2.条約加盟国間の武力行使、侵略行為ら一切の戦争行動及び内政干渉を禁ずる
3.条約加盟国は領域、経済圏、軍事力、立地領域に関わらず平等であり、帝国再建を目指す同志国と認定される
4.本条約は条約加盟国間の意思疎通や共通目標の設定を図る為、統一条約会議を有し議長は条約立案国が担うものとする
5.条約加盟国間の国軍展開及び進駐は加盟国間の合意によって成されるものであり、合意が成されない場合は議長国が判断を担うものとする
6.条約加盟国の敵は全加盟国の敵であり、要請があった場合共同で対処を行うものとする
-帝国統一条約のうち第6条までを抜粋-
第四次ナブーの戦い
ーレジスタンス領 ミッド・リム コメル宙域 ナブー星系 惑星ナブー軌道上ー
クーデター派に加わったナブー宇宙艦隊に代わり、ナブーの防衛はスターファイター隊とレジスタンス宇宙軍に委ねられていた。
艦隊の主力はMC80スター・クルーザー三隻、MC75スター・クルーザー二隻で構成されており、その他にも多数の中、小型艦艇がパトロールに当たっていた。
ナブー駐留艦隊旗艦"テメレール"ではパトロール艦からの情報を受け取り、警戒を続けていた。
「少将!」
ブリッジにはレジスタンス宇宙軍少将、ベレメア・グリュノワール駐留艦隊司令が戻ってきた。
彼の側には司令官付副官が付いており、ブリッジで待機していた参謀達に敬礼を返した。
38歳の将官は司令官席に座り、参謀達からより詳しい報告を聞いた。
「艦隊の通信及びセンサー障害はまだ復旧していません」
「ナブーの警戒衛星網も同様の障害が発生していると報告を受けています。恐らく帝国軍の攻撃の可能性が高いかと」
「復旧を急がせつつ艦隊に第一種戦闘配置を発令」
「はい!」
グリュノワール少将は自身の軍歴の殆どが地方の惑星防衛艦隊での勤務であり、実戦経験は反乱同盟軍の頃から戦っていた者達と比べて少ない。
されど彼の胆力と柔軟な思考回路は防衛艦隊の指揮官として必要な素質を持っていた。
「艦長、哨戒機の報告は」
グリュノワール少将は艦隊がセンサー障害を受けてからすぐにAウィングによる哨戒機部隊を編成し、惑星全体の警戒に当たらせていた。
問題は通信障害が出ている為、情報の収集は哨戒機が帰ってこないことには何も得られない。
「第2小隊、第4小隊までは帰還したのですが…第3小隊が未だ帰還しておらず…」
バンジャル"テメレール"艦長のいうことの意図はすぐに分かった。
第3小隊は撃墜された可能性が高い、つまり帝国軍は既に侵入している可能性が高いということだ。
「パトロール艦の半分を惑星の方に引き戻させた、艦艇単位でなら通信も辛うじて出来るから発見は出来ると思うが……」
レジスタンス地上軍もナブー王室保安軍も既に警戒態勢を整えており、地上で戦闘が起きても”
そして帝国軍の主力が来るのであればジャンプアウトする地点は限られている。
「尤も、連中の主力が来るとすれば惑星への侵入角度も含めてここに違いない。敵の主力さえ我々で抑えておけば後は地上軍とディゴール大臣達が何とかしてくれるさ」
こうなった以上帝国軍が来ることはまず間違いない。
そしてそれを防ぐのは我々の責務である。
艦長も小さく頷き、ビューポートからやがて現れるだろう帝国軍を警戒した。
艦隊に緊張が走る。
既に駐留艦隊は陣形を転換し、ターボレーザー砲にはエネルギーが、魚雷発射管にはプロトン魚雷が装填されている。
「スターファイター隊を発進させておきましょうか」
「いや…流石に早すぎる、もう少し…」
「少将!哨戒機の第3小隊所属機です!」
グリュノワール少将の声を遮って通信士官が叫んだ。
少将はアームレストのモニターを見て機体の有無を確認する。
「本当だ…しかも被弾している」
「ブリッジより第2ハンガーベイへ、緊急着艦の用意をして哨戒機を迎え入れろ。なお機体は被弾しているためパイロットの救出とパトロールデータの取得を最優先事項とする」
バンジャル艦長の素早い指示により哨戒機の受け入れ態勢はすぐに整った。
ブリッジの管制官が誘導しエンジンから火を噴きだしながらも哨戒機は無事に着艦した。
ブリッジでは消火班が消火剤を巻き、火の手が収まったところに救護班とデータ回収班が一斉に駆け寄った。
パイロットは自分から機体のハッチを開き外へ出た。
グリュノワール少将の指示でパイロットとの通信が繋がりすぐに情報を得る事が出来た。
『こちらサイトぺテル少尉、敵の揚陸艦隊が既にナブーにジャンプアウトしています!このままではナブーが!』
「了解した、少尉はメディカルチェックを受けて暫く休め。至急第908機動部隊とシード司令部に繋げてくれ!」
対処しなければならないことは粗方分かっている。
一番最初に繋がったのはナブーの首都シードに設置された合同司令部だった。
「駐留艦隊より司令部へ、こちらの哨戒機部隊が軌道上にジャンプアウトした敵揚陸艦隊を発見。地点は現在解析中だが既に地上部隊を展開された可能性がある。念の為注意されたし」
『了解した、駐留艦隊はどうする』
「我が艦隊は現地点の防衛任務を継続し、揚陸艦隊の対処にはトワニング大佐の第809機動部隊を向かわせる」
司令部は少将の判断を信じ、『任せたぞ』と言って通信を切った。
現状、軌道爆撃の報告や空中哨戒機部隊が敵を発見したという報告は入ってきていない。
それに首都シードは頑強な偏向シールドで守られている為まだ安全でるはずだ。
「少将、トワニング大佐と繋がりました」
「よし、大佐、敵の揚陸艦隊がナブーに取りついてしまった。こちらで目撃した所在地を特定するから君の部隊で迎撃を頼む」
『分かりました…!少将もご武運を』
敬礼を返しホロ通信は切れた。
2人は同じ惑星防衛軍出身で先輩後輩の関係にある。
2人とも自分たちのことを良くて上の下の将校だと評していたが別にそんなことはなかった。
「こちらも爆撃機中心のスターファイター隊を出して迎撃準備に出るぞ。ファイター隊に発艦準備を…」
「少将!ハイパースペースより多数の艦影がジャンプアウト!恐らく敵です!」
「ええい!いつも魔の悪い!」
再び命令を遮られた少将と駐留艦隊の眼前にはインペリアル級スター・デストロイヤー五隻を主力艦とした帝国艦隊が姿を現した。
間髪入れずにインペリアル級からの砲撃が飛んでくる。
ターボレーザー弾が何発か命中し、艦内が揺れた。
「スターファイター隊も全機発進させて応戦!連中を一歩たりともナブーに近寄らせるな!」
「ハッ!」
MCクルーザーからA、B、X、Yウィングが飛び出し、戦場へと急行する。
敵艦隊もすぐTIEインターセプターとTIE1ブルートが展開された。
砲戦の中グリュノワール少将は司令部に戦闘が始まったと告げた。
「こちら駐留艦隊、我が艦隊は現在ジャンプアウトした敵艦隊と戦闘に突入した!奴ら(ルビ 第三帝国)が来た!」
四度目となるナブーの戦いが今幕を開けた。
ーナブー ケレン市 クウィラン・スターポートー
空中ではレジスタンス軍のスターファイター隊と第三帝国親衛隊のスターファイター隊が激しい空中戦を繰り広げていた。
現在の所、親衛隊スターファイター隊の方が有利である。
レジスタンス軍機は自分の身を守るのが精一杯であった。
「墜ちろ!」
ハイネクロイツ大佐のTIEアドバンストx2によって一気に2機のAウィングが撃墜された。
彼の僚機もすぐに追いつき共同でXウィングを墜とす。
他のTIEインターセプターやTIEブルートも機体を見事に操り、敵機を翻弄した。
第21FF航空旅団はハイネクロイツ大佐が鍛えに鍛えた精鋭旅団だ。
一般のパイロットでは仮にXウィングを用いても勝利することは難しいだろう。
『大佐、敵機を粗方遠ざけました』
「そうだな…クルツ3、地上の様子はどうだ」
ハイネクロイツ大佐は攻略目標であるクウィラン・スターポートを偵察中のパイロットに通信を繋いだ。
『確認しただけでも数か所に対空ウォーカーが配備されてます。特に宇宙港近くに4台、しかも宇宙港には住民が殺到しています』
クルツ3が乗り込むTIEファイターはTIEリーパーの偵察強化型でrcタイプと呼ばれた。
レーザー砲や魚雷ミサイル類などの装備は通常機と比べて少ないもののジャマ―機能やセンサー類が強化されていた。
「だ、そうだ准将。どうする?対空網はこっちで潰すが宇宙港への降下は止めるか?」
このまま宇宙港で戦闘になれば必ず市民に死傷者が出る。
であれば宇宙港の制圧は多少時間が掛かっても包囲して降伏させるべきではないのか。
ハイネクロイツ大佐は上官たるジークハルトに判断を求めた。
そして彼が優先したのは時間の方であった。
『いや、早急に宇宙港とケレンを抑えるのが重要だ。フライマー少佐、宇宙港を制圧したら後続が来るまで住民はその場で待機させろ。後続に地下避難所まで移動するよう指示を出させる』
