第二次銀河内戦   作:Eitoku Inobe

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-祖国の崩壊は前線の兵士達には聞こえずまた見えないものである-


マジノ線戦戦闘中/新共和国壊滅中

-新共和国領 衛星マジノ マジノ絶対防衛線-

衛星マジノを基準とした新共和国の防衛戦はマジノ絶対防衛線、通称マジノ線と呼ばれた。

 

衛星に艦隊と地上軍を集結させ帝国艦隊を待ち伏せていた。

 

ハイパースペースのジャンプアウト予測地点に改良しより進歩した重力井戸搭載のビーコンを設置する事で確実にマジノへ引き寄せる事が可能だ。

 

名目上は帝国軍に対する防衛である為あくまで防衛線と名付けられているが実際は帝国軍殲滅用の要塞網だ。

 

そして遂に帝国は宣戦布告した。

 

間も無くこのマジノを戦場とした戦いが始まる事だろう。

 

先端はもはや秒読み段階であった。

 

『こちら情報収集艦コルベットL-2、周辺およびビーコン展開地点に艦影なし…敵、来ないね』

 

若きコルベット艦の通信士官がふと漏らした。

 

すると同期の通信士官が同期のよしみもあってか答える。

 

「来るさ…きっとそのうち、L-2は“ホーム・ワン”艦隊に合流せよ」

 

『了解、ただち…敵艦!?そんなバカな!こちらL-2帝国艦を発見!現在応戦中!このままでは…うわぁ!!』

 

悲鳴やノイズ混じりの爆発音と共に情報収集艦L-2との通信は途絶えた。

 

一瞬にして士官の顔は青ざめた。

 

爆発音や向こうの通信士官の言葉からしても生存の確率は低い。

 

せめてこのことを伝えなければ。

 

「元帥!!アクバー元帥!」

 

士官は階段を上った先のアクバー元帥に叫んだ。

 

元帥と新共和国防衛艦隊総旗艦ホーム・ワンの艦長は振り返った。

 

「どうした少尉、何かあったのか」

 

「たった今…情報収集艦L-2との交信が切れました…恐らく戦闘が勃発し…撃破されたものかと…」

 

「なんだと!?それは確かか?」

 

「元帥!前方フィールド47に敵艦隊!」

 

その言葉を裏付けるようにモン・カラマリのセンサー士官が叫んだ。

 

3人がブリッジの外を向くと今まで何もなかった宙域に数十、数百隻の帝国艦が姿を表した。

 

「バカな…なぜあそこまで陣形が整っているんだ…」

 

「重力井戸でここに来たのなら少なくとも陣形は多少崩壊するはず…」

 

参謀将校達が敵艦隊のあまりに綺麗な陣形に驚いていた。

 

その隣でアクバー元帥は完全に状況を理解していた。

 

「また…我々は罠に嵌まったのか…」

 

その姿を嘲笑うかのように帝国艦隊は一斉に砲撃を開始した。

 

ホームワンも艦全体が振動に包まれた。

 

「くっ…戦闘開始だ!プランBに変更、中央にバトルシップと装甲艦を集め防御力を高めろ!」

 

激しい砲撃の中新共和国艦隊は応戦しつつ陣形を転換し始めた。

 

プランBとは中央にバトルシップや装甲艦を集め中央の防御力を高め、両翼にクルーザーや空母を展開しスターファイターなどで敵の戦列を崩しながら各個撃破を行うものだ。

 

元々防衛策として生み出されたものなのだが今の状況ではこれ以外策がない。

 

突撃陣形や密集隊形を取ろうものなら帝国艦隊の集中砲火を受けて各個撃破される。

 

また散開し機動戦術を取ればそれこそ格好の的だ。

 

少しでも時間を稼ぎながら包囲して殲滅するしかない。

 

厳しい戦いになるだろうとアクバー元帥は覚悟を決めた。

 

