る限り保安局の実行部隊らしいが治安維持戦や対テロ戦に精通している分通常のストームトルーパーより厄介かもしれない。

 

「さっき粗方仕掛けたがもっとやった方が良さそうだな。まずスピーダー、それと上手くいけば停まっているAT-CTを潰したいんだが…」

 

ジョーレンは困ったように目を瞑って近くにいる小さくて可愛い毛むくじゃらの連中を押し除けた。

 

「誰かこいつらをなんとかしてくれ!!」

 

2人のイウォークはジョーレンやジェルマンが持つ最新の兵器やエレクトロバイノキュラーに興味津々でずっと「貸してくれ、貸してくれ」と肩を揺さぶっていた。

 

もうジェルマンは諦めているようでよほど危ないものでなければイウォーク達に貸し与えていた。

 

こんなんでもエンドアの戦いの勝利の立役者達なんだよなとジェルマンはなんとも言えない気分に陥っていた。

 

「2人ともバスチル少佐とジルディール大尉のことをとても気に入っているそうです」

 

C-3POは困り顔の2人にそうイウォーク達の気持ちを伝えた。

 

だが2人から困り顔が消えることはなくその様子を見てチューバッカはモフモフ笑い声を浮かべていた。

 

気がつけば全体的に毛むくじゃら率の高い空間が広がっている。

 

「とてもこいつらが皇帝も死んだ戦いにいたとは思えん。イウォークだぞ?」

 

まだ半信半疑のジョーレンはジェルマンに尋ねた。

 

あの戦いにジョーレンはいなかったし話を聞いたのもさっきまでいたUウィングのコックピットの中だ。

 

ジェルマンはギリギリ知っていたがそれでも実際に戦いに参加した訳ではない為他人の又聞きであった。

 

「ああ…本当らしい……同盟軍特殊部隊の危機を救ったのは彼らイウォークの戦士だって…」

 

「未だに信じられんな、イウォークだぞ?昔共和国軍にいた性格の悪い上等兵が狩ってジャーキーにして食った時にしか聞いたことない種族だぞ?まあそいつはゲリラに襲われて死んじまったが」

 

そんなイウォーク達もそろそろ戦闘が始まると空気感で察知したのかそれぞれ持ってきた武器を手に取り始めた。

 

すると通訳の3POを介して何かを尋ねてきた。

 

尤もイウォーク達からすれば神様を通じて話をしているようなものだが。

 

「あのバスチル少佐、ウィケットが早く指示を出してほしいそうです」

 

「私に?」

 

「ええ、ソロ将軍も議長も不在の状況では貴方がこの中でトップですので」

 

チューバッカは基本的に他の指揮のプロフェッショナルの面々に指揮権を譲っている。

 

今回もジョーレンが仲間を率いるのが最適だと分かっているのだ。

 

だが当のジョーレンは少し困り顔だった。

 

「ああ…分かった……弓か……」

 

ジョーレンはウィケットとパプルーが持つ原始的な弓を見つめふと思い出した。

 

そういえばあの上等兵が戦死したのもゲリラが持つ弓矢によるものだった。

 

音がブラスター・ライフルより小さく上等兵は一撃で頭を貫かれ即死した。

 

今回は殆どのストームトルーパーがアーマーを着ているがアーマーの隙間やゴーグルの部分に命中すれば確実に殺せるだろう。

 

意外と支援としてはいいかもしれない。

 

「私とジェルマンで敵地に潜入して的確な箇所にさらに爆弾を仕掛ける。ウィケットとパプルーはそれを遠くから弓で援護してくれ。知ってると思うがアーマーの隙間を射抜けば十分効果的だ」

 

3POはジョーレンが話した内容を翻訳して2人のイウォークに伝えた。

 

2人は頷いて早速矢を取り出し戦闘準備を整えた。

 

ウィケットとパプルーは弓矢の他に槍やナイフなど近接戦闘にも備えた装備を携帯している。

 

どれも本来は仮に使う武器だが殺傷能力は抜群だ。

 

また2人はすでに周囲に草木や持ってきたロープを使った罠をジェルマンやジョーレン達が最初に爆弾を仕掛けるのと同時に行っており備えは万全だ。

 

見た目に反して戦う技術と勇気をしっかり兼ね備えている。

 

「チューイは待機して攻撃の合図が出たと同時に火力支援を頼む。敵を殲滅したら合流して防御態勢に移行する。3POは連絡係を頼む、戦闘中は隠れていてくれ」

 