『はい准将』
『難しいとは思うが可能な限り住民への被害は抑えろ。だが宇宙港からは1機たりとも発進させるな』
『ハッ!』
通信が切れ、命令は下った。
ハイネクロイツ大佐は機体の方向を変え、地上へと向かった。
「シュヴァルツ中隊全機、地上の対空網を無力化する。ジャミングはクルツ3とクルツ4がやるから攻撃に集中」
『了解』
『了解!』
12機のスターファイターに2機のTIEリーパーが地上へ降下し、一斉に襲い掛かった。
ジャミングの影響で対空車両が備えているミサイルや魚雷は殆ど機能せず、レーザー砲のみで対空砲火を繰り出すしかなかった。
地上には
ハイネクロイツ大佐はレーザー弾を掻い潜り、逆にフルチャージしたレーザー弾を浴びせて撃破した。
他のパイロット達も各々共同でAT-AAPに振盪ミサイルを放って破壊する。
次々とAT-AAPは破壊され、地上の対空網は剥がれた。
「よし、地上の対空は殆ど剥がした。今ならいける」
空中での戦いに戻るハイネクロイツ大佐達と地上へ急行する第42降下猟兵大隊の輸送部隊とすれ違う。
輸送の護衛機には別のTIEブルートが付いており、シュヴァルツ中隊は不要だった。
輸送部隊は降下ポイントまで移動しジャンプ・トルーパー隊とパラスシュート降下部隊で高度を変える。
準備が整い、降下猟兵を乗せたゴザンティ級のハッチが開いた。
降下開始の警報音が鳴り響き、中にいたストームトルーパー達が大空へと身を投げた。
自由落下に身を任せつつパラシュートを開き、降下ポイントを調整する。
一列に並んだトルーパー達のパラシュートはある種の絶景だ。
降下に成功したトルーパー達はパラシュートを外し、E-11を構えて前進した。
第一目標はクウィラン・スターポート、そしてケレン市庁舎街。
警備のレジスタンス兵を蹴散らし、スターポート内にストームトルーパーがなだれ込んだ。
「急げ!管制室を占拠するぞ!」
パラシュート部隊を率いたハンネル上級大尉が先頭に立って部隊を指揮する。
当然警備のレジスタンス兵も即席のバリケードで防衛線を形成し、降下猟兵を迎え撃った。
クウィラン・スターポート内で激しい銃撃戦が発生する。
ストームトルーパー達は前衛の兵が応射しつつ、後方のトルーパーがインパクト・グレネードなどを投げて敵兵を蹴散らした。
兵士が倒れ、防衛線に穴が開いたところにE-11の集中射撃が投入される。
バリケードの手前まで接近したトルーパーが自身のRT-97Cをバリケード内に直射し、レジスタンス兵を一掃した。
守備兵の殆どを撃ち倒されたレジスタンス軍はバリケードを放棄し後方へと退いた。
バリケードを蹴飛ばし、道を作ったハンネル上級大尉がストームトルーパー達を先導して前へ前へと進んだ。
同じころ、インペリアル・ドロップシップから降下したジャンプ・トルーパー隊が外の守備兵と戦っていた。
器用にジェットパックを操作し、地上の敵兵を狙い撃つ。
スマート・ロケットを持ったジャンプ・トルーパーは積極的にスペースポートに停泊している輸送機のエンジンを破壊して足を止めた。
「1機たりとも離陸させるな!ここで足止めだ!」
フライマー少佐は積極的に敵兵を屠り、友軍の被害を最小限に留めた。
ジャンプ・トルーパー隊によってスペースポートの外周警備兵はすぐに殲滅され殆どのトルーパーが周囲の警戒に当たっていた。
そんな中、偵察担当の兵から報告が入る。
『大隊長、正面通路より戦車1輌と1個分隊。官庁方面の増援です』
フライマー少佐はマイクロバイノキュラーで正面の大通りの方を確認した。
レジスタンス地上軍のTB-2リパルサー・タンクが1輌と13、14人の随伴歩兵が見えた。
「こっちで確認した。ヴァンゼンは左のビルへ、ヘンネは右のビルへ隊を連れて待機。合図と共に同時に仕掛けて殲滅しろ」
『了解!』
『了解!』
数十人のジャンプ・トルーパーが左右に分かれ隠密かつ速やかに配置についた。
既に市庁街にも降下猟兵1個中隊がドロップシップの援護の下突入した為、殆ど増援を送れない状態となっていた。
「狙撃班は宇宙港から牽制射撃。陽動は我々が行う」
事前に待機させていた狙撃班がレジスタンス兵の足元にブラスター弾を命中させた。
兵士たちは皆戦車の後ろに付き、慎重に追随した。
リパルサー・タンクは上空のジャンプ・トルーパーに気付き、レーザー砲の牽制射撃を放ったが効果はなかった。
逆に注意を前方に寄せ過ぎたのが仇となる。
フライマー少佐の合図で飛び出してきたジャンプ・トルーパー隊がスマート・ロケットを放ってTB-2リパルサー・タンクを破壊した。
戦車の破壊に驚くレジスタンス兵に他のトルーパーが銃弾の雨を浴びせる。
増援の部隊は全滅し確認に行ったトルーパーがハンドサインで撃破を知らせた。
一方スターポート内ではハンネル上級大尉率いるストームトルーパー達が管制室の一歩手前まで迫っていた。
敗北を悟った管制室では各所に状況を報告していた。
「だから、こっちはもうすぐそこまで敵兵が迫ってて逃げられない!そっちはまだ包囲されてないから急いで離脱するんだよ!」
”避難”担当官のナブー王室保安軍三佐が市庁街の守備隊に撤退を促した。
まだスターポート守備隊はほぼ全滅であり、陥落は時間の問題だ。
だが市庁街守備隊はまだ余裕がないだけで戦力は残っており、完全に包囲されていない為離脱は出来た。
『だがそっちには避難民がまだいるんだろ!?市民を逃がさないと!』
「輸送機のエンジンを全部破壊されて逃がせそうにない。しかも制空権が奪われつつある今の状態じゃ飛ばしたら撃墜される。だが陸路ならまだ離脱ルートは残ってるはずだ!残りの戦力を率いて友軍に合流を…!」
「すまん…!もう無理だ…」
さっきまで避難誘導していたレジスタンス軍の大尉が身体に弾痕をつけて隣に斃れた。
三佐は最後に「まだ希望はある」と告げて通信を切った。
周りには5人以上のストームトルーパーがブラスター・ライフルを構えて彼を取り囲んでいた。
「俺はこれで終いか…」
最期の銃声が響き、ハンネル上級大尉からクウィラン・スターポートの制圧が完了したという報告が入ってきた。
すぐに別のセンチネル級がスペースポート内に入り、中からストームトルーパー隊が出てくる。
兵員輸送機やスピーダーも降ろされ、まだ抵抗中の市庁街へ進軍し始めた。
こうしてナブー奪還作戦の第一段階は果たされた。
-ナブー 首都シード シード宮殿 レジスタンス=ナブー王室保安軍合同司令部-
ナブー全土の防衛と住民の避難を監督するこの合同司令部はキャプテンコォロが最高司令官を務め、副司令官としてヴィアタッグ将軍が調整を行っていた。
急遽編成された参謀達は各地と連絡を取り、避難状況を確認していた。
司令部はシード宮殿の玉座の間に設置され、将校達は皆女王の御前で職務を果たしていた。
ジェルマンとジョーレンもソルーナ女王ら要人警護ということでナブーに派遣されていた。
まだエクセゴルの戦いが終結して数ヶ月しか経っていないにも関わらずこの忙しさ、彼らに休む暇は殆どなかった。
2人はフル装備のまま待機しいつでも戦闘が出来る状態だった。
「クウィラン・スターポート管制室からの応答が途絶…!恐らく守備隊は全滅したものと…」
メンジス三佐は悲痛な面持ちで司令官に報告した。
あの宇宙港はケレン市と周辺の町村の避難を担当しており、空挺部隊が降下したという報告を受けた時点ではまだ避難活動が続いていた。
「ケレン市庁街の守備隊との交信はどうだ」
ヴィアタッグ将軍が即座にもう一つの可能性を見出した。
通信を担当していたレジスタンス軍のラボーチェ中佐が「繋がりました!」と叫ぶ。
「市役所に立て籠ってる部隊はまだ無事なようです。かなり追い込まれていて長くは持たないかもと言っていますが」
「市役所を守る部隊じゃ宇宙港の奪還は不可能。かと言って増援を送り込むのも不可能……私の責任でケレン市の守備隊を撤退させる」
状況は既に手詰まりだがまだ残存兵力は撤退させられる。
残った兵力があれば再び反撃するときに必ず役に立つ。
「本当によろしいのですか?」
ヴィアタッグ将軍は司令官に聞き返した。
このキャプテンがナブーの民を誰よりも愛し、守ろうとしてきたことは数日間共に仕事をしていれば分かる。
そんな彼が今決断したのは残された住民の避難を諦めることであり、半ば見捨てたも同然だ。
「はい……これ以上兵達を損耗させる訳には行きませんので。女王陛下、モエニア宇宙港に続きクウィラン・スペースポートの避難民の撤退を完遂させられなかったこと、お詫び申し上げます」
キャプテンコォロはソルーナ女王に対して頭を下げ謝罪の言葉を述べた。
女王は優しく首を振り、「頭を上げてください」とお願いする。
「キャプテンを始め、全軍の将兵と職員の方々の努力は私も承知しています。ただ、敵の方が上手だった。私はキャプテンの判断を尊重します」
