【P5R】主すみ詰め合わせ【二次創作】   作:KOMOREBI

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※Vol.6はR-18作品のためpixivに投稿しました。URLは後書きからどぞ※

 数ヶ月ぶりに失礼します。私生活が忙しく中々書けていませんでした。


 本作品には以下の注意事項がございます。

・ATLAS様の「ペルソナ5ザ・ロイヤル」の二次創作作品です

・無印版ではなく、完全版の方のその後ですので、本編のネタバレが含まれています

・よく言えばスピーディー、悪く言えば展開が早すぎる

・稚拙な文章

 以上のことが許せる方はどうぞ楽しんでいってください。


 この作品はフィクションです。実在する人物、団体、事象、宗教とは一切関係ありません。


Vol.7 Nightmare

 街の喧騒も止んで、そこは都会とは思えないほど自然の音に包まれていた。夜風が木々を擽り、それに照れるように枯葉が笑う。

 こんな時間に活動しているのは猫か(とんび)くらいだろう。暗闇の中で真っ黒な何かがひと鳴きして、塀を飛び降りた。

 誰かが(すす)り泣く音が、聞こえる。

 ごそごそと布団が音をあげる。

 

 暗闇に包まれたマンションの一室。

 音源はそこだった。

 少し大きめのベッドに、2つの影が寄り添うように並んで寝ている。

 片方の影がまた動いて、もう片方の影と少し離れた。

 

 人の温もりが小さくなって、布団越しに振動が伝わり、蓮はすみれの啜り泣く声で目を覚ました。

 睡魔が襲ってくる中なんとか瞼をこじ開け、真っ暗な中壁掛け時計を見る。

 やっと目が慣れてきて、時計が示していたのは真夜中の2時過ぎだった。蓮は自分が見ている景色が果たして現実なのか、夢の中なのか区別がつかなかった。

 徐に寝返りを打ってすみれの方を向く。

 

 曖昧な意識の中でなんとか口を開き「すみれ」と名を呼んだ―――。つもりだったが、声は出なかった。

 起きたばかりだからだろうか。

 もう一度かすれた声ですみれの名を呼ぶ。

「……れ、すみれ…………」

 

「すみれ……? どうしたの?」

 蓮が声をかけ、すみれの肩がぴくっと動くのが見えた。

 その後すぐにすすり泣く声も小さくなり、動かなくなったすみれの背中を見て、蓮は再び声をかけた。

「すみれ?」

 

 また肩が少しだけ動いて、すみれが寝返りを打つようにして蓮の方を向いた。

「あ…………、蓮くん……。ごめんなさい……起こしちゃい、ました……よね…………?」

 目に溜まった少しの涙を手で拭いつつ、聞こえるか聞こえないか程度の小さな声で応える。

 声は震えていた。

 今考えてみれば先程まで聞こえていた啜り泣く声も、何かに怯えているような、そんな声だった。

 

 ベッドの横のスタンドライトの紐を引っ張り、小さな灯りをともす。

 眩しそうにしぱしぱと瞬きをする。

 蓮は眠そうな目をしたまま、静かな声で囁くように尋ねた。

「どうしたの、なんかあった?」

 蓮にそう言われ、すみれは僅かに充血したその目をふと逸らした。

「あ……、えっ、と…………」

 口篭るすみれに、蓮は優しい表情を向けた。

 しばらく返事を待つとすみれはまたつぶらな瞳に薄く涙を浮かべた。

 

 目に溜まった涙を拭おうとした時、すみれは眼前を暗闇で覆われた。

 驚く暇もなくすぐに包み込むようにして蓮の手がすみれの頭に触れた。

「あ…………れ、んくん……」

 顔を上げて蓮の顔を見ようとするすみれを押し戻すように、蓮は少し乱暴に、だが確かに優しくすみれを愛でた。

「言いたくなかったら、言わなくていいよ」

 蓮がぽつりと呟いた。

 

「何があったのかは知らないけど、俺はここにいる。でも、すみれが辛いなら、俺にも共有させて欲しい」

 腕の中で静かに泣きじゃくるすみれを蓮はただそれ以外何も言わずにぎゅっと抱き締めた。

「ひっ……うぅ、はぁ……ひっく…………」

 呻くような鳴き声をあげて、蓮の胸に顔を押し付ける。

 蓮に縋るように服を掴み、すみれは少しの間そこで小さく泣き続けた。

 

「……はぁ……はぁ、ぐすっ…………はぁ……」

 肩を上下させながら時折鼻をすするすみれの背中をさする。

 すみれの頭をぽんぽんと優しく叩き、呟くように言った。

「…………落ち着いた……?」

 遠くから何かのサイレンの音やバイクの走る音が聞こえる。

 とても静かで、すみれの鳴き声も含めて全ての音がはっきり聞こえる不思議な心地だった。

 どれくらいたっただろうか、すみれが息を整えて、口を開くまで。

 数秒のはずだが、それは何故かとても長く、酷く不安に感じられた。

 

「…………はい……ありがとう、ございます……」

 そう言って鼻をすする。

 ふっと顔をあげたすみれの目に溜まっていた涙を、蓮は袖で優しく拭った。

 ちょっとごめん、と囁いてベッドの外に手を伸ばす。

 箱ティッシュから何枚か手に取り、すみれに手渡す。

「ん、鼻かみな」

「あ……ありがとうございます…………」

 蓮からティッシュを受け取り、鼻をかんだ。

 

