Muv-Luv change the Alternative ~advent of crimson glint~   作:傍観者改め、介入者

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祝! マブラヴオルタ1話放送!


まさかあの人にスポットがあてられるとは。

TDA、そして今放送されているアニメでも必ず出番のある彼女ですね。


北陸の戦いは、この年代の二次創作では避けては通れない


第十一話 痛みの先に(前編)

多くの光線属種を狩り尽くしたアスランの奮闘を知る帝国軍、斯衛軍は有利な戦いを続けていた。

 

絶望的な戦力差であるにもかかわらず、連邦の英傑が駆るフリーダム、ジャスティスの獅子奮迅の活躍により、彼らの損耗率は限りなく抑えられていたのだ。 

 

陸軍の支援砲撃を任務とする機甲部隊は、迎撃率がゼロの戦場を経験したことがなかった。 

 

「ううむ、重金属雲が思ったよりも発生していないな。」

 

とある戦車の曹長が愚痴る。もしこれで光線属種が現れたらと思うと、不安に思っているのだろう。

 

「しかし、奴らを先に英雄殿が叩いてくれているおかげで、損耗は大分抑えられている。まさかの九州が防衛に成功できる希望も、あるかもしれない」 

 

「やってやる!! やってやるぞ!! 面で砲撃するんだ!! 面だ! 面で叩くんだ!!」

 

機甲部隊の士気は高い。ある意味気持ちよく自分たちの仕事が光線属種に邪魔をされていないのだ。サブプランは達成できそうにないが、メインプランに支障があるどころではなく、順調そのものである。

 

突撃級の攻撃もこの機甲部隊の勇戦により、前進を阻まれ続けており、戦術機動部隊による空からの蹂躙が迫る。

 

「英雄たちがくれたこの絶対的有利!! 絶対に無駄にするな!! ランサーズ、続けッ!!」

 

了解ッ!!!!

 

忠道が所属する中隊は確実に敵総数を叩いており、スコアも恐らく今までのそれを更新するだろう。レーザーの心配がない戦域という極めて幸運な戦場であることも作用しているためだ。 

 

「確実に敵を撃破する。突出するなよ、ランサー5、7」

 

「了解、新人はまず生還することを前提に動きます。ひよっこである自覚はあるので」

 

「新人の田上ちゃんはわかるけど、なんでウチまでぇぇぇぇ!!! ひどいで、大尉!」

 

突撃前衛気味であるランサー7は、大崎大尉に事前注意を受けて憤慨する。

 

「前に暴れまわって片腕をポシャったのは忘れないぞ。お前はもう少し、刀の使い方を知るべきだ」

 

そんな指南をしつつ、突出しそうになっていた別のメンバーのフォローに入る大崎大尉。囲まれて各個撃破される同僚の姿は嫌と言うほど目にしてきた。 

 

「総員傾注! 鶴翼の陣を敷き、福岡海岸沿いの防衛ラインまで後退。英雄殿が一時後退するわ。我々の仕事は疲労困憊な彼のエスコートをすることよ、いいわね?」 

 

 

了解ッ!!

 

 

 

こうして、第四陣までのBETA群はその物量でブイブイ言わせる戦法が通用せず、アスランの常識外ともいえる後衛各個撃破の大戦果によって、帝国本土上陸を阻止されることとなった。

 

 

上陸阻止において、ランサーズも機甲部隊や他部隊と同様に勇戦し、アスランの帰還とともに補給を受ける手筈となっている。それを受けられる幸運がいつまでも続くとは限らない。九州防衛に携わる軍人たちは、思わぬ大戦果でも気を緩めることはしないのだ。

 

 

だが、此度の奴らの動きは何かが違う。鉄源ハイヴの怪物たちの総数が枯渇寸前になることも厭わず、他のハイヴの総数が減少することも厭わず、帝都侵略を目論んでいるのだ。

 