この中で最も力があり最も強力な火器を備えているのはチューバッカだ。

 

彼の持つボウキャスターはとても高い火力を誇り攻撃支援に適している。

 

そして3POはバトル・ドロイドではないプロトコル・ドロイドの為戦うことは出来ない。

 

的にバレないように隠れてもらう他ないのだ。

 

「はい、わかりました」

 

「それじゃあ各自持ち場について、フォースと共にあらんことを」

 

その一言と共に各自が一斉に動き出した。

 

3POは戦いに向かう者達を見送りながら「こういう時お前さんがいたら心強いんだけどな」とここにいない親友への愚痴をこぼした。

 

ジェルマンとジョーレンは遮蔽物を利用し草陰に隠れながら敵地へ侵入した。

 

ストームトルーパーは周囲に展開しているが皆残骸に意識が寄っており2人には気づいていない。

 

そのまま人目を避けてまずランドスピーダーの近くに接近した。

 

2人は近接反応爆弾を設置し確実にスピーダーが行動不能になるだけ仕掛けた。

 

周囲を見渡しジョーレンは前進を指示した。

 

ジェルマンも初めて会った頃に比べれば随分と特殊部隊員として腕が上がった。

 

出会って2年だがその間に何度も修羅場を潜り抜けた。

 

その経験故か迫り来る危機にもジェルマンはすぐ察知しジョーレンに伝えた。

 

死角からストームトルーパーが1人接近していたのだ。

 

ジョーレンは足を止めサプレッサー付きのA180を構え敵を待ち伏せた。

 

しかしジョーレンが相手を倒すよりも先に2発の矢がトルーパーの首とゴーグルを射抜き静かに絶命させた。

 

ウィケットとパプルーの素早い援護射撃だ。

 

ジョーレンは急いでトルーパーの死体を遮蔽に隠し遠くに控えている2人にグッドサインで礼を伝えた。

 

再びジェルマンとジョーレンは進みスピーダー・バイクの近くに接近した。

 

同じように爆弾を設置する。

 

スカウト・トルーパーは2人が来る前に移動し辺りは手薄になっていた。

 

「設置完了、残りはAT-CTだけど…」

 

「1台残しておけ、鹵獲して使う。もう1台は片足だけ潰せば十分なはずだ」

 

2人はAT-CTの駐機場を目指して走り出した。

 

最後はスライディングするようにAT-CTの足元に滑り込み近接反応爆弾を1台の左足に取り付けた。

 

これで準備完了だ。

 

しかも準備完了を見越したかのようにレイア達から通信が入った。

 

『状況は』

 

「いつでも行けます」

 

『始めて』

 

「了解」

 

その身近い会話と共に戦端は開かれた。

 

仕掛けられた近接反応爆弾が一斉に作動し周囲は爆発に包まれた。

 

ランドスピーダーもスピーダー・バイクも全て吹き飛びAT-CTも足が折れ機体は横転した。

 

ストームトルーパーにも多くの死傷者が発生し辺りは爆煙と混乱に包まれた。

 

「なんだ!?状況報告を!?」

 

「攻撃開始だ」

 

無傷のAT-CTの脚部を盾にしながら混乱するストームトルーパー部隊に銃撃を開始した。

 

起き上がって応戦しようとするストームトルーパーから優先的に撃ち倒され組織的な反撃が来る前にその能力を削ごうと攻撃を行った。

 

生き残った将校は「応戦しろ!!」と部下に命令を出したがすぐにウィケットとパプルーの矢に射抜かれて絶命した。

 

指揮官の戦死に動揺するトルーパー達にジェルマンとジョーレンはさらにブラスター弾を叩き込んだ。

 

2人の攻撃に合わせてウィケットとパプルーも接近しながら矢を放って敵兵を攻撃した。

 

ようやくストームトルーパー達もE-11を用いてブラスター弾を放ち反撃を開始した。

 

だが即座に反対方向からチューバッカの援護射撃が始まり残りのストームトルーパー達を撃ち倒した。

 

ボウキャスターの威力でストームトルーパー・アーマーは砕かれ敵兵は宙に舞った。

 

「残りはチューイに任せてウォーカーに急げ!」

 

「了解!」

 

2人はAT-CTに取り付けてある昇降用階段を登りAT-CTのの中に入った。

 

それぞれ操縦席に座りジョーレンが機体を動かし始めた。

 

「使い方は、当然分かってるんだろうな?」

 