こうなってしまった以上女王とその側近達の覚悟は固まっていた。
全員がまだ希望を捨てていない。
「報告によると1個中隊の強襲を受けて今もなお敵戦力は増加中だと」
「1個中隊?となるとスペースポートの報告からあった部隊と合わせれば……合計1個大隊の空挺部隊が市内に投入された可能性があります」
帝国地上軍の編成では1個中隊200人が4個集まって1個大隊となる。
若干のズレはあれど親衛隊も大体同じ編成だ。
彼らは確実に宇宙港を堕とす為精鋭の1個空挺大隊をケレン市に投入したのだ。
「モエニアの宇宙港もほぼ同等の空挺部隊が展開されています」
「となると連中の狙いは最初から宇宙港か」
ケレンとモエニア、双方ナブーにおける大都市であり巨大な宇宙港を有していた。
その為今回の避難では宇宙港が積極的に利用され、既にナブーの総人口の2/3を避難させることに成功した。
だが両宇宙港は陥落してもう使えない。
「しかし、そうなるとシードにも何かしらの破壊工作を仕掛けてきてもおかしくはないはず」
ジョーレンは思わず声を上げた。
帝国軍はナブー全体に通信妨害とセンサー妨害を展開し秘密裏のうちに揚陸艦隊を送り込んできた。
であれば特殊部隊や軽歩兵部隊が潜入して格納庫への攻撃を仕掛けてくるはずだ。
「今の所パトロール隊からの発見報告も入ってきていません。勿論シード周辺での戦闘報告も」
「格納庫とシード宇宙港には一応守備隊を展開しているが……」
まるで今の会話が最悪の伏線であったかのように宮殿格納庫から通信が入ってきた。
『こちら宮殿格納庫守備隊!現在格納庫はダーク・トルーパーの襲撃を受け戦闘中!!至急応援を乞う!!』
通信越しから銃声と兵士の断末魔が聞こえる。
すぐに参謀の1人が宮殿格納庫のリアルタイム映像を出した。
1個分隊ほどのダーク・トルーパーが格納庫に侵入し、整備兵や守備兵らを襲っていた。
「直ちに1個小隊の増援を送る。もう少し踏ん張れ」
『了解…!』
「将軍、我々も向かいます」
2人はヴィアタッグ将軍に出撃の許可を願い出た。
ダーク・トルーパーは当世最強のバトル・ドロイドと言っても過言ではない。
並の兵士では幾ら束になってかかっても撃退は難しい。
2人のような優れた特殊部隊出の兵士が撃退には必要だった。
「分かった、ソルーナ女王の脱出用輸送機を護衛することが第一だが不可能なら現場の兵士が離脱出来るまで時間を稼げ」
「了解!」
2人は玉座の間を後にし、急いで階段を降りて格納庫へ急行した。
彼らが戦場に向かってから30秒も経たず新たな報告が司令部に舞い込んできた。
『こちら第343歩兵師団、前線部隊が敵装甲部隊と接触。戦闘状態に突入した』
「ついに来たか…」
『243機械化師団より司令部へ。前線の数箇所にて敵部隊との戦闘が発生中』
各所から一斉に戦闘報告が入り、司令部は一様に慌ただしくなった。
ホロテーブルに浮き上がったナブーの地図に次々と敵部隊と戦闘発生地点が映し出される。
「最も危険なのは343師団のこの地点です。確実にアサルト・ウォーカー1個中隊以上はいる」
「格納庫が使えない以上予備隊も出せん。困ったな…」
ラボーチェ中佐は頭を掻きながら苦虫を噛み潰した。
歩兵が持つ対車両火器でAT-AT類を倒すのはほぼ不可能に近い。
強大なアサルト・ウォーカーを倒すのにはスターファイターの航空支援か砲兵による集中砲火。もしくは可能な限りの機甲戦力をぶつける他なかった。
であれば残された2つの選択肢を全てぶつけるしかない。
「第905機甲大隊を投入して迎撃させろ。砲兵隊には支援砲撃の準備を」
「了解…!」
キャプテンコォロの命令を受け、通信将校達が指示を出す。
その間にキャプテンはヴィアタッグ将軍と地図を見ながら戦況を考えた。
「戦闘が全域に広がり過ぎている。これでは1個軍を送り込んできたとしても突破口を開くのは難しい」
「ああ、だが素人の動きとも思えん……大規模な揺動か或いは後続が更に来るのか」
通信とセンサー類の妨害からレジスタンス軍は徐々に立ち直りつつある。
その為今の段階では新たにジャンプアウトすればすぐに確認されるだろう。
「軌道上の艦隊はまだグリュノワール少将麾下の駐留艦隊が抑えているんだったな?」
キャプテンコォロはヴィアタッグ将軍に尋ねた。
彼は小さく頷き「艦隊の突破を待っていると?」と逆に聞き返した。
「その可能性は十分にある。だがおたくの少将が踏ん張ってくれてるお陰でなんとかシードの住民は全員避難出来そうだ」
少なくとも彼らの計算は間違ってはいなかった。
艦隊すらも囮で本命の攻略部隊は既に上陸したという事実さえなかったら未来は彼らの計算通りに進んでいただろう。
親衛隊は動き出している。
再び死んだ皇帝の故郷を取り戻すために。
-ナブー 大草原 第343歩兵師団担当防衛地点-
大草原には上陸した敵軍を迎え撃ち、シードの避難が完了するまで持ち堪える為の縦15キロ、横10キロの縦深防御陣地が構築されていた。
陣地は多数の塹壕、カルトロップ、地雷原で敵の進撃を阻止し、多数の守備兵とレーザー砲塔や車両が迎撃の為待ち構えていた。
第343歩兵師団は兵員3万3,000人からなる歩兵師団であり兵士達は人間だけではなく、イシ・ティブやザブラク、クオレンやデヴァロニアンといった多種多様な種族で構成されていた。
皆捕まれば捕虜にされることなく殺される、それを覚悟の上で彼ら彼女らは戦いに来たのだ。
そしてそれを打ち倒すのがアデルハイン大佐率いる装甲戦闘団であった。
この他にも第31FF義勇擲弾兵団”デア・フルス・ソルー”と第132FF装甲擲弾兵師団が両翼に展開し、攻勢を開始していた。
彼らの目的はこの防御陣地の完全な突破ではない、あくまでここに展開されたレジスタンス地上軍の主力の注意を引くことにあった。
31FF義勇擲弾兵団の指揮はグリアフ准将が取り、軌道上でナブー駐留艦隊と撃ち合っている帝国艦隊の指揮はクリース大将が取っていた。
インパルス・フォースを中心にストライク・フォースの一部戦力を除く1個装甲大隊を主力に幾つかの装甲擲弾兵大隊と共に戦闘団を形成している。
現在は偵察隊からの報告を受け、地雷の有無を確認していた。
殆どの地雷はAT-ATには効かないがAT-STやその他の車両には多大なダメージが入る。
『地雷は我が戦闘団の正面陣地に展開されています。上空からの熱源探知によると大体の分布範囲はこのような感じかと』
陣地帯のイメージ図が映し出され、地雷の設置予想ポイントが赤く光っていた。
現状主力艦隊は軌道上のレジスタンス艦隊との撃ち合いで忙しく、かといって”ライアビリティ”に地雷除去の為の機動爆撃を頼む訳にもいかない。
であれば地雷除去の方法は1つしかない。
「ヴィンゲーツ少佐、3箇所の地点に導爆索を巻いて進路を作れ。残りはAT-ATの爆索で吹っ飛ばす」
『了解…!』
「全隊、AT-AT隊は300メートル前進して工兵隊の援護。その他は突撃準備に入れ」
インパルス1から指示を出し、自身のウォーカーも前進させる。
敵の航空攻撃をカバーする為にAT-MPマークⅢとAT-AAを配置している為抜かりはない。
その間に導爆索のコンテナを積んだランドスピーダーが到着し、撤去作業を開始した。
「インパルス・フォース全隊、援護射撃を開始しろ。砲兵隊はまだ撃つな、貫通弾は温存しておきたい」
レジスタンス地上軍が展開した偏向シールド内に突入したAT-ATが一斉に顎の重レーザー砲を放つ。
前線の陣地に初弾が命中し、兵士達を混乱させた。
何発かは1.4FD Pタワーや野砲を破壊した。
その間に工兵隊が操るランドスピーダーのコンテナから勢いよく導爆索が放たれる。
有線式の地雷撤去装置は起爆と共に周囲の地雷を全て破壊した。
『地雷撤去に成功しました!』
工兵隊の車両は急いで後方へと退避し代わりにAT-STや兵員輸送機、オキュパイア・タンクらが接近してきた。
「良くやったぞ。第3中隊、先行して塹壕内を蹴散らせ。510第2中隊は後に続け」
数台のAT-ATが前進し進軍を開始する。
装甲大隊各中隊とも全てがAT-ATマークⅢとマークⅣの混成部隊であった。
後方に付属するAT-ST隊の援護を受けながらアサルト・ウォーカーは前進した。
その間にインパルス・フォースの各AT-ATが導爆索を放って進路を切り開く。
「我が隊も前進する、私に遅れを取るなよ…!」
一斉に12台のAT-ATが前進を開始した。
敵部隊の攻撃は先行したAT-ATが請け負っている為後発隊にはあまり砲撃が降ってこない。
その為援護射撃に注力することが出来た。
正確な狙いの重レーザー砲が確実に砲を潰していく。
『我、敵塹壕陣地と接触!前進は快調なり!』
先行したAT-ATから報告が入った。