九州地方の防衛の心臓ともいえる鹿児島市中央地区に位置する、旧行政区画に構える鹿児島本部では、さらなる侵略を行う第五陣の姿を観測したのだ。

 

「バカなっ!! こんな馬鹿なことがあってたまるか!!! 我々は100万を超える奴らを掃討した!! 我々は、かつてのユーラシアの戦闘よりも多くの奴らを斃したのだ!! なのに、なんだこれは、なんなのだこれは!!!」

 

司令官が叫ぶ。叫ばずにはいられない。なぜこんなことになっているのだと。それは司令部にいた者たちも同じ気持ちだろう。実際100万という数字は誇張表現ではなく、むしろそれ以降は計測できなかったので、九州はその数を上回る軍勢を殲滅することが出来たと言える。

 

計測限界を超えているのだ。無数の軍勢を斃した、としか言えず、それだけの奮闘の先にある敵の逐次投入という言葉では表せない絶望が、再び帝国に本土に迫るというのだ。これは、あまりにも……‥

 

 

————————我が国に何があるというのだ。欧州では、他の国では、これほど諦めの悪い行動をとらなかったはずだ。なのになぜ、なぜ我々の帝国だけが…‥ッ

 

 

キラたちが何度も軍団規模のBETAを殲滅し、普通ならもう対馬の段階で戦闘は終わっているはずなのだ。甲20号から出現する奴らだけなら、もう日本は勝利しているはずなのだ。

 

そう、普通なら日本帝国は、キラとアスランは、帝国は、防衛に成功しているはずだったのだ。

 

希望的計算な面もあるが、帝国海軍の観測によれば、キラ・ヤマト中佐、アスラン・ザラ大佐は既に70万ものBETAを少なくとも打倒している。計測限界の物量が襲い掛かる戦場で、何を言っているのかといわれてしまうかもしれないが、彼らはそれだけの偉業を成し遂げたのだ。

 

 

なのに、まだ戦闘は続くのだ。おかしい、こんなことは許されない。

 

 

「BETA第五陣…‥ッ!! こちらへの侵攻ルートとは別に、山口への広範囲での上陸経路をたどっています!! 続く、甲14号、甲16号より大規模進軍を観測!!! 計測限界超!! なんて数だ、これでは!! 経路は、日本海を絨毯浸透!?」 

 

複数の、鉄源ハイヴとその付近だけではない。再三帝国軍人の気持ちを代弁するようだが、なぜこんな戦術をとるのか、皆目見当が不明で、憤りを隠せないのは明らかだ。

 

今までは、最も近いハイヴの総数が襲い掛かってくるだけだった。だが、これは今までにないケースだ。この数十年で見たことのないケースを前に、彼らは憤りを超える絶望を感じていた。

 

だが、その理由は酷く単純だった。 

 

人類は思いもつかないだろう。日本帝国は空前の防衛を達成している。今現在、彼らは多くの怪物を斃し、ハイヴ一つの総数に相当する個体数を撃破している。そんなことは、”BETA”も経験していなかったのだ。

 

足りないのなら、よそから持ってくればいい。彼らは手を回した。足りないのなら他所から持ってくればいい。

 

そう、言うなれば、日本帝国は、地球連邦はやり過ぎたのだ。

 

あまりにも多くのBETAを”破壊”した、し過ぎてしまった。 

 

その報告は、戦艦ニカーヤ艦内でも知るところとなった。

 

「敵の侵略が本格的になってきたということです。少し頭のいい指揮官なら、考えることですが、なぜ今になって…‥」

マーチン・ダコスタ艦長は、呻くようにグラフィック上に映る地図を覆い尽くす敵の大群を見て本音を吐露する。

 

「——————これはもう、ダメだね。海を渡らせた時点で、僕らの負けが確定する」

 

さすがのキラも、ここでさらに数百万以上のアンコールはまずいと考えていた。彼らが落とされるというのではない。これでは帝国が持たないのだ。

 