「ああ……まあAT-STと大体同じだろう」

 

操縦桿を用いてAT-CTを動かし徐々に反転させた。

 

2人を乗せたAT-CTが一歩づつゆっくりと前進を始めた。

 

前方からは敵兵を乗せたAT-CTが近づいてくる。

 

チューバッカはボウキャスターでAT-CTを攻撃するがあまり効果は見られない。

 

AT-CTもAT-STと違って兵装がなく反撃することは出来なかった。

 

「思いっきり突進して敵機を突き飛ばす。捕まってろよ!」

 

「えっうん!」

 

ジョーレンは思いっきり操縦桿を前に倒してペダルを踏み込んだ。

 

AT-CTは速力を上げ助走をつけて敵のAT-CTに向けて突進した。

 

敵のAT-CTは突然の謎の行動により対応する事が出来ず突進の衝撃をモロに受けてしまった。

 

姿勢を変えて防御したり回避行動を取れば何とかなったかもしれないがもう無理だ。

 

衝撃により装甲が凹みAT-CTは地面に叩きつけられた。

 

「くっ!!」

 

機体を急停止させ自身が倒れるのを防いだ。

 

「よし、これで相手の機体は行動不能のはずだ」

 

「もっと他の方法ないの!?」

 

「ない!」

 

ジョーレンははっきりと断言しAT-CTの通信機能を立ち上げた。

 

通信妨害をすり抜けるように回線を合わせ別の敵部隊と繋げる。

 

「連中を誘き寄せる、外の奴らには防御耐性をとるように伝えてくれ」

 

「分かった」

 

ジェルマンはコックピット・ハッチを開きチューバッカやイウォーク達にハンドサインで指示を出した。

 

イウォーク達がジェルマンの意図を理解したかは分からないが後はチューバッカに任せておけば何とかなるはずだ。

 

その間に通信が繋がりジョーレンは偽の通信を帝国軍に流した。

 

『誰か……!誰か聞いているか!?』

 

「捜索区画エンス、区画グレックどうした。何かあったか」

 

区画エンスの通信兵がジョーレンの偽の通信を受け取った。

 

区画エンスは至って平常のままであり特にこれといった異常事態はなかった。

 

レジスタンス軍の将軍と議長が紛れ込んでいる事以外は。

 

『突然奇襲攻撃を受けている!こちらは現在戦闘中!応援を要請する!!』

 

「なっ……分かった、大尉!」

 

区画エンスを指揮する大尉を通信兵は呼びつけた。

 

大尉は部下の中尉を引き連れて通信兵の下に寄った。

 

「区画グレックより緊急通信、現在敵部隊の攻撃を受けており応戦中とのことです」

 

「敵だと?グレック、襲撃者の武装は判別出来るか?」

 

『今チラリとだがA280が見えた!敵は恐らくレジスタンス軍だ!』

 

その報告を聞いて中尉は後ろで驚いていた。

 

大尉も内心「どうやって入った」だとか「一体なぜ」と不安感が募っていた。

 

「分かった、どのくらいの部隊が必要だ」

 

『今他の区画からも増援を要請しているから一個分隊ほど送って欲しい。敵を逆包囲して殲滅する』

 

「了解した、念の為もう一個分隊送っておく」

 

『助かる…!』

 

その一言と共に通信が切れ大尉は急いで指揮所のテントの外に出た。

 

ポールドロンをつけた2人のストームトルーパーの軍曹を呼び出し命令を下した。

 

「軍曹2人、今すぐ分隊を率いて区画グレックの救援に迎え。どうやらレジスタンス軍の攻撃を受けているらしい……即座に戦闘になる可能性がある。気をつけろよ」

 

「了解」

 

「直ちに急行します」

 

軍曹2人は敬礼し直ちに分隊員を集めた。

 

分隊員をEウェブ付きのランドスピーダーに乗せてすぐに出撃した。

 

残ったのは残り一つの分隊と数人の工兵、指揮所の兵士だけとなりこれで区画エンスの兵員はだいぶ減少した。

 

出撃した分隊を見送った大尉と中尉は指揮所のテントに戻った。

 

「しかしレジスタンス軍など一体どこから入ってきたのでしょうか」

 

「分からん、ただそれほどの大部隊ではないことは確かだ。Ⅵ局の報告が正しければレジスタンス軍の大規模な地上戦力は確認されていない」

 

テントの中に入りセンサーを見張っている兵士に「念の為範囲を広げろ」と命令した。

 