塹壕からはスマート・ロケットや迫撃砲などが放たれたがAT-ATに特に効力はなかった。
むしろその他の車両の脅威となる迫撃砲と対戦車兵は優先的に始末していく。
塹壕まである程度近づいたら兵員輸送機が停止し、一斉にストームトルーパーを展開した。
E-11やDLT-19を持った親衛隊ストームトルーパー達が塹壕へ向かって走り出す。
ストームトルーパー隊はAT-STの背後に着き、随伴歩兵として塹壕まで近づいた。
塹壕内に残る敵兵をAT-STが片付けている中、ストームトルーパー隊が内部へ突入していく。
生存者にブラスター弾を叩き込み、逃げる敵兵にDLT-19の高火力をばら撒いた。
しかしレジスタンス兵は早期に塹壕を放棄していたようで残っていたのは殿の僅かな兵のみだった。
『大佐、塹壕は制圧しましたが敵戦力の主力は既に後退した模様。また前方には新たな塹壕帯を確認』
「こっちでも見えている。少佐の隊はこのまま待機、今度は我々が前衛を務めるから援護に回ってくれ」
『了解!』
敵はかなり強力な陣地帯を構築しているようだ。
今はまだ一部に穴を開けただけに過ぎない。
穴を広げ、戦果を拡張する必要があった。
インパルス・フォースが前に出て重レーザー砲を放って敵兵を蹴散らす。
反撃の砲も殆どアサルト・ウォーカーの装甲を抜けず、装甲部隊の足を止める事は出来なかった。
「各機センサーを絶やすな、連中のウォーカー狩りがどこに潜んでるか分からん。スカウト・ウォーカーは死角をカバー、歩兵隊は周囲に展開して警戒にあたれ」
スカウト・トルーパーが操る74-Zスピーダー・バイクが先行して偵察に向かった。
偵察を絶やさず展開し敵の位置を探ってそこへ攻撃を叩き込む。
相手よりも少しでも多く”知っている”ことが戦場では重要であり、一番難しいことだ。
その証明に近くのは林から突如震盪ミサイルが放たれた。
「ミサイル来ます!」
「回避だ!」
一部のウォーカーが退避したものの避けきれない1発がAT-ATの後部に命中した。
爆発と共に走行の一部が溶解し、黒く焦げている。
「インパルス9大丈夫か?」
『後部に被弾しただけですので問題ありません!まだいけます!』
林からはブラスターの弾幕が展開されストームトルーパーに死傷者が出ている。
「林の中の敵兵を殲滅する。インパルス9と10は砲撃を叩き込め。戦車中隊、聞こえるか」
アデルハイン大佐は後続の戦車中隊長を呼び出した。
通信のみ繋げホログラムは出ていない。
『お呼びですか』
「1個小隊を展開して半包囲する形で林を取り囲め。奴らを林から燻り出すだけでもいい」
『ハッ!』
2-Mホバー・タンク4輌が林の周りに展開し砲を向けて取り囲んだ。
その間に兵員輸送機を盾にした歩兵隊がゆっくりと林へ近づいた。
放たれるブラスター弾も殆どが弾かれ、反撃として輸送機の銃座からEウェブの弾幕射撃が叩き込まれる。
更にAT-ATとホバー・タンク隊の援護射撃が林の中のレジスタンス兵を苦しめた。
中にいたジャガーノートが爆散し、後退が始まる。
『大佐!敵が出てきました!』
「よし出た!撃ち漏らすなよ!」
林から出てきた瞬間、前進して叩き込みやすい位置にいたAT-ATとAT-STマークⅢの一斉攻撃を行った。
敵部隊は全滅し周辺の脅威は無くなった。
後方からの砲撃も物ともせず、AT-AT部隊が前進する。
この四足歩行の巨人を止めるには同じようなウォーカーをぶつける他なかった。
それ以外の戦力は皆力不足だ。
『スカウト・ヤート2より報告。敵の砲撃陣地を発見。野砲5、重砲3、ミサイル・ランチャー2、補給車両4』
「いい報告だ、500メートル下がって安全圏で待機。砲兵隊、今通達する地点に貫通弾を叩き込め」
『了解』
即座に座標が転送され、砲撃準備が始まる。
敵の砲兵陣地を一気に吹っ飛ばす為にSPHA-Pのクラスター弾頭型プロトン魚雷が使用された。
2輌のSPHA-Pが配置につき、双方1発づつ魚雷を放った。
弾頭は偏向シールドを貫通し目標地点で花開くように小型のプロン魚雷を砲兵陣地に振り撒いた。
2発の範囲が満遍なく敵陣地に被害を与え、スカウト・トルーパー隊が報告したよりも多くの被害を与えた。
『目標沈黙』
「砲兵隊は当てた、我々も前進を続けるぞ」
『スカウト・オレンス7より全隊へ、敵のウォーカー部隊の移動を確認数AT-TE6、AT-RT12、戦車9』
「了解、こっちで対処する。陽動としての責務は十分果たした……頼んだぞジーク」
アデルハイン大佐は汗をかきつつもしっかりと笑みを浮かべていた。
本命の部隊はもなく来る。
ナブーに鷲は舞い降りるのだ。
ー首都シード シード宮殿 宮殿格納庫ー
ダーク・トルーパーの進撃は格納庫の守備隊だけでは止められなかった。
ひたすらブラスターを撃ちまくり、火力で生身の兵士を圧倒する。
しかもダーク・トルーパーの装甲は一般兵の持つブラスター・ライフルの弾を通さなかった。
ブラスター弾を弾き、ひたすらに前進する。
「クソォ!このままじゃ守備隊は全滅だ!」
格納庫守備隊長のレジスタンス地上軍上級中尉はDH-17ブラスター・ピストルを握りしめ叫んだ。
既に彼の小隊メンバーは半分以上が打ち倒され、兵が足りないので格納庫の整備兵にブラスターを持たせて戦線を維持していた。
上級中尉のすぐ側をブラスター弾が掠めるもすぐに反撃の弾を撃ち込む。
当然効力はなく、すぐに反撃が飛んできた。
「後退だ!体勢を立て直すぞ!」
援護射撃を受けつつ後方に下がった。
後退中にも何人かが撃たれたが防衛網を崩されて各個撃破されるよりはマシだ。
守備隊が時間を稼いでいる間にようやく増援がやってきた。
中央の扉が開き、一斉にブラスター弾とグレネード弾が放たれた。
その間に上級中尉の下にジェルマンとジョーレンが走った。
「守備隊長か、状況は」
「守備隊の半数がやられました、現在は後退して防衛網を再構築しています」
「分かった、守備隊はこのまま戦線を維持。我々で連中を撃破する」
「了解…!」
グレネードの一点集中射撃によりダーク・トルーパーの装甲が剥がされ、そこにブラスター弾が叩き込まれる。
内部が弾丸でズタズタに引き裂かれ、ダーク・トルーパーは撃破された。
これでようやく1体、続いてジェルマンがサーマル・インプローダーをダーク・トルーパーに投擲した。
ダーク・トルーパーの胴体に吸着剤付きインプローダーが取りつき、独特な音を立てて起爆する。
大爆発によりダーク・トルーパーの胴体は消し飛び、足と東部のみが地面に転がった。
「行くぞ!」
ジョーレンは自身のA300を手に取って近くのダーク・トルーパーに接近した。
スライディングしてダーク・トルーパーと1cmもないくらい近づき、トルーパーの頭部と首の間にブラスター・ライフルを突き刺す。
すぐに引き金を引き、ブラスター弾を叩き込む。
ブラスター・ライフルの角度を変え、頭部にもブラスター弾を撃ち込んだ。
回路がズタボロに破壊されたダーク・トルーパーはジョーレンの下へもたれかかった。
すぐにブラスター・ライフルを引き下げ、おトルーパーの肩を持って完全に潰されるのを防ぐ。
接近してきたダーク・トルーパーがジョーレンを見つけてブラスターを放つも、斃れたダーク・トルーパーで攻撃を防いだ。
ダーク・トルーパーの厄介な装甲が逆にジョーレンを守っている。
その間にジェルマン辺りが助けてくれるかと思いきや、救援に入ったのは別の人物であった。
緑色の光剣がダーク・トルーパーの腕と頭部を撥ね、味方の危機を救った。
その姿を見てジョーレンは驚いた。
「まさかジェダイとは……」
「他にもいるよ」
ジェダイ、ルーク・スカイウォーカーは手で軽く向こうの方を見よと合図を出した。
そこにはライトセーバーでダーク・トルーパーの腕部を斬り落とし、胴体に斬撃を入れて破壊するマラ・ジェイドの姿がった。
「僕たちで敵を蹴散らす、その間に負傷兵の救出を!」
「了解した…!」
すぐにジョーレンはジェルマンを引き連れてあちらこちらに倒れている味方兵士の救出に向かった。
その間にルークはマラ・ジェイドと共にダーク・トルーパーの殲滅に邁進した。
ライトセーバーで強力なダーク・トルーパーの装甲を簡単に切り裂き、破壊していく。
ブラスター弾を弾き、流れるように相手の懐に入って胴体を真っ二つに斬った。
崩れ落ちたダーク・トルーパーの残骸が火花を上げて小爆発を起こす。
マラ・ジェイドがフォースで敵を引き寄せて首を撥ねる。
彼女が倒したダーク・トルーパーが最後の敵だったようで格納庫は数十分振りに静けさを取り戻した。
「クリア!」
「機体の被害状況確認急げ!!」
上級中尉とほぼ同時期に格納庫の整備班長がブラスター・ライフルを持って飛び出してきた。
彼の後には数十人の無傷な整備兵たちが駆け寄る。
