中立地帯の町で起こったジオンによる襲撃事件から一週間が過ぎた。
無断外出していた三人を守る為にケイのでまかせで威力偵察をしていたとなったショウ達では有ったが・・・やはり基地指令のバリサムにはそれとなく分かっていたらしく恩情と言った形で一週間の基地から外出禁止と言う処分が言い渡されたので有る。
そんな常連の三人が来ない夕方・・・CASCADEのカウンターに座って居た基地管制官のマリア=トパレス曹長は目の前で溜息をつく友人のリンを見ながら飲み干したビールジョッキを置いたのだ。
「ねえ・・・その辛気臭いの止めてくんない?」
「別に良いじゃない私の店なんだから・・・」
そう答えながらお代わりのジョッキを置くリンにまったくもう・・・とマリアは呆れた顔を浮かべた。
「ショウに会えないのは分かるけどさ・・・本来なら無断外出なんかしたら営巣入りなのよ?」
「その事はマリアから聞いてバリサムさんにも感謝してるけどそうじゃないの・・・」
「一体どうしたのよ・・・相談なら乗るわよ?」
困った顔を浮べるリンにマリアが首を傾げると・・・じゃあ聞いてくれる?とリンはこれまでの経緯を思い切って話し始めた・・・
「へえ・・・ショウが指輪をね・・・良いじゃない早く結婚したら?」
「ちょっと・・・他人事みたいに!」
「実際に他人事だしね。」
そうアハハ!と笑い出すマリアに相談する相手を間違えたかな・・・とムスっとしたリンが腕を組みだすと・・・だけどね。とマリアは急に真面目な顔を向けた。
「これは前にアメリアにも言ったけど・・・イザって言う時の事を考えるとちゃんとショウとは籍を入れていた方が良いわよ?」
「マリアの前で言うのは何だけど・・・ショウが戦死する前提で話すの止めてくんないかな!?」
「バカね・・・いつ死ぬか分かんないパイロットと一緒になるつもりが有るんならちゃんと考えて置かないとダメよ!」
ショウやチャーリーと同期で有る戦闘機パイロットだった自分の旦那を亡くした彼女だから言えるのだろう・・・分かってるつもりでは有るけど。とリンは顔を俯かせた・・・
「良い?ウチの旦那も絶対に死なないからって言った癖に死んだのよ。ショウの事が好きなんだだったら迷ってないで結婚しなさい。最悪の場合は自分と子供が暮らせるくらいは軍が保証してくれるからね。」
「だからそう言う前提で話すの止めてよマリア!!?」
悩みごとを話して少しは気が晴れたのかリンからの怒声に冗談だって?とマリアがフフッと微笑んでいると・・・カランコロンと鳴るカウベルと同時にドアが開くとイエーガーを先頭にジャックとタンクと言ったカスケード隊の小隊長トリオが現れた。
「三人共いらっしゃい♪マリアの隣で良い?」
そう言いながら案内するリンの向こうでマリアが手を振り出すと珍しいな・・・?と驚いたイエーガー達はマリアを挟む様に両隣の席に座った。
「それにしても奴等が居ないとこの店も静かだな・・・」
「確かにね・・・さっきもリンからショウが居ないって愚痴を聞かされてたんだ?」
「ちょっ!違う・・・もうマリアったら!!」
嘘では無いが真実でも無いマリアからの冗談にリンが困った顔をしていると・・・所でよ?とジャックが話を切り替えた。
「リンとショウの事もだけど・・・イエーガー達の送別会をしねえか?」
「そういや・・・そろそろ本社に向かわないといけねえんだよな。」
MS試験部隊を統括しているジョン=コーウェン准将から辞令で地球連邦軍の本部が有るジャブローに向かう事になっているイエーガー率いる第一小隊にジャックとタンクが思案顔を浮かべた。
「どうせならパーッとここで纏めてやらねえか・・・お前達の婚約発表と送別会をよ?」
「ちょっとまって・・・まだ私っ!?」
タンクからの提案にまだ迷っているリンが慌てて両手を振り出すと・・・それ良いわね!と推して来るマリアにリンはジロっと睨んだ。
「ちょっとマリアっ!?」
「諦めなって・・・皆がアンタ達の事を祝おうとしてるんだからね?」
そう言いながらもニヤニヤとこの状況を楽しんでいる様子の彼女にリンはハァ・・・と今日何度目かの為良いをついたので有った・・・・