九州本土だけを守り通せばいいだけではない。中国地方の山陰を広範囲に絨毯上陸されれば、キラとアスランの遊撃も追いつかない。連邦政府もBETAのこの行動に対応するまでに時間がかかる。

 

ある程度の指揮権を持っているアスランが、地上の第七艦隊主力を動かしているが、おそらく中国地方の防衛には間に合わない。

 

———————帝国も虎の子のガルム中隊を、帝都防衛を厳命されている彼らを動かすことに、難色を示すだろう。

 

どうする、アスランは考えるが、やはりそう簡単に解決策は浮かばない。

 

「幸い、まだ甲14号と甲16号を出発した敵の大群はまだ内陸の深くに位置している。敵の戦力の逐次投入に助けられている感はあるが、深刻な状況であることに、変わりはない」

 

戦力が足りない。それが純然たる事実だった。

 

「——————この手は考えたくなかったけど、仕方ない。僕が大陸の海岸沿いに展開し、その撃ち漏らしを、アスランが叩くしかない」 

 

単独での無数の軍団規模BETA群を最小エレメントで撃破する。要するに、やられる前にやるというやつだ。

 

「そのようだな。しかし、大丈夫なのかキラ? 甲14号と16号と言えば、オリジナルハイヴも近い場所だ。相当に育っているハイヴがいる以上、重光線属種の存在は確定と言っていい」

 

 

「その光線属種を叩かないと、帝国は陥落するよ。僕の予想だけど、あまりにも斃され過ぎたから、たくさんあれば大丈夫だろうという敵の魂胆が見えるね」

 

だが、彼らの不安をよそに、甲14号と甲16号を出発したBETA群はすぐ近くのハイヴに転進し、帝国への進路をとることがなかった。

 

鉄源ハイヴ、その近辺に位置する個体群も、徐々にその総数が消えていくのだ。どこにいったのか、どこに向かうのか。九州は緊張状態が続く。

 

 

数日後の侵攻でも、総数に絶望的な数値を感じさせず、他の部隊と連携して個体を撃破していくランサーズ。連邦軍衛士のキラとアスランは、前半での奮闘が祟り、ダウン状態である。 

 

特にキラは、甲14号と16号の進路が帝国に向かないことで緊張の糸が切れてしまい、貧血のような状態に陥っていたのだ。無理もない話だ。彼はもう数十万を超える大軍と戦っている。

 

 

 

まるで嵐の前の静けさの様。敵の抵抗が弱まったことで、逆に帝国軍、斯衛軍は警戒を強めていた。

 

 

 

 

 

「———————どういうことでしょうか。敵の抵抗が弱い‥‥‥?」

ランサー5の田上少尉は、どうしようもない違和感と胸騒ぎを抑えきれない。

 

「なになに? 心配しているの? 本当に今回の新人は頼りになるというか、安定感が違うね!」

 

けらけら笑う女性衛士に茶化されるが、どうにもその不安が消えないのだ。

 

「ランサー5の言う通りだ。奴らに我々の常識は通用しない。油断するな!」 

 

その時だった。地響きのようなうねりが、海の向こう側から聞こえるのだ。聞いたことがない、BETAが進軍する、突撃級の圧迫感とは別の、何か巨大な、巨大な何かが蠢くような、強烈なプレッシャーを忠道は感じていた。

 

 

————これは、この感覚、は…‥

 

 

はっきりと言語にすることができない。しかし、何かがいる。何かがあの海の中にいる。それも、深い深い場所に、何かが居座っている、迫っている。

 

音源も近づいてくる。だが、四方八方から振動計測が反応しており、測定が困難な状態にあり、

 

 

 

 

 

それが最初の致命傷となった。

 

 

 

 

 

ぐあWぁあぁぁぁぁぁ!!!!!