「司令部への報告はどうします」

 

中尉は大尉に尋ねた。

 

一応このような事態が発生したからにはさらに上位の司令部にも伝える必要がある。

 

しかし大尉は「必要ないだろう」と首を振った。

 

「各部隊に応援を要請しているのだ、ハイネンシュルツ中佐の本部も状況を把握しているはず。むしろ我々がいつ奇襲を受けるか分からん、我々も増援を要請して防備を固めなくては。分隊長をここに」

 

「了解」

 

この時点で大尉はまんまとジョーレンの撒いた罠に騙されていた。

 

ジョーレンは救援要請をこの区画エンスにしか出していない。

 

その為他の区画は救援要請を受けていないどころか区画グレックが敵の攻撃を受けたことすら知らないのだ。

 

当然それは本部も同様であり区画グレックは今もなお正常に任務に就いていると区画エンスを除く全ての部隊がそう思っていた。

 

だが実際には区画グレックは壊滅し区画エンスへの救援要請すら偽の情報だということに誰も気づいていなかった。

 

「ん?」

 

そんな中ある1人のストームトルーパーがテーブルの上に何かが置いてあるのに気がついた。

 

ストームトルーパーに配られる装備の一つ、N-20バラディウム=コア・サーマル・デトネーターだ。

 

先ほどまでこんなところに置いていなかったはずだ。

 

それにこのサーマル・デトネーターは基本的にアーマーのベルトに取り付けられているはず。

 

「FTK-9781、到着しました」

 

それは別のストームトルーパーの軍曹が指揮所のテントに入ったその瞬間、ストームトルーパーがサーマル・デトネーターを手に取ろうとした瞬間だった。

 

サーマル・デトネーターが作動し指揮所のテントは木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

轟音と衝撃と爆発の熱が周囲にも撒き散らされ、指揮所の近くにいたストームトルーパーは地面に倒れた。

 

「なんだ!?何があった!」

 

「指揮所がやられたぞ!」

 

指揮所のテントはその残骸が燃え上がり辺りに散っていた。

 

「生存者を確認しろ!」

 

立ち上がったストームトルーパーの数人が指揮所の残骸に駆け寄ったが遠目から見てもこれでは助からないとすぐに分かる。

 

もはやどれが遺体かすらも分からない状態だ。

 

「ダメです、これでは誰も助かりません」

 

「大尉も中尉も軍曹もやられたのか……」

 

指揮官が一気に失われトルーパー達にも衝撃と不安感が募った。

 

生き残った他の下士官達が慌てて指示を出し始めた。

 

しかし彼らは皆未だに気づいていなかった。

 

トルーパーの中に潜む敵の影を。

 

「急いで本部に応援の要請をっ……!」

 

ある伍長が命令を出した瞬間1発の銃声と共に伍長は背後から撃たれた。

 

伍長が地面に斃れる前に更に銃声が鳴り響いた。

 

伍長の背後に控えていたストームトルーパー2人が突如発砲し始めたのだ。

 

「撃ち返せ!」

 

もう1人の伍長は反撃の命令を出しブラスター弾を喰らい斃れた。

 

他のストームトルーパー達もE-11やSE-14Cを用いて反撃を開始したが既に2人は近くの遮蔽物に隠れていた。

 

トルーパー達はそれぞれ散開して取り囲むように2人を銃撃するがこの2人を制圧するには少し人数と練度が足りない。

 

2人は手持ちのE-11で確実にトルーパー達の数を減らした。

 

接近しようとすれば即座に狙い撃ちされブラスター弾を放った瞬間にそのストームトルーパーは撃ち倒された。

 

飛び交うブラスター弾も徐々に数が減りトルーパー達の数は減る一方だった。

 

片方がトルーパー達の隠れる遮蔽物の中にサーマル・デトネーターを投擲し起爆した。

 

爆弾を投げ返す暇もなくストームトルーパー達は一気に数名が死傷し行動不能になった。

 

残りのストームトルーパー2、3人も圧倒的不利の中懸命に戦ったが即座に全員が2人の一斉射撃の前に斃された。

 

「これで敵は全員制圧したはずだ」

 

ヘルメットを脱いだハンは辺りを見回しながらそう呟いた。

 

レイアも隣でヘルメットを脱いで着ていたアーマー類も全部脱ぎ始めた。

 

流石に元々生きていた衣服の上から更にトルーパーのアーマー用の戦闘服を着るのは暑過ぎる。

 