「スターホーク級のトラクター・ビームを使用して帝国艦隊の陣形を崩せ、その間に全艦はイオン砲やターボレーザー砲で攻撃開始!」

 

数十隻のスターホーク級がずらりと並び艦首のマグナイト・クリスタル・トラクター・ビームが放たれた。

 

このトラクター・ビームはインペリアル級すら行動の自由を奪い捕らえる事が可能だ。

 

結果帝国軍ではこのバトルシップを危険視しておりそのための対抗策がいくつも生み出されてきた。

 

そして遂にそのうちの1つが効力を発揮した。

 

「ダメです、スターホーク級のトラクター・ビームがまるで効果を示していません!」

 

「なんだと、それは本当か?」

 

「はい!帝国艦が一隻たりとも動いていません!」

 

「原因を探せ、その間にも砲撃の手を絶やすな」

 

技術士官達が血眼になって原因を探す。

 

まさかトラクター・ビームが打ち破られるなんて想像もしていなかった。

 

「わかりました、敵のクルーザーからトラクター・ビームを無効化する妨害周波のようなものが発せられています」

 

「敵はこちらの技術を知っているのか…」

 

「バカなあり得ない!あれは最高機密だぞ!」

 

技術士官の1人が怒り気味に叫んだ。

 

「ならば仕方ない…包囲陣形のまま爆撃隊を展開する」

 

冷静なアクバー元帥はすぐに適切な命令を下した。

 

有りとあらゆる物が使えない新共和国軍にとってこの戦いは厳しいものとなった。

 

 

 

一斉にジャンプアウトした帝国艦隊は30秒も経たないうちに集中砲火の楔陣形を作り出した。

 

中央を防御力の高いテクター級と対空能力の高いグラディエイター級で固めそれを囲むようにインペリアル級が集まっている。

 

しかも艦と艦の合間には必ずと言って良いほどアークワイテンズ級やレイダー級が敷き詰められており対空防御も万全だ。

 

その中央には旗艦リーパーが堂々と姿を表していた。

 

「集中砲撃しつつスターファイター隊を準備しろ、連中に戦い方を教えてやる」

 

ローリング大将軍はこれまでになく自信に満ち溢れた顔をしていた。

 

その横でオイカン元帥は各艦に細かな指示を伝達する。

 

背後には大勢の参謀将校が細かな敵陣形と味方の状況を見つめて作戦を練っていた。

 

「敵艦隊は後退しつつ陣形を転換しています」

 

「敵両翼に集中砲撃、恐らく包囲陣を作り出すはずだ」

 

オイカン元帥の指示は功を奏し陣形転換中の新共和国艦隊はまともな応戦など殆ど出来ず損害を出していった。

 

そして元帥の読みも当たっていた。

 

新共和国艦隊は起用にも損傷艦と偏向シールドを展開した艦を入れ替えつつ包囲陣を完成させた。

 

「敵艦隊は主力艦を中央に集めて防御力を高めているようです」

 

「同様に空母とクルーザーを両翼に展開し包囲するつもりでしょう」

 

参謀将校の2人はそう説明した。

 

放置しただひたすらに進撃すれば見事に敵の包囲網に嵌り大打撃を受けるだろう。

 

かと言って進撃せずその場止まり続ければ司法からの砲撃を受け戦力をすり減らされてしまう。

 

「中央にオナガー級と例の新型艦を投入し一斉砲撃、両翼の空母群は…ローリング大将軍」

 

「TIEパニッシャーとTIEディフェンダーを投入してスターファイター隊も空母群も殲滅してやる」

 

オイカン元帥は頷いた。

 

帝国軍の迅速な対応は新共和国に更なる被害をもたらした。

 

ターボレーザー砲で攻撃するテクター級やインペリアル級が徐々に左右に分かれ中央に数十隻の特殊艦が出る。

 

両翼を固めているのはオナガー級スター・デストロイヤー。

 

