勝己side
今、俺たち2人は数日前にデクに調べてもらった情報を元に電車で移動している。
運賃に関してはデクが出すつもりだったが、俺のお袋が出してくれた。
俺たちが年齢以上にしっかりとした性格だと知るとお袋は完全に放任主義な子育てをするようになった。
とはいえ、俺たち(主に俺だけだが)悪いことをしたらちゃんと叱ってくれるため
ただ、俺の親父やデクのお袋さんは相変わらずあわあわしていたが、お袋の「子供の方がしっかりしてる」と言ってくれたのでそれで少しは大人しくしてくれた。
俺たちが向かう場所は同じ県内にあるとはいえ、時間がかかる為、俺は断続的にイメトレをして暇潰しをしている。
ちなみにデクは俺のとなりで寝ている。
さっきまでは彼奴がコスモライブラリーと呼んでる本を読んでいたがいつの間にか寝てしまったようだ。
コスモライブラリーの中身を俺も見せてもらった事があるが見てすぐにギブアップしてしまった。
イラスト等は多少あったが、書いてある文字だか記号だか分からないものが羅列していたからだ。
例えば表紙に【繝斐き繝√Η繧ヲ】と書かれた時に中身を見たが前世では有名だった某キャラクターのイラストが書かれているのは分かったが、字は全く読めなかった。
「次は◯◯駅、◯◯駅です」
俺たちの降りる駅に着いてもデクは起きそうもないので俺がおんぶして降りる事にした。
勿論コスモライブラリーも忘れずに。
そして駅から出て、それからデクを起こしてから歩いて数十分、俺たちの秘密基地に比べて小さな日本家屋の前に来ていた。
そして俺は家に向かって一言。
「たのもー」と叫んだ。
??side
その日も俺は糞親父、エンデヴァーと特訓をしていた。
親父がナンバー1ヒーローであるオールマイトを越えれないから俺に越えさせようという考えの元でだ。
その為、母さんや俺たち兄弟にはいい迷惑でしかない。
今日もいつも通りの毎日かと思ったらいつもと違う事があった。
俺は今日という日は生涯覚えていると思える出来事に遭遇した。
エンデヴァーside
俺は今日も息子である焦凍と特訓をしていた。
すると家の門の方から「たのもー」と言う声が聞こえてきた。
戸を開けるとそこには子供にしては筋肉のある薄い金髪の子供と分厚い本を抱えた緑色の髪をした子供がいた。
年齢的に焦凍と同じくらいだろうか。
「なんのようだ?。サインならやらんぞ」
「そんなんじゃあねぇ。俺と勝負しろ」
俺と勝負だと。馬鹿馬鹿しい。
「子供の戯れ言に付き合う暇は無い。大人しく帰れ」
そう言って俺は門を閉じようとした。
だが、門を閉める事は出来なかった。
薄い金髪の子供が門に手をかけ、止めていたからだ。
「逃げんのかよ、ナンバー2ヒーロー」
ビキッという音ともに門に罅が入っていた。
「子供に負けんのが悔しいのか?」
ビキビキッと先程より大きな音を立て更に大きな罅が入る。
子供にしては大した力だ。
「良いだろう、相手をしてやる。ただし手加減はせんぞ」
「上等だ」
そして俺たちは家の中にあるトレーニングルームへ向かった。
焦凍side
突然始まった親父と俺と同年代くらいの男の子の勝負が俺たちの目の前で行われようとしていた。
「なあ、お前。止めなくて良いのかよ」
俺は親父と勝負する事になった子と一緒に来た分厚い本を抱えた子に聞いてみた。
「うん、かっちゃんが勝つ確率は92%だからね。そういえば、自己紹介がまだだったね。僕は緑谷出久、そして彼の名前は爆豪勝己って名前なんだ。よろしくね」
「あ、ああ。俺は轟焦凍。よろしく」
話してみると緑谷と爆豪は俺と同い年みたいだ。
俺たち2人が話している間に軽く準備運動が済んだのか、2人は勝負を始めていた。
けど俺はその光景を見て驚いてしまった。
なぜなら親父は、エンデヴァーは、オールマイトにランキングで負けてるとはいえ、長いことナンバー2ヒーローをやってる。
そんな親父が押されていることに。
エンデヴァーside
こんなバカな事があるだろうか。
俺は、加減無しに殴りかかった。
しかしその一撃は簡単に片手で防がれてしまい、その子供の一撃を前腕に受けていた。
子供の一撃だと甘くみていたが軽く罅が入ったような痛みが走った。
恐らく本当に罅が入っていたのだろう。
そこからは一方的だった。
まるで小さなオールマイトを相手をしているかのような感覚を感じていた。
個性の“ヘルフレイム”を用いても拳圧の一撃で掻き消されてしまう。
俺はこんなところでと思っていると後ろから焦凍の声が聞こえてきた。
「何やってんだよ、クソ親父。親父はナンバー2のヒーローなんだろ。だったらその実力ってやつを見せてくれよ」
その言葉を聞いて俺は思い出していた。
俺も嘗ては純粋にヒーローを、オールマイトを目指していた。
しかしいつの間にかオールマイトを越えれないと気づいてしまった。
周りからもオールマイトに勝てない永遠のナンバー2と言われ、母校の校訓も嫌いになっていた。
そうだ、ヒーローとは自分の為に活動しては駄目だ。
常に自分を応援してくれる
「焦凍、俺を見ていてくれ」
「見てるぞ、親父」
大事な事を思い出したからだろうか。
先程までとは比べ物にならない程の力が沸いてくる。
「爆豪勝己と言ったな。お前はその年代にしては最強クラスだろう。だから俺も全力で応えよう。プロミネンスバーン」
出久side
「やっと最後の最後で全力を見せてきたな」
かっちゃんがエンデヴァーの攻撃を受けながらそう呟いていた。
しかし、その一撃を受けて、かっちゃんは火傷こそしてはいないが倒れてしまった。
恐らく脱水症状だろう。
僕はかっちゃんに水分補給をさせてから暫くしてから帰路につくことにした。
帰りがけにエンデヴァーに「大切な事を思い出させてくれて、ありがとう」と言われてしまった。
そして帰りの電車の中でかっちゃんに尋ねられた。
「お前、エンデヴァーに何かしたか?」
「さて、どうだろうね」
僕がそう言うと軽く溜め息を吐き、かっちゃんは。
「お前がそう言うなら、深く言及はしねぇよ」
全くかっちゃんは鋭い。
僕は轟君の応援を受けたエンデヴァーの目付きが変わったタイミングでタルカジャ*1を掛けた。
それにしても今日は良い日になった。
かっちゃんは憧れの人との勝負することができた。
そして僕としては原作を改編できるかどうかの実験を試すことができた。まさに一石二鳥な1日だった。
そう想いながら僕は自宅へと帰った。