負傷兵を介抱しつつ後方に下げていたジェルマンは彼らの姿を見て立派な兵士達だと感心していた。
「彼はまだ生きている、急いで消毒とバクタを」
連れてきたレジスタンス兵を下ろし、手当をしていた衛生兵に状態を説明した。
すぐに衛生兵が手当てを開始した。
「どのくらい無事だった」
ふとジョーレンはジェルマンに尋ねた。
「半分……いや2/3はもうダメだった」
「こっちも似たようなもんだった。たかだか10体のバトル・ドロイドにここまでやられるとはな…」
ジョーレンは何とも言えない気持ちを口に出した。
ダーク・トルーパーといえど分類としてはバトル・ドロイドだ。
数でいえば10体、10体のバトル・ドロイドに味方の兵士は確実に20人以上がやられた。
「せめて彼らはみんな一命を取り留めるといいが…」
負傷して苦しむ兵士たちにジェルマンは早期の回復を祈った。
同じ頃、ルークとマラ・ジェイドはライトセーバーを柄に戻し周囲を見渡した。
敵を倒したはいいがルークの表情はどこか不安が残っていた。
「これがあなたの言っていた敵?」
マラ・ジェイドは尋ねた。
ルークは首を振り「違うと思う」と即答した。
「多分こっちは陽動だ…早く探さないと何かが起こる…」
彼の予測はすぐに当たった。
爆発の音が聞こえ、すぐにジェルマンとジョーレンに通信が入った。
『首都地下施設の主要偏向シールドが破壊されました!!直ちに予備シールドを起動します!』
「なんだと!?」
「まずい……このままじゃあ……!!」
ジェルマンの予測もすぐに当たった。
既に揚陸艦隊の戦艦イオン砲はシードに向けて最初の一撃を放っていた。
ーナブー パオンガ湖 Ⅶ級ステルス・シップ"U1209"ー
パオンガ湖の下にはグンガンの大都市オータ・グンガが存在している。
かつてはここに多くのグンガンが住み。生活を営んでいた。
しかし第三帝国の襲来の情報を聞きつけたナブー王室政府とレジスタンス政府によってグンガン族の優先的避難が実行され、水中都市には誰もいなかった。
故にここは絶好の隠れ家であった。
クローキング装置を搭載した”Uシップ”にとって。
「艦長、”ライアビリティ”より入電。『我、作戦達成の為の最終砲火を切る』とのこと」
「本艦もナブー首都シードに向けて援護射撃を開始する。クローキング・システム起動の後水面へ浮上せよ」
「了解…!」
Ⅶ級ステルス・シップ”U1209”艦長、オルト・モルディン上級大尉は上級部隊の掩護射撃に合わせて浮上を開始した。
黒色の船体は見る見るうちに姿を消し、その姿は海面近くに到達するまでに消えていた。
ステルス・シップ、この艦種の積極的軍事利用はクローン戦争まで遡る。
第一次ナブーの戦い終結後に建造された試験艦IPV-01C(後々にⅠ級と呼ばれる)をベースに建造されたIPV-02Cステルス・コルベットはクリストフシスなど多くの戦いで活躍した。
IPV-02C、通称Ⅱ級は特殊作戦や補給船団に対する妨害などで戦果を発揮し、その実用性を証明した。
クローン戦争後、主力艦開発に尽力が注がれステルス・シップの研究は二、三番手に追いやられたが、それでも銀河内戦終結頃までにⅥ級までが建造され試験的に運用された。
そしてこのⅦ級は今や帝国宇宙軍の目であり、敵の動脈を断つ鋭い短剣であり、特殊作戦を遂行する箱舟であった。
インペリアル級を始めとした主力艦の活躍の陰に隠れてステルス・シップ艦隊は着実に戦果を重ねていった。
既に後継の改良型の研究と開発が進められており、レジスタンス軍と帝国の敵にとって大きな脅威になることは間違いなかった。
「センサーに敵影なし」
「クローキング正常に起動中、動力システムとの連動も問題ありません」
乗組員の報告を受け、モルディン上級大尉が命令を出す。
「ミサイル発射管一番から四番開け、イオン・ミサイルを装填し首都シードに向けて一斉射」
Ⅶ級は武装としてミサイル発射管4門、魚雷発射管5門、レーザー砲2門が備わっていた。
ミサイル発射管、魚雷発射管双方共に艦対艦振盪ミサイルやプロトン魚雷のような攻撃能力のある兵器と、イオン・ミサイルやイオン魚雷のような相手を無力化する兵器を使い分けられた。
今回シードに対する攻撃は無力化が求められており、イオン・ミサイルは今回の攻撃に最適であった。
「イオン・ミサイル装填完了、射撃目標をシードに設定」
ミサイル発射管のハッチが開き、安全装置が解除される。
ミサイルの照準システムはシードを狙っており、外すことはあり得なかった。
「攻撃準備完了」
「艦長、命令を」
乗組員達はモルディン上級大尉の命令を待っていた。
彼はタイミングを見計らって攻撃命令を下す。
今ここでミサイルを撃っても迎撃される恐れがあるからだ。
艦隊の砲撃が先にシードに命中する必要があった。
「”ライアビリティ”の第一撃、シードに命中!」
「本艦も続いて撃て!」
”U1209”からシードを目指して4発のイオン・ミサイルが放たれた。
湖からシードまでの広大な距離をミサイルは駆け抜ける。
ミサイルは落下コースに入り、シードへ向けて急降下していった。
ある地点まで落下するとミサイルは分裂し、内部の小型ミサイルを地表にばら撒く。
たった4発のイオン・ミサイルで戦艦イオン砲にも負けない範囲を無力化した。
「Uシップのイオン・ミサイル全弾命中!」
「本艦のイオン砲も効いています」
”ライアビリティ”でもイオン砲を用いた軌道爆撃の様子は確認されていた。
既に偏向シールドは潜入したシャドウ・トルーパー部隊によって破壊され、こちらは爆撃をやりたい放題出来る。
ターボレーザーでの軌道爆撃でも良かったのだが戦後復興を考えジークハルトはイオン砲撃を選んだ。
シードを軌道爆撃で更地に変えてもどうせ地上軍がナブーの大地を踏みつけ、シード宮殿にベンドゥクロイツの旗を掲げなければ勝利とはならない。
「准将、地上部隊の9割を無力化しました。ですが想定されていた通り宮殿に対する砲撃は効果が確認出来ません」
メルゲンヘルク大佐はホロ通信を起動し、上陸部隊の方へ移動したジークハルトに報告した。
銀河内戦中のナブー戦において、シード内に備えられたイオン・パルスが宮殿内には効果がないという報告から特殊な対イオン兵器対策があるのではと予測していた。
その予測は当たったようでシード宮殿内部のレジスタンス兵の装備は殆ど無傷だった。
一方で地上に残っていた守備隊の車両や武装は一切動かなくなり、兵士達は混乱していた。
『問題ない。想定内だ大佐。これより降下を開始する、”ライアビリティ”は戦闘体勢のまま待機』
「はい、武運を准将」
『ナブーの方々のメンツは立てるさ』
シードへ再び鋼鉄の巨人達が降り立つ。
ジークハルト麾下のシード攻略部隊はすぐそこまで迫っていた。
-ナブー 首都シード上空 シード攻略部隊-
ストライク・フォースの半数の戦力たるAT-AT6台と両機のAT-STとAT-MPを乗せたゴザンティ級とATホーラーが落下地点に移動する。
本来なら対空車両の射程圏内で対空砲火が張られているはずなのだがイオン砲によって無力化されている為、攻撃はなかった。
「歩兵部隊は先行して市街地を制圧しろ。捕虜はヴェントマン大尉の保安中隊が管理」
ストームトルーパーを乗せたインペリアル・ドロップシップとセンチネル級が先行しトルーパー隊を下ろした。
ドロップシップはそのまま歩兵に追随し、近接航空支援に移った。
上空ではケレンから移動してきたハイネクロイツ大佐の第21FF航空旅団が空の安全を確保していた。
「各機、事前に指定したポイントに降下しろ。それ以外の所じゃAT-ATの図体じゃ動けない」
6台のAT-ATは市街地を流れるソルー川に降下し、残り2台はシードの大通りに降下して首都シードまで前進する。
限界まで市街地に接近し、シードにウォーカー部隊を下ろしてゴザンティ級とATホーラーは戦場を離脱した。
彼らがここにいても戦闘の邪魔になるだけだ。
『全部隊、上陸に成功しました!』
「AT-ST隊は歩兵と共に敵兵の掃討戦に入れ、路地の果てまで追い詰めて息の根を止めろ。残りの者は全て宮殿へ突入せよ」
『了解』
AT-ATの側を離れたAT-STが逃げる敵兵を追いかけ始めた。
並大抵の歩兵はAT-STと鉢合わせたら死が確定している。
シードの各地では既にAT-STの独特なレーザー音が鳴り響いていた。
『准将、宮殿より予備隊が展開されました。対戦車兵器を持っています』
先行偵察したスカウト・トルーパーからの報告を受け、ジークハルトは各隊に命令を出す。
「スカウトチームが宮殿内の増援を確認した。敵は対戦車兵器を持っている為AT-STおよびドロップシップ部隊は警戒せよ」
AT-ATはゆっくり大通りを前進した。
重厚感ある足音と地響きが周囲に威圧感を与える。
この世にはこれに打ち勝てる者などいないかのように。