別名シージ・ブレイカーとして知られ超重合成ビーム・ターボレーザーと巨大粒子砲を搭載しており安全圏からの長距離軌道上爆撃を行う事が出来る。

 

出力源はあのデス・スターのスーパーレーザーにも利用されたカイバー・クリスタルであり当然艦隊戦にも使用できた。

 

そしてその中央に君臨するのはコルサントの秘密施設で見つけたインペリアルⅠ級アキシャル・スター・デストロイヤー

 

この謎が多い艦はⅠ級の船体をベースとしていながらも下船部に巨大な砲門のようなものが備え付けられている。

 

データによるとアキシャル・シージ・レーザーキャノンと呼ばれオナガー級よりもより精密で強力な軌道上爆撃に似た攻撃を繰り出せるそうだ。

 

これもまた動力源はカイバー・クリスタルでありクルーザー程度ならたった一撃で撃破出来るらしい。

 

実際この艦を運用するのは今回が初で帝国側としても若干の不安感があった。

 

そしてそんな超兵器艦隊を指揮するエドワルド・マークハイン提督も同じような感情を抱いていた。

 

「射線軸に友軍艦艇なし」

 

「エネルギー充填率87%、100%重点まで後120秒」

 

「全艦砲撃位置に着きました、どうなされますか?」

 

「まずは中央の艦列を分断する、それが不可能なら各個撃破に移行するぞ、中央二隻を拡散モードへ移行させろ」

 

艦長のエルゴール・バルツァー大佐は頷き各艦に命令を出した。

 

この艦隊の能力が吉と出るかはたまた成果を出さず凶と出るか。

 

不安感と期待感が全員の胸の中でごちゃ混ぜになっている。

 

「充填率100%、砲撃可能です」

 

「よし、全艦砲撃開始!」

 

オナガー級とインペリアルⅠ級のアキシャル・シージ・レーザーキャノンが一斉に光を放った。

 

火力はデス・スターより低いらしいが艦隊に大打撃を与えるには十分だという。

 

数十隻集まればあのデス・スターと同じく惑星さえ破壊できるそうだ。

 

流石にそこまでは期待しないが艦隊くらいには打撃を与えて欲しいものだ。

 

直後どれも恐ろしいエネルギーを解き放ち新共和国艦隊に牙を向く。

 

そして誰しもが予測しない事が起こった。

 

 

 

ホームワンのブリッジの将校が皆唖然としていた。

 

状況の理解が出来ていない。

 

唯一正常な判断をしているのは険しい表情で帝国艦隊を見つめるアクバー元帥だけだった。

 

「…ッ!状況今日報告を!」

 

ピクリとも動かない将校達にその視線を向けた。

 

ハッとして蘇った将校達は言われた通り報告を開始した。

 

「損害は…スターホーク級一隻撃沈、二隻中破、九隻小破、MC80十二隻轟沈、十五隻中破、二十四隻小破…」

 

「総合的な被害は?」

 

「全て合わせると…五十七隻です…」

 

気絶しそうになる程の大損害だ。

 

この戦いには現在の新共和国防衛艦隊の8割以上が参戦している。

 

総数はおよそ三百六十隻。

 

数だけでは今の一撃で15%以上が撃破されてしまった事になる。

 

はっきり言って今の一撃で中央の艦隊はほぼ壊滅状態だ。

 

ギリギリの所でホームワンは回避し無傷なままだったが他の艦はそうは行かなかった。

 

「元帥!このままでは…」

 

「惑星に退却用意!このままでは全滅してしまう!」

 

「元帥、両翼の艦隊が独自行動を!」

 

「何!?今すぐ辞めさせて退却するんだ!このままでは更なる被害を被るだけだ!」

 

「既にスターファイター隊を発艦させています!もう手遅れです!」

 

「くっ…」

 

アクバー元帥は厳しい表情を向けた。

 

