「送ってくれて助かったよチャーリー?」
司令部の有るビルの前で止まったジープから降りたショウはそう言いながら少し申し訳なさそうな顔になると、気にすんなよショウ?とニッと浮かべたチャーリーから返事が返って来ると、所でショウ?とチャーリーが首を傾げて来る。
「お前に言われるがままここまで来たけど一体司令部に何の用が有るんだよ?」
「さあ・・・僕もヘリのパイロットから僕に司令部への出頭命令が出てるからとしか聞かされてないんだよね?」
そう答えたショウに何だそりゃ?とチャーリーが呆れた顔になるとホントだね?とショウもハハっと苦笑いを浮かべてしまう・・・。
「取り合えずどっかで時間を潰しとくからさっさと終わらせて晩飯に行こうぜ?」
「分かったって、それじゃあまた後で?」
そう手を挙げたショウにチャーリーも手をヒラヒラさせながらジープを急発進させると、取り合えず着替えるかな・・・?と独り言ちたショウは格納庫とは滅多に使わない本部ビルに有るロッカールームへ向かおうとすると今晩の当番で有る受付の女性下士官からあっカノウ少尉!と呼び止められる。
「何そんなに慌てて・・・?」
「いえ、司令官のバリサム大佐からカノウ少尉が来たら自分の所へ寄越す様に!といつになく固い口調だったので・・・」
受付の女性下士官がそんな事を言いながら苦笑いを浮かべてくるのでショウは分かった・・有難う?と答えながらロッカールームへと向かうと新人パイロットの事かな・・・とハァと溜息をつきながら頭をポリポリと掻き出す・・・。
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濡れネズミの恰好からクリーニングしたての少しラフな通常勤務用の軍服に着替えたショウは一回深呼吸した上でここトリントン基地司令官で有るロイ=バリサム大佐のオフィスが有る立派なドアをコンコンとノックすると失礼します!と声を上げる・・・。
「基地守備隊戦闘機隊所属第二小隊ショウ=カノウ少尉です。ご命令の通り出頭致しました!」
「開いている。良いから入れ・・・!」
普段の落ち着いた様子とは打って変わり妙に機嫌の悪そうな声を出す基地司令のバリサムの様子にショウはゴクっと息を飲みながらドアをゆっくり開けると、正面に体格の良い短い顎鬚を伸ばした大佐と言う割りには意外と若い壮年の男性佐官が立派な椅子に背中を預けながら手に持った書類に集中している姿が見えるとバリサムから・・・先ずは生還おめでとうと言うべきか?と持っていた書類をデスクに置きながら首を傾げて来る。
「この度は自分の機体はおろか配属されたばかりの新人パイロットまでも失ってしまい申し訳有りませんでした!どんな処分でも受ける覚悟では有りますが・・・出来ればバリサム指令のご慈悲を頂ければと思っている所存です!!」
敬礼をしながらいきなり謝罪をするショウにお前は何を言ってるんだ・・・?とバリサムから呆れた顔をされるとショウはへっ?と素っとん狂な声を上げだす。
「まあ、確かに配属されたばかりの新人パイロットのエレメントリーダーとしては処分も検討する所だが・・・今回のケースに関しては突発的な戦闘も有り新人パイロットに運が無かった!と言う事で俺は判断する。」
元々戦闘機パイロットだった事も有り現場の事をよく理解しているのかそんな事を言って来るバリサムにホッとしたショウはそれではどんな要件でここへ?とここへ呼ばれた理由に首を傾げると、それなんだが・・・とバリサムが困った顔になる。
「カノウ・・・貴様は良く撃墜される割には必ず生きて帰って来るな?悪運が強いと言うか何と言か・・・」
「まあ悪運が強いんでしょう?僕自身まだまだ死にたく無いと思って操縦桿を握ってるんで・・・」
そう答えるショウにバリサムがそうか・・・と言いながらガシガシと頭を掻くと肘を付きながら組んだ指
に自分の顎を乗せながらショウの方をジロっと睨みだす・・・。
「なあカノウ・・・しばらくテストパイロットをやってみないか?」
「テストパイロットですか?」
バリサムの言葉に首を傾げたショウにバリサムが少し困った顔をしながらそうだ・・・と言いながら話を続ける・・・。
「ジャブローから運用試験用の新型機が回って来たんだが・・そこでだ!こんな田舎基地にお前に与える
様な余分な機体は無い上にお前はここトリントン基地の中でも断トツの撃墜数を誇るエースパイロットだ
し是非乗ってくれないかカノウ少尉?」
「いやまあ・・・確かに自分は操縦には自信が有りますがそれは戦闘機乘りと言う意味でテストパイロッ
トとなると全然話が違って来るのでは?ですのでもっと落ち着いた操縦の出来る・・・そうだウチの隊長
とかはどうですか?」
バリサムからの提案を面倒に感じたショウからあっさりと直属の上官をスケープゴートに捧げようとするがお前のその上官から推薦が有ったんだが?とバリサムがニヤっと笑みを浮かべると逆に売られたショウはやられたっ!?と内心思いながらハァ・・・と溜息をつきだす。
「尊敬するバウスネルン大尉からも推薦されているのならばこのショウ=カノウ空軍少尉は新型機運用の
テストパイロット任命を快くを受領いたします」
実際は嫌々だがショウはそう言いながら敬礼すると、期待している。と短く答えたバリサムが二っと笑みを浮かべるとショウの前へ先程見ていた書類の束を置き出す。
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「俺もテスト機の仕様書を見たが・・・どうも今までの機体とは桁外れの性能みたいだから気を引きしめてかかってくれ」
バリサムがそう言いながら苦笑いを浮かべるとショウは机の上に置かれたファイルを手に取りながらV作戦・・・ですか?とバリサムとは別の理由で苦笑いを浮かべてしまう・・・。
「V作戦とは
「おいカノウ・・・俺よりずうっーと偉いお偉いさんの考えた作戦なんだからな・・・間違っても他所で
は絶対に言うなよ!?」
少し不安そうな顔のバリサムにショウは分かってますって!とニッと笑みを浮かべると、しかし何でそん
な作戦がこんな田舎基地で・・・?と首を傾げ出す。
「さあな?まあここは辺境の田舎基地だから極秘任務には最適と思ったんだろう・・・それと上手く行っ
たら俺はひょっとすると昇進してお前達問題児から解放されるかもしれん・・・是非とも成功を祈るおカノウ?」
「それはそれは、、、このショウ=カノウは必ずや任務を成功させバリサム大佐をジャブローへと送り出し
て見せようじゃ有りませんか?」
皮肉たっぷりにそう返すショウにバリサムがため息交じりに分かったから早く行け・・・と右手をヒラヒラ振り出すとショウはそれでは失礼いたしました!と敬礼しながら部屋を出ると腕を組みだす。
「新型ね・・・取り合えずハンガー覗いてみるかな?」
そう呟いたショウは少しテンションを上げながら滑走路に有る格納庫に向かうのであった。
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