 使い終わったティッシュをゴミ箱に捨て、また布団の中に、蓮のすぐ隣に少し照れくさそうにして潜り込む。

 しばらく何も言わずにただ見つめあって、そして少し目をそらして考える素振りを見せた。

 何か決心したように視線を蓮の方に戻して、ゆっくりと口を開いた。

「…………夢を……怖い夢を、見たんです……」

「夢…………?」

「はい……」

「そっか、怖かったんだな……おいで」

 

 そう言って蓮は両手を小さく広げた。

 が、すみれはもじもじと体を動かせて中々腕の中に入ろうとしない。

 蓮は痺れを切らしてすみれを抱き寄せた。

「…………先輩、好きです……、絶対…………は、離れたく、ないです……」

 恐る恐る腕を蓮の背中にまわし、今が夜でなければ聞こえないほど小さな小さな声でそう言った。

 すみれは時々、蓮のことを「先輩」と、昔の呼び方で呼ぶことがある。

 それは大抵、すみれが心のどこかで不安を感じているときだった。

 それに加え、普段は恥ずかしがってあまり直接言わないことをすみれが口にしたのを聞いて、蓮は驚きつつも慰めるような口調で、すぐに同じように言葉を送った。

「俺も、大好きだ、ずっと一緒にいたい」

 

「……先輩に、突然…………その、別れて、欲しいって……言われる夢を見たんです…………」

 本当は声に出すことすら辛いはずなのに、言うことで蓮の思いが揺らいでしまうかもしれないと思ったはずなのに、複雑な感情のまま言葉が口をついて出てしまった。

 蓮は黙ってすみれの話を聞いていた。

 ()()()()()、思い出したくもない夢のことを事細かに蓮に話していた。

 話をしながら、段々と声が震えていくのに自分でも気がついた。

 蓮は気づいているだろうか。

 顔は見えない。下を向いて、ただ何も考えずに喋っているから。

 思い出すのが苦しくて、苦しいのに、やめられなくて、気づいた時にはすみれは静かに泪を流していた。

 

 蓮は静かに、何言わず、すみれの話が終わるのを待っていた。

 腕の中で嗚咽混じりに話をするすみれを抱きしめたまま、時々背中をさすったり、頭を撫でたりとすみれを少しでも安心させようと尽くしていた。

「…………ごめん、すみれ……」

 すみれの話が終わって、蓮が申し訳なさそうにそう呟いた。

「せんぱ、い……どうして、謝るんですか?」

 目に泪を溜めたまま、困惑と悲しみの入り混じったような表情を浮かべる。

「……だって、すみれがそんなに夢を見たのは、俺が、不安にさせちゃったから、じゃないのか…………?」

 言葉を探すすみれをそよに、蓮は続けた。

「俺が最近忙しくて、すみれとの時間、なかなか取れなくて、自分のことでいっぱいいっぱいになって、ごめん、俺がしっかりしてないせいで…………」

 

 そこまで言って、蓮は衝撃で話すのをやめた。

「すみれ……?」

 突然抱きついてきたすみれは、蓮の胸に顔を埋め少しだけ震えていた。

「せんぱいの……、先輩のせいじゃないですっ!!」

 蓮をより強く抱きしめて、声を荒らげる。

「確かに、確かに先輩は、最近忙しくて、前よりはあんまり一緒にいられないですけど! 先輩は……いつも、優しくて、私なんかには……勿体ないくらい…………、素敵な恋人ですっ……!」

 まるで何かを懇願するように、すみれは苦しそうに呻きながらそう言った。

「……だから…………、そんな、こと……言わないでください…………」

 

「…………」

 鼻をすすりながら、嗚咽混じりにそう告げるすみれに蓮は一瞬言葉を失った。

「……うん、ごめんすみれ…………。…………俺も、さ、たまに、不安になるんだ。さっき言ったみたいに、最近は二人の時間も減ってて、すみれに愛想つかされないかって」

 顔をあげ、すみれは蓮の顔を静かに見つめていた。

「私も……多分、同じです。大好きなのに、心のどこかでそんな心配してたのかもしれないです…………」

 火照る顔を布団で少し隠しながらすみれはそう告げた。

 うるさいほどにバクバクとなる心臓音が、蓮に聞こえてしまわないかと、ふと不安になる。

 

「すみれ、大好きだ」

 穏やかな表情を浮かべて蓮がそう言う。

「私も、大好きです。…………その、今日、は……このまま、寝てもいいですか………………?」

 逃がさないとでも言うかのようにすみれは蓮に抱きつく腕の力を強めた。

 そんなすみれが堪らないほどに愛おしく、蓮は顔が勝手にニヤけるのを何とか誤魔化しながら応えた。

「うん。今日だけじゃなくても……すみれが不安な時は、いつでも大歓迎」

 蓮の言葉を聞き、すみれは嬉しそうに蓮の胸に頬擦りをした。

 先程とは打って変わり、夜の不気味だった静けさは2人をあたたかな夢へと導くとても心地よいものだった。




次回の投稿は期待しないでください。
投稿する気はありますができるかは分かりません。


Vol.6(R-18)→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16008360


地獄の女神は笑う→https://syosetu.org/novel/253693/

Twitter→https://twitter.com/Yusei_KOMOREBI
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