 

 

「よし急げ!全機発艦させろ!」

 

MC80スター・クルーザーの甲板士官がハンガーベイの中で叫んだ。

 

大勢のパイロットが自機のコックピットに乗り込みヘルメットを被る。

 

一方技術兵は機体のソケットにアストロメクを差し込み機体の最終確認をした。

 

これで出撃態勢は万全だ。

 

『全中隊発艦用意、戦闘開始後は各艦隊司令官の命令を第一優先とする』

 

XウィングやAウィング、Yウィングが高く舞い上がる。

 

偏向シールドを飛び抜け宇宙に出た新共和国軍のスターファイター中隊は編隊を組み機体を調整した。

 

静かな宇宙に機体のエンジン音だけが響いた。

 

『フォイル中隊全機、Sフォイルを戦闘ポジションへ』

 

「了解フォイルリーダー」

 

若きパイロットが機体を操作しXウィングの両翼を戦闘モードに切り替える。

 

ちょうどX字なったその翼はいつでも戦えそうだ。

 

隊長が先行しその後ろに部下のXウィングやAウィングが続く。

 

『フォイル8、敵機を確認、TIEの群れです』

 

『フォイル12、スキャンしろ、何がどのくらいいる』

 

中隊長は冷静に機体を操作しつつ尋ねた。

 

支援機を操るフォイル12がスキャンを開始する。

 

UT-60D Uウィング・スターファイター/支援船は数は少ないが使い勝手はいい。

 

『スキャン完了!TIEインターセプターが五割前後でTIEボマーが三割、しかし…前方に1個中隊ほど見慣れない機があります』

 

『どんな機体だ』

 

『データ転送します』

 

全機にUウィングからのデータが転送された。

 

それをみて中隊長は驚愕した。

 

「これは…TIEディフェンダーだと!?」

 

正式名称TIE/Dディフェンダー

 

TIEシリーズ最高の機体であり偏向シールドにハイパードライブとかなりの高級品だ。

 

火力もTIEファイターやTIEインターセプター以上で一撃を喰らっただけでも機体は破壊されてしまう。

 

それがまさか1個中隊もあるなんて。

 

中隊長は驚愕しつつも冷静に指示を飛ばした。

 

「後方のYウィング中隊にイオン砲の用意を、シールドを剥がして攻撃する!」

 

『了解!』

 

『中隊長!敵機が!!』

 

「何!?」

 

一瞬のうちにTIEディフェンダーの中隊が恐ろしいスピードで接近してきた。

 

もう目と鼻の距離だ。

 

TIEディフェンダーは翼についている全てのレーザー砲を展開し次々と友軍の機体を鉄屑に変えていった。

 

『隊長!隊長!!』

 

『バカな!ウワァァ!!』

 

断末魔の叫びと共に通信が途切れていった。

 

たった一瞬の攻撃で中隊の半分が撃破されてしまった。

 

後方で応戦する友軍機もシールドの前には敵わず無意味なまま散っていた。

 

中隊長はただただ唖然とするしかなかった。

 

「馬鹿な…」

 

『隊長、敵機が来ます!』

 

部下の報告と共に大量のTIEインターセプターの群れが襲い掛かって来る。

 

黄緑色のレーザーは回避しきれなかった味方の機体を次々と殲滅していった。

 

一瞬のうちに新共和国軍のスターファイター隊は壊滅状態に陥った。

 

前衛の中隊は1機残らず全滅し生き残った機体は母艦に撤退する他なかった。

 

戦意喪失し失意の中戦い続ける新共和国軍に更に不幸が訪れた。

 

「艦長!帝国軍の爆撃機中隊が!!」

 

「対空防御だ急げ!」

 

しかしそれすら今の帝国軍には意味がない。

 

なにせ先行する爆撃機はシールドを装備したTIE/caパニッシャー・スターファイター、別名TIEパニッシャーなのだから。

 