「ストライク1からシャドウ・コマンドーへ、こちらは展開が完了した。そちらの状況を報告せよ」
ジークハルトはベリスコープ・ディスプレイで外の様子を確認しつつ、潜入した特殊部隊と通信を繋いだ。
『こちらは敵部隊の増援と戦闘中、そちらの指示を待つ』
シャドウ・トルーパー部隊の隊長はすぐに返答した。
通信機の奥からはブラスター団の音が響き、レジスタンス兵の怒声が聞こえた。
イオン砲の砲撃はシード宮殿だけでなく、地下の偏向シールド発生装置とイオン・パルス発生装置にが備わっている箇所には効かなかった。
「我が隊の第4小隊が地下に潜った。小隊と合流し地下内部の敵兵を撃破せよ。作戦は続行中を続行せよ」
展開した歩兵部隊は先行してUシップから展開された特殊部隊と合流し部隊の孤立を防いだ。
「前方より対戦車ミサイル接近」
「防衛せず発射地点に攻撃を集中。敵の脆弱な防衛線を切り崩せ」
ミサイルはAT-ATの顔面に衝突するも、僅かに煤を残すだけでダメージはほぼなかった。
代わりに両耳の中型レーザー砲が発射地点から離脱しようとしていた歩兵を吹き飛ばす。
簡易的なバリケードごと周囲の全てが吹き飛ぶ。
以外にも歩兵装備の回復は早く、武器が使えるようになったレジスタンス兵や保安隊員らが応戦を開始した。
シードの市街地に立て籠り、小窓からブラスター・ライフルやスマート・ロケットを構えて応戦した。
ロケット弾は再びAT-ATの胴体に命中した。
アサルト・ウォーカー隊は気にせず突き進んでいくが歩兵とAT-STやAT-MPにとって脅威であることは間違いない。
ストームトルーパー隊は敵兵の籠る建物に突入し制圧戦を開始した。
ドロップシップは上空から屋上の敵兵に制圧射撃を浴びせかける。
一部の兵士は対空ミサイルを構えてドロップシップを1機でも多く撃墜しようと狙いを定めるも即座にAT-STや歩兵部隊によって掃討された。
「目標まで距離、950」
「間もなく有効射程圏内です」
「まだだ、もう少し近づいて前門を吹っ飛ばす。ストライク5、歩兵部隊の展開準備」
『了解!』
ぺリスコープ・ディスプレイで狙いを定め、攻撃準備に入る。
彼らの背後では後続の隊を乗せたセンチネル級もあちこちに着陸し、歩兵部隊を下ろしていた。
「センサーに機影確認、レジスタンス軍のXウィング2、王室保安軍のN-1ファイター1」
AT-ATドライバーがセンサーに映った機影を報告する。
宮殿格納庫内で無事だったスターファイターが迎撃の為飛んできたのだ。
スターファイターが積んでいるレーザー砲ではAT-ATの装甲は貫通しないものの、プロトン魚雷とイオン魚雷は厄介だ。
前者はウォーカーの装甲も貫通する上に後者は無力化の危険性がある。
ジークハルトはすぐに僚機のAT-MPマークⅢに通信を繋げた。
「ディフェンス・チーム、アサルト・ウォーカーの防衛が最優先課題だ。魚雷を徹底的に墜とせ」
『その必要はないぜ!』
即座に通信に割り込んできたハイネクロイツ大佐のTIEアドバンストx2が速やかに3機のスターファイターを撃墜した。
他にもシュヴァルツ中隊のTIEインターセプターが頭上を飛び回っていた。
だがすぐに別のレジスタンス軍機が侵入し空中での戦いは再び乱戦状態となった。
地上では展開された歩兵部隊は市街地に浸透し、1つづつ制圧していった。
宮殿前方の簡易陣地も殆ど破壊しつくされ、殆どその役割を失っていた。
「准将、有効射程圏内に突入しました」
「軽ターボレーザーで障害を取り除く。出力を抑えろ、門さえ破壊できればそれで十分だ」
ドライバー達が威力を調節し、適度な威力にまで落とす。
ジークハルトはぺリコール・ディスプレイで狙いを定め、標的を指示した。
「撃て」
AT-ATの両顎に備えられた軽ターボレーザー砲が放たれ、シード宮殿の前門を破壊した。
爆風が宮殿の内部まで入り、瓦礫が辺りに崩れ落ちた。
宮殿の側で戦っていた兵士は殆ど全滅し、生き残った者は他の生存者を連れてシード宮殿の中へ後退した。
「突入隊を展開する、突入隊は可能であれば女王を捕縛せよ」
AT-ATのハッチが開き、ロープを用いて1個小隊ほどのストームトルーパーが地上に降り立った。
親衛隊の兵士達がシード宮殿へと雪崩れ込む。
この段階でもうナブーを巡る戦いの決着はついた。
しかしこの戦いが”
-首都シード シード宮殿内-
大勢は決した、この状況で戦況を巻き返すことはもう不可能に近い。
市街地の守備に回っていた全部隊は宮殿内と宇宙港に交代命令が出された。
今、シード宮殿内の守備兵と市街地の守備兵が合流し宮殿の水際でストームトルーパー達の侵入を防いでいる。
尤も親衛隊の侵入を許すのは時間の問題であったが。
「グレネード投擲行くぞ!」
ジョーレンがインパクト・グレネードの安全装置を解除し敵部隊へと投げた。
少しの衝撃で起爆するこの爆弾は敵兵に多大な被害を与えた。
爆煙が立ち込める内にジェルマンがブラスター弾を撃ち込み、瞬間的な火力で圧倒した。
味方兵の半分がやられたストームトルーパー分隊は一旦後退し始めた。
「今だ!負傷兵を早く医療チームへ!」
「了解!!」
ストームトルーパーの妨害がなくなったことにより、レジスタンス兵数人が撃たれた仲間の保安隊員やレジスタンス兵を運んでいった。
その間にジョーレンは水際防衛の指揮を取る分隊長に「ここは頼んだぞ」と後を任せた。
「チッ!まさか格納庫の方が揺動だとは!」
「ああ!最悪だ!避難計画が全てパーだ!」
2人は別の戦闘地点へ移動する際に不満を口にした。
幸い、宮殿格納庫を奪還したことによりここに運び込まれた負傷兵もすぐにナブーから運び出せるが予想外の結果だ。
戦艦イオン砲の影響で市街地に配備されていたほぼ全ての重装備も放棄せざるを得ない。
「司令部、味方の兵は殆どが回収された。イオン・パルスは使えんのか」
『それが敵降下終了時から度々起動を試みているのですが、玉座の間の起動システムとイオン・パルスの回線が切断されて動かせません!』
「なんだと!?ってことは入ってきた特殊部隊は1隊だけじゃないってことか……!?」
「情報部のデス・トルーパー部隊か…!」
ジェルマンは悔しそうに吐き捨てた。
帝国情報部直属の特殊部隊、デス・トルーパー。
重要施設や要人の警護だけでなく強行特殊偵察や重要作戦目標の奪取又は破壊、敵司令官の暗殺などの特殊作戦を担っている。
その黒いアーマーと独特のボイスチェンジ音は全レジスタンス兵にとっての恐怖の対象であり、ジェルマンからすればライバルたる帝国情報部最大の脅威であった。
「到着した!総員伏せろ!」
ジョーレンは到着するなりサーマル・インプローダーを起爆し、後方へ投擲した。
大爆発と共に増援のストームトルーパー分隊は壊滅し、前衛で戦うトルーパー達は孤立した。
そこへジェルマンの合図と共にブラスター弾の一斉射が放たれる。
ここのストームトルーパー達も撤退を判断しスモーク・グレネードを周囲に巻いて後退した。
「ここはもう十分だ、ありったけのレーザー・マインを置いて脱出しろ」
「少佐と大尉殿はどうされるおつもりですか?」
現場指揮を取っていた中尉が2人に尋ねた。
彼は負傷した影響かバクタ・パッチの上から包帯が巻かれていた。
それでもブラスター・ピストルを手に取って最後まで戦う気概を見せていた。
「我々は最終の便で必ず出るから安心して、それよりも早く離脱を」
「ご武運を…!総員退却、さっきの命令は聞いていたな?レーザー・マインを展開して宇宙港まで下がるぞ!」
味方部隊の撤退作業を見届け、2人も玉座の間へと後退することを決めた。
今ので救援が必要な部隊は最後であり、後はどこも自力で脱出出来た。
宮殿内をひたすら走る。
一部の通路では緊急時の隔壁が起動しており、親衛隊の行手を阻んでいた。
「このまま後は女王を逃せばっ…!」
「伏せろ!!」
ジョーレンは急いでジェルマンを突き飛ばし、自身も反対方向の物陰に伏せた。
元々ジェルマンの頭があった空間を赤いブラスター弾が通り過ぎる。
その後も次々とブラスター弾が放たれた。
「おいおいおい…!!まさかあれ!」
ブラスターと物陰の合間からジョーレンは敵を確認した。
「デス・トルーパーの隊と鉢合わせちまったのか!?」
制圧射撃を敢行しながらデス・トルーパー達はゆっくり前進している。
ジェルマンとジョーレンも急いで反撃を撃ち込んだが数の差で火力の壁を抜けられない。
E-11Dの正確な狙いがジェルマンを掠めた。
「このっ!」
ジョーレンはA300の正確な射撃でようやくデス・トルーパーにブラスター弾を命中させた。
しかしポールドロンと肩のアーマーに防がれ、大したダメージは与えられなかった。
すぐに別のデス・トルーパーが着てカバーされる。
「とんでもねぇな!うわっと!」