 

 

 

 

 

 

大地が爆発するような音と共に、怪物が姿を現したのだ。忠道の近くにいた違う部隊の戦術機、瑞鶴が殺到する怪物に飲み込まれたのだ。

 

 

たちまち装甲を突撃級に貫かれ、その破片が戦車級や要撃級に齧られていく。ああやって奴らに奪われるのかと、忠道は衝撃を受けていた。 

 

「地中侵攻!? それにこの速度は何なの!?」

 

 

 

「狼狽えるな!! 各個撃破に移れ!! 湧き出る奴らをこれ以上自由にさせるな!!」

 

 

だが、至る所から突然降って湧いて出た様に奴らが海岸から次々と姿を現していくのだ。機甲部隊は最初の威勢の良さはどこへやら、後退しながら砲撃を続けることしかできない。

 

 

「撃て、撃て!! うてぇェェェェ!!! 絶対に近づけさせるな!!」

 

 

「隊長ッ!! 隊長ッ!! あぁぁぁぁぁぁ、いてぇぇぇぇえ!!! いてぇぇぇよ!!! 腕がぁァァァぁあ、き゛っ゛゛がっあぁ゛ッ゛!!!

 

 

「小林ィィィィ!!! くそっ、化けッ!?あがヵぁ゛がぁ゛ぁがあぁ!!!

 

 

次々と潰されていく機甲部隊。彼らがいなければ支援砲撃は望めない。何としても救援をしなければならない。

 

 

「ランサー1より!! ランサー3,4、我に続け!! 機甲部隊を食われるわけにはいかないわ!!!」

 

 

「「了解っ!!」」

 

 

「ランサー2よりランサー1、前に出過ぎだ! 中隊全体を動かすんだ! 生半可な戦力の分断は、各個撃破されるリスクが増すぞ!!」

 

大崎は長年の勘から、中隊を分けることの危険性を指摘する。この乱戦の状態で、火力集中による部隊の突破能力を弱体化させるのは、リスクがでかすぎる。

 

「ダメよ!! 今機甲部隊を失っては、今後の防衛にもかなり響くわ!! 貴方だから信頼しているの! お願いっ!!」

 

「くっ、危ないと思ったら部隊を下がらせろ! こちらも可能な限り支援を行う! 残存のランサーズは、先行する3機を支援しろ! ランサー5! ランサー6のフォローを!!!」

 

戦場は前半の楽勝ムードなど消し飛んでいる。上陸を許し、福岡沿岸部は激戦地区へと変貌している。油断も、ベテランも、新人も関係ない。死ぬ奴から死ぬ。そんな戦場だった。

 

 

 

あぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!!

 

 

 

ついに、ランサーズの誰かがやられた。ランサー8だった。側面からとびかかった戦車級を両断したはいいが、突撃級の突進をまともに食らい、機体が爆発とともに大破。恐らく即死だっただろう。

 

 

 

「尚子おぉぉぉ!!!」

 

 

「ダメッ、前を見てランサー10!!」

 

 

 

「えっ、きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

乱戦での同僚の死、視野が瞬間的に狭くなる数秒間の致命的な範囲の縮小。経験の浅い新兵、若手衛士にみられるケースだった。

 

突撃級の勢いは、思ったよりも速い。だからこそ、彼らの動きを油断しては、動きを注視することを怠ってはならない。

 

 

 

 

 

なぜなら———————

 

 

 

 

 

 

 

「機体が——————動かない———!?」

 

突撃による衝撃で、フレームが歪んでしまったのだろう。機体が上手く立ち上がらない。そしてそれを許すわけがないのが、奴らだ。

 

赤い大群が、ランサー10に迫る。その未来は、もはや口にすることすら悍ましいそれだった。奴らは当然の如く彼女の機体に群がる。そして嫌な音を立てながら、搾取が始まるのだ。 

 

 

「機体から—————音がッ!! 助けてッ!! 助けてランサー2ッ“!ッ”!!!」

 