ハンもこの邪魔なアーマーと戦闘服を脱ぎ捨て元の服装に戻った。

 

「工兵の奴らが使っていた機材があるはずだ。それを使ってドロイドを操る」

 

落ちていたプローブ・ドロイドの操作パネルを拾いモニターを触った。

 

「使ったことあるの?」

 

「一度だけミンバンで使ってる奴を見たことなら」

 

「ミンバン?」

 

「昔の話だ」

 

今の会話でハンがこのパネルを使ったことがないのだなと察した。

 

尤もレイアがこれから行おうとする探し方も確実性の低いものなのだが。

 

それでもやるかやらぬかなどと言っている場合ではない、やるしかないのだ。

 

レイアは目を閉じて意識を集中させ心を落ち着かせた。

 

目的は一つだけ、それはホロクロンに記されていた必要なもの。

 

シス・ウェイファインダー”。

 

レジスタンスがシス・エターナル軍を打ち倒すためにはどうしても必要なものだ。

 

そのうちの一つが第二デス・スターの残骸の中にあると聞きレイア達はやってきた。

 

レイアは探し物を手に入れる為に己の眠れる力を引き出した。

 

フォース、彼女だって“()()()()()()()()()()()()()()”。

 

オルデラン王室の姫である以前に選ばれし者の血を継いだ双子の片割れ。

 

レイアにもルークと同じ力が備わっている。

 

ただ誰もその力を引き出すことはなくレイア自身も知らなかった。

 

帝国にその力を奪われないためにずっと隠し続けられてきた。

 

だがもうその必要はなくなった。

 

むしろ今は彼女の生命に宿るフォースの力が必要なのだ。

 

レジスタンスと未来の希望のために。

 

夜明けから出でる銀河のために。

 

自らに宿るフォースの力をレイアはダークサイドの籠った一つのオブジェクトを探すために使った。

 

まさか使うとは思っていなかった自身のフォースの力がここで役に立つとは。

 

レイアは自身の双子の兄妹であるルークに感謝しなければと思っていた。

 

彼が「使い方だけでも学んだら」と提案してくれた通りだ。

 

こうして自分たちの役に立っている。

 

意識が深まるにつれてレイアのフォースは過敏になっていった。

 

このケフ・バー中の生命が持つフォースを伝ってレイアの目的を手助けした。

 

彼女の感覚は遠くへ遠くへと行き、遂に目的に辿り着いた。

 

残骸の中に1箇所だけ背筋が氷柱でなぞられたような寒気と形容し難い悪寒を感じた。

 

レイアはこの感覚をナブーの格納庫で感じたことがある。

 

冷たさを感じる姿は見えないが確かにそこにある暗黒の力。

 

この冷たさの感覚こそレイアが探し求めていたものが放つ力だ。

 

「……見つけた……」

 

レイアは小さくそう呟いた。

 

「本当か!?位置を教えてくれ」

 

ハンは停止中のプローブ・ドロイドを動かし進ませた。

 

レイアはフォースを辿って彼に位置を伝えていく。

 

「ドロイドをまっすぐ進ませて……それから左へ……路地を曲がってまっすぐ進めばそこが玉座の間になる…」

 

レイアに言われた通りハンはプローブ・ドロイドを操作し前へ進めた。

 

リパルサーリフトで浮かぶプローブ・ドロイドは朽ち果てた残骸内であっても問題なく移動出来た。

 

もしこれが生身の人間であればフォース使いでもなければ相当苦労するだろう。

 

最悪死ぬ者も出てくるかもしれない。

 

プローブ・ドロイドはレイアの言う通り遂に玉座の間に辿り着いた。

 

「玉座の間……辿り着いた」

 

「そのまま左の扉に……その先にある」

 

「分かった」

 

ドロイドを左の扉に近づけたがドアは固定されており動かなかった。

 

「待ってろ無理やりこじ開ける」

 

ハンはプローブ・ドロイドに搭載されたブラスター砲でドアを破壊し無理やり中に入った。

 

プローブ・ドロイドは奥へ奥へと進み遂に目的のものを見つけた。

 

1本の柱の真ん中に浮遊するピラミッド状のオブジェクト。

 

これこそレイアやハン達が探し求めていたシス・ウェイファインダーだ。

 

プローブ・ドロイドのアームがウェイファインダーを掴み引き寄せる。

 

「確保した…」

 

2人は顔を見合わせひとまず安堵の表情を浮かべた。

 