すぐに身を物陰に隠し、慎重に敵部隊の位置を確認した。
ダーク・トルーパーも強かったがこいつらも異常なほど強い。
スカリフでメルシとセフラの隊がデス・トルーパー相手に全滅したと聞いたがこの強さを見るにどうも本当らしい。
「今の装備と人員じゃこいつら相手にして勝てる自信は……ん?」
ジェルマンがハンドサインで退路とそこに至るまでの後退方法を提案した。
なるほど、いい案だ。
ジョーレンもハンドサインで案を受け入れ双方必要な装備を用意する。
ジェルマンが指で3秒カウントし、2人とも作戦を実行した。
まずジョーレンがスモーク・グレネードを投擲して視界を奪う。
相手はデス・トルーパー、すぐに暗視モードに切り替えられスモークの意味は無くなった。
だがこの瞬間こそが好奇だったのだ。
今度はジェルマンがグレネードを投げた。
それは非殺傷性なれど強力な武器であった。
空中で起爆しまるで星々の光の如く眩く光った。
彼が投げたのはフラッシュバン、暗視モードに切り替わる瞬間に投げられたフラッシュバンは絶大な効力を発揮した。
殆どのデス・トルーパーの視界を奪い、大打撃を与えた。
「走れ!」
2人は一気に最奥のドアまで引き下がった。
逃すまいと前衛2名のデス・トルーパーが発砲するもこんな状況では当たらなかった。
「オラァ!」
ジェルマンがパネルを殴ってドアの隔壁を起動した。
一気に2枚の隔壁が起動しブラスターすら通さない鉄壁の守りを手にした。
「いい判断だった、成長したな」
ジョーレンは素直に若き大尉の成長を喜んだ。
頭をワシワシと撫でられるも不思議と悪い気はしなかった。
「可能な限りの防空装備を宇宙港に配備しろ!空挺もファイターも寄せ付けるな!」
「民間機はもう全部出し尽くしたんだろ!?後はもう病院船から出せばいい!医療マークはつけてたはずだ!」
「車両なんて放棄しろ!今必要なのは運用出来る兵隊だ!早く脱出ポイントへ!」
玉座の間では撤退の指揮が始まり、味方を1人でも多く逃さんと皆必死になっていた。
幸い殿の守備兵達が奮戦してくれてるお陰で司令部にはまだ余裕があった。
『第904機械科歩兵連隊を中心に殿部隊を編成、現在撤退を開始しています』
『こちらは敵部隊の攻勢を頓挫させた為、支援の砲兵隊を343師団へ回しました。砲兵を除けば間も無く撤退完了します』
ホログラムでは前線で戦闘し続けている師団長達がヴィアタッグ将軍に報告した。
既にナブーの市街地にAT-ATが降下した段階から味方の守備隊には撤退命令を出していた。
地上の車両と機甲戦力が使えない以上AT-ATを1台でも撃破するのは至難の業だ。
しかもイオン・パルスが使えない上に展開中の各師団から戦闘団を抽出して救援に当たらせるのも時間的に難しかった。
「よくやった、ケレンとモエニアの航空戦力も再編成してそちらに回した。砲兵隊と合わせれば機甲戦力の攻勢も止まるだろう」
『であるといいのですがね……撤退作業の指揮に戻ります!』
師団長と敬礼を交わし通信は切れた。
残っているのは軌道上で未だ抵抗を続けるグリュノワール少々だけだった。
未だに主力艦を一隻も失っておらず、頑強な防衛線を維持し続けていた。
「少将、後どのくらい持たせられる」
『コルベットやらフリゲートやらは結構やられたんで防空と浸透力が怪しいですが地上の撤退完了まではなんとかしておきます』
途中で揚陸艦隊撃滅から防衛線の維持に切り替えた為トワニング大佐の機動部隊とパトロール隊も全て集め、戦闘を続けていた。
「では可能な限り地上の撤退が終わるまで防衛線を維持し続けろ。辛いだろうが踏ん張ってくれ」
『分かってます』
これでレジスタンス軍の状況は確認出来た。
ケレン市とモエニアの守備隊も撤退地点へ合流しなんとか宇宙へ上げることが出来た。
帝国艦隊は防衛線の突破に注力しているようで後方に位置する脱出路までにはまだ手が回っていなかった。
お陰でホス戦とは違い脱出した後の損害は出なかった。
「将軍、保安軍スターファイター隊と繋がった。オーリー空将が全隊を率いてファイターを脱出させる。回収の艦は”ロレーヌ”で良かったな?」
「ああ、”ロレーヌ”のハンガーベイならN-1とパイロット全員収容出来る。直ちに手配を頼む」
「ッオーガナ議長だ!」
ホロテーブルで状況を確認していた参謀の1人が室内に入ってきたレイアに気付き大声で叫んで敬礼した。
他の参謀や連絡将校達も同じように敬礼する。
ソルーナ女王は玉座から立ち上がって盟友を迎え入れた。
「皆さんの努力のお陰で多くの人々が帝国の脅威から逃れることが出来ました、ですが後もう一働きお願いします。そして皆さんも必ず脱出を」
レイアは各師団や指揮所を回って時にアドバイスを行いつつ兵士たちを鼓舞していた。
彼女は銀河内戦期も最前線で兵士達を奮い立たせ自らも部隊を率いて帝国軍と戦うような人だ。
まだ経験の浅い将校達はレイアの激励とアドバイスが本当にありがたかった。
「将軍、104号便に乗って退路の守備艦隊へ合流を。副司令官が待っています」
「本当によろしいのですか?」
ヴィアタッグ将軍はキャプテンコォロやソルーナ女王の方に判断を仰いだ。
今の肩書きは合同司令部の副司令官、そう簡単にここを離れる訳にはいかない。
「構いません、ナブーの為によく尽くしてくれました」
ソルーナ女王はヴィアタッグ将軍の両手をしっかり握り、感謝を伝えた。
キャプテンコォロも「脱出した保安軍を頼む」と幾万の部下の世話を任された。
「…了解!ベンタール!ハウバー!お前達は格納庫のシャトルで先に行け。他の参謀達は私と共に宇宙港から脱出する」
「了解!」
「直ちに!」
2人の参謀将校はすぐにタブレットや自衛用のブラスター・ピストルを手にして玉座の間を出た。
他の参謀達も仲間の保安軍の幕僚達に別れの挨拶をして徐々に玉座の間を後にし始めた。
「戻りました!!」
「急いで脱出を!!宮殿内にダーク・トルーパーが侵入しました!!恐らくシャドウ・トルーパーも!!」
前線部隊の支援から戻ってきたジェルマンとジョーレンがそれぞれ報告した。
まず報告が第一だった為かレイアに敬礼したのは数秒遅れてからだった。
「女王、貴女も脱出を。アミダラ女王の時のように生きていたら必ずチャンスはあります。我々も全力で再度奪還に臨みます」
レイアはソルーナ女王に脱出を進言した。
ソルーナ女王はレイアにとって親友であり、シンダー作戦で共に戦った戦友でもあった。
親友の命をどうにかして助けようとするのは人の常、母パドメや育ての両親から受け継いだ優しさであった。
しかしソルーナ女王は彼女の提案を断った。
「お気持ちは嬉しいけれど、私はここに残って彼らと共に抵抗活動を行うつもりです。ですからオーガナ議長、お先に」
「そんな!」
「危険です、今度という今度は命はないかも知れません」
ジェルマンとジョーレン求めに入った。
帝国の、というより親衛隊の恐ろしさは2人が誰よりも知っている。
敵である者、敵と見做した者は躊躇いなく殺す。
「女王陛下は、ナブーに1人でも市民が取り残された場合、必ず残ると仰っていました…」
2人の肩を掴みメンジス三佐が女王の覚悟を打ち明けた。
「かつてアミダラ女王が侵略の際にナブーから逃れたのは共に戦う仲間を見つける為、身柄さえ自由ならばあの方とてナブーから出たくはなかったでしょう…」
あの時のことを知っているキャプテンコォロは目線を落とした。
彼は当時保安将校候補生であり、同期の面々と共に王室保安軍の抵抗勢力に加わってゲリラ活動を続けていた。
あれから41年、再び同じことを今度は女王まで巻き込んで行わなければならないことを酷く悔やんでいた。
「ですが今は違います、我々にはレジスタンスという級共和国とは違う必ず助けてくれる仲間がいる。だから私は安心してナブーに残る人々と共にいられるのです」
「……それが責務ですか」
「きっとそうなのでしょうね、初めて侵略戦争を経験したアミダラ女王から受け継がれる責務。ならば私もこれを果たしたい」
かつてオルデランの王女だったレイアも気持ちは痛いほど分かった。
国民と共に生き、共に戦う。
それがあるべき姿だとレイアも分かっていた。
2人は静かに軽い抱擁を交わした。
「…アミダラ女王の……”
レイアはソルーナ女王にそっと耳打ちした。
ソルーナ女王も優しく「そうでしたか」と告げた。
「また会いましょう、フォースと共に在らんことを」
「ええ、そちらにも前女王方のご加護がありますように」
2人は全く別の方向へ歩き始めた。
方向は違う同じ行き先へ。
ジェルマンとジョーレンもメンジス三佐に別れを告げ、レイアの護衛についた。
ナブーは再び第三帝国の手に堕ちた、美しく平和な星に再び暗黒の時代がやってきたわけだ。
されど希望の光は失われる所かより強く輝き続けていた。