「待ってろ!! すぐに助けに行く!! くそっ、藤田少尉から離れろ!!」

 

 

大崎が目を離した瞬間、彼の隣にいたランサー11が閃光の様なもので貫かれ、爆散したのだ。

 

「大尉ッ!!!」

 

ランサー11をやった光線属種のインターバルなど許さない。忠道は間髪入れずに120ミリと36ミリによる乱射で片づける。しかし、失った命は元には戻らない。

 

「そんなっ!! 光線属種!? なんで今になって!? それに、レーザークラフトもなかった!!」

 

だが、目の前のランサー10の命はまだ存在している。見捨てるわけにはいかない。忠道は取り付いている小型種をナイフで薙ぎ払い、強引に突破寸前だった管制ユニットをこじ開け、ランサー10を救出する。

 

だが、マニピュレータにしがみつく彼女を抱えたまま、四方を小型種に包囲されている。このままでは碌な抵抗も出来ずにジリ貧の状況。

 

 

それでも、ここには彼らがいるのだ。

 

 

「救出完了!! それに、あの上空の船は—————ッ!!」

 

「フラガ家ってのは何でもできるの!? こんな戦場でよく——————」

 

ここでフラガ家の輸送艦が急行。光線属種の攻撃を物ともせず、戦場にやってきたのだ。

 

「そこの嬢ちゃんを寄こしな!! こっちでめんどうみてやる!!」

 

機械化歩兵部隊が輸送艦から出撃し、忠道をサポートする。その間にランサー10を輸送艦に引き渡し、これでランサーズの”全滅”はなくなった。

 

「あ、ありがとう、ランサー5‥‥」

 

「ランサー1よりランサー10! 少し早いが、先に行け。命あっての物種だ。その悪運、無駄にしないで!」

 

輸送艦は他の戦場でも戦闘不能となった友軍のサポート、救出を行うことが主任務となっていた。彼らは民間人の疎開活動とは別のグループ。こうやって戦士の命を救う箱舟となっている。

 

ただ、彼らに感謝するばかりではいられない。続く増援が九州に迫っているのだ。大崎大尉がここで一つある秘策を断行する。

 

「突撃級の足を狙え!! 出来ないものは侵攻ルートの地面を攻撃しろ!!」

 

 

「了解っ!!」

 

大崎に続く忠道。彼の考えが決して自暴自棄になったわけではないことぐらいわかる。

 

 

—————見えるっ、そこだっ!!

 

 

短連射の如く、突撃級の足を狙う忠道。この極限に追い込まれた状態で、彼の力量は引っ張られ続けていた。そしてそれは、突撃級の動きを予見するほどに上がっていた。

 

 

その攻撃により、突撃級は大地をかける能力を失い、横転。無様に胴体を動かし、無力化される。大崎の方も、銃撃で掘った穴で突撃級のバランスを崩し、余裕をもって移動能力を屠った。

 

 

だが大崎の狙いは前方の突撃級ではなく、後方から殺到する存在だ。

 

「————————なるほど、これなら弾薬をばら撒くよりも効率的ですね」 

 

前方の突撃級に衝突し、急停止する突撃級が、さらに後続の突撃級に後方の急所を潰され、同士討ちのような大クラッシュ事故が起きたのだ。人類の文明の中で言う、玉突き事故のかなり規模のでかい惨状の完成である。

 

「無力化した突撃級の陰に隠れろ!! 奴らは生きている個体を誤射しない!! 06、そいつは死んでいる個体だ! 勘違いするな!!」

 

 

「りょ、りょうかい!!」

 

 

突撃級の突進をほぼ無力化したランサーズの面々は大崎の機転で難を逃れたことで、威勢のいい声が隊員の中から出始める。

 

 

 

「さっすが大尉!! 頼りになるゥゥゥ!!」

 

 

 

「それに新入りの方も凄くないっ?」

 

 

 