TIEパニッシャーとTIEディフェンダー。

 

いくら帝国軍再軍備を進め親衛隊が誕生しようとこの2機を中隊規模で再生産するなど不可能だ。

 

可能であったとしてもその分他の機体や艦船に予算を回す方が合理的だ。

 

この2機もコルサントの秘密施設から手に入れたものだ。

 

何故保管されていたか、理由は全くの不明だが使う他ないだろう。

 

お陰で帝国軍のスターファイター隊は再びかつての力を取り戻した。

 

そしてその力を証明する様に獲物を狩るようにTIEパニッシャーの中隊は爆撃を開始した。

 

プロトン魚雷とプロトン爆弾の雨がMC80や周辺の艦船を攻撃した。

 

シールドを貫き大爆発を起こす。

 

他のTIEボマーも次々と爆撃に成功していく。

 

新共和国の両翼艦隊も大打撃を受けた。

 

数隻の艦船が爆発し沈んでいく。

 

誰がみても新共和国の不利は明らかであった。

 

 

 

アクバー元帥は別働艦隊を指揮するストライキング・ディスタンスと通信回線を開いていた。

 

現在の所新共和国艦隊は不利な状況で損耗が激しいが別働艦隊との連携が取れれば十分勝機はある。

 

厳しい撤退戦の末アクバー元帥とその艦隊はなんとかマジノの大気圏内まで撤退した。

 

『そのような兵器が…』

 

「恐ろしい兵器だが戦わねばならない、出なければあの兵器が今度はホズニアンや新共和国領の惑星に向けられてしまう」

 

『…兵の士気は』

 

「高いはずがない…辛うじて戦線を維持出来るほどだ、いつ脱走兵が出てもおかしくはない」

 

『直ちに急行します』

 

「頼んだぞ、地上も危険になってくる」

 

通信を切りライカン将軍のホログラムが途切れた。

 

あのような兵器が存在していたとは。

 

惑星を破壊出来るデス・スターのような超兵器の類だが数がいて拡散砲撃まで出来るとなればデス・スターよりある意味脅威だ。

 

あれを有効活用されてはこちらが手を出す前に全滅させられてしまう。

 

対抗策を考えなくては。

 

「各前哨基地に通達、全装備を持って要塞司令部に撤退せよ」

 

「元帥、帝国艦隊に高熱原体を探知!これは艦隊を攻撃されたものと同じエネルギーです!」

 

「なんだと!?全艦偏向シールドエネルギーをフルパワーで展開しろ!各基地も惑星シールドを急いで展開するんだ!」

 

「熱原体発射されました!!」

 

士官の報告と同時くらいに白い雲を貫き地上に降り注いだ1本の光球が見えた。

 

直後地表で大爆発が起こり轟音と共に艦が少し揺れた。

 

「まさか…各前哨基地と通信を繋げ!」

 

アクバー元帥は最悪の事態を考え急いで部下に命令を出した。

 

通信士官のほとんどは基地との通信を繋ぎ無事に回線が繋がった事を安堵していたがそうでない者もいた。

 

青ざめ絶望に満ちた表情を浮かべ震えた声でアクバー元帥に報告した。

 

「ダメです…第六基地からとの回線が繋がりません…基地も応答無し…」

 

「第八補給基地と第十六前哨基地もです…前哨基地3つからの応答がありません…」

 

「…元帥…」

 

ブリッジにどんよりとした重たい空気が流れる。

 

各前哨基地には少なくとも数百人以上の兵士がいたはずだ。

 

「元帥…友軍の哨戒機から映像が…」

 

「流してくれ…」

 

士官は恐る恐るモニターに哨戒機の映像を流す。

 

その光景を見た瞬間ブリッジの誰しもが絶句した。

 

あまりの光景に感情や脳の処理が追いついていないのだろう。

 

それだけ凄惨な光景だからだ。

 

「ここは確か…」

 