「キャプテンと幕僚の方々も急いで武装を、市民に最後のメッセージを届けるまで守備をお願いします」
「もちろんですとも、衛兵はバリケードでドアを全部塞げ!ソルー川への脱出路さえ確保してあればそれで いい」
キャプテンコォロの命令を受けて玉座の間の保安隊員達は皆、椅子や机など手当たり次第に動かせるものを用いてバリケードを作り始めた。
幕僚達もブラスター・ピストルを携帯し女王の護衛に付く。
ソルーナ女王はナブーの至る都市や通信システムと繋がる回線を開き、ナブーの民へ向けて語り始めた。
ナブーの歴史に残るスピーチだ。
『この放送を聞く全てのナブーの民へ、女王ソーシャ・ソルーナから言葉を送ります』
放送はシードだけでなくケレン市やモエニア市、海軍本部や新天地を目指すナブーの避難民全てに届いた。
無論、市街地を制圧した親衛隊の将兵にもこの放送は届いていた。
「これはなんだ…!?」
「この通信は一体どこから…」
ジークハルトのAT-ATに集められた参謀達も皆困惑し、急いで通信元を特定するよう各部隊に命令した。
ソルーナ女王を捕らえたという報告はまだ入っていない。
逆に言えばこの通信先に女王はいる、捕えれば今後のナブー統治を楽に進められる。
「通信先は玉座の間からだそうです」
「突入隊に制圧を急がせろ、尤も録音かもしれんが」
ヴァリンヘルト大尉の報告を受けてジークハルトは命令を出しつつ頭の中では別のことを考えていた。
この放送がナブーの民へ齎す影響、”
『我々の故郷は再び侵略を受け、残念ながら故郷を守る事も、民を全て避難させることもなりませんでした』
ケレン市の避難シェルターやモエニア市の市街地にもこの放送は響いた。
『ですが希望はまだ残っています、我々が諦める必要はありません。私は王室保安軍の将兵と共にこのナブーに残り、戦いを続けます。圧政者から愛する故郷と残された人々を守る為に、やがて来たる解放軍と共に故郷に自由を齎す為に』
圧政者、それを指す人間などナブーにおいて今や1人しかいない。
軌道上で戦闘を続けるクリース大将は放送を聞いて苛立ちを覚えた。
「よくもまあ好き勝手言ってくれる…!今度その面を拝む時は死体であって欲しいものだ…!」
それは明確な殺意であり、今後のナブー統治の苛烈さを想起させるには十分だった。
『ナブーの全ての民へ、私からお願いがあります。まず我々の力不足で取り残されてしまった人々へ、どうか諦めないで日々を懸命に生き抜いてください。そして自分の命、自分の家族、大切な人の命を守ることを最優先に考えてください。あなた方の戦いはこのナブーで生き続けることにあります。どれだけ苦しく苦難が続いても生き延びて頂きたい…!』
その言葉で何人の民が頭を上げただろうか。
ソルーナ女王には分からなかったが、少しでも人々の希望になれたらばと言葉を続けた。
『そして避難に成功した人々も、あなた方は必ず故郷に戻れます、元の生活にも家にもきっと帰れます。だから新たな地でも辛抱強く力をつけてナブーで待っている人々と同じように生き延びて下さい。我々はきっと、再びナブーの下で再会出来るはずです。その為に我々は全力で抵抗を続けるつもりです』
輸送船の中で人々はソルーナ女王の声に耳を傾けた。
護衛として輸送船に張り付いているN-1スターファイターのパイロット達も同様だ。
そんな彼ら彼女らにも向けてソルーナ女王は語りかけた。
『最後に王室保安軍の将兵の方々へ、あなた方がナブーにとっての最後の希望です。私は常にあなた方と共に戦う覚悟です、必ずナブーを取り戻しましょう。この戦いが我々ナブーの民にとって最後の戦いとなるようあなた方の力添えをお願いします』
N-1Tアドバンスト・スターファイターのコックピットでオーリー空将はナブーに向けて敬礼した。
多くのパイロット達を連れてナブーを脱出するのはこれで2回目だ。
だがあの時勝ったように次も勝ってナブーを解放してみせるとオーリー空将は誓った。
『我々ナブーの民は今までの歴史にない分断の時にいます、だからこそ次に再会出来る日を待ちましょう。私達はきっと再びこのナブーで再会出来るはずです』
全てのナブーの人々が様々な思いを抱きながら放送を最後まで聞いていた。
放送は保安隊員達の踏ん張りによって最後まで流され続けた。
そして最後に女王は一言付け加えた。
『皆さん、ナブーでまた会いましょう』
第四次ナブーの戦いは第三帝国親衛隊の勝利に終わった。
各都市を制圧して退路を断ち、事前の破壊工作によって首都への強襲の威力を最大限まで高めた。
第9FF装甲擲弾兵軍団も第31FF義勇擲弾兵団も損害は微々たるものでレジスタンス軍の逆襲部隊が来ても問題なく対処出来た。
尤もレジスタンス軍はそのようなことはせずにすぐ展開した師団を撤兵させたのだが。
首都シードの制圧を聞いた親衛隊はすぐにサラストから増援を展開し占領をより万全なものにした。
ジークハルトは最小限の犠牲で最大の戦果を手にした。
彼はクリース大将やグリアフ准将からナブー解放の立役者だと持ち上げられ、褒め称えられた。
だが総楽観視出来るものでもなかった。
あれだけの通信妨害と特殊作戦を行ったのにも関わらず女王とレジスタンス軍の主力を取り逃した、この作戦は飛んだ失敗だとジークハルトは内心で自分を蔑んでいた。
指揮官同士屢々の歓談の後、ジークハルトは宮殿内に設置された臨時の軍政司令部に顔を出した。
軍政官はクリース大将が務め、シードの担当はグリアフ准将となっていた。
他の大都市も第31FF義勇擲弾兵団の将官クラスが任命され、1年前のナブーへと戻りつつあった。
しかしあの放送後にソルーナ女王も他の指揮官や幕僚達も見つからなかった為王室保安軍の抵抗はこれからも続くと思われる。
鎮圧の為に次々と苛烈な手法が用いられることもあるだろう。
「流石閣下です、こんな短期間にナブーを制圧してしまうなんて」
「それは持ち上げ過ぎだ大尉、1年掛けた訓練の賜物というのもある」
尤も一番の理由はレジスタンス軍もレジスタンス側の王室保安軍もナブーをすんなり明け渡してくれたことだが。
レジスタンス軍で最後まで抵抗していたのは軌道上の宇宙艦隊くらいでその艦隊も放送の後に姿を消した。
ハナからナブーを見捨てるつもりだったのだろうか、いやそれは流石にない。
彼らが新共和国のままであったならあり得た話だが今はもう違う。
その証拠にどこの都市もナブー市民の国外避難が始まっており、ナブーを見捨てるには妙な点が多過ぎた。
「…ナブー市民の避難計画はまだ詳細が明かされていないんだったな」
ジークハルトはふとヴァリンヘルト大尉に尋ねた。
「ええ、現場指揮官は殆どが戦死してパイロット達は何も知らないと言っていました」
「…そうか」
「何か問題でも?」
ジークハルトは副官に話そうか考えたものの彼に無理に仕事を増やすのは酷だと思い「時が来たら話す」と断った。
今後の聞き取りや調査で何かしらの確証が出てくるかもしれない。
彼が気になっていたことは何処へ逃げたかではなく、何故”
ナブー攻略作戦はギリギリまで伏せられており、極秘事項という扱いだった。
そうでなければナブーに対する奇襲作戦の効力が薄れてしまう。
しかしナブーには守備のレジスタンス艦隊が帝国艦隊のジャンプポイントに配備され、地上では住民の避難が進められていた。
まるで我々が来ることを知っていたかのような判断だ。
では仮に親衛隊の襲来を知っていたとしよう、となれば”
レジスタンスの情報機関が優秀だったか或いは”
一体何処からという問いの前にジークハルトの思考力はヴァリンヘルト大尉の声によって集中を乱された。
「えぇっ!?それって……本当ですか!?」
「どうした大尉、急に大声出して」
「閣下!これを!」
ヴァリンヘルト大尉は急いでタブレットを操作しあるホロニュースを出した。
どうやらこのホロニュースは何処かの議会の様子を生中継しているようだった。
「これは…大セスウェナ連邦の上院か、で盟主のヘルムート・ターキン」
「今音声出します!!」
タブレットの音声機能を起動しホロニュースを音付きで見せてきた。
ジークハルトにとっても驚愕のニュースだ。
ヘルムートが議会で宣誓する内容は”
『我々はここに、第三帝国主導の統一条約脱退を宣言する。もし第三帝国が変革を迎えるのであれば、その時は同じ”
10ABY、シス・エターナル戦役は終結しレジスタンス軍は大いに弱体化、当初は第三帝国優勢かに見えた。
しかしこの年は第三帝国にとって破滅の序章となる厄年であった。
大セスウェナ連邦の離反もその1つでしかなかった。
つづく
お久しぶりかつメリクリでございます!!
ちなみにわしはしばらく従業員にパワハラをする歯医者に行っていましたよ!!最悪ですよ!!
そんな歯医者に当たらぬよう皆さんも健康には気をつけて来年も頑張っていきましょう
そいでは