第36話
勝己side
俺は昨日、心操が帰った後にデクからエリと正式に付き合いだしたと言われた。
突然言われたので流石に俺でも驚いてしまった。
その反面やっとかと納得する俺もいたのは事実だ。
そして俺が夕飯を作っている際にデクは親にテレビ電話で彼女ができたと報告をしていた。
親父さんは寝ていたみたいだが、お袋さんは起きていたらしく、電話越しに「出久はしっかりしてるように見えるけど、抜けてるところもあるからフォローしてあげてね」って会話が聞こえてきた。
そんで今日はデクとエリは2人でお出掛けらしい。
「へえ、デートかよ」
俺がそう言ってからかってやるが。
「そんなんじゃないって」
って照れながらも否定してるが、手はしっかり恋人繋ぎをしている。
そしてそのまま2人で出掛けていった。
出久side
僕は今、エリちゃんと2人でお出掛けをしている。
「ねえ、デクお兄ちゃん。これってデートじゃないの?」
エリちゃんが僕に向かって話しかけてきた。
「デートをしても良いけど、その前に行っておきたい所があってね」
僕がそう言うとエリちゃんは首を縦に降ってくれた。
僕が目的地に到着すると。
「ここって、病院?」
「そうだよ。ここに会いたい人がいてね」
僕が受付で手筈を整えてとある病室の前に立ちノックをすると中から「どうぞ」の声を聞き中に入ると1人の老人がこちらを見てビックリしていた。
そして、エリちゃんもまたビックリした顔をしている。
そこにいたのは…。
「おじい、ちゃん…」
「壊理、なのか?」
今は無き死穢八斎會で組長と呼ばれていた男性。
エリちゃんのお爺さんだ。
壊理の祖父side
儂はつい先日まで眠っていた。
というのも実の息子当然に可愛がっていた治崎の手にかかってしまったからだ。
そして、先日眼を覚ました時に介護をしてくれていた看護婦に聞いた話では今はもう儂が継いできた死穢八斎會はもう存在しないと聞かされてしまった。
なんでも治崎が儂の孫娘を利用してとんでもないことをやらかそうとしていたらしいが、どこからか噂を聞きつけたのか1人の少年が孫娘を助け、治崎の野望を阻止してくれたそうだ。
そして、その少年が目の前にいるこの少年だという。
「治崎の事に関しては感謝しておる。しかし、それだけではないのだろう?」
儂がそう言うとその少年はその場で膝を折り、三つ指を着くと。
「緑谷出久と言います!。孫娘さんを、僕にください!!」
……。
流石に儂もビックリして思考が停止仕掛けてしまった。
しかし。
「緑谷よ」
「はい!」
「歳はいくつだ?」
「今年の7月で16になります!」
壊理よりも10歳近くも離れているのか。
死穢八斎會の組を潰すくらいだ。
実力はたいしたもんだが他はどうかと思い聞いてみる。
「お前は賢いのか?」
「様々な特許を取ってます!。また数学オリンピックで9年連続優勝してます!」
「資産は?」
「詳しいことは解りませんが少なくとも数十億はあるかと!」
確か16と言った筈たったが、どうやって稼いでいるのだろうか?。
まあ、後で調べておくとしよう。
「最後の質問をする。儂の眼を見て答えよ!」
「はい!!」
そう言うと緑谷は頭を上げる。
「壊理が結婚できる年齢までに後10年は掛かる。その間他所の女に現を抜かすことはないと誓えるか!?」
「勿論です!!」
儂は緑谷の眼を見る。
嘘偽りの無い眼をしていた。
先に眼を閉じたのは儂の方じゃった。
儂は一息吐くと。
「壊理もそれでいいのか?」
壊理に聞くと力強く首を縦に降って。
「うん、私も大好きだから!」
そして儂はまた一息吐き。
「孫娘を、壊理をよろしくな」
「はい!!」
そして2人は儂にお辞儀をして病室を後にしていった。
「本当に宜しかったんですか?」
「ああ、構わん。あの少年の眼はとても清んだ眼をしていた。あの少年なら孫娘も幸せになれると信じているよ」
儂らの会話を聞いていた看護婦に聞かれたのでそう答えた。
あの少年の眼は儂が幼き頃遊んだどのビー玉よりも透き通っていた。
儂の可愛い孫娘を頼むぞ、緑谷出久。