「第六基地があった…」

 

後退りし自分にその気がなくとも目を背けようとする。

 

逃れられない絶望的な真実を前にして誰しもが言葉を紡ぎ怖れをなした。

 

「場所は…第六基地設置区画です…現在生命反応はないとの事…」

 

大きく抉り取られ荒地と成り果てた荒野は新共和国軍が基地を設置した場所だった。

 

跡形も無くなり元々何が存在していたのかさえ不明だ。

 

大きなスプーンで抉られたような大穴と草木が吹き飛び精気がまるでない光景が広がっている。

 

恐らく第六基地にいた人員は既にもう。

 

誰しもが絶望感に襲われ気付かないうちに恐怖に屈し涙を流した。

 

そして悟った。

 

帝国軍には勝てないと。

 

こんな強大な力を持った敵に敵うはずがない。

 

「急いで各地の前哨基地を放棄して要塞司令部に撤退させるんだ!これ以上の損害は出せん…」

 

アクバー元帥は諦めず指示を飛ばすが士官達は完全に敗北ムードだ。

 

これが歴戦の猛者と一兵卒の違いだろう。

 

敗北するしかない。

 

全てのそう士官達は思った。

 

かつて遠い昔に反乱軍が思い知った事を新共和国もまた思い知った。

 

 

 

新共和国軍の前哨基地の消失は無論帝国軍によるものだった。

 

新共和国艦隊を攻撃したインペリアルⅠ級とオナガー級の機動艦隊が再びその力を奮ったのだ。

 

元々両艦ともカイバー・クリスタルを用いた軌道上爆撃がメインであり艦隊への攻撃など副産物に過ぎない。

 

ようやく本領発揮といった所だ。

 

オナガー級は元々その力は知れていたがアキシャル・シージ・レーザーキャノンの方は未知数だった為将校達から感嘆の声が響いた。

 

惑星シールド展開中の基地をたった一撃で殲滅してしまうとは。

 

帝国軍としても予想外の結果だった。

 

無論嬉しい誤算としてだが。

 

「すごいな…まるで小さいデス・スターだ…」

 

ローリング大将軍は嬉しそうにそう評価した。

 

彼の評価は見事にその状態を言い当てていた。

 

たった一撃で基地を破壊出来、カイバー・クリスタルを動力源としている。

 

正しくミニチュアデス・スターであり実際この艦は“そんな艦隊のプロトタイプであった”。

 

「エネルギーチャージと冷却にあと3時間ほどかかりますが」

 

「今の一撃で十分だ、全艦で衛星を包囲するぞ」

 

「カタログスペックだとシージ・キャノン搭載の艦艇数十隻で二時間以上一斉に照射し続けると惑星すら破壊出来るそうですが」

 

「それでは新共和国艦隊に逃げられるだけだ、波状攻撃をメインとして使え」

 

ローリング大将軍は首を振りその作戦を却下した。

 

オイカン元帥も非現実的だとして快く思っていない。

 

衛星を破壊しなくとも十分新共和国軍には打撃を与えられるしあくまで彼らの仕事は陽動だ。

 

出過ぎた真似は帰って本隊の邪魔になるだけだろう。

 

特にあの悪魔のような親衛隊最高司令官に何を言われるか分からんからなとローリング大将軍はこっそり思っていた。

 

「惑星には近づき過ぎるなよ、アクバー元帥は強敵だ、反撃を被るかもしれん」

 

「了解致しました」

 

オイカン元帥の命令に参謀将校は頷いた。

 

全く油断を見せないのも今の帝国艦隊の強みだろう。

 

こうして衛星マジノの包囲戦が始まった。

 

 

 

「間も無くライカン将軍の別働艦隊が到着します」

 

「これが最後の賭けか…」

 

アクバー元帥はホームワンの自室で遠くを見つめていた。

 

その言葉はいつにもなく重たかった。

 