同僚の中隊たちは大崎大尉の直感と、新人の力量に驚きつつも、反撃に打って出る。というより、彼女ら以外の部隊指揮系統が不安定なため、やるしかない。

 

 

「陣形を立て直せ!! 機甲部隊の後退、無事終わりそうよ、すぐそちらに合流するわ!」

 

ランサー1と先行した2機も無事機甲部隊の撤退を支援し、その役目を終えようとしていた。

 

「森島大尉! 急いでっ!! 機甲部隊の後退が完了した今、これ以上の突出は、中隊の孤立と全滅の危険性があります!!」

 

ランサー7がランサー1と、追従したランサー3,4に対し、合流するよう叫ぶのだ。海岸沿いでの防衛はもはや困難な状況下であり、後退は致し方ない。

 

「ええ。長居は無用ね‥‥‥現時点でランサーズは福岡海岸での迎撃行動を破棄!! 福岡市中枢まで後退し、他部隊と合流! 我に続け! 各自、合流後に残弾は確認しておくように!」

 

そして、ランサーズの後退と示し合わせるように、先ほど撤退した機甲部隊、日本海側に展開していた海軍が支援砲撃を行った。ランサーズを追撃する怪物たちは思わぬ方向からの攻撃で駆逐されていき、光線属種はその習性に従い、AL弾を迎撃していく。これにより、重金属雲が先ほどまで低下していたが、濃度が上昇していくのだ。

 

 

 

 

 

だが、致命的な一撃であればその一つだけで十分なのだ。

 

 

 

 

 

「レーザー警報!? いけないっ、高度を下げて、ランサー12!!」

 

 

 

「大尉、あっ…‥‥」

 

 

 

一筋の閃光が管制ユニットを貫き、線香花火のように火花を散らした。浮力を失った彼女の瑞鶴は、地面へと墜落し、大爆発を起こしてしまった。恐らく、悲鳴も上げる間もなかったのだろう。

 

 

 

「江藤少尉…‥ッ、そんなっ‥‥‥」

 

 

 

反転し、光線属種を空中跳躍の状態で狙撃した忠道は、今更奴らを仕留めたところで意味はないと歯噛みする。何をしていても、何をしていなくても、最善を行っても、やはり命が終わる。これが怪物どもとの戦場であるのかと現実を突きつけられる。

 

 

ついに、善戦を続けていた九州に派遣された日本帝国軍は、BETAの福岡上陸と、奴らの蹂躙を許すこととなった。連邦の英傑二人が疲労困憊状態で、出撃困難な場合、予想できたことではある。

 

その後もランサーズ中隊は戦闘を続行するが、息を吹き返したBETAの後衛群が本格的に進出。要塞級、光線属種出現の報告もあり、高度制限が敷かれることとなった。

 

その状況を鑑みて、他部隊が光線属種排除に動き出している。その戦略の名は光線級吶喊。洋名でいうなれば、レーザーヤークト。

 

BETAの「味方を誤射しない」という性質を利用し、機動力を奪った小型種、中型種を戦線に積み上げる、橋頭堡としながら匍匐前進して後衛の光線属種に辿り着くという、一見すれば無理難題の様な作戦である。しかし成功すれば、航空戦力を投入できるため、一気に戦局を打開できる。

 

だが、防衛行動に入ったどの部隊もその余力は存在しない。しかし、誰かが、どこかの部隊がやらねば、消耗戦で敗北するのはこちらだというのはわかっているのだ。

 

 

森島大尉は皆に問うた。この劣勢となりつつある防衛戦で、戦局を打開できる一手を。

 

 

そして——————————

 

 

 

ランサーズ中隊は、発足以来初となる光線級吶喊を行うことを決意する————————————

 

 

 

 





アニメは北陸で死闘ですが、こちらは九州で死闘です。





あのアニメで出てきた生存者の人は、ネームドに昇格するのか?

思わせぶりなデザインですが、たぶんそれはないと逆張りする作者です。

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