それからハンはプローブ・ドロイドを慎重に元来た場所を辿って残骸の中から撤収させた。

 

ウェイファインダーさえ確保出来れば後は簡単だ。

 

プローブ・ドロイドは残骸の隙間から抜け出てレイアとハンの前に姿を現した。

 

そのアームにはしっかりシス・ウェイファインダーが掴まれている。

 

2人が安心して立ち上がった。

 

だがその瞬間一気に緊張感が周囲を包み込んだ。

 

突然シス・ウェイファインダーを持ったプローブ・ドロイドがグシャグシャと潰され軋む音と共に爆発した。

 

突如持ち手を失ったシス・ウェイファインダーはそのまま重力に引かれて地面に落下し始めたかに思われた。

 

しかしシス・ウェイファインダーは突如空中で動きを止めある一方方向に引き寄せられた。

 

「何!?」

 

シス・ウェイファインダーはレイアとハンの間をすり抜けて更に遠くの方へ引き寄せられた。

 

2人が振り返るとそこにはシス・ウェイファインダーを片手に持った黒いロイヤル・ガードが立っていた。

 

「…フォースの使い手…!」

 

レイアは感覚でこの黒いロイヤル・ガードがフォース使いであると判断した。

 

その証拠のように黒いロイヤル・ガードはライトセーバー・パイクを起動し2人に向かって突進した。

 

黒いロイヤル・ガードはライトセーバー・パイクを思いっきり振るったが既に2人は斬撃を回避していた。

 

ハンは近くで拾ったSE-14Cと自身の改造されたDL-44重ブラスター・ピストルを手にし2丁のブラスター・ピストルで応戦した。

 

黒いロイヤル・ガードは距離を取りライトセーバー・パイクの刃で弾丸を弾き返した。

 

そして銃撃の終了と共にロイヤル・ガードはフォースでハンを吹き飛ばした。

 

「ぐっ!」

 

「ハン!」

 

レイアはハンの側に寄った。

 

黒いロイヤル・ガードは再びライトセーバー・パイクを構え前進する。

 

レイアはハンの無事を確認すると立ち上がり黒いロイヤル・ガードの前に立ちはだかった。

 

「まさか本当に使うことになるなんて……本当に頭が上がらないわ」

 

レイアはふとそう呟いた。

 

レイアは隠していたホルスターからある1本の筒状のものを取り出した。

 

本当にルークには感謝している。

 

この武器の作り方から使い方まで時間を割いて教えてくれた。

 

そのおかげでこうして愛する夫を守り戦うことが出来る。

 

レイアは筒から“()()()()”を出し教えられた通りに構えた。

 

これが彼女のライトセーバー、彼女の武器だ。

 

黒いロイヤル・ガードはこうなることを予想していなかったらしく多少驚きはしたがすぐに撃破すれば問題ないと鋭い突きの一撃を繰り出した。

 

しかしレイアはフォースを用いてこの攻撃を見切り回避した。

 

逆に隙が出来た黒いロイヤル・ガードに距離を詰め横合いから斬りつけた。

 

黒いロイヤル・ガードは寸前で防御し斬撃を防いだ。

 

だが黒いロイヤル・ガードは防御に気を取られてハンのことを忘れていた。

 

ベルトのポーチにしまっていたシス・ウェイファインダーがどこからか突如放たれたロープに絡め取られ、ポーチごと奪われてしまった。

 

黒いロイヤル・ガードがロープの方向を見るとそこにはハンがいた。

 

彼はニヤリと笑い「どうもロープの使い方は慣れていてね」とDL-44の引き金を引いた。

 

彼は近くに落ちていたトルーパーのグラップリング・フックを利用して黒いロイヤル・ガードからシス・ウェイファインダーを奪い取った。

 

ブラスター弾を弾き返しつつ再び黒いロイヤル・ガードは距離を取った。

 

レイアも距離を取りハンとと共に黒いロイヤル・ガードと対峙した。

 

シス・ウェイファインダー、過去の聖遺物を巡ってこの決戦後の月の下で戦い合う。

 

少し先の未来の若者達と同じように。

 

 

 

つづく




お久しぶりです!Eitoku Inobeです!

実は数日間寝込んで死にかけていたんですがだいぶ良くなりました!(過去形)

そしてナチ帝国も63話です!

ナチ帝国なので当然の如く全く夏らしくない話です!

夏らしさは全部タトゥイーンに置いてきました!

それでは!(謎のVサインを掲げる)
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