「帝国軍の動きは?」

 

「以前変わりありません、地上部隊を展開する訳でもなく艦隊戦に出るわけでもなく…」

 

「軌道上爆撃のみか?」

 

「はい、包囲網は突破できないのですが…」

 

「妙だな…電撃的に地上攻撃いても良さそうなものを…」

 

アクバー元帥は妙に思った。

 

ホスの戦いでは容赦のないAT-AT部隊に苦しめられたと聞く。

 

彼は一種の不信感すら抱き始めていた。

 

ここまで巧妙に一手一手を進め確実に両軍に打撃を与えている敵がこんな初歩的なミスをしないだろうか。

 

既に基地の守りは万全だ。

 

今の新共和国地上軍なら十分帝国地上軍を撃退出来る。

 

それを知らない敵ではないだろう。

 

となるとまだ強力な一手があるのだろうか。

 

デス・スターのように衛星ごと破壊出来るような一手が…

 

しかしそれらは思考の領域だけで止まってしまった。

 

何故なら通路の遠くから全力で走ってくる足音が聞こえたからだ。

 

しかもアクバー元帥の名前を呼んでいる。

 

「元帥!!アクバー元帥!!」

 

「どうしたんだ少尉!」

 

先に連絡をくれた中佐が若き少尉を止めた。

 

息切れを起こしている少尉はなんとか顔を見て話をしようとする。

 

「どうしたのだね少尉」

 

「はい…新共和国ホズニアン・プライムからです…」

 

「首都から?」

 

アクバー元帥は不思議に思った。

 

何を今更ホズニアンから連絡を受ける事があろうか。

 

しかし次の言葉を聞いた瞬間アクバー元帥は顔色を変えた。

 

「帝国艦隊の奇襲を受けたホズニアン・プライムおよびシャンドリラは…抵抗虚しく陥落したとの事…現在()()()()()()()()()()()!」

 

「バカな!!」

 

中佐の言う通りだ。

 

今帝国艦隊と戦っているのはアクバー元帥達だ。

 

しかもホズニアン・プライムと新共和国領を守る為に。

 

そのホズニアン・プライムが陥落したと言うのか。

 

言葉が出なかった。

 

「元老院は壊滅…一部議員や官僚達がなんとか撤退したとの事…シャンドリラではモン・モスマ殿下含め数千名が捕虜に…」

 

「戦っていた新共和国軍は?惑星防衛軍はどうした」

 

「この伝達が来た頃にはすでに損耗率78%…もはや…」

 

もう言わなくてもわかる。

 

少尉の報告は真実だ。

 

ホズニアン・プライムは陥落し帝国の旗が今頃ホズニアンのあちこちに靡いているのだろう。

 

出なければここまで正確な情報が届くはずがない。

 

「では我々が戦っていた艦隊は陽動だと言うことか…」

 

中佐は絶望した。

 

あれだけの艦隊が陽動だと言うのか。

 

まだ帝国は首都を陥せるほどの戦力を隠していたと言うのか。

 

そんな連中に勝てるのかと定型文に似た弱音を持ち始めていた。

 

当然アクバー元帥も心の中では悔しさと怒りが溢れている。

 

だが最高司令官が感情をむき出しにするべきでは無い。

 

もう新共和国はなくなった。

 

守るべき首都は堕とされた。

 

ならばやることは決まっている。

 

「…全地上部隊を撤収させ撤退の準備だ」

 

「元帥…?」

 

「急げ!一兵でも多くこのマジノから撤退させるのだ!新共和国の…()()()()()()()()()()!!」

 

アクバー元帥が弱音を吐く時間はなかった。

 

彼には大きな責任がありそれをまっとうする義務がある。

 

それはこの危機的状況の今だ。

 

歴戦の猛将による銀河史上最大の撤退戦が今始まった。

 

 

つづく

 




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不定期更新の割には根気よくやってんな()

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